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災害時における下水の排除・処理に関する考え方(案)

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災害時における下水の

排除・処理に関する考え方(案)

平成 24 年 9 月

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目 次 はじめに 1. 総論 ... 1 1.1 目的 ... 1 1.2 主たる対象範囲 ... 2 1.3 構成 ... 4 2. 被災直後の対応 ... 5 2.1 総論 ... 5 2.2 被災状況の把握 ... 6 2.3 緊急措置の実施 ... 8 2.3.1 公衆衛生の確保について ... 8 2.3.2 緊急措置について ... 8 2.3.3 東日本大震災における緊急措置の対応状況 ... 9 2.3.4 宮城県等における対応状況... 10 2.3.5 周辺住民への広報について... 14 3. 応急復旧の実施 ... 15 3.1 総論 ... 15 3.2 応急復旧の処理方式の選定 ... 15 3.2.1 選定の考え方 ... 15 3.2.2 適用性の検討 ... 20 3.2.3 目標達成時期への対応の検討 ... 20 3.2.4 モニタリング ... 23 3.3 応急復旧に適用可能な下水処理方式の例 ... 24 3.3.1 沈殿法 ... 24 3.3.2 凝集沈殿法 ... 30 3.3.3 簡易曝気(簡単な生物処理) ... 33 3.3.4 生物処理 ... 35 3.4 消毒 ... 43 3.4.1 塩素消毒 ... 43 3.4.2 UV(紫外線)消毒 ... 52 3.4.3 オゾン消毒 ... 53 3.4.4 膜ろ過技術 ... 54 3.5 汚泥処理 ... 55 3.5.2 搬出先の確保 ... 56 3.5.3 汚泥処理装置 ... 56 3.5.4 汚泥の一時貯留 ... 57 3.6 今後の技術開発について ... 58 参考資料

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はじめに

平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災により、東日本の、120 箇所の下水処理 場 が 被 害 を 受 け 、 特 に 岩 手 、 宮 城 、 福 島 各 県 沿 岸 域 に 位 置 す る 多 く の 下 水 処 理 場 、 ポ ン プ 場 に お い て は 、 地 震 に 加 え 、 津 波 に よ り 処 理 機 能 の 全 部 を 失 う ほ ど の 壊 滅 的 な 被 害を受けた。 ま た 、 東 日 本 大 震 災 に よ る 甚 大 な 被 害 を 受 け た 地 域 以 外 に お い て も 、 首 都 直 下 型 地 震 や 、 東 海 ・ 東 南 海 ・ 南 海 の 三 連 動 地 震 等 に よ る 大 規 模 地 震 ・ 津 波 災 害 発 生 の 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る ほ か 、 近 年 多 発 す る 豪 雨 災 害 等 、 い つ ど こ で 大 規 模 な 下 水 処 理 施 設 等 の 被 害 が 発 生 し て も お か し く な い 状 況 に あ る こ と か ら 、 こ れ ら の 大 規 模 災 害 に 伴 い 下水の排除及び処理機能を喪失した場合に備える必要性が高まっている。 災 害 時 の 下 水 の 排 除 及 び 処 理 に つ い て は 、 東 日 本 大 震 災 を 受 け 設 置 さ れ た 「 下 水 道 地 震 ・ 津 波 対 策 技 術 検 討 委 員 会 」 の 報 告 に お い て 、 緊 急 措 置 及 び 段 階 的 復 旧 の 考 え 方 が 示 さ れ て お り 、 こ れ に 基 づ い て 被 災 自 治 体 に お い て は 、 段 階 的 な 応 急 復 旧 を 実 施 し ているところである。 東 日 本 大 震 災 に お け る 対 応 結 果 の 知 見 を 蓄 積 す る た め 、 国 土 交 通 省 下 水 道 部 と 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 下 水 道 研 究 部 で は 、 応 急 復 旧 段 階 に あ る 下 水 処 理 場 の 処 理 機 能 と 放 流 先 水 域 へ の 影 響 に つ い て 実 態 を 把 握 し て 、 災 害 時 に お け る 下 水 の 適 切 な 管 理 を 検 討するための調査を、平成 24 年 1 月~3 月に実施した。 そ の 結 果 明 ら か に さ れ た 知 見 並 び に 被 災 自 治 体 の 下 水 道 に お け る 緊 急 措 置 及 び 応 急 復旧の対応事例の検討による知見等に基づき、「災害時の復旧段階における下水処理の 適正な管理に関する検討会」(委員長:大村達夫東北大学教授)で議論いただいた結果 も 踏 ま え 、「 災 害 時 に お け る 下 水 の 排 除 ・ 処 理 に 関 す る 考 え 方 ( 案 )」 を 作 成 し 、 次 の 災害に備えるとともに、災害時の対応において活用されることを期するものである。

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1. 総論

1.1 目的

本 書 は 、 災 害 時 に お い て 必 要 と さ れ る 下 水 の 排 除 及 び 処 理 機 能 を 、 現 場 の 状 況 に 応 じ て、緊急措置として確保するとともに、段階的な応急復旧として向上させるための考え方 を示すことを目的とする。 【解説】 下 水 道 は 、 公 衆 衛 生 の 確 保 、 公 共 用 水 域 の 水 質 保 全 な ど 市 民 生 活 に と っ て 重 要 な ラ イ フ ラ イ ン の 一 つ で あ り 、 災 害 時 に は 一 日 も 早 い 機 能 回 復 が 求 め ら れ る 。 被 災 し な い 構 造 等 と す る こ と が 理 想 で は あ る が 、 発 生 確 率 が 低 い 大 規 模 災 害 ま で 完 全 に 対 応 可 能 な施設とすることは予測可能性や費用効果の観点で難しい。 従 っ て 最 低 限 守 る べ き 機 能 は 確 保 し た 上 で 、 そ れ 以 外 の 機 能 に つ い て は 、 重 要 度 ・ 優 先 度 に 応 じ て 、 迅 速 な 復 旧 等 を 図 り う る よ う に す る 必 要 が あ る 。 特 に 、 東 日 本 大 震 災 の よ う に 、 処 理 機 能 を 全 て 失 う ほ ど の 甚 大 な 被 害 を 受 け た 場 合 は 、 本 復 旧 が 完 了 す るまでに相当程度の時間を要することが予想され、「緊急措置」に続く「応急復旧」段 階 に お い て 、 処 理 レ ベ ル を 段 階 的 に 向 上 せ ざ る を 得 な い 状 況 が 生 じ る と 予 想 さ れ る 。 そ の た め 、 被 災 に よ る 制 約 条 件 の 下 に あ っ て も 、 可 能 な 限 り 迅 速 に 必 要 な 処 理 機 能 向 上 を 図 る こ と が で き る 手 法 を 選 択 し 、 か つ 適 正 な 管 理 を 行 う こ と で 、 放 流 先 水 域 へ の 影響を最小化することが望まれる。 本 書 は 、 大 規 模 災 害 に よ り 下 水 の 排 除 及 び 処 理 機 能 に 被 害 を 受 け た 下 水 道 管 理 者 が 、 そ の 機 能 を 緊 急 措 置 と し て 確 保 す る た め の 手 法 並 び に 応 急 復 旧 と し て ( 必 要 に 応 じ て 段 階 的 に ) 向 上 さ せ る 場 合 の 下 水 処 理 方 式 及 び 維 持 管 理 方 法 を 検 討 し て 取 り 組 む 際 に 、 参考として活用されることを目的とするものである。

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平常 時の 準備

1.2 主たる対象範囲

本 書 は 、 災 害 に よ り 深 刻 な 被 害 を 受 け 、 下 水 の 緊 急 放 流 や 下 水 処 理 機 能 の (段 階 的 ) 復 旧 を 必 要 と す る 下 水 道 施 設 を 対 象 と し 、 そ の 緊 急 措 置 段 階 か ら 本 復 旧 に 至 る 応 急 復 旧 段 階 の 期 間 を 対 象 と す る 。 な お 、 被 災 後 の 迅 速 な 機 能 確 保 を 図 る た め 平 時 に 備 え て おくべき事項についても参考記述している。 【解説】 (1) 対象施設 本 書 は 、 大 規 模 災 害 に よ り 下 水 の 排 除 又 は 処 理 機 能 の 一 部 又 は 全 部 を 喪 失 し た 下 水 道施設を対象とする。 (2) 対象期間 本 書 は 、 大 規 模 災 害 に よ り 下 水 の 排 除 又 は 処 理 機 能 の 一 部 又 は 全 部 を 喪 失 し て か ら 、 再 度 災 害 を 防 止 す る こ と も 念 頭 に 置 い た 本 復 旧 に 至 る ま で の 復 旧 段 階 ・ 期 間 を 対 象 と す る 。「 緊 急 措 置 」 段 階 は 、 二 次 災 害 の 防 止 や 重 大 な 機 能 障 害 に 対 応 す る 期 間 で あ り、 「 応 急 復 旧 」 段 階 は 、 段 階 的 に 処 理 機 能 を 回 復 す る こ と で 、 放 流 水 質 レ ベ ル を 向 上 さ せ、放流先水域への影響を軽減していく期間である。図 1.1 には、下水道 BCP 策定マ ニュアル~第 2 版~(地震・津波編)に示される対象期間のうち、本書が対象とする 段階・期間を示す。 図 1.1 下水道 BCP マニュアルの対象期間および本書の対象期間 ( 下 水 道BCP 策定マニュアル~第 2 版~(地震・津波編)の「図 1-7 下水道 BCP の対象期間」を一部改変) 本書の 対 象 期 間

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本 書 は 、 上 述 の 施 設 ・ 期 間 を 対 象 と し て い る が 、 主 に 東 日 本 大 震 災 に よ り 被 災 し た 沿 岸 域 に 位 置 す る 下 水 処 理 場 に お い て 実 施 さ れ た 応 急 復 旧 事 例 等 限 ら れ た 知 見 に 基 づ い て い る た め 、 被 災 施 設 の 立 地 条 件 の 違 い 、 検 討 さ れ る 水 処 理 方 式 ・ 消 毒 方 式 に よ っ て 、 援 用 が 困 難 に な る こ と が 考 え ら れ る 。 本 書 は 新 た な 知 見 の 集 積 や 今 後 開 発 さ れ る 新たな技術等によって随時改定されるべきものである。 今 回 の 東 日 本 大 震 災 で 実 際 に 適 用 さ れ た 処 理 技 術 等 と 、 今 回 は 適 用 さ れ な か っ た も のの将来適用されうると考える技術等を表 1.1 に整理して示した。 表 1.1 今回の震災で実施した技術等、および今回は実施しなかったが今後検討すべき技術等 項目 検討対象技術等 今後の知見が必要な技術等 放流先 沿岸域、河川(高希釈) 河川(低希釈)、湖沼 下水処理方法 沈 澱 、 凝 集 、 ( 簡 易 ) 曝 気 、 接 触 酸 化 、 活 性 汚 泥 処 理 膜、急速ろ過、栄養塩類除去 消毒方法 塩 素 消 毒 ( 固 形 塩 素 、 次 亜 塩素酸ナトリウム) オゾン、UV等 汚泥処理方法 脱水 濃縮、消化、焼却・溶融 水質項目 BOD、COD、SS、大腸菌群数 栄 養 塩 類 、 大 腸 菌 、 原 虫 、 ウ イ ルス

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1.3 構成

本 書 は 、 総 論 、 被 災 直 後 の 対 応 、 応 急 復 旧 の 実 施 、 及 び 参 考 事 例 の 各 章 で 構 成 さ れ る 。 【解説】 本 書 は 本 章 ( 第 1 章 ) で 目 的 と 適 用 範 囲 を 明 ら か に し た 上 で 、 第 2 章 以 下 で 緊 急 措 置及び復旧段階の適切な下水処理のための取組手法と事例を示している。 第 2 章 で は 、 被 災 直 後 に お い て 行 う べ き 迅 速 な 被 災 状 況 の 把 握 及 び 緊 急 措 置 に つ い て 示 す 。 た だ し 、 迅 速 な 被 災 状 況 の 把 握 は 、 緊 急 措 置 の 必 要 性 を 把 握 す る と と も に 、 本 復 旧 に 向 け た 対 策 を 検 討 す る た め に 必 須 で あ る が 、 そ の 考 え 方 は 現 行 指 針 等 に 十 分 に整理されているため、ここでは骨子の紹介にとどめた。 被 災 し た 下 水 道 施 設 に お け る 緊 急 措 置 の 考 え 方 に つ い て は 、 今 回 の 震 災 に お け る 対 応として「下水道地震・津波対策技術検討委員会(以下、地震津波委員会という)」に よ る 報 告 書 や 提 言 に お い て 基 本 的 な 考 え 方 が 示 さ れ て い る こ と か ら 、 そ の 骨 子 を 整 理 して示すとともに、今回の震災における緊急措置の取り組み事例を整理して示す。 第 3 章では、下水道施設の本復旧までの間に暫定的に行う応急復旧について扱う。 被 災 直 後 の 緊 急 措 置 に 続 い て 行 う 応 急 復 旧 へ の 取 り 組 み に お い て は 、 で き る だ け 早 く 通 常 の 下 水 処 理 に 復 旧 す る こ と を 目 指 す の は 当 然 で あ る が 、 被 災 状 況 及 び 利 用 可 能 な 資 機 材 ・ 人 員 等 の 制 約 に よ り 本 復 旧 ま で に 相 当 の 期 間 を 要 す る た め に 、 当 面 の 間 は 暫 定 的 な 下 水 処 理 を 、 必 要 に 応 じ て 段 階 的 に 向 上 さ せ な が ら 行 わ ざ る を 得 な い 場 合 も 想 定 さ れ る 。 こ う し た 場 合 に お け る 応 急 復 旧 の 考 え 方 に つ い て も 、 地 震 津 波 委 員 会 に よ る 報 告 書 や 提 言 に お い て 基 本 的 な 考 え 方 が 示 さ れ て い る 。 本 書 で は 、 こ の 基 本 的 な 考 え 方 を 踏 ま え つ つ 、 今 回 の 震 災 に お け る 応 急 復 旧 の 取 り 組 み 事 例 で 実 際 に 用 い ら れ た 対 策 の 手 法 及 び 効 果 を 整 理 す る と と も に 、 国 交 省 に よ る 下 水 処 理 場 及 び 放 流 先 水 域 に 関 す る 調 査 結 果 等 に も 基 づ い て 、 応 急 復 旧 に お い て 採 用 が 検 討 さ れ る 処 理 方 法 に つ い て、その設計・維持管理の考え方を具体的に示す。 ま た 、 平 常 時 に お い て 備 え る べ き こ と 、 今 回 は 採 用 事 例 が な か っ た も の の 期 待 で き る技術や今後期待される技術開発等についても可能な範囲で触れた。図 1.2 に本書の 構成を示す。 図 1.2 本書の構成 総論(1章) 被災直後の対応(2章) 応急復旧の実施(3章)

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2. 被災直後の対応

2.1 総論

被 災 直 後 に お い て は 、 下 水 道 施 設 の 被 災 状 況 を 速 や か に 把 握 し た 上 で 、 緊 急 措 置 を 行う。 【解説】 被 災 直 後 に お い て 行 う べ き 迅 速 な 下 水 道 施 設 の 被 災 状 況 の 把 握 及 び 緊 急 措 置 に つ い て 示 す 。 迅 速 な 被 災 状 況 の 把 握 は 、 緊 急 措 置 の 必 要 性 を 把 握 す る と と も に 、 応 急 復 旧 及 び 本 復 旧 に 向 け た 対 策 を 検 討 す る た め に 必 須 で あ る が 、 そ の 考 え 方 は 現 行 指 針 等 に 十分に整理されているため、ここでは骨子の紹介にとどめた。 被 災 し た 下 水 道 施 設 に お け る 緊 急 措 置 の 考 え 方 に つ い て は 、 今 回 の 震 災 に お け る 対 応 と し て 「 地 震 津 波 委 員 会 」 に よ る 報 告 書 や 提 言 に お い て 基 本 的 な 考 え 方 が 示 さ れ て い る こ と か ら 、 そ の 骨 子 を 整 理 し て 示 す と と も に 、 今 回 の 震 災 に お け る 緊 急 措 置 の 取 り組み事例を整理して示す。

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2.2 被災状況の把握

津 波 や 余 震 等 に よ る 被 災 の 防 止 に 注 意 し つ つ 、 下 水 排 除 施 設 ( ポ ン プ 場 等 ) お よ び 下 水 道 施 設 の 被 災 状 況 全 般 を 確 認 し 、 緊 急 措 置 を 行 う 上 で 制 約 と な る 事 項 に つ い て 整 理を行う。 な お 、 必 要 な 資 機 材 の 調 達 ル ー ト や 、 設 備 の 応 急 復 旧 に か か る 時 間 等 に つ い て は 、 事前に調査しておくことが望ましい。 【解説】 大 き な 災 害 の 場 合 、 下 水 排 除 機 能 が 働 か な く な る こ と も あ り 得 る 。 特 に ポ ン プ 場 や 主 幹 を 中 心 と し て 被 害 の 状 況 を 把 握 す る 。 下 水 量 は 災 害 直 後 は 断 水 に よ っ て 少 な い こ と が 多 い が 、 水 道 の 開 通 と と も に 増 加 す る 。 水 道 の 復 旧 見 通 し に つ い て の 情 報 も 収 集 すべきである。 深 刻 な 被 害 を 受 け た 下 水 道 施 設 で は 当 面 の 間 は 緊 急 措 置 と し て 下 水 の 排 除 及 び 消 毒 を 実 施 す る こ と と な る 。 こ の た め に 必 要 な 場 内 の 緊 急 整 備 や 仮 設 資 材 の 手 配 等 を 行 う た め 、 処 理 場 内 は 基 よ り 放 流 先 等 周 辺 の 状 態 、 処 理 場 へ の 交 通 状 況 、 ラ イ フ ラ イ ン の 状 況 、 職 員 や 従 業 員 の 状 況 等 を 含 む 、 被 災 状 況 全 般 を 確 認 し 、 当 面 の 緊 急 措 置 を 実 施 するために制約となる事項を整理して、その解消に向けた作業に着手する。 応急復旧の方針を検討するため、被災後、すみやかに処理場の被災状況を確認 (「下 水道の地震対策マニュアル 別冊・緊急対応マニュアル 2006 年版(社)日本下水道協 会 」 の 緊 急 点 検 表 を 参 照 ) し 、 施 設 ・ 機 器 の 異 常 の 有 無 の 把 握 に よ り 緊 急 措 置 、 応 急 復旧にあたっての制約条件の整理を行う必要がある。 た だ し 、 東 日 本 大 震 災 で は 地 震 後 の 施 設 点 検 中 に 津 波 が 来 襲 し た こ と や 、 本 震 と さ ほ ど 規 模 の 違 わ な い 余 震 に よ る 強 い 揺 れ が 発 生 し た こ と か ら 、 津 波 に よ る 被 害 が 予 想 さ れ る 沿 岸 部 に 位 置 す る 下 水 道 施 設 で は 、 地 震 後 の 被 災 状 況 確 認 は 津 波 に 関 す る 警 報 ・ 注 意 報 が 解 除 さ れ て か ら 行 い 、 そ れ 以 外 の 地 域 で も 強 い 余 震 に よ る 被 害 を 警 戒 し 、 危 険 が 予 想 さ れ る 部 分 の 調 査 は 安 全 な 退 避 経 路 等 が 確 保 さ れ て い な い 場 合 に は 実 施 し ないこととする(詳細は各自治体等で策定された下水道事業継続計画(BCP)に従う)。 収集した情報は表 2.1 の様な形式にまとめ、応急復旧検討の際に利用できるように する。 ま た 、 過 去 の 震 災 等 の 経 験 か ら 、 下 水 道 施 設 に お い て 対 応 を 想 定 し て お く べ き 事 態 は 多 様 で あ り 、 か つ 深 刻 な も の が 多 い 。 抜 本 的 な 対 策 は 施 設 の 耐 震 化 や 耐 水 化 に よ ら な け れ ば な ら な い が 、 当 面 は 何 段 階 か の 被 害 想 定 を 行 い 、 緊 急 対 応 や 応 急 復 旧 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て 、 必 要 な 資 器 材 の 調 達 や 、 設 備 の 応 急 復 旧 に か か る 時 間 等 に つ い て 調 査 し て お く こ と が 望 ま し い 。 調 査 結 果 に 基 づ い て 、 常 備 し て お く べ き も の を 準 備 し 、 実 際 の 災 害 時 に お け る 必 要 資 器 材 の 調 達 方 法 や 復 旧 に 長 期 を 要 す る 場 合 の 水 処 理 方 法 や 汚 泥 処 分 方 法 に つ い て 関 係 者 と 協 議 し 、 必 要 に 応 じ 協 定 等 を 交 わ し て お く 等 の 措 置 を 講 じ て お く 。 ま た 、 広 域 災 害 に よ っ て 通 常 の 調 達 等 が 長 期 に わ た り 困 難 と な る事態に対しても、現実的な対応策を検討しておく。

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表 2.1 被災した下水処理施設の状況 標準活性汚泥法と準拠施設 発災日 躯体損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込 設備損傷 対応 仮復旧見込 本復旧見込 動力・制御 対応 仮復旧見込本復旧見込 躯体損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込設備損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込動力・制御の 対応 仮復旧見込本復旧見込躯体損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込設備損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込動力・制御 対応 仮復旧見込本復旧見込 作成日 重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期)重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期)重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期)重軽微無 交換修理無有(時期)無・有(時期 重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期 重軽微無 交換修理無有(時期)無・有(時期 重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期 重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期 重軽微無 交換修理無有(時期)無・有(時期) 流入 系列 1 系列 2 系列 3 スクリーン し渣掻き揚げ装置 沈砂池 揚砂洗浄装置 し渣洗浄脱水装置 調整池 揚水ポンプ 最初沈殿池 系列 1 系列 2 系列 3 掻き寄せ機 ゲート 分配装置 最初沈殿池 汚泥ポンプ 曝気槽 系列 1 系列 2 系列 3 送風機 生物反応槽 エアレーション装置 風量調整装置 計測装置 攪拌機 最終沈殿池 系列 1 系列 2 系列 3 掻き寄せ機 最終沈殿池 返送汚泥ポンプ 余剰汚泥ポンプ 消毒設備 系列 1 系列 2 系列 3 消毒装置 消毒剤貯槽 混和池(接触槽) (電源) 汚泥処理 系列 1 系列 2 系列 3 濃縮装置 濃縮汚泥貯槽 汚泥消化槽 ガスホルダー 脱水機 汚泥調整設備 ケーキ貯留槽 乾燥炭化焼却溶融等設備 コンベヤ 炉等本体 送風機 熱回収装置 排ガス洗浄装置 集塵機 灰等ホッパー 受電設備 配電設備 水道設備 OD法(機械式曝気)と準拠施設 発災日 躯体損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込 設備損傷 対応 仮復旧見込 本復旧見込 動力・制御 対応 仮復旧見込本復旧見込 躯体損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込設備損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込動力・制御の 対応 仮復旧見込本復旧見込躯体損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込設備損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込動力・制御 対応 仮復旧見込本復旧見込 作成日 重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期)重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期)重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期)重軽微無 交換修理無有(時期)無・有(時期 重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期 重軽微無 交換修理無有(時期)無・有(時期 重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期 重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期 重軽微無 交換修理無有(時期)無・有(時期) 流入 系列 1 系列 2 系列 3 スクリーン し渣掻き揚げ装置 沈砂 又は 砂溜り 破砕機 し渣洗浄脱水装置 調整池 揚水ポンプ 流量分配装置 系列 1 系列 2 系列 3 ゲート 分配装置 反応槽 系列 1 系列 2 系列 3 曝気ロータ OD槽 計測装置 最終沈殿池 系列 1 系列 2 系列 3 掻き寄せ機 最終沈殿池 返送汚泥ポンプ 余剰汚泥ポンプ 消毒設備 系列 1 系列 2 系列 3 消毒装置 混和池(接触槽) 汚泥処理 系列 1 系列 2 系列 3 汚泥貯槽 脱水機 汚泥調整設備 ケーキ貯留槽 受電設備 配電設備 水道設備

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2.3 緊急措置の実施

発 災 後 の 緊 急 措 置 で は 、 被 災 者 の 生 活 空 間 か ら 、 下 水 ( 汚 水 ・ 雨 水 ) を 速 や か に 排 除 し、水系感染症を防止するための消毒を行う。 【解説】 東 日 本 大 震 災 に お い て 被 災 し た 下 水 道 施 設 に お け る 緊 急 措 置 の 考 え 方 に つ い て は 、 下水道地震・津波対策技術検討委員会報告書(平成 23 年 5 月 18 日公表)(以下、「報 告書」と言う)、「下水道施設の復旧にあたっての技術的緊急提言」(平成 23 年 4 月 12 日 公 表 )( 以 下 、「 緊 急 提 言 」 と 言 う ) 等 に お け る 整 理 が 参 考 と な る 。 そ の 要 点 は 次 に 示す通りである。 公衆衛生の確保について 2.3.1 ・ 公衆衛生の確保を第一に考え、し尿由来の感染症リスクを低減させるため、未処 理下水がマンホールから溢水する事態の予防と早期解消が重要である。また、マ ンホールの高低図を下水道システム全体にわたって比較し、溢水しやすい箇所を 予測し監視する。 ・ 震災直後の早い段階から下水道管きょの排除機能を把握し、管きょ破断・汚水ポ ンプ停止の場合は、早急に仮設ポンプ・仮配管による排除が必要である。 ・ 水道事業者等への連絡、溢水情報などの市民周知および節水の呼びかけを行い、 マンホールトイレの設置が有効な場合、設置適地の選定を急ぐ。 緊急措置について 2.3.2 (1) 管路施設 ・ 都市内から下水を速やかに排除することを最優先とする。 ・ 溢水対策としてやむを得ない場合、土のう、ビニールシート等によって仮設水路 を作り、汚泥沈積がない流速を確保しつつ、近傍の水路まで誘導し、放流する。 ・ 必要な場合、仮設ポンプの利用やマンホールの側壁の取り壊しにより放流する。 ・ 緊急放流する場合、液体または固形(ネット等で流出防止)の塩素剤により最低 限の消毒を行い、可能なら仮設沈殿池を設ける。 ・ 小水量であれば、吸泥車による処理場への運搬も考えられる。 (2) 処理施設 ・ 揚水機能を確保し、溢水を防止することを最優先とする。 ・ 仮設ポンプ等を用いて揚水を行い、最低限の消毒を実施し、放流する。 こ れ ら の 緊 急 措 置 の 考 え 方 を 踏 ま え つ つ 、 今 回 の 震 災 に お け る 実 際 の 被 害 発 生 お よ び対応状況、対応事例を次に整理して示す。 (3) 消毒剤の調達 ・ 被災直後は、汚水処理が十分に行われず消毒剤使用量が増加するうえ、薬剤の入

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手が困難となることが予想されるため、あらかじめ緊急時用として消毒剤(固形 塩素剤)を貯蔵しておく。 ・ 処理場が被災し、貯蔵している消毒剤が使用不可能となった場合は、維持管理に おいて契約している薬品業者に連絡し、消毒剤を確保する。また、被害が小さか った処理場から消毒剤を調達する。 ・ 道路が瓦礫等で埋まり移動が困難である場合は、自衛隊等により通路が確保され た後に搬入する。 (4) 関係機関との協議 ・ 被災時において円滑に緊急措置を行うためには、平常時より関係機関と以下の項 目について協議しておくことが望ましい。 ・ 下水処理時の薬品使用量や放流場所について関係機関と協議を行う。 ・ 緊急放流はあくまでも緊急避難的措置であり、基本的には仮設沈殿池を設置し、 沈殿・消毒を行ったのち放流することを説明する。 ・ 場所の選定に当たっては下流の水利権者の同意が必要であるため、関係機関と協 議を行う。ただし、上水道水源地の上流域では同意が困難である。 関係機関:関係自治体(自治体長、上水道所管課、河川所管課、水産業振興課、 都市計画課)、水道事業者、農業用利水権者、河川管理者、地元の 町 内会、水産業者等 こ れ ら の 緊 急 措 置 の 考 え 方 を 踏 ま え つ つ 、 今 回 の 震 災 に お け る 実 際 の 被 害 発 生 お よ び対応状況、対応事例を次に整理して示す。 東日本大震災における緊急措置の対応状況 2.3.3 東日本大震災における緊急措置の対応状況については、「下水道地震・津波対策技 術 検討委員会報告書(平成 24 年 3 月)」には次の通り整理されている。 図 2.1 溢水発生時における対応状況(平成 23 年 3 月 24 日時点)

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こ れ に よ る と 、 把 握 さ れ た 範 囲 で は 、 清 掃 お よ び 吸 引 と 、 仮 設 配 管 の 布 設 ( 土 の う 等 を 用 い た 側 溝 へ の 排 水 含 む ) に よ る 対 応 が 約 3 割 ず つ で 多 数 を 占 め て い た 。 次 に 災 害 が 発 生 し た 場 合 で も 同 様 の 対 応 が 主 体 と な る 可 能 性 が 高 い こ と か ら 、 緊 急 措 置 段 階 で は 水 中 ポ ン プ 、 仮 設 電 源 、 高 圧 水 洗 浄 車 、 排 泥 車 、 そ れ ら の 燃 料 な ど 、 清 掃 ・ 吸 引 用 の 資 機 材 ・ 車 両 の 確 保 、 仮 設 配 管 の 資 機 材 、 土 の う 等 の 確 保 が 必 要 に な る と 考 え ら れる。 今 回 の 震 災 に お い て は 、 被 災 時 で 資 機 材 が 入 手 困 難 な 中 で 、 緊 急 対 応 指 定 業 者 、 地 元 で 被 災 を 逃 れ た 業 者 、 指 定 管 理 者 、 他 処 理 場 、 災 害 対 策 本 部 、 災 害 時 応 援 協 定 等 の 様々なルートを活用して入手の努力がなされていた。 宮城県等における対応状況 2.3.4 具 体 事 例 と し て 、 宮 城 県 に お け る 対 応 状 況 を 紹 介 す る 。 宮 城 県 土 木 部 下 水 道 課 ( 以 下、宮城県)によると、次の通りである。 ・ 処理場周辺の流域下流部低地、中継ポンプ場の直上流でマンホール溢水が発生。 ・ 溢水は震災直後には見られず、1週間を過ぎて上水道が段階的に復旧するにつれ て発生。 ・ 終末処理場主ポンプの応急仮復旧、中継ポンプ場の仮復旧によりマンホール溢水 は収束。 緊 急 措 置 の 考 え 方 お よ び こ れ ら の 対 応 事 例 を 踏 ま え る と 、 断 水 が 発 生 し て 汚 水 の 発 生 が 一 時 的 に 停 止 す る ほ ど の 被 害 が 生 じ た 場 合 は 、 上 水 道 が 復 旧 し て か ら 溢 水 の 発 生 が 始 ま る た め 、 そ れ ま で に で き る だ け 早 急 に 管 き ょ の 緊 急 点 検 を 行 い 、 閉 塞 箇 所 等 を 把 握 し て 溢 水 を 未 然 に 防 ぐ と と も に 、 溢 水 が 発 生 し た 場 合 は 、 近 傍 水 路 へ の 導 水 等 に よる緊急的な対策を行う必要がある。 こ う し た 溢 水 地 点 で の 対 策 を と り つ つ 、 管 き ょ 閉 塞 等 の 解 消 、 仮 設 配 管 の 設 置 等 を 行 う と と も に 、 末 端 で の 流 下 能 力 の 確 保 と し て 処 理 場 主 ポ ン プ ・ 中 継 ポ ン プ 等 の 仮 復 旧を行うことにより、抜本的な問題の解消を図ることになる。 他都市も含めた対応事例のうち、参考になる代表的な事例を抽出して、次に示す。 (1) 管路施設における対応 事 例 放 流 ル ー ト 等 放 流 方 法 仮 設 ポ ン プ 消 毒 対 応 期 間 事 例 1 : 図 2.2 参 照 (宮 城 県 多 賀 城 市 ) マ ン ホ ー ル → 近 傍 水 路 土 の う 仮 設 水 路 使 用 せ ず 固 形 塩 素 ~ 4/1 事 例 2 : 図 2.3 (青 森 県 馬 淵 川 流 域 ) マ ン ホ ー ル → 近 傍 水 路 素 堀 水 路 + ビ ニ ー ル シ ー ト 使 用 せ ず 固 形 塩 素 ~ 5/18 事 例 3 : 図 2.4 (千 葉 県 習 志 野 市 ) マ ン ホ ー ル → 河 川 ( 応 急 復 旧 と し て 、 4 月 中 に 菊 田 川 に 簡 易 処 理 施 設 設 置 ) 雨 水 管 や 被 災 し て い な い 汚 水 管 を 経 由 一 部 区 間 で ポ ン プ 使 用 固 形 塩 素 ~ 6/30 事 例 4 : 図 2.5 (茨 城 県 潮 来 市 ) マ ン ホ ー ル → 処 理 場 バ キ ュ ー ム 車 吸 引 ポ ン プ の 都 合 が つ き 次 第 導 入 - ~ 4/24

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図 2.2 土のうを使用し近傍水路へ導水した事例(宮城県多賀城市)

出 典 : 国 土 交 通 省 「 下 水 道 地 震 ・ 津 波 対 策 技 術 検 討 委 員 会 報 告 書 平 成 24 年 3 月 」 よ り

図 2.3 素掘水路で近傍水路へ導水した事例(青森県馬淵川流域)

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図 2.4 川の一部を締め切り簡易沈殿処理を行った事例(千葉県習志野市) 出 典 : 習 志 野 市 資 料 よ り 図 2.5 バキュームカーでの回収事例(茨城県潮来市) 出 典 : 国 土 交 通 省 「 下 水 道 地 震 ・ 津 波 対 策 技 術 検 討 委 員 会 報 告 書 平 成 24 年 3 月 」 よ り (2) 処理施設における対応 事 例 箇 所 放 流 方 法 消 毒 実 施 期 間 事 例 5 : 図 2.6 (宮 城 県 県 南 浄 化センター) 流 入 き ょ → 仮 設 沈 殿 池 ま た は 河 川 仮 設 ポ ン プ で 導 水 次 亜 塩 素 酸 ナ ト リ ウ ム 溶 液 (移 動 タ ン ク ) 3/19~ 4/1 事 例 6 : 図 2.7 (宮 城 県 石 巻 東 部 浄 化 センター) 流 入 き ょ → 最 初 沈 殿 池 仮 設 ポ ン プ で 導 水 固 形 塩 素 4/1~ 6/30 事 例 7 : 図 2.8 (宮 城 県 石 巻 東 部 流 域 汚 水 ポンプ場) 汚 水 ポ ン プ 場 → 河 川 本 川 ま で 導 水 固 形 塩 素 3/26~ 7/19

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図 2.6 緊急排水のための簡易消毒実施状況(宮城県県南浄化センター) 出 典 : 宮 城 県 県 南 浄 化 セ ン タ ー 「 甦 る 水 」 再 生 だ よ り Vol.1 よ り 図 2.7 仮設ポンプの設置状況(宮城県石巻東部浄化センター) 出 典 : 国 土 交 通 省 「 下 水 道 地 震 ・ 津 波 対 策 技 術 検 討 委 員 会 報 告 書 平 成 24 年 3 月 」 よ り 図 2.8 ポンプ場や幹線管渠人孔から河川等に簡易処理放流した事例 (旧北上川(石巻市内)) 出 典 : 国 土 交 通 省 下 水 道 地 震 ・ 津 波 対 策 技 術 検 討 委 員 会 (第 2 回 )「 機 動 的 な 公 衆 衛 生 の あ り 方 に つ い て 」 よ り

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周辺住民への広報について 2.3.5 下 水 処 理 施 設 が 被 災 し 、 十 分 な 汚 水 処 理 を 行 う こ と が 困 難 で あ る 場 合 、 放 流 先 の 水 質 悪化やマンホール等からの溢水を防ぐため、以下のような項目について様々な媒体を用い て早急に周辺住民へ周知する必要がある。 (1) 広報項目 ・節水や汚れ物の減量の協力要請 ・被災状況 ・応急復旧状況 ・今後の復旧計画 ・放流水水質 (2) 広報媒体 ・インターネット 自治体のホームページにおいて、被災状況、応急復旧状況、放流水の水質、および 節 水 等 の 呼 び か け 等 に 関 し て 、 広 く 情 報 提 供 を 行 う ( 参 考_図-3・参考_図-4)。 また、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを利用した情報提供も有用であると 考 え ら れ る ( 参 考_図-5)。インターネットを通じての情報提供は、特に電力の供 給再開以降有力な手段となる。また、インターネットの閲覧に慣れていない人々への 配慮も必要である。 ・マスメディア(記者発表、新聞、テレビ CM 等) 被災直後には終末処理場に関する取材が殺到することが予想されるため、処理場を 公開し、被災状況と応急対応状況について情報提供の正確化、効率化をはかる必要が あ る ( 参 考_図-6)。また、同時に住民に広く節水や汚れ物の減量についての協力 呼びかけを行う必要がある(参考_図-7)。テレビ CM を用いる場合は、様々な立 場の人にアピールするため、特に時間帯を設定せずに各放送局で広い時間に渡り流す とよい(参考_図-8)。 ・通知文(特定事業所に対して) 通常下水道へ排水を行っている事業所に対し、事業所の除外施設を使用した河川排 水への切り替え等の対応をお願いする。 ・広報車・無線による広報 ・貼り紙、回覧板(参考_図-9)

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3. 応急復旧の実施

3.1 総論

下 水 の 排 除 機 能 が 最 低 限 確 保 さ れ 、 処 理 機 能 の 本 復 旧 を 進 め る 段 階 に お い て 、 本 復 旧 までに時間を要する場合、都市の衛生確保および放流先水域の水質保全を速やかに達成す るために、本復旧までの間に暫定的に行う処理方式を検討し、応急復旧として実施する。 【解説】 被 災 直 後 の 緊 急 措 置 に 続 い て 行 う 応 急 復 旧 へ の 取 り 組 み に お い て は 、 で き る だ け 早 く 通 常 の 下 水 処 理 に 復 旧 す る こ と を 目 指 す の は 当 然 で あ る 。 し か し 、 被 災 状 況 及 び 利 用 可 能 な 資 機 材 ・ 人 員 等 の 制 約 に よ り 本 復 旧 ま で に 相 当 の 期 間 を 要 す る 。 そ の た め 、 当 面 の 間 は 暫 定 的 な 下 水 処 理 を 、 必 要 に 応 じ て 段 階 的 に 向 上 さ せ な が ら 行 わ ざ る を 得 な い 場 合 も 想 定 さ れ る 。 こ う し た 場 合 に お け る 応 急 復 旧 の 考 え 方 に つ い て も 、 地 震 津 波委員会による報告書や提言において基本的な考え方が示されている。 本 章 で は 、 こ の 基 本 的 な 考 え 方 を 踏 ま え つ つ 、 今 回 の 震 災 に お け る 応 急 復 旧 の 取 り 組 み 事 例 で 実 際 に 用 い ら れ た 対 策 の 手 法 及 び 効 果 を 整 理 す る と と も に 、 国 交 省 に よ る 下 水 処 理 場 及 び 放 流 先 水 域 に 関 す る 調 査 結 果 等 に 基 づ い て 、 将 来 の 災 害 時 に お い て 応 急 復 旧 の た め に 導 入 に 値 し う る 処 理 方 法 に つ い て 、 そ の 設 計 ・ 維 持 管 理 の 考 え 方 を 具 体的に示す。

3.2 応急復旧の処理方式の選定

応 急 復 旧 と し て 暫 定 的 に 行 う 下 水 処 理 方 式 に つ い て 、 目 標 水 質 及 び 達 成 時 期 、 施 設 の 被 害 状 況 、 施 設 ・ 敷 地 ・ 人 員 等 の 利 用 可 能 状 況 、 本 復 旧 ま で の 工 程 等 を 考 慮 し て 選 定する。 選定の考え方 3.2.1 処 理 方 式 の 選 定 に お い て は 、 目 標 水 質 を 達 成 で き る 技 術 を 抽 出 し た 上 で 、 抽 出 技 術 の 適 用 性 及 び 達 成 可 能 時 期 の 妥 当 性 を 検 討 し て 決 定 す る 。 条 件 を 満 た す 技 術 が な い 場 合は、目標達成時期の見直しが必要となる。 【解説】 応 急 復 旧 段 階 に お け る 処 理 方 式 及 び 目 標 水 質 並 び に 実 施 期 間 に つ い て 、 地 震 津 波 委 員会の第 2 次提言(平成 23 年 5 月 24 日)において提示された考え方を整理して、以下 に示す。 な お 、 こ こ で は 処 理 技 術 ご と に 目 標 水 質 を 述 べ て い る が 、 処 理 場 全 体 と し て は 、 様 々 な 処 理 技 術 を 組 み 合 わ せ て 処 理 せ ざ る を 得 な い こ と と な ろ う 。 処 理 場 全 体 と し て の 目 標 水 質 は 、 各 方 法 で 処 理 す る 水 量 の 配 分 と 各 方 法 の 処 理 能 力 と を 勘 案 し 、 平 均 処

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理水質を求めることとなる。 (1) 沈殿+消毒処理 (目標処理水質) 「 沈 殿 + 消 毒 処 理 」 に お け る 目 標 処 理 水 質 は 、 水 質 汚 濁 防 止 法 の 一 律 排 水 基 準 と 沈 殿での除去率(30~50%)より BOD120mg/L 以下とする。これは、法令による水質基準 と、技術的に達成可能な水質(流入 BOD200mg/L とすると、40%除去で 120mg/L)によ り決定した。 (実施期間) 長 期 間 沈 殿 処 理 だ け を 継 続 す る の は 、 法 令 遵 守 、 管 理 者 の 責 務 、 下 水 道 料 金 支 払 い 者 の 視 点 等 か ら 困 難 で あ る 。 こ の た め 、 小 規 模 施 設 、 あ る い は 被 災 の 程 度 が 軽 微 等 で 早期(3~6ヶ月)に本復旧できる場合等、限定的に採用される。 (2) 沈殿+簡単な生物処理+消毒処理 (目標処理水質) 「沈殿+簡単な生物処理+消毒処理」における目標処理水質は、昭和 47 年の下水道 法施行令第 6 条にある技術上の基準と「下水道施設設計指針と解説(1972 年)」に掲載 さ れ て い る 中 級 処 理 の 除 去 率 ( 65 ~ 75 % ) よ り 、 BOD 60mg/L と す る が 、 当 初 は BOD120mg/L の 確 保 と し 、 段 階 的 に 向 上 を 目 指 す も の と す る 。 こ れ は 、「 簡 単 な 生 物 処 理 」 は 処 理 法 と し て 、 必 ず し も 確 立 さ れ て お ら ず 、 安 定 的 で は な い た め で あ り 、 凝 集 剤添加、ろ過設備付加により段階的達成を目指すものとする。 (実施期間) 沈 殿 処 理 段 階 の 後 、 本 復 旧 ま で 簡 単 な 生 物 処 理 を 導 入 す る 手 法 で あ り 、 本 復 旧 完 成 まで比較的短期間(おおむね1年以内)の場合に採用される。 (3) 生物処理+沈殿+消毒処理 (目標処理水質) 「生物処理+沈殿+消毒処理」における目標処理水質は、現在の下水道法施行令第 5 条 6 の技術上の基準により BOD15mg/L とするが、当初は BOD60mg/L の確保とし、段階 的に目指すものとする。これは、「生物処理」の技術的なオプションには中級処理も含 まれており、凝集剤添加、ろ過設備付加により段階的達成を目指すものとする。 (実施期間) 中級処理より高い水準の生物処理を行うもので、本復旧完成まで比較的長期間 (1~ 3 年 程 度 ) の 場 合 に 採 用 さ れ る 。 既 設 の 水 槽 、 増 設 用 地 等 を 活 用 し 反 応 槽 、 沈 殿 池 を 設 置 す る た め 、 本 復 旧 工 事 の 工 程 、 作 業 ス ペ ー ス 等 に 関 す る 十 分 な 調 整 が 不 可 欠 で あ る。 ま た 、 (1)~ (3)の 消 毒 処 理 に つ い て は 、 疫 学 上 リ ス ク 回 避 の 観 点 か ら 、 復 旧 段 階 に おいても、大腸菌群数 3000 個/cm3以下を確保することとする。 これらの概念をまとめた表 3.1 及び図 3.1 を次に示す。

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表 3.1 目標水質 図 3.1 目標水質と応急復旧の概念図 以 上 の 考 え 方 を 踏 ま え る と 、 処 理 レ ベ ル と 目 標 水 質 、 目 標 達 成 時 期 の 関 係 は 次 の よ うに考えることができる。 ( 1 ) 3 ~ 6 ヶ 月 で 本 復 旧 に 移 行 可 能 な 場 合 は 、 本 復 旧 ま で の 間 、 沈 殿 + 消 毒 処 理 を採用して BOD120mg/L 程度の水質を目標とすることができる。 ( 2 ) 本 復 旧 ま で 6 ヶ 月 ~ 1 年 を 要 す る 場 合 は 、 ま ず 沈 殿 + 消 毒 処 理 を す み や か に 実施して BOD120mg/L 程度の水質を目標とした上で、6ヶ月以内に簡単な生物処理を導 入して BOD60mg/L 程度の中級処理の水質を目標とし、1年以内に達成を目指すことと する。 (3)本復旧まで比較的長期間(1~3年程度)を要する場合は、まず沈殿+消毒 処 理をすみやかに実施して BOD120mg/L 程度の水質を目標とした上で、6ヶ月以内に生物 処理を導入して BOD60mg/L 程度の中級処理の水質を1年以内に達成することを目標と し、段階的に BOD 15mg/L の達成を目指すこととする。 実 際 の 被 災 時 に お い て は 、 施 設 の 被 害 状 況 、 施 設 ・ 敷 地 ・ 人 員 等 の 利 用 可 能 状 況 、 本 復 旧 の 工 程 等 に 応 じ て 柔 軟 に 対 応 す る 必 要 が あ り 、 こ こ で 示 し た 目 標 水 質 と 目 標 達 成 時 期 の 通 り に 必 ず 実 施 で き る と は 限 ら な い が 、 一 つ の 目 安 と し て 活 用 で き る よ う に 、 具体的な検討手順を以下に示す。 処理方式は図 3.2 に示すフローに従って決定するものとし、初めに目標水質を達成 できる処理方式の大まかな抽出を図 3.3 に従って行う。 次に、抽出した処理方式の適用性を巻末の参考資料、参考_図-1 および参考_図-2 に従って検討する。適用性可否判断については、3.2.2 節で説明する。 適 用 性 可 否 判 断 の 結 果 、 適 用 可 能 な 処 理 方 式 で な い と 判 定 さ れ た 場 合 は 別 の 方 式 を BOD(mg/l) 大腸菌群数(個/cm3) 沈殿+消毒 120 水濁法一律基準、沈殿除去率 沈殿+簡単な生物処理 60 中級処理除去率 生物処理+沈殿+消毒 60→15 下水道法施行令 目標水質 機能 備考 3000 200 120 60 15 緊急措置 応急 復旧① 沈殿+消毒 応急 復旧② 簡単な生物 処理+沈殿 +消毒 応急 復旧③ 生物処理 +沈殿 +消毒 本復旧 処理水質 の範囲 処理水質 の範囲 凝集剤添加、ろ過設備 の付加により達成 時 間 BOD

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抽 出 し て 可 否 判 断 を や り 直 す 。 一 方 、 適 用 可 と 判 断 さ れ た 場 合 は 、 次 に 目 標 水 質 の 達 成 が 必 要 な 時 期 と 比 較 し 、 選 択 し た 処 理 方 式 で 処 理 を 開 始 す る こ と が で き る ま で に 必 要 な 時 間 が 適 切 で あ る か 検 討 す る 。 必 要 な 時 間 の 検 討 に つ い て は 、 3.2.3 で 説 明 す る 。 必 要 な 時 間 が 長 す ぎ る 場 合 は 抽 出 し た 処 理 方 式 の 中 か ら 別 の 処 理 方 式 を 選 ん で 適 用 性 可 否 か ら 検 討 し 直 し 、 他 に 抽 出 さ れ た 処 理 方 式 が な い 場 合 は 目 標 達 成 時 期 ( 場 合 に よ っ て は 目 標 水 質 ) の 見 直 し を 検 討 す る 。 こ の 様 に し て 、 実 行 可 能 な 応 急 復 旧 の 各 段 階の処理方式と目標達成時期の決定を行う。 表 3.2 被災施設の復興に関わる制約条件整理表の例(記入例) 発災日 2020/1/25 作成日 2020/2/1 項目 充足の状況・条件等 要員 職員 皆無 減少 通常 増員可(応援含む) 作業員 皆無 不足 充足 増員可(応援含む) 土砂瓦礫 極多量 多量 少量 なし 浸水 水没状態 一部水没 軽微 通常 必要資材 大量 多数 少量 なし 調達 調達不可 調達難 制限有り 通常 インフラ アクセス 不可 困難 制限有り 通常 電気 不可 自家発対応 商用制限有り 通常 ガス 不可 制限有り 通常 燃料 不可 困難 制限有り 通常 水道 不可 制限有り 通常 通信 不可 困難 制限有り 通常 食糧 不可 困難 不足気味 通常 放射能 進入不可 短時間作業可 制限有り 通常 復旧業務 担当業者 事業者なし 不足 不安定 充足 仮設仮置 き等用地 皆無 狭小・不足 有り・制限有り 十分有り

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図 3.2 処理方式の選定フロー 図 3.3 目標水質達成技術の抽出 START *目標水質達成技術の抽出 ☆抽出技術の適用性検討 達成可能時 期は妥当 か? 適用可能 か? 処理方式決定 他に適用可 能な技術が ある 目標達成時期の見直し Yes No Yes No Yes No *は図4.2によって行う。 ☆は巻末の参考資料 参考_図-2および参考_図-3に よって行う。 *は図 3.3 によって行う。 ☆は巻 末 の参 考 資 料参 考 _図 -1 および参 考_図 -2 によって行う。 START 流入水中の 沈み難い固形性 BODは60mg/l未満 目標水質は BOD60mg/l以 下である 沈殿法 凝集沈殿法 生物処理法及び凝集剤併用法 モ デ ィファイドエアレーション法 回分式活性汚泥法 コンタクトスタビリゼーション法 曝気式ラグーン 生物膜接触法 など (下線は今回の震災で実施された技術) Yes No No No Yes Yes 沈み難いBODの割合は30分間静 置沈降試験等で判定 流入水中の 溶解性BODは 60mg/l未満

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適用性の検討 3.2.2 選 定 し た 処 理 方 式 に よ っ て 目 標 水 質 を 達 成 す る た め に 必 要 な 滞 留 時 間 、 送 風 量 、 等 を 算 定 し 、 施 設 の 現 状 や 今 後 の 復 旧 見 込 に 照 ら し て 、 実 際 に 適 用 す る こ と が 可 能 か を 判断する。 【解説】 選 定 し た 処 理 方 式 を 当 該 施 設 に 適 用 し て 目 標 水 質 を 達 成 す る こ と が で き る か 、 検 討 す る 段 階 で あ る 。 目 標 水 質 を 達 成 す る た め に 、 必 要 な 汚 濁 削 減 量 を 達 成 で き る か 、 必 要 な 施 設 の 容 量 等 は 確 保 で き る か 、 必 要 な 電 力 や 薬 品 、 要 員 を 確 保 で き る か 、 発 生 す る 汚 泥 量 は い か ほ ど で そ の 処 理 や 処 分 は で き る か 、 な ど 実 際 に 運 用 可 能 か 検 討 す る 。 次に、達成時期を検討する。 ① は じ め に 目 標 達 成 時 期 に 予 想 さ れ る 流 入 下 水 の 水 量 ・ 水 質 か ら 、 放 流 水 の 水 質 目 標 を達成するために必要な汚濁の除去量、除去濃度、除去率等を決定する。 ②次に、3.2.1 において大まかに抽出した処理方式の中から 1 つ選び、 表 3.3 から該当する処理方式について、必要な施設とその諸元、汚濁除去量に対する 汚泥発生量、各種負荷率の範囲等を決定する。 ③次に、施設の現状および復旧に関する状況をまとめた表 3.2 に基づいて、目標達成 時 期 に お い て 利 用 可 能 な 施 設 の 諸 元 と 、 予 想 さ れ る 流 入 下 水 量 等 と 上 記 ② で 決 定 し た 必 要 な 施 設 の 諸 元 と を 比 較 し 、 必 要 な 諸 元 が 満 足 さ れ て い る か 検 討 す る 。 満 足 さ れ て い な い 場 合 は 、 応 急 復 旧 作 業 等 に よ っ て 必 要 な 諸 元 を 満 足 で き る よ う に な る か 、 検討を行う。 ④ 汚 濁 除 去 量 に 対 す る 負 荷 率 等 が 適 正 な 範 囲 に あ る か 検 討 し 、 適 正 な 範 囲 に な い 場 合 は ③ と 同 様 に 、 応 急 復 旧 作 業 等 に よ っ て 適 切 な 範 囲 内 に 納 め る こ と が で き る か 、 検 討を行う。 ⑤ ③ ④ の 検 討 に よ っ て 、 施 設 の 諸 元 等 が 必 要 な 要 件 を 満 た さ な い 場 合 は 、 選 出 し た 処 理方式は適用不可と判断し、②に戻って別の処理方式の検討を行う。 ⑥ ③ ④ の 検 討 に よ っ て 、 施 設 の 諸 元 等 が 必 要 な 要 件 を 満 た す こ と が 確 認 さ れ た 場 合 は 、 続いて、必要な資器材や運転要員の確保ができるか表 3.4 等に基づいて検討し、こ れが可能な場合は、選んだ処理方式は適用可と判定する。 目標達成時期への対応の検討 3.2.3 適 用 可 と 判 断 さ れ た 処 理 方 式 を 実 現 す る た め に 必 要 な 資 器 材 ・ 人 員 の 調 達 、 設 備 の 復 旧 ・ 仮 設 お よ び 電 力 の 確 保 、 等 の た め に 必 要 な 期 間 を 把 握 し 、 着 手 時 期 等 を 勘 案 し て 現 実 的 な 目 標 達 成 時 期 を 推 定 す る 。 そ の 結 果 を 目 標 を 達 成 す べ き 時 期 と 比 較 し て 最 終的な適否を決定する。

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表 3.3(1) 消毒技術と適用条件 処 理 方 式 必 要 反 応 時 間 薬 品 注 入 率 備 考 塩 素 消 毒 15 分 程 度1) 沈 殿 処 理 水 に 対 し 10 ~ 15mg/L 程 度2) 必 要 反 応 時 間 の 短 縮 に は 攪 拌 混 合 の 改 善 ( 希 釈 混 合 も 有 効 ) U V 消 毒 UV 出 力 と 必 要 注 入 率か ら 計 算 で 求 め る 沈 殿 処 理 水 に 対 し40mJ/cm2程 度 注 入 率 は 実 験 値 オゾン消 毒 10~ 20 分 程 度1) 沈 殿 処 理 水 に 対 し 30mg/L 程 度 注 入 率 は 実 験 値 臭 素 消 毒 5 分 以 下 で 可 3) 有 効 塩 素 換 算 0.6~ 6.4mg/L3) 水 道 水 源 に は 適 用 不 可 二 酸 化 塩 素 消 毒 3~5 分 程 度4) 5~ 15mg/L 程 度4) 現 場 で 生 成 さ せ て 使 う 。 爆 発 性 ガ ス で あ る が 易 水 溶 性 。 出 典 : 1) 公 益 社 団 法 人 日 本 下 水 道 協 会 ( 2009) 下 水 道 施 設 計 画 ・ 設 計 指 針 と 解 説 2) 実 施 設 に お け る 経 験 値 3) 財 団 法 人 下 水 道 新 技 術 推 進 機 構 「 臭 素 系 消 毒 剤 を 用 い た 消 毒 技 術 」 4) 財 団 法 人 下 水 道 新 技 術 推 進 機 構 「 二 酸 化 塩 素 を 用 い た 高 効 率 消 毒 技 術 」 表 3.3(2) 簡易処理技術と適用条件 処 理 方 式 必 要 反 応 時 間 沈 殿 池 水 面 積 負 荷 率 ( m/日 ) 薬 品 注 入 率 汚 泥 発 生 率 ( 乾 物 ) 備 考 沈 殿 法 HRT2 時 間 程 度 1) 50 以 下1) 除 去 浮 遊 物 量 と 同 じ 傾 斜 板 等 で 滞 留 時 間 短 縮 可 、 池 内 汚 泥 の 均 等 引 き 抜 き 凝 集 沈 殿 法 同 上 25~ 501) Al と し て 7mg/L 前 後 除 去 浮 遊 物 量 + 添 加 凝 集 剤 水 和 物 同 上 。 処 理 水 質 は 凝 集 剤 注 入 率 で あ る 程 度 制 御 可 出 典 : 1) 公 益 社 団 法 人 日 本 下 水 道 協 会 ( 2009) 下 水 道 施 設 計 画 ・ 設 計 指 針 と 解 説 表 3.3(3) 生物処理技術と適用条件 処 理 方 式 必 要 反 応 時 間 貯 水 池 水 面 積 負 荷 率 (m /日 ) 薬 品 注 入 率 BOD/微 生 物 量 比 (有 機 物 kg/生 物 量 kg/日 ) BOD 容 積 負 荷 率 (BOD-kg/m3 /日 ) 汚 泥 発 生 率 (乾 物 ) 必 要 酸 素 量 (O2 -kg/除 去 BOD-kg) 備 考 モディファイド エアレーション法 1.5 時 間 以 上 40 以 下 通 常 は 不 要 ( 沈 降 性 改 善 等 必 要 に 応 じ て 添 加 ) 5 以 下 2.4 以 下 除 去 BOD 量 と ほ ぼ 同 じ 1.4~ 負 荷 率 と 処 理 水 質 は ト レ ー ド オ フ 。 各 数 値 は 文 献 1) 。 回 分 式 活 性 汚 泥 法 1 日 4 サ イ ク ル 以 下 ( 1 日 当 た り の 処 理 水 量 は 槽 容 積 の 2 倍 程 度 ま で ) - 同 上 (2.5 以 下 )* (1.2 以 下 )同 上 1.4~ 1.7 同 上 。 流 入 、 曝 気 、 沈 殿 、 排 出 で 1 サイ クル 。 各 数 値 は 文 献 1) 。 生 物 膜 接 触 法 0.5 時 間 以 上 30 以 下 同 上 ( 微 細 S S 除 去 の た め 凝 集 剤 使 用 が 望 ま し い ) - 10 以 下 除 去 BOD 量 ( + 凝 集 剤 反 応 物 発 生 量 ) 0.9 ~ 1.4 ( 好 気 性 ろ 床 の 場 合 、 そ の 他 は 1.4? ) 適 宜 接 触 材 の 生 物 膜 除 去 が 必 要 。 容 積 負 荷 率 は 文 献 2 ) 。 そ の 他 は 文 献 1) 。 * モ デ ィ フ ァ イ ド 法 と 同 じ 限 度 と し た 場 合 の 最 大 限 度 出 典 : 1) 松 尾 他 翻 訳 ( 1993) 水 質 環 境 工 学 , 技 報 堂 2) 環 境 省 ( 2002) 産 業 排 水 処 理 技 術 移 転 マ ニ ュ ア ル 第 二 部

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表 3.4(1) 消毒技術と必要資器材等 処 理 法 電 力 水 要 員 薬 品 等 資 材 器 材 塩 素 消 毒 不 要 ( 固 形 、 お よ び 液 体 で は 手 動 の バ ル ブ の 開 け 具 合 で 制 御 す る 場 合 ) 要 ( 液 体 で ホ ゚ ン フ ゚ 注 入 の 場 合 ) 不 要 要 ( 薬 剤 の 補 充 ) 塩 素 剤 液 体 塩 素 の 場 合 は 貯 留 槽 、 注 入 ポ ン プ 及 び 制 御 装 置 、 固 形 の 場 合 は 溶 解 器 混 合 接 触 時 間 20 分 程 度 U V 消 毒 要 不 要 不 要 不 要 UV ランプと 制 御 装 置 照 射 水 槽 と 遮 蔽 板 等 オゾン消 毒 同 上 要 (冷 却 ) 同 上 活 性 炭 ( 廃 オ ゾン処 理 ) オ ソ ゙ ン 製 造 装 置 と 廃 オ ソ ゙ ン 処 理 装 置 オゾン反 応 塔 表 3.4(2) 簡易処理技術と必要資機材等 処 理 法 電 力 水 要 員 薬 品 等 資 材 器 材 備 考 沈 殿 法 要 要 ( 汚 泥 処 理 ) 要 ( 汚 泥 管 理 ) 凝 集 剤 ( 汚 泥 処 理 ) 汚 泥 用 「 ( 引 抜 ホ ゚ ン プ、 移 送 ポンプ、 脱 水 関 連 設 備 ・ 配 管 ) 沈 殿 池 、 汚 泥 引 き 抜 き ポンプ、 か き 寄 せ 機 安 定 処 理 の た め 汚 泥 処 理 不 可 欠 凝 集 沈 殿 法 同 上 同 上 要 ( 薬 剤 の 補 充 、 汚 泥 管 理 ) 凝 集 剤 ( 水 処 理 、 汚 泥 処 理 ) 汚 泥 用 + 凝 集 用 (貯 槽 、 ミキサー、 ポンプ) 同 上 ※ 仮 設 沈 殿 池 の 場 合 、 汚 泥 の 掻 き 寄 せ や 引 き 抜 き が 困 難 で あ る た め 、 そ の 場 合 は 仮 設 沈 澱 池 の 撤 去 時 に ま と め て 除 去 す る 対 応 も 考 え ら れ る が 、 処 理 水 質 へ の 影 響 に つ い て も 留 意 が 必 要 で あ る 。 表 3.4(3) 生物処理技術と必要資機材等 処 理 法 電 力 水 要 員 薬 品 等 資 材 器 材 備 考 モディファイド エアレーション 要 要 ( 汚 泥 処 理 ) 要 ( 曝 気 及 び 汚 泥 管 理 ) 凝 集 剤 ( 汚 泥 処 理 ) 送 水 、 送 風 、 散 気 、 返 送 及 び 汚 泥 用 沈 殿 池 + 掻 き 寄 せ 機 + 汚 泥 引 抜 き ポ ン プ + 反 応 タ ン ク 安 定 処 理 の た め 汚 泥 処 理 不 可 欠 回 分 式 活 性 汚 泥 法 同 上 同 上 要 ( サ イ ク ル 管 理 及 び 汚 泥 管 理 ) 同 上 同 上 + 流 入 分 配 、 処 理 水 排 出 複 数 の 反 応 タ ン ク 、 汚 泥 引 き 抜 き ポ ン プ 同 上 生 物 膜 接 触 法 同 上 同 上 同 上 同 上 同 上 同 上

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モニタリング 3.2.4 モ ニ タ リ ン グ に お け る 考 え 方 に つ い て 、 地 震 津 波 委 員 会 に よ る 報 告 書 や 提 言 で は 、 段 階的な応急復旧における目標水質を達成するためには、適切な維持管理と放流水および放 流先のモニタリングによる確認が必要であると示されている。下水道管理者は、放流先モ ニタリングの結果によっては、以下のような対応が必要であるとされている。 表 3.5 放流先モニタリング結果と対応 モニタリング結果 程度等 応急復旧での対応 大腸菌群数の超過 小 塩素消毒における混合方法や添加率の工夫 大 凝集剤によるSS 濃度低下、生物処理の適用 有 機 物 濃 度 (BOD、 COD)の超過 小 凝集剤によるSS 濃度低下 大 生物処理の適用 DO 表層での低下 生物処理の適用 底層での低下 凝集剤によるSS 濃度低下 出 典 : 国 土 交 通 省 「 下 水 道 地 震 ・ 津 波 対 策 技 術 検 討 委 員 会 報 告 書 平 成 24 年 3 月 」 よ り 今 回 の 震 災 時 に お け る 放 流 先 の 水 質 状 況 の 事 例 と し て 、 東 日 本 大 震 災 に よ り 甚 大 な 被 害を受けた宮城県内4箇所の浄化センター(石巻東部浄化センター、仙塩浄化センター、 南蒲生浄化センター、県南浄化センター)の放流先水域を対象とし、国交省(国総研)が 2012 年 1 月~3 月に水質調査(BOD、COD、大腸菌群数)を行った結果では、応急復旧 段階の下水処理水の放流先水域への影響は放流口近傍に限定され、海域等では顕著な影響 は見られなかった。このように、応急復旧段階においても下水道管理者がモニタリング結 果等をふまえて適切に対応を行うことにより、放流先水域への影響を可能な限り抑えるこ とができると考えられる。今後、段階的復旧が進むにつれてさらに水質も向上し、放流先 の状況も改善されることが期待されるが、モニタリングにより確認していくことが必要で ある。

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3.3 応急復旧に適用可能な下水処理方式の例

応 急 復 旧 段 階 で 採 用 す る 技 術 は 、 被 災 し た 施 設 が 本 復 旧 す る ま で の 間 に 、 暫 定 的 な 処 理 の 役 割 を 担 う も の で あ る 。 現 時 点 で 、 こ の 様 な 目 的 に 特 化 し た 処 理 技 術 は 開 発 さ れ て い な い た め 、 既 存 技 術 の 中 か ら 、 施 設 の 被 害 状 況 、 施 設 ・ 敷 地 ・ 人 員 等 の 利 用 可 能状況、本復旧の工程等を考慮して、適用可能な技術を採用することとする。 通 常 の 下 水 処 理 で 用 い ら れ て い る 代 表 的 な 技 術 と し て は 、 沈 殿 、 簡 易 曝 気 、 生 物 処 理、消毒が挙げられる。 ま た 、 今 回 の 震 災 対 応 で は 導 入 事 例 が 見 受 け ら な か っ た た め 本 資 料 で は 論 じ て い な い が が 、 合 流 式 下 水 道 改 善 対 策 向 け に 開 発 さ れ た 技 術 ( 固 形 物 除 去 、 消 毒 等 ) は 、 コ ン パ ク ト 化 に よ る 限 ら れ た ス ペ ー ス へ の 導 入 、 高 負 荷 ・ 高 速 処 理 に よ る 大 き な 水 面 積 負 荷 へ の 対 応 等 を 念 頭 に お い た も の で あ り 、 応 急 復 旧 段 階 へ の 導 入 に つ い て 検 討 の 余 地があるものと考えられる。 沈殿法 3.3.1 沈 殿 法 に 用 い る 施 設 は 、 流 入 生 下 水 を 沈 殿 処 理 す る 沈 殿 池 で あ る 。 そ の 設 計 及 び 維 持管理については、最初沈殿池の考え方に準じる。 【解説】 設 計 の 参 考 に な る も の と し て 、 下 水 道 施 設 計 画 ・ 設 計 指 針 と 解 説 ( 以 下 、 設 計 指 針 と い う ) で は 、 設 計 因 子 と し て 、 ① 形 状 及 び 池 数 、 ② 構 造 、 ③ 水 面 積 負 荷 、 ④ 有 効 水 深 、 ⑤ 余 裕 高 、 ⑥ 整 流 設 備 、 ⑦ ス カ ム 除 去 装 置 、 ⑧ 流 出 設 備 、 ⑨ 汚 泥 か き 寄 せ 機 、 ⑩ 汚泥引抜き設備について定めている。 (1) 既存施設を利用する場合 既 設 の 最 初 沈 殿 池 が 利 用 で き る 場 合 は 、 施 設 の 損 傷 の 程 度 に も よ る が 、 各 設 計 因 子 に つ い て そ の ま ま で あ る い は 迅 速 な 補 修 等 に よ り 対 応 可 能 な 場 合 が 多 い と 考 え ら れ る 。 た だ し 、 地 震 に よ り ② 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト の 水 密 性 が 損 な わ れ て い る 場 合 は 最 低 限 の 補修が必要である。 ま た 、 次 の よ う な 場 合 に は 、 設 計 通 り の 沈 殿 除 去 能 力 が 期 待 で き な い 可 能 性 が あ る ため、対応策の検討が必要である。 1)一部の系列しか利用できず、①池数が不足、③水面積負荷が過大 2)津波による堆積物等が沈殿池に流入・堆積しており、④有効水深が不足 3)機械電気設備の破損により、⑦スカム除去装置、⑨汚泥かき寄せ機や⑩汚泥引抜 き設備等が機能せず、スカムの流出や沈殿汚泥の堆積・流出が発生 4)⑥整流設備、⑧流出設備の破損により、流れが不均等 (2) 仮設沈殿池(素堀、河川の一部せき止め等)の場合 既 設 施 設 で は な く 、 素 堀 等 に よ り 仮 設 沈 殿 池 を 設 け る 場 合 は 、 コ ン ク リ ー ト 構 造 物 で な い こ と 、 ま た 敷 地 面 積 や 水 深 等 に 制 約 が あ る こ と を 踏 ま え る と 、 上 記 設 計 因 子 の

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多 く は 十 分 に 満 た す こ と が 困 難 で あ る が 、 特 に ① 形 状 及 び 池 数 、 ③ 水 面 積 負 荷 、 ④ 有 効 水 深 、 ⑤ 余 裕 高 に つ い て 、 可 能 な 範 囲 で 考 慮 す る と と も に 、 ⑩ 汚 泥 引 抜 き に つ い て 、 可能な限り実施することで、少しでも沈殿処理機能の向上を図るものとする。 (3) 震災の対応事例の考察を踏まえた留意事項 上 述 の 基 本 的 考 え 方 を 踏 ま え て 、 今 回 の 震 災 の 対 応 事 例 を 整 理 す る と 、 留 意 事 項 と して次の点が挙げられる。 1)素堀・河川せき止めによる仮設沈殿池では、水面積負荷が 50m3/m2d 以上の場合も あったが、概ね 50 未満で設計および運転管理がなされていた。 2)しかしながら、最初沈殿池に通常で期待される除去率(BOD 30~50%、SS40~ 60%)と比べて、水質面では不十分な処理効率である場合が多く見受けられた。 3)これは、特に仮設沈殿池において水深が 1.5~2m 程度とやや浅めであることも一 因と考えられるが、汚泥の引き抜き等がほとんど実施されずに(特に初期)、水 深がより浅くなるとともに、汚泥の巻き上がり等により沈殿除去効率が著しく低 下したものと推測される。 4)また、堆積して嫌気化した汚泥からの還元性物質等により、塩素消毒の効果も著 しく低下したと考えられる。 上 述 に 加 え 、 特 に 設 計 指 針 の 考 え 方 に 準 じ る こ と が 現 実 的 に 難 し い 部 分 と し て は 、 汚泥かき寄せ等の汚泥管理が挙げられる。 仮 設 沈 殿 池 で は 、 水 深 等 が 自 在 に 設 定 で き ず 、 汚 泥 か き 寄 せ 、 引 き 抜 き 等 も 困 難 で あ る 。 既 存 の 土 木 躯 体 を 用 い る 沈 殿 池 で も 、 汚 泥 か き 寄 せ 機 等 の 破 損 、 反 応 タ ン ク 等 では水深が深すぎる場合等の課題がある。 従 っ て 、 汚 泥 か き 寄 せ 等 の 汚 泥 管 理 が 可 能 な 沈 殿 池 を 早 急 に 復 旧 さ せ る こ と が 、 最 初の重要な取組となると考えられる。 (4) 震災の対応事例 今回の震災における具体的な対応事例としては、表 3.6 の通りである。

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表 3.6 沈殿池および仮設沈殿池の対応事例 出 典 : 東 日 本 大 震 災 へ の 対 応 に つ い て , 宮 城 県 ホ ー ム ペ ー ジ (http://www.pref.miyagi.jp/gesui/70_saigai/76_H23_3_11jisin_suisitu.html) 宮 城 県 資 料 よ り (5) 詳細な技術事項(参考) 仮設沈殿池を含め、応急復旧段階で沈殿処理を行う場合の水面積負荷率は 50m3/m2/日 未満、容積は水理学的滞留時間 2 時間分程度以上を確保することを目標とすること 。 また、水面積負荷率と汚泥堆積量の制御が主たる作業となる。 【解説】 応 急 復 旧 段 階 で 最 も 一 般 的 な 処 理 で あ る 沈 殿 処 理 は 、 下 水 中 の 汚 濁 物 質 の う ち 重 力 沈 降 に よ っ て 沈 殿 可 能 な 成 分 を 除 去 す る こ と に よ っ て 放 流 水 の 水 質 改 善 を は か る 処 理 方 式 で あ る 。 仮 設 沈 殿 池 を 使 用 す る 場 合 の 池 の 深 さ は 汚 泥 堆 積 の 厚 さ と 越 流 部 分 の 流 出速度を考慮して決める。通常は 1.5~2mとする。 必要容積確保困難又は水面積負荷率が 50m3/m2/日を超える場合は、傾斜板等の沈殿効 率 を 高 め る 補 助 材 を 利 用 す る こ と に よ っ て 目 標 水 質 を 達 成 で き る 場 合 が あ る 。 そ の 場 合は、傾斜板等により汚泥の収集・排除が妨げられないようにしなければならない。 仮 設 沈 殿 池 で は 短 絡 流 の 発 生 に よ る 水 質 低 下 を 防 止 す る た め に 整 流 壁 等 を 適 切 に 配 置 す る こ と 。 ま た 、 汚 泥 排 出 管 等 を 予 め 設 置 し 、 汚 泥 排 出 が 池 内 均 等 に 行 わ れ 、 堆 積 汚 泥 の 腐 敗 に よ る 硫 化 水 素 ガ ス の 発 生 や 水 質 悪 化 が 防 止 で き る よ う 配 慮 し な け れ ば な らない。 な お 、 通 常 の 沈 殿 池 に 備 わ っ て い る 越 流 堰 に よ る 均 等 排 出 機 能 や 掻 き 寄 せ 機 能 、 ポ ン プ に よ る 汚 泥 排 出 機 能 な ど を 持 た な い 仮 設 沈 殿 池 や こ れ ら の 機 能 が 損 な わ れ て い る 沈 殿 池 の 場 合 、 適 切 な 管 理 は 困 難 で あ り 、 十 分 な 除 去 機 能 を 発 揮 で き な い 場 合 が 多 い 。 BOD (mg/L) SS (mg/L) 大腸菌群数 (個/ml) 残留塩素 土木躯体利用の沈殿池 (県南浄化センターの復旧ステップ2) 県南 H23.6.6~ H23.7.14 太平洋 最初沈殿池(13.7m×19.2×3.4)+ 反応タンク(6.6m×63×5.55)+ 最終沈殿池(13.7m×47.7×3.6) 将来用既存1/2系列(第5、2/2) 78m3 /min 64.3 2.61 次亜塩 160~240 (平均203) 43~240 (平均139) 11~3,000 (平均566) 0.05未満 ~0.1 土木躯体利用の沈殿池 (仙塩浄化センターの復旧ステップ1) 仙塩 H23.3.22~ H23.6 貞山運河 予備タンク(2268m3 +900m3 )+ 最初沈殿池(6981m3)+ 反応タンク(32063m3)+ 最終沈殿池(14592m3 ) 既存2系列(第2,3) 52m3 /min 11.8 14.243.22~固形塩素 3.29~次亜塩 97~250 (平均161) 20~57 (平均41) 150~980,000 (平均370,458) 0.05未満 土木躯体利用の沈殿池 (石巻東部浄化センターの一次放流対 策) 石巻東部 H23.4~ 24.4 太平洋 3.95m x 16.2m x 3m x 2水路x4池 8,000m3/d 31.3 2.30 固形塩素 5.3~140 (平均67) 20~170 (平均67) 30~110,000 (平均6,637) 0.05未満 ~2.0 処理場敷地内の素堀沈殿池 (県南浄化センターの復旧ステップ1) 県南 H23.4.2(4.4) ~6.7 太平洋 35m x 35m ×1.5m 32m3/min 37.6 1.28 次亜塩 75~240 (平均159) 12~73 (平均29) 38,000~ 430,000 (平均 178,667) 0.05未満 増田川の一部せき止め 県南 ~H23.5.31 増田川 10m x 70m x 2m 8m3 /min 16.5 2.92 次亜塩 160~300(平均248) (平均41)25~54 150,000~ 1,200,000 (平均437,000) 0.05未満 処理場外敷地(多賀城緩衝緑地) での素堀沈殿池 仙塩 H23.3.20 ~8.5 砂押川 30m x 30m x 2m 8m 3 /min 12.8 3.75 固形塩素 120~200 24~28 1万以上~11万 0.05未満 ~1.6 石巻第2ポンプ場(真野川)での 素堀沈殿池 石巻東部 H23.3.26~ 7.19 旧北上川 18.5m x 5m x 1.5m 8m3/min 124.5 0.39 固形塩素 24~170 (平均79) 14~160 (平均61) 77~28,100 (平均5,043) 0.05未満 ~1.5 仮 設 沈 殿 池 ( 素 堀 ・ 河 川 一 部 せ き 止 め ) 沈殿池、仮設沈殿池の対応事例 消毒方法 沈殿 時間 (h) 水面積負荷 (m3/m2・日) 処理水量 寸法 期間 処理 センター (宮城県) 放流先 処理水質 沈 殿 池 ( 土 木 躯 体 利 用 )

表 2.1  被災した下水処理施設の状況  標準活性汚泥法と準拠施設 発災日 躯体損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込 設備損傷 対応 仮復旧見込 本復旧見込 動力・制御 対応 仮復旧見込本復旧見込 躯体損傷 対応 仮復旧見込 本復旧見込設備損傷 対応 仮復旧見込 本復旧見込動力・制御の 対応 仮復旧見込 本復旧見込躯体損傷 対応 仮復旧見込本復旧見込設備損傷 対応 仮復旧見込 本復旧見込動力・制御 対応 仮復旧見込本復旧見込 作成日 重軽微無 交換修理 無有(時期)無・有(時期)重軽微無 交換修理 無有(時期
図 2.2  土のうを使用し近傍水路へ導水した事例(宮城県多賀城市)
図 2.4  川の一部を締め切り簡易沈殿処理を行った事例(千葉県習志野市)  出 典 : 習 志 野 市 資 料 よ り 図 2.5  バキュームカーでの回収事例(茨城県潮来市)  出 典 : 国 土 交 通 省 「 下 水 道 地 震 ・ 津 波 対 策 技 術 検 討 委 員 会 報 告 書   平 成 24 年 3 月 」 よ り (2) 処理施設における対応  事 例   箇 所   放 流 方 法   消 毒   実 施 期 間   事 例 5 : 図   2.6  (宮 城 県 県 南 浄 化セ
図 2.6  緊急排水のための簡易消毒実施状況(宮城県県南浄化センター)  出 典 : 宮 城 県   県 南 浄 化 セ ン タ ー 「 甦 る 水 」 再 生 だ よ り Vol.1 よ り   図 2.7  仮設ポンプの設置状況(宮城県石巻東部浄化センター)  出 典 : 国 土 交 通 省 「 下 水 道 地 震 ・ 津 波 対 策 技 術 検 討 委 員 会 報 告 書   平 成 24 年 3 月 」 よ り 図 2.8  ポンプ場や幹線管渠人孔から河川等に簡易処理放流した事例  (旧北上川(石
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