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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

DNAの高次構造変化を誘起する[5]ヘリセン-スペルミ ンリガンドの合成とシンクロナイズド不斉誘起及び 遺伝子制御への展開研究

川良, 健祐

http://hdl.handle.net/2324/1806969

出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(創薬科学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

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氏 名 川良 健祐

DNA の高次構造変化を誘起する[5]ヘリセン-スペルミンリガンドの合成とシンク ロナイズド不斉誘起及び遺伝子制御への展開研究

論文調査委員 査 九州大学 教 授 佐々木 茂貴 査 九州大学 授 大嶋 孝志 査 九州大学 准教授 唐澤 査 九州大学 准教授 谷口 陽祐

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

通常右巻きらせんのB型構造をとるDNAは、特定の条件下、左巻きのZ型へと構造遷移(B→Z 移)する。当研究室では以前、ビスアリール-スペルミンリガンド 1)と、らせん性のキラリティーを持 つ[5]ヘリセン-スペルミン-リガンドがB→Z遷移を誘起することを見出した(図1)。また、室温でキラ ル変換しない1,14-ジメチル[5]ヘリセンリガンドを用いた検討では、右旋性の(P)体は右巻きのB-DNA に、左旋性の(M)体は左巻きの Z-DNA にそれぞれ高い親和性を示すこと2)も示された(図2)。これら のことから、キラル変換可能な[5]ヘリセン-スペルミンリガンドは、DNA B→Z遷移に伴い、自ら のキラリティーを変化させている可能性が想起された。そこで、本研究ではこの仮説を実証するため の分子設計を行い、詳細に検討された。

本研究では、キラル変換可能なラセミ体の[5]ヘリセン-スペルミンリガンドは、(i)右巻きB-DNA より右巻きの(P)-キラリティーを誘起されて結

合し、(ii)DNA B→Z遷移を誘起する。その 後、(iii)左巻きZ-DNAにより左巻きの(M)-キラ リティーを誘起されるという仮説の実証が検 討された(図3)。独創的かつ世界初の不斉誘起 系の概念確立するため、DNA と[5]ヘリセン- スペルミンリガンドというキラル変換可能な 2つの分子を利用し、互いのキラリティーがシ ンクロナイズして相互変換する反応系の確立 が検討された。

川良氏は、リガンドとDNAのキラル変換を、

3.相互にキラル変換するDNAと[5]ヘリセン

図1. [5]ヘリセンリガンドによる B→Z 遷移 図2.リガンドとDNAのキラリティー親和性

(3)

CD測定によって同時に追跡することとし、DNAより長波長領域にCD吸収を有する新規リガンドの 探索合成を行った。その結果、上記の性質を兼ね備えるリガンドとして2,13-ジメトキシ[5]ヘリセン- スペルミンリガンドを見出した。

B-DNAに対してリガンドのラセミ体を滴定すると、DNAB→Z遷移特有のスペクトル変化が観

測された (240-300 nm)。また、より長波長領域(320-360 nm)にはリガンド由来の誘起CDが出現し、

B→Z遷移に伴うCDスペクトルの変化が現れた(図4A)。

図4B295 nmCD変化をリガンド当量数に対してプロットしたもので、B→Z遷移の進行を表

しており、リガンドおよそ4eq.でB→Z遷移は定常状態になった。

一方で図4C340 nmCD変化をプロットしたもので、リガンド低濃度条件(2 eq.時)においては 正の値をとり、リガンド高濃度条件(4〜5 eq.以降)においては負の値へと転じており、リガンドのキラ リティーが(P)から(M)へと転換したことを示している。図4Bと図4C CD変化から次の変化が示 された。①リガンド低当量数時にB-DNAに結合したリガンドは右巻きの(P)-キラリティーが誘起され た。②さらなるリガンド添加によってB→Z遷移が誘起された。③Z-DNAの誘起に引き続き、結合リ ガンドは左巻きの(M)-キラリティーが誘起された。

本実験により、2,13-ジメトキシ[5]ヘリセン-スペルミンリガンドはDNAB→Z構造遷移(キラリテ ィー変化)を誘起するだけでなく、自らの構造(キラリティー)を変化させていることが示された。ITC 測定やリガンドラセミ化速度の観点から、より詳細なメカニズムが解析された。このように本研究は

「シンクロナイズしたキラリティー変換」の新しいコンセプトの実証に成功し、新しい不斉誘起反応 の概念を確立したものであり、博士(創薬科学)の学位に値すると認める。

図4. (A)リガンドによるCD変化 (B) B→Z 遷移の追跡 (C)リガンドキラリティーの追跡

参照

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