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(1)

支配権変動に関する開示(一) : 米国の大量保有報 告制度における支配目的の開示と法の強制を中心と して

著者 松井 和也

雑誌名 同志社法學

巻 60

号 8

ページ 137‑216

発行年 2009‑03‑31

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011704

(2)

支配権変動に関する開示(一)一三七同志社法学 六〇巻八号

支配権変動に関する開示(一) ―

米国の大量保有報告制度における支配目的の開示と法の強制を中心として

松 井 和 也

  (四四〇九)

                                 

       

               Schedule13D       Item4                       

(3)

支配権変動に関する開示(一)一三八同志社法学 六〇巻八号

  (四四一〇)

                                                                                  

        

   Schedule13G                                                 

はじめに

  大量保有報告制度

支設て開示するためにけ対られた制度である。しには動、会社支配権に変が者生ずる可能性を投資 1)

配権の変動は、経営者の変更につながるという点で重要である。また、そのための株式大量取得の取引においてはプレミアムが含まれることになりがちである。このように、会社支配権の変動に関する情報は、投資者の投資判断にとって

きわめて重要となる。そのため、本制度は支配権を変動させようとする大量保有者に対して、株式保有割合などの客観

(4)

支配権変動に関する開示(一)一三九同志社法学 六〇巻八号 的な情報に加えて、支配目的を有していることについても開示させようとしている。つまり、大量保有者は純投資目的で株式を取得・保有しているだけなのか、それとも支配目的を有しているのか、本制度は明らかにさせようとしている。

そのことによって、他の投資者は支配権変動の可能性を示唆する情報を得たうえで、投資判断を下すことが可能となっている。

  しかし、支配目的を有していることを開示すれば、株式取得コストのさらなる上昇を招く可能性があるなどの理由から、大量保有者はその旨の開示を避けるか、なるべく遅らせようとするかもしれない。支配目的を有しているにもかか

わらず、純投資目的による株式の取得・保有であるという開示をしている場合、そのような開示は違法であると考えられる。

  そこで、以下の点について検討することが必要であろう。第一に、そもそも支配目的とはどのような目的のことなのか。そして、具体的にどのような状況であれば、支配目的がある旨の開示をしないことが違法となるのか。本稿では、

米国の一九三四年証券取引所法の規定、それに基づく規則、そして支配目的を有していることを開示するべきであったと判示された裁判例をもとに、支配目的について考察したい。

  第二に、大量保有者が支配目的を有している場合であっても、前述のような理由から、そのことは積極的に開示され

ないという問題がある。支配目的がある旨の開示を適時にさせるためには、どのような方法があるのだろうか。そこで、本稿では、支配目的があることを開示しないことが違法となる場合、違反者である大量保有者にはどのようなペナルテ

ィーが与えられるべきなのか検討したい。そのために、米国においては、わが国とは異なる方法によって法の強制が図られてきたこと、すなわち、発行会社が提起した訴訟において、連邦裁判所はわが国にはないような救済を与えてきた

ことを紹介したい。

  (四四一一)

(5)

支配権変動に関する開示(一)一四〇同志社法学 六〇巻八号

第一章  ウィリアムズ法の趣旨 第一節  ウィリアムズ法の制定による開示制度の導入 一  ウィリアムズ法の制定   一九六八年、いわゆるウィリアムズ法

大公が改正され、開所買付制度および法引、の券証年四三九一取てっよに定制 2

量保有報告制度が導入された。当時の米国においては、とりわけ現金による公開買付(

ca sh t en de r of fe r

)の件数が急増していた。上場会社に対する現金買付の件数は、一九六○年にはわずか八件に過ぎなかったが、一九六六年には一○

七件に急増していたという

資し券証年三三九一、て関五に券証るれさ付交て法条とる投でり限のそ、でのなにと要必が録登くづ基し価対、はに合

r te nd er sh ffe o ar e

は、次のこと。指てしと由理のそが交摘)場るれわ行が(で換式株。るき 3)

者に対する情報の開示が行われる。また、同じく支配権獲得の方法である委任状勧誘(

pr ox y co nt es t

)については、証券取引所法一四条に関する規則により、情報が開示されることになる。これに対して、現金買付が行われる場合、開 示を要求する規定はなく、それが詐害的な場合にだけ規則一○b五による救済が問題となり得るに過ぎなかった

4)

  このような状況のなかでウィリアムズ上院議員は、現金買付に応じるか否かに関する判断材料が、投資者に与えられ

ていないことに問題があるとして、事前の開示を要求する制度を提案した。彼は事前開示の必要性について、次のように述べていた。﹁株式の買集めは、公開買付に先立って、あるいは同時に行われる。公開買付が行われない場合でも、

会社支配権の変更に関係するだろう。⋮⋮いずれにせよ、投資者は、株式が大量に取得される場合には、事前に情報の開示を受けることによって保護されるという権利を有しているのである﹂、と

31 27

S.

案(案法たれさ提に会議、年五六九一。 5

をは株式を取得する場合に、超その二○日前の届け出の%)法の内容は、証券取引所一五○条に⒞項を追加して、 6)

  (四四一二)

(6)

支配権変動に関する開示(一)一四一同志社法学 六〇巻八号 要求するというものであった。また、一○%超の株式を実質的に所有している者に持株報告義務を課している証券取引所法一六条⒜項を改正して、五%超の株式取得の場合に継続的な開示を要求するというものであった

。なお、会社支配 7

に影響がない場合、すなわち①過去一二か月での取得の合計が二%を超えない場合、②純投資目的での取得であって、会社支配に影響を及ぼさないとSECが認めた場合には、例外として開示を要求しないものとしていた

8

  この提案に対して、証券取引委員会(SEC)は次のような指摘をした

改株関に得取の式いてならよに付買しは公定の条三一るめて、いつに務義告報開。の対る一四条改正で応するべきであ 付制規の。買開公関に所しては、証券取引法 9)

正で対応するべきである。また、事前の届け出を要請していることには問題があるとした。すなわち、例えば相続によって株式を取得した場合、事前に届け出ることは不可能であるし、開示後に取得の意思を翻し、取得をとりやめたり、

逆に売却したりするような場合には、他の投資者を誤解させることになる。

  このようなSECの見解を取り入れ、ウィリアムズ上院議員は、一九六七年に再び法案(

S. 51 0

)を提出した。彼は、 法案を起草するにあたっては、会社の経営者および買付者のいずれに対しても、有利とならないように留意したと述べている

。、たれさ行施に年八六九一し過通を院両下上は案法。 10

  このようにして、一九三四年証券取引所法の一三条に⒟項が新設され、大量保有報告制度が導入された。一三条⒟項 の内容は、一○%超の株式取得後、一○日以内の開示を要求するというものであった

。く場合は、事前の開示ではな取得得後の開示が要求されているの取違付式い、公買開によらない株 のまり、当初は法案の内容と。つ 11

  その後、一九七○年に、一○%基準は五%基準に変更された。それは、五%超の株式取得であっても、会社支配の変更につながる可能性があり、このことは、投資者に開示すべきであると考えられたからである

12

  (四四一三)

(7)

支配権変動に関する開示(一)一四二同志社法学 六〇巻八号

二  一三条⒟項に基づく開示制度の意義   一でみたように、そもそも大量保有報告制度は、公開買付に対する規制の一環として提案された。つまり、会社支配権の変動に際して、投資者保護の観点から設けられた規制であるといえる。より具体的にいえば、投資者は証券取引所 法一三条⒟項に基づく開示規制によって、比較的短期間の間になされる株式の大量取得や大規模な買増しに関する情報を得ることができる

断をもたらし得る情報知動ったうえで、投資判を変、にのことによって投。資者は会社支配権そ 13

in fo rm ed in ve st m en t d ec isi on s

)を下すことが可能となっている

14

  さらに、SECの委員長であったコーエン(

M an ue l F. C oh en

)は、一三条⒟項に基づく開示制度が導入されること には次のような利点があると説明していた。証券取引所法一六条⒜項は、発行会社の取締役、役員、および持分証券の一○%超の実質的所有者に対し、当該証券の保有状況や変動をSECに届け出ることを義務づけている

。ただし、一六 15

条⒜項に基づく規制は、不公正な取引を抑止するためのものであるので、株式の取得および保有目的、さらに株式の保有者が有している計画についてまで開示することを要求するものではない。これに対して、一三条⒟項に基づく開示制

度は、大量保有者に対して、このような情報の開示を要請している。投資者は会社支配権の変動について、このような情報を勘案したうえで、投資判断を下すことができる

16

  こうした見解に対しては、次のような批判があった。一三条⒟項に基づく開示は、余分な情報を含むことになりがちである。また、社外の者に過ぎない大量保有者に計画の開示をさせたところで無意味である

。一三条⒟項による開示が 17

必要な場合は、大量保有者が会社支配権を取得する意図を有している場合に限定すべきである

18

  これに対して、コーエンは次のように反論した。批判者の提案によれば、株式保有者が明らかに支配目的を有してい

るといえる時まで開示がなされないおそれがある。大量の株式取得よって会社支配権に変動が生ずる可能性を、投資者

  (四四一四)

(8)

支配権変動に関する開示(一)一四三同志社法学 六〇巻八号 に対して開示するという制度の目的に照らせば、この時点での開示では遅すぎることになる

示うは限定されているといえる。そで場あれば、一三条⒟項に基づく開合る討、での検なよればに計の開示が必要と画 一お、二章項節三款二。な 19

がなされる場合、常に計画の開示が必要となるわけではないので、前記のような批判はあたらないといえよう。

  結局のところ、一三条⒟項に基づく開示制度は、支配目的の有無にかかわらず、開示が必要だとしていた。しかし、

一九七○年に報告基準が一○%から五%に引き下げられた際、機関投資家側から、会社支配権に影響を及ぼすことを意図していないにもかかわらず、報告の負担を強いられることになるという批判があった。その結果、支配目的を有して

いない者には簡易な方法による開示が認められた

。て照参款一節三章二、はいつに度制示開な易簡。 20

第二節  ウィリアムズ法の継受一  平成二年の証券取引法改正による開示制度の導入   公開買付制度は、昭和四六年(一九七一年)の証券取引法改正によって導入されていた。これは、事前の届け出と対象会社への通知を要求するという点で、攻撃側に不利、防御側に有利なものであった

九、一(年二成平てし対にれこ。 21

九○年)の改正は、事前届出制を廃止するなどの点で、公開買付を容易にするものとなった

。その一方で、同年の改正 22

によって大量保有報告制度が導入された。

  当時は、株式の買集めが問題になっていた

るるで買い取らせこ高とを目的とす値を発。株に側社会行式、はく多のそ 23

ものであった。これに対して、会社の経営者は買集めを察知することは容易ではなかった。そればかりか、株式買集め者が経営を脅かし、会社支配に影響を及ぼす可能性もあった

開が公、はとこいなれさ示開報情るす関にめ集買、たま。 24

買付が行われる場合に買付者の存在が開示され、株主は高値で株式を売却するチャンスが与えられていることと比べる

  (四四一五)

(9)

支配権変動に関する開示(一)一四四同志社法学 六〇巻八号

と、投資者にとっても不利益となっていた

25

  このような状況のなか、証券取引審議会・不公正取引特別部会は、開示制度のあり方について次のように提言した

公代、高値による売抜け・肩わ強り等各種の目的を持って、化のお係近の我が国証券市場にいては、経営参加、取引関 。﹁最 26

開会社の株式等を大量に買い集める事例が増加している。⋮⋮買集めや肩代わり等に伴い株価の乱高下が生ずることが多く、これらに関する十分な市場情報を有していない一般投資者に不測の損害を与えかねないという問題がある。⋮⋮

市場の公平性、透明性を高め、投資者保護を一層徹底するという見地から、買集めなどによる株式等の大量の取得・保有・放出に関する情報が適時適切に投資者に伝わるよう、所要の制度の見直しを進めていく必要がある

﹂。 27

二  開示制度の意義   大量保有報告制度のもつ意義について、当時の立案担当者は次のように説明していた

かこを及ぼす重要な情報であるが、れ影判点観ういと断資ら投、は報情の響に分は処断関する情報に、資者の投資判投 の券等の大量保取得・有・。﹁株 28

らみると、①会社の支配権を変更したり経営に影響を及ぼす可能性を示す情報と、②市場における需給に関する情報という二つの側面に分けて考えることができる﹂。

等の経りたし更変を権配支社に会てじ通を等権決議の営影、め的目有保や在存のそ、た響るあに場立る得しぼ及をそは   ﹁経を性能可の響影のへ営やす更変の権配支の社会の示①プ保ールグや者るいてし有に報量大を等券株、は味意の情

に関する情報は、投資者の投資判断に影響を及ぼすことが可能であるということである。﹂﹁②の需給情報という側面については、⋮⋮株式等の価格に大きな影響を及ぼすことが考えられる特定の者やグループによる大量の株券等の取得

(保有)や処分に関する情報は、⋮⋮投資者に迅速に開示され、投資者が当該株式等の需給関係を適切に把握できるよ

  (四四一六)

(10)

支配権変動に関する開示(一)一四五同志社法学 六〇巻八号 うにすることが望ましい。﹂

  ただし、株式でも議決権のないものは、どれだけ大量に保有していても開示しなくてよい(株券等の大量保有の状況

に関する内閣府令三条の二)。また、二章三節二款で後述するように、会社の経営や支配に影響を及ぼす目的のない機関投資家等に対しては、簡易な方法での開示が認められている。つまり、本制度の目的は、単なる需給情報を提供する

ことにあるのではなく、発行会社の経営・支配にかかわる証券の保有に関する情報を開示させることにあるのである

29

  以上のことから、本制度のもつ意義については、次のようにいえよう。すなわち、本制度は投資者保護を目的とする ものである。具体的にいえば、本制度によって株券等の大量保有者には、その存在、保有割合、そして保有目的等につき開示することが求められている。そのことによって、投資者は会社支配権変動の可能性に関する情報を得たうえで

30

投資判断を行うことが可能となっている。

第二章  支配目的の開示 第一節  一九三四年証券取引所法による開示 第一款  保有目的の開示に関する規定一 

Sc he du le 13 D

による開示

  五%を超えた株式の所有者となった者は、保有割合等の客観的な情報に加えて、株式の保有目的についても開示しなければならない。一章一節二でみたように、投資者は会社支配権の変動について、このような情報を勘案したうえで、

投資判断を下すことが可能となっている。

  (四四一七)

(11)

支配権変動に関する開示(一)一四六同志社法学 六〇巻八号

  一九三四年証券取引所法の一三条⒟項㈠号は、次のように規定している。本法一二条に基づいて登録された持分証券

31

等につき、直接・間接を問わず五%を超える実質的所有者となった者は、取得後一○日以内に

な、れている証券取引所に送付しか引つSECに提出しなければならさ取、行報告書をが券の発証者および当該証券、 報要な情たを記載し、必 32

33

  一九三四年証券取引所法規則一三d一⒜は、書式一三D(

Sc he du le 13 D

)において要求されている情報を記載した 報告書を提出するように規定している

34

 

Sc he du le 13 D

については、規則一三d一○一が規定している。そこでは、次の七項目(

Ite m

)について、記載上注 意する旨、指示されている

4 Ite 3 , , 6 7 m Ite m 6 Ite m

関するあに。ゆ券証の者行発:ら協る連付添の類書る契す関に:。定や約

Ite 5 m Ite m 4

割・合るめ占に体全がれそ数お式株得取:保有目的。、よび去。況状引取の間日六○過るす関に券証該当: 額資の金資たのお通なで程過の務業の常がれ付貸、しだたよ源金さ(たはのびそ)。いなれさ開公称名の行銀、ばれあで

3 2 Ite m m Ite 1 m Ite

証び名者行発およ券称名の:。。。報し要に得取:情:るす関に者得取 35

二 

Ite m 4

:保有目的の開示   このように、現行の

Sc he du le 13 D

Ite m 4

は、株式の保有目的について記載するよう求めている。具体的には、次のように規定している。

  株式の保有目的を記載すること。   以下の事項に関連する、またはそれらの事項を惹起するような計画や提案を大量保有者が有している場合には、これ

を記載すること。

  (四四一八)

(12)

支配権変動に関する開示(一)一四七同志社法学 六〇巻八号   ⒜  発行者の証券の追加取得または処分。

  ⒝  発行者またはその子会社が関係する合併、会社更生、または清算等の特別な取引。   ⒞  発行者またはその子会社の資産の重要な額での売却または譲渡。   ⒟  取締役の数、もしくは任期の変更、または欠員の補充など、発行者の現在の取締役会または経営陣に関するあら

ゆる変更。

  ⒠  発行者の資本構成または配当政策の重要な変更。   ⒡  発行者の事業または会社の組織に関するその他の重要な変更。   ⒢  発行者の定款、付属定款、もしくはこれらに相当する証書の変更、またはその他の者による発行者の支配権の取

得を阻止することになる行為。

  ⒣  証券の上場廃止。   ⒤  本法一二条⒢項㈣号による証券の登録解除。   ⒥  以上の事項に類似する行為。   これに対して、一九七八年改正前の

Ite m 4

は、次のような規定であった

36

  株式の保有目的を記載すること。   株式の保有目的に発行者の事業を支配する目的が含まれているのなら、発行者の清算、資産の売却、第三者との合併、そのほかに発行者の事業に重要な変更を加える計画または提案について記載すること。

  (四四一九)

(13)

支配権変動に関する開示(一)一四八同志社法学 六〇巻八号

  改正前の規定のもとでは、支配目的を有しているといえる場合が、清算や合併等の特別な取引をしようとする場合に 限定されてしまうおそれがあった。また、そのことによって、計画や提案の開示が十分になされないおそれもあった。このような理由から、

Ite m 4

は前述のように改正された

37

  こうした経緯からみれば、現行の

Ite m 4

は、支配目的を有していなくとも、列挙されているような計画や提案に関する広範な開示を要求しているという解釈もあり得るのかもしれない。そこで、次の点が問題となろう。支配目的を有

しているといえるのは、どのような場合か。また、計画や提案を有している旨につき開示が必要となるのは、どのような場合か。これらのことを開示しないことが違法になるなら、どのようなペナルティーが与えられるのか。これらの点

については、本節三款および三章一節で検討する。

三  変更報告書の提出   ⑴  保有割合の変更の開示   五%超の株式取得後、

Sc he du le 13 D

を提出した者は、それ以後の保有状況の変動について開示しなければならない。証券取引所法の一三条⒟項㈡号は、以前に開示した事項に関して﹁重要な変更(

m at er ia l c ha ng e

)﹂が生じた場合は、﹁す みやかに(

pr om pt ly

)﹂変更報告書を提出しなければならないとしている

なりで減増いな少よっれこ、たま。るあてさ重みと更変な要はもてっよに況状、れなのみ有割合増減は、重要な変更と 二d上三一則に⒜のよれば、一%以。保規 38

され得る

39

  以下では、保有割合の減少に関して﹁すみやかな開示﹂がなされていなかったと判断された事例を紹介しよう。この

事例においては、大量保有者が全株式を売却したことを開示した結果、株価が大幅に下落した。株式を大量に保有して

  (四四二〇)

(14)

支配権変動に関する開示(一)一四九同志社法学 六〇巻八号 おり、支配目的も有しているかもしれない者が、自身の保有割合の減少について開示することなく株式を売り抜けようとする場合、そうした事情を知らずに株式を購入する者は不利益を受けることになろう。このような事態を招かないた

めに、保有割合の減少については、すみやかに開示する必要があるとされている。いつ変更報告書を提出すれば、すみやかな開示といえるのだろうか。

 

In re Cooper Lab., Inc

.

40

  [事実の概要]

  Y社はかねてよりA社に対する投資について検討を重ねていた。Y社は証券会社にA社株の取得について依頼し、A社株を約四・九%取得した。

  Y社・A社の間で数回の接触があった。その後、A社からY社に対し、A社株売渡しの申し出があり、Y社はこの申し出に応じた。これによって、Y社によるA社株の所有割合は、一一・一%となり、五%の基準を超えたので、一九八 四年八月二○日にY社は

Sc he du le 13 D

を提出した。   その記載内容は概ね次の通りである。Y社によるA社株取得の目的は、投資戦略上の重要な地位を得ることである。

Y社・A社の間でM&Aに関する話し合いの機会が持たれたが、いかなる合意も得られていない。Y社は現在のところ

A社株を追加取得するつもりはないが、自らのポジションについて見直すことはあり得る。つまり、買い増す、または売却する権利を留保している。さらに、将来、Y社・A社間の話し合いが再開されることや、投資目的による市場での

取引、または支配目的による公開買付によって、株式を取得する可能性があることについても示唆されていた。

  なお、五月二二日から八月八日までは、二二ドルから二四ドルの間で株価は推移していたが、その後三週間は、三四

ドルまで株価は高騰し、出来高は一カ月前と比べると一○倍となっていた。これは、八月九日から八月二九日までの間

  (四四二一)

(15)

支配権変動に関する開示(一)一五〇同志社法学 六〇巻八号

は、Y社がA社株をさらに購入することになるのではないかと考えられていたためであろう。

  前述のように、Y社が

Sc he du le 13 D

を提出したのは、八月二○日であった。その五日前の、八月一五日には、Y社がA社株の取得を進めていること、そして近日中にY社により三○ドル後半から四○ドル前半の価格で、A社の株主に

対する公開買付を開始するかもしれないと報じられていた。

  しかし実際には、

Sc he du le 13 D

が提出された八月二○日から九日後には、Y社はA社株の売却を開始した。売却の

理由は、株価が上昇していたことや、A社との合併による事業上の利益が見込めなかったためであるという。

  そして、九月六日には、売却量は一%以上に達していた。つまり、規則一三d二⒜によれば、すみやかに変更報告

書を提出する必要がある。その後も、Y社はA社株の売却を続けていた。株式の売却を開始した八月二九日から九月一二日までは、株価は三一ドルから三四ドルまでの間で推移していた。

  九月一三日、Y社は変更報告書を提出して、八月二九日から九月一二日までの間に、すべての株式を売却したことを開示した。その結果、株価は二七ドルに急落した。

っ変、てし出提を書告報更に社かやみすは社Y。たしA株減含あが要必るす示開てめもの格価却売ていつに却売少てえ   [

D Sc he du 13 le

月、割決有保の株社Aは六の要旨は] 九に日合審、比超を%一、とるべと八たれさ出提に日○月二

た。また、さらに売却する予定があることも開示する必要があった。

  変更報告が﹁すみやかに﹂されたかどうか、判断の明確な指針はないが、事案の内容や状況に応じて柔軟に解釈すべ

きである。すなわち、すでになされている開示の影響や、新たな報告内容に対する市場の反応等を勘案して判断されよう。提出のために要する合理的な時間の超過後に、変更報告書を提出したならば、それはすみやかな報告とはいえない。

  本件についていえば、Y社によるA社株式の売却に関する情報をすみやかに開示するためには、九月七日に変更報告

  (四四二二)

(16)

支配権変動に関する開示(一)一五一同志社法学 六〇巻八号 書を提出する必要があり、またその日に報告書を提出することは可能であった。これに対して、実際に変更報告書が提出されたのは、九月一三日であった。Y社は自身の保有割合の減少について開示することなく、A社株を売却した。

  [救済方法]

  以下のような内容の和解が成立した。九月七日から九月一三日までの間に、Y社がA社株を売却することによって得た利益(約二二○万ドル)に相当する額を、その間にA社株を購入したと主張する者のために信託してお

くこと。

  以上のように、変更報告書が﹁すみやかに﹂提出されたかどうかに関しては、柔軟に解釈すべきであるとしたうえで、

Sc he du le 13 D

で記載されていた保有割合と比べて、一%以上減少した日の翌日には、変更報告書を提出して保有割合

の減少について開示すべきであったとした。

  ⑵  保有目的の変更の開示   規則一三d二⒜によれば、保有割合の増減に限らず、

Sc he du le 13 D

で開示した事項につき重要な変更が生じた場合は、すみやかに変更報告書を提出しなければならない

D 13 le du he Sc

的目の保開示が求めら有れはで、にうよの述前。 41

ている。保有目的について重要な変更が生じた場合は、変更報告書の提出が必要となろう。以下では、このことに関す

る事例を紹介しよう。

 

In re Merry Land & Inv. Co

.

42

Sc he le 13 D du

て月、に間の月八らか二社。たし出提をた。八Yはし、出提も書告報更変しAを却売や得取のい社株月   [社会付貸蓄貯(社Aは)会)資投(社Y] 要概の実社事にで日八月一年五八九一、の株たし得取%四・七を式の

  (四四二三)

(17)

支配権変動に関する開示(一)一五二同志社法学 六〇巻八号

二一日、Y社は五回目の変更報告書を提出した。A社株の保有割合は、八・八%であった。

  保有目的の記載は次の通りである。Y社はA社の取締役会や経営者を変更するといった計画は有していない。A社の取締役らとM&Aに関する協議をすることは希望している。しかし、A社の意向に反して、M&Aに関係する活動を開

始するといった意図は、現在有していない。

  一九八七年七月、Y社の取締役会議長である

とA社の社長である

が場のそ。たれたも会機の議協、で間のとで

から

に対して、

るれす対に

務えしていることが伝ら検れた。そを長社が討てめとている銀行とA社のい合併の可能性つに

のに次。たっあでもな的定否は答返の、

から

のみ込見るす上計を失損ルド万○○三約は社A、にで

あることが伝えられた。しかし、七月二一日に実際にA社が公表した損失の額は、一四○○万ドルであった。

  九月二一日、再び

の間で会談があった。その際、

で能の者営経の社A。るあり通の次は容内たし言発が力

について懸念がある。

拒、に善改の営経の社Aばっれきでが有共の報情とて細がていつに供提の報情社有Aしも。うろあで用な詳いつに等て

い経のそ、でのる務てめがを長社の行銀は験にAう況状務財の社A。ろ社だつ立に役てっと

むのなら、委任状勧誘をすることになるかもしれない。

  情報を共有することついて、いったんは

も同意したが、その後、

提たっ断をとこるす供を報情に外以報情開公は。

それでも、

る名簿を提供すよ株うに要求した主や。経は一二月に、営報状況に関する情

  一九八八年一月一八日、Y社の取締役会は

権社Y、日六一月二。たえ与を限るす名指を補候役締取の社A、に側

からA社側に、Y社の社長をA社の取締役候補に指名することが伝えられた。また、Y社は、取締役を送り込むために必要であれば、A社の定款を変更して取締役の定員を増やす考えがあることを明らかにしていた。四月四日には、Y社

はA社に対して、最新の株主名簿を提供するように要求した。これは、Y社の社長をA社の取締役に選任するために、

  (四四二四)

(18)

支配権変動に関する開示(一)一五三同志社法学 六〇巻八号 議決権の代理行使を勧誘する対象となる株主の情報を得るためである。

  四月六日、Y社は変更報告書を提出して、A社の取締役候補者について提案していることを開示した。しかし、A社

に対する支配目的があることについては明確に否定していた。

  四月二二日、再び変更報告書が提出され、Y社・A社間で以下の合意が成立したことが明らかにされた。A社がY社

の有している株式を高値で買い取ること。以降、A社取締役会の承認なく、Y社はA社の株式を取得しないこと。また、委任状争勧誘を行う意図は現在有していないことが確認された。

  [審決の要旨]

  一九八七年九月二一日、前記のようにY社は委任状勧誘の可能性を示唆することによって、A社の財務状況についての詳細な情報を得ようとしている。つまり、A社に対して敵対的な活動を開始する意図が生じていた。 このように、九月二一日の出来事は、A社の意向に反する活動をしないというY社によるこれまでの報告内容と総合的に比べると重大な変更であり、これは合理的な投資者にとって重要な情報であると考えられる

。Y社はすみやかに変更 43

報告書を提出して、保有目的の変更について開示するべきであった。端的にいえば、九月二一日時点で、Y社はA社の経営に影響を与える目的を有していたといえる。

  一月一八日には、

うる。Y社はこのよなて計画または提案をいれ有補にA社の取締役候をら指名する権限が与え

していることについて開示する必要があった。

  以上のことからいえば、少なくとも九月二一日以降、翌年の四月二二日までの間、保有目的の記載は不正確なものと

なっていた。

  [救済方法]

  Y社に対して、一三条⒟項の遵守を求める命令が発せられた。

  (四四二五)

(19)

支配権変動に関する開示(一)一五四同志社法学 六〇巻八号

  以上のように、委任状勧誘の可能性を示唆したうえで、対象会社の財務状況についての詳細な情報を得ようすること

は、会社経営陣の意向に反する活動はしないというこれまでの報告内容と比較すれば、重大な変更であるとされ、これは投資者にとっても重要な情報になると判断された。要するに、大量保有者は変更報告書を提出して、保有目的の変更

について開示するべきであったとされた。このように、本制度は大量保有者に対して、株式取得時の目的だけを報告させるのではなく、保有目的について重要な変更が生じれば、すみやかに変更報告書を提出して、そのことを開示させよ

うとしている。

  投資者は、大量保有者による株式保有について、保有割合の変更に加えて、保有目的の変更に関する情報をも勘案し

たうえで、投資判断を行うことが可能となろう。

第二款  開示制度による株価への影響  

Sc he du le 13 D

による開示が株価に影響を与えることについて、

M ik ke lso n & R ub ac k

は、一九七八年から一九八○年 の事例について分析し、以下の結果を得た。彼らは、

W all S tr ee t Jo ur na l

Sc he du le 13 D

について初めて報じた日を起点として、その前日と当日の二日間における超過収益率(

ab no rm al re tu rn

)を測定した

。ここで、超過収益率とは、 44

市場全体の状況からは説明がつかない株価変化率のことである。超過収益率が最も高かったのは、買集め者が、追加取得することや支配権を取得することにつき考慮している旨の開示をしていた場合であった。その値は、平均すると七・

七四%だった。これに対して、純投資目的であるという開示がなされていた場合、超過収益率の平均は三・二四%に過ぎなかった。なお、

Sc he du le 13 D

が提出されていたものの、そのことが

W all S tr ee t J ou rn al

で報じられていなかった場合、

超過収益率の平均はマイナス○・四○%だった。

  (四四二六)

(20)

支配権変動に関する開示(一)一五五同志社法学 六〇巻八号  

K le in & Z ur

は、二○○三年から二○○五年のヘッジ・ファンドによるアクティヴィズムに関する事例について分析した

Sc he du le 13 D

○益おける超過収一率は、間○・二%に後日出。が最初に提さたれた日の前っ三だ 45

。ここで、超過 46

収益率とは、同程度の規模の会社を集めたポートフォリオと比較することによって得た値のことである。さらに、彼らは、

Sc he du le 13 D

における保有目的の記載ごとに超過収益率を測定した

をく役締取の名一もとな少①、は果結のそ。 47

選任する旨の記載をしていた場合、超過収益率は一二・六○%だった。②会社を買収する意図に基づき、株式の追加取得をするかもしれないという記載をしていた場合、超過収益率は一三・○六%だった。これに対して、③ある行動をと

るかもしれないし、とらないかもしれないという記載をしていた場合、超過収益率は四・三○%に過ぎなかった。

  一三条⒟項に基づく規制のもとでは、開示することなく株式を買い進めることができるのは、

Sc he du le 13 D

の提出 期限(五%超取得後一○日以内)までの間である。他方、前述したように、

Sc he du le 13 D

による開示がされれば、対象会社の株価は上昇する。つまり、開示のない場合と比べると、この規制は、比較的低い価格で買い付けることが可能 となる株式の数量を制限するものであるといえる

ムをら生じるプレミア買増収大させることになろうか さ、れ進る促のように開示が必要となこ。とにより、オークションがこ 48

49

  また、前述したように

Sc he du le 13 D

の株価への影響は、その記載内容に応じて異なっていた。このことからすれば、 大量保有者は株式の保有目的につき、実際よりも控えめに記載することによって、株価の上昇を抑え、株式の買増しに要するコストを軽減することが場合によっては可能となるかもしれない

に基反違の制規示開くづに項⒟条三一、しも。 50

対して、ペナルティーが不十分なものであれば、取得者は低い価格で株式を取得しようとするあまり、正確に開示することを避けようとするかもしれない

違かするためにはいな是る手段があり、正をにと示規制の違反対。して、そのこ開 51

反者にはどのようなペナルティーが与えられてきたのかについては、次款および三章一節参照。

  (四四二七)

(21)

支配権変動に関する開示(一)一五六同志社法学 六〇巻八号

第三款  裁判例および審決例の分析   第一項  支配目的の開示に関する裁判例・審決例   証券取引所法一三条⒟項に基づく開示制度によって、株式の大量取得・保有に関する情報が、対象会社の株主や一般 の投資者に開示される。また、この情報は、会社の経営者にも開示される。つまり、

Sc he du le 13 D

が提出されることによって、会社の経営者は比較的早期のうちから、会社にとって好ましくない者による株式の大量取得・保有に対して 警戒することが可能となっている(

ea rly w ar nin g sy st em

)。

  大量保有者は、

Sc he du le 13 D

を提出して、株式保有割合などの客観的な情報だけではなく、保有目的についても記 載することが求められている。対象会社の経営者は、提出された

Sc he du le 13 D

における保有目的の記載が、取得者の実際の意図や行動と異なっていることを理由に訴訟を提起し、株式の買増し等を差止めることができるかもしれない。 このように、会社にとって好ましくない者による大量の株式取得を防ぐ手段となり得るので、保有目的の記載の適法性については、多くの訴訟で争われてきた

ぎ的単に純投資目には基づくものに過、有の。びよお得取量大保式株、で方他 52

ないのか、それとも支配目的を有しているのか明らかにさせることは、会社支配権変動に関する情報を投資者に対して開示するという本制度の趣旨に沿うものであるともいえよう。

  なお、三節一款で後述するように、SECは一九九八年に規則を改正して、支配目的のない者に対しても簡易な方法での開示を認めたが、その際、支配目的について、概ね次のような見解を示した

に政題問会社の等策境環、ばえ例①。 53

関しての株主提案または委任状勧誘は、支配目的を反映したものであるとはみなされないであろう。②コーポレート・ガバナンスに関する事項については、複雑である。役員報酬に関しての提案や勧誘をしても、支配目的があるとはみな

されないであろう。ポイズン・ピルの除去および期差取締役会の廃止に関しての提案や勧誘は、支配目的を反映したも

  (四四二八)

(22)

支配権変動に関する開示(一)一五七同志社法学 六〇巻八号 のかもしれない。ただし、状況によってはそうではない場合もあろう。取締役の選任や重要資産の売却、業務の再編に関しての提案や勧誘は、明白に支配目的を反映したものであろう。③支配目的を有しているかどうか判断するにあたっ

ては、さらに次の点に関して考慮する必要がある。業務の通常の過程での取得であるかどうか。取得者の事業内容が支配権取得に関係していないかどうか。提案や勧誘の内容が、ポートフォリオに組み入れられた他の会社に対してと同様

の投資方針に基づいたものであるかどうか。会社側に反対する内容の提案や勧誘ではないかどうか。

  そこで、以下では、具体的な事例を紹介・分析することによって、以下の諸点につき検討したい。どのような場合で

あれば支配目的を有しているといえ、そのことを開示しないことが違法となる場合、どのようなペナルティーが与えられるのだろうか。本項の一・二では、支配目的の開示に関する裁判例を紹介する。そして、三では、支配目的の開示に

ついて要点を整理したい。なお、認められたペナルティーの内容については、三章一節三も参照。

一  取締役の地位を求める意図   以下で紹介する三つの裁判例は、支配目的があることについて開示するべきであったかどうか判断するにあたって、

大量保有者が取締役の地位を確保しようという意図を有していたことを判断要素としている。

 

General Aircraft Corp. v. Lampert

54

13 le Sc he du D

五七九一の後月个得一三、ずせ出提に内間期た年日月い取の株社X、はてお三に。たし出提にら一れめ   [

D 13 le du he Sc

上(社Xはら)人訴(・告被告Y] 要概の実原事・%を、がたし得取超二被一を式株の)人定上訴

目的は投資目的であり、発行会社の事業を支配する目的はないとしていた。

  (四四二九)

(23)

支配権変動に関する開示(一)一五八同志社法学 六〇巻八号

  しかし、四月二九日には、YはX社の経営陣に対して、X社の取締役の定員を五名から七名に増員する等の要求をし

た。さらに、会社側の取締役候補者に反対する委任状勧誘を行うことも明らかにした。委任状勧誘を避けたければ、X社は取締役の増員について賛成して、Yらが取締役に選任されやすくする必要があるとした。

  七月一日の株主総会においては、五名の取締役のうちYら二名が取締役に選任された。その後も、Yは合併や会社資産の売却に関して提言をしていた。

  一九七六年四月には、取締役選任のために委任状勧誘をするため、YはX社に対して株主名簿を提出するように求めた。そこで、五月一三日に、Yによる

Sc he du le 13 D

の提出が遅れていたこと、およびその記載が不正確であることは、

一三条⒟項に違反するとして、X社は訴訟を提起した。地裁は、八月二六日に、暫定的差止命令を発した。これによって、訂正報告書を提出して、X社に対する支配目的、および会社の事業を変更する目的を有していることを開示するま

での間、株式を追加取得すること、および委任状勧誘をすることが禁じられた。さらに、一九七六年の株主総会において、Yが委任状勧誘をすること、および議決権を行使することが禁じられた。なお、実際に一九七六年の株主総会が開

催されたのは一一月一九日であった。これに対して、Yは上訴した。

  [判旨]

  YはX社株の取得目的については、発行会社に対する支配目的はなく、投資目的であるとしていた。規則一

二b二⒡を参考にすれば、﹁支配﹂とは、会社の経営方針に対して指示する権限を有していることを意味する。取締役の選任をしようとしてきたという、前述したようなYの行動からすると、Yは支配目的を有していたといえる。つま

り、

Sc he du le 13 D

の記載は不正確である。   [救済方法]

  X社の株主、および投資者にとって、このような情報を得ることができないということは、回復困難な

損害を生じさせることになっているといえるので、地裁が暫定的差止命令を発したことは妥当である。しかし、地裁の

  (四四三〇)

(24)

支配権変動に関する開示(一)一五九同志社法学 六〇巻八号 発した命令のうち、一九七六年の株主総会においてYが委任状勧誘をすること、および議決権を行使することを禁じる必要はなかった。X社の株主および投資者の保護は、訂正報告書が提出されるまでの間、Yが株式の追加取得をするこ

と、および委任状勧誘をすることを禁じることによって図られるからである。

  このように、投資目的による株式取得であるとする記載は、取締役の地位を得ようとしていたという行動からは、不正確であるとされた。また、暫定的差止が認められ、記載が訂正されるまでの間、株式の追加取得をすること、および

委任状勧誘をすることが禁じられた。

 

Chevron Corp. v. Pennzoil Co

.

55

  [事実の概要]

  Y社(被告・被上訴人)はA社(石油会社)との間で契約を締結したうえで、A社に投資をしていた

が、B社に妨害された。Y社はB社から三○億ドルもの和解金を得た。Y社はそのようにして得た資金を使って、今度はX社(原告・上訴人)に投資することにした。そして、五%を超える株式を取得するにいたったので、

Sc he du le 13 D

を提出した。

  その記載内容は次の通りである。長期的な観点から、株価の上昇や配当の増加を期待しての株式取得である。A社にしていたのと同様の投資をX社にすることによって、B社から得た和解金の課税が繰り延べられることになろう

。市場 56

や経済の状況にもよるが、二六億ドルに相当する額の追加取得をするかもしれない。必要に応じて、X社の業務や財務の状況につきモニタリングすることもある。一八%まで保有割合を増やしたときの影響について分析したことはある。

しかし、

Ite m 4

で列記されているような計画や提案は有していない。なお、その後、Y社はX社株を八・八%(二一

  (四四三一)

(25)

支配権変動に関する開示(一)一六〇同志社法学 六〇巻八号

億ドルに相当)まで買い増している。

  X社はY社が提出した

Sc he du le 13 D

は一三条⒟項に違反していると主張した。Y社は、かつてのA社に対するのと同様に、X社に対しても支配的な地位を得ないことには課税を繰り延べることはできないだろう。つまり、Y社は支配

的な地位を得ることを望んでいるはずであるが、取締役を選任してX社への影響力を及ぼそうという意図があることは明らかにしていない。

  これに対して、Y社は、株式の取得は投資および課税繰り延べを目的としており、このことは

Sc he du le 13 D

で開示している。また、課税繰り延べのためには八・八%から九・九%の取得でよいとする鑑定書を提出した。

  地裁は、Y社はX社に対して影響力を行使することは望んでいなかったとした。これに対して、X社は上訴した。   [判旨]

  後述するようなX社による指摘によれば、Y社には取締役の地位を得て、経営に対して影響力を行使しよう

という意図があると推測することができる。本件は地裁に差戻す。

  ①課税繰り延べのためには、A社に対する以前の投資と同様の状態である必要がある。つまり、X社の取締役の地位

を得たうえで、経営に対して影響力を及ぼす必要がある。八・八%の投資では課税繰り延べの利益は得られないだろう。

  ②Y社自身も、取締役会を通してX社に対する影響力を確保できれば、課税の繰り延べがより確かとなることを認識

していた。Y社内部では、X社の取締役の地位を得ることの重要性が議論されていた。

  ③課税の繰り延べ額は、巨額である(八億ドル)。経済合理性を基に考えれば、Y社はこのような巨額の利益を確保

するためにも、あらゆる努力をするはずであろう。

  この事例でも、取締役の地位を得る意図が重要となっている。次に紹介する事例でも、やはり、取締役の地位を獲得

  (四四三二)

参照

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記)辻朗「不貞慰謝料請求事件をめぐる裁判例の軌跡」判夕一○四一号二九頁(二○○○年)において、この判決の評価として、「いまだ破棄差

一般社団法人日本自動車機械器具工業会 一般社団法人日本自動車機械工具協会 一般社団法人日本自動車工業会

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 本件は、東京地判平成27年判決と異なり、臨時株主総会での定款変更と定

   ︵大阪讐學會雑誌第十五巻第七號︶

〔追記〕  校正の段階で、山﨑俊恵「刑事訴訟法判例研究」