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近赤外線分光法による脳機能計測を用いた E ラーニング教材の評価・検討

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Academic year: 2021

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近赤外線分光法による脳機能計測を用いた E ラーニング教材の評価・検討

筑波技術大学 産業技術学部

永盛祐介

キーワード:近赤外線分光法,字幕,Eラーニング

1.背景と目的

本研究ではPCのモニタで活用する自習型Eラーニングシステ ムを前提とし,講義者の映像とスライドの他に,どのような情 報が,どのような位置に,どのような見た目で存在すれば聴覚 障害学生が内容を理解し,ストレスを感じずに学習できるかを 探っているところである。本稿では標準型字幕と文脈依存型字 幕の比較実験を行った結果を報告する。

平成25年度教育研究等高度化推進事業課題[1]においては,

被験者に複数パターンの字幕表現を呈示し,その際の学習効果 測定のための質問紙調査に加え,ストレスは学習の動機と関連 付いているという考えに基づき,唾液中アミラーゼ計測(スト レス計測)と注視点計測を用いて評価した。平成26年度におい ては同様の実験方法に,近赤外線分光法(NIRS)による脳機能 計測を加えた実験を行った。これにより,NIRSを使用する妥当 性について検討した。

2.実験の方法

聴覚障害学生に特化した自習用Eラーニングを設計するため に,標準型字幕と文脈依存型字幕の比較実験を行った。標準型 字幕は画面下部に字幕が表示される,一般的な字幕表示である。

対して文脈依存型字幕は本研究が提案する字幕の表示方法の 一案である。これは状況に合わせて字幕の表示位置が変化する 字幕である。たとえば話者が喋っているときは話者の顔の横に 字幕を表示する。また,図1はスケッチを指導する動画の例で あるが,「ここ,これ,それ,あれ」などの指示語により注目 させたい箇所がある場合は,その箇所に字幕を表示させている。

図1. 右:通所型字幕 左:文脈依存型字幕

このような通常型字幕と文脈依存型字幕の双方を被験者に呈 示しその差異を検討した。具体的な手順は次の通りである。

1. 注視点計測装置内蔵モニタおよびNIRS装置の調整(3分)

2. 安静時間(10秒)

3. Eラーニング映像A視聴(5分)

4. 安静時間(10秒)

5. 休憩(任意時間)

6. 安静時間(10秒)

7. Eラーニング映像B視聴(5分)

8. 安静時間(10秒)

9. 唾液アミラーゼ濃度の計測(1分)

10. アンケート回答(3分)

NIRS計測部位は国際10-20法におけるFp1・Fp2(左右前頭前 野部)をカバーずる領域とした。またタスク前後には脳血流の ベースラインを取得するための安静時間を10秒挿入した。

Eラーニング映像AとBは標準型字幕と文脈依存型字幕がラン ダムな順番に呈示される。アンケートの内容は以下の通りであ る。

l ビデオを見る際に,内容の理解に役に立った順に順位を 付けて下さい。(□音声 □字幕 □手話 □表情)

l いずれの字幕呈示方法が理解しやすかったですか?

(□通常型字幕 □文脈依存型字幕)

l いずれの字幕呈示方法がより読みやすかったですか?

(□通常型字幕 □文脈依存型字幕)

注視点計測にはTobii社製注視点計測装置T60を用い,NIRS 装置は日立ハイテクノロジーズ社製ウェアラブル光トポグラ フィ装置WOT-100を使用した。

3.結果と考察

実験は聴覚障害学生 4 名に対して行った。先行研究[2]に基 づき,NIRS から得られたデータのうち,脳の賦活と関係性の 高い,酸素化ヘモグロビン濃度変化量を取り上げた。取得さ れるデータのレンジは被験者によってばらつきがあるため,

被験者内で標準化を行った。また,安静時のベースラインに も個人差があるため,タスク前の安静時間と,タスク後の安 静時間時の平均を 0 とするよう回転補正を行った。これによ って,安静時とタスク時の差を比較できるようにした。以上 のような補正を施した補正済酸素化ヘモグロビン濃度変化量 の全被験者平均をとり,計測プローブと同様にレイアウトし

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筑波技術大学テクノレポートVol.23(1)Dec.2015

筑波技術大学 紀要

 National University Corporation  Tsukuba University of Technology

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たグラフを図 2 に示す。

全体として標準型字幕が,文脈追従型字幕と比較して,脳 の賦活量が高いという結果が得られた。その中でも,前頭前 野右部に当たる Fp2 領域周辺において特に賦活量が高かった 先行研究[1]において,ストレスについては両者に差が認め られなかったが,視線の移動量は標準型字幕の方が視線の移 動量が高いという結果が得られている。映像の内容も字幕の 内容も同じで,表示位置のみが異なる視覚刺激において,こ のような差が見られ,このことは視線の移動量と,脳の賦活 の間に相関があることを示唆している。

図2. 補正済酸素化ヘモグロビン濃度変化量

4.展望

今回は NIRS 装置の扱いに時間を要したため,統計を取るた めに充分な被験者数のデータを集めることが出来なかった。

しかし,計測部位によってはタスクにとって明確な差が見ら れ,若干の手応えを感じたところである。今後,被験者数を 増やし研究の精緻化を図りたい。また,脳の賦活と学習効果 やストレスとの関連性を探るような実験デザインを考案し,

NIRS による脳機能計測を,学習を評価できるような実用的な ツールとして用いる事を目標としたい。

5.関連する学会発表等

[原著論文]永盛祐介,西岡仁也,中島瑞季.聴覚障害学生の

ための自習用Eラーニングシステムのデザイン,デザイン学研 究作品集,20-2014,pp. 36-41,日本デザイン学会,2015

【参考文献】

1. 永盛祐介,文脈追従型字幕提示の評価.筑波技術大学テク ノレポート,22巻21号,pp.131-132,2014.

2. 永盛祐介 他「ブロックによる椅子模型制作時の脳活動の 分析」,日本感性工学会論文誌,第9巻1号, 51-60,2009.

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筑波技術大学テクノレポートVol.23(1)Dec.2015

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筑波技術大学 紀要

 National University Corporation  Tsukuba University of Technology

参照

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