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情報デザイン研究領域作品集

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Academic year: 2021

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 人による手では制御されず、自由気ままに動く。電池が 切れるまでひたすら光り、動き続け、その無秩序、個体差 が個性となりあたかも意思があるように見える光の作品であ る。 2年次の作品 Living Lightでは、1年次の制作とは違うアプ ローチで生命を感じさせる光を表現する作品を作りたいと考 えた。そこで新しいマテリアルとしてカルスを使用し、LED の光と組み合わせた作品を制作した。  LED=人がコントロールする光とカルス=生きている細胞 を組み合わせることによってどのように見えるのか、また、 生命を感じさせる光を表現できるか可能性を探った。  カルスとは、未分化の植物細胞の塊のことである。葉、 根など分化して成長する植物だがカルスは細胞分裂が行わ れずに休止した状態にある細胞で、植物片を植物ホルモン の濃度を調整をした培地で培養することでつくられる。培養 作業は使用する植物片や使用する器具などの滅菌をしっかり と行ない、無菌状態で作業する必要がある。カルスは培地 の栄養で成長する。作品に使用したカルスはニンジンの一 部を切り出したものを無菌状態で培養したものである。  仕組みは、Flux LEDを接着したシャーレをよく殺菌し、そ こに培地を流し込む。培地が固まったらその上にカルスを 乗せ、シャーレの蓋をし雑菌が入らないように密封する。 LEDのリード線はシャーレの外に出でおり、そこから電源供 給、Arduinoによる光の制御を行なう。LEDの光源を内包し た細胞は、光とともにシャーレの中に無菌状態のなかで生 きている。  今回は複数個の Living Lightを制作したが、同じ時期に 制作したにもかかわらず、ひとつひとつ大きさ、形などの成 長の仕方に差異がある。また、Living Lightを光らせておく とシャーレ内に水滴が徐々についていく、まるで作品自体が 汗をかいてるかのようにも見えるなど、生きた細胞を使用し たからこその表情を見ることができる。また、Living Light は無菌空間のシャーレの中でしか生きられない。その光は 弱々しさと、儚さを感じさせる。 論文概要  人が光と思うものは電気的な道具だけではない。  太陽や星、そこで育まれる生命、存在そのものが光であ ると感じる場合もある。光は心に安らぎを与えることができ る。  昨今、LED などの光の技術が発達し、身の回りには光が 溢れている。電気照明のような人の操作により動くただの人 間の道具としての光ではなく、ひとりでに光り、ただそこに 存在し、生命の息づかいを感じさせるそのような光、” 生命 を感じさせる光について”をテーマに制作と研究を行なった。  本論文では1章で研究動機となった私の光に関する体験 について、2章では生命という言葉の意味を考え、リサーチ をおこなった。3章では作品制作について4章で制作した作 品を考察し、生命を感じさせる光について探求した。 作品制作  2年次の制作では生命をイメージさせるモチーフとして細 胞を選び、動き=生命を感じる要素の一つである動きに注 目し、光を自律的かつ不規則に動かすことを主眼に制作し た。電子部品を組み合わせた光の作品を制作し、生命を感 じさせる光を探った。暗い中、細胞のような小さなの光が いっぱい散らばり、気ままにくっつき、離れたりする。プロ グラミングなどによる人為的制御を行わず振動モーターの振 動で動くアナログな方法で光を動かした。

岡本 絢子

OKAMOTO, Ayako

Feeling life from light

生命を感じさせる光について

1年次作品のMoving Cell (一部)

大学院最終審査会展示の様子(2017年1月21日撮影)

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芸術とシステム   システム(System)とは「組み立てたもの」を意味するギ リシャ語の「スュステーマ」を語源にもち、複数の要素が 関係性を持ちながら組み合わさる事で、様々な目的を達成 するための集合体の総称を表す。狭義には電子基板を使っ たハードウェアや、コンピュータ内で開発したプログラムの 事を示す意味合いで用いられることがあるが、自動車の走 行を安全に運用するための信号機や標識、法整備等によっ て構成される交通システムや、有機物の化学的反応が組み 合わさって活動する生命体でさえも、相互作用性を持った 要素の集合体である事を鑑みるとこれらをひとつのシステム として捉える事ができる。創作行為においてもそれは例外で はなく、アーティストはメディウムとの間に様々な関係性を 定義し、自己または他者、環境などによって定められた制 約に基いて創作を行ってきた。作家とメディウムとの間にモ チーフやコンセプトが介入し、相互作用を繰り返しながら作 品を仕上げるプロセスは、創作活動全体を一つのシステム として解釈することが可能である。  初期コンピューター・アートにおけるシステムは、プログ ラムを用いたグラフィック表現といった既存の創作システム の代替に留まっていた。その創作プロセスは装置を使って 作者が絵画を行うというある種レガシーな構造を持っていた が、コンピュータ自体の性能が上がるにつれ様々な創作形 態を取れるようになっていった。この変化における従来の現 代美術との大きな違いは、創作におけるシステム的構造の 変化に加え、作品そのものがシステムを内包するという点 にある。作品の表層を形作るためのシステムが作品内部に 入り込む事ができたという事実は、作品そのものに任意の システムを組み入れる事が可能になったという事示唆してい る。これは表層の強化にとどまらない、作品の主体としてシ ステムが存在できることを意味する。造作や体験のコンポジ ションを検討する過程でシステムを用いるのではなく、シス テムのコンポジションを行う過程で、それを知覚するための 造作や体験を活用するという創作プロセスが可能になる。こ れはまさに創作活動におけるシステムと表層が反転する瞬 間である。

加治 洋紀

KAJI, Hiroki

Reversal of systems and surfaces

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論文概要  本来、ディスプレイは、映像という形式における物理的 支持体である。ゆえに、映像の内容を文字通りディスプレ イ(表示)するための装置であり、モノではあるが、”ないもの” として機能することが宿命づけられている。そこで、画面 そのものを動かすことによって、画面内の映像に向けられ る視線を、ディスプレイという “モノ” に向けさせる。本論 考は “モノ” としてのディスプレイ/ 動くディスプレイという 地点を出発点とし、コンテクストの操作によって生じる機能 の分節のされ方から見出せる、ディスプレイの特性を読み 解きながら表現の可能性を考察する試みである。

小林 椋

KOBAYASHI, Muku

Consideration of expression on the display as object

動かすことのディスプレイ

 ディスプレイは、動かされることによって、板状のモノと して我々の前に現前する。ディスプレイをモノ化するといっ ても映像を映すという機能を破棄し、単にモノとしてみた 形状や素材の性質といった問題のみから考察するのでは、 このモチーフを扱う面白みや意義のようなものは失われて しまうだろう。“映像が映る” ことはモノとしてのディスプレ イにとっても重要なことである。なぜなら画面にどのような 映像を映すかによって、ディスプレイというモノのコンテク スト自体が変化してしまうからである。その変化によって、 生じる分節のされ方も異なるだろう。一章では、そうした 画面そのものの動きに加え、映される映像あるいはカメラ の状態との関係から読み解けることについて考察する。  モノには目的があり、そのために複数の機能を備えてい る。ディスプレイであれば、人々を映像世界に没入させる という目的に対し、映像を映す、モノとしての存在を希薄 にする…といったように機能を分節していくことができるだ ろう。二章では、支持体という特異なモノの機能や、単な るモノとして扱ったときに発現する属性や機能について述 べる。そして、ディスプレイの置き方や、その上に他のモ ノが置かれるという状態について、彫刻における台座とい う支持体を引き合いに出しなが明らかにしていく。  映像の物理的表象限界として枠付けるもの。三章では、 ディスプレイのフレームや側面あるいは厚みといった点か ら述べる。モノとしてのフレームや、ディスプレイそのもの の厚みが参照されたとき、映像は “没入すべき奥行きとし ての世界” から “薄っぺらい画面” へと姿を変える。そうし た、“面” へと還元された映像と画面外のモノとの結びつき から表象される、新たな画面の状態を考える。  映像内の動く対象と、動くディスプレイそれ自体、“動き” を接点としお互いの異なる属性を付与し合う関係。四章で は、映像とディスプレイ、その他の事物との関係を属性の 付与という観点から考察する。そこから、イメージを表示 する装置としてのディスプレイから、イメージを生起させる モノとしてのディスプレイを読み解く。 図1: 仮設の壁面に取り付けられた動くディスプレイ 図2 / 図3: (上/下) リアルタイムカメラを用いた実作の例 図4: 映像内の対象の動きと、ディスプレイの動きを同期させた実作の例 図5:『盛るとのるソー』展示風景 モノとしてのディスプレイにおける表現の考察

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RUIJTERS, Vincent

風の感覚を表現に用いた美術作品 Haptic wind art

Using exclusively the sensation of wind as a significant means of expression within an artwork

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ラクターや歴史文化の描写や独特な世界観があり、幅広い 読者がいる。背景や文化が豊富で描きやすいことと、年齢 を問わず好まれると考えたので、絵本の脚本に決定した。よっ て、「西遊記」のストーリーに基づいて、全部で20幕の絵本 のシーンを創作した。 2年次の制作  2年次は平面の紙絵本から、立体的に演じる紙芝居のデ ザインへと移行した。昔ながらの多人数に向けての紙芝居 ではなく、1人ずつしか見られないプライベートな紙芝居を デザインしている。これは、紙芝居と覗きからくりを組み合 わせ、覗きからくりの箱の穴から紙芝居を鑑賞する仕組みで ある。ここで上映される物語は私のオリジナルの物語で、名 前は「雪山の奇妙な一夜」である。物語は11幕で構成され ており、雪山で旅人が神隠しにあい、異世界に吸い込まれる。 現実に戻るまでに、奇妙な一夜を過ごした話である。  私は1人だけに向けた特別な鑑賞体験に集中することをデ ザインした。そこでは、作品の周りにいる人の興味を引くた めに、覗きからくりの外部は中国の植物柄をモチーフにデ ザイン、蛍光塗料とブラックライトを使い、神秘的な覗きか らくりを制作した。さらに、覗きからくりから漏れる音と光に よって、コンテンツの内容を知らない人の興味を引くことも ねらった。  より臨場感のある鑑賞体験を提供するために、リアルな 紙芝居の動きを加えた。それは、覗きからくりの内部に舞台 を設置したことである。それに加え、映像を映すための塩 ビ板が45度の角度で設置してあり、そこに天井からipad の映像を反射させて投影している。これによって、穴から覗 くと塩ビ板に反射した映像と共に、後ろの舞台が目に入るの で、舞台の上で物語が演じられているように見える。さらに、 後ろの舞台に提灯の光を設置する事によって、スクリーンに 反射する光との遠近感を強調している工夫を行った。 まとめ  私はタブレット端末やAR技術などの新しい技術やハード ウェアを用いて、絵本や覗きからくりという古いメディアに新 たな多くの知見を得た。 はじめに  AR 技術とCG 技術が流行している今日では、新しい技術 を活用し、昔の面白いコンテンツや芸術を再現することは 人々に新たな体験を与えられると考えている。私が得意なこ とはデジタルイラストレーションデザインとアニメーションデ ザインである。デジタル表現を用いることで、絵本、紙芝居、 覗きからくりなどの昔から存在するメディアに新しい体験を 与えることが出来るのではないだろうか、この仮説を持って 様々な試みを行った。 1年次の制作  1年次に試したことはAR技術、イラストレーション、アニ メーションを利用し、絵本の新しい体験を生み出そうと試み た。AR技術によって、インタラクティブな体験ができる。ハ リウッド映画の激しい戦闘シーンや迫力のある画面構成、エ フェクトなどを参考とし、現代人の美意識にあったイラスト レーションを描いた。絵本の静止画の感覚を保つために、 アニメーションは激しい動きではなく、微細な動きをデザイ ンした。作品の制作はタブレット端末とCG技術を用い、イ ンタラクティブAR絵本とデジタル紙芝居の豊かな表現をデ ザインした。  制作コンテンツは「西遊記」の「孫悟空大暴れ」という 一節を絵本のストーリーに設定した。「西遊記」は豊富なキャ

朱 昶宇

ZHU, Changyu

Research on computer graphics based user experience for tablet computers

タブレット端末におけるCG技術を用いたユーザーの使用体験の研究

1: AR絵本にかざし映像を見ている様子 3: 穴から内部を覗いていた時の見え方

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 文字は魅力的である。しかし、私たちにとって必要不可 欠なものであるにも関わらず、その存在の大切さを認識す ることはほとんどない。本研究は、普段生活しているだけ では簡単には気付かないような文字の美しさや儚さ、また、 紙とインクに依存しない文字の面白さといった文字の実用性 以外の魅力をテーマに、切り絵の技法を用いて制作と考察 を行なう。  ジョセフ・アルバースの「理論とは、実践から生み出され た結論なのである」という言葉を参考に、試作を重ねなが ら制作を行なった。論文では、試作14点、作品4点につい て考察しているが、ここではスペースの関係から主な作品2 点を紹介するに止める。 「文字の姿」  森絵都さんの『つきのふね』という小説から、最初と最 後のページと物語のターニングポイントとなる2ページの文 章をお借りした。切った文字を、予め文字がくる場所に刺し ておいたピンに1文字ずつ引っ掛けた作品である。  文字を引っ掛ける作業中、自分の吐息や、作品の前を横 切る時に起こるちょっとした風などですぐに文字は揺れ、落 ちてしまうこともあった。そうして3次元の文字が空間を移動 したり自由に動くところには、まるで生き物を相手にしてい るような扱い辛さがある。それは自分が作品の制作をして いる時だけではなく、展示中にも感じたことであった。展示 の際は作品を保護するようなものをあえて設置しなかったの で、鑑賞者が近付くことで文字は揺れたり落ちたりした。そ こで初めて鑑賞者は文字が固定されていないことに気付き、 今度は作品を壊さないようにと様子を伺いながら近付くので ある。それがまるで生きているものを相手にしているようで、 鑑賞者と作品との掛け合いが魅力的であった。 「はさまれたことば」  切った文字を保存する際、一定の区切りごとにまとめて チャック付きポリ袋に入れた。文字同士が重なって黒々とし た袋の中からは、伝えたいことを伝えられないような息苦し さや、逆に伝わらないことへの安心感のようなものを感じた。 そこに着目し、人間が持つ不安定な気持ちを表現しようと試 みた作品である。  使用する文章は、先述の作品と同じく森絵都さんの小説 『つきのふね』の中から、「智さん」と呼ばれる登場人物の 全台詞である。智さんは幼い頃に母親を亡くし、高校生で 父親と離ればなれになる。プライドが高く誰の世話にもなら ず生きていこうとするが、徐々に精神を病んでしまう。そん な不安定な智さんの言葉をお借りし、1つの鍵括弧の文字を

鈴木 結実菜

Discussion and practice surrounding the meaning of characters as objects using cutting technique

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して全国大会が開かれるなど、多くの人々に親しまれている。 ここから私は「文字札を使った言葉遊び」という着想を得て、 昔話をモチーフとした言葉遊びカードゲーム『言の葉』(図1、 図2)を制作した。 本研究の目的  本研究の目的は、文字札を使った言葉遊びカードゲーム『言 の葉』を事例とし、その特性を明らかにする事である。 研究方法  本研究の研究方法を4つの段階に分けて説明する。 1)『言の葉』を制作する。 2)参加者を募り、『言の葉』の試遊を行う。 3)エスノグラフィーを用いて、『言の葉』の使用状況を詳述し、 質的に分析する。 4)『言の葉』の試遊に参加した参加者全員にアンケートを実 施し、傾向を量的に分析する。 言の葉  『言の葉』は、ひとつずつ違う言葉が書かれたカードを並 べていき、参加者全員でひとつの物語を作る言葉遊びである (図3)。カードは全70枚、3人から5人で使用する。『言の葉』 のカードは、日本の昔話「桃太郎」「浦島太郎」「鶴の恩返し」 研究背景と動機  現代に暮らす私達の言語の感覚は、パソコンやスマートフォ ンの普及による誤変換や打ち間違いをそのままで伝えたり、 ありとあらゆる感情の表現を「やばい」の一言で済ませてし まう等の特徴がある。また、文章の一部分のみをトリミング した偏向報道を、何の疑問も持たずに鵜呑みにしてしまう事 もある。この様な時代に合わせた、言葉を扱う感覚を磨くた めの「言葉遊び」が必要であると考えた。  私の言葉遊び体験のひとつに小学6年生の時の「落書き教 科書」の体験がある。当時の私は教科書の挿絵ではなく「文 章」に落書きを施し改変する事で、新たな物語の創作を行っ ていた。私はこれを大変面白いと感じ、友人に見せて回った。 その結果、多くの友人がそれを面白いを言い、私を真似て教 科書の文章に落書きを始めた。そしてそれは、学年単位の 流行にまで発展した。この後、私の弟が小学校にその教科書 を持って行った際にも、同じようにブームを巻き起こした。  上記の経験から私は、「遊び」から言葉を扱う感覚を磨く 事が出来ると考えた。そこで参考にしたのは日本の伝統的な 言葉遊び「かるた」である。現代でも「いろはかるた」は正 月の定番玩具として、「百人一首かるた」は「競技かるた」と から抽出した言葉で構成されており、その物語の文脈から逸 脱する文章を作る事で楽しむものである。

平野良和

HIRANO, Yosikazu 昔話をモチーフとした言葉遊びカードゲーム『言の葉』を事例として

Research on cards with words for play

Case study of a word playing card game “Kotonoha” with old stories as motif

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建設的なミーティングの場の全体像  ミーティングを建設的に行うための場を生み出すために 具体的なデザイン対象を、活動を行うためのツールと仕組 みとする。以下を建設的なミーティングの達成要件とし、場 づくりの基本コンセプト(図1)とした。 1) グループ内で上下関係をつくらない多角的の関係を構成 するために、活動を自分ごととして捉え、それぞれの活動者 が主体的にミーティングに参加すること 2) 活動者が気兼ねなく一人称視点からの意見をすることや 書き表せる環境を提供し、相手の意見を尊重し議論を深め ていく対話が発生すること 3) ミーティング活動には直接関係はしないが、アイデアの幅 を広げるために重要な知が潜んでいる周辺的活動を活動 者が意図せず実行すること はじめに  高度に発達した通信テクノロジーが現代の日常的なコミュ ニケーションを支えている。絶え間のない連絡を可能にした ことは、ノマドワーカーといった場所に縛られない新しい働 き方を生み出した。その反面、スマートフォンに生活を縛り つけられ、コミュニケーションが希薄になった人もいる。そ れは、あらかじめ用意されたスタンプを送るだけの自分の 意思が伴わない速さだけの受動的なやり取りが当たり前に なったためである。  一方、社会では共創の機会が増えており、自分の意思を 伝えることが求められている。しかし、客観的な意見を重要 とする日本の社会の中では、主体的に発言することに多く の人が慣れていない状態にある。このような状況において、 グループ活動のための意図的な場を用意する必要があると 考えた。本稿では、場づくりを「きっかけのデザイン」と名 付け、活動をはじめるための場づくりと、それを支えるツー ルのデザインの特性について考察する。 研究目的  本研究では、グループ活動における意図的な場づくりを 行う「きっかけのデザイン」の有用性を示すことを目指して いる。グループ活動として、短時間で行われる協働的に話 し合う必要があるミーティング活動に着目した。それは、限 られた時間の中で主体的に参加することが求められるため、 デザインによって円滑に進めることができれば場づくりの有 用性を明らかにできると考えたためだ。対象とするミーティ ングは、進捗報告を行う合意形成が目的のものではなく、 活動者が同じ立場から新規アイデアを考える建設的なものと する。研究の目的を以下の3つに示す。 1) ツールと空間の関係分析から、ツールの使い方を捉え、 建設的なミーティングのための場を明らかにする 2) ツールと活動プログラムの関係分析から、ツールの役割 を捉え、場づくりに必要不可欠な物を明らかにする 3) ツールと活動者の関係分析から、ミーティングに付随して 起きた周辺的活動を捉え、場づくりによって生まれた空間の 活動者への作用を明らかにする

安村 透

YASUMURA, Toru

Designing to make space for constructive meetings

参照

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