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OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (1/144). 常微分方程式入門. 原 惟行/松永秀章 著. 第3版. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (2/144). OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (3/144). 第3版まえがき. 本書は,2009年に刊行された『常微分方程式入門』の第 3版で,理工系学生. 向けに書かれた常微分方程式の入門書です.筆者が長年にわたり工学部で行っ. てきた常微分方程式の講義を基にして整理加筆したものであり,理工系学部の. 2年生あたりを対象にした半期の教科書あるいは入門参考書として編集されて. います.. ニュートン,ライプニッツによる微積分学の誕生と同時に常微分方程式は出. 現し,以来 300年以上にわたって物理学や工学の諸分野で重要な役割を果たし. てきています.一般的に,求積法で厳密解を求め得る常微分方程式は非常に少. ないことが 20世紀初頭に証明されていますが,定数係数の線形常微分方程式は. 厳密解が求まることがわかっています.. 本書は常微分方程式の解法だけに的を絞っており,微積分学を学び終えた学. 生が常微分方程式の解法に習熟できるよう例題をできるだけ多くし,解法自体. も整理した形で解説しています.. 第 1章では 1階の常微分方程式の簡単な求積法である変数分離法と定数変化. 法の公式について解説しました.. 第 2章では定数係数の線形常微分方程式に対して微分演算子Dを用いた記号. 解法を詳しく解説しています.使用する公式も少なくして,公式 2.2と公式 2.3. だけで,ほぼすべての非同次線形常微分方程式の一般解を求めることができる. ように工夫してあります.特に外力項が多項式の場合は割り算によって特殊解. が簡単に求められる山辺の方法も紹介してあります.. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (4/144). ii 第 3 版まえがき. 第 3章では連立線形常微分方程式に対する行列の理論を用いた解法を解説し. ています.定数係数連立同次方程式の解法は係数行列の固有値と固有ベクトル. を求める問題に帰着されることを学びます.また定数係数非同次連立方程式に. 対しては第 2章で学んだ記号解法が有効であることも解説しています.. 第 4章では常微分方程式の級数解法について解説してあり,ルジャンドルの. 微分方程式とベッセルの微分方程式を中心に取り扱っています.ベッセルの微. 分方程式の級数解はべき級数ではなく,λを実数として x(t) = tλ ∑∞. k=0 ckt k の. 形の級数解となる理由も述べてあります.. 本書では,常微分方程式の解法を理解しやすくするため,定理や公式の後に. 例や例題をできるだけ多く収録しています.また,理解を助けるため,必要に. 応じて注意書きを加えています.例題には詳しい解答が付してあり,例題の後. には問も付けてあるので,例題を読んで問を解いていけば,自然に解法が身に. つき自学自習できるようになっています.各章末には理解を深めるための演習. 問題があり,巻末には問と演習問題の解答を付けてあります.. 常微分方程式は理学,工学はもちろんのこと数理生物学や経済学等の分野にも. 広い応用をもっていますが,本書の内容は常微分方程式の解法に限っているの. で,応用には触れていません.それらに関しては各専門分野の書物に譲ります.. 2018年 1月. 著 者 . OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (5/144). 目 次. 第 1章 序 論 1. 1.1 はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1. 1.2 常微分方程式の初期値問題 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3. 1.3 1階常微分方程式の幾何学的意味 . . . . . . . . . . . . . . . . . 4. 1.4 変数分離形常微分方程式の求積法 . . . . . . . . . . . . . . . . . 8. 1.5 定数変化法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13. 演習問題 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17. 第 2章 線形常微分方程式の解法 18. 2.1 n階線形常微分方程式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18. 2.2 関数の 1次独立性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 20. 2.3 同次線形方程式の一般解 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 24. 2.4 非同次線形方程式の一般解を求める手順 . . . . . . . . . . . . . 25. 2.5 微分演算子 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 26. 2.6 逆演算子 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 29. 2.7 定数係数同次線形微分方程式の解法 . . . . . . . . . . . . . . . . 32. 2.8 定数係数非同次線形微分方程式の解法 . . . . . . . . . . . . . . . 38. 2.8.1 b(t) = Meαt(M , αは定数)の場合 . . . . . . . . . . . 38. 2.8.2 b(t)が多項式の場合 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 41. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (6/144). iv 目 次. 2.8.3 b(t) = eαtf(t)(f(t)は多項式)の場合 . . . . . . . . . . 45. 2.8.4 b(t) = eαt cos(βt + γ)または eαt sin(βt + γ)の場合 . . . 46. 2.8.5 b(t) = f(t)eαt cos(βt + γ)または f(t)eαt sin(βt + γ). (f(t)は多項式)の場合 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 50. 2.8.6 b(t) = b1(t) + b2(t) + · · · + bm(t)の場合 . . . . . . . . . 51 2.9 定数係数に帰着できる変数係数微分方程式 . . . . . . . . . . . . 52. 演習問題 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 55. 第 3章 連立線形常微分方程式の解法 56. 3.1 連立線形常微分方程式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 56. 3.2 ジョルダン標準形を用いた解法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 62. 3.3 微分演算子を用いた解法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 71. 演習問題 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 79. 第 4章 級数解法 80. 4.1 べき級数による解法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 80. 4.2 ルジャンドルの微分方程式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 87. 4.3 ベッセルの微分方程式とベッセル関数 . . . . . . . . . . . . . . . 92. 4.3.1 ベッセルの微分方程式の級数解 . . . . . . . . . . . . . . 92. 4.3.2 ベッセル関数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 94. 演習問題 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 106. 付録A 解の存在と一意性の定理 107. 付録B ガンマ関数 120. 問題略解 123. 索 引 133. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (7/144). ギリシャ文字. アルファ α A イオタ ι I ロー ρ P ベータ β B カッパ κ K シグマ σ Σ ガンマ γ Γ ラムダ λ Λ タウ τ T デルタ δ Δ ミュー μ M ウプシロン υ Υ イプシロン ε E ニュー ν N ファイ ϕ Φ ゼータ ζ Z グザイ ξ Ξ カイ χ X イータ η H オミクロン o O プサイ ψ Ψ シータ θ Θ パイ π Π オメガ ω Ω. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (8/144). OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (9/144). 本章の目的: この章では理工系学部の学生が出会う常微分方程 式について簡単に紹介し,常微分方程式の幾何学的意味や常微分 方程式の簡単な解法として変数分離法と定数変化法を紹介する.. 1.1 はじめに 大学の理工系学部に入学すると,低学年の段階で力学の講義で常微分方程式. に出会うことになる.例えば. おもりのついた細い棒の長さを l,鉛直下方からの振れの角度を θ,重力加. 速度を gとし,棒の質量を無視すれば,運動方程式は. l d2θ. dt2 + g sin θ = 0 (1.1). と表せる. とか. ポテンシャルエネルギー V (x)の下で,質量mの質点の 1次元運動は,速. 度に比例した抵抗力も考慮すれば. m d2x. dt2 + 2γ. dx. dt +. dV. dx = 0 (1.2). で与えられる. とか. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (10/144). 2 第 1 章 序 論. ポテンシャル V (x) = 2x2で表される調和振動子の系に外力 f(t) = F0 cos t. が作用する場合の運動方程式は. m d2x. dt2 + 2γ. dx. dt + 4x = F0 cos t (1.3). 図 1.1. で与えられる.また,y = dx/dt,. m = 1, γ = 0.02, F0 = 5,. x(0) = −0.5, y(0) = 0 とおけ ば,xy平面での (1.3)の解曲線. は図 1.1のようになる. とか.. この段階でついて行けなくなる学. 生も多いのではないだろうか?. なお,方程式 (1.1) の解は求まる. が,初等関数で表すことができず,. 非常に高度なので本書では扱わない.一方,(1.1)において,sin θを θで線形近. 似した微分方程式の解は三角関数で表せる(36頁の例題 2.4参照).. ところで,(1.3)において x(t)を時刻 tにおける位置座標を表すものとする. と,dx/dt, d2x/dt2 はそれぞれ時刻 tにおける速度,加速度を表している.時. 刻 tにおける現実の運動が時刻 tにおける加速度,速度,位置によって決まる. という発想の下で現実をモデル化して方程式 (1.3)が作成されている.もちろ. ん,(1.3)が現実を完全に再現するものではないが,かなりよく現実の運動を再. 現している.. ニュートン∗)以来,現実の運動を単純化し微分方程式を用いてモデル化して. 現実を再現するため,数多くの微分方程式が作られてきた.今後も多くの微分. 方程式が作られ解析されていくものと思われる.このため,基本的な定数係数. 線形常微分方程式の解法に習熟しておく必要がある.. 本書では,第 2章でそれらの方程式の厳密解の求め方をやさしく述べていく.. ∗)ニュートン (Newton, 1642-1727):イギリスの大物理学者,数学者.. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (11/144). 1.2 常微分方程式の初期値問題 3. 1.2 常微分方程式の初期値問題 独立変数 tの未知関数 x(t)とその導関数. x�(t) (. = dx. dt. ) , x��(t). ( =. d2x. dt2. ) , · · · , x(n)(t). ( =. dnx. dtn. ). および tの間の関係式. F (t, x, x�, · · · , x(n)) = 0 (1.4). を xに関する常微分方程式という.常微分方程式が n階の導関数を含み,それ. より高階の導関数を含まないとき,n階の常微分方程式という.例えば,前節. の (1.1),(1.2),(1.3)は 2階の常微分方程式である.. 常微分方程式 (1.4)を満たす関数 x(t)を (1.4)の解という.応用上では,単. に解を見つけ出せばよいというだけでなく,あらかじめ与えられた条件を満た. す解を見つけなければならないことが多い.例えば,(1.3)において時刻 t = 0. で初期位置 x(0),初速度 x�(0)が与えられたとき (1.3)を満たす解を求めよ,と. いう要求である.初期時刻や初期位置や初速度を合わせて初期条件という.与. えられた常微分方程式の解であって,与えられた初期条件を満たすものを求め. る問題を初期値問題という.. 常微分方程式 (1.4)の形が. a0(t)x(n) + a1(t)x(n−1) + · · · + an−1(t)x� + an(t)x = b(t) (1.5). となっているとき,すなわち左辺が未知関数 xとその導関数 x�, x��, · · · , x(n). に関して 1次式になっているとき,(1.5)を n階線形常微分方程式という.方程. 式 (1.3)は 2階線形常微分方程式である.未知関数やその導関数に関して 1次. 式でないものを非線形常微分方程式という.方程式 (1.1)や (1.2)は非線形常微. 分方程式である.方程式 (1.5)において,係数 ak(t) (k = 0, 1, · · · , n)が定数の 場合の解の求め方は第 2章で詳しく述べる.. これまで述べたのは単独微分方程式であったが,連立常微分方程式として表. されるものもある.例えば,質量mの 2個のおもりが滑らかな水平面上で 3本. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (12/144). 4 第 1 章 序 論. 図 1.2. のバネで直線的に連結されている場合の連成振動の運動方程式は ⎧⎪⎪⎨ ⎪⎪⎩. m d2x. dt2 = −kx + l(y − x). m d2y. dt2 = −ky + l(x − y). (1.6). で与えられ,未知関数 x(t), y(t)に対する 2元連立線形常微分方程式である.方. 程式 (1.6)の解法も第 3章の例 3.4で述べる.. 1.3 1階常微分方程式の幾何学的意味 1階常微分方程式が. x′ = f(t, x) (1.7). の形に書けるとき,正規形に表されているという.x = x(t)という関数が (1.7). を満たすとき,すなわち. x′(t) = f(t, x(t)) (1.8). が成り立つとき,x(t)は (1.7)の. 解であるといい,曲線 x = x(t). を (1.7)の解曲線という.(1.8)は. 時刻 tにおける解曲線 x(t)の傾き. x′(t)が座標 (t, x(t))における f の. 値 f(t, x(t))によって決まることを. 示している.. 図 1.3. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (13/144). 1.3 1 階常微分方程式の幾何学的意味 5. ■例 1.1 1階常微分方程式. x� = (cos t)x (1.9). の解曲線を x(0) = 1の下で考察しよう.[0, 2π]における cos tの値は. t 0 π4 2π 4. 3π 4. 4π 4. 5π 4. 6π 4. 7π 4 2π. cos t 1 √. 2 2 0 −. √ 2. 2 −1 − √. 2 2 0. √ 2. 2 1. であることに注意して,t = 0, π4 , 2π 4 , · · · , 2πにおける解 x(t)の傾きを矢印で. 表すとほぼ次のようになる.. 図 1.4. 傾き x�(t)は x�(t) = (cos t)x(t)であるが,各 tに対する x(t)の値が求まって. いないので cos tと x(t)の積は本当は計算できない.しかし,方程式 (1.9)の場. 合は初期値が正ならば解 x(t)も正であることが実はわかっており(13頁,命題. 1.1),傾き x�(t)の符号は判別できる.この考察により,解 x(t)の解曲線の概. 略を漠然とではあるが図 1.4のようにつかむことができる.次節で述べる変数. 分離法を用いると,x(0) = 1を満たす (1.9)の解は例題 1.1により x(t) = esin t. であることがわかり,真の解曲線は図 1.5のようになっている.. 図 1.5. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (14/144). 6 第 1 章 序 論. この例 1.1の考え方を押し進めると,一般の方程式 (1.7)に対して解曲線を. 折れ線で近似できないかという考えが出てくる.そこで,初期条件. x(t0) = x0 (1.10). の下で,方程式 (1.7)の解曲線を折れ線で近似する方法を考えてみよう.. 初期点 (t0, x0)を P0 と名づけ,十分小さい正の数 hを 1つ固定しておく.. 図 1.6. 図 1.7. 図 1.8. まず,(t0, x0) から傾き f(t0, x0) で. 直線を引き,点 P1(t1, x1)を ⎧ ⎨ ⎩. t1 = t0 + h. x1 = x0 + hf(t0, x0). と定義する.. 次に点 (t1, x1)から傾き f(t1, x1)で. 直線を引き,点 P2(t2, x2)を ⎧ ⎨ ⎩. t2 = t1 + h = t0 + 2h. x2 = x1 + hf(t1, x1). と定義する.. この作業をくり返し,点 Pk(tk, xk). を ⎧⎨ ⎩. tk = tk−1 + h = t0 + kh. xk = xk−1 + hf(tk−1, xk−1). と定義する.. これがコーシー∗)の折れ線と呼ばれるもので,(1.7),(1.10)を満たす解の近. 似解となっている.f(t, x)が滑らかな関数のとき,h → 0とするとコーシーの 折れ線は真の解に収束することが知られている∗∗).. 例 1.1の方程式 (1.9)に対してコーシーの折れ線を作ってみると次頁のよう. になり,h → 0とすると真の解(図 1.5)に収束することが見てとれる. ∗)コーシー (Cauchy, 1789-1857):フランスの数学者.. ∗∗)付録 A を参照.. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (15/144). 1.3 1 階常微分方程式の幾何学的意味 7. 図 1.9 h = π/4のときの (1.9)に対するコーシーの折れ線. 図 1.10 h = π/8のときの (1.9)に対するコーシーの折れ線. 図 1.11 h = π/16のときの (1.9)に対するコーシーの折れ線. 図 1.12 h = π/32のときの (1.9)に対するコーシーの折れ線. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (16/144). 8 第 1 章 序 論. 1.4 変数分離形常微分方程式の求積法 常微分方程式を変形し,変数変換,代数演算,不定積分等を有限回行い,初. 等関数を用いて具体的に解を求めることを求積といい,具体的に求められた解. を厳密解という.一般に,求積可能な常微分方程式は定数係数線形常微分方程. 式と特殊な形をした少しの方程式のみであることが知られている∗).歴史的に. 見れば,様々な形をした常微分方程式の厳密解を求める努力がなされてきたが,. ここでは変数分離形方程式の解法について簡単に触れておく.. 1階常微分方程式. x� = f(t)g(x) (1.11). を変数分離形という.方程式 (1.11)の右辺が tだけの関数 f(t)と xだけの関数. g(x)の積に分離されているので変数分離形と名づけられている.方程式 (1.11). の解 x = x(t)を求めよう.. (I) g(x0) = 0 となる x0 が存在するとき,定数関数 x(t) ≡ x0 は明らかに (1.11)の解である.. (II) g(x) �= 0のとき,方程式 (1.11)を 1g(x)x� = f(t)と変形し,両辺を tで 積分すると ∫. 1 g(x). x�dt = ∫. f(t)dt (1.12). となる.ここで G(x) = ∫. dx g(x) とおくと. d. dt G(x(t)) = G�(x(t))x�(t) =. 1 g(x(t)). x�(t). であるから,G(x(t))は 1g(x(t))x �(t)の原始関数となり,(1.12)は. G(x(t)) = ∫. f(t)dt + c (cは任意定数) (1.13). となる.Gの逆関数 G−1 が求まる場合は (1.13)により. x(t) = G−1 (∫. f(t)dt + c ). という (1.11)の解が求められることになる.この解法を変数分離法という.. ∗)常微分方程式の解の存在が保証されていてもほとんどの場合,具体的に解を求められないことが 20 世紀はじめに証明された.. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (17/144). 1.4 変数分離形常微分方程式の求積法 9. !注意 1.1 x� = dxdt より方程式 (1.11)を形式的に dx. g(x) = f(t)dtと変形し,両辺を 積分すると. G(x) =. ∫ dx. g(x) =. ∫ f(t)dt + c (cは任意定数). となり,(1.13)が得られる.実際の計算ではこのように計算してもかまわない.. ■例 1.2 変数分離法により,微分方程式. x� = 1 + x2 (1.14). の解を求めよう.(1.14)を 11+x2 dx = dtと変. 形し,両辺を積分すると∫ dx. 1 + x2 =. ∫ dt + c (cは任意定数). となる.これより tan−1 x = t + c となるの. で,求める解は x = tan(t + c)となる. 図 1.13 c = 0の場合の解曲線. � � 例題 1.1 変数分離法により,次の微分方程式を解け.. x� = (cos t)x (1.15) � � (解答) x �= 0のとき,(1.15)を 1xdx = cos t dtと変形し,両辺を積分すると∫. dx. x =. ∫ cos t dt + c (cは任意定数). であるから log |x| = sin t + c. となる.これより |x| = esin t+c = ecesin t,すなわち x = ±ecesin t = Cesin t (C = ±ec �= 0) · · · · · · ①. を得る.また,定数関数 x(t) ≡ 0も (1.15)の解であるが,これは①において C = 0とすると得られる.よって,. 求める解は. x = Cesin t (C は任意定数). となる. 図 1.14 C = 1の場合の解曲線. OrdinaryDifferential : 2018/01/26(18:8) (18/144). 10 第 1 章 序 論. !注意 1.2 通常は例題 1.1のような解法が変数分離法として知られているが,厳密 には問題点を含んでいる.この例題では x �= 0と x = 0の場合に分けて議論を進めて いる.ところが,xは実際には x(t)という関数であるから,x �= 0はすべての tに対 して x(t) > 0あるいは x(t) < 0を意味している.すなわち,例題 1.1の解法では. (1) すべての tに対して x(t) > 0あるいは x(t) < 0 (2) すべての tに対して x(t) = 0. という 2つの場合だけしか議論を行っておらず. (3) x(tn) = 0となる発散数列 {tn}が存在する という場合の議論がなされていない.例えば,x(t) = sin tというタイプの解を (1.15) はもたないのであろうか? x(t) = sin tが (1.15)の解でないことは明らかであるが, (3)のようなタイプの解 x(t)を (1.15)はもたないのであろうか? 実は付録Aの解の存在と一意性の定理,あるいは次節の命題 1.1を用いると,(1.15). は (3)のタイプの解をもたないことが証明できる.このため,例題 1.1では (1)と (2) の場合だけを議論すればよいことになる.きちんと変数分離法を用いて解を求めよう とすると解の一意性が成立しているかどうかチェックする必要はあるが,解の一意性 をチェックしなくても変数分離法は十分有効な解法といえる.. � � 例題 1.2 rとK は正の定数とするとき,次の微分方程式を解け.. x� = rx ( 1 − x. K. ) (1.16). � � (1.16)は生物の個体数の変動を表す微分方程式で,ロジスティック方程式と. 呼ばれる.. (解答) x �= 0かつ x �= K のとき,(1.16)を dxx(1−x/K) = r dtと変形し,両辺 を積分すると. ∫ dx. x(1 − x K. ) =. ∫ r dt + c (cは任意定数). となる.ここで ∫. dx. x(1 − xK ) =. ∫ ( 1 x − 1. x − K ). dx = log |x| − log |x − K|. であるから,上式は. log ∣∣∣ x x − K. ∣∣∣ = rt + c となる.これより |x/(x − K)| = ecert,すなわち

図 1.9 h = π/4 のときの (1.9) に対するコーシーの折れ線

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