応 急 復 旧 段 階 の 水 処 理 が 適 切 に 機 能 す る た め に は 、 汚 泥 処 理 処 分 を 適 切 に 行 う こ と が不可欠である。
特 に 応 急 復 旧 段 階 で は 生 汚 泥 が 主 体 と な る た め 性 状 が 不 安 定 で あ り 、 速 や か に 水 分 を除去し、最終処分に向けた搬出等を行う。
【解説】
下 水 処 理 は 汚 泥 処 理 が な け れ ば 成 り 立 た ず 、 下 水 処 理 に 伴 っ て 発 生 す る 汚 泥 が 排 除 さ れ 適 切 に 処 分 さ れ な い と 、 汚 濁 が 処 理 施 設 内 に 滞 留 し 、 最 終 的 に は 処 理 水 と 共 に 流 出することとなって著しく処理水質を悪化させることとなる。
し た が っ て 、 平 常 時 に お け る 備 え と し て 、 汚 泥 処 理 装 置 の 耐 震 化 、 耐 水 化 は 早 急 に 進 め ら れ な け れ ば な ら な い 。 既 存 施 設 に お い て は 対 応 が 困 難 な 場 合 も あ る と 考 え ら れ る の で 、 広 域 的 な 取 組 に つ い て あ ら か じ め 検 討 し て お く こ と も 重 要 で あ る と 考 え ら れ る。
(1) 発生量
応 急 復 旧 段 階 の 下 水 処 理 で は 、 乾 燥 固 形 物 重 量 と し て 除 去 さ れ た 浮 遊 物 重 量 や BOD 重 量 に ほ ぼ 等 し い 汚 泥 が 生 じ る と 考 え る の が 適 当 で あ る 。 実 際 の 発 生 量 は こ れ に 水 分 含 有 量 を 加 え た 値 に な る の で 、 処 分 に 先 立 っ て 濃 縮 ・ 脱 水 等 の 汚 泥 処 理 に よ っ て 体 積 と 重 量 を 削 減 す る こ と が 不 可 欠 で あ る 。 汚 泥 処 理 が 困 難 な 場 合 は 、 未 使 用 の 水 槽 内 や 敷 地 内 の 仮 置 き 場 等 に 一 時 的 に 貯 留 す る こ と が で き る が 、 広 大 な 貯 留 空 間 が あ る 場 合 を 除 き 、 短 期 間 の 対 応 に 限 ら れ る 。 長 期 の 汚 泥 貯 留 は 衛 生 害 虫 獣 や 悪 臭 を 発 生 さ せ る 原 因 と な る の で 極 力 こ れ を 避 け る と と も に 、 気 温 ・ 水 温 の 上 昇 に よ る 腐 敗 の 進 行 に 注 意 す る 必 要 が あ る 。 ま た 、 応 急 復 旧 段 階 で は 汚 泥 性 状 の 変 化 が 生 じ や す い と 考 え ら れ る の で 、 汚 泥 の 調 整 に 必 要 な 凝 集 剤 等 の 最 適 添 加 率 に つ い て 、 適 切 な 頻 度 で 検 討 を 行 うことが必要である。
表 3.9 運転管理の事例(汚泥処理)
県 南 浄 化 セ ン タ ー に お け る 汚 泥 処 理 の 運 転 管 理 事 例 : 処 理 場 職 員 へ の 聞 き 取 り 調 査 結 果 (2012 年 4 月 )よ り 作 成
・ 2011 年 12 月 1 日 ~ 2012 年 2 月 29 日 ま で の 汚 泥 処 理 量 ( 日 平 均 ) は 以 下 の と お り 。 県 南 浄 化 セ ン タ ー に お け る 汚 泥 処 理 実 績 ( 91 日 間 の 流 量 積 算 値 )
生 汚 泥 流 量 返 送 汚 泥 量 余 剰 汚 泥 流 量
簡 易 曝 気 Ⅰ 系 列 500m3/日 ( 1/4) 4,323m3/日 171m3/日 ( 1/4)
簡 易 曝 気 Ⅱ 系 列 139m3/日 ( 5/8) 12,677m3/日 418m3/日 ( 5/8)
・ 余 剰 汚 泥 引 抜 量 は 、 M L S S 調 整 に よ り 随 時 変 更 。
・ 生 汚 泥 は 固 定 の ま ま 運 転 。
・ 工 事 に よ る 水 処 理 の 停 止 に よ り 、 ろ 過 水 が 確 保 で き な く な る た め 、 脱 水 機 の 停 止 に あ た っ て は 直 近 の 脱 水 量 を 増 加 さ せ て い る 。
・ 汚 泥 処 理 系 は 、 重 力 濃 縮 槽 が 3 槽 中 1 槽 、 遠 心 濃 縮 機 が 3 台 中 0 台 、 消 化 槽 が 3 槽 中 0 槽 、 ベ ル ト プ レ ス 脱 水機 が 2 台 中 2 台 、 遠 心 脱 水 機 が 3 台 中 1 台 、 復 旧 し て い る ( 2012 年 4 月 現 在 )
・ 遠 心 脱 水 機 は 、 沈 砂 除 去 や 汚 泥 の ス ク リ ー ン が 稼 働 し て い な い 為 、 使 用 し て い な い 。
・ 被 災 前 の 消 化 槽 稼 働 中 の 汚 泥 発 生 量 は 約 50t /日 ( 消 化 槽 が な い 場 合 、 理 論 上 は 約 80t /日 と 推 測 ) 。 現 在 、 約 11t/日 の 発 生 量 で あ り 、 被 災 前 の 1/8 程 度 が 処 理 で き て い る と 推 測 。 水 処 理 量 が 被 災 前 の 1/10 程 度 で あ る と す れ ば 、 概 ね 妥 当 な 値 と 考 え る 。
(2) 対処法
汚 泥 処 理 に 必 要 な 設 備 は 、 既 存 施 設 の 復 旧 を 図 る こ と が 基 本 で あ る が 、 小 規 模 施 設 で は 移 動 脱 水 車 の 利 用 や 、 レ ン タ ル 機 器 の 利 用 が 可 能 な 場 合 が あ る 。 中 大 規 模 施 設 で も、機器メーカーの保有設備や他施設の予備機の活用等に関する可能性を検討する。
図 3.21 汚泥処理状況(仙台市南蒲生浄化センター)
出 典:仙 台 市 「東 日 本 大 震 災 における仙 台 市 下 水 道 事 業 の被 災 と復 旧」平 成 24 年 1 月
搬出先の確保 3.5.2
汚泥処理の復旧には、処分先・受け入れ先の確保が不可欠である。処分先へ搬出す るため必要な運搬車両が確保できることや、処分先まで運搬する車両が通行できる道 路が復旧していることも必要不可欠である。また、汚泥処理施設の被災に伴い、従来 焼却して灰として搬出していたものを脱水汚泥の形態で搬出せざるを得なくなる場合 等、汚泥形態が異なる場合においては搬送方法や輸送量も異なってくることに留意が 必要である。
また、他の下水処理場や他施設による汚泥の受け入れ、処理・処分も可能性として 検討し、平常時にあらかじめ災害時の支援協定を結ぶ等の準備を行っておくと、被災 時における協力が得られやすくなるものと考えられる。
汚泥処理装置 3.5.3
応 急 復 旧 段 階 に お け る 当 面 の 汚 泥 処 理 は 簡 易 沈 殿 処 理 施 設 か ら の 生 汚 泥 で あ る 場 合 が 多 い と 想 定 さ れ る 。 生 汚 泥 は 比 較 的 容 易 に 沈 殿 濃 縮 が 可 能 で あ り 、 多 く の 場 合 2 % 程 度 の 濃 度 で 次 の 処 理 工 程 に 送 る こ と が 可 能 で あ る と 考 え ら れ る 。 ま た 、 脱 水 機 お よ び 調 整 用 薬 剤 の 性 能 向 上 に 伴 い 、 2 % 程 度 の 濃 度 が あ れ ば 脱 水 可 能 な 装 置 が 普 及 し て い る 。 し た が っ て 、 沈 殿 法 汚 泥 に つ い て は 、 汚 泥 処 理 装 置 の 一 部 復 旧 や 仮 設 脱 水 装 置 の導入によって、脱水処理を行うことが可能であると考えられる。
凝 集 処 理 汚 泥 や 生 物 処 理 汚 泥 は 沈 殿 法 汚 泥 に 較 べ る と 濃 縮 性 が 劣 る た め 、 利 用 可 能 な 濃 縮 装 置 に よ る 濃 縮 性 を 検 討 し 、 不 十 分 な 場 合 は 、 よ り 低 い 濃 度 で も 脱 水 が 可 能 な 装 置 に よ る 脱 水 等 に つ い て も 検 討 す る 必 要 が あ る 。 し た が っ て 、 こ れ ら の 下 水 処 理 方 式 の 導 入 を 検 討 す る 場 合 は 、 発 生 汚 泥 量 の 増 加 に 対 す る 処 理 能 力 確 保 に つ い て 検 討 す
る と 共 に 汚 泥 の 濃 縮 ・ 脱 水 性 状 の 低 下 に 対 す る 対 応 に つ い て も 検 討 を 行 う 必 要 が あ る 。 汚 泥 の 減 容 化 に 必 要 な 濃 縮 ・ 脱 水 等 の う ち 、 近 年 の 機 械 式 処 理 装 置 に つ い て は 、 水 処 理 系 の 装 置 と 比 較 し て 小 型 で あ る こ と や 、 工 場 製 作 型 で 輸 送 時 の 振 動 対 策 か ら 装 置 自 体 が 高 い 耐 震 性 を 有 す る こ と な ど か ら 、 地 震 動 に よ る 被 害 は 比 較 的 受 け に く い と 考 え ら れ る 。 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 に お い て も 、 津 波 に よ る 浸 水 被 害 を 受 け な か っ た 施 設 で は 、 比 較 的 早 期 に 復 旧 が 可 能 で あ っ た 。 下 水 処 理 機 能 の 復 旧 に お い て 、 汚 泥 処 理 機 能 の 回 復 は 欠 く こ と の で き な い も の で あ る こ と か ら 、 将 来 の 災 害 に 備 え 、 こ れ ら の 装 置 は 、 そ の 設 置 建 物 が 十 分 な 耐 震 性 を 有 す る と と も に 、 浸 水 に 対 す る 安 全 性 が 確 保 で き る 位 置 に 設 置 す る こ と と し 、 更 に 、 汚 泥 搬 送 機 器 等 の 付 帯 設 備 に つ い て は 被 災 後 の復旧を早めるための備えを検討しておくことが望ましい。
汚泥の一時貯留 3.5.4
汚泥の最終処分が困難な場合は、最終処理形態で処理場内あるいは処理場外の一時貯留 施設に仮置きすることとなる。同じ容積の一時貯留施設で貯留可能な期間は、最終処理形 態が焼却灰の場合が最も長く、生汚泥の場合が最も短い。その期間は焼却灰の場合を 100 として、脱水汚泥ではおよそ 3、濃縮汚泥で 0.3、生汚泥では 0.1 である。焼却灰以外の 場合は、先に述べたように悪臭の発生等の問題が生じることになるため、それらに対する 対策を講じておくことが必要である。
図 3.22 汚泥仮置き場の設置事例(宮城県仙塩浄化センター)
出 典:宮 城 県 仙 塩 浄 化 センター「震 災 復 旧 だより(臭 気 対 策 編 )平 成 24 年 1 月 17 日」より