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同志社コリア研究叢書創刊に寄せて

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Academic year: 2021

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同志社コリア研究叢書創刊に寄せて

著者 同志社コリア研究センター

雑誌名 同志社コリア研究叢書

巻 1

ページ I‑III

発行年 2014‑03‑10

権利 同志社コリア研究センター

URL http://doi.org/10.14988/re.2017.0000016033

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同志社コリア研究叢書創刊に寄せて

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 同志社大学にコリア研究センター(Doshisha Center for Korean Studies、略称

「DOCKS」)が設置されたのは2011年1月のことである。その前身として、

同 志 社 朝 鮮 半 島 研 究 ネ ッ ト ワ ー ク(Doshisha Korean Studies Network、略 称

「DOKOS-net」)が2005年から結成されていたが、それを発展解消してでき あがったのがコリア研究センターであった。センター発足以来、活発に研 究活動を展開してきたが、なかでもここに明記しておきたいのは京都コリ ア学コンソーシアム(Kyoto Consortium for Korean Studies)の発足である。これ は同志社大学、立命館大学、京都大学、佛教大学にあるコリア研究の拠点 を結び、研究の活性化や若手育成など共通の目的のために協力しあう枠組 である。2011年から研究会の開催などの準備をはじめ、2012年4月に正式 発足した。DOCKSは現在その事務局を担っている。

 本叢書は、同志社コリア研究センターを出版者として、3・1独立運動か ら95周年にあたる2014年3月に創刊するものである。本叢書は原則として 紙媒体と電子媒体の両方で発行する。紙媒体の方は

ISBN

コードをつけるが、

少数部のみ印刷し、流通業者や書店を通さないで頒布する。電子媒体の方 は、同志社大学学術リポジトリ(http://library.doshisha.ac.jp/ir/)を通じてダウン ロードできるようにする。以下、このような形態で叢書を立ち上げた背景 と趣旨について述べておきたい。

 まず、何よりも今日の学術出版の置かれた困難さが大きな背景としてあ る。当初、叢書の第1集となる『日記が語る近代』を商業出版社から刊行 することを模索していた。だが、どの出版社からも伝えられたのは出版事 情の厳しさであり、なかでも専門的な学術論文集の発行に対する消極的姿 勢であった。出版社に助成金を出すか、できあがった本を大量に買い取る

同志社コリア研究叢書創刊に寄せて

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日記が語る近代

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かしない限り出版は難しかった。

 仮にそうやって出せたとしても、価格は高くならざるを得ないのが普通 である。学生に授業やレポートのために購入するよう求めるのも憚られ、

内容に関心のある読者も手が届かないというものになっては、何のために 出すのかという思いにもなる。苦労して出版しても、その本が届くべきと ころに届かないということが起きているのが現状である。

 それに加え、タブレットの普及とともに研究者の間でも論文や資料など を電子媒体で読むことが急速に拡大しているが、そのニーズに比べて日本 の電子書籍市場は低調であるといわざるを得ない。信頼のおける研究をイ ンターネット上に確実に流通させることは、現代の研究者としての責務で もある。

 さらにいえば、少し苦言めいてしまうが、昨今の学術出版における編集 者が、批評眼をもった共同製作者という役割から後退したケースが増えて いるということも背景にある。校閲が十分でない出版物もよく見かける。

本づくりの根幹である編集・校閲と、できあがった本の販売とが出版社に 期待される2つの大きな役割だとすれば、少なくとも学術出版においては、

その両者が揺らいでいるように見える。

 他方、著者が研究者の場合、出版することの第一の意義は、研究成果を 体裁の整った形にして必要な人が参照できるような状態にすることにある。

研究者は、関心のある人に読んでもらうために書くのであって、入手の難 しい本となることは望んでいない。英語の “publish”(出版する)の語源は

「パブリックなものにする」という意味である。今日のメディア環境のな かで「パブリックなものにする」とはどのようなことなのか、原点に立ち 返って考えるべきである。

 そうした背景から、大学の研究センター自らが編集機能をもった「出版 者(publisher)(「出版社」ではない)となって、紙媒体と電子媒体の両方でパ ブリッシュすることを決断したのである。同志社コリア研究叢書として刊

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同志社コリア研究叢書創刊に寄せて

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行するものは、単なるワーキングペーパーや報告書、あるいは紀要ではな く、学術的な専門書である。専門知識を有する研究センターのメンバーが 編集者・校閲者となり、学術論文集の組版経験のある印刷所で製作するの で、品質的には全く問題ない。装幀をデザイナーに依頼して一般的な専門 書よりも綺麗にデザインするなど、より好きなかたちで本づくりもできる。

少数しか刷らなくても、ウェブを通じていつでも誰でも無料で参照できる。

書店流通しないデメリットを補うメリットが十分にある。もちろん商業出 版と競い合うつもりは全くなく、特性を活かしながら、うまく棲み分けが できればと考えている。

 本叢書が、コリア研究の一層の発展に寄与することを切に望む。

2014年2月

同志社コリア研究センター

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