論 説
時 効 規 範 と 安 全 配 慮 義 務
1 ー 時 効 論 の 新 た な 胎 動 ー
目次
はじめに
第一章安全配慮義務と時効期間
第一節問題の所在
一時効期間と安全配慮義務構成のメリヅト
ニ安全配慮義務時効事件の偏在性
第二節理論状況
一債務の構造からの安全配慮義務二分論
二規範調整論
三損害賠償請求権の特質論蟹二節判例にみる権利行使遅延要因
一労災事故の場合
二労災以外の安全配慮義務事件
松 本 克 美
1
{221)
第四節時効期間の妥当性基準
一労災の場合
二その他の安全配慮義務類型
三小括
第二章安全配慮義務と時効起算点
第一節判例動向と問題点一判例の概観
二検討
三小括
第二節理論状況
一債務の同一性の法理の限定
二法律上の障害と損害の顕在化
三我が国における事実上の障害論
第三節課題と検討視角
第三章歴史的検討il事実上の障害論の貧困‑第一節旧民法以前
一出訴期限規則
二諸草案に見る時効規定
三小括
第二節旧民法
一概観
二援用
三時効の進行と推定的時効観
(222) 2
時効規範 と安全配慮義務
四小括第三節明治民法起草過程における議論
一起草者の見解
二時効の停止事由をめぐる議論
三小括
補節明治前期の不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効
一治罪法
二旧民法及び旧刑訴法
三小括
第四章比較法分析ー事実上の障害論の展開ー
第二節フラソス法
一時効の存在理由
二時効期間
三起算点
四時効の停止
第二節ドイッ法
一不法行為の時効規定と一般の時効規定
二一般の消滅時効起算点
三時効の停止
四ぺータースーツィンマーマンの鑑定意見
第三節事実上の障害論における日本的特殊性
第五章規範的時効論構築のために
第一節援用制限論の固有の意義とその射程
(223}
3
一はじめに
二信義則違反・権利濫用の判断要素
三検討
四小括
第二節起算点論から進行論・援用制限論へ
一時効起算点と進行問題の区別
一一進行の障害事由
三時効の援用制限論
結びに代えて
付表・判例表 4
(224)
﹁それから起きて表へ出て空を見たら︑星が一杯あった︒あの星は何しに︑あんなに光っているのだろうと思って︑又内へ這
ヘヘヘヘへ入った︒金さんは相変わらず平たくなって寝ている︒金さんはいつジャソボーになるんだろう︒自分と金さんとどっちが早く死
ヘへあらがねぬだろう︒安さんは六年このシキに這入っていると聞いたが︑この先何年鉱を敲くだろう︒やっぱり仕舞には金さんの様に平はたたくなって︑飯場の片隅に寝るんだろう︒そうして死ぬだろう︒1自分は火のない囲炉裏の傍に坐って︑夜明けまで考︑兄つづ
けていた︒その考えはあとから︑あとから︑仕切りなしに出て来たが︑何れも干枯らびていた︒涙も︑情も︑色も香りもなかっ
た︒怖い事も︑恐ろしい事も︑未練も︑心残りもなかった︒﹂(‑)(夏目漱石﹁抗夫﹂より)
は じ め に
ヘへ今日︑時効は安全配慮義務論にとって最重要の課題である︒その課題の重さは︑例えば︑近時各地で相次いで提訴
(2)︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑されているじん肺訴訟において︑判決が一方で使用者の義務違反を認めつつも︑他方で︑長い間苦しみぬいてきたそ
ヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘへの被害者の賠償請求権の実現を︑時効起算点の解釈によって拒絶していることを挙げれば十分であろう︒これらの訴
(3)訟の﹁焦点﹂はまさに時効にある︒義務違反が認定され︑従って時の経過による立証困難の回避の要請も妥当しない
ヘヘヘへこうした事例において︑そもそも時効の援用は許されるのだろうか︒この重い課題を理論的に解明すること︑それは
学としての法解釈学に課された負債である︒しかもこの負債は時効により消滅しない︒
本稿の主題は以下の点にある︒
第一の検討課題は﹁時効期間論﹂である︒
権に適用されるべき時効規範は左のどれか︒
我 が 国 の 安 全 配 慮 義 務 違 反 を 理 由 と し た 債 務 不 履 行 に 基 く 損 害 賠 償 請 求
時効規範 と安全配慮義務
民法一六六条一項﹁消滅時効ハ権利ヲ行使スルコトヲオル時ヨリ進行ス﹂
一六七条一項﹁債権ハ十年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス﹂
七二四条﹁不法行為二因ル損害賠償ノ請求権ハ被害者又ハ其法定代理人力損害及ヒ加害者ヲ知リタル時ヨ
リ三年間之ヲ行ハサルトキハ時効二因リテ消滅ス不法行為ノ時ヨリニ十年ヲ経過シタルトキ亦同ジ﹂
判例は安全配慮義務違反を債務不履行として︑民法一六六条︑一六七条を適用して疑わない︒
学説はどうか︒ひとつの有力な見解は︑﹁安全配慮義務違反"債務不履行﹂という図式を批判する︒そして︑安全
配慮義務を﹁債務の構造﹂の観点から二分し︑﹁給付義務たる安全配慮義務違反帥債務不履行11一六六︑=ハ七条と
(225)
5
七二四条との規範統合Lとし︑﹁保護義務たる安全配慮義務違反11中間責任11七二四条の類推適用﹂を説く︒
いまひとつの有力な見解は︑安全配慮義務違反が﹁債務不履行であるか否かにかかわらず﹂その﹁損害賠償請求権
の特質﹂に着目して七二四条を適用すぺしとする︒
本稿の結論は両者の止揚の上に成り立つ︒すなわち︑安全配慮義務の﹁給付義務性﹂の確定はそれ自体重要だが︑
ヘヘヘへそのことと﹁時効規範の選択﹂とは直接には結びつかない︒その意味で︑﹁責任の性質とは独立に﹂損害賠償請求権
そのものの特性を考える第二の視点が参照され得る︒
しかし︑安全配慮義務事件の分析は次の点を我々の前に明らかにする︒安全配慮義務構成のメリヅトとして従来強
ヘへ調されてきた﹁時効期間の長さ﹂が活用されている事例の圧倒的多数が﹁労災安全配慮義務﹂の事件であること︑こ
れである︒そうした﹁現象しの背後にある﹁本質﹂︑それこそが﹁権利行使を遅延させる契約類型的本質﹂︑すなわち
﹁労働契約関係の特殊性﹂に他ならない︒
かくして︑第一の課題は︑労災安全配慮義務には依然として一〇年の時効期間が維持されるぺきこと︑その他の契
約類型(在学契約︑売買契約︑入院施設契約等)での安全配慮義務には︑民法七二四条の適用の余地もあり得ることを明
らかにする点にある(但し︑後述のように時効の停止事由の貧困な我が国においては︑後者の類型においてもさしあたり一〇年
の時効期間を維持してよい)︒
第二の課題は﹁起算点論﹂である︒一六六条の﹁権利ヲ行使スルコトヲ得ル時﹂をめぐる﹁事実上の障害論﹂の理
論構築︑それこそが本稿の﹁めざす﹂ものである︒
ここではその﹁予備的検討﹂として︑事実上の障害論をめぐる比較法史的検討を行う︒明治六年の出訴期限規則に
始まる我が国の近代的時効制度に一環するのは︑次のような﹁日本的特殊性﹂︑すなわち﹁時効停止﹂制度の特殊性︑ 6
(226)
それをめぐる﹁議論の貧困﹂である︒その検討から︑﹁時効進行論の起算点論からの自立化﹂という理論課題も見え
てくる︒
第三の課題は﹁援用制限論﹂である︒従来﹁補助的﹂﹁例外的﹂にのみ位置づけられてきた信義則違反・権利濫用
を理由とする時効援用制限論の﹁固有の意義﹂の析出︑それがここでの課題である︒
以上を通じて本稿が試みるのは︑我が国における﹁規範的時効論の構築﹂に他ならない︒
画 一 的 で 形 式 的 な 権 利 剥 脱 の 時 効 論 の 時 代 は 過 ぎ 去 っ た ︒
権 利 実 現 を 擁 護 す る 規 範 的 時 効 論 こ そ が 時 代 を 担 わ ね ば な ら な い ︒
時効規範 と安全配慮義務
(1)文中に出てくる﹁ジャソポー﹂とは葬式のこと︑﹁シキ﹂とは坑内のことである︒夏目漱石が﹁抗夫﹂を書き始めた明治四〇年は︑劣悪な
労働条件のもと怒りを爆発させた山の労働者たちが︑各地で死者を伴う空前の労働争議を繰り広げた年であった︒足尾銅山争議(二月)︑夕
張炭坑ストライキ(三月︑七月)︑幌内炭坑争議(四月)︑別子銅山争議(六月)⁝⁝︒日露戦争後の我が国の産業資本主義確立期にあたるそ
の頃は︑また労働災害の激化の時期でもあった︒明治二六年における鉱山労働災害での死者は二八名︑負傷者は三五名であったのが︑﹁抗夫﹂
の書かれた明治四〇年には︑何と死者五八一名︑負傷者は一輔二︑四〇九名(!)になっていた(風早八十二﹃日本の労働災害﹄四八年・一〇
九〜=O頁に引用の統計衷を見よ)︒(2)現在各地で係争中のじん肺訴訟は三六件に及ぶ︒既に判決も十三件出された︒いずれも︑使用者の安全配慮義務違反の責任を認めたが︑一
部の原告については︑既に損害賠償講求権が時効により消滅しているとして請求が棄却された︒じん肺症は︑鉱山︑炭坑︑トソネル工事︑造
船業など幅広い事業で生ずる進行性の被害である︒一度じん肺症に羅患するとこの進行性の被害は︑肺機能を破壊し︑最後には死に至らせ
ヘヘヘヘヘヘヘへる︒じん肺症は今日の職業病の中ではその数が第一位を占める︒既に全国の罹患者数は一〇万人を越えるという︒しかも︑その進行性の被害
は︑毎年じん肺罹患者をうなぎのぼりに増天させ︑被害の潜在性は︑老年に至っての被害発現︑深刻化をもたらす︒被害の潜在性︑進行性︑
ヘへ老年になってそれが発現しての生活困難︑これらはじん肺訴訟にとって︑時効の問題が常につきまとって離れないことを示している︒鉱山︑
ヘヘへ炭坑︑建設︑造船⁝⁝じん肺が問題となるような職場は︑どれも我が国の経済成長の根幹をなす産業であった︒豊かになったと嘗われる我凌
ヘヘヘヘへの生活もこれらの人々の命のうえに成り立ってきたのである︒じん肺訴訟の現状については︑月刊いのち一九八九年六月号︑法律時報八九年
(227)
7
十一月号の特集を参照されたい︒
従来のじん肺判決は﹁すぺて使用者の安全配慮(保護︑衛生)義務違反による損害賠償責任を認めたわけであり︑このことは︑今後のじん(3)
肺 判 決 を あ る 程 度 予 測 さ 芸 と ξ に 曇 陰 馨 激 醤 慧 露 み 隷 か 暮 独 ︑ 謙 変 総 諏 独 盈 詠 葱 か か ぞ ↑ 奮
どを窺か榔み︒﹂(松久三四彦﹁判批・長崎じん肺訴訟第一審判決﹂判評三二三号・八五年・三七頁﹂傍点引用者以下同様)︒むろん︑安全配
ヘヘヘへ慮義務と時効の問題はじん肺だけに固有の問題ではない︒それどころか従来強調されてきたように︑そもそも安全配慮義務概念の定着が時効
ヘへ期間の問題と深くかかわっていることは︑本稿においても実証されるであろう︒なお︑最高裁は安全配慮義務に関する次のような論点に判断
を下してきた︒﹁遣族固有の慰謝料請求の可否﹂﹁賠償金の遅延損害金の起算日﹂(以上最判昭五五・一二・一八民集三四.七.八八八)︑﹁証
明責任﹂(最判昭五六・二・一八民集三五・一・五六)︑﹁履行補助者の安全配慮義務﹂(最判昭五八・五.二七民集三七.三.三一=)︑﹁安全
配慮義務と予見可能性﹂(最高裁昭五九・四・一〇民集三八・六・五五七︑最判昭六一・=一・一九判時一〇七〇.一一九)︒﹁安全配慮義務と
時効起算点﹂の問題は審最高裁が判断すぺき懸動塾加か髄ガか論鳶となろう︒従来の安全配慮義務に関する最高裁の判決全一九件について
は︑中嶋士元也﹁安全配慮義務論争の課題﹂(上)日本労働協会雑誌三三八号(八七年)一五頁掲載の一覧裏参照︒ 8
(228)
第 一 章 安 全 配 慮 義 務 と 時 効 期 間
第 一 節 問 題 の 所 在
一時効期間と安全配慮義務構成のメリット
七〇年代の我が国で︑労災民事損害賠償訴訟を中心に安全配慮義務概念が定着し始めてから今日まで︑二〇年近く
が 過 ぎ よ う と し て 蓼 こ の 間 塞 配 慮 霧 に か か わ る 判 決 例 も 既 に 公 刊 さ れ た も の だ け 雲 一・ ・ 件 を 越 え て 境 ︒
その中で︑判例は安全配慮義務を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求権の消滅時効(以下単に﹁安全配慮義務
消滅時効﹂と呼ぶ)につき︑終始一貫して次のような﹁債権一般﹂の消滅時効規範を適用してきた︒すなわち﹁権利ヲ
(3)行使スルコトヲ得ル時L(民法一六七条一項)より﹁一〇年間﹂(一六六条一項)で消滅時効にかかるというのである︒
安全配慮義務が問題となる人身損害事件では︑債務者たる加害者への不法行為責任の追求も可能である︒現に労災
や学校事故など安全配慮義務が認められてきた多くの事故類型では︑不法行為責任の追求が単独で︑或いは安全配慮
(4)義務違反責任と併せて主張され認容されてきたのである︒しかし︑不法行為責任を理由とする損害賠償請求権は︑被
害者又はその法定代理人が﹁損害及ヒ加害者ヲ知リタル時﹂より﹁三年間﹂で消滅時効にかかってしまう(七二四条)︒
かくして︑不法行為構成に対する安全配慮義務構成の﹁時効期間の点での優位性﹂は︑この義務概念による責任追求
(5)の大きなメリットの一つとして捉えられてきたのである︒
しかし︑そのようなメリット論も今日冒頭で述べたような再検討を迫られている︒その理論状況を見る前に︑こう
した時効期間におけるメリット(以後﹁時効メリット﹂と呼ぶ)は現実の裁判例ではどのように具現しているのかを見
ておこう︒
時効規範と安全配慮義務
二安全配慮義務時効事件の偏在性
公刊裁判例から見る限り︑こうした時効メリットが現実化されている事件には著しい特徴が見られる︒
(一)労災安全配慮義務事件の圧倒的多さ労災にかかわる安全配慮義務事件(以後単に﹁労災安全配慮義務事件﹂と
いう)が圧倒的に多い(グラフー)︒むろん事故の絶対数の点でそもそも労災事故が多いという理由もあるだろう︒し
かし︑安全配慮義務事件のうち︑不法行為で請求した場合に時効が問題となる事件(これを﹁安全配慮義務時効事件﹂と
呼ぶ)を見ると︑そこでも労災事件が圧倒的(九三%)であり︑それ以外の事故類型では八件(八%)しかなかった(グ
ラフ2)︒
(229)
9
グラフ1安 全配慮義務事件の事故類型
グ ラ フ2 0/20
労災関係 その他 口
時効無 し
口 労災事故 図 学校事故 四 その他
合計
事 件 数 228
39 25 292
安全配慮義務 ・消減時効事件事故別割合
40sa
78.1 13.4 8.5
事故別 囲 時効有 り 時効有無
グ ラ フ3
件 数 50
40
30
20
10
0
80100% 件 数
135二93
56:8
消 滅 時 効 事件 に お け る 自衛 隊 関 連 度 (件) 口 非 自衛 隊 事 件44
團 昭 和50年 提 訴 自衛 隊 事 件32 國 その 他 自衛 隊 事 件17
合 計93
191:101
47.3%
34.4 18.2
グ ラ フ4安 全 配 慮 義 務 ・提 訴 年 別
事 件 類 型
時効無[0非 鵠 縫 葎 時効有陽 非騰 膨
(昭和)年
57以降
FO6
5醍U
54
53
52
rO‑轟
50
49
48
45ー・7
42‑4
(230)10
時効規範 と安全配慮義務
ヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘへこのことは︑時効メリットの活用が特定の事故類型︑すなわち労災の安全配慮義務に偏在していることを物語って
いる︒
(二)七五年提訴自衛隊事件の多さ労災安全配慮義務時効事件における半数以上が自衛隊関係の事件であった
(グラフ3)︒しかも︑そのうち七五年に提訴された自衛隊事件が︑労災安全配慮義務時効事件全体の三割以上を占め
ている(グラフ3︑4)︒
(三)安全配慮義務時効事件の偏在型こうした事情は︑﹁時効メリット﹂は安全配慮義務事件一般に活用されて
いるのではなくて︑一定の事故類型に偏在していることを示している︒このことはメリット論を考えるうえで重要な
留意点となる︒
ここではまず︑メリット論を支える安全配慮義務事件への一六七条的適用論への理論的批判の中味を確認し︑その
問題点を析出しよう︒
(1)﹁安全配慮義務﹂(当初は﹁安全衛生義務﹂とか﹁安全保護義務﹂﹁安全保証義務﹂とも呼ばれた)の存在が裁判例において最初に認められ
たのは︑東京地判昭四五・一・二七・労旬七三六"七・五頁︑この義務違反による債務不履行責任を最初に認めたのが福岡地裁小倉支判昭四
ヘヘヘヘヘヘヘへ七・一}∴一四判時六九六・二三であった︒なおこの義務概念が︑他ならぬ我が国の労災訴訟において提唱されてきたことの﹁必然性﹂の理
論的総括の拙い試みとして︑拙稿﹁戦後日本における安全配慮義務論の理論史的検討ー労災貴任論の展開過程とのかかわりを中心に(一)
(二)(三)完﹂早大法研論集三八︑四〇︑四三号(八六︑八七年︒以下文献については︑傍線部分で引用する﹀がある︒本稿はかかる﹁必然
性﹂を時効との関運で検討するという側面も有する︒
(2)全体の裁判例については︑下森定編﹃安全配慮義務法理の形成と展開﹄(八八年)の巻末に収録されている﹁安全配慮義務に関する主要判
例咽覧﹂を参照︒本稿で試みる以下の判例分析は︑本稿執筆時(八九年一二月)までに公刊された判決例の中で安全配慮義務が主張されている
事件(二九二事件︑三三二判決)から筆者が作成したデータベ1スをもとに行ったが︑その作成にあたっては︑この﹁一覧﹂を基礎資料とし
ておおいに活用させていただいた︒﹁一覧﹂を作成した村田彰氏に記して謝意を裏したい︒なお︑安全配慮義務に関する近時の総合的判例分
析としては︑中嶋士元也﹁安全配慮義務論争の課題﹂(上)(下)日本労働法協会雑誌三三八︑三四〇号(八七年)︑水戸弁護士会﹃判例から
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