論文審査の結果の要旨
氏名:徐 美 朗
博士の専攻分野の名称:博士(生物資源科学)
論文題名:韓国における食農教育に関する研究―学校給食と酪農教育ファームの日韓比較を中心 として―
審査委員:(主 査) 教授 小林 信一
(副 査) 教授 小泉 聖一 教授 川手 督也
本研究は韓国における食農教育の現状と課題について、学校給食および酪農教育ファームを柱 に、栄養教諭・栄養士、児童生徒、および酪農教育ファームを対象とした調査等に基づき、日本 との比較検討を踏まえて分析・検討することを目的としている。
韓国は日本と同様に、ライフスタイルの変化等による個食・弧食・PFC バランスの崩れなど食 生活をめぐる問題が社会問題化する中で、学校における「食育」の重要性が認識されるようにな った。2009 年には「食生活支援基本法」が制定され、学校給食を食育の生きた教材として活用 しながら食育を展開するための栄養教諭制度も導入された。専門家の養成による、より高い水準 の教育を授けるための制度転換であったが、実際にはその目的が十分には達成されていないこと が本研究で明らかにされた。また、農業界による食育(食農教育)として位置づけられる酪農教 育ファームは、2004 年から酪農振興会の主導により開始され、徐々に認証牧場数は増加してい るが、現在 18 か所で日本に比べ非常に少ない。また、農場主の多くは教育現場との提携の必要 性を感じているものの、学校訪問を行っている牧場は少なく、さらに観光牧場としての色彩が強 く、食農教育についても牧場での乳搾りや哺乳といった一過的な体験にとどまっており、食育の 一環として教育機関と提携するまでには至っていないことを、本研究は明らかにした。
以上の分析を踏まえ、本研究では食育を本格的に実施するには、①食育を正規の科目として位 置づけるとともに、社会、道徳、数学など様々な科目と連携したカリキュラムとして教育効果を 高める必要があること、②そのためには、まず管理職の認識改善と、栄養士・栄養教諭と一般教 諭との意見交換と研修教育の補強による一般教諭の認識向上が不可欠であること、③特に学校牛 乳給食に関連した食育には、酪農教育ファームによる生産現場からの食農教育が効果的であり、
その連携強化が期待されること等が不可欠であることが提示されている。以上のように本論文 は,韓国の食農教育の現状と今後の課題について的確な分析を行っており、博士(生物資源科 学)の学位を授与されるに値するものと認められる。
以 上 平 成 26年 1月 16日