ドイツ産業連関分析論
著者 良永 康平
発行年 2001‑03‑31
URL http://hdl.handle.net/10112/00020468
第 3 編:産業連関表からみた 1 8 東独経惰とドイツ再統一
第 5 章:旧東ドイツ末期の経済構造
1.はじめに
旧東ドイツに関する 1987年産業連関表が、体制崩壊後の1996年にようやく公表されたり。
久保庭真彰教授がドイツ再統一直後に早くも予測していたように、作成は連邦統計局、ドイツ 経済研究所 (DIW)、及びハレ経済研究所 (IWH)の共同作業である2)。とりわけ旧東側諸国 の分析に長年携わってきた DIWが中心となって推計が行われた。実はDIWではシュテークリ ン博士等が、旧東ドイツが崩壊する直前の80年代後半に、偶然にもハンガリーなどのMPS産 業連関表をSNA産業連関表に変換する方法などの研究を熱心に行っていた3)。この経験がこ のような形で役に立つとは、誰が予測できたであろうか。
もともと 1987年表は、実は1991年統一ドイツ産業連関表を作成するための準備作業の一貫 であった。それは、そもそも旧東ドイツがどのような経済構造であったかという出発点がわか らないと、悪化していった再統一直後の経済状況の正確な把握もできないためである。ところ が従来旧東側はMPSという異なる統計システムを採っていただけではなく、すべてが極秘の ベールに覆われ、統計年鑑等には粉飾した数字すら並べられていたといわれている4)。産業連 関表も作成されていることは報じられてはいたが、フルサイズで実際に公表されたことは一度 もなかった5)。したがって 1987年表は、旧東ドイツとしての最後の産業連関表であるととも に、正式に公表された最初の産業連関表でもある。
なぜ1987年かというと、旧東ドイツで作成された最後の産業連関表が1987年だったためで ある6)。これをもとに、少ない統計情報を最大限に利用し、推計も交え、旧西ドイツと比較可 1)本章作成に当たり、 1987年表作成当時からさまざまな情報を頂いていたDr.Carsten Stahmer(連 邦統計局),Prof.Dr. Reiner Staglin (DIW)に感謝したい。データは連邦統計局ではなく、作成 者3人の名前でドイツ経済研究所 (DIW)の出版シリーズとして公表されている。 Ludwig,U., Staglin, R. & Stahmer. C. (1996)参照。
2)久保庭 (1990) p.14参照。氏は1990年に統一ドイツ表の作成・公表をその機関とともに予想して いた。
3) Staglin, R. (1986)やBiebler,E. & Schmidt, J. (1990)、Boda,G. & Srnglin, R. (1990) などがその成果である。
4)青木 (1992) pp. 7 10
等にも紹介されている。また久保庭 (1990),Ludwig, U. & Staglin, R. (1993)等も、旧東ドイツにおける統計の秘匿性や少ない公表について触れている。
5)たとえばJager,M. (1963)には1959年表が掲載されているがそれは正式の公表ではない。旧東ド イツ時代後半になるほど秘匿性が高まり、産業連関表の数値も一切公表されなくなった。
能な形で再作成されたものがこの産業連関表である。最も困難を極めたのは、何といっても MPS方式で作成されている産業連関表を、 SNA方式という異なる概念の産業連関表に変換す る作業であった。財貨については、旧東ドイツの産業連関表が131商品によって作成されてい たために、旧西ドイツの内生部門に位置づけるのはまだ容易であったが、MPS方式でカバーさ れないサービスの中間投入・需要を推計するのは極めて困難であったことが、その推計方法と ともに報告されている 。その他に、両ドイツ間貿易、補助金の把握、旧西独マルクヘの変換 レートの問題8)などの課題があったことも記されている。
この 1987年表をもとに、次章で紹介する統一ドイツ産業連関表も作成されているが9)、1987 年表は1991年表の公表後1年経った1996年に公表された。順序としては逆になったが、よう やく旧東ドイツ末期の分析が可能となったことの意義は大きい。体制の崩壊自体は経済だけの 問題ではないが、旧東ドイツは経済的にも行き詰まっていたことは確かである。それでは、「社 会主義の優等生」といわれ続けた旧東ドイツは、そもそもどんな経済構造であったのか。また、
旧西ドイツとはどんな類似点と相違点があったのか。以下では、旧西ドイツとも比較しながら、
1987年の旧東ドイツの経済構造について産業連関分析を行ってみよう。
2.マクロ投入産出構造
まず経済全体のマクロ的な投入産出構造を、旧東西ドイツで比較してみよう(図5‑1参照)。
まず中間投入率は旧東ドイツの方が高く、逆に付加価値率は低かった。一般に中間投入率は社 会的分業や生産性などと関連があるとされるが、旧東ドイツの場合は明らかに生産性の低さを 反映している。中間投入に占める財貨の割合も旧西ドイツと比べて著しく高く、 8割近くに達 していた。逆にサービスの投入割合が2割しかなかった。生産された財貨・サービスの構成を みても同様であり、旧東ドイツでは66.6%も財貨が占めており、著しく財貨に偏った、また逆 にサービスが著しく貧弱な社会であったことを裏付けている。
付加価値の構成は、国営企業が圧倒的割合を占めていた旧東ドイツでは、営業余剰に当たる ものの多くは純間接税として国に納められる形を取ったが、それにしても純間接税の割合は異 6)この旧東ドイツで作成された産業連関表自体は公表されていないため、その特徴は解説から知るこ
とができるだけである。
7) Ludwig, U. & Staglin, R. (1993)
、
Ludwig,U., Stllglin, R. & Stahmer, C. (1996)参照。8)旧西ドイツマルクヘの換算は、産業部門ごとの購買力平価によるダプルデフレーションで行われて いる。
9)良永 (1996b)は1990年表と 1991年統一ドイツ表を比較分析したものである。
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図5‑1:旧東西ドイツのマクロ投入産出図 (1987年)
[旧東ドイツ・ 1987年】 (単位:Mill DM) 中(間投投 入 377,331
中 間 入 率 58.8%) 粗(付加価価値値 263,952 付 加 率 41.2%)
財 貨 サービス 雇 用 者
誓 喜
純 間 そ の所 得 接 税 他
79.0% 21. 0% 35.8% 15. 1 41. 9% 7.2%
国 内 生 産 額 641,283 輸 入
財 貨 66.6%
│
サービス 33.4% 68,641総 需 要 ・ 総 供 給 709,924 (輸出率 10.2%: 輸 入 率 9.7%)
国 内 需 要 637,510 輸 出
中 間 需 要 59.2% 国 内 最 終 需 要 40.8 % 72,414 財 貨 サービス 民消費間最支終出 政終府消最費 固定成資 在庫
本形 変 動 74.2 % 25.8 % 48.0 % 24.9% 26. 1% 1. 1 %
【旧西ドイツ・ 1987年】 (単位:Mill DM) 中間中 投 入 1,924,400
( 間 投 入 率 50.7%) 粗付(付加加価価値値 1,870,780 率 49.3%) 財 貨 サービス 雇所 用 者得 営 業余 剰
翡
純 間接 税58.5% 41. 5% 58.8% 22.4 13.5 5.3
国 内 生 産 額 3,795,180 輸 入
財 貨 52.1%
│
サービス 47.9% 443,720総 需 要 ・ 総 供 給 4,238,900 (輸出率 12.8%: 輸 入 率 10.5%)
国 内 需 要 3,695,930 輸 出
中 間 需 要 52. 1% 国 内 最 終 需 要 47.9 % 542,970
財 貨 サービス
民消費間最支終出 政終府消最費 本固定資 在庫 形 成 変動 61. 4% 38.6% 57. 1% 22.4% 20.6% ‑0.1%
注 ) 旧 東 ド イ ツ の 産 業 連 関 表 は 、 付 加 価 値 部 門 の 詳 細 が 公 表 さ れ て い な い 。 図 に 記 入 さ れ て いる数値は、 DIW (ドイツ経済研究所)による1988年の推計値である。
常に高く、雇用者所得に迫る割合であった。逆に雇用者所得は旧西ドイツで付加価値の58.8%
も占めているのに対して、旧東ドイツでは45.0%に過ぎなかった。
国内生産に輸入を加えたものが総供給であるが、総供給に占める輸入の割合は旧西ドイツで 10.5%、旧東ドイツで9.7%であった。また総供給の一部は輸出として海外から需要されるが、
その割合は旧西ドイツで12.8%、旧東ドイツで10.2%であった。このようにマクロの輸出入率 に関しては若干旧西ドイツの方が高くなっているが、さほど大きな差があったわけではない。
詳しくは第6節で考察するが、旧東ドイツは旧西ドイツ並の貿易依存国であったことがうかが える。
総供給のうち輸出以外は国内で需要されるが、そのうち中間需要が占める割合は旧西ドイツ が52.1%、旧東ドイツが59.2%と旧東ドイツの方が高く、逆に最終需要の割合は旧西ドイツの 方が高かった。中間需要は財貨生産部門による需要が旧東ドイツでは74.2%と約4分の3を占 め、旧西ドイツよりも 13%近くも高く、逆にサービス生産部門からの需要の割合は旧西ドイツ の方が高かった。国内生産における財貨割合の相違も反映している。
最終需要に関しては、民間の消費支出は最終需要の中で最高の割合を占める項目であること は旧東西ドイツともに同じであるが、旧東ドイツの民間消費支出は旧西ドイツよりも最終需要 に占める割合が9%も低く、 48%であった。その分、旧東ドイツでは政府最終消費や固定資本 形成の占める割合が高くなっていた。そして固定資本形成が政府最終消費を上回って、 25%以 上に達していた点でも旧西ドイツと異なっている。
3.生産・需要構成
次に表5‑1から生産、付加価値及び最終需要の産業部門別構成を検討してみよう。まず生 産構成については、旧東西ドイツともに公務(一般政府サービス)の割合が最も高かった点で 共通である。特に旧東ドイツでは10%を超えていた。しかしその他の部門では大きく異なって いる。旧東ドイツでは一般機械が2番目に構成比が高く、以下、食料品、建設、電気機械、飲 食・宿泊といった順であった。一方旧西ドイツでは、その他の営利サービス、不動産といった サービス関連部門がまず上位を占め、以下、食料品、道路輸送機械、卸売、化学製品と続く。
サービス業は、運輸や飲食・宿泊を除けば旧西ドイツの方が割合は高く、特に金融・保険、不 動産、その他の営利サービス、商業などで構成比の相違が大きかった。一方サービス以外では、
逆に旧東ドイツの方が構成比の高い部門が多く、農林水産業や建設、仕上・改修工事、また製
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表 5-1: 旧東西ドイツの生産・付加価値•最終需要構成 (1987 年)
午 奔 碑F 付 加1曲値構成 ̀ 一民間最終消費構成
旧東独1旧西独 旧東独 1旧西独 旧東独 1旧西独 旧東独 l旧西独 1底... 業 3.8% 1. 5% 1. 2% 1. 3% 1. 2% 0.9附 2.4% 1. 8% 2林 業 ・ 狩 猟 ・ 漁 業 0. 1% 0. 2% 0.0% 0.3% 0.0% 0. 1% 0.0% 0.2% 3電 力 熱 供 給 3. 1% 2. 1% 3.5% 2.2% 0. 6% 1. 1% 1. 5% 2.4% 4ガ ス 0. 7% 0. 5% 0.8% 0. 5% 0. 1% 0. 4% 0.2% 0.8% 5水 道 0. 5% 0.2% 0.8% 0. 3% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 6石 炭 ・ コ ー ク ス 2. 1% 0. 7% 3. 1% 0.5% 1. 3% 0. 1% 3. 3% 0. 1% 7そ の 他 の 鉱 業 0.2% 0. 1% 0.2% 0. 1% 0.2% 0.0% 0.0% 0.0% 8原 油 ・ 天 然 ガ ス 0. 1% 0. 1% 0.2% 0. 1% 0. 1% 0.0% 0.0% 0.0% 9化 学 製 品 3.6% 4.4% 2.8% 3. 1% 2.5% 3. 7% 2.2% 1. 5% 10石 油 製 品 1. 2% 1. 2% 0.5% 1.0% 1.0% 1. 4% 0. 7% 3.0% 11プ ラ ス テ ィ ッ ク 製 品 0. 7% 1. 2% 0. 7% 1. 0% 0.2% 0.8% 〇.3% 0.6% 12
ゴ
ム 製 品 0.5% 0.4% 0.2% 0.4% 0.2% 0. 3% 0.2% 0.3% 13土 石 ・ 建 設 資 材 2.3% 1.0% 2. 7% 〇.9% 0.6% 0.3% 1. 2% 0.3% 14陶 磁 器 0.2% 0. 1% 0.2% 0. 1% 0. 1% 0. 1% 0. 1% 0.2% 15ガ ラ ス 0.3% 0.3% 0.1% 0. 3% 0.2% 0.2% 0.2% 0. 1% 16鉄 鋼 1. 3% 2.2% ‑0.3% 0. 6% 0.4% 0. 7% 0.0% 0.0% 17非 鉄 金 属 0. 7% 0. 6% ‑0.3% 0.3% 0.2% 0.4% 0.0% 0.0% 18鋳 物 製 品 0. 6% 0.4% 0. 7% 0.5% 0. 1% 0. 1% 0.0% 0.0% 19圧 延 鋼 1. 2% 1. 1% 1. 1% 1. 0% 0.5% 0.5% 0. 1% 0.0% 20金 属 製 品 1. 7% 0. 7% 1. 9% 0.6% 1. 7% 0. 7% 0.0% 0.0% 21 ‑ 般 機 械 7.3% 4.2% 6.4% 3. 8% 8.6% 5.4% 0.4% 0. 1% 22事 務 ・ 情 報 処 理 機 械 0.2% 0. 7% ‑0.2% 0. 6% 0.2% 1. 2% 0.0% 0. 1% 23道 路 輸 送 機 械 2.3% 5.4% 1. 2% 3. 9% 2.3% 7. 7% 2.4% 5.8% 24船 舶 0. 5% 0.2% 0. 7% 0. 1% 0. 7% 0.2% 0. 1% 0.0% 25航=
如 機 0.0% 0. 3% 0. 1% 0.3% 0.0% 0.3% 0.0% 0.0%26電 気 機 械 4. 7% 4.0% 4. 1% 4. 2% 3.9% 5.0% 2.3% 1. 9% 27精 密 機 械 ・ 光 学 製 品 0.4% 0.6% 0.4% 0. 7% 0.4% 0. 7% 0.2% 0.6% 28鉄 ・ ブ リ キ ・ 金 属 製 品 1. 1 % 1. 3% 1. 4% 1. 2% 1. 3% 1. 2% 1. 8% 0.6% 29楽 器 ・ 玩 具 ・ 装 飾 品 0.3% 0.2% 0.4% 0.2% 0.5% 0.5% 0.8% 0. 9% 30木 材 加 工 0.3% 0.2% 0 2% 0.2% 0. 1% 0. 1% 0.2% 0.0% 31木 製 品 0. 9% 1. 0% 0.3% 0. 8% 0.9% 1. 3% 1. 1% 1. 9% 32パ ル プ 製 紙 0.5% 0. 5% 0.4% 0.3% 0.2% 0. 3% 0.0% 0.0% 33紙 板 紙 製 品 0. 5% 0. 6% 0.3% 0.4% 0.2% 0. 3% 0.3% 0. 3% 34印 刷 複 写 0. 5% 0. 9% 0. 7% 1. 0% 0.2% 0. 1% 0.2% 0.0% 35皮 革 製 品 0.5% 0.2% 0.4% 0.2% 0.9% 0.5% 1. 9% 0.8% 36繊 維 製 品 1. 5% 1.0% 0.5% 0. 7% 1. 0% 1. 3% 1. 3% 1. 4% 37衣 料 品 0. 7% 0. 7% 0. 7% 〇.5% 1. 4% 1. 5% 2.2% 3.0% 38食 料 品 6.8% 4.3% 2.8% 1. 9% 7.0% 5. 1% 16. 6% 9.8% 39飲 料 1. 3% 0. 7% 1. 7% 0.6% 1. 5% 0.8% 3.9% 1. 8% 40煙 草 0.6% 0. 5% 1. 4% 0.8% 1. 3% 0.8% 3.2% 1. 8% 41建 設 土 木 6. 7% 3.4% 6.6% 3.5% 7. 7% 4. 7% 0.0% 0.0% 42仕 上 ・ 改 修 工 事 4.0% 2. 1% 5.5% 2. 1% 3.8% 2. 5% 0.3% 0. 3% 43卸 売 業 1. 7% 4.4% 3.0% 5.8% 1. 5% 3. 2% 1. 8% 4. 6% 44小 売 業 1. 4% 3. 3% 2.1% 4. 6% 2. 1% 4. 8% 5.6% 10. 8% 45鉄 道 運 輸 1. 9% 0.4% 2.6% 0.5% 2, 1% 0. 3% 0.8% 0.4% 46水 運 0. 8% 0.3% 0. 7% 0.3% 1. 3% 0, 4% 0.0% 0. 1% 47郵 便 通 信 1.1% 1. 3% 1. 3% 2.3% 0. 8% 1. 1% 1. 4% 2. 3% 48そ の 他 の 運 輸 2.2% 2.5% 3.3% 2.6% 2.3% 1. 9% 1. 8% 2.4% 49金 融 0.8% 2.6% 0. 1% ‑0.4% 0. 1% 0.4% 0.2% 0.8% 50保 険 0. 5% 1. 2% 1.0% 1. 2% 0. 3% 1. 2% 0. 7% 2.6% 51不 動 産 0.8% 6. 1% ‑0.5% 10.2% 1. 1% 7. 9% 3.0% 17.9% 52飲 食 宿 泊 4. 3% 1. 6% 7.3% 1. 4% 7.6% 1. 6% 20. 1% 3.6% 53研 究 ・ 文 化 ・ 娯 楽 1. 1% 1. 5% 1. 9% 1. 3% 1. 5% 1. 3% 3.6% 2. 7% 54医 療 獣 医 0.2% 1. 6% 0.3% 2.3% 0. 1% 0.6% 0.4% 1. 5% 55そ の 他 の 営 利 サ ー ビ ス 3.5% 7.3% 6.5% 10.0% 2. 1% 2.2% 3.2% 3.1% 56一 般 政 府 サ ー ビ ス 10.5% 8.6% 12. 7% 11.5% 16. 9% 12. 3% 1. 5% 1. 6% 57非社 会 保 険 1. 7% 3.4% 0. 1% 0. 7% 3.2% 5. 6% 0.0% 0.0% 58 営 利 サ ー ビ ス 1. 1% 1. 8% 1. 8% 2. 6% 1. 8% 1. 5% 4. 7% 3.3% 59全 は 100. 0% 100. 0~ 100. 0% 100. 0附 100. 0% 100. 0% 100. 0% 100. 0%
造業では一般機械、食料品などで旧西ドイツとは差が大きかった。建設と仕上・改修工事を合 計すると、割合にして約2倍近く旧東ドイツが高く、また製造業でもたとえば一般機械では、
旧東ドイツは7.3%で旧西ドイツよりも 3%以上高くなっていた。一般機械や電気機械に力を 入れていた旧東ドイツ末期のホーネッカー政権の経済政策をうかがうことができる。旧西ドイ ツの方が割合が高かった製造業は、道路輸送機械や化学製品、鉄鋼、事務・情報処理機械、精 密機械、印刷・複写などである。特に道路輸送機械は3%以上旧西ドイツの方が高かった。市 場メカニズムがないために需要に合わせて生産が増加することもなく、 2 3年もトラバント
を待ち続けていた旧東ドイツの市民生活は有名であるが、立ち後れた旧東ドイツの自動車産業 はこんな数値にも反映されている10)。
付加価値についてはまず、旧東ドイツのいくつかの部門でマイナス値が見出される。鉄鋼や 非鉄金属、事務・情報処理機械、不動産などが該当する。これは補助金が巨額であるために、
市場価格で評価すると付加価値計がマイナスとなるためである11)。逆に市場価格を抑えるため に、政府が付加価値を越える巨額な補助金を政策的に支出していたともいうことができる。こ れらは戦略的に重要な基幹産業であった。また旧東ドイツでは家賃が補助金によって旧西ドイ ツよりも安かったことは有名であるが、それがこのように付加価値合計がマイナスになってし まうほど注ぎ込まれた補助金であったこともわかる。商業や金融・保険・不動産、その他の営 利サービス等で旧西ドイツよりも著しく構成比が低く、逆に食料品、一般機械等の製造業や電 気・ガス・水道などで構成比が高かった点で生産構成と同様である。しかし農業では生産構成 比よりも付加価値構成比の方が2.6%も低く、旧西ドイツをも下回っていた。また飲食・宿泊は、
旧東ドイツでは付加価値でみると生産構成比よりも 3%も上昇し、製造業の食料品・飲料をも 上回っていた。付加価値からみて飲食・宿泊は、公務に次ぐ旧東ドイツ第2番目の産業であっ たことは驚きである。
最終需要の構成では、旧東西ドイツとも公務(一般政府サービス)の割合が飛び抜けて高く、
特に旧東ドイツでは社会保険と合わせ約20%にも達していた。そして生産構成や付加価値構成 からみるよりも格差は開き、旧東ドイツの方が旧西ドイツよりも 4%以上高くなっていた。公 務ばかりでなく、一般機械や食料品、建設、飲食・宿泊、社会保険等も、最終需要構成でみる
10)旧東ドイツ時代の市民生活、労働、環境等を統計的に知る上で、 H5lder,E. (1992)は不可欠の1 冊である。
11)補助金の実体については青木 (1992)を参照。
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と生産構成や付加価値構成よりも高くなり、化学製品や電気機械、その他の製造業や営利サー ビスなどでは逆に構成比が低くなっている。生産構成でみると旧東ドイツの方が高かった電気 機械の構成比は、最終需要では逆転して旧西ドイツの構成比の方が高かった。
さらに最終需要の中で最も高い割合を占める民間消費の構成では、旧東西ドイツの相違は いっそう歴然としていた。特に飲食・宿泊サービスの割合が旧東西ドイツ間では16.5%も異 なっていた。食料品と飲料の合計でも約10%の開きがあり、「食」がいかに旧東ドイツ家計の大 きな割合を占めていたかがわかる。「食」に関する財貨・サービスだけで民間最終消費の40%を 超えるというのは、先進国の事例からみても、またエンゲルの法則からも、後れた経済といわ ざるを得ないであろう。もちろんこれは、「食」をはじめとする消費財生産には力を注ぐものの、
自動車を典型とする耐久消費財の生産が潜在的需要にはるかに及ばなかったことや、サービス 化が著しく立ち後れていたことの反映でもあった。しかし、旧西ドイツで民間最終消費の 17.9%もの高い割合を占めた不動産は、東ドイツではわずか3.0%に過ぎず、住宅そのものは貧 弱であったとはいえ、家賃補助によって、家計の圧迫からはほど遠かったことも事実である。
また旧東ドイツでは石炭が3.3%も占めていたが、石油製品の割合はわずか0.7%で、 3%を占 める旧西ドイツとのエネルギー事情の相違も明らかであった。この点は第5節でもふれる。
4.中間投入産出・技術構造
すでに第2節で、旧東ドイツはマクロ的にみて、中間投入が異常に高い経済であったことは ふれた。ここでは部門ごとにそれを調べてみよう。表5‑2は、各部門の中間投入・需要率を まとめたものである。全体としての中間投入率は、第2節のマクロのものと同様であるので、
ここではまず全体としての中間需要率(中間需要/総需要)からみると、やはり旧東ドイツの 方が圧倒的に高く、旧西ドイツとは異なり需要の50%以上が中間需要であったことがわかる。
このように全体としてみると、中間投入率も中間需要率も旧東ドイツの方が圧倒的に高かっ たが、部門別にみると必ずしも全体の傾向と同じではなく、さまざまであることもわかる。た とえば、石炭・コークスや金属製品、船舶、航空機、飲料、他の運輸、飲食・宿泊、研究・文 化・娯楽等では、旧西ドイツの中間投入率の方が圧倒的に高かった。その他にも、水道や原油・
天然ガス、土石・建築資材、木材加工、パルプ・紙製品、印刷・複写、衣料品、仕上・改修工 事、卸売、等々では、同様に旧西ドイツの中間投入率が高かった。にもかかわらず、全体とし ては旧東ドイツの中間投入率の方が高くなるのは、生産構成比が高い公務や建設、一般機械、
表5‑2:旧東西ドイツの中間投入・需要率 (1987年)
2林 業 ・ 狩 猟 ・ 漁 業 3電 力 ・ 熱 供 給
4ガ
5水
i
6石 炭 ・ コ ー ク ス 7そ の 他 の 鉱 業 8原 油 ・ 天 然 ガ ス
9化 学 製 品
10石 油 製 品
11ブ ラ ス テ ィ ッ ク 製 品
12ゴ ム 製 品
13土 石 ・ 建 設 資 材
14陶 磁 器
15ガ ラ
16
鉄 ら
17非 鉄 ・ 金 属
18鋳 物 製 品
19圧 延 銅
20金 属 製 品
21一 般 機 械
22事 務 ・ 情 報 処 理 機 械 23道 路 輸 送 機 械
g g
空B
26電 気 機 械
27精 密 機 械 ・ 光 学 製 品
28鉄 ・ ブ リ キ ・ 金 属 製 品 29楽 器 ・ 玩 具 ・ 装 飾 品
30木 材 加 工
31木 製 品
32パ ル ブ ・ 製 紙 33紙 ・ 板 紙 製 品 34印 刷 ・ 複 写
35皮 革 製 品
36繊 維 製 品
37衣 料
38
食 料 岱
悶 芦 :
41建 設 ・ 土 木 42仕 上 ・ 改 修 工 事
43卸 売 業
44小 売 業
45鉄 道 運 輸
46水 運
47郵 便 ・ 通 信 48そ の 他 の 運 輸
訂 塁
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1
‑146‑
食料品、電気機械、農業、化学製品などで、旧東ドイツの中間投入率が圧倒的に高かったこと、
また補助金が異常に高かった鉄鋼、非鉄金属、事務・情報処理機械、不動産などでは中間投入 額が国内生産額を超えてしまっていたこと、等が大きく影響している。
中間需要率においても、いくつかの部門では旧西ドイツの方が高くなっていたが、そのよう な部門の数は中間投入率に比べれば少ない。石炭・コークス、原油・天然ガス、鉄・プリキ・
金属 (EBM)製品、印刷・複写、煙草、卸売、海運、飲食・宿泊等がそれに該当し、どちらか
といえばサービス部門に多くみられる。逆にいうならば、旧東ドイツでは中間生産段階での需 要が少ないサービス部門が多かった、ということになる。しかし全体としては、やはり中間投 入率と同様に、中間需要率が旧西ドイツよりも高い部門が圧倒的に多く、一般機械や電気機械、
道路輸送機械などのような部門の製品ですら、 50%以上が中間需要として用いられていた。
第2章でも紹介したように、各部門の中間投入率及び中間需要率が、全体としてのそれを越 えているか否かによって、各部門を4つの象限に位置づけ、それをもとに各部門の性格付けを 行ったものが表5‑2の右側である。このように分類すると、一般には、表の上の方の部門は 第I、II象限に属し、中間財を主に生産する部門が多く、表の中段の機械や食料品、衣料品、
サービス等は第III、IV象限に属し、最終財に位置づけられることが多いことがわかる。しかし ここでも、旧東西ドイツで全く位置づけが異なる部門がみられる。たとえば電気機械や精密機 械は、旧西ドイツでは最終財基礎部門であるのに対して、旧東ドイツでは中間財製造部門であっ た。逆に、鉄・ブリキ・金属製品や研究・文化・娯楽は、旧西ドイツでは中間財製造部門であ るのに対して、旧東ドイツでは最終財基礎部門であった。
次にそれぞれの部門を、他の部門へ影響を与えやすいか、逆に他部門から影響を受けやすい か、という他部門との連関構造から旧東西ドイツの比較をしたものが、表5‑3の影響カ・感応 度係数である。ただしここでは純粋に他部門との関連を捉えるために、第3種係数のみを考察し ている12)0
まず旧東ドイツで、他部門への影響力係数が高かった部門は、順に事務・情報処理機械、非 鉄金属、不動産、鉄鋼、林業、食料品といった具合であり、金属や食品を除いて旧西ドイツと 12)通常の第1種係数を取ると、鉄鋼、非鉄金属等の異常に補助金の多い旧東ドイツの部門では、投入 係数も異常に高くなり、したがって逆行列の対角要素が高い値となるために、影響力、感応度、両 係数とも飛び抜けて高くなる。その分、他の部門の係数が異常に低くなって比較がしづらいため、
第3種係数を取ることにした。第3種係数とは、自部門への影響あるいは自部門からの影響を無視 して、他部門への影響あるいは他部門からの影響のみを考察する方法である。詳細は宮沢 (1995) 等を参照されたい。
表5‑3:旧東西ドイツの第3種影響カ・感応度係数 (1987年)
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‑148‑
は大きく異なっていた。特に、旧西ドイツでは影響力係数が低い方に属する事務・情報処理機 械、不動産、林業が、旧東ドイツではこれだけ高い数値を示していたことは驚異である。一方 旧西ドイツでは、金融、食料品、社会保険、紙・板紙製品、衣料品、金属製品、船舶といった 順に影響力係数は高く、特に金融や金属製品、船舶などで旧東ドイツとは大きな相違を示して いた。ここで挙げた以外にも、ガス、石炭・コークス、原油・天然ガス、鉄・ブリキ・金属製 品、飲料、飲食・宿泊、研究・文化・娯楽では、旧西ドイツの影響力係数が100%を超えている のに対して、旧東ドイツでは逆に著しく低かった。一般に最終財や生産迂回性の高い部門ほど、
影響力係数は高くなる傾向がある。たとえば石炭の場合は、その採掘に旧西ドイツではかなり 手間がかかったのに対して、旧東ドイツは表層の褐炭を簡単に採掘できた点なども影響してい
るのであろう。
他部門からの影響の受けやすさを計る感応度係数は、旧東ドイツでは一般機械、電カ・熱供 給、化学製品、電気機械、石炭・コークス、他の営利サービスの順に高く、一方旧西ドイツで は、他の営利サービス、化学製品、卸売、鉄鋼、電カ・熱供給、その他の運輸、電気機械といっ た順であった。順位自体は多少異なるが、相違はさほど大きくない。一般に感応度係数は、各 産業の基礎となっていたり、産業間に介在するような部門ほど高くなる傾向があるが、この観 点から検討するならば、旧東西間で大きく異なっていたのはサービス部門であろう。旧東ドイ ツの方が感応度係数が高いサービスは、鉄道運輸、通信、公務ぐらいであり、その他のサービ スはすべて旧西ドイツの方が高くなっていた。サービス以外では、エネルギー事情の相違を反 映して、石炭・コークスは旧東ドイツ、石油製品は旧西ドイツの方が感応度係数が高くなって いた点が興味深い。この点は次節で検討しよう。
次に、自動車部門の生産技術構造の相違を、ュニット・ストラクチュアによって視覚的に比 較してみよう13)。図5‑2、5‑3が旧東西ドイツそれぞれの自動車のユニット・ストラクチュ アであるが、相違は歴然である。すなわち旧東ドイツの方が、一定の最終需要(ここでは10,000 単位)を最終的に満たすために必要な諸部門間の窮極の取引量が圧倒的に多かった。ここでは自 動車の場合を例示しているが、実は他の部門のユニット・ストラクチュアの場合もほぽ同様で ある。これこそが中間需要が異常に多い旧東ドイツの実態であり、効率性の観点からは大いに問 題のある経済だったのである。計画経済を標榜しつつも、実際には効率を無視した物動計画となっ ていたことは明らかである。この点は第8節において、就業や生産性の観点からも検討する。
13)これについても第3章の解説を参照されたい。
図5‑2:自動車のユニット・ストラクチュア
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(部門名については、たとえば表5 ‑1等を参照)
産出
投 入
5. エネルギー投入構造
ドイツは他の先進諸国に比べて、石炭によるエネルギーにより依存した経済であることはよ く知られている。 しかしそれは旧西ドイツに限ったことではなく、 旧東ドイツにおいても同様 であった。まず表 5‑ 4は、各部門のエネルギー関係の(中間)投入率を表にしたものである。
内生部門全体としてのエネルギー投入比率をみると、 電力、
ガス、石炭ともに旧東ドイ ツは旧
‑150‑
表5‑4:旧東西ドイツのエネルギー投入率 (1987年)
2林 業 ・ 狩 猟 ・ 漁 業 3電 カ ・ 熱 供 給
4ガ
5
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9化 学 製 品
10石 油 製 品
11ブ ラ ス テ ィ ッ ク 製 品
12ゴ ム 製 品
13土 石 ・ 建 設 資 材
14陶 磁 器
15ガ ラ
16
鉄 、
17非 鉄 金 属
18鋳 物 製 品
19圧 延 鋼
20金 属 製 品
21一 般 機 械
22事 務 ・ 情 報 処 理 機 械
23道 路 輸 送 機 械
魯 魯
空畠
26電 気 機 械
27精 密 機 械 ・ 光 学 製 品 28鉄・ブリキ・金属製品
29楽 器 ・ 玩 具 ・ 装 飾 品
30木 材 加 工
31木 製 品
32パ ル プ ・ 製 紙 33紙 ・ 板 紙 製 品
34印 刷 ・ 複 写
35皮 革 製 品
36繊 維 製 品
37衣 料
38
食 料 魯 悶 畠 塁
41建 設 ・ 土 木
42仕 上 ・ 改 修 工 事
43卸 売 業
44小 売 業
45鉄 道 運 輸
46水 運
47郵 便 ・ 通 信
48そ の 他 の 運 輸
翡 畜 塁
51不 動 産
52飲 食 ・ 宿 泊 53研 究 ・ 文 化 ・ 娯 楽 54医 療 ・ 獣 医 55そ の 他 の 営 利 サ ー ビ ス
56一 般 政 府 サ ー ビ ス
57社 会 保 険
58非 営 利 サ ー ビ ス
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一
西ドイツの倍以上投入率が高かったことがわかる。特に電力や石炭の投入率において、大きな 格差があった。
電力の投入率において特に旧東ドイツが高かったのは、電力生産自体の他に、農林水産業、
鉱業、陶磁器・ガラス、鉄鋼、事務・情報処理機械、商業(卸売・小売)、医療、非営利サービ スなどである。しかし必ずしもすべての部門で旧東ドイツが高かったわけではない。特に水道 では旧西ドイツの方が高かったし、パルプ・紙製品、鉄道運輸、飲食・宿泊でも同様である。
このうち鉄道運輸の格差は、電化率が大きな相違の原因となっており、旧東ドイツでは蒸気機 関車も依然多く利用されていたためである。これらの部門が存在はしたが、旧東ドイツの方が 高い部門が圧倒的に多かったために、全体としても同様の傾向であった。
ガスは全体としては最も格差が少なかったが、それでも部門ごとにみるならば、陶磁器やガ ラス、鉄鋼・非鉄金属、鋳物製品などを中心に、旧東ドイツの投入率がかなり高かった。
石炭では多少事情が異なっていた。というのも石炭・コークス部門の自己投入率では旧西ド イツの方が圧倒的に高く、 2番目に高い割合の電カ・熱供給部門では、両ドイツともほぽ同率 であったからである。このうち特に電力に関しては、電力生産に直接用いるエネルギー源とし て、両ドイツともかなり石炭に依存していたことを意味する。しかしガスや土石・建設資材、
鉄鋼、非鉄金属などの部門では圧倒的に旧東ドイツの方が石炭投入率が高く、またその他のさ まざまな部門でも、旧東ドイツでは自給可能な石炭を幅広く用いていたために、全体としても 高くなっていた。
石油製品だけは唯一旧西ドイツの投入率の方が高かった。これは石油製品部門の自己投入だ けではなく、海上運輸やその他の運輸(陸上運輸を含む)、農業、化学製品などで旧西ドイツの 方が高かったためである。特に海上運輸に関しては、旧東ドイツでは石炭船も未だ航行してい たのに対して、旧西ドイツではほとんどが重油等による運航であったことを反映している。
このようなエネルギー投入構造の相違は、当然、価格体系にも反映されるはずである。次に 価格モデルによって、エネルギー価格変動の影響をシミュレーション分析してみよう。表5‑
5がその結果である。
まず、石炭価格が2倍に上昇した場合、各部門の価格がどの程度上昇するかをシミュレーショ ンしたものが、表5‑ 5の左側である。石炭投入率の高さを反映して、ほとんどの部門で旧東 ドイツの上昇率の方が高くなっているが、特に非鉄金属や鉄鋼などでは上昇率が20%を超え、
旧西ドイツの上昇率とは著しい格差がある。これらの部門では、電カ・熱供給部門よりも高い
‑152‑
上昇率であり、 この点でも旧西ドイツとは異なっている。旧東ドイツでは石炭を除き、非鉄金 属、鉄鋼、電力、ガス、土石・建設資材、事務・情報処理機械といった順に上昇率が高かった が、旧西ドイツでは、電力、鉄鋼、パルプ・製紙、水道、圧延鋼といった順であった。全体と しての上昇率は旧東ドイツで8.2%、旧西ドイツでは2.3%であったが、各部門の上昇率を民間 消費の構成で加重平均した消費者物価の上昇率をみると、さらに格差が広がっている。これは、
旧西ドイツでは生産で石炭に依存していても、消費局面では必ずしもウェイトの大きくない財 貨・サービスが多いためである。
表5‑5:エネルギー価格変動のシミュレーション
2林業・狩猟・漁業
3電 カ ・ 熱 供 給
4ガ
5
水 盃
6石 炭 ・ コ ー ク ス
7そ の 他 の 鉱 業
8原 油 ・ 天 然 ガ ス
9化 学 製 品
10石 油 製 品
11プ ラ ス テ ィ ッ ク 製 品
12ゴ ム 製 品
13土 石 ・ 建 設 資 材
14陶 磁 器
15ガ ラ
16
鉄 、
17非 鉄 金 属
18鋳 物 製 品
19圧 延 鋼
20金 属 製 品
21一 般 機 械
22事 務 ・ 情 報 処 理 機 械
23道 路 輸 送 機 械
闘 空 昌
26電 気 機 械
27精 密 機 械 ・ 光 学 製 品 28鉄 ・ ブ リ キ ・ 金 属 製 品 29楽 器 ・ 玩 具 ・ 装 飾 品
30木 材 加 工
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表5‑5の右側は、原油価格が2倍に上昇したケースをシミュレーションしたものである。
全体として、旧東ドイツの方が上昇率が高いことは石炭の場合と同様であるが、格差はかなり 小さい。部門ごとには、旧東ドイツでは原油を除いて石油製品の上昇率が最も高いのに対して、
旧西ドイツでは石油製品よりもガスの方が高く、なおかつ旧東ドイツのガスよりも上昇率が高 ぃ。これが最も大きな相違であり、あとは海上輸送や金融、飲食・宿泊を除いてほとんどの部門 で旧東ドイツの方が高い。消費者物価の上昇率を求めると、旧東ドイツでは石炭の場合と同様に 全体の上昇率よりも低いのに対してJ日西ドイツでは逆に高くなっている点にも要注意である。
電力生産に関しても、ユニット・ストラクチュアによって比較しておこう。図5‑4及び図