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自己組織化マップを用いた生徒の観察・実験におけ る記述内容の分析

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自己組織化マップを用いた生徒の観察・実験におけ る記述内容の分析

著者 松原 道男

雑誌名 金沢大学教育学部紀要.教育科学編

巻 56

ページ 21‑27

発行年 2007‑02‑28

URL http://hdl.handle.net/2297/4397

(2)

21

自己組織化マップを用いた生徒の観察。実験に おける記述内容の分析

松原道男

AnAmalysisofDescriFtiomintheStuxdentosObse『vationandExperimentby IJSingSelfLOrg翅nizatiOnMap

MichioMATSUBARA

I問題の所在

理科学習において、子どもが自分の考えなど を表現する方法は、文章だけでなく描画法や概 念地図法などが用いられている。いろいろな表 現方法を用いることは、教師にとっては子ども の考えをいろいろな観点からとらえることがで きるとともに、子どもにとっては自分の考えを 明確にして自覚できるという点で意義があると いえる’)。

具体的な理科の学習においては、予想や結 果・考察などの学習場面において、いろいろな 表現方法を併用してノートやワークシートに記 入させることが多い。この中で、文章による表 現活動における子どもの実態および問題点につ いては、TIMSSの論述形式の課題などにおいて 明らかにされている。松原2)は、TIMSSにおけ る論述形式課題に対する中学生の回答の分析を 行い、正答率の低い問題は、論述形式であるた めというより、理由の説明ができないことによ ると指摘している。これについて、中山ら3)が さらに分析を行い、子どもは課題文に含まれる 言葉や名称を回答する傾向にあり、目に見えな い自然の仕組みへの言及が少ないことを指摘し ている。また、自然事象について、現象的説明 はできるが、その自然の仕組みにかかわる理論 的知識にもとづいて説明することが困難である ことを指摘している。この原因として日本の力

リキュラムにおいては、モデルで考えることや、

自ら結論を導出することが求められていないこ とをあげている4)。

一方、猿田5)は、小学生の論述的課題につい て分析を行い、長所と短所をあわせて科学的に 判|新したり、物事を多面的に考えたりすること が苦手であることを指摘している。さらに、猿 田は6)、わが国の中学生の正答率が相対的に低 いことの要因について、教師質問紙の科学的論 述力に関する回答を分析している。その結果、

教師は解答のための理由を述べることを理科の 重要な目標ととらえていないことや、科学を実 世界の表現方法と認識している教師が少ないこ

とを明らかにしている。

以上のことから、子どもに対して根拠にもと づいた論理的表現の育成とともに、それを教師 が意識していくことやカリキュラムを検討して いくことの必要性が指摘できる。

とくに子どもの記述における論理的な表現に ついて改善を図るためには、それを評価するこ とが必要となる。しかし、多肢選択や穴埋めを 行う回答と異なり、クラス全体の子どもの記述 内容の評価は比較的困難である。そこで、子ど もの記述内容の分析方法を開発していくことが 望まれる。

平成18年10月2日受理

(3)

金沢大学教育学部紀要(教育科学編)

22 第56号平成19年

Ⅱ研究の目的

以上のことから、論理的、科学的な説明能力 を身につけていくうえで、子どもの記述内容に ついて評価していくことが重要であると考えら れる。とくに子どもの考えの実態を把握し、授 業実践や授業改善の情報を得るには、クラス全 体の傾向をとらえる必要がある。しかし、一人 一人の記述内容を分析し、傾向をつかむといっ た定性的分析では時間を要するといった問題点 がある。

そこで、本研究においては、クラス全体の子 どもの記述内容の論理的、科学的側面について 評価する方法を開発することを目的とした。

りである。この中の「予想」と「わかったこと」

の記述内容の2つを分析した。「予想」は、2本 のニクロム線を直列につないだ場合と並列につ ないだ場合の豆電球の明るさや電流の強さにつ いて予想するものである。「わかったこと」は、

その実験結果とわかったことについての記述で ある。

2.分析のためのソフトの開発方法

記述内容について、文章そのものを直接解析 するのは困難である。そこで、文章を単語に分 割し、その単語の関係について分析する方法を 考えた。詳しくは、次の手順で分析を行った。

①形態素解析のフリーソフトである「茶筌」を 用いて、生徒の記述内容から単語を抽出した。

クラス全体の傾向をつかむため、表層語では なく単語の基本形を抽出した。これは、表層 語を抽出すると同じ単語で活用が異なるもの が抽出されるからである。

②①で抽出した単語について、重複している単 語を除いた。これについては、抽出した全単 語について、Excelを用いて重複した単語を 除くマクロを作成した。

③Excelのシートの「行」に、②で抽出した単 語を置き、文章ごとにその単語が記述されて いればそれをカウントし、その数を「列」に 示すマクロを作成した。

④③で作成したデータをもとに、コホネン

(Kohonen,T、)7)の自己組織化マップを用いて 分析するExcelのマクロを作成し、単語間の 関連をマップに示すようにした。

自己組織化マップを用いたのは、分類を可視 的連続的に表現できるという利点だけでなく、

分類能力においても優れていることが指摘され ているからである8)。

Ⅲ方法

1.記述内容の調査 (1)調査対象

調査対象は、石川県内の公立A中学校第2学 年lクラス21人である。

(2)調査内容

記述内容は、「電流」単元の1時間の授業にお いてワークシートに記述されたものを分析の対 象とした。ワークシートは、図lに示したとお

<塁函>

竜賭瞳の本政を伽やすと互匝球の切るざが変化するのかを瓦ぺよう.

(子麺〕

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E《ウ各JラIぢヴ"`フゴ「ろう,tjILのJnLが瓜⑭,廿聯4,5.蝿,イピハDIIケゴトグ'111NごM散り[RJラロ

<災斌結果>

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3.分析方法

自己組織化マップにおける分析の妥当性につ いて、次のように検討することを考えた。まず、

生徒の記述内容について、直接定性的に分析し、

卒醸辺・更、

図1ワークシートの内容

(4)

松原道男:自己組織化マップを用いた生徒の記述内容の分析 23

クラス全体としてどのような記述内容が多いか を明らかにした。次に、自己組織化マップを用 いて単語の関連を分析し、クラス全体としてど のような記述内容の傾向にあるかを分析した。

以上の定性的分析と自己組織化マップにおける 結果の比較から、自己組織化マップによる分析 の妥当性を検証することにした。

について、電熱線の直列つなぎと並列つなぎに 分けてデータを作成した。この直列つなぎと並 列つなぎの予想、および直列つなぎと並列つな ぎのわかったことの4つそれぞれについて、生 徒が記入したすべての文章を対象に、「茶筌」を 用いて単語の基本形および品詞を抽出した(図 2参照)。この段階で単語は重複している。この 出力された単語を「データl」とする。

この「データI」について、Excelを用いて、

品詞の①記号、②助詞、③助動詞、④接続詞、

⑤未知語、⑥フィラーと、「茶筌」の文末記号

「EOS」の単語を削除し、このデータを「デー タ2」とする。「データ2」について重複してい る単語を除き、各単語とその単語の度数を出力 するマクロを作成した(図3参照)。この出力結 果を「データ3」とする。この「データ3」につ

Ⅳ開発したソフト

1.単語の抽出とデータセット

電熱線の直列つなぎについての生徒の予想と 並列つなぎについての予想に分けて、データを 作成することにした。同じく「わかったこと」

ファイル(u〉紹茱(E)ii\折(A)ヘルプ⑪

全文解折|長くするようにつなげたら、冠流の流れが同じだから、豆価啄のlvIるさはほへ

一ぼ同じだと思う。.,.’

鬮騨|雛蝋鵜繍蝋鰯鰯w:圦,

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尭蒸00000010000001

鮭0000000000000、

00001000000,0, 000001000 J0000g0100000n

U000000010 000000100000、

|鱸

,名Hn-Lヌ・名阿-振尾一助HImi]立-KMm可能 ,mIn-i面体化

朧佃 on (Un

q”

図4各文章に含まれる単語数の処理 図2「茶筌」の出力例(-部)

A:B 11

2:

9...j AJ5I 61

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10 11 12:

13 14 1iii.、

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20.:21 22.

231 24 25:26I 271

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重複単語整理プログラム

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単語抽出I

l演宣カウント 征■ 演官カウント IOE

テータ童l裁本11ラ」とIfn3;H1」で必ずソート 基本形品詞

1名詞‐数 1名詞-数 1名詞-数 1名詞-数 1名詞-数 I基本形l品詞

霧:縞襲立

餅よう名詞-非自立-助釛詞語幹 4iに助詞‐H1調化

摩つなげる釛詞-自立

鑿z工EII三l品詞 1名詞一致 2名詞-数 あまりEll詞‐助詞調拙続 いく釛詞-非自立 がたい形容詞-非自立

度数 11 15 2

た 流れUら球乱.■丑た、壷の流が同だが、|三重の明さはほ向r3蕊沁打瀝櫓脚漉拓打帽ね躯鋭醒

助助詞 記号‐霊点 名詞一般 助詞‐迎体化 名詞--股 助B可-格助詞--股 名詞-形容勃詞語幹 助勒詞 助詞-招続助詞 記号-読点 名詞一股 名詞一股 助詞-1目助詞--股 形容詞-自立 名詞-接尾-特殊 助詞君係助詞 高11洞一股

07(.▽〈05〈‐7へ日びく.⑰(.⑰(・伝(0V(Ⅱ7(’灯(0⑪(.⑰(b(’U(’U(’□(苧潰宰〕又牢》頁牢乎頁工j文離瓦手耳子又●手面談女手耳半支ヂヌ平〉互子ヌザヌ部》文

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これ ささらに スピード する そのまま ため つなぐ つなげる とき なる に<い ぼぼよう 暗い 一定一方向

名詞‐代名詞--股 名詞-接匡-特殊 HlI詞-助詞類摺続 名詞一股釛詞-自立 函Ⅱ詞一般 名詞-非自立-511詞可能 釛詞-自立 釛詞-自立 名詞-非自立-ElI詞可能 勒詞‐自立 形容詞-非自立 EII詞一股 名詞-非自立一助釛詞語幹 形容詞-自立 名詞-廿変摂皖 名詞一股

01271314902159

113

図3重複単語の処理

露#爵’ 号ヨ

図旦2ン品

識|蕊

クリアⅡ

F、誘府懇 ゴブシロン

。基本形F編み

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品詞F油同区U"「

欝蝋灘

(5)

金沢大学教育学部紀要(教育科学編)

24 第56号平成19年

いて、全文章の出現頻度が1以下のものを削除 して、Excelの行に配置した(図4参照)。「デー タ3」と「データl」をもとに各文章に含まれる 単語をカウントして、この数を文章ごとに列に 配置するマクロを作成した(図4参照)。この出 力結果を「データ4」とする。

V結果および考察

1.記述内容の定性的分析結果および考察 生徒の記述内容についてまとめたのが、表I から表4である。まず、直列つなぎの予想につ いて、暗くなると考える生徒が半数を超える。

「抵抗が大きくなる」、「流れにくくなる」といっ た考えが多い。また、「変化がない」という生徒 もおり、理由は「電流の流れ」や「速さ」が変 わらないというものである。

表Zより並列つなぎについての予想では、暗 くなるという生徒が半数ほどおり、「流れにくく なる」、「弱まる」、「抵抗が大きくなる」といつ 2自己組織化マップによる分析

自己組織化マップ作成のExcelシートを図5 に示した。「データ4」をシートにセットし、「単 語数」には「データ4」の単語数を入力する。

「データ数」は、「データ4」の列数を入力する。

「最大値」は「データ4」の最大値を入力する。

「訓練回数」は、自己組織化マップ作成のため の演算の繰り返し数を入力する。任意でよいが、

今回は]0,000程度とした。「学習率」は、自己 組織化においては一般的に0.2から0.5の値が用 いられる。「変更の幅」は演算にあたっての任意 のセルの位置に対して結合強度を変更する幅を 入力する。今回は2Ox2Oのセルに単語を配置 するので、3から8くらいまでが妥当と考えら れる。実行を押すと、「現訓練数」に「訓練回数」

になるまでカウントが表示され、演算経過が示 される。演算が終了するとデータの下に、後に 述べる図6から図9に示したようなマップが出 力される。近くに分布した単語どうしは、関連 して記述されているととらえることができる。

表1直列つなぎの予想(人)

暗くなる

人数|計

抵抗が大きくなる

流れにくくなる

電圧が弱まる

'2

スピードや強さが弱くなる

根1処なし

変化なし 人数|計

電流の流れは同じ

一定の速さ

そのままの強さ趣気litに変化なし

記1入承じ

人数}計

言葉による記入なし フ1ウ

表2並列つなぎの予想(人)

暗く態蚕 人数」計

枝分かれして流れにくい

強さが弱まる

抵抗が2倍

電圧が半分

110

無駄な電気を使う

実行

距離が増える 四口

1K蕊$M繕袰.蕊

根拠なし

蕊H2蟄籍一~&鑑i灘iiiL~。…:蕊i;露Y擢藪鷲鴬。瀞砿野’

副詞-1U〕詞顛接続

変化舐し

人数|識

名詞--股 形容詞-非自立 形容詞-自立 名詞--股 名詞-接尾-助数詞 名詞-非自立一遍11詞可能 名詞-ザ変接続 名詞--股 名飼-非自立-副詞可能 名詞--股 名詞--股 1:あまり

2.スピ-F 3.にくい 4強い 5道筋 6i倍 7:分Bi変化

、流れ 10ため 11電球 121豆

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半分になって元に戻る

o00000I00oD

電池の並列と同じ

平等に魎気が流れる

明るくなる 人数1計

通り道が2つでまとめて多く

なる2倍になる

根拠なし不十分

図5自己組織化マップ作成シート 記入なし

人数|計

言葉による記入なし 71う

|W、[i鞠騨繊W1nRl

暗くなる

人数 識

抵抗が大きくなる 流れにくくなる 電圧が弱まる

スピー!§や強さが弱くなる

UiL拠なL

1コ

変化な魁 人敷

電流の流れはlFiIU

・・定の速さ

そのままの強さ 71Z気皿に変化なも

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人数

葉による記入なし

暗ぐ鰯 人数

枝分かれして流れにくい

強さがリオ蛍る

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半分になって元に戻る 電池の並列と同:,

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辿り道が2つでまとめて多く

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記入なし 人数 計

葉による記人なし 瀞轤灘⑭

(6)

松原道男:自己組織化マップを用いた生徒の記述内容の分析 25

2自己組織化マップの結果および考察 自己組織化マップの結果については、図6か ら図9に示した。その際、文章全体での出現頻 度が6以上の単語を網掛けで示した。セルで仕 切りが示されているところは、二重線、太線、

さらに太い線のlllBiで、近くに単語が配置してい ても隔たりがあることを示している。

図6より、直列つなぎの予想においては、全 体として単語が分散している。その中で「つな げる」と「暗い」がやや近くにあり、関連して 記述されていると考えられる。また、「電気」の 近くに「変わる」や「大きい、抵抗」があり、

関連して記述されていると考えられる。図7は、

並列つなぎの予想についてであるが、これも単 語が分散している。その中で、「枝分かれ」、「つ なげる」、「暗い」が近くにあり、関連して記述 されていると考えられる。また、やや隔たりが あって、「明るい」といった相反する単語がある。

さらに、「電流」の近くには少数であるが「半分」

といった単語がある。

図8は、直列つなぎでわかったことについて の記述であるが、「低抗」と「大きい」がやや近 くにあり関連して記述されていると考えられる。

また、「つなげる」の近くに「暗い」、さらに「電 流」の近くに「弱い」といった単語がある。単 語の関連から科学的に正しい記述であると考え られるが、それぞれの記述内容は、分散してお り、それぞれの関連はやや弱いといえる。

図9は並列つなぎでわかったことについてで あるが、単語が分散している。「つなげる」の近 くに「明るい」があり、「電流」とやや離れて「強 い」の単語がある。また、「抵抗」の近くに「小 さい」の単語がある。単語の関連から科学的に 正しい記述であると考えられるが、それぞれの 記述内容は分散しており、直列つなぎの結果よ

りもさらに関連は弱いといえる。

以上の結果から、実験前においては、とくに 並列つなぎについては、科学的な考えとは異な る考えをもっていることがわかるが、実験後に おいては、科・学的に正しい考えになっているこ 表3直列つなぎでわかったこと(人)

現象||人数’理由・根拠|人数

91低}、(大きくなる111 暗くなる

電流が弱くなる’91電圧が弱まる

記入なし 51スピードが弱まる

記入なし '8

表4並列つなぎでわかったこと(人)

現象人数理由・IrHjjUL人数 明るくなる15抵抗が小さくなる7 電流が強くなる10電流の通り道が多くなる4

同じ強さび>ripl1流が分7071じて

記入なし 串ロ

集まる

記入なし '0

表5根拠についての記述結果(人)

記述内容 直列つなぎ|並万11つなぎ

現象から根拠の記述

根拠から現象の記述

4 。

現象のみ記述

根拠のみ記述

現象と根拠の対応不十分

O】

記入なし

た考えである。次に変化なしといった生徒も4 分の1ほどおり、「分かれても元に戻る」といっ た考えである。明るくなるという考えは2割程 度であり、「通り道が多くなる」というものであ る。表3より直列つなぎでわかったことについ ては、半数の生徒が抵抗が大きくなるという理 由や根拠を書いている。理由や根拠の記入のな い生徒も4割近くいる。表4より並列つなぎで わかったことについては、「抵抗が小さくなる」、

「通り道が多くなる」といった理由や根拠の記 入が多くみられるが、理由や根拠の記入のない 生徒も半数近くいる。

表5は、現象と根拠の記述関係について示し た表である。「現象から根拠」を記述する例とし ては、「豆電球が暗くなる、抵抗が大きい」など があげられる。「根拠から現象」を記述する例と しては、「抵抗が大きくなったから暗くなった」

などがあげられる。直列つなぎ、並列つなぎと も、現象と根拠を記述している生徒は、半数程 度である。現象のみや記述のない生徒も多いと いえる。

現象 人数 理山・llAlML

人数

|時<なる

掴7iが大きくなる

屯il跡(弱くなる fWnl當力R弱まる 前1入なし ス:チードが弱まる

記入オ点し

現熱 lJik 皿lLl・lNjm 人数

|〕】るくなる ・目

HゴガラDIIR小さくなる 電耐X強くなる

:()

f彊流CD通りii1》i'<多くなる

i祖人なし

|句uM1さcDfE流ウリMYrUて

集まる

訂1入なし 10

記述内容 1111:列つ竃ぎ 11r列つなぎ 現象からイ糺拠の紀述

根拠

ら現象の記述 現難

孝記述 恨拠 孝記述

現象

根拠の対↓L:イ<・:・分

記人 巴戸

(7)

金沢大学教育学部紀要(教育科学編)

26 第56号平成19年

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図8直ワ|」つなぎlわワ0,つたこと」の自己組織化マップ 図6直列つなぎ「予想」の自己組織化マップ

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000000

鶴0’0

00’’0

比輻

小さ

12面

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図7並列つなぎ「予想」の自己組織化マップ 図9並Fllつなぎlわワ01つたとこと」の自己組織化マップ とがわかる。しかし、どちらのつなぎ方におい

ても、実験結果からわかったことについては抵 抗と電流の強さ、さらに豆電球の明るさなど、

それぞれの関連についての記述は弱く、とくに 並列つなぎにおいてはそれが顕著であるといえ

る。

おいて、「抵抗が大きく暗くなる」という記述が 多いが、自己組織化マップにおいても、「大きい」

と「抵抗」が近くに配置されている。同様に、

並列つなぎの予想、直列つなぎと並列つなぎの わかったことについても、定性的に分析した結 果と自己組織化マップで示された単語の関連に は一致が認められる。また、定性的な分析にお いて現象と根拠の関連を書いている生徒は半数 と少なかった。このことについて、自己組織化 マップでは、図9の並列つなぎでみられるよう 3.自己組織化マップの妥当性の検討

定性的な分析結果と自己組織化マップの結果

を比較すると、たとえば、直列つなぎの予想に

(8)

松原道男:自己組織化マップを用いた生徒の記述内容の分析 27

に、「電流」、「抵抗」、「明るい」などの単語の関 連にはお互いに距離があり、現象を示す単語(た とえば「明るい」)と根拠を示す単語(たとえば

「抵抗」)の関係性が十分でないことが示されて

いる。

以上のことから、自己組織化マップの分析に おける単語の関連性の結果は、生徒の記述した 内容の定性的な分析結果と一致していると考え られる。このことから、本研究における自己組 織化マップによる生徒の記述内容の分析には、

妥当性が認められると思われる。

今後、文章の構文についても考慮したデータ から自己組織化マップを作成すれば、さらに詳 細な分析が可能になると考えられ、検討課題と

してあげられる。

提言」、理科の教育、VOL48,N0.563,56-59,1999

3)中山迅・猿田祐嗣:「学習方法からの新教育課程への

提言一TIMSSの論述形式課題に対する日本の児

童・生徒の回答分析から-」、日本科学教育学会年 会論文集26,49-50,2002

4)中山迅・大場裕子・猿田祐嗣:「科学理論と現象を関 係付ける力を育てる教育課程の必要性一酸化・燃焼

に関するTIMSS理科の論述形式課題に対する回答

分析から-」、科学教育研究、VbL28、Nol、25-33,

2004

5)猿田祐嗣:「小学校理科における指導法の改善への提 言」、理科の教育、VOL48、No.562,54-57,1999 6)猿田祐嗣:「科学的論述力と指導法との関連について

-国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の国際比較 データから-」、日本科学教育学会年会論文集28, 537-538,2004

7)T,コホネン:「自己組織化マップ」、IO2-I7LI996、

シュプリンガー・フェアラーク東京

8)徳高平蔵他監修:「自己組織化マップ応用事例集

SOMによる可視化情報処理]、97-99,2002、海文堂

参考文献

l)リチャード・ホワイト、リチャード・ガンストン:

「子どもの学びを探る」、1995,束洋館出版社

Z)松原静郎:「中学校理科における指導法の改善への

参照

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