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細胞増殖と関連した上流 ORF による翻訳制御の解析 生物資源科学専攻

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2016212

細胞増殖と関連した上流 ORF による翻訳制御の解析

生物資源科学専攻 応用分子生物学講座 分子生物学 大角 有里沙

1.はじめに

遺伝子発現の制御は様々な段階で行われ,中でも翻訳段階における制御は タンパク 質の発現量を迅速に制御できるという点で非常に重要である。 翻訳制御機構の1つと して

upstream ORF(uORF)という,5’

非翻訳領域に存在する短い読み枠による制 御が挙げられる。uORF は,真核生物の

mRNA

の約

30%に存在し,一部の uORF

アミノ酸配列依存的に下流の主要な

ORF

の翻訳を抑制していることがわかっている。

そのような翻訳制御を受ける遺伝子としてシロイヌナズナの

AT3G15430

遺伝子が挙 げられる。

AT3G15430

は,動物の

regulator of chromosome condensation 1 ( RCC1 )

遺伝子と 相同性があり,細胞周期の

S

期で

mRNA

の発現量が増加するということから,細胞増 殖に関与することが予想された。そこで本研究では

AT3G15430

uORF

の細胞増殖 における働きを解析した。

2.方法

シロイヌナズナ培養細胞に

uORF

の下流にレポーター遺伝子をつないだコンストラ クトを導入し,一過的に発現させることで

uORF

のアミノ酸配列の変異によるレポー ター遺伝子の発現への影響を調べた。また,同様のコンストラクトをシロイヌナズナ およびタバコ培養細胞に導入し、形質転換体を作出した。それらの形質転換体を用い て増殖との関係を調べた。

3.結果と考察

シロイヌナズナ培養細胞を用いた実験において,

uORF

のペプチド配列の中で翻訳 抑制に重要な領域を同定するとともに,ペプチド配列がシスに働くことを明らかとし た。形質転換シロイヌナズナの実験では,構成的に発現させた場合よりも分裂組織が 盛んな細胞で発現させた場合の方が,

uORF

による翻訳制御が強いという結果が得ら れた。また,形質転換 タバコ培養細胞の実験ではオーキシン阻害剤 である

PEO-IAA

を添加して細胞増殖を抑制すると,uORF による翻訳抑制が緩和されるという結果が えられた。これらのことから細胞増殖が盛んな条件では,uORF による翻訳抑制が強 いということが示唆された。

4.まとめ

今までに機能が明らかにされている

uORF

のアミノ酸配列依存的な翻訳制御の多く は代謝酵素遺伝子のフィードバック制御であるが,本研究ではじめて細胞増殖と関連 した翻訳制御機構が見いだされた。

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