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21 世紀の核医学を考える

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Academic year: 2021

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41回 日本核医学会総会 459

《特別講演》

21 世紀の核医学を考える

久 田 欣 一

公立学校共済組合北陸中央病院院長,金沢大学名誉教授

 核医学は放射性医薬品とその計測器ならびに解析表示プログラムの進歩に支えられ発展してき た.IT による技術革新,特に CT, MR, US, 分子生物学,薬理学等の躍進,変化する臨床各科 のニーズは核医学の変革を強く迫っている.一方社会の趨勢はグローバリゼーション,少子化に よる日本経済の停滞,高齢化による医療需要の増大,国民の期待は直接,間接に 21 世紀の核医 学の運命を左右しかねない.OECD の統計でも日本の医療費は諸外国に比し著しく安いが,医療 費の抜本的増額が無理な現状では,医療の適正化,効率化を図るしかない.

 国民の医療に対する期待は,疾病予防,確実な治療,失われた機能の回復で,安全で苦痛を伴 わず安価な医療である.核医学の得意とするところは,局所的臓器機能の定量評価であり,今後 は無駄な手術を避けるための正確な病期診断や適切な縮小手術実行のための病巣範囲決定,セン チネルリンパ節診断が普及するであろう.薬剤・放射線に対する耐性・感受性予測によるテー ラーメード医療に遺伝子診断が期待されているが,表現型を追究する核医学ではすでに一部実用 化されている.

 臨床で求められる生体イメージングの直近目標は,動脈硬化巣とくにソフトプラーク,再生血 管,再生神経,神経変性であり,炎症巣,アミロイド沈着巣や,癌では MDR, アポトーシス,

遺伝子発現・多型情報の検出であろう.形態,運動,血流情報は MDCT, MR の聖域とも言え,

一方,代謝,細胞間情報伝達 (受容体,輸送担体,酵素基質) や遺伝子発現の検索は核医学の聖 域である.問題は心筋,脳血流,肺血流,全身骨,腫瘍スキャン等数多く行われているルーチン 検査の将来である.核医学の生き残りは臨床に役立ち信頼されるレポートの作成にかかっている.

 核医学はもともと分子イメージングであるが,近年ペプチド合成技術の進歩により,受容体に 特異的に結合する多種類のペプチドが開発されつつあり,将来が期待される.18F-FDG は欧米で 特に腫瘍診断にひろく使用されているが,日本でも 1 日も早い保険診療採用を望みたい.核医 学技術発展の流れを考えるに,① 解像力,感度や定量性の観点から SPECT は PET に置き換え られ,運搬可能な核種として半減期 110 分の 18F が理想であり,生体元素と置換しやすく化学反 応性に富んでいるため,すでに 2001 年 SNM 総会においても 25 種類の 18F 化合物が報告されて いる.早急に米国,欧州の PET ネットワークのようなインフラ組織を国内でも立ち上げられれ ば核医学の未来は明るくなる.② 半導体カメラの進歩により複数のエネルギー,半減期を同時 に活用できる多核種 SPECT もさらに洗練された形で登場して貰いたい.③ 内部照射療法のター ゲットは,癌はもとより,難治性関節リウマチ,頸動脈,冠動脈のソフトプラークなども対象と すべきである.

 われわれは核医学の将来に自信を持って明るい展望を関連業界に鼓吹し,学会員仲間を増や し,21 世紀の夢の実現を図らなければならない.

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