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自然学校と地域社会のつながり

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

自然学校と地域社会のつながり

著者 岡村 泰斗, 佐々木 豊志, 豊留 雄二, 中松 文子

雑誌名 奈良教育大学附属自然環境教育センター紀要

7

ページ 19‑29

発行年 2005‑11‑30

その他のタイトル The Relationship between Private Nature School and Local Community

URL http://hdl.handle.net/10105/224

(2)

自然学校 と地域社会 のつなが り

岡村泰斗

奈良教育大学教育実践 開発講座 佐 々木豊志

豊留雄 二 くりこま高原 自然学校

中松文子

大阪府立春 日丘高等学校

The Relationship between Private Nature School and Local Corrmunity

Taito Okarnura

Educational Research and Development,Nara University of Education Toyoshi Sasaki

YuiiToyOdOme

Kurikoma―

Kogenn Nature School

Ayako Nakamatsu

Kasugaoka High School

AbsttЖ

t:¶ ne purpose ofthis study was to describe the roles and relations for a local community to expect to pnvate nature school using multiple ield research methods spending one month once for three tiines.Representative X,who had studied outdoor education in university and experienced career relating to outdoor education projects in the private company in Tokyo for thirteen years,established Y nature school in 1996.Itlocated in Z area which population was l16

and 53 houses Kthe WIIarch,2003 preseno,and Where was highland of 60011n above sea level

included in a quaslnational park and envlronmental severe land snowcovered all during winter season.The resu■ of quesuonnaire for 31 houses(58.5り showed thatinhabitants expected to Y Nature School fbr the rolls of revitalization of the Z area and scene of interchange of young generation.¶

e informal(n=7)and fOrmal o=3)interViews showed that they preferred to  face to face"  relation, felt that it decreased with development of business of Y Nature School in compare with at the time of establishment,and made it with nature school' s staffs rather than

representative X. These results suggested that nature school should make a relation with

inhabitants as not only an organization but also as an indi宙 dual of a representative and the staffs, so that nature school could rnake rootin local colllmunity.

は じめに

新 しい 自然学校 が全 国各地 で誕生 してい る。 これ までの 自然学校 と言 えば、 1)全国 に

549

施設 あ り

(文

部科学省 、

2003)、

学校教 育 、地域 の青少年教育 にお ける集団宿泊型学習の受 け 皿 となってい る少年 自然の家、青年の家 な どの国公立 の青少年教育施設、2)地方 自治体所管 の法人や第

3セ

クターによって管理 ・運営 され、来訪者 を対象 に環境学習の場 と情報 を提供す るネイチ ャーセ ンター、 ビジ ターセ ンター、 自然博物館 な ど、お よび3)1987年の総合保養 地域整備法 (リ ゾー ト法)に よ り、民間の大企業 と地方 自治体 をあげて行 われた大規模 リゾー ト開発の延長線上におけるアウ トドアレジャー産業が挙げられる。本研究 における自然学校 とは、

(3)

これらの事業体 とは一線 を画す。民間野外教育事業団体が経営 し、自然環境の豊かな地域社会 の中に入 り込み、 自然体験の「場」、「指導者」、「プログラム」 を提供する、独立 自営型の組織 体である

(岡

島、

2001)。

自然学校の歴史は新 しく、

1987年

に長野県清里で開催 され、後の環境庁所管社団法人 日本 環境教育 フォーラムの前身である「清里 フォーラム」 を機 に、全国では じめて組織化 された。

1993年 には独立 自営型の民間野外教育事業団体が中心 とな り、「 日本アウ トドアネットワーク」

が誕生 した。

1995年

か らは社団法人 日本環境教育 フォーラムが中心 とな り、全国で「自然学 校宣言」や「 自然が先生全国市民の集い」が開催 され、自然学校の設立・組織化 に拍車 をかけ、

今 日では100を 超 える自然学校が全国各地の中山間部 に存在 していると言われている (日本環 境教育 フォーラム、

2000)。

1998年 中央教育審議会答申「新 しい時代 を拓 く心を育てるために」では、青少年の自然体験 。 生活体験 を充実 させ、「生 きる力」 を育成するための方策 として、「民間の力 を生か して長期の

自然体験 プログラムを提供する」 ことを掲げている。青少年の野外教育の振興 に関する調査研 究者会議 (1996)は、これ らの 自然学校の特色 として、年間を通 じて野外教育事業 を実施す ることと、学校 ・地域 自治体の要請 を受けて、地域の野外教育事業 に積極的に参画・指導する 点 を挙 げている。 また、野外教育 プログラム研究会 (1999)は、全国H8の自然学校 を対象 に実態調査 を行い、 自然学校 は、小規模団体ではあるが、年々増加 してきてお り、我が国の野 外教育の発展のためには、「行政」「企業」「

NPO」

NGO」

「ボランテイア団体」「学校」お よ び「民間野タト教育事業者

(自

然学校)」 が「連携」 し、「役割分担」する必要性 を指摘 している。

これらの一連の文教政策の流れか ら、全国の自然学校の数 と役割は今後益 々増大すると推察 さ れる。

一方、これらの自然学校 は、山村地域 における「地域振興」の担い手 として も期待が寄せ ら れている。 これまでの地域振興は、公共事業や都市の大企業による、いわゆる「外来型大規模 開発」が中心であった。磯部 (1995)は、 この ようなリゾー ト開発 によつて引 き起 こされた 環境破壊 ・環境問題 は、都市部 。農山村部 を問わず深刻 となってお り、 リゾー ト法 を見直す必 要性 を訴 えている。福 島大学地域研究セ ンター (1995)は、外来型開発では、中央官庁や大 企業が基本的計画 を決定するため、ソフ トに関わる情報は都市や企業に蓄積 され、地域社会の 人口は増えるか もしれないが、人材が育たない問題点を指摘 している。また、宮沢

(1991)は

このような企業主導型の地域振興事業が成功 を収めた として も、地元 は企業の意向に従属 し、

利益が地元 に還元 される可能性 は低 く、失敗 した場合 には、地元の経済破綻へ直結する危険性 を指摘 している。

このような外来型大規模開発か ら、地域住民 を主体 とした「内発型小規模開発」への転換が 始 まっている。依光・栗栖 (1996)に よれば、行政の地域振興施策は、 リゾー ト法 による大 規模 リゾー ト開発から、国土庁、農林水産省、林野庁が「過疎地にふるさとを」「山村で休暇を」

「山村でゆ とりの休暇 を」「緑 のふ るさと・ふれあいプロジェク ト」「ファミリーの森づ くり」

を推進するように、農村型小規模 リゾー ト開発、いわゆる「グリーン・ツーリズム」への転換 がは じまっている。井上 ら (1996)は、グリーン・ツー リズムの特徴 として、 1)あるがま

まの地域 。自然環境の中で行われ、2)サービスの主体が、外部の大資本 によつて設立 された レジャー施設ではな く、地元 に住む人の手でつ くられたサービスであ り、3)農村の持つ様々 な生活 。文化的資源を、都市住民 と農村住民の交流の場 となる民宿、 レス トラン、キャンプ場、

農産物販売などを通 じて活用する観光開発であることを挙げている。これ らの特徴か ら、井原

(1996)は

、グリーン・ツーリズムは、地域社会 との交流や、地域文化の再生 と深 く関わる必 要性 を述べている。 また、高橋 ら (1998)は、開発の中心が、地域住民 との交流 に置かれて いるが故 に、地域社会に及ぼす影響は大 きく、従来型開発 とは異なった ものになることを指摘

20

(4)

してい る。

また、 グリー ン・ッー リズム と類似す る観光開発の取 り組み として、環境省が主導するエ コ・

ツー リズムが挙 げられる。地域住民 との交流 に主眼 を置 くグリー ン・ツー リズムに対 し、エ コ・

ツー リズは、1)自然 ・歴 史 ・文化 な ど地域 固有 の資源 を活か した観光 であ り、2)観光 によ ってそれ らの資源が損 なわれぬ ように保護 ・保全 を図 り、3)地域 資源の健全 な存続 による地 域経済へ の波 及効果 を もた らす ための観光 開発 である。小林 (2002)は、 エ コ・ツー リズム の事業体 として、 1)地方 自治体 が町 ぐるみで地域活性化 を行 ってい る場合 、2)都市 の民 間 団体 が地域 に観光客 を運 び自然体験 な どを提供 している場合 と並 んで、3)地域社会 に入 り込 み 自然体験 ・地域交流 を提供す る「 自然学校」 を挙げている。

この ように、本研究で対象 とす る自然学校 は、近年の我が国 にお ける文教政策、お よび地域 振興 、観光政策の受 け皿 として、極 めて重要かつ固有 の存在 である。 また、その活動理念及び 経営形態 か ら、地域社会お よび住民 との関係性 は、事業経営 において重要 な要素 であ り、強い 相互作用が存在す る と考 えられる。そ こで、本研究では、 自然学校 が地域 に密着 し、今後 よ り 発展す るための資料 を得 ることを目的に、 自然学校 と地域社会 とのつなが りについて、調査者

1か

月間の滞在 を

3回

、のべ

3か

月間 にわたるフ イール ドリサ ーチ を実施 し、 ア ンケー ト調 査 に よる量的 アプローチ と、聞 き取 り調査 による質的アプローチの多角 的手法 を用い、地域社 会が 自然学校 に期待す るこ と、 自然学校 が地域社会 に与 えた影響、 自然学校 と地域住民の関係 性 について明 らか に した。

調査対象

1.X氏

(Y自

然学校代表)

1957年

岩手県生 まれ。大学体育系学部 にて野外 運動 を専攻 し、国内外 のキ ャンプの指導 ・ 運営 にあたる。卒業後 、ネパ ール に渡 り山岳写真家 を志すが、

1982年

に 日本 国内のテ レビサ

ー ビス会社 に入社。そ こで主催 される野外教育事業 を担 当 し、夏のキャンプ、冬春のスキーキ ャンプの企画・運営 を行 った。一方で、上述 した社 団法人 日本環境教育 フォーラム、 日本 アウ トドアネ ッ トヮークにおいて、野外教育 ・冒険教育 ・環境教育の全 国的ネ ッ トワークの立 ち上 げや交流 に力 を尽 くした。

1995年

同社退職後 、私費 を投 じZ地区の土地 を購 入 し、

1996年

Y自

然学校 を設立 した。

2.Y自然学校

Y自

然学校 は、「様 々な 自然体験 活動 と、 自然環境 を意識 した生活創 りを通 じて、 よ り豊 な 生 き方 を創造 し実践す る場 を提供す ること」 をね らい として、以下の

4点

をコンセ プ トに活動 を展 開 している。1)バックカ ン トリー を活動 の フイール ドとして、都市環境 と自然環境 の接 点の 中で、人 ・社会 ・ 自然 との関 わ りを考 える。2)次代 を担 う青少年 のため に「生 きる力」

と「豊 な心」 を育む教育の場 を提供する。3)フ アミリーや成年、シルバー世代 には「豊 な時間」

を過 ごす ためのアウ トドア レジャーや レクリエーシ ョンの場 を提供す る。4)豊潤 なYの自然 を通 じて、地球環境 を考 える自然派の仲 間 との語 らい を大切 にす る。 これ らの コンセプ トに基 づ き、青少年のための自然体験活動 をは じめ、中高年や家族、一般 に向けての余暇活動支援事業、

講師 ・指導者派遣 、人材育成事業、 自給事業、受託事業、地域づ くり活動、販売事業 など、各種 の事業 を提供 している。

2000年

秋 には「不登校 ・引 きこ も りの寄宿の 自然体験学校」、

2002

年 4月 か らは「山村留学 ・寄宿 の生活体験 。自然体験学校」 を併設 し、長期寄宿 の 自然体験学 校 となっている。

2003年

6月 には、特定非営利活動 (NPO)法人化 に伴 い「

Y・

地球 の暮 ら しと自然教育研究所」 を設置 し、公 的な青少年教育事業、人材育成事業 の拠点 となっている。

(5)

3.Z地

Z地

(面

38.40kぽ

)はW山

(標

1627.7m)の山麓、標高600mの高原地帯 に位置 し、

全域 がW国定公 園 に指定 されてい る。夏 は涼 しく過 ご しやす いが、冬 は積 雪 と地吹雪 に悩 まさ れ る厳 しい気候 である。戦後

1947年

W山麓の国有林 の払 い下 げ を契機 に、満州 か ら引 きあ げた28名 が入植 し、気候 条件 、土地条件 の厳 しさ と戦 い なが ら、 自分 た ちの生活 の場 を開拓 した。

1968年

に国定公 園 に指定 され、今 日に至 る山岳観光開発 が始 まった。

1990年

には、 リ ゾー ト法の指定 を受 け、Z地区周辺地域 の大規模 開発が着手 された。役場企画管理課 の調べ に よる と、

2003年

5月

31日

現在 の在住 者数 は116名

(男

65名 女51名)、 在勤者数 は82名

(男 45

 女37名)、 全戸53戸 であ る

(表 1)。

在住者 の ほ とん どは、Z地区 とZ地区周辺 の町 に家 を持 つか、あ るい は家族が暮 ら してお り、冬 の寒 さの厳 しくなる

10月

下旬 か ら雪が とける

4

月上旬 ごろ まで下 山 し、周辺 の町で生活す る。Z地区は、周辺地域 の中で も特 に、景勝地、温 泉地が点在 し、観光客 もよ く訪 れ る地域 である。

l Z地

区年齢別人 口

年 齢 人 数 %

0〜 9歳 6 5.2

10〜

19歳

5

4.6

20〜29歳 10

8.6

30〜39歳

4 3.4

40〜49歳

18.1

50〜59歳 15

12.9

60〜69歳

6 5.2

70〜79歳 45 38.8

80歳 以上

4 3.4

合計

116

100.0

Y自

然学校に関するアンケー ト調査

1.調査方法

地域住民 に対 し、自然学校 に関するアンケー ト調査 を行 った。調査の内容 は「Z地区に対す る意識」 に関する

7項

目、「

Y自

然学校 に対する意識」 に関する

6項

目、

Y自

然学校ができて からのZ地区の変化」 に関する

6項

目の計19項 目であ り、「非常 にそう思 う」、「そう思 う」、「ど ちらで もない」、「あまり思わない」、「全 く思わない」の

5段

階評定で回答 を求めた。また、 自 由記述 として「今後のZ地区に望むことを教 えて ください」、「設立当時、

Y自

然学校 に対 して どのような気持ちを抱いていましたか」、「現在、

Y自

然学校に対する気持ちに変化はあ ります」、

「気持ちの変化の きっかつけになった事柄があれば教 えて ください」、「今後のZ地区 と

Y自

学校はどのような関係であ りたいと思いますか」 について回答 を求めた。これに対象者の年齢、

職業、在住・在勤期間に関す る項 目を付 け加 え、「

Y自

然学校 に関す るアンケー ト」 とした。

このアンケー トを

2003年

8月 26日 、

28日

、 9月 1日 、 4日 、

16日

の計 5日 間にわた り、調査 者がZ地区にある全53戸 すべて訪問 し実施 した。回収方法は、 1)後 日回収 に回る、2)そ

の場で記入 して もらう、3)その場で口頭 にて回答 して もらい調査者が記入する、のいずれか であった。なお、アンケー トは

1戸

につ き 1回 とした。

︐ 9

(6)

2.結果および考察

Y自

然学校 に関するアンケー トを実施 した結果、回収戸数は31戸 (58.5%)で あつた。対 象者の年齢、職業、在住 ・在勤期 間を表2、 3、

4に

示 した。60歳 以上の対象者が48.4%(n

=15)であ り、表

1に

示すZ地区の

60歳

以上人口の47.4%(n=55)と 同様の傾向であると いえる。職業 については、その大半である58.1%(n=18)が 農業 に従事 していた。在住 ま たは在勤期 間については、50年 以上が41.9%(n=13)で あ り最 も大 きい値 を示 した。以上 の結果から、

Z地

区は、今 日観光開発の進む周辺地域の中にあ りなが らも、人口の流入が少なく、

その多 くが専従農家であることが明 らか となった。

対象者年齢別 人口 表

対象者年齢別人口

年齢 人数

%

30〜39歳

6.5

40〜49歳

5 16.1

50〜59歳

9

29.0

60〜69歳

6.5

70〜79歳

38.7

80歳

以 上 1 3.2

合 計

31

100.0

職 業 人 数

%

農 業

18

58.1

宿 泊施設経営

5 16.1

宿泊施設従業員

6.5

公務員

9

29.0

自営業

38.7

無 職

1

O ︐ υ

合 計

31

100.0

対象者の在住・在勤期

期 間 人 数 %

9年 以 下 3 9.7

10〜

19年

1 3.2

20〜29年

3 9.7

30〜39年

5 16.1

40〜49年

6 19.4

50年 以上

13 41.9

合 計 31 100.0

次 に

Y自

然学校 に関するアンケー トの結果を表

5に

示 した。

Z地区に対する意識」 に関する項 目において、対象者の58.1%が専業農家であるにもかか わらず、80.7%(n=25)が Z地区は「観光地である」 ととらえてお り、61.3%(n=19)が

Z地区は「観光 を主産業 とす るべ きである」 と考 えていた。一方、「地域 開発が進 んでいる」

とい う質問に対 し一貫 した傾向は得 られていないが、「地域 開発 を進めるべ きだ」 とい う意見 に対 しては61.3%(n=19)が肯定的にとらえていた。

自由記述の「今後、Z地区に望 むこと」の質問項 目に対 して も、23名 (74.2%)は地域開 発 を望んだ記述であった。その内容 として、「 自然 を壊 さない開発」、「自然 を利用 した産業の 発展」、「いろいろな会社が入って開発 を進めてほ しい」 な どの「観光開発」 に関することが ら や「若者が住みやすい環境づ くり」、「ずっと住 む人が来てほ しい」、「人口が増 えてにぎやかに なってほしい」 などの「人口増加」 に関する記述がみ られた。

以上の結果か ら、Z地区住人の多 くは、Z地区周辺の豊かな自然環境 を利用 した観光開発 に

(7)

肯定的な意見を持つてお り、Z地区への新規参入者を迎え入れる気持ちも持っているといえよう。

しか しなが ら、現実的には、その大半が農業従事者であ り、現状 において もZ地区は必ず しも 地域開発が進んでいる とはとらえてお らず、過疎地域 に置かれた きび しい現実 と、観光開発、

人口増加に対する期待のジレンマが読み取れる。

Y自

然学校 に対す る意識」 に関する肯定的意見 について、「地域開発 に貢献 している」

51.6

%(n=16)、 Z地区の自然 を活か した活動 をしている」71.0%(n=22)と 、過半数以上が

Y自

然学校の活動 自体 に対 しては肯定的に評価 していることが明 らか となった。 また、「 日常 生活の中で

Y自

然学校の名をよく耳 にする」58.1%(n=18)、

Y自

然学校がテレビで放映 さ れる時必ず見 る」61.3%(n=19)と 、同様 に過半数以上が 日常で自然学校 に関する情報 を得 ていることがわかった。一方、「日常生活の中で

Y自

然学校 を話題にする」では

35.5%(n=11)、

Y自

然学校の活動 に興味がある」で も45.2%(n=14)と 、 自ら積極的に

Y自

然学校 にはた らきかけようとする意見は、過半数を下回つていた。つ まり、自然学校の存在 は認知 し、かつ 肯定的に評価 しつつ も、 自ら主体的に関わろうとする強い姿勢み られない。

Y自

然学校がで きてか らのZ地区の変化」 に関する肯定的意見 について、「Z地区の住民同 士の交流する機会が増えた」54.8%(n=17)、Z地区が活気づいた」51.6%(n=16)の

2項

ア ンケー ト結果

X地 区に対す る意識

質問項 目 肯定的評価

どち らでもない

否定的評価

住みやす いところだ 22(71.0) 3(9. 6(19.4)

誇 りに思 う

21(67.7) 4(12.9) 6(19.4)

観光地 である 25(80.7) 2(6.5) 4(12.9)

観光を主産業にするべきだ

19(61.3) 9(29.0) 3(9.7)

今後人 口が増 えてほ しい 21(67.7) 5(16.1) 5(16.1)

地域 開発 が進んでいる 12(38.7) 6(19.4) 13(42.0)

地域開発をすすめるべきだ

19(61.3) 6(19.4) 6(19.4)

Y自

然学校に対する意識

質問項 目 肯定的評価

どち らでもない

否定的評価

IL域 開発 に貢献 して いる 16(51.6) 8(25.8) 7(22.6)

(地 区の 自然 を活か した活動 を している 22(71.0) 5(16.1) 4(12.9) 日常生活の中で Y自 然学校 の名 をよ く耳 にす る 18(58.1) 6(19.4) 7(22.6) 日常生活の中で Y自 然学校 を話題 にす る 11(35.5) 8(25.8) 12(38.7)

r自

然学校がテ レビで放映 され る とき必ず見 る 19(61.3) 5(16.1) 7(22̲6) r自

然学校の活動に興味がある

14(45.2) 10(32.3) 7(22.6)

Y自 然学校 がで きてか らのX地 区の変化

質問項 目 肯定的評価

どち らでもない

否定的評価

(地 区の知名度が あが つた 15(48.4) 9(29.0) 7(22.6)

K地 区の住 民同士の交流す る機会 が増 えた 17(54.8) 5(16.1) 9(29.1) K地

区を訪れる観光客が増えた

15(48.4) 6(19.4) 10(32.3)

K地 区の地域開発が進 んだ 14(45.1) 6(19.4) 11(35.5)

K地 区が活気づいた 16(51.6) 3(9.7) 12(38.7)

何 も変わ らない 7(22.6) 10(32.3) 13(42.0)

24

回答者数 (%)

(8)

目において過半数以上を占めてお り、特 に地域住民内部の交流について高 く評価 していた。また、

Z地区の知名度が上がった」48.4%(n=15)、 Z地区を訪れる観光客が増えた」48.4%(n

=15)、

Z地区の地域開発が進んだ」45.1%(n=14)の

3項

目では過半数 をわってお り、 自 然学校が地域振興、観光開発 に及ぼす効果 について高い評価 は していない。 さらに、「何 も変 わらない」の項 目については否定的評価が41.9%(n=13)で あ り、肯定的評価22.6%(n=7)

よりも大 きい値 を示 した。

黍原 (2001)は、本研究 と同様 の

Y自

然学校 を事例 としてフイール ドリサーチを行い、Y

自然学校が、Z地区と都市・行政をつな ぐコーデ ィネーター的役割 を果た し、地域 にとつてよ りよい効果 をもたらしていることを明 らかにした。 しか しなが ら、本研究では地域振興や観光 開発 などよりはむ しろ、住民同士のつなが りや地域の活性化 といった内面的な変化 について高 い評価 をしている。 このことか ら、

Y自

然学校 は行政や都市の事業や人をZ地区に持 ち込むだ けでな く、地域 との交流、地域の活性化 を考慮 した活動 を展開 している様子が うかがえる。

Y自

然学校 に対する気持ちの変化」 に関連する自由記述 にうち、13件 (41.9%)が肯定的 に変化 したことについて記述 していた。これ らの回答の多 くは、設立当時「何 をするところか わか らない」、「不安」、「無関心」、「不必要」 などの気持 ちをいただいていたが、現在 は「社会 のニーズに対応 している」、「地域の活性化」、「事業の成功」、「スタッフとの交流」 などの肯定 的な気持ちへ と変化 した。これらの変化のきっかけとなったのは、Z地区への「訪問者の増加」、

行事参加や雪下ろ しの手伝いなどの「地域 との交流」、気 さくな「スタッフの存在」、メデ イア 等 による「報道の内容」が挙げられた。

一方、否定的に変化 した回答が

5件

(16.1%)み られた。これらの意見か らは、設立当時は、

「地域の活性化」、「新 しい事業」などに対する「期待」の高 さが伺えた。 ところが、その後、「地 域 との距離感」、「地域への情報不足」、「地域 に根付かないスタッフ」、「X氏に対す る不満」 な

どが要因とな り、否定的感情へ と変化 した。

また、肯定的変化、否定的変化のみ られたいずれの回答者か らも、「今後のZ地区 と

Y自

学校の関係」 について、「地域 との交流」、「地域 との一体化」 など、地域連携 に関する建設的 な意見がみ られた。 このことか ら、否定的な意見 を持 つている住民 も今後 よりよい関係 を望む 気持ちを持 っていると考えられる。

Y自

然学校 に関する聞 き取 り調査

1.調査方法

本研究では、聞 き取 り調査の方法 として、フォーマル・インタビューとインフォーマル・イ ンタビューの

2つ

のインタビュー方法 を採用 した。佐藤 (2002)は、フォーマル・インタビ ューが「聞 き出す」、「情報 を収集する」 とい う性格 を持つのに対 し、インフォーマル・インタ ビューは「教えてもらう」、「ア ドバイスを受ける」 という性格を持つと説明 している。そのため、

フォーマル・インタビューでは回答内容が質問項 目に偏 り、重要な意味 を持つ問題が見落 とさ れる可能性 を指摘 している。

本研究 におけるフォーマル・インタビューの対象者は、Z地区在住 または在勤者の うち、調 査者がラポールを築 き、聞き取 り調査お よび聞き取 り内容の録音の了承が得 られたA氏

(66歳

男性、農家 。開拓一世)、 B氏

(50歳

、男性、農家 。開拓二世)、 C氏

(62歳

、男性、民宿経営 。 外部参入者)の

3名

であった。質問項 目は「Y自然学校 に関するアンケー ト」の自由記述項 目

に準 じた。

一方、インフォーマル・インタビューの対象者は、調査者がフイール ドワークの過程 におい て交流 を持 ち、本研究 において重要な情報提供者であると判断 したZ地区在住 または在勤者

7

(D〜

L氏 )を対象者 とした。本研究におけるインフォーマル・インタビューの調査内容は

(9)

日常の会話 とし、調査終了後復元 した。なお調査の期 日は平成15年 8月 25日 〜 9月 26日 で実 施 した。

2.フォーマル・ インタビューの結果および考察

インタビューの結果 を表

6に

示 した。A氏は開拓一世である。戦後満州から引 き上げ、

1948

年 にZ地区に入植 した。Z地区の開拓農業協同組合の会長を務め、W小学校の

Z地

区分校の設 立 も手がけた。現在は農業 を退 き、自家用の野菜 を栽培する程度である。A氏

Y自

然学校 を、

「若い人たちの交流の場」 ととらえ、 自ら関わ りを持つ意志はみ られない。 しか しなが ら、Y

自然学校 とZ地区の関わ りについて「X氏の存在 も広 まる」、「二世、三世 との交流が多 くなる」

など肯定的に評価 していた。

B氏は、開拓二世であ り、一時期はZ地区を離れたが、現在は親の土地を引 き継 ぎ、農家 を 営んでいる。Z地区振興協議会会長 を務め、Z地区を支 える一人である。B氏は、

Y自

然学校 X氏に対 し「地域 に密着 していない」 と評価 している。 しか しなが ら、現在の気持ちで「興 味が薄れて しまい」、「X氏 も昔 と変わった感 じがする」 と評価 しているように、設立当時はY

自然学校やX氏に対 し、強い期待 をいただいたことが うかがえる。

一方、C氏は、A氏B氏 と異な り、

Y自

然学校 とZ地区は良い関係であると評価 している。

C氏は、

1968年

に、アウ トドア関係の起業 を目指 しZ地区に入植 したが、事業が軌道 に乗 ら ず現在の民宿業へ と転業 した。そのため、C氏にとって、X氏は自分のかなわなかつた夢 をか なえて くれる存在であ り、

Y自

然学校 を「神が与えて くれた もの」 と評価 している。 また、現 在 も、

Y自

然学校 と仕事上の関係 も持 ってお り、

Y自

然学校の行 う行事 を地域交流の一環 とし

て高 く評価 してお り、今後 も協働 できる関係 を望んでいる。

以上の結果か ら、同 じZ地区住民お よび在勤者 といえども、

Y自

然学校 との関係 に、全 く異 なった態度を形成 していることが明 らか となった。開拓一世のA氏は、 自然学校 は開拓二世、

三世の交流する場であ り、関わ りを持 とうとしていない。開拓二世であ り、現在のZ地区を支 えるB氏は、

Y自

然学校 に対 し、設立当時は大 きな期待 をよせた様子がうかがえるが、現在の 関係 には満足 してお らず、今後は顔の見 える「内面的」 な関係 を望んでいる。外部参入者であ るが、Z地区で35年 間民宿業 を営 むC氏は、

Z自

然学校 とはビジネスパー トナーであ り、内 面的な関係 よりもむ しろ地域住民の交流のために開催 した行事や、仕事上の「外面的」 な関係

を肯定的に評価 していた。

フ オーマ ル・ インタビューの結果

3.イ ンフォーマル・ インタビューの結果および考察

インタビュー結果 を、15件 の ミーニ ングユニ ッ トに分類 し、 さらに「

Y自

然学校 に対す る 思い」、X氏に対する思い」、「ス タツフに対する思い」の

3つ

に大別 した

(表 7)。

農業従事者

4名

のうち 1名 は、「近 くに住 んでいると安心」、「ス タツフが大根抜 きを手伝 つ

腱立 当時 、Y目然 字 夜 に けして どの よ うな気 持 ち 第洵 いて い■ か

現 在 、Y自 然 学 校 に対 し て どの よ うな気持 ち を抱 いて い るか

r自

然 学校 が2地区 に与 えた影 響

:地 区 と γ H撚 宇 秩 ほ と の

ような関係か

は どの よ うな関 係 にな る

A氏

66歳 農 家 開拓 ―世

日 接 者 い 人 た ら は 父 工 し て い るが 我 々 (一 世)は

交 流 して な い か ら

若 い人 た ちは お世 話 に な つて い るが 、わ た しは いか な い 。仕事 の 内容 も

若い人た ちは わ か つて も 一世 はわ か らな い。二世 な らわ か るの で は。

若い人たらか桑まるとこ ろ。

X氏

の存在も広まる と思う。

二世 、三世 の 人 た ち との 交流 が 多 くな るの で は な いか 。一世 は、用 が な け

1■

折客 らな い

^

B氏 52歳 農 蒙 開拓 二世

興 味が 薄れ て しまい、何 をや つて も気 にな らな く な つた 。X氏も昔 と変

若い人 た ちが釆 た こ と。

すば ら しい とい う人 は 多 い。地 域 に密 着 して い る

自然学校が地域にとけ込 んでいないか ら地域の人 たちもほとんどわか らな

親 る 猥 ら7Lるの 関 昧 。 現 在 、 オ レた ち は 頼 られ て い な い 。

C氏 62歳 民宿 外部 参 入者

X校長 が 来 て くれ た時 は ほん とに嬉 しか つた。 自 分の

30年

前 の姿 を見 て い るよ うな感 じが した

変 わ つて いな い。神が 与 えて くれ た ものの よ うな 感 じがす る。

晨りを開催 した。X校

D存

在 は大 きい と思 う。

卜常 に いい関係 協働 して やれ る と ころ を 強調 してやれ ば よ い。

26

(10)

て くれた」 など、自然学校やスタッフに対 して、助け合いのできる近所付 き合いの関係 を持ち、

肯定的な感情 を抱いていた。一方、

4名

の うち

3名

は、 自然学校 と地域 とのつなが りが希薄で あ り、X氏に対 して も、地域住民 との交流不足 を指摘 していた。特 に、「最近は

(中

)ダ

になってきた」、「音は

(中

)地域 と関わるスタッフがいた」、「今はさっぱ りわからない」など、

かつては交流があつたにも関わらず、近年の変化 に対 して不満を抱いている様子が うかがえる。

一方、

7名

の対象者の うち、

3名

は民宿経営者であつたが、「設立時にはいろいろ手伝 ったの に今は何 をしているのかわか らない」、「設立時には

(中

)こ こに来て くれた」、「今はもう全 然わか らない」 など、設立時には、地元の同 じサービス業である民宿 と密着 した活動 をしてい たことが うかがえる。

イ ンフ ォーマル・ イ ンタビューの結果

Y自然 学 校 に 対 す る 思 し

X氏

に 対 す る 思 い

ス タ ッフに対 す る思 い

D

軍 害 り た か ら 近 く に 住 ん で い る と 安 心

^ ス タ ッフが 大根 板 き を手伝 つて くれ た。

l

農 家

POと

かいろいろな事業に手 を出 しす ぎ て忙 しそう。あれ もオ レたちは何 も聞い ていなかつた。もっと地元に相談 してや るべ き。

ここは田舎で横のつなが りを大切に して いかなけれ ばな らない。みんなで助け 合つてきたところだか ら。Xさんはもつ と自分の足 しで出て行かなければ。

スタッフが1.2年です ぐに変わつて誰 が誰だかわからない。昔は

Xさ

んの代わ りに地域と関わるスタッフがいたんだけ れども今はさつぱりわからない。

喪家

最初は

Xさ

んが地域に顔を出 していたけ ど、最近 そのあた りがダメになつてき た。地域 とうま くや つていかないで、こ こで仕事ができるわけがない。

農 家

地域を活か した取 り組みといつてもおい しいところだけかじつていてはダメ。

Xさ んがもつと自ら地域に顔を出さない とダメだ。

スタッフは住民だが、

Xさ

んは住民では ない。

民 宿

個人的なつきあいはあるが自然学校との つきあいはない。もつと自然学校を外に 見せて地元の人の声をきてほしい。NP0 など世界を広げすぎて地元のとの関わ り が薄 くなつている。

最近の 自然学校やXさんは利益ばか り求 めている気がす る。

自然学校のスタ ッフは出入 りが激 しく、

せ つか く名前 を覚 えたのにす ぐにいな く な って しまっては残 される方は本当にさ み しい。 ここでできた関係 を大切 に して ほ しい。

民 宿

設立時にはいろいろ手伝 つたのに今は何 をや つているのかもわか らない。

民 宿

設立 当時 は

Xさ

ん も友 人 や ス タ ッフ を こ こに連 れ て きて くれ て 、 自然学 校 の こ と をい ろい ろ聞 くこ とが で きた け ど、今 は も う全 然わ か らな い。

Xさんはや り手なので、私たちとは違 う 置界の人。

また、農業従事者 1名 か らは「NPOな どいろいろな事業に手 を出 しす ぎて忙 しそ う」、民宿 経営者

1名

か らも「NPOな ど世界 を広 げす ぎて地元 との関わ りが薄 くなった」 な どの声が寄 せ られた。つ まり、設立当時は、地域住民 との交流や民宿経営者 との連携があつたが、

2003

年のNPOの立ち上げなど事業が拡大す るにつれて、地域 との交流のために十分 な時間が とれ な くなった様子が推察 される。

さらに、「

Xさ

んは利益 ばか り求めている気がする」、「

Xさ

んはや り手 なので私たちとは違 う世界の人」など、X氏の事業の拡大や成功 を賞賛で きない様子が うかがえる。

Y自

然学校 に 対するアンケー ト結果において も、Z地区の観光開発や人口増加 に対する期待 と、過疎地域の 厳 しい現実 とのギャップに悩むZ地区の住民像が浮 き彫 りとなった。そこに、X氏が私費 を投

じた

Y自

然学校の設立は、C氏だけでな く、地域住民にとって も「神が与えて くれたもの」で あつたに違いない。 また、

Y自

然学校 に対 して も「地域開発 に貢献 している」、「Z地区の自然 を生か している」、「Z地区の住民同士の交流の機会が増 えた」、「Z地区が活気づいた」 など事 業内容やZ地区にもたらした影響 に対 して肯定的に評価 しているものの、地元 もしくは地元住 民の発展 。成功 として受け入れ らないジレンマが読み取れる。

木村 ら (1979)は、人口の増減の少ない地域社会の特性 として、 自己は地域社会 に埋没化 され、地域社会 と相互不可欠なものとする傾向があると分析 している。また、岡崎

(1983)も

地域社会における社会規範は、その地域 を維持 し存続 させるとい う価値観 を共有するものの間 では受け継がれ、新規参入者や新 しい世代が流入する場合、それ らの ものに対 し一定の強制力

(11)

を働かせるか、あるいはその社会規範が崩壊すると述べている。すなわち、我が国における地 域社会の特性 はZ地区にもみ られ、

Y自

然学校 はZ地区が初めて経験す る新規参入者である。

そのため、それまでのZ地区において長年培 ってきた社会規範が崩壊することをおそれ、

Y自

然学校の事業の拡大やZ地区の変化 に対 しても強制力 を伴 う感情 を抱 くのである。

一方、インフォーマル・インタビューか らは、アンケー トやフォーマル・ インタビューか ら は知ることので きなかった、地域住民のス タッフに対す る思い も明 らか となった。D氏が「ス タッフが大根抜 きを手伝 って くれた」 と言 うように、地域住民にとって自然学校のスタッフは、

協働・共存の関係 となっていた。さらに、G氏か らは住民票を周辺の町にお くX氏と比較 して、

自然学校に住所 を置 くスタッフに対 し、「スタッフは住民だが、

Xさ

んは住民でない」 といつた、

より身近 な存在 としての感情 を抱いている。 ところが、「スタッフが

1,2年

です ぐにかわつて 誰だかわか らない」、「今

(の

スタッフ)は さっぱ りわか らない」、「スタッフの出入 りが激 しく、

せ つか く名前 を覚えたのにす ぐにいな くなって しまう」 など、一定期 間でスタッフが移動する

Y自

然学校のシステムに対 し戸惑いを感 じている。上述 したように、

Y自

然学校は設立当時より、

地域 と密接 に関わつた活動 を展開 して きたため、地域住民は、ス タッフに対 し愛着 を持 ち、 よ り身近な存在 として とらえてきたのであろう。 このような良好な関係 を、スタッフの個人的な 事情 とは故、引 き裂かれた住民 にとつては、

Y自

然学校 に対 し、「ここでで きた関係 を大切 に してほ しい」 と言つた態度 を形成 し、 自然学校 と地域 との関わ りが希薄であるといった評価 に 影響 を及ぼ していると推察 される。 さらに、

2002年

か らは、 日本環境教育 フォーラムの自然 学校指導者養成講座の受講生が、現場実習 として 6ケ 月間のみ 自然学校 にスタッフとして滞在 す るようにもなった。その結果、「出入 りが激 しく」 といつた地域住民の戸惑いを強化 し、 自 然学校のスタッフに対する評価 に関 して も誤解 を生む原因となったと推測 される。

ス タッフと地域住民 との交流 について、 自然学校ス タッフ内部か らも、

2000年

秋 に始 まっ た不登校 ・引 きこもりのための「長期寄宿の自然体験学校」 と、

2002年

4月 か ら始まった「山 村留学制度」の併設を境に、「地域住民 との交流が少な くなった」 と、同様の意見が寄せ られた。

それまでは、一 日の業務終了後 に、近隣の住民の家 を訪ね、「お酒を一緒 に飲 む」 ような時間 が とれたと言 う。 ところが、 これ らの事業の導入により、常時 自然学校 にプログラム参加者が 滞在 してお り、スタッフは宿直 しなければならな くなった。 また、同時期 に自然学校の名が広 が り始めたことにより、一般の宿泊客 も増加 し、スタッフの自由に使 える時間が短 くなったと 証言 している。 これらのスタッフと地域住民 との関わ りの減少からも、事業発展・拡大に伴い、

地域 との関わ りが希薄になったという地域住民感情 に影響 を与えたと推察で きる。

まとめ

本研究では、近年、文教政策お よび地域振興、観光開発の担い手 として注 目されている自然 学校 と地域社会 とのつなが りについて、アンケー ト調査、聞 き取 り調査 を用いたフイール ドリ サーチを実施 した。その結果、対象地域は、豊かな自然環境や景勝地などの観光資源に恵 まれ ているが、人口流入が少な く、大半が専業農家 を営む過疎地域 であった。地域住民の多 くは、

自然学校の活動に対 し肯定的に評価 してお り、住民間の交流する機会が増えたと評価 している。

自然学校 自体 も、設立当時は地域住民や周辺の民宿 と積極的に連携 をとり、「顔の見える関係」

で交流 をしていた様子が うかがえた。 ところが、自然学校の事業拡大 に伴い、 自然学校 と地域 との交流の機会の減少、自然学校のスタッフが業務 とは別に地域住民 と関わる時間の減少 と短 期間の滞在で入れ替わつて しまうシステム、お よび新規参入者に対 し強制力 を働かせ社会規範 を固持 しようとする我が国の地域社会の特性が要因 とな り、 自然学校が地域 に密着 していない とい う否定的感情へ と変化 した。 しか しなが ら、これ らの感情 をもつ住民 も含め多 くは、今後 も地域 と一体化 した自然学校の活動 を期待 していた。

28

(12)

上述 した黍原 (2001)は 、地域 資源 を活 か した 自然学校 の活動 は、事業体 が地域 に学 び、

地域 も事業体 に学ぶ相互作用の関係 をつ くっている と指摘 している。 さらに、その ような地域 との関わ りが薄 くなれば、 自然学校 の活動 の魅力 自体 も低減す る と述べ てい る。本研 究 では、

自然学校 の「事業の拡大」 に伴 う「地域 との交流」 の減少 によ り、地域 と連携 した活動 を展 開 しが らも、地域住民 との一体感 にマイナスの影響 を及ぼ していることが明 らか となった。今後、

自然学校 が地域 に土着 し、地域資源 を生か した魅力ある活動行 ってい く上 で も、事業内容 の拡 大や新規事業の立 ち上 げな どの情報 を十分 に提供す る とともに、行事参加や ビジネスパ ー トナ ー としてだけではな く、「顔の見 える関係」 を望 む地域住民 との「内面 的な」交流 を重視す る 必要性 が示唆 された。 さらに、 自然学校 と地域 との関係 だけではな く、ス タッフと地域住民 の 交流 お よび、人事 の異動 な どに もおいて も、地域住民 との間で培 った人間関係 に十分 に配慮す

る必要性が示唆 された。

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参照

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