• 検索結果がありません。

破 産 法 三 四 条 二 項

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "破 産 法 三 四 条 二 項"

Copied!
30
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

論 説

破 産 法 三 四 条 二 項

・ 三 項 二 号 但 書 と 固 定 主 義

⎜ 各 種 保 険 金 の 破 産 財 団 帰属 性 を 素 材 と し て

野 雄 太

(2)

一 は じ め に

日本 の破 産法 は 固定 主義 を採 用 し︑

破産 者 が破 産 手続 開 始 の時 にお いて 有す る一 切 の財 産﹂ を 破産 財団 と して いる

︵破 産 法三 四条 一項

︒他 方

︑同 法 三四 条二 項は

︑ 将来 の請 求権

︑ すな わち 手続 開 始時 に は条 件未 成就 な いし 期限 未到 来 の 請求 権も 破産 財 団に 属す ると 規 定し

︑ま た同 条 三項 二号 但書 は 手続 開始 後に 差 し押 さ える こと がで き るよ うに なっ た 財 産も 破産 財団 に 属す ると 規定 し てお り︑ これ ら の規 定は 固定 主 義に 反し てい る よう に 見え る︒ 本稿 は

︑特 に死 亡保 険 金 請求 権お よび 身 体傷 害へ の慰 謝 料と して の性 質 を有 する 保険 金 請求 権の 破産 財 団帰 属 性を 通じ て︑ 固 定主 義と これ ら の 規定 との 関係 を 検討 する もの で ある

︒ま た以 上 と関 連し て︑ 自 由財 産拡 張制 度

︵同 条 四項

︶の 意義 に つい ても 検討 す る

︒ 慰謝 料請 求権 の 破産 財団 帰属 性 につ いて は︑ 後 述す る昭 和五 八 年判 決を 契機 と して 学 者

実務 家

よ り多 くの 議論 が 交 わさ れて きた

︒ しか るに 近時

︑ 破産 手続 開始 前 に締 結さ れた 保 険契 約に 基づ き

︑手 続 開始 後に 支払 わ れる 保険 金が 破 産 財団 に帰 属す る かと いう 観点 か ら︑ 破産 財団 の 範囲 に関 する 議 論が 再び 盛ん に なっ て いる

中 でも 伊 藤眞 教授

︑佐 藤 鉄 男教 授は

︑固 定 主義 の意 義な い し破 産法 三四 条 各項 の解 釈を 通 じ︑ 死亡 保険 金 請求 権 や慰 謝料 とし て の性 質を 有す る 保 険金 請求 権な ど 各種 保険 金請 求 権の 破産 財団 帰 属性 につ いて 議 論さ れて いる

固定 主 義の 意義 およ び 同条 各項 の解 釈 に つい ては 戦前 よ り議 論が 乏し い 分野 であ るた め

︑こ れら の論 稿 はき わめ て示 唆 に富 む もの であ るが

︑ 他方 これ らは 破 産 者の 保護 とい う 面を 強調 しす ぎ てい るよ うに も 感じ られ る︒ そ こで 本稿 では

︑ 先に 述 べた テー マに つ いて

︑愚 見を 明 ら かに する もの で ある

︒ なお

︑検 討に あ たっ て︑ 本稿 で は自 然人 の破 産 のみ を扱 い︑ 法 人の 破産 にお け る固 定 主義 ない し自 由 財産 の意 義に つ い ての 検討 は他 日 を期 すこ とと す る︒ そし て︑ 本稿 では

︑ 請 求 権の 具体 化﹂ と いう 文 言を

︑ 将来 に条 件が 成 就し たり

(法政研究 85‑1‑ )2 2 論 説

(3)

期 限が 到来 した 場 合︵ 三四 条二 項

︶の ほか

︑差 押 禁止 だっ た請 求 権が 破産 手続 開 始後 に 差押 え可 能と な った 場合

︵三 四 条 三項 二号 但書

︶ も含 めて 使用 す る︒ また

︑こ の よう に具 体化 す る前 の請 求権 を

﹁抽 象 的請 求権

﹂と 呼 ぶこ とと する

︒ 先述 の問 題を 検 討す るに あた り

︑本 稿で は以 下 の事 例を 用い る こと とす る︒

C a se :

以下 の事 例に お いて

︑各 保険 金 請求 権は 破産 財 団に 帰属 する か

︒な お︑

C a se  1 , 2

に共 通す る 事項 と して

︑ 平成 二九 年一 二月 一 日︑ B弁 護士 を 通じ Aの 破産 手 続開 始が 決定 さ れ︑ 平成 三〇 年 五月 一 日に 同手 続が 終 了し たも のと す る︒

C a se  1

︵死 亡保 険金

︑ 三四 条二 項︶

Aの 妻C は︑ A の破 産手 続開 始 以前 より

︑D 保 険会 社と の間 で

︑C を被 保険 者・ Aを 保険 金受 取 人と する 生命 保 険契 約を 締結 し

︑毎 月保 険料 を 支払 って いた

︒ その 後 Cが 死亡 し︑ A の口 座に 保険 金 二〇

〇〇 万円 が 支払 われ るこ と とな った

︒C の 死亡 が① 平成 二 九年 一一 月二

〇 日で あ る場 合︑

②平 成 三〇 年二 月二 八 日で ある 場合

③同 年五 月三 一 日で ある 場合 の それ ぞれ にお い て︑ この 死亡 保 険金 請 求権 は破 産財 団 に帰 属す るか

C a se  2

︵身 体 傷 害慰 謝料

︑ 三四 条三 項 二号 但書

平 成二 九年 一一 月一 日︑ Aは

︑ Eの 運転 する 車 には ねら れ 重傷 を 負っ た︒ Eは

︑ 事故 以前 から

︑ F保 険会 社と の 間で 自動 車保 険 に加 入し てい た

︒事 故 後に A︵ B弁 護 士︶ とF 保険 会 社と の間 で示 談 が成 立し

︑B 弁 護士 の預 り金 口 座に 保険 金一

〇〇 万円 が支 払 われ る こと とな った

︵ 事案 の単 純化 の ため

︑全 額が 身 体傷 害慰 謝料 で ある とす る

︒こ の 示談 成 立 が① 平成 二九 年一 一月 二

〇日 であ る場 合︑

② 平 成三

〇年 二月 二八 日で あ る場 合︑

③同 年 五月 三一 日で あ る場 合の それ ぞ れに おい て︑ こ の保 険 金は 破産 財団 に 帰属 する か︒

(4)

二 裁 判 例

1 死 亡 保 険 金 請 求 権

⑴ 最判 平 成二 八 年四 月二 八日 民 集七

〇巻 四号 一

〇九 九頁

この 事案 は︑ 破 産者 Yを 保険 金 受取 人と する

︑ 破産 手続 開始 後 に具 体化 した 死 亡保 険 金請 求権 の破 産 財団 帰属 性に つ き

︑Y と破 産管 財 人X との 間で 争 われ たも ので あ る︵ Yは

︑平 成 二四 年三 月一 四 日に 破 産手 続開 始決 定 を受 け︑ Xが 破 産 管財 人と して 選 任さ れた

︒そ の 後︑ 同年 四月 二 五日 に被 保険 者 であ った Yの 長 男が 死 亡し た︶

︒ 第一 審︵ 東京 地 判平 成二 六年 六 月一 八日 金判 一 四九 二号 二五 頁

︶・ 原審

︵東 京 高判 平 成二 六年 一一 月 一一 日金 判一 四 九 二号 二二 頁︶ と もに

︑抽 象的 保 険金 請求 権は 破 産手 続開 始前 に 生じ た原 因に 基 づい て 行う こと があ る 将来 の請 求権 と し て破 産財 団に 属 する 財産

︵破 産 法一 五六 条一 項

︶に なる と判 示 し︑ Xら の請 求 を一 部 認容 した

︒最 高 裁も

︑条 件成 就 前 の死 亡保 険金 請 求権 に財 産的 価 値を 認め たう え で︑ 同請 求権 は

﹁破 産者 が破 産 手続 開 始前 に生 じた 原 因に 基づ いて 行 う こと があ る将 来 の請 求権

﹂に 該 当す るも のと し て死 亡保 険金 受 取人 の破 産財 団 に属 す ると 判断 し︑ 上 告を 棄却 した

︒ すな わち

︑⑴ 判 決は

︑破 産手 続 中に 被保 険者 が死 亡 した 場合

C a se  1

② に相 当︶ の死 亡保 険金 請求 権全 額 の破 産財 団 帰属 を肯 定し た

論 説

(法政研究 85‑1‑ )4 4

(5)

2 慰 謝 料 請 求 権

⑵ 最判 昭 和五 八 年十 月六 日民 集 三七 巻八 号一

〇 四一 頁 この 事案 は︑ 破 産者 の有 する

︑ 破産 手続 開始 前 に発 生し た名 誉 毀損 に基 づく 慰 謝料 請 求権 の破 産財 団 帰属 性が 争わ れ た もの であ る︒ な お︑ 破産 者は 破 産手 続終 了後 に 死亡 して いる

︒ 最高 裁は

︑本 件 のよ うな 慰謝 料 請求 権の 行使 上 の一 身 専属 性を 認 めつ つも

︑ 具 体 的な 金額 の慰 藉料 請求 権 が当 事者 間 にお いて 客観 的 に確 定し たと き

﹂ま たは

﹁被 害 者が それ 以前 の 段階 で死 亡し た とき

﹂ には 行使 上の 一 身専 属性 が失 わ れ

︑差 押え が可 能 にな ると 判断 し た︒ しか し︑ 本 件で は﹁ 破産 終 結の 決定 がさ れ たの ち に行 使上 の一 身 専属 性を 失な う に 至っ た︹ 被害 者 が死 亡し た︺ 慰 藉料 請求 権に つ いて は︑ 破産 法 二八 三条 一項 後 段︹ 現 行破 産法 二一 五 条一 項後 段︺ の 適 用が ない と解 す るの が相 当で あ るか ら︑ 本件 慰藉 料請 求権 が⁝ 破 産財 団に 帰属 する 余 地は な︹ い

︺﹂ と し︑ 同請 求権 の 破産 財団 の帰 属 を肯 定す る原 判 決︵ 大阪 高判 昭 和五 四年 三月 三

〇日 判時 九七 一 号五 一 頁︶ を破 棄し た

︒ すな わち

︑最 高 裁は

︑名 誉棄 損 に基 づく 慰謝 料請 求 権に つき

破産 手続 中 に一 身専 属性 が失 わ れた 場合

C a se  2

② に 相当

︶の 破産 財 団帰 属を 肯定 す る一 方︵ 傍論

︶︑ 手 続終 了後 に一 身 専属 性が 失わ れ た場 合︵

C a se  2

③に 相 当︶ の 破産 財 団帰 属を 否定 し た︒

⑶ 名古 屋 高判 平 成元 年二 月二 一 日判 タ七

〇二 号 二五 九頁 この 事案 も︑ 破 産者 の有 する 慰 謝料 請求 権の 破 産財 団帰 属性 が 争わ れた もの で ある が

︑⑵ 判決 の事 案 と異 なり 破産 手 続 は終 了し てお ら ず︑ また 請求 権 の具 体化 事由 も 生じ てい なか っ た︒ 原審

︵津 地判 昭 和六 三年 五月 一 七日 判タ 六七

〇 号一 六五 頁︶ は

︑本 件慰 謝料 請 求権 は

︑近 親者 が同 請 求権 を行 使す る

(6)

意 思を 表示 した だ けで その 具体 的 金額 が当 事者 間 にお いて 客観 的 に確 定し ない 間 はな お 一身 専属 性を 有 し︑ 旧破 産法 六 条 三項

︹現 行三 四 条三 項二 号︺ の

﹁差 押フ ルコ ト 得サ ル財 産﹂ に 該当 し︑ 右近 親 者が 破 産宣 告を 受け て もそ の破 産財 団 に は属 しな いと し た︒ これ に対 し 破産 者︵ 原告

︶ が控 訴し たが

⑶判 決も

︑⑵ 判 決を 引 用し つつ 原審 と ほぼ 同一 の理 由 に 基づ き控 訴を 棄 却し た︒ すな わち

︑⑶ 判 決は

︑近 親者 の 生命 侵害 に基 づ く慰 謝料 請求 権 につ き︑ 破産 手 続中 で

︑か つ金 額未 確 定の 場合 の破 産 財 団帰 属を 否定 し た︒

⑷ 大阪 高 判平 成 二六 年三 月二

〇 日債 管一 四五 号 九七 頁 この 事案 は︑ 交 通事 故に より 破 産者 Aが 取得 し た損 害保 険金 の うち

︑慰 謝料 請 求権 に 相当 する 部分 の 破産 財団 帰属 性 が Aの 代理 人Y と 破産 管財 人X と の間 で争 われ た もの であ る10

こ の事 案で は︑ 破 産手 続 開始 前に 破産 者 と保 険会 社と の 間 で示 談が 成立 し てい た︑ すな わ ち︑ 慰謝 料請 求 権の 具体 化が 生 じて いた

︒ 原審

︵奈 良地 裁 葛城 支判 平成 二 五年 一〇 月一 七 日債 管一 四五 号 一〇 八頁

︶お よ び本 判 決と も︑

⑵判 決 を参 照し

︑生 命 身 体に 対す る侵 害 に基 づく 慰謝 料 請求 権に つい て も行 使上 の一 身 専属 性を 認め つ つも

︑ 慰謝 料請 求権 が 当事 者間 にお い て 具体 的な 金額 を もっ て客 観的 に 確定 した とき は

︑も はや 一身 専 属性 を失 って お り︑ し たが って 差押 禁 止財 産と して 扱 う べき では ない と する

︒結 論と し て︑ 本件 でも 破 産手 続前 に前 記 交通 事故 が発 生 し︑ ま た保 険会 社と の 間で 示談 が成 立 し て保 険会 社か ら 保険 金が 支払 わ れて いる 以上

︑ Yの 有す る預 り 金の うち 傷害 慰 謝料 お よび 後遺 障害 慰 謝料 に相 当す る 部 分に つい ても 破 産法 三四 条一 項 の破 産財 団に 属 する 財産 に該 当 する と判 断し

︑ 控訴 を 棄却 した11

すな わち

︑⑷ 判 決は

︑破 産手 続 開始 前に 具体 的な 額 が確 定し た慰 謝料 請 求権

C a se  2

① に相 当︶ の 破産 財 団帰 属を 肯 定し た︒

(法政研究 85‑1‑ )6 6 論 説

(7)

なお

︑Y は本 判 決を 不服 とし て 上告 およ び上 告 受理 申立 てを し たが

︑最 高裁 は 上告 棄 却・ 上告 不受 理 決定 をし

︑本 判 決 は確 定し た︒

3 小 括

以上

の裁 判例 を まと める と︑

︵ア

︶ 死亡 保険 金請 求 権

・破 産手 続中 に 請求 権が 具体 化

︑す なわ ち被 保 険者 が死 亡し た 場合

C a se  1

②に 相当12

︑死 亡 保険 金請 求権 は破 産財 団に 含 まれ る

・破 産手 続終 了 後に 請求 権が 具 体化 した 場合

C a se  1

③に 相当

︶ につ いて

︑判 例 の態 度は 不明 で ある

︵イ

︶ 慰謝 料請 求権

⑵判 決の 射程 が 身体 傷害 に基 づ く慰 謝料 請求 権 にも 及ぶ とす る なら ば︵

⑵判 決 後の 下級 審で あ り︑ 身体 傷害 に関 す る⑶

⑷判 決は

⑵ 判決 を引 用し て いる

︶︑

・破 産手 続中

C a se  2

②に 相当

︶に 慰 謝料 請求 権が 客観 的 に確 定︵ な いし 被害 者 が死 亡︶ し た場 合︑ 同 請 求権 は破 産財 団 に帰 属 する13

・破 産手 続中 に 金額 未確 定で あ れば

︑慰 謝料 請 求権 は破 産財 団 に帰 属し ない

・破 産手 続終 了 後︵

C a se  2

③に 相 当︶ に確 定等 があ った 場 合︑ 慰謝 料請 求権 は破 産 財団 に帰 属し ない

︵追 加配 当の 対象 と なら な い︶

・破 産手 続開 始 前︵

C a se  2

①に 相当

︶に 確 定等 があ った 場 合︑ 慰 謝料 請求 権は 破 産財 団に 帰属 す る︒

(8)

三 学 説

1 本 稿 で 検 討 す る 学 説

本稿

では

︑前 掲 注 5︶ で 掲げ た 伊藤 教授

・佐 藤 教授 の学 説を 中 心的 に取 り上 げ る︒ 一 でも 述べ た通 り

︑こ れら の見 解 は いず れも

︑固 定 主義 の意 義な い し三 四条 各項 の 解釈 に関 し重 要 な指 摘を 含ん で いる と 考え るた めで あ る︒ なお

︑こ れ ら の点 のほ か︑ 慰 謝料 請求 権で は その 性質 や一 身 専属 性の 喪失 事 由に つき14

また 死亡 保 険金 では 抽象 的 保険 金請 求権 が 財 産的 価値 を有 す るか 等15

つき 対 立が ある が︑ 本 稿で は検 討の 対 象外 とし たい

︒ 論点 を集 約化 す るた め︑ 以下 で は特 に︑ 伊藤 説 のう ち慰 謝料 請 求権 の破 産財 団 帰属 性 にか かわ る部 分 を︑ また 佐藤 説 の うち 慰謝 料請 求 権お よび 死亡 保 険金 の破 産財 団 帰属 性に かか わ る部 分を 取り 上 げる16

また

︑い ずれ も 自身 の結 論の 補 強 とし て自 由財 産 拡張 制度 につ い て言 及し てい る ため

︑そ の部 分 につ いて も確 認 する

2 伊 藤 説

①慰 謝料 請求 権

伊藤 説 は︑ 身 体傷 害に 基づ く 慰謝 料請 求権 の 破産 財団 帰属 性 につ い て議 論す る際

︑ まず 現行 法で 固 定 主義 がと られ た 理由 に着 目す る

︒そ して

︑そ の 理由 とし て﹁ 破 産者 の経 済生 活 の再 生 の機 会を 保障 し よう とす る立 法 者 の意 思を 表し た もの17

と 述べ る

︒そ のう えで

︑ 仮に 具体 的金 額 が確 定し 一身 専 属性 を 失っ たと して も

︑慰 謝料 請求 権 は 心身 の苦 痛を 和 らげ るも ので あ り︑ 破産 手続 開 始後 の期 間の 苦 痛に 対応 する 慰 謝料 請 求権 は固 定主 義 の趣 旨か ら破 産 財 団に 組み 込む べ きで はな い︑ 固 定主 義を 適用 し 手続 開始 後の 同 請求 権を 新得 財 産と す るこ とは

﹁債 務 者に つい て経 済

(法政研究 85‑1‑ )8 8 論 説

(9)

生 活の 再生 の確 保 の機 会を 図る こ と﹂

破産 法 一条

︶ につ なが る18

と 論じ る19

②自 由財 産拡 張 制度

伊 藤説 は

︑こ の制 度は 差 押禁 止財 産の 制 度︵ 民事 執行 法 一三 一 条・ 一五 二条

︶ と同 様︑ 破産 者 の 最低 限の 生活 を 保障 する ため の もの にす ぎな い と論 じる20

3 佐 藤 説

①死 亡保 険金

佐藤 説は

︑三 四 条二 項は 膨張 主 義的 な規 定で あ るが

︑破 産手 続 を無 制 限に 継続 する こ とは でき ない と し て︑ その 適用 に 制限 をか ける こ とを 示唆 する

︒ その うえ で佐 藤 説は

︑死 亡保 険 金全 額の 財団 加 入を 否定 する の では なく

︑一

〇 三条 二 項一 号ロ

︵額 が 不確 定で ある 破 産 債権 につ いて は 破産 手続 開始 時 の評 価額 をも っ て参 加す る︶ を 三四 条二 項に 参 照し よ うと する

︒破 産 財団 側も 抽象 的 請 求権 の開 始時 の 評価 額を 組み 入 れる こと で︑ 破 産債 権側 との バ ラン スを とる こ とが で きる とす る︒ そ して

︑抽 象的 保 険 金請 求権 では

︑ 開始 時の 解約 返 戻金 相当 額を 評 価額 とし て破 産 財団 に組 み入 れ ると い う処 理を すべ き と述 べる21

なお

︑佐 藤説 も

︑保 険事 故が 破産 手続 開始 前に 発 生し てい る場 合︵

C a se  1

①相 当︶ は︑ 具 体化 され た死 亡 保険 金が 破 産財 団に 帰属 す ると して いる22

②慰 謝料 請求 権

佐藤 説 は︑ 示 談交 渉が 済み

︑ 慰謝 料と して の 性質 を有 する 保 険金 が 支払 われ

︑一 身 上の 専属 性が 失 わ れた とし ても

︑ 破 産手 続後 も負 傷 によ る苦 痛は 日々 続 くの で︑ 慰謝 料は それ を緩 和 する もの とし て日 々必 要な もの で ある

﹂ 代理 人弁 護 士の 下で 分別 管 理さ れて いる 限 り︑ 固 定 主義 の帰 結と して

︑受 領済 みの 保険 料を 破産 の 前後 で切 り 分け るこ とが 許 され るべ きで は ない かと 考え る

﹂と し︑ 慰謝 料 請求 権の うち

︑ 手続 開 始後 の損 害に 相 当す る部 分の 財 団 帰属 を否 定す る23

(10)

また

︑佐 藤説 は

︑破 産法 三四 条 三項 二号 但書 の 適用 期限 を破 産 手続 継続 中ま で と解 し

︑一 身専 属性 の 喪失 時期 が破 産 手 続終 了後 の場 合 には 同規 定が 適 用さ れな いと す る24

なお

︑こ の よう に︑ 破産 法 三四 条 三項 二号 但書

︵ 旧破 産法 六条 三 項 但書

︶の 適用 範 囲を 破産 終結 決 定の 時点 まで に 限定 すべ きと す る主 張は

︑⑵ 判 決以 前 から され てき た25

この 有 力説 は

︑ 同 但書 は固 定主 義 の例 外で あっ て あま り広 く解 す べき では ない と する

③自 由財 産拡 張 制度

佐 藤説 は

︑自 由財 産拡 張 制度 の意 義を 認 めつ つも

︑現 在 の実 務 では 差押 禁止 現 金基 準で ある 九 九 万円

︵破 産法 三 四条 三項 一号

︶ が拡 張の 上限 と され てい るこ と など をと らえ

︑ この 制 度に よる 調整 の 限界 を示 す26

4 小 括

佐藤

説は

︑死 亡 保険 金に つい て︑ 破 産手 続開 始前 に 被保 険者 が死 亡し た 場合

C a se  1

① に相 当す る場 合︶ には その 全 額の 破産 財団 帰 属を 認め る 一方

︑ それ 以外 の場 合︵

C a se  1

② ない し③ に相 当す る 場合

︶ には

︑一

〇 三条 二 項一 号ロ を 参照 しつ つ︑ 開 始時 の解 約返 戻 金相 当額 のみ が 破産 財団 に帰 属 する と述 べ︑ 三 四条 二 項を その まま 適 用す るこ とを 否 定 する

︒ また

︑伊 藤説

・ 佐藤 説と も︑ 一 身専 属性 が失 わ れた 慰謝 料請 求 権も 破産 手続 開 始前 後 に分 ける こと が 許さ れ︑ 開始 後 の 損 害 に 対応 す る 部 分つ い て は 破 産財 団 に 含 まれ な い と し て三 四 条 三 項 二号 但 書 の 適 用 を 制 限 す る︒ し た が って

C a se  2

①な い し② のよ うな 場 合︑ 破産 手続 開 始前 の損 害に 対 応す る慰 謝料 請求 権の み が破 産財 団に 含ま れ︑ 開始 後に 相 当す る部 分は 破 産財 団に は含 ま れな いこ とと なる

︒さ らに

C a se  2

③ のよ うに 手 続終 了後 に一 身専 属性 が 失わ れた 場 合︑ 同但 書の 適 用は 全面 的に 否 定さ れ︑ 慰謝 料 全額 が破 産者 に 帰属 する

︒ そし て︑ 以上 の よう に三 四条 二 項・ 三項 二号 但 書の 適用 を制 限 する 根拠 とし て

︑以 下 の点 が挙 げら れ てい る︵ 以下

(法政研究 85‑1‑ )10 10 論 説

(11)

論 拠① など とす る

︶︒

①﹁ 固定 主義 の 趣旨

﹂︑ すな わち 破 産者 の生 活再 建 をは かる 必要 が ある

︵伊 藤説

︶︒

②三 四条 二項

・ 三項 二号 但書 は 固定 主義 の例 外 ない し膨 張主 義 的規 定で あり

︑ また 破 産手 続が 無制 限 に続 くこ とは 不 都 合で ある から

︑ どこ かで 適用 の 終期 を設 ける べ きで ある

︵佐 藤 説①

②︶

③現 在の 自由 財 産拡 張制 度の 意 義な いし 実務 運 用に かん がみ る と︑ 同制 度に よ る債 務 者の 保護 には 限 界が ある

︵伊 藤 説

②︑ 佐藤 説③

︶︒

四 検 討

1 固 定 主 義 の 意 義 に つ い て

⎜ 伝 統 的 説 明 の 検 証

以下

では

︑三 1 で述 べ た通 り︑ 死 亡保 険金 請 求権 およ び慰 謝料 請 求権 の財 団帰 属性 を︑ 固定 主 義︑ そ し て 三 四条 二 項

・三 項二 号但 書 の解 釈と いう 観 点か ら議 論し

︑ 慰謝 料請 求権 の 性質 等に つい て は検 討 の対 象外 とす る27

伊藤 説・ 佐藤 説 とも

︑三 四条 二 項・ 三項 二号 但 書の 適用 を解 釈 によ り制 限し よ うと す るも ので ある

︒ その 根拠 とし て は 三4 で挙 げた 論 拠①

〜③ があ る が︑ 論拠

②以 下 につ いて は2 で 検討 する こと と して

︑ まず 論拠

①に つ いて 本項 で検 討 す る︒ 繰り 返し に なる が︑ 特に 伊 藤説 は︑ 固定 主 義の 意義 とし て 生活 保障 を重 視 する こ とで

︑慰 謝料 請 求権 の破 産財 団 帰 属を 制限 しよ う とす る︒ しか し︑ 固定 主 義と 生活 保障 が どの よう な関 係 にあ るか は︑ 従 来の 議論 だけ で は必 ず しも 明ら かで は ない よう に思 わ れ る︒ 確か に︑ 伊 藤教 授も 引用 さ れ︑ また 今な お 多く の文 献が 固 定主 義の 意義 に つい て の説 明に 際し 引 用す る加 藤正 治

(12)

博 士の 論稿 は﹁ 固 定主 義は 破産 者 の勤 労を 奨励 し 破産 者及 びそ の 家族 のた めに 生 じる 生 活の 資料 を取 得 せし むる の利 益 あ り28

漢字 仮名 遣 いを 現代 のも の に改 めて いる

︒ 以下 同じ

︶﹂ と述 べ︑ 固 定主 義の 意 義と して 生活 再建 を強 調 して いる よ うに みえ る︒ もっ とも

︑加 藤 博士 は︑ この 部 分に 続け て︑

︹ 膨張 主義 を採 用 した

︺と きは 破 産者 は 如何 に勤 労を 為 すも 其利 得は 直 に 破産 財団 に吸 収 し去 られ 自己 の 直接 の利 益と な らざ るが 故に 自 暴自 棄に 陥り 稼 ぐに 追 い付 く貧 乏無 し の反 対に て到 底 再 起し 能わ ず︒ 寧 ろ安 逸を 貪る に 若し かす と為 し 破産 者を 駆て 懶 惰放 逸に 陥ら し むる に 至る べし

﹂と 述 べて いる29

この よ うに

︑加 藤説 の 文脈 での

﹁生 活 保障

﹂と いう の は︑ あく まで 労 働債 権と の関 連 で述 べ られ てい るに す ぎな い︒ 労働 債 権 以外 の財 産を ど れだ け財 団か ら 除外 する か︑ あ るい はよ り一 般 的に

︑日 本の 固 定主 義 がど こま で生 活 保障 につ いて 配 慮 した もの であ る かは

︑前 掲注

28︶ の論 稿 から は 必ず しも 明ら か では ない よう に 思わ れ る︒ この よう に︑ 日 本に おけ る固 定 主義 の内 容が 必 ずし も明 らか で はな い以 上︑ 伊 藤教 授 のよ うに

︑固 定 主義 の意 義を 破 産 者の 生活 保障 に 引き 付け たう え で三 四条 三項 二 号但 書の 適用 を 制限 する こと に は疑 問 の余 地が 残る

︒ また 佐藤 教授 も

︑ 三 3の 通り

︑慰 謝 料請 求権 ない し 死亡 保険 金請 求 権の 破産 財団 帰 属を 固定 主義 が 原則 で ある との 理由 か ら制 限し よう と す るが

︑こ の解 釈 が三 四条 二項

・ 三項 二号 但書 の 趣旨 に沿 うか 否 かは 検証 の必 要 があ る

︒ そこ で以 下で は

︑三 四条 二項

・ 三項 二号 但書 の 条文 に即 して

︑ 前記 論拠

②以 下 の是 非

︑そ して 各種 保 険金 請求 権の 破 産 財団 帰属 性に つ いて 検討 する

︒ ただ し︑

C a se  2

で問 題と な る慰 謝料 請求 権の 破産 財 団帰 属性 につ いて は︑ 三四 条三 項 二号 但書 の解 釈 につ いて より 立 ち入 った 検討 が 必要 にな ると 解 され るた め︑ 3 で検 討 する こと とす る

︒次 の2 では

C a se  1

で問 題 とな る死 亡保 険 金の 破産 財団 帰属 性︑ そ して 三 四条 二項 の解 釈に つい て︑ 特に 同項 適用 の時 的 限界 とい う 方向 から 検討 を 加え る︒

(法政研究 85‑1‑ )12 12 論 説

(13)

2 破 産 法 三 四 条 二 項 適 用 の 時 的 限 界

⑴ 破産 法 三四 条 二項 と固 定主 義 佐藤 説は

︑三 四 条二 項を

︑固 定 主義 のあ る種 の 例外 であ り︑ 一 種の 膨張 主義 的 現象 が 見て 取れ ると す る︒ しか し︑ 三 四 条二 項は

︑従 来 より

︑発 生原 因 が手 続開 始前 に ある 請求 権も 財 団に 含め るこ と で固 定 主義 の趣 旨を 明 確に する 確認 的 規 定で ある と説 明 され てお り30

固 定主 義の 例外 を 構成 する とは さ れて こな かっ た

︒ また

︑ 三四 条三 項二 号 但書 につ いて も︑ 佐 藤 説な どの 有力 説は こ れを 固定 主義 の例 外 と位 置付 け るが

︵前 掲 三3 参 照

︶︑ 同但 書が 固定 主 義の 例外 とい え るか につ いて は 前述 の通 り 立ち 入っ た 検討 が必 要 と思 われ るた め︑ 3 で 項を 改め て 論じ る︒

⑵ 破産 法 三四 条 二項 と一

〇三 条

⎜⎜ 破産 手続 中 に具 体化 した 請 求権 の扱 い 三 3 で 述 べ た 通 り︑ 佐 藤 説 は︑ 三 四 条 二 項 を 一

〇 三 条 二 項 一 号 ロ と 同 様 の 効 果 を 持 つ よ う 読 み 替 え る こ と で︑

C a se  1

②な い し③ に相 当す る 場合 につ いて も 三四 条二 項の 適 用を 制限 し︑ 一 定の 保 険金 請求 権を 破産 財団 か ら除 外し よ うと する

︒し か し︑ この よう な 佐藤 説に 対し て は︑ 次の 二つ の 方向 から 批判 が 可能 で ある よう に思 わ れる

︒ 第一 に︑ その よ うに 読み 替え る 明文 上の 根拠 を 欠く

︒仮 に破 産 財団 と破 産債 権 のバ ラ ンス を取 る必 要 があ ると して も

︑ む しろ 死亡 保険 金 など の条 件付 債 権に は一

〇三 条 四項 が適 用さ れ るは ずで ある

︒ 同項 は

︑一

〇三 条二 項 一号 ロと は異 な り

︑条 件付 きで は ある が債 権全 額 の行 使を 認め る 規定 であ って

︑ 評価 額に 落と し 込む 規 定で はな31

32

第二 に︑ 条件 付 債権 を法 律に よ って 一律 に評 価 額と する こと が 適切 か︑ とい う 批判 が 可能 であ るよ う に思 われ る︒ こ の 問題 は︑

C a se  1

のよ うな 死 亡保 険金 請求 権 であ れ ば解 約返 戻 金相 当額 を基 準と す るた めに さほ ど問 題と な らな いか

(14)

も しれ ない が︑ そ のよ うな 基準 の ない 宝く じな ど では 表面 化す る よう に思 われ る

︒例 え ば︑

〇・

〇一

% の確 率で 一億 円 が 当た る宝 くじ を 破産 者が 有し て いた とす る︒ 仮 にこ の評 価額 を 期待 値で ある 一 万円 と する なら ば︑ 破 産者 は一 万円 を 財 団に 支払 う代 わ りに 宝く じの 保 持を 認め ると い うこ とに なる

︒ しか し︑ これ で は少 額 の評 価額 を支 払 うこ とで

︑破 産 者 は引 き続 き破 産 手続 開始 後に 大 金を 取得 でき る 可能 性を 保持 す るこ とと なっ て しま う

︒そ の結 果︑ 破 産者 には

︑破 産 手 続開 始前 に︑ 破 産手 続開 始後 に 多額 の金 銭を 取 得す るこ とに 賭 けて

︑自 身の 財 産を 宝 くじ につ ぎ込 む こと に対 する イ ン セン ティ ブが 生 じか ねな い33

ま た︑ 佐藤 説は

︹宝 くじ が︺ 仮 に当 たっ ても 少 額な ら 新得 財産 の扱 い で債 権者 も文 句 は いわ ない だろ う

﹂と して おり34

確か に少 額で あ れば この よう な モラ ル・ ハザ ー ドの 問 題は 生じ ない が

︑ 少 額の 財 産﹂ を どの よう に計 算 する のか は明 ら かで はな い︒ 当 事者 間の 交渉 に より 評価 額を 定 める の であ れば とも か く︑ 法律 で一 律 に これ を定 める こ とは 困難 であ る よう に思 われ る

︒ 思う に︑ 条件 付 債権 を評 価額 と する こと が妥 当 性を 欠く こと と なる 理由 とし て は︑ 一

〇三 条二 項一 号 ロの 典型 例と さ れ てい る将 来の 収 益分 配請 求権 な どと 比べ

︑死 亡 保険 金を はじ め とす る条 件付 債 権の 場 合︑ 条件 が成 就 すれ ば一

〇〇

︑ し なけ れば

〇と い うよ うに

︑事 後 的な 事情 に応 じ て価 格の 変動 幅 が大 きい とい う 点が あ るよ うに 思わ れ る35

⑶ 手続 終 了後 に 具体 化し た請 求 権の 追加 配当 の 可能 性 三で 述べ た佐 藤 説は

︑手 続 終了 後に 具体 化し た 請求 権︵

C a se  1

③︶ も

︑破 産 手続 中 に具 体化 した 請求 権 と同 様︑ 評 価 額の みが 破産 財 団に 帰属 する と して おり

︑三 四 条二 項の 全面 的 な適 用を 認め な い36

しか し︑ 私見 と して は︑ 手続 終 了後 に具 体化 し た保 険金 に対 し ても 三四 条二 項 の適 用 は制 限さ れず

︑ 同請 求権 全額 が 破 産財 団に 帰属 し

︑し たが って 追 加配 当も 可能 で ある と解 する

︒ その 理由 とし て

︑第 一 に︑

⑴で 述べ た 通り

︑三 四条 二 項 は固 定主 義の 例 外で はな い以 上 あえ て適 用を 制 限す る解 釈を と る必 要は ない こ と︑ 第 二に

︑有 力説 の 指摘 する

︑三 四

(法政研究 85‑1‑ )14 14 論 説

(15)

条 二項 の適 用を 制 限し なけ れば 破 産手 続が 無限 定 に続 くと いう 問 題は 追加 配当 の 可能 性 で調 整で きる こ と︑ 第三 に︑ 破 産 手続 の進 行お よ び破 産管 財人 の 善管 注意 義務

︵ 八五 条︶ との 関 係で 同項 の適 用 を制 限 しな い方 が望 ま しい 場合 があ る こ とを 挙げ るこ と がで きる

︒ 第二 の点 につ い て補 足す ると

︑ 追加 配当 によ る 調整 につ いて は

︑破 産管 財人 の 任務 の 終期 につ いて 判 断し た最 判平 成 五 年六 月二 五日 民 集四 七巻 六号 四 五五 七頁 が参 考 とな る︒ 同判 決 では

︑破 産手 続 終了 後 に発 見さ れた 残 余財 産の 処理 に つ き﹁ 破産 管財 人 にお いて

︑当 該 財産 をも って 追 加配 当の 対象 と する こと を予 定 し︑ 又 は予 定す べき 特 段の 事情 があ る と きに は︑ 破産 管 財人 の任 務は い まだ 終了 して い ない

⁝﹂ と判 断 し︑ 一定 の場 合 には 破 産手 続終 了後 に 発見 され た財 産 の 追加 配当 も肯 定 する

︒ これ を踏 まえ る と︑

C a se  1

で問 題と なる よ うな 死亡 保険 金 では

︑ 被保 険者 の死 亡 時期 を手 続終 了時 点で 管 財人 が予 測 する こと がで き れば

︑追 加配 当 も肯 定で きる よ うに 思わ れる

︒ 実務 上そ の予 測 は困 難 であ るこ とが 多 く︑ 実際 に追 加 配 当が され るこ と は少 ない かも し れな い37

しか し

︑私 見と して は

︑追 加配 当の 可 否と 三 四条 二項 適用 の 有無 は次 元を 異 に する もの であ り

︑手 続終 了後 に 具体 化し た請 求 権も 後者 のレ ベ ルで 財団 帰属 が 否定 さ れる もの では な いと 解す る38

す な わち

︑一 度財 団 に帰 属さ せた う えで

︑破 産管 財 人の 予測 等を 踏 まえ て追 加配 当 可能 性 を判 断し

︑追 加 配当 がで きな い と 判断 すれ ば放 棄 とい う扱 いに な る39

次に

︑第 三の 点 につ いて 詳述 す る︒ 佐藤 説と は 異な るが

︑三 四 条二 項は 破産 手 続終 了 後に は適 用さ れ ず︑ 手続 終了 後 に 具体 化し た請 求 権は 財団 に一 切 帰属 しな いと い う立 場に 立つ と

︑大 方の 破産 事 務が 終 了し た時 点で 同 請求 権の 具体 化 が 微妙 な場 合︑ 破 産管 財人 は難 し い判 断を 迫ら れ るこ とと なろ う

︒と いう のも

︑ 管財 人 が︑ しば らく は 請求 権が 具体 化 し ない と判 断し て 破産 手続 を終 了 させ

︑し かし そ の予 想に 反し て 破産 手続 終了 直 後に 請 求権 が具 体化 し た場 合︑ 三四 条 二 項が 破産 手続 終 了後 に適 用さ れ ない とい う前 提 に立 つ以 上︑ 請 求権 全額 が破 産 者の 手 元に わた り︑ 破 産債 権者 への 配

(16)

当 原資 とは なら な い︒ する と︑ 破 産管 財人 は手 続 を安 易に 終了 さ せた こと を理 由 に善 管 注意 義務 違反 に 問わ れか ねな い

︒ 逆 に︑ 善管 注意 義 務違 反に 問わ れ るこ とを おそ れ て破 産手 続を 終 了さ せな いと す れば

︑ 手続 がい たず ら に長 期化 しか ね な い40

そこ で︑ 前 記の よう な場 合

︑破 産手 続終 了 後に 具 体化 した 請 求権 にも 三四 条二 項の 適 用を 認め

︑ 将 来 の一 定期 間 内に 請求 権が 具 体化 した ら追 加 配当 を行 う﹂ と した うえ で早 期 に手 続を 終了 さ せる 方 が︑ 管財 人へ の 負担 の面 から も 望 まし いよ うに 思 われ る︒

⑷ 自由 財 産拡 張 制度 の意 義 三2

︑3 の通 り

︑有 力説 が三 四 条二 項の 適用 に 制限 をか ける 背 景に は︑ 現行 の 自由 財 産拡 張制 度は 破 産者 の保 護に は 不 十分 とい うこ と があ る︒ しか し

︑私 見と して は

︑現 行法 下で は

︑破 産者 の生 活 保障 は あく まで 自由 財 産拡 張制 度に よ り 図る べき であ っ て︑ 固定 主義 な いし 三四 条各 項 から 直接 生活 保 障を 図る こと は

︑固 定 主義 の意 義に つ いて の議 論が 不 十 分で ある 以上

︑ 尚早 では ない か と考 える

︒三 四 条二 項に 時的 制 限を 設け ない 場 合︑ 破 産財 団に 帰属 す る財 産は 増加 し

︑ そ の一 方で 破産 者 の手 元に 残さ れ る財 産は 少額 と なる

︒そ のた め

︑私 見と して も

︑破 産 者保 護の ため に 自由 財産 拡張 制 度 の積 極的 な活 用 が求 めら れる と 解す る︒ ただ し︑ 有力 説 の指 摘す る通 り

︑自 由財 産拡 張 制度 によ る破 産 者の 保護 には 限 界が 伴 うこ とは 否定 で きな い︒ その 理 由 とし て以 下の 点 が指 摘で きよ う

︒第 一に

︑三 3 の通 り︑ 実務 上 九九 万円 を超 え る現 金 が自 由財 産と さ れる のは

︑破 産 者 の長 期入 院の 場 合な ど極 めて 限 定的 とさ れ てい る41

第 二に

︑三 四 条 四項 は︑

破産 手 続開 始の 決定 があ った 時か ら当 該 決定 が確 定し た 日以 後一 月を 経 過す る日 まで の 間﹂ 自由 財産 の 拡張 がで きる と して い る︒ 裏を 返せ ば

︑そ れ以 後に 請 求 権が 具体 化し た 場合

︑自 由財 産 拡張 を利 用す る こと がで きな い とい うこ とも 生 じう る42

もっ と も︑ 第 二の 点に つい て は

︑こ の期 間は 不 変期 間で はな く 裁判 所の 裁量 に より 伸長 する こ とが でき ると さ れて い るた め43

一三 条

︑民 訴九 六条 一

(法政研究 85‑1‑ )16 16 論 説

(17)

︶︑ 実際 には さほ ど 大き な問 題と な らな いか もし れ ない44

いず れに せよ

︑ 以上 のう ち第 一 の点 につ いて は 同制 度の 意義45

︑第 二の 点に つ いて は 立法 論的 課題 に かか わる 問題 と い える

︒し かし

︑ 本稿 では 問題 点 の指 摘に とど め

︑詳 細な 検討 に つい ては 今後 の 課題 と した い︵ 後掲 五 も参 照︶

3 破 産 法 三 四 条 三 項 二 号 但 書 と 固 定 主 義

⑴ 問題 の 所在 2⑴ で述 べた 通 り︑ 三四 条二 項 で扱 われ る将 来 の請 求権 につ い ては

︑固 定主 義 の例 外 を構 成す るも の では ない と従 来 か ら説 明さ れて き た︒ これ に対 し

︑三 四条 三項 二 号但 書で 問題 と なる

︑破 産手 続 開始 後 に差 押可 能と な った 財産

︵以 下 で は︑

財産

﹂ を本 稿 の問 題関 心に 即 して 請求 権と す る︶ に つ いて は︑ 同 条二 項の 将 来の 請求 権と 同じ く固 定 主義 の例 外 では ない

︑と 当 然に 論じ るこ と はで きな い︒ と いう のも

︑同 項 で問 題と なる 将 来の 請 求権 は︑ 具体 化 前で あっ ても 財 産 的価 値が 認め ら れ破 産財 団に 属 して いる と説 明 され る一 方46

三 四条 三項 二号 但 書で 問 題と なる 請求 権 につ いて は︑ 差 押 可能 とな る前 か ら同 条二 項と 同 様に 抽象 的な 形 で財 団に 帰属 し てい ると され る のか

︑ それ とも

︑い っ たん 差押 禁止 財 産 であ ると して 破 産財 団に 含ま れ ない とさ れた も のが 差押 可能 と なる こと によ っ て財 団 に復 帰す るの か は定 かで はな い た めで ある

︒ 前者 のよ うに 考 えれ ば︑ 三四 条 三項 二号 但書 で 扱わ れる 請求 権 も同 条二 項で 扱 われ る 請求 権と 同じ も のと なり

︑し た が って 同但 書は 固 定主 義の 例外 を 構成 する もの で はな く︑ また 2

⑴以 下の 議論 は 三四 条 三項 二号 但書 で 扱わ れる 請求 権 に もそ のま まあ て はま るこ とと な る︒ 他方

︑後 者 のよ うに 考え る と︑ 三四 条三 項 二号 但 書で 扱わ れる 請 求権 と同 条二 項 で 扱わ れる 請求 権 とを 同列 に論 じ るこ とは 難し く なる

︒と いう の も︑ 例 え ば

C a se  2

③の よう に手 続終 了後 に 請求 権が

(18)

具 体化 した 場合

︑ 手続 終了 後に は 財団 財産 が配 当 され

︑破 産管 財 人の 任務 も終 了 して い る以 上︑ いっ た ん破 産財 団か ら 出 た財 産を 破産 手 続終 了後 に再 び 財団 に戻 すこ と はで きな い︑ と いう 議論 も成 り 立つ 可 能性 があ るた め であ る︒ さら に

︑ 後 者の よう に考 え れば

︑請 求権 具 体化 まで 財団 に 帰属 して いな か った 請求 権の 財 団加 入 を破 産手 続開 始 後に 認め ると い う こと にな るの で

︑や はり 三四 条 三項 二号 但書 は 固定 主義 の例 外 とい うこ とも で きる

︒ 結論 を先 取り す れば

︑ど ちら の 構成 を とろ うと も︑

C a se  2

① ない し③ いず れの 場 合で も同 但書 が適 用さ れ て慰 謝料 請 求権 の破 産財 団 帰属 を肯 定で き ると 考え る︒ し かし

︑法 的構 成 の違 いに 応じ て

︑財 団 に加 入す ると い う結 論を 導く た め の過 程に 差が 生 じる と考 える た め︑ あり うる 法 的構 成に つい て 次の

⑵で 項を 改 めて 検 討す る︒

⑵ 三四 条 三項 二 号但 書の 対象 と なる 請求 権の 扱 い

︵ア

︶第 一に

︑ 差押 禁止 財産 を 完全 に財 団か ら 除外 する とい う 考え があ る︒ 三 四条 三 項二 号但 書に つ いて は︑ その 対 象 とな る財 産が 法 的に どの よう に 扱わ れる かに つ いて 説明 する 文 献は 管見 の限 り 皆無 で ある

︒唯 一︑ 小 野木 常博 士が

︑ 破産 者は 自由 財産 に 付て の管 理処 分 権に 基づ き任 意 に之 に属 す る財 産を 破産 財団 に 属せ しめ て破 産の 対象 と 為し 得る も のと 謂う べく

︑ 之を 自由 財産 の 委付 と称 する

︒ 個別 執行 に於 け ると 同じ く︵

︹旧

︺ 民訴 五七

〇条 四 項︶

︑破 産執 行に 於 い ても 亦︑ 破産 者 の差 押の 承諾 あ る場 合に は差 押 を禁 止し 又は 制 限せ られ る財 産 も破 産 財団 に組 み入 れ られ るの であ る が

︵︹ 旧︺ 破六 条三 項

︑︹ 旧

︺民 訴 五七

〇条 四項

︶︑ そ の所 謂差 押の 承 諾は 茲に 謂ふ 自 由財 産の 委付 に 他な らな い47

︑す な わ ち主 体の 変更 の ない まま 破産 者 が管 理処 分権 を 放棄 する こと で ある と述 べる

︒ この 見 解を 前提 とす る と︑ 三四 条三 項 二 号但 書は

︑い っ たん 自由 財産

︑ つま り破 産財 団 外と され た差 押 禁止 財産 が事 後 的に 破 産財 団に 復帰 す ると いう 意味 で

︑ 固 定主 義の 例外 を 構成 する とい う こと にな る︒ ただ し︑ この 見 解に 対し ては

︑ 破産 者の 承諾 に より 差押 禁止 を 解除 し破 産財 団 に組 み 入れ る措 置︵ 旧 民訴 五七

〇条

(法政研究 85‑1‑ )18 18 論 説

(19)

は 昭和 五四 年の 法 改正 以降 認め ら れて いな いた め

︑前 述の 説明 は 現在 では 通用 し ない の では ない か︑ と いう 問題 点を 指 摘 する こと がで き る︒

︵イ

︶第 二に

︑ 三四 条三 項二 号 但書 で扱 われ る 請求 権も

︑差 押 えが 禁止 され て いた 段 階か ら潜 在的 に 財団 に加 入し て い たと いう 考え が あり 得る

︒こ の よう な見 解を 明 示的 に述 べる も のは 管見 の限 り 存在 し ない が︑

⑵判 決 の調 査官 解説 は こ れに 親和 的で あ るよ うに 思わ れ る︒ 同解 説48

は︑

破 産財 団 に帰 属す る財 産の 範 囲は 本来

︹ 旧︺ 破 産法 三 条︑ 六 条の 規 定に よっ て定 ま るの であ るが

︑︹ 旧

︺破 産法 二八 三 条一 項の 規 定に 基づ く追 加配 当 の対 象で ない とさ れた 財 産に つい て は︑ 破産 管財 人 に管 理処 分権 を 認め る必 要が な く︑ 破産 者の 自 由財 産と なる の であ る から

︑後 天的 に 破産 財団 から 解 放 され たこ とに な ると 見ざ るを え ない

︵傍 線筆 者

︶﹂ とさ れて おり

︑ま た 後 天的 な解 放の 根拠 と して 管財 人へ の負 担・ 法 的安 定性 を害 す る点 が挙 げら れ てい る︒ これ は

︑手 続終 了後 に 具体 化す る慰 謝 料請 求 権も 具体 化前 か ら財 団に 帰属 し て いる が︑ その 後 追加 配当 がさ れ るか 否か に応 じ て破 産財 団か ら 解放

︵一 種の 放 棄と な る︶ され るか が 決ま る︑ とい う 方 向で 考え てい る もの と解 する こ とも でき よう

︒ 差押 えが 禁止 さ れる 請求 権も 具 体化 前か ら破 産 財団 に属 して い たと いう ため の 根拠 を 条文 に求 める と すれ ば︑ やは り 三 四条 二項 であ ろ う︒ 慰謝 料請 求 権の 場合

︑差 押 えが 可能 とな る 前の 慰謝 料請 求 権も

﹁ 将来 の請 求権

﹂ に含 める こと が で きれ ば︑ これ が 破産 財団 に帰 属 して いる とい う こと がで きる

︒ 近時

︑山 本和 彦 教授 は

︑将 来の 請求 権 の定 義に つい て

﹁主 た る発 生原 因が 破 産手 続開 始前 に 存在 して いる が

︑そ の 発 生原 因の 一部 が存 在し て いな い債 権の うち

︑停 止条 件付 債 権を 除く もの

﹂ と述 べら れて い る49

この 考え を 踏ま えて

C a se  2

を もと に慰 謝料 請 求権 が﹁ 将 来の 請求 権﹂ に該 当す る か否 かに つい て 検討 する と︑ 慰 謝料 請求 権の 主 たる 発生 原因 で ある 交通 事故 自 体は 破 産手 続開 始前 に 存在 して いる

︒ 他 方︑ 差 押 えを 可能 とす るた め の具 体化 事由

︵示 談 成 立︶ が 破産 手続 開始 時 には いま だ発 生し てい な い場 合︵

C a se  2

③︶

︑具 体化 によ っ て事 後的 に差 押 えが 可能 とな る とい う 意 味で

︑ 将来 の請 求権 の 一種 と位 置付 ける こと は でき ない

(20)

︒ もっ とも

︑こ の よう な見 解は

︑ 解釈 上相 当の 無 理を 犯し てい る こと は否 定で き ない

︒ 前述 の将 来の 請 求権 の定 義は

︑ あ くま で一 定の 期 待権 のよ うに

﹁ 発生 原因 の一 部 が存 在し てい ない 債 権﹂ に かか わる もの で ある

︒ 他方

C a se  2

で 問題 と なる 慰謝 料請 求 権は

﹁発 生は し てい るが

︑差 押 えに 制限 がか か る﹂ にす ぎず

︑ 停止 条 件付 債権 や期 待 権と は異 質で あ る とも 考え られ る50

した が って

︑ 将来 の請 求権 に つい て広 い定 義 をと る山 本説 か らも

︑ 具体 化し てい な い慰 謝料 請求 権 は 将来 の請 求権 に 含ま れな いの で はな いか

︑と い う問 題点 を指 摘 する こと がで き よう

⑶ 検討 以上 のよ うに

︑ 三四 条三 項二 号 但書 の請 求権 が 法的 にど のよ う な扱 いを 受け る かに つ いて は従 来か ら の議 論が 乏し い こ とも あり

︑前 掲

︵ア

︶ イ︶ のい ず れの 方向 で考 え るに して も 疑問 が付 きま とう51

そ こで

︑ 三四 条三 項二 号 但書 で扱 わ れる 請 求権 の法 的性 質に つ い て は問 題 点 の 指 摘に と ど め︑ そ の 検 討 に つい て は 他 日を 期 し た い︒ 以 下 で は︑

ア︶ イ︶ いず れの 説を とる にし て も︑ 三 四条 三項 二号 但 書適 用に は時 的制 限 がか から ない こと

︑す なわ ち

C a se  2

①な い し

③い ずれ の場 合 でも 慰謝 料請 求 権は 破産 財団 に 帰属 する こと を 示す

︒ まず

︵イ

︶の よ うに

︑三 四条 三 項二 号但 書で 扱 われ る請 求権 を 三四 条二 項の

﹁ 将来 の 請求 権﹂ の一 種 と考 える ので あ れ ば︑ 2で 述べ た こと がそ のま ま 妥当 し︑

C a se  2

①の 場合 だ けで なく

②③ の場 合 にも 三四 条三 項二 号但 書 が適 用さ れ

︑慰 謝料 請求 権 は破 産財 団に 帰 属す る︒ 他方

︑ ア︶ のよ う に︑ 三四 条三 項 二号 但書 で扱 われ る請 求 権を

﹁ 将来 の請 求権

﹂と はせ ず︑ 同 但書 を固 定 主義 の例 外 とす る考 え方 か らは

︑特 に

C a se  2

③の よ うに 破産 手続 終 了後 に具 体化 し た請 求権 の扱 い が問 題と なる

︒ この 点︑ 確か に

︑手 続終 了後 に 具体 化し た請 求 権に つい ては 破 産管 財人 の管 理 処分 権 が及 ばな いと い う考 えが あり 得

(法政研究 85‑1‑ )20 20 論 説

(21)

︒こ の考 えに よ ると

︑管 理処 分 権の 譲渡

︵委 付

︶が 不可 能と な るた め同 但書 は 適用 さ れず

︑こ のよ う な請 求権 は破 産 財 団に は帰 属し な いこ とと なる

︒ しか し︑ 実務 上

︑破 産手 続終 了 後も 破産 管財 人 が相 応 の資 産を 容易 に 取得

・換 金し 財 団 を形 成す るこ と がで きる とき は

︑前 掲平 成五 年 判決 をふ まえ

︑ 破産 管財 人の 管 理処 分 権が 例外 的に 残 る場 合も ある と さ れて いる52

この よう な実 務 運用

︑そ して 2

⑶で 述べ た平 成 五年 判決 の法 理 を慰 謝料 請求 権 の破 産 財団 帰属 性が 問 題と なる 場合 に 用 いる と︑ 同請 求 権の 追加 配当 が 予定 され たま ま 手続 が終 了し た 場合53

同 請求 権 に対 す る破 産管 財人 の 管理 処分 権が 残 存 して いる と考 え られ る︒ その 後 同請 求権 が具 体 化し たと きは

︑ この よう に残 存 した 管 理処 分権 に基 づ き当 該請 求権 の 管 理 処 分 が破 産 管 財 人に 委 ね ら れ ると 構 成 す れば

︑仮 に 三 四条 三 項 二 号但 書 を 固 定 主義 の 例 外 と解 し た と し て も︑

C a se  2

③の よ うに 手続 終了 後 に具 体化 した 慰 謝料 請求 権に も 同但 書が 適用 され

︑破 産財 団へ の帰 属お よび 追 加配 当を 肯 定す るこ とが で きよ う︒ この よう に財 団 帰属 を肯 定す る 方が

︑2

⑶で 述 べた 三四 条二 項 の議 論と 同様

︑ 破産 管 財人 の善 管注 意 義務 の面 から も メ リッ トが ある と 解す る54

他方

︑ 三四 条三 項二 号 但書 を広 く適 用 する 結果

︑破 産 者の 手 元に 残さ れる 財 産が 僅少 とな り

︑ ひ いて は破 産者 の 生活 を脅 かす と いう 問題 もあ ろ うが

︑財 団の 範 囲と 破産 者の 生 活と の 調整 につ いて は 自由 財産 拡張 制 度 にゆ だね るべ き であ ると いう こ とも

︑2

⑷で 論 じた 通り であ る

︒ なお

︑⑵ 判決 も

︑前 掲︵ ア︶

イ︶ いず れの 方向 で 考え る か は明 らか では ない もの の︑ 追加 配当 につ いて 規 定す る旧 二 八三 条一 項を 引 用し てい るこ と から

︑手 続終 了 後に 具体 化す る 慰謝 料請 求権 に つい て も原 則と して 三 四条 三項 二号 但 書 が適 用さ れて 破 産財 団に 帰属 す るが

︑破 産管 財 人の 負担 とな る 場合 には 追加 配 当の 対 象に なら ない と 解釈 する こと も で きる55

(22)

五 お わ り に

1 小 括

以上

︑三 四条 二 項・ 三項 二号 但 書の 条文 に即 し て︑ これ らの 規 定と 固定 主義 の 関係

︑ 時的 制限 の有 無

︑そ して 各種 保 険 金請 求権 の破 産 財団 帰属 性に つ いて 検討 を行 っ た︒ 以上 の検 討を ま とめ ると 次の 通 りに なる

︒ま ず

︑三 四条 二項 適 用の 時的 範囲 を 解釈 に より 制限 する 必 要は ない と考 え る

︒破 産手 続が 無 制限 に続 くと い う問 題に 対し て は︑ 同項 の適 用 を制 限す るの で はな く

︑追 加配 当の 可 否︵ 平成 五年 判 決 を参 照し て︑ 請 求権 具体 化に 対 する 破産 管財 人 の予 測等 に従 う

︶と いう レベ ル で対 応 すべ きで ある

︒ また

︑同 項の 適 用 を制 限し ない 反 面︑ 破産 者の 生 活保 障の ため に は積 極的 に自 由 財産 拡張 が用 い られ る べき であ るが

︑ 現行 法下 で同 制 度 が実 際に どこ ま で破 産者 の保 護 に資 する かに つ いて はな おも 未 解明 の点 が多 い と考 え る︒ 三四 条三 項二 号 但書 につ いて も

︑そ の法 律構 成 につ いて は未 解 明で ある もの の

︑ど の よう に構 成す る かに かか わら ず 同 但書 の適 用に 時 的制 限は なく

︑ 破産 手続 中な い し手 続終 了後 に 具体 化し た慰 謝 料請 求 権に 対し ても 同 但書 が適 用さ れ

︑ 破 産財 団へ の帰 属 が肯 定さ れる

︒ ただ し︑ 実際 に 追加 配当 の対 象 にな るか につ い ては

︑ やは り別 途検 討 が必 要に なる で あ ろう

︒ 以上 を

C a se  1 , 2

にあ ては め ると

C a se  1

で は①

②の 場合 だ けで なく

︑③ の 場合 で も︑ 三 四条 二項 適用 に より 死亡 保 険金 全額 の破 産 財団 帰属 が認 め られ る︒ もっ と も︑

③の 場合 に 実際 に追 加配 当 され る かは

︑請 求権 が 具体 化す る時 期

︑ す なわ ち被 保険 者 の死 亡が 管財 人 にと って 予測 可 能か

︑追 加配 当 が管 財人 にと っ て過 度 の負 担に なる か によ り左 右さ れ る

︑と いう 結論 に なる

C a se  2

でも 同 様に

①の 場合 だけ で なく

②③ の場 合に も 慰謝 料請 求権 は破 産財 団 に帰 属す

(法政研究 85‑1‑ )22 22 論 説

(23)

る が︑

③の 場合 に 実際 に追 加配 当 がさ れる かは

︑ 示談 成立 など 請 求権 具体 化に 対 する 破 産管 財人 の予 測 に従 うこ とと な る

2 今 後 の 課 題

本稿

では

︑三 四 条二 項・ 三項 二 号但 書の 条文 に でき る限 り則 し つつ 各種 保険 金 請求 権 の破 産財 団帰 属 性に つい て検 討 し た︒ しか し︑ 今 回は 各種 保険 金 請求 権の 扱い に 焦点 を絞 って お り︑ その 他三 四 条各 項 の適 用が 問題 と なり 得る 請求 権

︵伊 藤 教授 ない し佐 藤 教授 の論 文で 取 り上 げら れて い る後 遺 障 害保 険金 請求 権含 む︶ につ いて は十 分に 検討 す るこ とが で きて いな い︒ こ れに つい ては 他 日を 期す こと と した い56

そし て︑ より 一 般的 に︑ 固定 主 義の 現代 的意 義 につ いて 検討 し

︑破 産者 の生 活 再生

・ 経済 再生 をど の よう にし て図 る べ きか につ いて

︑ 筆者 なり の価 値 判断 を構 築す る 必要 があ る︒ こ れは

︑具 体的 に は次 の 二点 を検 討す る こと で今 後実 現 し たい

︒ 第一 に︑ 本稿 で は︑ あく まで 三 四条 二項

・三 項 二号 但書 の各 論 的解 釈に とど ま った が

︑そ もそ も固 定 主義 が現 行法 の 下 でど のよ うな 役 割を 果た すの か につ いて

︑今 後 より 踏み 込ん で 研究 する 必要 が ある

︒ 三2 の伊 藤説 の よう に︑ 固定 主 義 に破 産者 の生 活 保障 とい う役 割 も担 わせ ると い う考 えは

︑現 在 でも 通用 する か もし れ ない

︒し かし

︑ 伊藤 説が 引用 し

︑ そ の他 現在 でも 固 定主 義の 意義 に つい て説 明す る 際に 多く の文 献 が引 用す る加 藤 説︵ 前 掲注

28︶ 参照

︶ は一

〇〇 年前 の 記 載で ある

︒古 い から 誤り であ る とい うわ けで は ない こと は当 然 であ るが

︑こ の 一〇

〇 年の 間︑ 破産 法 改正 によ り免 責 制 度や 自由 財産 拡 張制 度が 導入 さ れた こと は︑ 固 定主 義の 意義 を 解釈 する 上で 見 過ご す こと はで きな い ので はな いか

︒ ま た︑ 現在 議論 が 進め られ てい る 民事 執行 法の 改 正で は差 押禁 止 債権 を拡 大す る 方向 で 議論 が進 めら れ てお り57

その 影

参照

関連したドキュメント

  第二項  性別死産牽

七圭四㍗四四七・犬 八・三 ︒        O        O        O 八〇七〇凸八四 九六︒︒﹇二六〇〇δ80叫〇六〇〇

チ   モ   一   ル 三並 三六・七% 一〇丹ゑヅ蹄合殉一︑=一九一︑三二四入五・二%三五 パ ラ ジ ト 一  〃

[r]

2 学校法人は、前項の書類及び第三十七条第三項第三号の監査報告書(第六十六条第四号において「財

[r]

条第三項第二号の改正規定中 「

(5) 帳簿の記載と保存 (法第 12 条の 2 第 14 項、法第 7 条第 15 項、同第 16