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ミスト CVD 法による Pd 膜の作製

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Academic year: 2021

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(1)

ミスト

CVD

法による

Pd

膜の作製

システム工学群 材料革新サスティナブルテクノロジー研究室

1200129

福江

1.

背景・目的

現在利用されている機能薄膜の作製方法には様々なものが あるが多くは真空を用いるため,成膜において大きなエネル ギーを必要とし,巨大な装置が必要となる.また非真空法の薄 膜作製方法として,化学反応や、電気分解を用いて作製する手 法などがあるが,膜中への不純物の取り込みや,均質膜形成の ため,厳格な原料の取り扱いを心がける必要があるといった 問題がある.ミスト

CVD

法(chemical vapor deposition)は,

非真空下で行う薄膜作製方法で,原料溶液の管理も容易に行 えるという特徴があり,省エネルギーで均一かつ高品質な薄 膜が作製可能であることが,過去に報告されている[1].我々の 研究室では,ミスト

CVD

法を用いて酸化膜を中心に炭化膜,

硫化物膜などの作製を行っており,また,Ni,Cu,Agなどの 金属膜の作製も過去に行っている.そこで私は,主に燃料電池 に用いられ,水素透過膜として知られている

Pd

[2]に着目し,

本研究では,ミスト

CVD

法を用いて

Pd

薄膜が作製可能かど うかを検証することを目的とした.

2.

ファインチャネル(FC)式反応炉

反応炉にはいくつかモデルがあるが,本研究ではその中で ファインチャネル式の形状のものを用いた.本実験で用いた ミスト

CVD

装置の概略図を図

1

に示す.原料溶液を超音波振 動により噴霧し,ミスト化した原料を

Carrier gas(c.g.)及び Dilution gas(d.g.)により搬送し,高温の反応炉内に設置した基

板に熱化学反応によって薄膜を作製する.

Fig 1 Fine Channel type mist CVD system

3.

研究内容

これまでに行った研究内容を以下に示す.

(1)

原料溶液調製および成膜実験

Pd

源としてアセチルアセトナト(Pd(acac)2

)粉末,酢酸パラジ

ウム(Pd(ac)2

)粉末が挙げられるが, Pd(acac)

2を用いた場合,メ タノール(MeOH)と少量のエチレンジアミンで溶液を調製し 成膜を行った結果,基板上に膜が得られなかった.よって本研 究では

Pd(ac)

2を原料として,ミスト

CVD

法により

Pd

薄膜作 製を試みた.また操作変数として,溶媒種,成膜温度を変化さ せ,Pd薄膜成膜条件の最適化を行った.

(2)

作製した膜の評価

成膜した基板は,膜厚測定装置(段差計)にて膜厚を,

X

線回 折測定(XRD, GIXD)にて構造解析および結晶配向性評価を行 った.さらに,X線光電子分光法(XPS)にて薄膜表面の化学結 合状態分析およびフェルミ準位と価電子帯のエネルギー準位 差を測定した.

(3) Pd(ac)

2粉末の熱力学的変化

Pd(ac)

2粉末の熱による状態変化を調べるため,示差熱-熱

重量分析装置(TG-DTA)を用いて測定・解析を行った.

4. Pd

膜作製条件

本研究で調製および成膜を行った

Pd

溶液を表

1

に示す.

Pd

源として,溶質には酢酸パラジウム(Ⅱ)(Pd(ac)2)を用いた.

はじめ,

No.①では Pd(ac)

2はメタノールに難溶であると考えた

ため,溶解の支援剤としてアンモニアメタノール溶液(AMS)を 少量添加した.次に

No.②では,酸素原子を含まないアセトニ

トリル(AN)を溶媒として溶液調製を試みたが,溶解しなかっ たため,AMS,MeOH を追加し溶解させ,成膜実験を行った.

また,

No.①,②において溶液調整中に Pd(ac)

2はメタノールの

みでも溶解可能であることがわかったため,

No.③ではメタノ

ールのみを用いて溶液を調整したところ,ほとんど溶解した のでこれを用いて実験を行った.本稿では表

1

No.1

の溶液 を用いた実験内容のみ述べ,その他については本文にて述べ る.

1

No.1

の溶液を用いた場合の実験条件を表

2

に示す.

成膜温度を

200~300℃と変化させ,良好な成膜温度条件を調

査した.成膜時間は

5

分とし,良好な薄膜の得られた温度条 件では成膜レートなどの評価に用いるため厚膜を作製するた

15

分の成膜を行った.

Table 1 Pd Solutions

Table 2 Pd growth condition Dilution

exhaust Heater Reaction space ≈ 1 mm

Sub.

mist gas mixture

Fine channel structure

Carrier

Source Supplier

reactor

mist solution Ultrasonic transducer

Solute :

2

[0.900g]

Solvent :

Concentration : 0.020 mol/L

Carrier gas : N

2

, 2.5 L/min Dilution gas : N

2

, 4.5 L /min

Growth Time : 5 min, 15min

Growth temp : 200~300 ℃

Substrate : Quartz(30×30mm, t=0.5 mm)

N o. S olute S olvent Conc.

[mol/L]

①:

2*1

MeOH∗2[198ml]+AMS∗3[4ml] 0.020

②: 0.030

③: 0.017

*1Pd(ac)2 :palladium(II)acetate Pd(C5H7O2)2

*2MeOH : methanol CH3OH

*3AMS : ammonia methanol solution NH3, 2 mol/L

*4AN : acetonitrile CH3CN

(2)

5.

実験結果

5

分間成膜したサンプルを図

2(a)に示す.目視では,成膜し

たすべての温度域で膜が得られ,中でも

225~275℃のとき透

明ではなく,金属特有と見られる反射が見られた.つまり溶質

Pd(ac)

2,溶媒に

MeOH・AMS

を用いたときにおいて

225~

275℃が良好な成膜温度と考えられる.さらに成膜温度 225℃,

250℃における 15

分の成膜結果を図

2(b)に示す.いずれも透

過はしておらず,鏡のような反射が見られた.またこの

2

のサンプルを膜厚測定装置で測定したところ,成膜温度

225℃

のサンプルの膜厚はおよそ

35 nm,250℃のサンプルはおよそ

50 nm

という結果が得られた.また,成膜時間

5

分の膜につい

て,

X

線測定(XRD)の結果を図

3

に示す.

40°付近に Pd

に由来 するピークが見られた.また,成膜温度

275℃におけるサンプ

ルが最もピークが大きく,結晶性が最も良いことがわかる.さ らに,XPSにおける価電子帯(VB)の測定・解析結果を図

4

示す.各青い接線と横線との交点が物質の価電子帯-フェル ミ準位間のエネルギー差(Ef

− E

V

)を表している. 225~300℃で

はEf

− E

Vがゼロとなっていることから,金属の膜であること がわかる.以上のことから,成膜してできた薄膜は

Pd

であり,

この実験条件における成膜時の最適温度は

275℃程度である

ことがわかった.

次に,

Pd(ac)

2

N

2および

Air

雰囲気中における

TG-DTA

定結果を図

5

に示す.このときの昇温速度は

1℃/min

とした.

DTA

測定結果より,

220℃付近で上に凸のグラフになっており,

発熱反応が起こっていることがわかる.また,Pd(ac)2の分子 量(224.51 g/mol)を

100%とすると,Pd(106.42 g/mol)は 47.4%,

PdO(122.42 g/mol)は 54.5%であり,TG

測定結果より

220℃付

近で

Pd(ac)

2から

Pd

に変化していると考えられる.これらの

結果から,

Pd(ac)

2粉末は

220℃付近で発熱反応を起こし,酢酸

塩部分のほとんどは分解され,外部へ排出されたと考えられ る.

Fig 2 Pd thin films (growth time (a) : 5min, (b) : 15min)

Fig 3 XRD results

Fig 4 XPS results (VB)

Fig 5 TG-DTA results

5.

結言

本研究では,ミスト

CVD

法でまだ研究報告のない

Pd

に着 目し,成膜実験を行った.実験では溶媒を変えていくつか溶液 を調製し,各溶液において成膜時の反応炉の温度を変えて,よ り良好な

Pd

膜の成膜条件を模索した.成膜の結果,XRD 定から結晶性の良い

Pd

のピークが見られ,

XPS

測定より金属 膜が得られていることがわかった.また

TG-DTA

測定結果か ら,Pd(ac)2粉末は

220℃付近で Pd

へと分解されており,これ は成膜実験の結果を支持していた.本研究ではミスト

CVD

によって

Pd

膜が作製可能であることを示すことができた.

6.

参考文献

[1] T. Kawaharamura: Ph. D. Thesis,Kyoto University,Kyoto(2008) [2]上宮成之,水素分離金属膜,岐阜大学(2005)

225℃ 250℃

200℃ 225℃ 250℃ 275℃ 300℃

(a) (b)

100 200 300 400 500 0

50 100

-20 -10 0 10 20 30 40

47.4 54.5

Tempereure[℃]

T G[ % ]

TGーAir TGーN

2

DTA ー Air DTAーN

2

D T A [μV ]

-6 -3 0 3 6 9 0 12 2 4 6

-10 0

0 10 100 200 300

12 9 6 3 0 -3 -6

In te n si ty (a rb .u n it )

f

− (eV) 225℃

(15min) 250℃

(15min)

200℃

225℃

250℃

275℃

300℃

30 40 50 60 70 80

10

1

10

2

10

3

10

4

10

5

10

6

10

7

10

8

10

9

10

10

10

11

10

12

10

13

30 40 50 60 70 80

10

1

10

2

10

3

10

4

10

5

10

6

10

7

10

8

10

9

10

10

10

11

10

12

30 40 50 60 70 80 10 2

10 3 10 4 10 5 10 6 10 7 10 8

30 40 50 60 70 80 10 2

10 3 10 4 10 5 10 6 10 7 10 8 10 9

Intensity(arb.unit)

2θ/θ CuKα (degree) 2θ CuKα (degree) 200℃

300℃

275℃

250℃

225℃

200℃

300℃

275℃

250℃

225℃

XRD GIXD

30 40 50 60 70 80 30 40 50 60 70 80

(111) (200) (220) (311)

(111)

Fig 1 Fine Channel type mist CVD system
Fig 2 Pd thin films (growth time (a) : 5min, (b) : 15min)

参照

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