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行列のスペクトル分解

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Academic year: 2021

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(1)

行列のスペクトル分解

ここで扱う行列はエルミート

(自己共役)

行列である.

A = A

M

n

(C)

とする. このとき

A

の固有値は実数であり

λ

1

λ

2

. . . λ

n

と並べ各固有値に対し

Ax

i

= λ

i

x

i

(i = 1, 2, . . . , n)

となる

x

i

(6= 0) C

n がとれる. エルミート行列の異なる固有値の固有ベクトルは直 交するので

(x

i

| x

j

) = x

j

x

i

= δ

ij

となるように選ぶことができる.

これを行列の形で表すと

A ³

x

1

x

2

· · · x

n

´

= ³

x

1

x

2

· · · x

n

´

 

 

λ

1

0 · · · 0 0 λ

2

· · · 0 ... ... ... ...

0 0 · · · λ

n

 

 

{x

i

}

の選び方から

³

x

1

x

2

· · · x

n

´

はユニタリ行列であるから

A =

³

x

1

x

2

· · · x

n

´

 

 

λ

1

0 · · · 0 0 λ

2

· · · 0 ... ... ... ...

0 0 · · · λ

n

 

 

 

  x

1

x

2

...

x

n

 

 

= λ

1

x

1

x

1

+ λ

2

x

2

x

2

+ · · · + λ

n

x

n

x

n

となる. ここで

P

i

= x

i

x

i

M

n

(C) (i = 1, 2, . . . , n)

とおくと

A = λ

1

P

1

+ λ

2

P

2

+ · · · + λ

n

P

n

(2)

となり

P

i2

= x

i

x

i

x

i

x

i

= P

i

P

i

= (x

i

x

i

)

= x

i

x

i

= P

i

P

i

P

j

= x

i

x

i

x

j

x

j

= 0 (i 6= j)

を満たす. これを行列

A

のスペクトル分解という. スペクトル分解が得られれば

A

n

= λ

m1

P

1

+ λ

m2

P

2

+ · · · + λ

mn

P

n

m

乗を求めることなどができる.

1(1)

固有値

−1

の固有ベクトル

  1 1 0

  ,

固有値

2

の固有ベクトル

  1

−1 1

  ,

固有値

3

の固有ベクトル

  1

−1

−2

 

であるエルミート行列

A

は以下のようになる.

A = −1

 

1 12

2

0

 

³

1 2

1

2

0

´ + 2

 

1

−13

3

1 3

 

³

1 3

−1√ 3

1 3

´

+ 3

 

1

−16

6

√−2 6

 

³

1 6

−1√ 6

√−2 6

´

= −1

 

1

2 1

2

0

1

2 1

2

0

0 0 0

  + 2

 

1

3 −1

3 1

−1 3

3 1

3 −1

1 3 3

−1 3

1 3

  + 3

 

1

6 −1

6 −1

−1 3

6 1

6 1

−1 3 3

1 3

2 3

 

=

 

2 3

−5 3

−1

−5 3

3 2

3 1

−1 3

3 1

3 8

3

 

(2)

固有値

−2

の固有ベクトルが

  1 2 3

  ,

  3 2 1

  ,

固有値

3

の固有ベクトルが

  1

−2 1

 

(3)

であるエルミート行列

A

は以下のようになる.

  1 2 3

 ,

  3 2 1

 

が生成する線形空間から2つの直交ベクトルを選ぶ. 例えば

  1 1 1

 ,

  1 0

−1

 

など, シュミットの直交化法を用いるのも一つの方法である.

A = −2

 

1 13

3

1 3

 

³

1 3

1 3

1 3

´

2

 

1 2

0

−1√ 2

 

³

1

2

0

−12

´

+ 3

 

1

−26

6

1 6

 

³

1 6

−2√ 6

1 6

´

= −2

 

5

6 1

3 −1 1 6

3 1 3

1

−1 3

6 1

3 5

6

  + 3

 

1

6 −1

3 1

−1 6 3

4 3

−5 1 3

6 −1

3 1

6

 

=

 

−7

6 −5

3 5

−5 6

3 4

3 −5

5 3 6

−5 3

−7 6

 

行列が無限次元になると固有値がスペクトルというより広い概念に変わり, スペク トルは無限集合になることもある. 行列は射影の一次結合で表されたが, 無限次元で は無限和

=

積分として表されることになる. その準備として行列の場合にも積分形 の表示がどうなるかを見ておくことにする.

まづ行列の順序を導入する.

A 0 A

は半正値行列

A = A

, A

の固有値は

0

以上

⇔ ∀x C

n

, (Ax | x) 0

2つのエルミート行列

A, B

に対して

B A 0

のとき

A B

と表す. これが順序

(4)

関係であることは

A = B ⇔ ∀x, y C

n

, (Ax | y) = (Bx | y)

⇔ ∀x C

n

, (Ax | x) = (Bx | x)

よりわかる. 直交射影

P, Q

については

P Q P Q = P = QP

Q P

は直交射影 となる.

直交射影の族

{E

λ

}

λ∈R が以下の条件を満たすときスペクトル族という.

(1) E

−∞

= 0, E

+∞

= 1 (2) λ µ E

λ

E

µ

(3) ∀x C

n

, lim

λ→µ−0

E

λ

x = E

µ

x

例えば例

1(1)

の行列のスペクトル分解をもとに

A = −1

 

1

2 1

2

0

1

2 1

2

0

0 0 0

  + 2

 

1

3 −1

3 1

−1 3

3 1

3 −1

1 3

3 −1

3 1

3

  + 3

 

1

6 −1

6 −1

−1 3

6 1

6 1

−1 3

3 1

3 2

3

 

= −1P

−1

+ 2P

2

+ 3P

3

次のようなスペクトル族を構成することができる.

E

λ

=

 

 

 

 

 

 

0 λ ≤ −1

P

−1

−1 < λ 2

P

−1

+ P

2

2 < λ 3 P

−1

+ P

2

+ P

3

= 1 λ > 3

このスペクトル族を用いて

Stieltjes

積分を考えてみる. つまり

∀x C

n

,

Z

−∞

λdE

λ

x

(5)

今の場合だとスペクトル族

{E

λ

}

λ ≤ −1, λ > 3

で変化がないので, 上の積分は

t

0

≤ −1, t

n

> 3

である分割

t

0

< t

1

< t

2

< · · · < t

n に対し,和

t

1

(E

t1

E

t0

)x + t

2

(E

t2

E

t1

)x + · · · + t

n

(E

tn

E

tn−1

)x

の分割の幅を

0

に近づけた極限で定義される.

t

i

< t

i+1

−1, 2, 3

を挟んでいない ときは

E

ti+1

E

ti

= 0

となり,分割の幅がどんどん狭くなることから

Z

−∞

λdE

λ

x = −1P

−1

x + 2P

2

x + 3P

3

x = Ax

となる. このスペクトル族を用いた

Stieltjes

積分はスペクトル分解になっていること がわかる. 無限次元の作用素のときには, スペクトル分解としてスペクトル族を用い た

Stieltjes

積分で表すことを考えることになる.

練習問題例

1(2)

をもとにスペクトル族

{F

λ

}

を構成し

A =

Z

−∞

λdF

λ とできることを確かめよ.

参照

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