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府最終消費の増加はプラスに作用したが、それを上回る労働生産性の向上があったためである。
他方、就業者が増加した部門も、建設やサービスを中心に存在している。 そ の 多 く は 、 中 間
投入係数の変化による効果がプラスであり、生産段階においてその財貨やサービスを投入する 割合が高まったことを示している。たとえばその他の営利サービスにおいては、民間最終消費 の増加が最も大きなプラスの効果を与えたが、それとともに中間投入係数の変化による効果も 作用したことが、労働投入係数の変化によるマイナス効果を上回って、 63万1千人という大幅 な就業者の増加につながっている。 また非営利サービスや医療においても、民間あるいは政府 の最終消費増加が最大のプラス要因として作用しているが、労働投入係数の変化も 3番目に大 きなプラス要因として作用している。 この時期、建設・土木及び改修工事における大幅な就業 者増加も大きな役割を果たしたが、 これは東側のインフラや、鉄道幹線の整備のための建設投 資の増加が続いたことが最も影響している。そして全体においても、建設投資増加の効果は輸 出増加による効果を上回っている。
このように90年代前半は、東側再建のための建設投資や消費需要等に支えられて、建設・土 木やサービス部門では就業者数は増加したものの、農業やエネルギ一部門、製造業などの全般 的な就業者数減少によって、全体としても大幅な就業者数の減少となった。ではそれ以降はど うか。表6‑10は、 90年代前半も含めて、就業者数の変化を成長率でみたものである。統一ド イツも、あるいは東側だけに限っても、マイナス成長、すなわち就業者数の減少が目立つ。農
表6‑10:就業者数の対前年成長率
エ ネ ル ギ ー ・ 鉱 業 製 造 業
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at1st1sches tsundesamt(1998b)等より計算。
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林水産業、エネルギー・鉱業、製造業、運輸・通信、そして公務・社会保険においては、増加 に転ずることなく一貫して減少し続けている。統一ドイツで増加を続けているのは、その他の 営利サービスと民間非営利団体サービスであるが、それも 1994年以降はテンポが低下してきて いる。建設業も 1994年までは、高い増加率であったが、その後減少に転じている。その結果全 体としても、 1995年にかけて減少率は低下したが、その後再び悪化している。東側だけに限っ ても、復興の基になるべき建設業では成長率は一貫して低下し、マイナスに落ち込んでいる。
全体としても 19941995年には増加したものの、その後は減少が顕著である。
図6‑11は、統一ドイツの国内総支出を構成する各項目の成長率を図にしたものである。こ れをみても、 90年代前半のマイナス成長の設備投資に代わる形で、 90年代後半の建設投資は目 立った低下傾向を示している。就業者減少は労働生産性ばかりではなく、そもそも国内総支出 自体が、輸出を除いて低迷しているという背景があることも看取できる。
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長 率 ‑5.0%
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1992
図6‑11:90年代の就業構造(統一ドイツ)
1993 1994 1995 1996
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1997
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こうして90年代は、就業者数が全般的に減少したなかで、就業構造も変貌していった。表6‑
11をみてもわかるように、サービス化率、すなわち就業者全体に占めるサービス業の比率が短 期間に7%弱も上昇している22)。そして 1997年には64.1%に達し、日本のそれを5%近くも上 回る結果となっている。ドイツ経済は、長いことサービス化の立ち後れが指摘されてきたが、
この表だけからは、表面的には90年代に日本を一挙に抜き去ったかにみえる。しかしその実態 は、すでにみたようにサービス業の進展というよりは、製造業を中心とした非サービス業の低 迷といった方が当を得ているかもしれない。
22)ここでの計算は、商業〜公務・社会保険の就業者数を全体の総計で割ったものである。
表6‑11:90年代の就業構造(統ードイツと日本)
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エ ネ ル ギ ー ・ 鉱 業 0.8% 0.8%
製 造 業 24.3% 24.3%
建 設 業 9.8% 9.9%
商 業 17.0% 16.8%
運 輸 ・ 通 信 5.4% 5.4%
金 融 ・ 保 険 3.3% 3.2%
そ の 他 の 営 利 サ ー ビ ス 22.9% 23.2%
民 間 非 営 利 団 体 2.4% 2.5%
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出所) ドイツはStatistischesBundesamt(1998b)、
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59.2% E 日本は総務庁統計局(1999)等より計算。%
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7.結 び に か え て
以上、再統一前後の統一ドイツの経済構造の変化、再統一直後の東西間依存構造、 その後の
統一ドイツの低迷を中心に考察した。再統一によって、 ドイツ全体としての経済構造が変化し
たことは確かである。 しかしそれは予想ほど大きな変化ではなかった。 1つ に は 東 側 の 経 済 規 模 が 西 側1州程度しかなかったこと、 さ ら に 再 統 一 直 後 は 東 側 経済が製造業を中心に瀕死の状 況にあったことなどのためである。就業構造においては、 さらに生産以上の大きな変化がみら れ、再統一によって各産業部門における就業者数は大きく増加した。分析によれば、 その増加 の1番の要因は人口増加等による民間最終消費需要の拡大にあるが、 2番 目 の 要 因 と し て 、 非 効 率 な 古 い 生 産 シ ス テ ム を 包 含 し た こ と に よ る 影 響 も 無 視 で き な い こ と を 指 摘 し た23)。
第4 5節 で は 、 西 側 と 東 側 の 移 輸 出 入 地 域 連 関 構 造 も 分 析 さ れ た 。 中 間 需 要 か ら 最 終 需 要 に 至 る ま で 、 西 側 に 大 き く 依 存 し た 東 側 の 姿 が 明 ら か と な っ た 。 せ っ か く 東 側 の 民 間 消 費 需 要
23)そしてこの要因こそがまた、環境問題でも最も大きな要因となっている。良永(1996)、Yoshinaga (2000)を参照されたい。本書第10章でも触れている。
‑198‑