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図 − 1 巡 検 会 の 観 察 地 息

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Academic year: 2021

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(1)

「巡検会報告一

南九州西岸の地質見学

馬 場 正 弘 .

1 は じ め に

平成16年8月21日から23日の3日間にわ たり,18名の参加のもと南九州西岸地域の巡検

会が行われた.

た.その後,蒲生町で観察した後,帰路につ@

た.無事事故もなく熊大につき解散した.

2各観察地点の報告

①薩摩大川〜西片付近(1日目昼食地)

溶結凝灰岩を観察する予定であったが,露頭 が悪く,軽石でしか観察できなかった.大川付・

近では,国道3号線から海岸に降りると凝灰角 喋岩が観察できた.ここでは,風化作用によっ て岩石の内部の物質が除去されて生じた穴状の 小規模の地形であるタフォニも観察できた.

川内市

串木囲野壷

善 函 唖

畢蝿 聯市

開 聞 町

31. 3 1 二

0 1 0 2 0 3 0 1 0 5 0 k m

13:

I

畠皇裳愈蒐.

図 − 1 巡 検 会 の 観 察 地 息

、雰錨鰯炉:璽垂

写 真 − 1 凝 灰 角 喋 岩 の 露 頭 今回の巡検会の目的は,火砕流堆積物,中・

古生層の観察及び海岸地形の観察であった.

初日(21日)は,予定通り熊大を8時40分 に出発し,薩摩大川付近において露頭を前に昼 食をとり,午後から本格的な観察を行った.予 定されていた内容に③と⑥の観察地を追加した ものの予定通り宿泊地(吹上砂丘荘)に到着し

2日目(22日)は,予定通りのコースで観察 を行ったが,露頭の条件が悪く縄状溶岩の観察 は割愛し,宿泊地(かいもん荘)に到着した.

3日目(23日)は,宿泊した開聞町からの観 察地である姶良郡蒲生町に向かう途中指宿でア グルチネイトの採集及び離岸堤防付近を観察し

② 川 内 付 近

川内川左岸にある久見崎町で中生層を観察し た.ここには,下部白亜系久見崎層を構成する 砂岩,頁岩,砂岩頁岩細互層及び喋岩砂岩互層 が分布する.田中ほか(1999)は,岩層および 産出化石から下部層,中部層および上部層に区 分しており,上部層と下部層とも八代層を含む 先外和泉層群に特徴的なアルコーズ質砂岩が卓 越 し て い る こ と や 八 代 厨 の 特 徴 種 で あ る Ptei℃"空ひ"必hokkaitわanaを産出すること力

ら先外和泉層群八代届にほぼ対比できるとして いる.また,中部層からは,保存不良のアンモ ナイトおよびjl4bsosa e"aの,As 〃esp,等

1 ) 熊 本 県 文 化 課

‑ 1 1 ‑

(2)

の二枚貝化石も産出している.我々は,これら の化石を採集しようと試みたが残念ながら採集 できなかった.

③ 川 内 原 子 力 発 電 所 見 学

トイレ休憩を兼ね,原子力発電所の資料館見 学を行った.この日は,気温35。を超える暑さ であったためひと時の休憩となった.

④吹上浜付近の入戸火砕流堆積物

東市来町江口海岸では,シラスの崖が,高さ 数十in,1kmにわたり発達している.

写 真 − 2 シ ラ ス の 崖 ( 江 口 海 岸

入戸火砕流は,約2万5千年前(池田ほか,1995〉

に姶良カルデラより噴出した巨大火砕流である 堆積物の総量は約300k㎡,厚さ最大約150m

とされている.ここで見られるシラスの崖は,

2万5千年間で侵食を受けできた崖である.こ の崖には多くのガリーが発達しており,我々は そこで火砕流堆積物の断面を観察できた.20cm を超えるような軽石塊や石質岩片が含まれてい た.これらは噴出源からの距離の増大に伴い粒 径は減少するとのことである.この粒径の変化 傾向を調べることで,給源が姶良カルデラであ る根拠となることを説明いただいた.

⑤ 吹 上 町 中 津 付 近

吹上浜付近の砂丘の幅は,狭いところで数百 メーI、ル,広いところで数kmにも及ぶ.我々 は,キャンプ村に車を止め海岸にて砂丘を観察 した.周辺の砂丘は,3期に分類でき北西から 南東にむけ発達するそうである.その影響を受

け河川は河口付近で南へ屈曲する.

も確かに周辺のほとんどの河川は,

南へ屈曲している.

寺 。 稗 .

雪;蕊蕊撚鋪露

準 f 雛 筆

写 真 − 3 吹 上 浜 の 砂 丘

地図で見て 川 の 出 口 で

⑥ 正 円 池

吹上町中原に,水の流れのないホテアオイカ 浮かぶ湖があった.砂丘の発達により堰き止め られた堰止湖である.そのため,海へ注ぐ川力 ない.周辺には,このような池が他にも見るこ とができる.

⑦ 野 間 半 島

野間半島周辺の中生層は高崎山累層と野間池 累層に区分されている.まずは,高崎鼻付近に て高崎山累層上部層の岩相を観察した後野間坐 島 の 地 質 概 要 に つ い て 説 明 を 受 け た . 橋 本 (1962b)や鹿島(1976)などの野間半島にま ける地質図や論文も多く書かれているが,仏像 榊造線の位置や層序の面でまだ解決しなければ ならない問題があるようである.

その後,野間池に移動し,海岸線を約1時間 歩き野間池累層上部層を各自観察した.野間池 累層上部層は頁岩よりなり石灰岩を挟む.途中 角閃石ひん岩,花崩閃緑斑岩やホルンフェルス

も一部観察できた.熊本ではなかなか見ること ができないものもあり,半深成岩のよい岩石標 本が採取できた.

⑧枕崎市立神海岸(2日目昼食地)

立神海岸では,阿多火砕流の溶結凝灰岩が観 察できる.阿多火砕流は,約10〜11万年前に

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鹿児島湾南部の阿多カルデラを噴出源とする火 砕流である.ここでは,溶結凝灰岩でよく見る ことのできる柱状節理や軽石レンズが多数集ま ってできる縞状のユータキシティック構造など を観察できた.溶結凝灰岩を学ぶには教科書的 な露頭であった.

⑨ 水 成 川

穎娃(えい)町番所鼻では,環状岩礁(環状ブ ー ル ) を 観 察 し た . こ れ は , 海 に 向 か っ て 極 め て緩やかに傾斜した溶結凝灰岩と下位の非溶結 の火砕流堆積物や降下火砕堆積物の侵食地形で ある.環状岩礁は,中央部にある凹地を取り囲 むほぼ円形の輪郭をもつ岩礁であった.成因と しては,下位の非溶結火砕堆積物は,溶結凝灰 岩に比べるとはるかに海岸侵食を受けやすく,

このため溶結凝灰岩の下には空洞が生じ天井部 の溶結凝灰岩が崩落して円形の凹地が生じると 考えられている.環状岩礁の│断面を観察すると;

厚さ約1m程度の阿多火砕流の溶結凝灰岩が,

阿多カルデラ噴出と思われる降下軽石(溶結凝 灰岩との時間間隙を示すような土壊が確認され ない)を覆っていた.私自身初めて見たが実に 不思議な地形であった.

写真−4環状岩礁(頴娃町番所鼻〕

⑩ 指 宿 市 尾 掛 付 近

アグルチネートを採集した.アグルチネート は,降下火砕堆積物の一種であり,火口付近に 高温の火山弾等が厚く堆積し軽度に溶結したも のである.よって付近に火口があると推測でき

−13−

るが,ここでは,火口は鹿児島湾の海域に位置 していたと考えられている.

写 真 − 5 環 状 岩 礁 の 断 面 ( 溶 結 凝 灰 岩 と

その下位の非溶結火砕堆積物〉

⑪ 離 岸 堤 防

指宿市尾掛、付近で,離岸堤防における砂の堆 積状況を観察した.離岸堤防部の背後に砂が堆 積し,切れた部分には堆積しない波型の砂浜の 地形が観察できた.

⑫ 指 宿 ス カ イ ラ イ ン 展 望 所

大隈半島及び薩摩半島の鹿児島湾岸に形成さ れた入戸火砕流堆積物によってできた火砕流台 地の観察をした.海岸段丘とよく似た地形であ るが段丘砂喋屑は乗っていないとのことである.

認蝿#職"総識潔

写真一6薩摩半島東側に見られる火砕流 堆積物によってできた平坦面

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⑬ 姶 良 郡 蒲 生 町

約6,500年前にマグマ水蒸気噴火を起こした 米丸火山の直径約1.3kmのマール地形を観察 した.森脇ほか(1986)によると,米丸火山か ら噴出した米丸テフラを土壌を挟んでアカホヤ 火山灰が覆うとのことである.

その後,車で移動し,米丸北付近で米丸火山 から噴出したサージ堆積物を道路建設の際にで きた露頭で観察した.ここの堆積物はラミナの デューン構造等から米丸火山から流れてきたも

のと思われた.

写 真 7 米 丸 火 山 か ら 噴 出 し た 火 砕 サ ー 己

さらに,車で直径約800mの吉住池に移動し た.この池は,住吉火山の住吉池マールである.

住吉火山は,約7,000年前に米丸火山と同様一 グマ水蒸気爆発によってできたマールである.

写 真 − 8 住 吉 マ ー ル ( 住 吉 池

以」二の2つの火山について,森脇ほか(1986 によると,縄文海進時に住吉付近の低地に入り 込んできた海水と触れ合ったマグマがマグマ水 蒸気爆発を起こしマールが形成されたのではな いかとのことである.しかし,参加者からは海 進時の海水に原因をもっていかずとも地下水で も‑'一分考えられるのではないかという意見も聞 かれた.

その後は,九州自動車道にて帰路についた.

3 お わ り に

今回,巡検会に参加し,南九州の地形・地質 について考えさせられた.特に,私自身いるし ろな地形から多くの地質情報をよみとること力 できることを.体感させて頂き,たいへん勉強に なった.今後の私自身に示唆を与えてくれる巡 検だった.

最後に,連日気温35℃を超える猛暑の中3日 間にわたって,横山勝三先生,渡遥一徳先生,

田中均先生の3名の先生方には,それぞれの分 野から懇切丁寧にご説明頂いた.3名の先生方 には感謝の意を表し,巡検会の報告とする.

参考文献

池田晃子・奥野充・中村俊夫・筒井正明・小林 哲夫(1995):南九州,姶良カルデラ起源の 大隈降下軽石と入戸火砕流中の炭化樹木の加 速器質量分析法による14C年代.第四紀研 究,34,377‑379.

森脇広・町田洋・初見祐一・松島義章(1986):鹿 児島県湾北岸におけるマグマ水蒸気噴火とこ れに影響を与えた縄文海進.地学雑,95,94

−113.

田中均・尾上哲治・一瀬めぐみ・高橋努(1999)

鹿児島県川内市西方の中古生界.熊本大学教 育学部紀要,(自然科学),48,119‑132.

横山勝三(2003):シラス学九州南部の巨大 火砕流堆積物.古今書院、177頁.

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