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小学校教科書の内容と技術教育との関連性に 関する調査研究

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(1)

Bulletin of Faculty of Education,Nagasaki University:Curriculum and Teaching1989,No.13,107−121

小学校教科書の内容と技術教育との関連性に         関する調査研究

野澤 勝廣*・谷口 浩然**・藤木  卓*

   杉山  滋*・松原 伸一*

(平成元年4月5日受理)

 Relationships Between Units Contents in the Textbooks of Primary School and Units Contents        of Technical Education

Katsuhiro NOZAWA,Kouzen TANIGUCHI,Takashi FUJIKI    Shigeru SUGIYAMA and Shinichi MATSUBARA

(Recieved,April5,1989)

 全人格形成の自律的発展性の確立は,初等中等教育の目標であるが,その目的に心身の 発達段階の教育手段として技術教育の導入は重要である。このような観点から現在の初等 教育の教育課程の実際の内容と中学校の技術教育の内容の係わりの調査研究を行った。そ の結果両者のその内容に総単元数で見る限りその4分の1にわたり非常に深い関連性のあ ることが分かり,教員養成大学の教育課程にも技術教育の実践が必要であることが分かっ た。本論文ではこれらに付いての調査研究を詳細に報告する。

1.初等中等教育の中での技術教育との内容の関連性について

 学校教育法第35条には「中学校は小学校における教育の基礎の上に心身の発達に応じて 中等普通教育を施すことを目的としている」と記してある。そこで小学校教員養成課程の 教育課程に技術科の教科目を設定する必要性について検討を試みる。

 小学校において学習する教科は国語,社会,算数,理科,音楽,図画工作,家庭科及び 体育であり,それに対して中学校において学習する教科は国語,社会,数学,理科,音楽,

美術,技術・家庭科,英語及び保健体育である。小学校の教科を中学校の基礎と考えて対 応させると英語および技術・家庭科の技術科には直接に対応する教科は存在しない。とこ

*長崎大学教育学部工業技術科教室

**長崎市立女の都小学校教諭

(2)

ろで英語に関しては,特定の私立の小学校で授業が行われている所もあり,またローマ字 など国語科と語学としての関連教科であり,その意味では小学校の教科として存在すると 思われる。そこで技術科についても小学校教育との関連について考えて見ることにする。

明治時代には,初等普通教育の中に技術科と内容が類似している手工科と呼ばれる職業的 教科が見られ,これが技術科と対応していたと考えられるが,手工科はその後,理科や図 画との結び付きが主張され始め何度かの教育改革ののち消滅した。また最近になって中学 校技術科の教育内容であった〈設計製図>領域が現在〈木材加工>領域や〈金属加工>領 域において,その要素の多くを学習しているように,小学校各教科の中にもかつての手工 科に含まれるような内容が技術科教育の内容と関連して含まれると考えられる。そこで現 在の小学校の教科書にある技術科と関連する内容について調べて見ると,〈図画工作>にお いて「板で作る」や「動くおもちゃ」という単元の中に,技術科のく木材加工〉や「機械〉

領域の単元の内容と関連があり,またく理科>についても「あさがお,ひまわσ,ヘチマ,

いね,じゃがいも」について学ぶ,技術科の〈栽培>領域と係わる学習があり,「まめ電球 と電池]について学ぶは,技術科の〈電気>領域と係わる学習である。このようにして,

小学校の各教科の内容に,中学校技術科と関連する内容が多く含まれていることが分かる。

2.調査方法および分析方法

 小学校教員養成課程の教育課程に技術教育を導入する必要性について検討するための資 料を得る目的から,小学校教科書を母集団として集め,これを基にして技術科の教育内容

(木材加工,金属加工,機械,電気,栽培,設計製図)をカテゴリとし,これに従って基 本データを作成した。そのデータ群から小学校の教科書の内容と技術科の内容の関連性の 分析を試みることにする。

 2.1 調査方法

 現在使用されている1学年から6学年までの小学校教科書の中で,国語,社会,算数,

理科,図画工作,家庭科の6教科を対象として,その中に含まれると思われる技術科との 関連内容を各教科,学年別にワープロで書き,1単元を区切りとしてその単元がどの技術 科の教育内容(木材加工,金属加工,機械,電気,栽培,設計製図)と関連しているかに ついて,2.2を基準にして分類し,またどのような点がその基準にあてはまるのかを書 き添えディスクに保存する。そしてここでは下記の2つのことを考慮した。

 1)1単元の内に2領域以上関連内容がある場合には1単元と1領域とが1対1で対応 するとして扱う。(そのため,全単元数は実際に教科書にある単元数よりも若干多いことに

なる。)

 2)技術科のく設計製図>領域は現行の指導要領には存在しないが技術科と関連の深い 領域であり小学校教科書との関連を考える上で〈木材加工>や〈金属加工>領域の中だけ で扱うことが無理なので別枠とした。

 2.2小学校教科書の技術科の教科内容についてのカテゴリ分類の基準

 小学校教科書の内容を技術科の教科の各カテゴリと対比して分類するにあたって,技術 科の指導事項である[技能][知識]E思考]の3つの要素を,小学校においては[やって みる][学ぶ][考える]の3つの要素として基準の中に含むように注意し,昭和53年度版 中学校学習指導要領 技術・家庭科編の中における各領域の目標及び内容を基にして下記

(3)

野澤・谷口・藤木・杉山・松原:小学校教科書の内容と技術教育との関連性に関する調査研究 109

なし75%

 国語

 社会  算数

あり 理科

   図画工作

25%

    家庭科

図1 小学校教科全体における   技術科関連内容の割合

工工械気培図加加   

材属   

木金機電栽設

   0       25       50 図2 小学校教科書全体における技術科教科の各領域との関連割合

のように分類の基準を設定した。ただし,〈設計製図>における基準については,現行の指 導領域として学習指導要領に記載されていないため〈木材加工>〈金属加工>領域内におけ る設計製図の内容を中心に,他領域からも関連していると思われる内容を参考にして目標 と内容を考え,それを基にして設定した。

  〈木材加工>

 1.活動を通して木材の性質を知る  2.木材の性質について学ぶ

 3.木材と私たちの生活との係わり   〈機械>

 1.動くものを通じて活動する  2.仕組みについて学ぶ

 3.機械と私たちの生活との係わり   〈栽培>

 1.植物を育てる  2.植物について学ぶ

 3.植物と私たちの生活との係わり 2.3分析方法

先の2.

 〈金属加工>

1.活動を通して金属の性質を知る 2.金属の性質について学ぶ 3.金属と私たちの生活との係わり  〈電気〉

1.活動を通して電気の性質を知る 2.電気の性質について学ぶ 3.電気と私たちの生活との係わり  く設計製図>

1.作図する 2.作図法を学ぶ

3.設計と材料の利用について考える

     1で作成した文書ファイルをBA S I Cファイルヘ変換し,このデータをデー タ処理用に作成した,プログラム曙でTAN I または璽でTAN I−1 によって各カテゴ

リに分類し,それを基に次に示す切,曾),(ウ〉,ωの4方法を用いて分析して見る。

 Gり 小学校教科全体における技術科関連内容の割合について

 小学校教科全体において技術科の教育関連内容がどの程度の割合であるのかを(1)式 で求め図1に表わす。

  [(1教科中に含まれる技術科関連の単元数/1教科中に含まれる全単元数)

   ×(配当時間数/総単元数)]×100       (1)

 (イ)小学校教科全体における各領域との関連について

 小学校教科全体において技術科の各領域がどの程度の割合で係わっているのかを(2)

式で求め図2に表わす。

  [(技術科関連の単元中における各領域数/1教科中に含まれる技術科関連の単元数)

(4)

  れよ数 ﹀に連 ︐ 国5上本 

クク  ぞに 元  械式 関  上 人︐ ︐ 年 日   ニニ  れ式 単  機︶ 科  三 く下 下 4     ロロ

  そ︶全 バ4術 ︐ら︐︐︐集 

トト  ︐3 る  加︵ 技  下 た上 上 年 編   クク  て︵ れ  属を る  ︐ は4 年 3     レレ

  いをま 金かれ 上︐ 4科6 

エエ

  つか含 ︿のま 二1し︐理︐ 気気

  にの に  >﹀ 含  語  ら 下 い 5   電電

 て科る中 旺蜘に 国しく︐し︐ 本本

  語い︒﹇  教培1﹇ ●語下会の産数6科上画︐庭●ピL︶ ㈲国お3  @1栽.  2国︐社生生算︐理年図会家2ン社社   に図    <4   <上く学とく下く5︿究く コ会会

3.調査結果および考察

 3.1 小学校教科書における技術科教育内容

小学校教科全体における技術科の関連教育単元は図1に見られるように,全体の約4分 の1を占めている。教科の内容は理科との関連が最も強く,次に図画工作との関連が強い。

また関連が弱いと思われた国語については,関連単元数は少なかったが強い関連を示すも のが見られる。<木材加工>〈金属加工〉〈機械>〈電気>〈栽培><設計製図〉の各領域につ いては表1−6および図2に見られるようにく栽培>〈設計製図>との関連が強く現われて いる。以下小学校教科別において技術科教育と小学校の学習内容の関連について,調査結 果を基に考察する。

(5)

野澤・谷口・藤木・杉山・松原:小学校教科書の内容と技術教育との関連性に関する調査研究 111

表1 学年別に見る技術科関連の単元数 表4 学年別に見る技術科関連の単元数

国語 木工 金工 機械 電気 栽培 製図 なし 合計 時間 理科 木工 金工 機械 電気 栽培 製図 なし 合計 時間

1年 0 0 1 0 0 0

21 22

8 1年 0 0 3 0 8 0 2

13

2

2年 0 0 0 0 1 0

17

18 8 2年 0 1 2 1 4 0 5

13

2

3年 0 0 0 0 0 0

17 17

8 3年 0 1 2 0 7 1 2

13

3

4年 0 0 0 0 1 0

16 17

8 4年 0 0 1 1 3 0 6

11

3

5年 1 0 1 0 0 0 14

16

6 5年 0 0 0 0 3 0 6 9 3

6年 0 0 0 0 1 0

15 16

6 6年 1 2 1 1 5 0 1

11

3

合計

1 0 2 0 3 0

100 106 44 合計

1 4 9 3

30

1

22 70 16

表2 学年別に見る技術科関連の単元数 表5 学年別に見る技術科関連の単元数

社会 木工 金工 機械 電気 栽培 製図 なし 合計 時間 図工 木工 金工 機械 電気 栽培 製図 なし 合計 時間

1年 0 0 0 1 4 0

10 15

2 1年 0 0 2 0 2 6

14 24

2

2年 0 0 3 0 2 0 5 10 2 2年 0 0 2 0 1 6

13 22

2

3年 0 0 1 0 5 0 8 14 3 3年 1 1 4 0 0 3

13 22

2

4年 0 3 0 1 4 0 7 12 3 4年 3 0 3 0 0 1 11

18

2

5年 0 2 1 1 3 0 9

16

3 5年 1 1 2 0 0 2 12 18 2

6年 0 0 1 0 0 0

15 16

3 6年 1 1 4 0 0 3

13 22

2

合計

0 5 6 3

18

0

54 83 16 合計

6 3

17

0 0

21 76 126

12

表3 学年別に見る技術科関連の単元数 表6 学年別に見る技術科関連の単元数

算数 木工 金工 機械 電気 栽培 製図 なし 合計 時問 家庭 木工 金工 機械 電気 栽培 製図 なし 合計 時間

1年

年3年4年5年6年合計 0000000 0000101 0100102 0000000 0000101 34222417 20

6191411989

23

121161514110

45555529

5年

年合計 000 000 101 112 011 213 7512

11

19

224

 3。1.1 国語における技術科教育内容  小学校国語における技術科関連の単元数 は図3。1が示すように微少である。また技術科領域との関連は図4.1が示すようにく栽 培>領域との関連が最も強く,次いで〈機械>〈木材加工>領域との関連が見られる。国語 では,技術科との関連がある単元数は少ない。しかしその学習内容においては,技術科の 教育内容と関連の強いものが見られる。関連学習内容としては,ヒヤシンスの栽培や菊の 栽培方法を文字の上で学んでいる。その例として[ヒヤシンスは春に咲く花です][きゅう

こんを育てるときは花が枯れてもそのまま土に植えておきます][葉が枯れ始めたらきゅう こんを堀って日影でかわかします][秋になるとこれをまた土に植えるのです]などの文が 教科書より抜粋できる。また菊の栽培では[必要以上に水をやったために根が腐ってしまっ た][15cmぐらいに育ったころ一本づつの苗を腐葉土や肥料をよく混ぜた植木ばちに移し た][10月には大きな花がいくつか咲いた]などの文が抜粋できる。これによって栽培時

(6)

⑦、

 1 国語

 2 社会

 3 算数

,の

 4 理科

 5 図画工作

 6 家庭科

図3 各教科における技術教科内容の割合    (斜線部分は関連あり)

期,栽培方法,失敗の原因など栽培との関 連学習をすることができると考える。機械 との関連学習として,機械や歯車の発達お よびその利用について学習している。その 例として教科書より[人間はむかしからい ろいろな道具を作り,使って来た,その中 でも人間の生活に大きな影響を与えたのは 車輪である][車輪を発明した人間は荷車だ けでなくさまざまに応用するようになっ た][水の流れる力を粉をひいたり布を織っ たりするための動力に変える水車,少しの 力で重いものを運び上げるかっ車,力を伝 え回わる方向や速さを変える歯車などであ る]などの文が抜粋できる。またこの学習 では力を伝えたり,力の方向を変える歯車 の働きを知ることができると考える。木材 加工との関連学習として,スギやヒノキ,

カラマツなどの特徴や利用され方について 学習している。[スギは軽くて丈夫です]Eヒ

ノキは腐りにくい][キリは燃えにくい][鉄 の金庫の中にもキリが使われている]の文 章が教科書より抜粋される。

 3.1.2 小学校社会における技術科 教育の内容  小学校社会における技術科

工工械気培図加加   製材属   計木金機電栽設

0        25      50

図4.1 国語と各領域の関連割合

木材加工 金属加工 機  械 電  気 栽  培 設計製図

0

図4.

木材加工 金属加工 機  械 電  気 栽  培 設計製図

    25       50 2 社会と各領域の関連割合

81

 0        25       50

図4.3 算数と各領域の関連割合

工工械気培図加加   製材属   計木金機電栽設

 0

図4.

工工械気培図加加   製材属   計木金機電栽設

    25       50 4 理科と各領域の関連割合

 0

図4.

工工械気培図加加   製材属   計木金機電栽設

    25       50 5 図画工作と各領域の関連割合

0

図4.

    25       50v 6 家庭科と各領域の関連割合

(7)

野澤・谷[コ・藤木・杉山・松原:小学校教科書の内容と技術教育との関連性に関する調査研究 113

の関連内容は,図3.2が示すように全体の3分の1程度である。図4.2が示すように,

その関連単元の中でも特に〈栽培>領域との関連が最も強く現われる。栽培に関する学習 内容のうち,とくに技術科との関連のある教材を抜粋すると,「いねを育てる」「野菜の栽 培」「ハウス栽培」などが上げられる。さらに関連文章を教科書より抜粋すると[米づくり は,いねの苗づくりからはじまります][丈夫な苗が育つように苗箱に土を入れます][籾 を消毒してから水につけ機械で苗箱に平らに植えていきます][かたくなっている田の土を 堀起こします][2回目は,肥料がよく土に混ざるようにするのです][田に水を入れて土

を柔らかくし平らにする]などがある。栽培との関連学習内容としては,この単元により 苗のつくり方,田に苗を植える準備について,田植えのやり方,取り入れまでの準備につ いて学習することができる。またいねの栽培に関しては社会科との関連の中で生産的学習 として実践している学校もあり技術科における関連も極めて深いと考えられる。稲の学習 の中では機械の発達による生活の移り変わりも学習する。[前には手で苗を植えていまし た][田植機で苗を植えます][前には六人で苗を植えていました][いまは一人でします]

などの文が抜粋される。社会における機械の関連学習は主に機械と我々の生活との係わり について学習する場合が多い。金属加工との関連学習としては[いま社会では鉄でつくら れたものをたくさん使っています]などの抜粋文に見られるように鉄と我々の生活との係 わりを考える学習が主である。さらに金属の原料や製錬についての関連学習も社会で学習 することができる。電気との関連学習においても電気と我々の生活との係わりを考える学 習が主である。教科書より例を抜粋すると[ラジオ,テレビ,ステレオなども電気のおか げで見たり聞いたりできます]などの文がある。

 3.1.3 小学校算数における技術科教育内容  小学校算数における技術科関連内 容は5分の1程度である。表1−6や図3.3が示すように各領域との関連は設計製図と の関連が強い。教科書より例文を抜粋すると[辺AB,ACの長さがどちらも6cmの二等 辺三角形ABCをかいてみましょう][辺BCの長さをいろいろ変えてかいてみましょう]

[平行な2本の直線をかきましょう]などがあり,作図する学習が主である。その中にお いで[コンパスを使ってかいてみましょう1[50。の大きさの角をかきましょう]など製図用 具を自由に使う学習が見られる。また[底面が辺4cmの正方形で側面はどれも3辺が6cm,

6cm,4cmの二等辺三角形になっている四角すいを厚紙で作りましょう][展開図をかいて 作りましょう]などのように,製作に伴う設計及び製図についても学習する。機械との関 連学習においては,[はこの形を調べましょう][6つの面でできています][面はどんな形

をしているでしょう」に見られるように,あるものを分解して構造を知る学習をする。算 数は製作するものの大きさや量を考える上で重要であり様々な問題の中に設計製図との関 連が考えられる。

 3.1.4 小学校理科における技術科教育内容  小学校理科における技術科関連内 容は図3.4が示すように69%を占め,調査した教科の中では最も関連単元の割合が多い。

各領域との関連については図4.4が示すように栽培との関連が最も強く現われている。

関連学習内容として,種をまいてその成長を観察する学習を軸として種の植え方,育て方,

環境条件などについての学習が見られる。教科書より栽培に関するものを抜粋すると[た ねをまきましょう][めがでるようすをみましょう][ヒマワリの種をまいて大きな花を咲 かせましょう][アブラナ,レンゲソウの種をまきましょう][ヘチマの花を育てましょう]

(8)

などがある。機械との関連学習としては,風力によって物が動かせることを通してエネル ギの変換や利用法について知る学習が見られる。教科書より抜粋すると[風車を使ってお もりを持ち上げることができるでしょうか][風車を使ってゴムや糸やばねを引き伸ばすこ とができます]がその内容にあたる。また物質の構造を分解という手段を用いて知る学習 という点で[アブラナの花の模型を作る,鞘を開いて種の色,大きさ,かたさをくらべる]

という文が抜粋される。金属加工との関連学習としては,活動を通して金属の曲がる,丈 夫,などの性質を知る学習が見られる。教科書より[エナメル線を加工してやじろべを作 る][小さな鉄くぎや鉄を磁石につける][亜鉛は水に入れても溶けない。しかしそれに塩 酸を加えると泡が出始める1[金属は垂子やフェームポリスチレンに比べて熱を伝えやす い]などの文が抜粋される。電気との関連学習として,電気の基礎を学習することを軸に 豆電球,電池を用いて簡単な電気の回路(直列・並列)を学び電気の性質を知る学習が見 られる。教科書より[どうしたらあかりがつきますか][とおくにあかりをつけましょう]

の文が抜粋される。

 3.1.5 小学校図画工作における技術科教育内容  小学校図画工作における技術 科との関連単元は図3.5が示すように理科に次いで高い割合である。各領域との関連に ついては社会,算数,理科で関連の見られなかった木材加工との関連が見られる。図4.

5には設計製図や機械との関連が強く示されている。設計製図との関連学習としては,材 料を無駄なく利用する,材料を有効に利用する学習をする。教科書から問連箇所を抜粋す

ると[工作用紙1枚で大きな椅子を作ってみよう][あまった紙で目や鼻を作る][材料の 形をうまくいかして作る][石の形をいろいろな方向から見て,何かの形を作り出す][板 が割れないように木目にそってみぞの形を修正する]などがある。また材料の加工法に関 する学習も見られる。それは[紙は日常の使い方のほかに,・折ったり,曲げたりすること で,たいへん強い構造にすることができる]などの抜粋文に見られる。機械との関連学習

としては,クランクについての学習が見られる。教科書より[ふりこやクランクの仕組み を使って動くおもちゃを作ろう][車が回わると首が上下に動く,このように回転運動を上 下運動に変えたりする仕組みをクランクという]などの文が抜粋される。さらに,機械と の関連学習でうまく機能しないものについて原因を追究する学習も見られる。それは[飛 ばない時は,どこが悪いか考えてなおそう]という抜粋文などに見られる。

 木工加工との関連学習としては木材を加工して物を作るだけでなく,小刀,げんのう,

のこぎり,電動糸のこぎりなどの加工に係わる木工具の使用法の他,塗装法にいたるまで

〈木材加工〉領域と強く関連している。

 3.1.6 小学校家庭科における技術科教育内容  小学校家庭科における技術科と の関連は図3.6に示されるように3分の1である。図4.6から各領域との関連の割合 は設計製図が最も強く機械,電気との関連も若干見られる。設計製図との関連学習として は,布で物を作る時それを無駄なく利用する学習をする。これは図画工作における設計製 図の関連学習と類似した部分がある。電気との関連学習としては家庭電気製品を通して感 電など電気によって起こる現象を知る学習がある。教科書より抜粋するとそれは[感電を 防ぐために必ずアースをつける]などである。

 3.2 技術科各領域と小学校の指導内容

 先の2.2におけるカテゴリ分類の基準に従って分類した調査データを基に技術科各領

(9)

野澤・谷口・藤木・杉山・松原:小学校教科書の内容と技術教育との関連性に関する調査研究 115

域の目標及び内容と小学校の指導内容との係わりについて図5から図10までに関連図を示 している。これによると,小学校の指導内容と技術科の各領域に相当深い係わりのあるこ とが分かる。なおここでは先の3.1と重複説明になるので参考にとどめた。

 3.3 小学校教員養成課程における技術科教科目の必要性

 本研究において小学校教科書の内容の中には技術科関連の教育内容が4分の1の単元に わたっていることが分かった。また教科書の中に見られる学習内容には,技術科各領域と 強い関連を持つ単元もあることが分かった。ところが小学校の各領域においては,それぞ れの教育目標があり1つの単元の中にそれぞれの「ねらい」がある。したがって技術科の 内容が濃い単元であっても小学校各教科の中で技術教育内容が表だって学習されるわけで はない。しかし技術科の教育内容と関連のある単元を学習する子どもたちは無意識のうち に技術科の教育内容を身に付けていくと思われる。また小学校教科書の中に技術科の教育 内容を含む単元が全体の4分の1占めるのであれば,たとえ表だった学習はなされなくて も教材の中の活動を通して技術科の教育内容も身に付けさせる必要があると考えられる。

これらのことから小学校教員養成課程の教育課程に技術科に関係ある教科目の設定の必要 性があると思われる。

 小学校において活動の中で学ぶということは重要な位置を占める学習方法である。その とき教師は,子どもたちが活動の中で身に付けるであろう学習内容を容易に,かつより多 く自分のものに出来るように,うまく教材化をする必要性が生じて来る。そのためには,

教師自身の素養としてく木材加工〉〈金属加工><機械><電気><栽培〉〈設計製図>領域に ついて学習する必要があると考えられる。そして小学校の教員には,技術科の全般的な内 容を包括的に外観できる授業と基礎的実習程度の学習は授ける必要性が感じられる。少な くとも小学校との関連が強く見られる栽培(実習を伴うもの)や設計製図(製作に伴うも の)について学習することは有意義であると考えられる。

4.結  言

 小学校教員養成課程の教育課程に技術科教科目の必要性について検討するための資料を 得る目的から小学校教科書を母集団としてその内容についての基礎データを作成した。そ のデータを基に小学校教科書と技術科内容との関連について「どの教科との関連が強いか」

「どの領域との関連が強いか」という2つの方向から分析し次のことが明らかになった。

 小学校教科書における技術科教育内容との関連は単元数の割合で見る限りにおいて全体 の約4分の1を占めている。中学校の技術科の領域別に見ると,〈栽培>〈設計製図〉領域 において小学校の学習内容と技術科教育内容との関連が強く見られる。また小学校教科の 中では,小学校理科及び図画工作の学習内容に技術科教育内容が強く見られる。

 小学校の各教科について,中学校の技術科の領域との関連について調べると,小学校国 語では,関連単元数は少ないが,関連単元における学習内容には技術科と深い係わりが見 られる。社会では,<栽培>領域との関連が強く見られる。また領域とは生活との係わりを 学ぶ学習の中にも関連が見られる。算数では,<設計製図>領域との関連が強く見られる。

理科では,〈栽培>領域との関連単元が多く見られ,学習内容においてもく栽培>領域の実 習と係わりがある。図画工作では,工作領域において〈設計製図>〈機械>およびく木材加 工>領域との関連が強くみられる。家庭科では,<設計製図><機械><電気>領域との関連

(10)

が見られ,学習内容は技術科の学習内容と係わりが深い。そして小学校と技術科との教育 内容の関連は活動を通して行われる学習の中に強く現われている。

 これらのことからも分かるように,小学校の教科書に含まれる技術科の内容の多さを考 える時,教員養成大学小学校課程にも,技術に関する学科目の開設が必要である。

<木材加工>

1)目標 日常使用す 葛木製品を設計し製作

する実践的活動な通し て、木材の特徴と加工 法との関係・荷重と材 料及び構造との関係に ついて理解させるとと もに、製作品を構想し、

製作し、完成する総合 的な能力を養うことを 主な目的としている。

2〉内容 木製品の設 計について指導する。

 木材の接合材料の特 徴及びそれらの使用法 について理解させる。

 木工具の使用法及び それらによる加工法に ついて、指導する。

 木材の効果的な利用 と生活との関係につい て考えさせる。

 木材と塗料との性質 及びそれらの使用法に ついて理解させる。

 木工具と木工機械の 使用法及びそれらによ る加工法について指導

する。

 日常生活や産業の中 で果たしている木材の 役割について考えさせ

る。

指導目標

 活動を通して木材の 性質を知る

指導内容

木材の性質について学

木材と私たちの生活 との係わり

板を加工する

木工具の使い方を学び、

使う(げんのう、のこ ぎり、小刀)

木工機械の使い方を学 び、使う(電動糸のこ

ぎり)

木材の塗装について 学び、やってみる 、

木を燃すとどうなるか

木には木目がある

加工しやすい木はど んなものか

木材(スギ、ヒノキ、

カラマツ、キリ)の使 用され方について考え

木材が私たちの生活の 中で果たす役割につい

図5 小学校の指導内容と木材加工との関連図

(11)

野澤・谷口・藤木・杉山・松原:小学校教科書の内容と技術教育との関連性に関する調査研究 117

      ノ

の特徴及びそれらの使 用法について理解させ

る。

 金工具の使用法及び それらによる加工法に ついて、指導する。

 金属の効果的な利用 と生活との関係につい て考えさせる。

 加工材料と工具材料 の性質及びそれらの使 用法について理解させ

る。

 金工具と金工機械の 使用法及びそれらによ る加工法について指導

する。

 日常生活や産業の中 で果たしている金属の 役割について考えさせ

る。

      図6

<金属加工>

1)目標 日常使用す る金属製品を設計し製 作する実践的活動な通 して、金属材料の特徴 と加工法との関係、金 属材料の性質と構造と の関係について理解さ せるとともに、製作品 を構想し、製作し、完 成する総合的な能力を 養うことを主な目的と

している。

指導目標

活動を通して金属の 性質を知る

金属の性質を学ぶ

金属と私たちの生活 との係わり

エナメル線を使って作

はり金を使って作る

  鉄を磁石くで加工する

  金工具(ベンチ〉を使   用する

小学校の指導内容と金属加工との関連図

塩酸や水酸化ナトリウ ムにとける金属を学ぶ

熱伝導がよい

曲がる

磁石につく

鉄の原料と精練を学ぶ

鉄が私たちの生活の中 で果たす役割

(12)

<機械>

1〉目標

や内燃機関の整備及び 簡単な模型の製作にか んする実践的な活動を 通して機械の仕組み及 びエネルギーの変換と 利用について理解させ るとともに、機械を目 的に応じて有効に活用 する能力を養うことを 主な目的としている。

2)内容 機械の整備 の方法について指導す

る。

 簡単な機構模型又は 動く模型の設計と製作 ができるようにする。

 機械の機構、機械要 素及び機械材料につい て、指導する。

 機械の効果的な利用 と生活との関係につい て考えさせる。

 内燃機関及びその動 力伝達装置について指 導する。

 日常生活や産業の中 で果たしている機械の 役割について考えさせ

る。

日常の機械\

動くものを通Oて活動 する(つくる、こわす〉

動く仕組みを学ぶ

機械と私たちの生活 との係わり

指導内容

原因を追究する(整備)

動くものを作る

動く工夫をする

分解してみる

動くものを観察する

エネルギの利馬につい て学ぶ

クランクについて学ぶ

機械の長所、欠点を知

機械の発達と生活の 移り変わりについて

機械が私たちの生活の 中で果たす役割

図7 小学校の指導内容と機械との関連図

(13)

野澤・谷口・藤木・杉山・松原:小学校教科書の内容と技術教育との関連性に関する調査研究 119

<電気>

1)目標 電気機器の 取り扱いや簡単な電気 器具及び増幅回路を用 いた装置の設計製図と 製作に関する実践的活 動を通して、電気回路 の構成及び電子の働き と利用について理解さ せるとともに電気機器 を目的に応じて有効に 活用する能力を養うこ とを主な目的とする。

2)内容 電気機器の 保守の方法について指 導する。

 簡単な電気機器の設 計と製作できるように

する。

 電気機器の仕組み及 び電気材料について指 導する。

 電気の効果的な利用 と生活との関係につい て考えさせる

 日常生活や産業の中 で果たしている電気の 役割について考えさせ

る。

指導目標

活動を通して電気 の性質を知る

電気の性質について学

電気と私たちの生活 との係わり

指導内容

まめ電球と電池で明か りをつける

回路を作ってみる

電磁石を作ってみる

 電気を通すものを知る

\直 IL並 曇1回路につい

 て学ぶ

電気の記号を学ぶ

家庭電気製品について 学ぶ

電気の有効利用につい て考える

電気が私たちの生活の 中で果たす役割

図8 小学校の指導内容と電気との関連図

(14)

<栽培>

1〉目標 草木又は野 菜の栽培を通して、作 物の栽培に適する環境 条件について理解させ、

栽培の基礎的な技術を 習得させるとともに、

作物を目的に応じて計 画的、合理的に育てる 能力を育てる。

2)内容 作物の栽培 計画が立てられるよう にする。

 作物の栽培に適する 環境とその調整法につ

いて指導する。

 環境調節を利用した 作物の栽培法について 指導する。

 栽培と生活との関係 について考えさせる。

指導目標

植物を育てる

植物について学ぶ

植物と私たちの生活 との係わり

図9 小学校の指導内容と栽培との関連図

指導内容

いろいろな植物を育て る(いね、ひまわり、

あさがおじやがいも、

ヘチマ、ヒヤシンス〉

植物の成長を観察する

栽培して、収穫する

草花をつかって遊ぶ

花の構造を知る

種の構造を知る

実の出き方を学ぶ

草花の成長の条件に ついて知る

土地の利用につい、て

ビニルハウスについて

植物が私たちの生活の 中で果たす役割

(15)

野澤・谷口・藤木・杉山・松原:小学校教科書の内容と技術教育との関連性に関する調査研究 121

く設計製図>

1)目標 設計では、

使用目的や使用条件を 満足するような製作図 を構想し、それを正投 影法で画こと、荷重に 対する構造の強さを考 慮し、適切な材料や機 械、工具を選び、まと める能力を伸ばすこと をねらいとして』いる。

2)内容 斜投影法や 等角投影法によって構 想図を画ことができる

こと。

 製作図を第三角法で かくことができること  簡単な機械模型又は 動く模型の設計ができ

ること

 簡単な電気機器の設 計ができること  製作品の使用目的や 使用条件を最も適切に 満足させる構想のまと め方を指導する。

 製作に必要な構想表 示について指導する、

 部材や構造の強さを 増すための木材の使用 法を考えること。

 材料や構造などの設 計の要素に一定の制限 を設け、その範囲内で 工夫するように導く。

指導目標

作図する

指導内容

作図法を学ぶ

設計と材料の利用に ついて考える

制限のある中で設計す

  製作するものの展開図   をかく

\いろいろな図形を作図

  する

  コンパス,定規を使う   設計図(展開図のかき   方)

\戦(cm,M)など

  のを自由に使う

縮小、拡大図について 学ぶ

点対称、線対称につい て学ぶ

も 材料の特徴を活して利

\用する

/材料を無駄のなも、よう

 に利用する

丈夫な接着方法につい

紙を丈夫にする方法に ついて

図10 小学校の指導内容と設計製図との関連図

参照

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