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思春期の子どもにとっての動物の意味と役割 The meaning and roles of companion animal for Adolescent children.

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Academic year: 2021

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『就実大学大学院教育学研究科紀要 2019(第4号)』 抜刷 就実大学大学院教育学研究科 2019年3月10日 発行

樋 口 真 生

思春期の子どもにとっての動物の意味と役割

The meaning and roles of companion animal for Adolescent children.

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思春期の子どもにとっての動物の意味と役割

教育臨床心理学コース 3617005 樋口真生

1.問題と目的

思春期は第二の分離−個体化過程であり、養育者という愛着対象から、一次的に情緒的 な撤収を行う時期である(Blos 1985)。しかし、この撤収が上手くいかない場合、青年は 家族以外の愛情対象を見つけにくくなる等の問題に直面することがある(生田,2006)。そ のような不安と強い孤独にさらされる時期であっても、一部の青年たちは動物が相手であ れば心を通わせることが出来ることが指摘されている(中島・菅原,2006)。本研究では、

不適応傾向を示す思春期の子どもが動物との愛着関係を築くことにより、対人関係の様式 にも何らかの変化が生じるのではないかという仮説のもと、青年にとっての動物の意味と 果たす機能ついて、語りの分析と検討を行う。

2.方法

面接調査の協力者を得るために、事前アンケート実施者214名の中から研究の趣旨に賛 同し、かつ以下の条件を満たす者(①10~18歳の期間にペットを飼育していた ②ペット に対し親しみをもって接している ③ペットも親しみを持っていると回答者が認知してい る ④思春期にペットに支えられた、慰められたと感じた事がある)を選定してメールで 協力を依頼した。その結果、10名の研究協力者を得られた。

インタビューは同意を得てICレコーダーに録音し、音声データから匿名化されたテクス トデータを作成して分析の基礎資料とした。さらにテクストデータをExcelに書き込み、

Ⅰペットとの関わりに対して研究協力者が感じていた意味、Ⅱペットが思春期の研究協力 者に対して果たした機能の2つの視点を軸にして、研究協力者が語った内容の主題につい て検討し、分類作業を行った。

3.結果:10事例の概要

インタビューに応じた10名の研究協力者から語られた思春期におけるペットとの関わり の内容と対人関係面での困難を事例としてまとめた。以下の表(表1)では4名の経験し た概要を示す。事例記載に当たっては倫理面からの配慮を行った。

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表1 青年とペットとの交流経験の概要(抜粋)

事例A 親しかった友人に突然無視されるようになって荒れていた時期、兄弟のように 暮らしてきた飼い犬の「心の広さ」に救われていたと感じる。「飼い主は犬に似 る」と話し、自身も「心を広く」しようと考えるようになった。

事例B 養育者への反発心や友人への気遣いからの疲弊を飼い犬に受け止めてもらい、

「なんでこんなことで泣いてたんだろ」というように内省を行うことができる ようになっていった。

事例C 母と良好な関係が持てず、「期待通りにならない反応が返ってくると傷つく」と 頼りにできる友人も持たなかったため、重要な「逃げ場」として「飼い猫に支 えて貰った」。その後は親しい一部の他者にも頼れるようになったと話す。

事例D

気持ちを人に伝えることが苦手で「頭の堅い」ところがあったが、思春期には 猫を噛み殺す癖があるほど「自由」な飼い犬を散歩に連れて行っていた。「自 由」さに困惑する一方で「羨ましい」と感じていた。最近になって自身の「まぁ いいか」を許せるようになった。

4.総合考察

(1)動物の意味:ペットとの関わりを通して、「自分の気持ちを察してくれている」、「状 況に巻き込まない様子を見て安心できる」、「対人交流では憚られる対応が動物では許さ れる」、「抵抗感なくスキンシップができる」、「同胞のような心強さを感じる」、「振り回 されても傷つきが浅い」といった意味を青年は抱いていたと考えられる。

(2)動物の機能:ペットの機能として「成長モデル機能:取り入れ・同一化を行う対象」、

「代替的な交流機能:移行対象として感情と体感を伴った交流」、「被受容機能:無条件 に葛藤を受け止められる器」という3機能が見出された。これらの意味や機能は、養育 者との関係(愛着関係)の持ち方が間接的に影響している可能性も示唆された。

引用文献

Blos, P. (1990).「息子と父親:エディプス・コンプレックス論をこえて」.誠信書房.

生田憲正(2006).「対象の内在化過程から見た思春期の精神発達―第二の個体か過程論と アタッチメント(愛着)研究からの知見」.母子保健情報.(54),59-63.

村瀬嘉代子(1987).「心理療法と自然:その2.心理療法過程に登場する動物の治療的意 味」.大正大学カウンセリング研究所紀要.(10),38-63.

中島真理,菅原正和(2006).「中学校におけるA.A.Eの理論と実践(1)」.岩手大学教育学 部附属教育実践総合センター研究紀要.(6),217-229.

参照

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