フェイズの リサイ クル と機能範噂の素性指定 I
西 原 ・ 俊 明
1.序
Chomsky(2000,2001a,2001b)の提案を もとに、 これまでの生成文法の枠組 みの中 で循 環節点 (サイクル)が果た して きた役割を フェイズとい う統語 的構成物 を単位 と して還元 していこうとす る試みが極小主義理論 のなかで進 め られて い る。 フェイ ズ.とい う単位 は、
数え上 げ(Numeration、又 は、LexicalAray)と呼ばれ る操作 によって予 め選択 され た語嚢 項 目を用 いて統語的構成物を生成 し、 その統語的構成物の書 き出 し(Spell‑Out)を含 む移転 (Transfer)に適用 され ると考え られている。書 き出 しとは、 語嚢項 目か ら生成 され たあ る 構成物 に併合(Merge)や統語的操作である移動(Move)を適用 した後、 その構成物 の情報 を 音声部門(PF)や意味解釈部門(LF)に送 る操作である。 また、二つの要素の結合 は、 併合 と 移動 によって行われ る。
このよ うな極小主義理論の文法 モデルの下で、 フェイ ズの リサ イ クル とい う観点 か ら削 除現象(ellipsis)を捉えようとす る試みに高橋(2002)がある。 この論考 で は、 高橋(2002)杏 概観 し、削除現象 に関わ るフェイズの リサイクル分析 の問題点 を明 らか に し、.機能範 噂 の 素性指定 の観点か ら代案を述べ る。
2.フ ェイズの リサイクル分析
高橋(2002)は、 フェイズの リサイクルとい う考 え方 を採用 し、削除現琴の分析 を試 みて い る。高橋 の分析の対象 とな った削除現象 は、(1)に見 られ る用例 (動詞句削除) に加 えて、
Ross(1969)が指摘 した間接疑 問文削除、Lobeck(1990)、SaitoandMurasugi(1990)が NP削除 と分析 した例である。 それぞれ、用例(2)(3)と して示す。
(1)JohnwillseehisfriendbecauseBillwon't[vpe
] .
(2)Johnknowshow tostudysyntax,butIdonltknow how.
(3).John'sstoryaboutMarywasboring,butBill'swasinteresting.
高橋 は、 (1)‑(3)に見 られ る削除現象を フェイズの リサイクルとい う仮定 に基 づ き、 分析 し ている. フェイズの リサイクル分析の骨子 はナ以下 の仮定である.
(4)派生 のある段階で意味解釈部門 に送 られ、その解釈 カミ決定 した要素 は用済 み とな る が、派生の後の段階で この用済みである要革 を再利用 (リサ イ クル) す る ことが可 能である。
(5)リサイクルされた要素 は、PFにおいて、削除(deletion)、又 は、脱 アクセ ン ト 化 などの音声的縮減 によって、 リサイ クルされた ことを示 さtI‑ければな らな
い。
では、(1)の用例を もとに高橋の分析を見てみよう。(1)の文 の派生 は、 以下 の過程 を経 て派生 され ると考え られる。先ず、 (1)の派生で用 い られてい る語嚢要素(John,will,see, his,friend,because,Bill,won't)が書 き出 され る(Numeration)。 こ こで は、 便 宜 上 、 won'tは単一要素 として取 り扱 う。次 に、併合 ・移動 によ って(6)‑(8)に示す過程 を経 て、
文が派生 される。
(6)主節の派生
a.[。phisfriend]
b.[vp‑see[。phisfriend]]
C.[Ⅴ‑Ⅴ [vpsee[。。hisfriend]]]
d.[,p■John [Ⅴ・Ⅴ [vpsee[。phisfriend‑]〕]]
e.[Twill[VPJohn [V・Ⅴ [vpsee[。phisfriend]]]]] f.lTPlrwilllvpJohn lv・V lvpseel,,hisfriend]]]]]] (7)従属節の派生
a.lv"VlvpseelDPhisfriend]]]
b.[vP Bill [Ⅴ…Ⅴ [vpsee[DP hisfriend]]]]
C.[Twon't[,pBill [V‑V[vpsee[。phisfriend]]]]]
d.lTPBilllrwon'tlvpBill lv‑V lvpseelDP hisfriend]]]]]
e.[because[TPBill[rwon,t[vP Bill [Ⅴ・・Ⅴ [VPsee[DIihisfriend]]]]〕 下線部 は、(6)の派生で用 いられた要素の リサイクル利用を示す。
(8)主節 と従属節の併合
[TPlrwill[vpJohn [V・Ⅴ [vpsee[,phisfriend]]]]]][because[冊Bill[r won't]
[,pBill [vHV [,psee[。phisfriend]]]]]
(6)に示 した主節の派生 は、 目的語が作 られた後、動詞 と目的語が併合 され、 その構成物 に 軽動詞、主語が順 に併合 され、 さらに時制辞が併合 され る。最後 に、vPの指定部 にあ る主 語がTPの指定部 に移動 して主節全体が生成 され る。 この派生では、 フェイズを単位 として、
循環的書 き出 しが適用 され る。先述 したChomskyによる一連の研究 で は、 フェイズを構成 するのはvPとCPであるとみなされている。 フェイズに関 して注 目すべ き点 は、 書 き出 しが 行われ、用済みとなる要素の特定である。 この用済 み とな る要素 は、Chomsky(2000)で提 案 されているフェイズ不可侵条件か ら考えると、vPの補部であるVPということになる。
フェイズ不可侵条件 とは、 (9)に示す条件である。1
(9)フェイズ不可侵条件
次の構造で、派生が
PH2
の段階 まで進んだ場合、主要部H
lとその指定部を除 き、PH
1内の要素 に操作 を加えて はいけない、 すなわち、Hlの補部 に操作 を加 えて はな らな
い。
[PH2‑H2‑[PHl‑Hl‑]‑](PH‑ phase)
したが って、VPを構成す るseehisfriendが リサイ クルされ る。
従属節 の派生 で は、 リサイクル されたVPが軽動詞 と併合 され、 さ らに、主 語 、 時制辞 と 併合 され、最後 に、主語 の移動 を経 た段階で接続詞 と併合 され、従属節全体 が派 生 され る。
(5)の仮定 に基づ くと、 リサイクルされた要素 は音韻的縮減 の対象 とな らなければな らない。
結果 と して、削除、又 は、脱 アクセ ン ト化が適用 され る。 リサ イ クル され た要 素 に削 除 が 適用 され た場合、 (1)が生成 され ることにな る。高橋(2002)で は、削除 と脱 ア クセ ン ト化 は 音韻的縮減 の異 な った具現化であ るとみなされてお り、 どち らが適 用 され て もさ しつ かえ ない。
これ まで概観 した高橋 の フェイ ズの リサ イ クル分析 で は、 音形 を もたな い従 属 節 のVP (削除が適用 された と考 え られ るVP)と主節のVPが同 じ解釈が与 え られ る とい う解 釈 の平 行性 を うま くと らえ ることが可能 にな る。 リサイクル分析 は、循環的書 き出 しが適 用 され、
LFにおいて意味解釈が済んだ要素 を削除 され るべ き位置 に再利用す る もので あ るか ら、 意 味上 の平行性 は当然 の帰結 と して得 られ ることにな る。
高橋(2002)は、命題 と して機能 す る ものが フェイ ズにな り うる とい うChomsky(2000)の 考 え方 を発展 させ、vP・CPに加 えて、DPもフェイズを構成 す る と仮 定 す る。 2 これ ら3
つの範噂の補部が、 フェイズ不可侵条件 によ り、 リサイクル適用 の対象 にな る。 つ ま り、V P、TP、NPが リサイクル適用 の対象 にな る。既 にVPが リサイクル適用 の対象 にな る例 につ いて見 たので、 ここで はTP、NPが リサイクルの対象 とな る例 を見 ることにす る。TPとNP が リサイ クルの対象 とな るそれぞれの例 は、間接疑問文削除、NP削除が該 当す る。
(10)(‑(2))
Johnknowshow tostudysyntax,butIdon'tknow how.
(ll)(‑3))
John'sstoryaboutMarywasboring,butBill'swasinteresting.
Lobeck(1990)の分析 によると、(10)は、概略、(12)の構造 を もっ と考 え られている.I
(12)Johnknowslcphow C lTPPRO tostudysyntax]],butIdon'tknow lcphow ClT,e]].
(12)の分析 は、主節 のTPを先行詞 と して、後続文 のTPが省略 されていることを示 している。
高橋(2002)の分析 では、先行文のCPが形成 された段階でその部分が フェイ ズ とな り、 書 き 出 しが適用 され、CPの補部、つ ま り、TPが用済み要素 とな って リサイ クルの適用対 象 にな る。 この部分が、後続文 ゐ派生 で再利用 され る.再利用 され る要素 は、 音 形 的縮 減 の対象 とな り、 その結果、削除が適用 されて(12)の文が派生 され る。
次 に、NPが リサイクルの適用対象 とな るNP削除の例 を見てみ よ う。NP削 除 が適 用 され た と考 え られ る(ll)の文 は、概略、 (13)の構造 を もつ と考 え られ る。
(13)
[ D P
John'sD[ N P
StoryaboutMary]]wasboring,but[ D P
Bill'sD[ N P
e]]was interesting.(13)で は、先行文 にお けるNPが、 同一性 の下 に、後続 のNPに削除が適用 されて いる。 この 現象 は、 フェイズの リサ イクル とい う観点か ら、次 のよ うに捉 え ることが可能 にな る。 先 行 文 において主語位置を 占め るDPが形成 された段階で、 フェイズとみなされ、 そ の補 部 で あ るNPが書 き出 しの対象 にな る。書 き出 しが適用 されたNPは、用済 み要素 とな り、後 に後続 文 の派生 のあ る段階で リサ イクル され る。再利用 され たNPは、(5)に よ って、 強 い音 形 的 縮減 であ る削除が適用 され、 (ll)が派生 され る。
上 で見 たよ うに、高橋 は、VP、TP、NPが リサイ クルの適用対 象 とな る ことを指摘 し、
削除現象 で省略 され るの は、 あ る種 の機能範時の補部 のみで あ る と結 論 づ けて い る。 この 高橋 の分析 は、極小主義理論 を フェイズとい う観点か ら一歩 推 し進 め た興 味深 い分析 で は あ るが、削除現象 に関 わ るその他 の言語事実 を見 る限 り、 問題 点 が多 く存在 す る ことが わ か る。 次節 では、解決 され るべ き問題点 につ いて考察す る。
3.リサイクル分析 の問題点
ここで は、高橋 の リサイクル分析 の問題点 を指摘す る。 高 橋 の分 析 に と って、 先 ず 問題 とな る現象 は、VP削除現象 であ る。 これ までの生成文法研究 において、動詞tryなどをは じ め とす るコン トロ‑ル動詞 (意味上 の主語 と して補文内 に空 の要 素PROが生 じる もの) と 動詞believe、considerをは じめ とす る例外的格付与構文 (ECM構文) で は、VP削 除 に関 し て文法性が異 な ることが指摘 されて いる。(14)に見 られ るよ うに、 コ ン トロール動 詞 は不 定詞toに後続す るVPを削除す ることは可能 であ るが、ECM構文 の場合 には不可能であ る。
(14)a.●Sam consideredMarytobeclever,andMikeconsideredJaneto[vpe]].
b.Johnwasn'tsurehe'dwintherace,buthetried lT,PRO tolvpe]].
(14)の文法性 の差 は、同 じVPを形成 していなが ら、VP削除の対象 にな る場合 とな らない場 合が あ ることを示 して いる。Stowell(1982)、Martin(1992)の分析 に したが えば、 コ ン ト
ロール動詞 に後続す る文 の不定詞toは[+Tense]であり、ECM構文に後続する不定詞toは[‑ Tense]である。 この不定詞toにおける指定 の違 いは、次 の例か ら支持 され る。
(15)a/JohnbelievedMarytobringthebeer.
b.
●
IconsideredJohntobringthebeer. (Martin(1992:15)) (16)a.Johntriedtobringthebeer.b.Johnmanagedtobringthebeer(bywinningthedraw).
(Martin(1992:15))
( 1 5 ) ( 1 6 )
における不定詞補文内のb r i n gt h eb e e r
は、出来事( e v e n t )
を表す述語で、Kr a t z e r
(1988)等 によると、出来事 と結 び付 く項の指定を受 け、 その指定 を もっ要素 に認可 されなくてはな らない。
Ma r t i n( 1 9 9 2 )
は、 この項の認可 に関わる指定 は、 [+Te n s e
]が担 うこと がで きると分析 している.ECM
構文 に後続す る不定詞t o
は、 [‑Te n s e]
であ り、 出来事 と 結 び付 く項を認可で きずに非文法的になる.他方、 コ ン トロール動詞 に後続 す る文 の不定 詞t o
は[+Te n s e
]であ り、問題の項を認可で きるために文法的になる。上で述べた不定詞の指定が正 しいものであるな らば、高橋 の リサイ クル分析 で は、 コ ン トロール動詞 に後続す る文の不定詞
t o
とECM
構文 に後続す る不定詞t o
の指定 の違 いを考慮 して、VP削除に関 して何 らかの道具立てが必要 になる。つまり、書 き出 しが適用 され、 リ サイクルの対象を決定す る段階で、不定詞t o
の指定を区別 し、 適用 に一定 の制 限 を加 え ることが必要 になる。
次に、 フェイズ
CP
の補部を形成するTP
が削除 される場合の問題点を考察す る。高橋 の分 析 によれば、 フェイズ不可侵条件か ら、 リサイクル適用の対象 としてTP
が挙 げ られている.0しか しなが ら、高橋の分析では
、TP
削除に関 して問題が残 る。次の例を見てみよう。 .( 1 7 )a.
[TPJ o h nf e l li nl o v ewi t hs o me o n e ] ,b u tId o n' tk n o w
[。pwh o
[。・[C+wh
] [m e]]].
b. ' J o h nc l a i mst h a t
[TP
Pa ml l o v e sh i m] ,b u tId o n' tb e l i e v e
[。p[。[。t h a t]
lT,e]]].
(17)の例か ら明 らかなように
、TP
削除が適用 される例 と適用 されない例が あ る ことがわか る.高橋の分析では、解釈 に関 して平行性をなす部分 が フェイズの段 階で リサ イ ク・'ル可能 とな り、(17)の差を説明す ることがで きないので問題である。.4.機能範晴の素性指定 と リサイクル条件
フェイズの リサイクル分析を維持 しなが ら、(14)(17)の差異 を説 明す るためには、 如何 なる道具立てが必要であろうか。(14)の例 は、 [±
Te n s e ]
の素性指定 に差が認め られ、( 1 7 )
の例 は、 [±
wh ]
の素性指定 に関 して差が認め られる例である。 これ らの素性指定 は、相補 分布をなす ものである。 [±Te n s e ]
の素性指定が相補分布をなす という事実 は、既 に、・ ( 1 5 )
(16)の事実か ら明 らかである。 また、 [±
Te n s e ]
の素性指定がPRO
の認可 に関 して も相 補 分布を示す という事実が観察 される。 [+Te n s e
]の指定を受 けた補文 内の主要部t o
は、 そ の指定部 にPRO
を認可で きるが、 [‑Te n s e]
の指定を受 けた補文 内の主要 部t o
はその指定 部 にPRO
を認可で きない。次の例が この ことを示 している。(18)
a.It i r e d[ PROt op e r s u a d eh i m ] . b. ● Ib e l i e v e[ PRO t bb eh o n e s t] .
一方、 [±
wh ]
の素性指定が相補分布をなす ことは( 1 9 ) ( 2 0 )
の事実か ら明 らかである。( 1 9 ) a.Iwo n d e rwh yh ed i di t .
b. ● Iwo n d e rt h a th ed i di t .
(20)a.'Ithinkwhyhedidit. b.Ithinkthathedidit.
(19)(20)か ら、wh一句 と補文標識thatが相補分布 をな して いることがわか る。還元すれば、
[± wh]の素性指定 が相補分布 をな して いるとい うことがで きる。 これ らの事実か ら、VP 削除 とTP削除 に関 して は、次 の一般化が可能 にな る.
( 2
1) フェイズの リサ イクル条件相補分布 をなす機能範噂の素性指定で、 マイナスの指定 を受 ける もの は、 書 き出 し 終了後、再利用 の対象か ら除外 され る。
(21)が与え られ ると、(14)(17)の差異 を正 しく予測す る ことが可 能 にな る。 つ ま り、 マ イナスの指定 を受 ける[‑Tense]のtoと[‑Wh]のCを中心 とす る要素 は、 リサイ クルの対 象 か らはず され、 その要素 を再利用 した派生 は破綻す ることにな る。
(21)の条件 は、繰 り上 げ述語 に後続す るVP削除 に関 して も正 しい予測 をす る ことがで き る。繰 り上 げ述語 に後続 す るVPは、判断 に揺れが認 め られ るものの、通例、容認 されない。
(22)?●Maryclaimstonot[VPlikebasketball],butsheappearsto[VPe]. また、繰 り上 げ述語 は、(15)(16)で見 た出来事性 を有す る述語 を とることがで きない。
(23)a.?●Johnseemedtobringthebeer.
b.?'Johnappearedtobringthebeer. (Martin(1992:16)) (23)の事実 は、繰 り上 げ述語 に続 く不定詞toが、[‑Tense]の指定 を受 けて い る ことを 示す ものである。 [‑Tense]の指定 を受 けているのであれ ば、 (21)の条 件 によ り、 フェイ ズにおける書 き出 しの段階で再利用 の対象 か ら除外 され る。 したが って、 除外 され るべ き 要素 を再利用 した(22)の派生 は破綻 し、非文法的 とな る。
(21)の機能範時の素性指定 に着 目 した フェイズの リサ イ クル条件 と(4)(5)は、 あ る種 の 削除等 にか関わ る言語事実 を説明で きるが、 さ らに精密化す る必要 があると思 われ る。
(24)Thebutcherislaughingandthebakerisebaker'S),too.
(24)の例 は、VP削除の例であるが、be動詞 の縮約 が適用 で きない ことを示す ものであ る。
be動詞 は、助動詞 と同 じ性格 を もっ ことか ら、 ここで は[+ Aux]の素性指定 を受 け、Tの 位置 に繰 り上 げ られ、 その後、 リサイクルされているVPが削除 されているもの とみなす こ
とにす る。 この分析 の下 で は、 リサイ クルによ って再利用 された要素 を削除 した場合、be 動詞 は音形的 には縮減 されず、 む しろアクセ ン ト付与 によ って リサイクルが適用 された こ
とを示す とみな さなければな らない。 したが って、 (5)は次 のよ うに改訂 され るべ きである。
(25)リサ イ クル され た要素 は、PFにお いて、 削 除(deletion)、 又 は、.脱 ア クセ ン ト化 な どの音声 的縮減 によ って、 リサ イ クル され た ことを示 さな けれ ばな らな い。 但 し、
be動詞 は除外 され る。
5.結語
この論考 で は、 フェイズの リサ イ クル分析 を概観 し、 そ の問 題 点 を指 摘 した。 ま た、 機 能範 噂 の素性指定 を もとに フェイ ズの リサ イ クル条件 を課 す こ とで、 フ ェイ ズの リサ イ ク ル分析 が維持 され る ことを見 た。 ここでの分析 は、計 算 上 の負 担 を軽 くす る とい う極 小 主 義 の 目標 を一歩 すす め る方 向性 を示唆 した もので あ る。今 後 は、 どの よ うな削 除 現 象 が リ サ イ クル分析 の対象 とな りうるのか言語事実 を精査 して い く必要 が あ る。3
注
1. フェイズ不可侵条件は、 フェイズによる派生に関 して、通過 したフェイズの指定部にある要素を除 いてフェイズへの振 り返 りを禁止することにより、言語計算の領域を狭 く限定 し、言語計算の負担を 軽減 していることになる. この意味で、極小主義をさらに一歩進めたものと言える.
2.大庭(2001)は、名詞句がもっ特定性 との関連か らDPもフェイズになりうることを指摘 している。
3.擬似空所現象(pseudogapping)は、対格を付与 される目的語NPとECMの主語を残す形で動詞が 削除される現象である。
(i)Ifyoudon'tbelieveme,you.willめ theweatherman・
Lasnik(1999)が示すように、主節の文末のNPに移動が適用されているとすれば、移動適用後 に動 詞が リサイクルされることになるが、NPの移動先を含めて検討すべき課題は多い。
参考文献
Chomsky,Noam (2000)"MinimalistInquiries.・TheFramework,"inStepbyStep/Essayson MinimalistSynlaxinHonorofHowardLasnihed.byR.Martin,D.Michaels,andJ.
Uriagereka,MITPress,Cambridge,MA.
‑ (2001a)"I)erivationbyPhase,"inKenHale:ALifeinLanguage,ed.byM Kenstowicz, MITPress,Cambridge,MA.
‑ (2001b)"BeyondExplanatoryAdequacy,"MITOccasionalPapersinLinguistics20.
大庭幸男 (2001)「フェイズとしての名詞句表現」
Kratzer,Angelika(1988)"Stage‑levelandIndividual‑levelPredicates,ms,Universityof Massachusetts.
Lasnik,Howard(1999)"ANoteonPseudogapping,"MITWorhingPapersinLinguistics27.
Lobeck,Anne(1990)"FunctionalHeadsasProperGovernors,"NELJS20
Martin,Roger(1992)"OntheDistributionandCaseFeaturesofPRO,"ms.Universityof Conneticut.
高橋大厚 (2002)「フェイズの リサイクル
」
『英語青年』8月号,研究社.東京.、 Ross,J.Robert(1969)"GuessWho?"inPapersfrom theSixthRegionalMeeting ofthe
ChicagoLinguisticSociety.
Saito,MamoruandKeikoMurasugi(1990)"N'‑DeletioninJapanese,"UconnWorkingPa‑
persinI,ingLListics2.
Stowell,Timothy(1982)''TheTenseofInfinitives,"L,inguisticInquiry13.