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看護教員の「看護実践能力」と「教育実践能力」に関する研究―その必要と獲得・向上― [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)看護教員の「看護実践能力」と「教育実践能力」に関する研究 ―その必要と獲得・向上― キーワード:看護基礎教育、看護教員、臨床経験、学習経験、臨地実習. 教育システム専攻 藤川 真紀 目次. 力. 序章. 第1節 所属する学校種別の看護実践能力と教育実践. 第1節 研究の背景. 能力. 第2節 研究課題. 第2節 看護基礎教育課程にみた看護実践能力と教育. 第3節 仮説. 実践能力. 第4節 研究方法. 第3節 経験の多様性. 第5節 論の構成. 終章. 第1章 看護師の資格と養成制度をめぐる問題点 第1節 看護基礎教育. 序章. 第2節 専門看護師、認定看護師、准看護師. 看護基礎教育課程は高校、専門学校、大学と3つに分. 第3節 看護教員養成. 類され、さらに准看護師、看護師の資格に応じてカリキ. 第2章 教員に求められる能力. ュラムや学校種が存在している。看護教員の資格要件は. 第1節 高等教育における教員の能力. 学校種により異なっている。看護師の実務経験を要件と. 第2節 看護教員に必要な臨床経験. するのは専門学校である。看護教員は教育経験年数を重. 第3節 時代と共に変化した看護教員の能力. ねるほど臨床経験から遠ざかることになる。また、臨床. 第4節 看護教員に関連する検討会・審議会. 経験があるからといって教育に活用できるとは言い難い。. 第3章 看護実践能力. 1)研究目的. 第1節 看護実践能力を構成する要素抽出. 厚生労働省では「看護実践能力」と「教育実践能力」. 3-1-1 新しい知識の獲得. のバランスがとれた看護教員を求めている。看護教員は. 3-1-2 臨床経験の活用. どのようにして看護実践能力や教育実践能力を獲得し向. 3-1-3 フィールドでの実践(看護及び研究). 上させているのか。さらにこれらの能力のバランスがと. 第2節 看護実践能力の構成要素. れていないとすればどのような影響があるのだろうか。. 第4章 教育実践能力. これらの能力は所属する学校種別や、卒業した看護基礎. 第1節 教育実践能力を構成する要素抽出. 教育課程別によって異なることを明らかにする。. 4-1-1 教育経験の活用. 2)研究方法. 4-1-2 大学及び大学院での学習経験. 第1章では看護師の資格と養成制度をめぐる問題点. 4-1-3 看護教員養成講習会受講. について議論する。第2章では教員に求められる能力に. 4-1-4. ついて高等教育の視点から、また看護師の経験の観点ら. 研究活動. 第2節 教育実践能力の構成要素. 分析し、時代と共に変化している看護教員像と照らし合. 第5章 多様な角度からみた看護実践能力と教育実践能. わせる。第 3,4,5 章ではインタビュー結果を分析した。 1.

(2) インタビュー協力者は自己を振り返ることのできる 40. 足する教育を補っている。つまり看護教員は実務経験だ. ~50 歳台の専校や大学に所属する看護教員を対象とす. けでなく教育的な視点も重要であるといえる。大学教員. る。 第5章では、 所属する学校種や看護基礎教育課程別、. は専門分野を専攻し学術活動に専念することが役割であ. 多様な経験から看護教員の能力について分析する。. る。目的を達成するべく教育上の能力、つまり学位と業 績が必要とされている。職業に直結した教育を行う必要. 第1章 看護師の資格と養成制度をめぐる問題点. があるが、実務経験は優先されていないことは問題であ. 看護師基礎教育は、高校と専門学校、大学と3つの課. ると考える。臨床で経験し獲得できることは、看護技術. 程がある。養成制度の複雑さを前提としながらも、保健. だけではない。患者や家族とのコミュニケーション能力. 師助産師看護師学校養成所指定規則によって教育内容の. や、看護師や医師との連携も培うことができる。臨地実. 整合性を保っているといえる。. 習指導者の動きを察知し、 患者の様子から状況を把握し、. 高校の5年一貫教育は、普通科と比較すると一般教科. 学生への指導に活かすことができる。そのために実務経. の科目数が少なく、専門科目の履修が多い。看護師とし. 験つまり臨床経験は必要である。. ては 20 歳で就職できる最短コースではあるが、大学へ. ここで、これまでの看護教員はどのような役割を経て. の編入ができないなどいくつかの問題点がある。専門学. きたか整理する。看護師養成教育が始まった当初は医学. 校では、文字通り、実践的で専門的な職業教育を行う教. 的知識とそれに対応した看護法と実習の取得が医師を中. 育機関である。大学においては、看護師や保健師の養成. 心として行われていた。看護師は医師の補助的な立場だ. 教育を行っている。教育の特徴は教養科目の充実だけで. ったといえる。昭和 42 年以降は疾病中心から患者中心. なく、専門科目は大学卒業時の看護実践能力を定め到達. への看護が求められ教育の中心は看護教員となった。看. 目標を掲げて教育している。. 護教員の役割は明記されていないが、医師の補助ではな. 看護師資格取得後は指定された教育機関において学. く患者中心の看護ができる実践力が求められていたと考. 習することで、専門看護師や認定看護師の受験資格を得. えられる。しかし平成 21 年には新人看護師の臨床能力. ることができる。資格取得後は5年更新制であるが、看. の低下が指摘され、早急な対応として、看護基礎教育に. 護師と比較し、より専門的な知識と技術を提供できる日. おいて臨床に近い形での夜間実習等が取り入れられた。. 本看護協会が認定する資格である。これまでは看護師と. このように、時代の求める医療に応じて、看護教員に期. 准看護師の2つの資格で論議かなされてきたが、現状で. 待される役割も変化している。看護教員に「看護実践能. はさらに複雑な資格取得システムが出来あがっていると. 力」と「教育実践能力」をバランスよく持ち合わせてい. いえる。. ることが期待されている現状を考えると、看護の質の向. 看護教員養成に関しては、学校種によって異なりがあ. 上は看護教員の影響があるといえる。これらの能力をど. る。高校の看護教員は教員免許状の取得が第一原則であ. のように測定し評価していくかが難しいところであるが、. るが専門学校教員はその資格要件として臨床経験を5年. 実践力のある教員が必要とされている事は間違いないで. 以上有するものとしている。専門学校の看護教員が受講. あろう。. する看護教員養成講習会は、実施期間や修了要件が異な っており統一されたプログラムではない。大学教員は大. 第3章 看護実践能力. 学設置基準によって学位や業績に基づいて職位が決めら. 看護実践能力に関して「新しい知識の獲得」 、 「臨床経. れている。このため実務経験については厳密でないとい. 験の活用」 、 「フィールドでの実践(看護及び研究) 」の3. える。このように看護基礎教育の多様さは同時に複雑さ. つの構成要素が抽出された。. を招いているともといえる。. 看護教員は、教員経験を重ねるごとに臨床経験から遠 ざかる。しかし、臨床経験を活かすために看護や医療に. 第2章 教員に求められる能力. 関する新しい知識を学会や研修会の参加により獲得して. 第2章では教員に求められる能力は学校種別に、異な. いた。臨地実習指導では疑問点を医師や看護師に尋ね、. っていることが看護基礎教育において影響があることを. 新しい情報を習得し過去の臨床経験に膨らみをもたせる. 検討する。専門学校は職業教育を見据えており教員にも. 工夫をしていた。実際の現場での様子を見ることや関わ. 実務経験を有する者が必要とされている。専門学校を卒. りを持つことで知識を構造化しているといえる。新しい. 業し看護教員になったものには看護教員養成講習会で不. 知識を重ねることが出来るのは過去の臨床経験があるか 2.

(3) らである。これまでの「臨床経験を活用」することで学. 看護教員は過去の教育経験に依存するだけではなく、. 生指導に活かすことが出来ている。しかし臨地実習指導. 教育方法の工夫や手掛かりを求めて学会や研修会に参加. 者と同等の看護実践能力を維持することは厳しいことを. していた。学生が理解しやすい授業の改善や工夫を心が. 感じている。例えば臨床経験が少なく、看護実践能力に. け、伝えるだけでなく伝わる能力をつけたといえる。ま. 自信がない教員は、モデル人形を使用し実技のシミュレ. た年数を重ねただけでなく、職位により役割や責任を担. ーションを行い、経験の幅を広げる努力をしていた。こ. うことで自信を持ち、教育経験に磨きがかかることもあ. のように臨床経験の有無は看護基礎教育において影響を. るだろう。加えて臨床看護師としての指導経験もプラス. 与える因子になると予測できる。臨床経験は、臨地実習. になるであろう。これまでの「教育経験の活用」が教育. 指導者との連携や調整にもつながる。それは、学生の教. 実践能力の一要素であるといえる。. 育効果を高めるためには臨地実習指導者と看護教員との. 「大学や大学院での学習経験」は、看護基礎教育の大. 細かな打ち合わせが必要だからだ。 臨地実習指導者が今、. 学化がもたらした影響ともいえる。しかし、学習経験は. 何を考え行動しているか理解できなければ、看護教員の. 看護教員にとって幅広い教養だけでなく、理論的に考え. 役割は果たすことができない。そのために臨床での経験. る思考過程を学ぶ機会にもなったといえる。. は必要と思われる。. 臨地実習では、看護実践能力と重なりあいながら教育. 看護教員はフィールドにおいて知識や技術を確認す. 実践能力を発揮することが求められる。それは、患者の. ることや、研究指導を行っていた。看護教員にとって研. 状態や状況によって看護実践するだけでなく、行動する. 究のためのフィールドがあるが、時に看護ケアを実施す. 意味を論理的に整理し実践を言語化していく必要がある. ることもあった。看護を実践する機会を得ながら学習会. からだ。つまり大学や大学院で学習を経験するだけで教. や研究などのアドバイザー的役割を担っている教員もい. 育実践能力が得られるのではなく、学んだことをどのよ. た。. うに活かすか、試みるかによって力をつける要素になる. 3つの構成要素を教員別に整理すると次のように分. といえる。. 類された。. ここで、看護教員の学術的背景を探るために看護基礎 教育の国立大学、私立単科大学、専門学校とカリキュラ. 専門学校教員:臨床経験の活用、. ムを比較する。大学では教養科目や専門科目が充実して. 新たな知識の獲得. いる。論理的な思考を獲得するための専門的な教育が行. 大学教員. :臨床経験の活用. われているが、専門学校は限られた科目のみ設定であっ. 新たな知識の獲得. た。特に大学は研究に関連する科目や、教育指導に関す. フィールドでの実践(看護及び研究). る科目がある。専門学校は保健師助産師看護師学校養成 所指定規則に準じた最低限の設定である。このことは専. 大学教員に「フィールドでの実践(看護及び研究)」. 門学校を卒業した看護師や看護教員は専門教育に特化し. の要素があった。これは、研究できる環境があることが. た学びをしているといえる。. 影響している。フィールドでは看護実践を思い出す機会. 次に専門学校教員の受講する看護教員養成講習会と. でもあるが、新しい知識を実践で確認する場でもある。. 看護基礎教育のうち大学のカリキュラムと比較する。全. 専門学校教員はこのような環境がない。このために、実. 体の時間が 900 時間であり大学教育と比較することは難. 務経験が必要とされながらも教員経験が長くなるほど、. しい。看護教員養成講習会を受講するのは専門学校を卒. 実践力は低下することを危惧している。学生に「教員の. 業した看護師であるために、これまで履修していない教. 後ろ姿を見せる」という教員の思いが病院での研修を希. 育方法や指導論に関しての学びを深めているといえる。. 望しているといえる。専門学校の教員は実務経験を意識. 大学教員は、研究テーマがあり、研究活動を継続して. した教員であるといえる。. いる。研究活動は大学から校費があり、専念できる環境 である。研究活動を通して専門分野の専門性を高め、他. 第4章 教育実践能力. 者の研究に対してアドバイスやコーディネートが期待で. 教育実践能力に関して「教育経験の活用」 、 「大学及び. きるであろう。この繰り返しが、看護の質を高めるだけ. 大学院での学習経験」 、 「看護教員養成講習会受講」 、 「研. でなく、研究能力をつけ、教育実践能力をつけている要. 究活動」の4つの構成要素が抽出された。. 素といえる。 3.

(4) 4つの構成要素を教員別に整理すると次のように分. さや自己研鑽する時間がないこと、校費が十分でない事. 類された。. が実施出来ていない。 次に看護基礎教育課程別に看護実践能力と教育実践能. 専門学校教員:教育経験の活用. 大学教員. 力を再構成する。看護基礎教育課程が専門学校であって. 看護教員養成講習会受講. も、所属する環境により能力を構成する要素が形成され. 大学及び大学院での学習経験. ることがわかった。つまり、どの学校種で教員になるの. :教育経験の活用. かによって能力を構成する要素が決定されているといえ. 大学及び大学院での学習経験. る。このことは、看護基礎教育が専門学校だからといっ. 研究活動. て、限定された能力とは限らないともいえる。 教員になるまでに高等教育での教育学専攻の経験は. 専門学校教員のみ「看護教員養成講習会受講」の要素. あるが、看護の大学教育を受けたものは2名のみであっ. がある。これは専門学校教員としては必須の条件である. た。インタビュー協力者は 40 歳代であり、看護大学が. ので当然である。しかし大学で教育系単位を習得した看. 10 校に満たない時代である。このため、多くが専門学校. 護師は、看護教員養成講習会受講の必要がない。看護大. や短期大学卒業後に通信制の大学で学習経験を積んでい. 学とのカリキュラムを比較すると短期間で教員を養成す. る。しかし、これからの看護教員はカリキュラムが充実. るシステムといえる。大学を卒業していない看護師にと. した看護大学での学習経験があることを期待したい。. っては必要な学びを行える講習会であるが、今後は大学. この他に、専門と異なる社会経験を持つ教員や、複数. で学んだ看護師が増えることが予測され看護教員養成講. の学校で教育経験を重ねた教員がいた。現在所属する自. 習会のあり方が問われるだろう。. 分の役割と過去の経験を照らしあわせ、経験を活用して. 大学教員は「研究活動」を行っている。学生時代から. いる事がわかった。教員組織の中では一つにまとめるこ. の興味が現在のテーマにつながっている教員や、外部資. とが出来ない固有な経験であっても、バラエティに富ん. 金を獲得して研究を継続している者もいる。個人の研究. だ教員がいることは教育の質の向上や発展的な思考につ. 活動だけでなく、学生や看護職や対象に指導を行い研究. ながるのではないかと考えた。. のための情報を収集し学習を行っている。これは専門性 を高める要因であるといえる。. 終章 所属する看護基礎教育の学校種によって看護教員の. 第5章 多様な角度から見た看護実践能力と教育実践能. 能力を構成する要素は異なっていた。専門学校教員は研. 力. 究活動を行うことで看護実践能力や教育実践能力が構成. 看護実践能力と教育実践能力を構成する要素をもと. できるように、大学教員は研究活動に固執することなく. に分類すると専門学校に所属する看護教員と大学に所属. 教育実践能力と看護実践能力を獲得・向上できる環境作. する看護教員別に共通のパターンに分けられた。 これは、. りと意識改革が必要であろう。職業に直結した教員であ. 所属する看護基礎教育の学校種により看護教員が教育目. るならばその専門性を理論的な部分だけでなく、実務に. 標に基づいて看護師を養成しているといえる。両者に共. 強い部分も兼ね備える必要があろう。. 通しない特徴的な項目をあげると看護実践能力では大学. 本研究は、看護実践能力や教育実践能の獲得や維持・. 教員に 「フィールドでの実践 (看護及び研究) 」 があった。. 向上に向けた看護教員の主観的な考えであり、その能力. 教育実践能力では専門学校教員に「看護教員養成講習会. が他者からどのような影響を与えているかを明らかにす. 受講」 、大学教員に「研究活動」があった。. ることが出来なかった。今後は学生や臨地実習指導者か. 「フィールドでの実践(看護及び研究) 」と「研究活動」. らの評価も含めて考察することを課題としたい。. は「研究」というキーワードが重複していることを考え ると看護実践能力を高めるというより、大学教員として の責務である「研究活動」に比重が置かれているといえ. <主要参考文献>. る。. 江崎フサ子, 1998,「看護教員の能力・資質形成の契. 専門学校教員も「研究活動」や「フィールドでの実践. 機,日本看護学教育学会誌」,Vol8,No1,19. (看護及び研究) 」を行いたい希望があるが、仕事の煩雑 4.

(5)

参照

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