堪 航 能 力 と 海 法
︵ 3
︶
志 津 田 氏 治
八︑船舶不堪航と船員法
川 船舶の堪航性と海員の雇人契約
船舶は独立した特異社会を構成する︒それは船舶という狭い枠内に閉じこめられた共同危険団体(Gefahreロgem
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まり船舶の堪航性の問題は︑航海企業の運送担保責任(商七三八)としてだけではな‑︑船舶共同体の安全確保という
海事行政の制度的な側面からも重要視されている︒このことは海上労働関係においても同様のことである︒すなわち
海員にとって︑その海上労働関係が場所的(船舶)にも︑また時間的(乗船申)にも制限されているところから︑その
堪航性の有無は海員の雇僻契約上の地位に影響することが甚だ大きい︒わが船員法には明確な規定はないが'まず堪
航能力のある船舶であることを前提とするものと解釈しなければならない︒
そこでオーストラリアの航海および海運に関する法律(一九≡)の五九条においては︑船舶所有者の海員に対する
堪航性確保の義務づけを規定している︒その五九条によれば﹁㈲船舶所有者と船長または船舶所有者もし‑は船長と
海員もしくは見習生との間の1切の明示または黙示の勤務に関する契約において'および伽航海に関連した1切の見
堪 航 能 力 と 海 法
六 O
習契約においては︑船舶所有者︑船長および積込み発航準備または発航を委託された代理人が︑航海の開始にあたっ て︑船舶の堪航性を確保するため︑または航海中にあっては船舶の堪航性を維持するために︑必要な一切の手段を尽 くすべき義務を有することが︑これを有しないとする規定にかかわらず含まれているものとする︒﹂このことはイギリ スの一八九四年の商船法においても同じ趣旨のことを明示している︒すなわち︑その四五八条によれば﹁明一部である と黙示であるとを問わず︑船舶所有者と船長または海員との問に締結される勤務契約および乗船して見習生として勤 務しなければならないことを定めた見習契約中には︑反対の取決めがある場合といえども︑船舶所有者︑船長および 船舶の積込み︑もしくは出港のための準備または出港に責任を有する代理人において︑航海が開始される際に当該航 海に対する当該船舶の堪航性を確保するため︑および航海中つねに堪航状態であることを確保するために相当の手段
( 註 1
)
を尽くすべき船舶所有者側の義務が含まれているものとみなす﹂旨を定めている︒西島博士は夙にこの制定法を捉え
( 註 2 )
て︑海運と船員保護との関係から注目すべきことを強調しておられる︒
( 註 1
)
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( 註 2 ) 西 島 弥 太 郎 ﹁ 船 舶 内 の 人 に 対 す る 船 舶 所 有 者 の 責 任 に つ い て ﹂ ( 海 法 会 誌 復 刊 七 号 ) 二
O 頁
以 下
︑ 同 博 士
﹁ 船 舶 堪 航 性 に つ い て ﹂ ( 神 戸 法 学 雑 誌 五 巻 一
・ 一 一 号 ) 一 五 頁 以 下 参 照
︒ 判 例 で も 商 船 法 四 八 五 条 は 海 員 を 保 護 す る 条 項 で あ る こ と を 確 認 し て い る
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しかし右の条項は︑オーストラリア法と異なり︑つぎの二つの場合には適用されないことを注意すべきであろう︒
その一つは︑特別の事情により不堪航状態のままで出港させることが相当(円
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であった場合には︑船舶を不堪航状態のままで出港させたことを理由として︑責任をかするものではないことである︒
その二つはイギリス領内における内水航行船等には適用が除外されていることである︒そのほかにイギリス法では︑
海員に対する堪航性保持の義務を徹底して︑船舶所有者なり船長が堪航性を欠如した船舶を出港させることに対して
刑罰をもって防止している︒すなわち商船法四五七条によれば﹁人命に危険の及ぷ虞れがある不堪航状態のイギリス
船舶を︑そのことを知りながら出港させ︑もしくは出港させようとした者または他人と共謀して出港させ︑あるいは
出港させようとした者は︑各不法行為につき軽罪の罪あるものとする︒た Y し堪航状態で出港するのを確保するため
に相当の手段を用いたこと︑まに︑その事情のもとにおいては︑不堪航状態のままで出港することが相当であって︑
( 註 1
)
正当であることを証明するときはこの限りでない﹂とする(同条のニ項では船長に対する義務づけを定める
) 0
この四五七
条の規定は︑四五八条とおなじく︑内水航行船には適用がない︒また本条違反の訴追には︑通商委員会自ら︑もしく
はその同意をえてのみおこなう乙とができるものとしている︒しかも︑乙の軽罪は略式判決守口
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の手続にもとやついて処罰されなくてはならない︒そのほかにイギリスでは不堪航船舶に対しては︑通商委員会で不服
申立その他にもとづいて船舶検査のため仮抑留をなすこともでき︑これにより間接的に海員を保護していることも︑
( 註 2 )
め を 悲 く も の が あ る ( 商 船 法 四 五 九 条 参 照 ) ︒
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堪 航 能 力 と 海 法
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( 註 2
)
アメリカでは︑船舶所有者の海員に対する堪航性の直接的な義務づけはないが︑間接的にはイギリス商船法四五七条
とほぼ同様の規定がある︒その四五六一条(合口
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国航海または沿岸航海に就航させ︑もしくは航海を企てた者あるいは︑かような就航にもしくは就航の企てに干与した者は︑
各違反行為につき一 000 ドル以下の罰金もしくは五年以上の懲役に処し︑または両者併科する︒ただし船舶を堪航性のあ
る状態で出港させるため︑あらゆる手段を尽くし︑または船舶が堪航性のない状態で出港する乙とが︑その時の状況におい
て合理的かつ正当であることを証明したるときはこの限りではない﹂と定めている︒アメリカでは既述のように船舶の堪航
性確保について船舶所有者に直接的な義務づけを誌みていないが︑船舶が堪航性を備えなかったときは︑海員に出港拒否の
権利を認めていることであろう(イギリスでもこれを認めていることを注意すべきである︒吋
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わち四五九八条によれば︑﹁船舶が予定の航海を開始することが差支えない旨の裁決があった後または命令に従い︑人員・
食糧・貯蔵品を増加し︑または修繕・改造をおこなった後︑一部船員が航海の開始を拒否したるときは︑その者に帰属すべ
き賃金を没収する﹂
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ことを明示しているので︑その反対解釈としても上記のような結論がでるであろう︒但
し四五九八条は漁船︑捕鯨船︑快速艇には適用されない︒ c ・ m
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・判例でも般舶乗組員は︑船舶が不堪航のときに善意で合理的信念のもとに行動する限り︑海
上 航 行 を 拒 絶 で き る の で あ り ︑ 暴 動 罪 を 構 成 し な い も の と さ れ て い る ( 仰 ∞ ω ∞
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つぎに海員の雇入契約書と堪航性の記載の有無について考察してみよう︒一般に一居入契約書には︑一怪人契約で定め た 給 料
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・ 雇 入 期 間 お よ び 海 員 の 遵 守 す べ き 一 切 の 事 項 を 記 入 す る の が 通 常 で あ る
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性は︑海員の雇傭の面にも重大な影響をもつものであるから︑海員の一雇入契約書にはその旨を明記することがある︒
すなわちオーストラリア法では︑その四六条 A 項において﹁オーストラリアにおいて登録された船舶で︑乙の法律に
より満載吃水線証書の備置を要求される船舶については乗組員の署名前に一居入契約書に満載吃水線証書に定められた
甲板線および満載吃水線の位置に関する記載を挿入しなければならない﹂として︑満載吃水線に関する事項を一居入契
約書に書入れることを要求している︒カナダ法でも一七 O 条で乗組員との雇入契約には甲板線の位置および当該船舶
の満載吃水線証書に定められた甲板線および満載吃水線に関する事項を記載しなければならない乙とにしている︒そ
﹀立をみるまでは︑四四
O 条三項において︑ 満載吃水線に関する事項を契約書
に記入することを要求している︒しかも︑オーストラリア法とおなじく当該官庁は︑その記入があるまでは︑手続を
開始できないものとしている(オーストラリア法四六条 A
項 参 照
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このように海員雇入契約書に満載吃水線の標示を記
入することを要求したのは︑過重の載貨によって船舶が洗没し︑多数の海員が犠牲になったことを幾分でも防止しょ
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精神のあらわれとして受取ることができよう︒ 一九三二年の修正法すなわち冨・ ω ・
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海員は雇入契約の調印前において︑ のほかにイギリスの商船法においても︑
うとする所謂﹁プリンソル﹂
( 註 1
)
詳 細 は 拙 稿 ﹁ 船 舶 不 堪 航 と 乗 組 員 の 不 服 申 立 ﹂ ( 大 分 大 学 経 済 学 部 三 十 五 周 年 記 念 論 文 集 ) 三 八 五 頁 ド イ
W/船 員 法 二 四 条 一 項 四 号 で は 一 雇 一 入 契 約 書 に 航 行 区 域
・ 航 海 の 目 的 を 記 載 し な け れ ば な ら な い
︒ わ が 国 で は 行 政 解 釈 上 ︑ 一 雇 入 公 認 に 際 し て の 審 査 事 項 と し て ︑ 一 雇 入 契 約 欄 に 記 載 す べ き 船 種
︑ 船 名 ︑ 総 ト シ 教
︑ 航 行 区 域 ま た は 従 業 制 限 等 が 完 備 し て い る か ど う か を 確 認 す る こ と に し て い る ( 昭 二 七
・ ニ
・ 一 三 員 基 二 二 号 ) ︒
さらに今度は船船の不堪航と海員の一医入契約解除の問題について眺めることにしたい︒船舶が不堪航の場合に海員
は乙れを理由として契約の解除ができる r ろうか︒まず現行船員法によれば︑海員が一層入契約の解除をなす場合には
経 営 と 経 済
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堪 航 能 力 と 海 法
つぎの二点が認められている︒すなわち︑その一つは法定事由により解除をなす場合であり︑他は任意に解除をする
場合である︒法定事由によるものとしては︑船員法四一条に規定がある︒この船員法は旧船員法に比較して海員が一医
止を請求できる場合を拡張しているが︑海員が契約を解除するにはこれによらなければならない︒すなわち船舶の不
堪航のときは︑これを明示されていないが︑これに該当するもの行ろうか︒そこで︑つぎのような見解が展開されて
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︒
四 げ)
船員法四一条の規定を例示的列挙と解釈し︑旦っこの規定を民法六二八条の補充規定であるという見地から︑
船員法は﹁己むを得ない事由﹂ということを明示していないが︑海員といえども己むを得ない事由による契約の解除
一般的には船員法が優先することはいうまでもないが︑しか を認めるべきである︒船員法と民法との関係であるが︑
し船員法の規定は完全に民法の規定を排除するものと解釈してはならない︒船員法に相当する規定がなく︑かつその
法目的と矛盾しない限りで︑民法の規定が船員労働関係の面に適用があるものと考えられる︒従って船員は﹁己むこ
とを得ざる事由﹂があるときは︑民法六二八条により即時雇入契約を解除することができると解釈されている︒
山 戸
﹁ 船 員 法
﹂ 一 一 五 頁 に よ れ ば ︑
﹁ 己 む を 得 な い 事 由 ﹂ の な か に ︑ 敵 国 の た め 捕 獲 さ れ る 危 険 の あ る と き ︑ 戦 争 の 危 険 が 著 し く 増
大したとき︑到達潜に危険な伝染病の発宜し︑雇入後まで事実を知らなかったとき等をあげている) 従って船長が船舶の検査を
( 註 1
)
拒絶し︑不堪航のまま発航しようとした場合にも︑海員の側に雇止を認めなければならないものと解する︒
( 註 1
)
同 説 山 一 戸 前 掲 書 ) 一 五 頁 但 し 教 授 に よ れ ば 船 員 労 務 の 特 異 性 の 観 点 か ら ﹁ 己 む を 得 な い 場 合 の 解 除 は 認 む べ き も ︑
そ れ は 制 限 的 に 真 に 己 む を 得 な い 場 合 の み に 限 定 し な け れ ば な ら な い ﹂ ( 傍 点 筆 者 一 一 二 ハ 頁 ) と す る ︒ フ ラ ン ス 法 ( 一 九 二 六 ) で も ︑ 海 員 は 船 舶 所 有 者 の 義 務 の 不 履 行 を 理 由 と し て 海 事 契 約 の 解 除 を 要 求 す る こ と が 明 示 さ れ て い る が ( 九 八 条 ) ︑ ド イ ヅ 法 ( 一 九 五 七 ) で は こ の 点 を 一 層 明 確 に し て い る ︒ す な わ ち 船 舶 が 航 海 に 堪 え な い と き ︑ 居 住 区 が 海 員 に と っ て 不 健
康 で あ る と き ︑ 乗 組 員 の た め の 食 物 も し く は 飲 料 水 が 不 充 分 も し く は 腐 敗 し て い る と き ︑ ま た は 船 舶 の 乗 組 員 が 十 分 で な い
とき海員は期間の制限なしに解約できる乙とにしている(但しこれらの場合においては︑不平を訴えてから適当な期間内に 困難が取り除かれないときにのみ期間のない解約告知ができるものとしている)︒六七条七号参照デンマ 1 グ 法 で も ﹁ 船 舶
が航海に堪えがたい場合又は乗組員設備が不健康である場合であって船長がその欠陥を是正することを怠ったときは海員は 雇止の請求ができる﹂(三八条)︒アメリカの判例でも船舶が不堪航であるときには雇傭契約書の違反であり︑海員の船舶
勤務を解除する
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つぎに船員法四一条には︑一医入契約により定められた労働条件と事実とが著しく相異したときを解除理由とし
ているが︑船員の居室が著しく不適当であり︑あるいは食糧なり飲料水が充分準備されていないときは︑契約の解除
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ができるものと解されている︒
結局不堪航を理由として契約を解除するには︑己むを得ない事由によるか︑労働条件と事実の相異から主張するか は︑まず不堪航そのものの具体的問題にかからざるを得ない︒この点で参考となるのは︑アメリカ法で船舶が堪航性
条
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を備えなかったときには︑海員は出港を拒否することができるばかりか︑乗組員の一層止もできるのである︒四五六一
によれば﹁船舶が重要な点において不備があったにもかかわらず︑出港したことが怠慢もしくは故
意によるものであるか︑また過失もしくは事故によるものであるときは︑領事官は一履止を希望する乗組員の雇止をな
し︑または当該雇止を希望した船員が合衆国の最も近いかつ最も便利な港まで帰還するに充分な費用を支払わしめ︑
あるいは一雇止を希望した船員が同意した船舶えの一極傭斡旋をさせなければならない﹂と定めている︒つぎに見落とす
( 註 1
)
ことのできない問題として︑船舶の不堪航と脱船
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) の許否がある︒すなわち不堪航の船舶から海員は脱 船することができるだろうか︒海員の脱船を許すことは船舶の安全性を維持する目的に反するので︑原則として許さ れるべきものではない︒しかし船員法で問題となる脱船罪の対象である船舶であるが︑これはまず堪航性のある船舶 に限るべきものではないか︒蓋し乗船契約は堪航性のある船舶を前提とするからである︒従って不堪航船舶のときは︑
堪 航 能 力 と 海 法
六 五
六 六 海員は契約の解除をなすことができるし︑脱船も許されるものと解釈すべ︑きであろう︒アメリカの学説判例でも︑脱
経 営 と 経 済 船行為に例外を認め︑明らかに脱船行為のときといえども︑何等の制裁を加えないことがある︒たとえば船主が船舶
( 註 2 )
安全に関する法規を遵守しなかったと︑きである(たとえば船主が貨物を過重に積んだとき︑船主が海員に腐敗した食物を支給
したるとき︑疾病の海員に医薬を提供しなかったとき︑海員が激減したのにこれを補充しなかったときなどがある)︒
( 註 1 )
脱船とは不法な契約関係を終了させる目的で︑不当に船舶を脱出することをいうのである︒脱船の有無は客観的に決 定すべきものではなく︑主観的に決められるべきものである︒すなわち脱船者の意思が︑怒意的に契約関係を廃棄し︑労務
の続行を免るることを期待した場合であることを要する(判例では﹁脱船トハ海員カ其ノ職務ヨリ全然離脱スル目的ヲ以テ 乗込船舶ヲ去ル行為ヲ指称スルコト疑ナシ﹂大正十一年・三月四日第三刑事部判決・大審院判例集一巻一一二頁)︒烏賀陽
博士も﹁脱船という犯罪は︑海員がその契約終了前において︑正当なる理由なくして E 帰船せざるの意思をもって︑其の船 舶を去るによりて成立するものである︒日疋故に海員が船長の許可なくして船舶を離るるも︑帰船の意思あるときは且帰船の
事実を伴うときは脱船を以て論ずることを得ない﹂(﹁海商法論﹂上巻二四 O 頁︑塩田環﹁船員論﹂二三八頁︑山戸前掲書
七四頁)とされている︒脱船に関して懲役(替市銅)を課する国(日本・ドイツ)とそうでない国(アメリカ)とがある︒
( 註 2
)
松波仁一郎博士﹁海員ストライキ論﹂三五頁 ω
船舶の堪航性と海員の不服申立 船舶はつねに海上を航行するものであり︑単に国家的な取締のみでは船舶運航の安全は期待しがたい︒そこで常時 船内にあって︑船舶に生命を託する乗組員の﹁声﹂を聞き︑適当な措置を制度佑する必要が認められて︑海商諸国家 では乗組員による不服申立
( g B H V Z E Z )
がうまれたのである(但しわが国の船員法二二条・労働基準法一 O 四条では申
告 の 語 を 使 用 す る ) ︒
まに一方乗組員自身にとっても︑その海上労働関係が場所的(船舶)にも︑ また時間的(乗船中)
にも制約されているところから︑その船舶の不堪航であることは乗組員の雇傭契約上の地位に影響することが大きい︒
いま各国における
ζ の制度の概要を指摘してみよう︒
一八九四年の商船法(冨
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﹀立)にこの制度を明示している︒その四六 三 条 ( 一
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∞)では﹁船員または見習が脱船︑不許可不在︑その他許可なくして船舶を去 y イギリス︑この国では
りたる罰に対する訴訟手続中において︑船舶の所属船員の四分の一または船員が二十名以上なるときは五名以上が︑
船舶の不堪航・積荷過重・不適当な積付・不完全な蟻装そのほかの理由により航行不適の状態にあること︑あるいは 船内設備が不充分であることを申立たるときは︑何時でも事件の審理中の裁判所は取調べることを要する﹂旨を定め ( 註 1 )
ている︒さらに同法一九八条(一∞ E ・ g ・
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において食糧および飲料水に関しても﹁イギリス船舶乗組員三名
以上で︑乗組員の使用する食糧・飲料水が品質不良であるか︑使用に適せ︑ざるか︑数量不足であると認めたときは︑
( 註 2
)
イギリス海軍の艦長︑領事︑海員監督官︑税関長に申告できる﹂旨を規定する︒乙の国では︑このように法典に結実 するまでに︑海員眉に可成りの激しい対立抗争がみられた︒すなわち一九世紀の後半にかけて︑イギリスの船主は無 責任な践装状態で運航したために︑乗組員の多数が犠牲に供された︒そこで当時下院議員であったプリンソル
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・ 司 ユ ロ g Z ) が︑船舶検査および載貨吃水線標示を議会に提出し︑若干の修正を経て法律となったといわれるが︑
こうして︑ようやく脱船罪で訴追されていた海員にも検査請求権が賦与されるとととなったのである︒
( 註 1
)
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百 三
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堪 航 能 力 と 海 法
六 七
桜島
rr...IJ!起偲 4 くく cmN) If three or more of the crew of a British Shlp consider that the provisions or water for the use of
the crew are at any time of bad quality , unfit for use , or deficientin quantity , they may complain thereof
to any of the following officers , namely , an officer in command of one of Her Majesty's ships , a British
consular officer , a superinintendent , or a chief officer of customs , and the officer may either examine the
provisions or water complained of or cause them to be e
玄mained.
C ;l;tiの Colombos , The International Law of the Sea , 1954.p.281.
h~入士、え当期宮g~建問e;~0:.rug吋小よき属~~1; 吉?といニl'(l。 The industry was rotten to the core , British ships were no better than coffins and British
shipowners no better than murderers." 結嬰包 C. ト'時代ム・ト吋『マ弐博(士早々特穏起訴五)
r担~~悪用料も号<J11¥ 1 5[¥叫
?ヘ白河、亡、‑R 08 1H9I\J 当。各紙回巡回巡tF:l ~8gr 同同 4くボ C 46USC 453) ¥J I 1 仲~吋も 11 紳渥怨十~~l'Qニ!2\終思tillI( 8~ 型許
案否 :V 綜認 i~~~8 謹:il 8~ ・震・額 ~8~8 謹同〈 E4 主く程=R~.c、'..,J).:J v 包 1事~$UIT(・相興・~ロ E よさ:人 )8 係国~l'Q~念日 P
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Q日夜JいPト、状、亡、令下J包;建国~g長総8'Ç\ば会Û'~~..\j寸てJ4い刈)~0..\j当主EfPいで..rJ0..\j\J~t{\小。cm.‑) R.S ‑4 556 C46 U .S. C .653) If the first and second officers under the master or a majority of the crew of
any vessel bound on any voyage shall , before the vessel shall have left the harbor , discover that the ves
sel is too leaky or is otherwise unfit in her crew , body , tackle , apparel , furniture , provisions , or stores
to proceed on the intended voyage , and shall require such unfitness to be iuquired into , the master shall ,
upon the request of the first and second officers under the master or such majority of the crew , forthwith
apply to judge of the district court of that judicial district , if he shall there reside or if not , to some ju.
stice of the peace of the city , town or place for the appointment of surveyors , as in section4557C46. U.S.C.
654Jprovided , taking with him two or more of the crew who shall have made such request;
(制~)
R.Ss4565 C46U.S.C.662) ・ Any three or more of the crew of any merchant. vessel of the United States
bound from port in the United States to any foreign port , or being of the burden of seventy five tons or
upward , and bound frome a port on the Atlantic to a port on the Pacific , or the vice versa , may complain
to any officer in command of any of the vessels of the United States Navy , or consular officer of the Un.
ited States , or shipping commissioner or chief officer of the customs , that the provisions or water for
the use of the crew are , at any time , of bad quality. unfit for use , or deficient in quantity.
(;j;tiの Canfield & Darzell , The Law of the Sea.p.66. Zeis , American Shipping Policy , p.68.
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経 営 と 経 済
七 O
の危険または障害を生じ易きものあることを発見したるときは所在港または発見後最初の到達港を主管する航政官署
( 註 1 )
に検査の施行を申請することを要する﹂ものとしている︒
( 註 1
) 鈴 木
・ 石 井 ﹁ 中 華 民 国 海 商 法 ﹂ ( 上 巻 )
一 八
八 頁
日本 ところで︑わが国でも︑かつて逓信省の所轄のもとに設置された臨時海事法令調査会において︑船員法の改正
が問題となった際に︑船員側委員からとくに海員保護という見地よりその制度的な必要性が力説されてきたこともあ
った︒そこでわが国の政府当局は︑船舶安全の確保的な要請からこの制度を規整する態度をとり︑船舶安全法につぎ
のよう明文をおくに至ったのである︒つまり﹁船舶乗組員二十人未満ノ船舶ニ在リテハ其ノ二分ノ一以上︑其ノ他ノ
船舶ニ在リテハ乗組員十人以上ガ命令ノ定ムル所ニ依リ当該船舶ノ堪航性または居住設備︑衛生設備費其ノ他ノ人命
ノ安全一一関スル設備ニ付重大ナル欠陥アル旨ヲ申立テタル場合ニ於テハ管海官庁へ其事実ヲ調査シ必要アリト認ムル
トキハ前条第二項ノ処分ヲ為スコトヲ要ス﹂(同法二二条)としたのである︒こうして日本では︑船舶乗組員の不服申
( 註 1 )
立制度が︑法規のうえで制度化されるに至り︑海事行政上および労働行政の面で画期的な前進をみたのである︒しか
るにわが国では︑この問題が単に私法的な海商法の枠内だけではなく︑船舶安全法︑船員法などの︑もっぱら海事行
政的な法域に跨っているために︑従来から︑とかく︑この方面に関する徹底した解明が誌みられていない︒ここでは︑
その一里塚として︑おもにイギリス・アメリカの法制を参酌しながら若干の問題点を捉えてみよう︒
( 註 1 ) 石 井
﹁ 海 商 法
﹂ 一 一 一 頁 ︑ 上 野 喜 一 郎 ﹁ 船 舶 安 全 法 規
﹂ 一 八 五 頁 参 照
ω 所轄官庁の帰属乗組員による船舶不堪航申立を処理する所轄官庁には︑司法官庁である裁判所とするものと︑行
政官庁である管海官庁とするこつの主義が対立している︒前者はイギリス・アメリカ法系において︑後者は日本・ド
イツ・中国などのほかにスカンヂナピア諸国がこれを採用するといわれている︒すなわちイギリスでは乗組員が不堪
航を申立てたるときは何時でも事件の審理中の裁判所(外国では領事)に︑その申立の真偽を確かめる一切の権能が賦
アメリカでもイギリスの立法例を参酌して︑船舶が不堪航の場合には︑裁判管轄権の 与されている
( E U ・ ﹀
・ 宝 ∞
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︒
ある連邦地方裁判所の判事あるいは治安判事に申立処理の権能があたえられる(戸∞・合印白)︒ 但し食糧・飲料水の不
備による申立は︑イギリス・アメリカ両国ともに司法官庁以外の官庁つまり海軍の艦長・領事・船員監督官・税関長
を受理官庁としていることを注意すべきであろう︒これに対して大陸法系の諸国では管海官庁がとり扱うのが通例で
ドイツでは船員局︑スカンヂナピア諸国では所轄検査官庁︑中国では航政官署となっている︒日本でも︑
立法例に従い︑船舶安全法二ニ条では管海官庁に︑これを受理する資格を認めている︒
( 註 1 )
イ ギ リ ス の 場 合 ︑ 裁 判 所 は 申 立 の 根 拠 が な い こ と が 判 明 す れ ば 当 該 事 件 の 決 定 を お こ な う が ︑ 反 対 に 申 立 根 拠 不 明 の
と き は 船 舶 検 査 官 ( 印 ロ ヨ ミ 2 0
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を 任 命 し て 関 係 船 舶 を 検 査 す る 機 能 が あ た え ら れ て い る ( 冨 ・
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印 ・ ア メ リ カ で も 略 々 イ ギ リ ス と 同 様 で あ る
︒ す な わ ち 国 内 港 に お い て は ︑ 裁 判 官 が 命 令 書 を 発 給 し ︑ 海 事 事 件 に 経 験 が あ る 検 査 官 三 名 を 選 任 す る こ と に し て い る ( 同 ・
ω ・ 笠
3 3
︒ 当 該 検 査 宮 は ︑ 当 該 船 舶 の 級 密 な 検 査 を 誌 み ︑ 裁 判 官 に 対 す る 報 告 書 作 成 の 義 務 が あ る ︒ 詳 細 は 拙 稿 ﹁ ア メ リ カ 船 舶 法 制 の 一 考 察 ﹂ ( 大 分 大 学 経 済 論 集 八 巻 三 O 号 ) 一 七 頁 以 下
倒不服申立の原因所轄官庁は不服申立がある場合にはこれを受理しなければならないが︑その申立原因には英米
法系と大陸法系との聞に差異がある︒イギリス・アメリカでは不服申立の原因である不堪航概念を︑狭義の不堪航
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し︑それぞれ手続きを異にしているが︑大陸法系の諸国ではこれを一括して﹁船舶の堪航性または居住設備その他人
( 註 1 )
命の安全に関する設備に関して重大な欠陥がある﹂旨を不服申立原因となしている︒ドイツ法・デンマーク法・中国
法等もおなじような態度をとっている︒とりわけわが国の船舶安全法によれば︑船舶安全の施設として備えるべき設
備 ( 船 舶 安 全 法 ご ニ 条 ) (救命設備・消防設備・居住及衛生設備・航海用具・特殊貨物の積付設備・電気設備)および属具の標準
堪 航 能 力 と 海 法
F
じ
経 営 と 経 済
七
は︑無線電信・無線電話その他特殊のものを除いて船舶設備規程(昭九逓令六号)にその詳細を任せている︒なお船舶
による危険物運送の基準については危険物船舶運送及び貯蔵規則(昭コ三運令三 O 号)がある︒そのほかに船医の乗組︑
衛生用品︑医療書の備付など船員の衛生設備については︑船員法に若干の規整をなしている(船員法八一条・八二条
) 0
また食糧の支給についても然りである(船員法八 O 条)︒従って不堪航の申立事由を英米のように区別しないわが国の
立法のもとでは︑その申立事由を本法またはその付属法規において︑何等かの規格または標準を示したものに限る所
説(上野﹁船舶安全法規﹂一八六頁)には多少の疑問なきをえない︒
( 註 1
) 船 主 が 粗 悪 ・ 不 良
・ 不 足 の 飲 料 水 な り 食 糧 を 支 給 す る よ う な
ζ
と
が あ れ ば
︑ 一 屈 入 条 件 に 反 す る も の と し て ︑ 船 員 の 側 か ら 雇 止 の 請 求 を な す こ と が で き る ( 船 員 法 四 一 条 一 項 ニ
O 号
) ︒ し か し ︑ そ れ だ け で は な く 船 員 は 船 員 法 令 に 違 反 す る 事 実 が あ る と き は ︑ 口 頭 ま た は 書 面 で 行 政 官 庁
︑ 船 員 労 務 官
︑ 船 員 労 働 委 員 会 の い ず れ に 対 し て も 違 反 の 事 実 を 申 告 す る こ と が で き る ( 船 員 法 一 一 一 一 条 )
︒ 詳 細 は 野 村 一 彦
﹁ 船 員 法 概 説
﹂ 一 九
O 頁
︑ 山 戸 ﹁ 船 員 法 ﹂ 一 五
O 頁
向 船 舶 運 航 の 安 全 と 乗 組 員 の 地 位 を 保 護 す る た め に
︑ こ の 制 度 は 創 設 さ れ た も の で あ る が
︑
一度乙れを濫用するときは︑船舶運航の阻害による船内秩序を素乱し︑労使の対立を刺戟するなどの幣害をかもす良
れがあるので︑各国ともに立法の面から厳重な枠を定めている︒(上野前掲書一八六頁)だが︑その基準は区々である︒ 不服申立員数の制限
アメリカ・イギリスでは︑食糧︑飲料水の不服申立は︑ともに乗組員三名以上であることを要求する
( 同
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m 一∞∞)︒しかし不堪航性の申立員数には両国聞に若干の差異がある︒たとえばアメリカでは一等および二等航海士
( 同
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あるいは船舶乗組員の過半数を要件として︑職員と下級海員との問に区別を認める︒
イギリスでは︑乙の方式によらないで当該船舶の所属船員の四分の一以上の者または船員が二十名以上のときは︑五
名以上の乗組員による申立を条件とする︒わが国では︑その要件を乗組員二十人未満の船舶にあっては︑その二分の
一以上︑その他の船舶にあっては乗組員十人以上を明示しているが︑このように職階によらないで船舶乗組員の員数
自体から制限する態度をみると︑イギリス法に近いものといえる︒わが国の現行船員法では︑船員法違反の事実があ
るときは︑海員に一定の申告権をあたえているが︑た Y ここでいう申告は︑船舶安全法の申立のように一定数の海員
を内容とするものではなく︑海員が単独で行使できるものと解されている(船員法二二条労働基準法一 O
四 条
) ( 註 1 ) ド イ ツ 船 員 法 で は 旧 法 ( 一 九
O 四 ) で 若 干 の 制 限 を か し て い た ( 一 名 の 船 舶 職 員 ま た は 三 名 以 上 の 船 員 ) ︒ 現 行 法 で
は ︑ 何 等 の 制 限 を お か ず 単 独 で も 可 能 で あ る ( 一 一 一 ニ 条 ) ︒ た だ し デ シ マ
1 グ
船 員 法 で は ︑ 乗 組 員 の 過 半 数 と い う 制 限 を お
い て い る ( 五 九 条 ) ︒ ま た 中 国 法 で は 船 長 に の み 申 告 権 を 是 認 し て い る こ と を 注 目 す べ き で あ る こ 四 条 ) ︒ な お イ ギ リ ス
の 商 船 法 ( 冨
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﹀
mM
二 ) は ︑ と く に 船 長 は 海 員 お よ び 見 習 に 対 し て ︑ 申 告 が な さ れ た と き に は ︑ 勤 務 上 差 支 の な い 限 り 上 陸
そ の 他 の 便 益 を 提 供 す る 義 務 が あ る
︒ そ の 妨 害 に は 一
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ン ド 以 下 の 罰 金 が か さ れ る
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不服申立人の資格︑船舶共同体の安全確保という要請から︑諸国家はともに不服申立人の資格を厳格に制限する︒
アメリカでは一等二等航海士または乗組員であることを要求している︒ここの乗組員は下級海員を意味するが︑この
国における二︑一二の判決例をみると︑海員とは航海の主要目的を援助するために︑船舶に雇傭されている見習以外の
( 註 1 ) 者 ( 巧 ・
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・)で︑船医・火夫・無線通信士・コックなどを含めている︒ところ
( D ) がイギリスでは不堪航の申立に船員会
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)
のほかに見習(名古 3 ロ
Z S )
を包含することは注意すべ︑きであろう︒
わが国では不服申立人の資格を﹁乗組員﹂としているが︑乙れは船員法における﹁船員﹂との関係で問題となる︒船
員とは海上企業者との一雇傭関係にもと︒ついて︑特定の船舶に乗組み︑継続的に船舶上の労務に服する者を総称するも
のであり︑船長と海員とに大別される(拝﹁海商法﹂一五八頁)︒ これに対して乗組員も船主に雇用されている点では
船員とは変らないが︑た Y 船主の代理人である船長と予備員とを除外していることで相違する︒また乗組員であるた
堪 航 能 力 と 海 法
七
経 営 と 経 済
七 四
めには︑船舶団体への継続的編入と︑海上労務に服することを要件とする以上︑たとえ一時的に船舶に乗組んでいる
者すなわち旅客は勿論︑船舶所有者︑船舶管理人︑船舶上乗人︑税関吏員︑通信吏員︑水先人︑荷役人︑船渠職人等
を除くものと解すべ︑きであろう︒
( 註 1
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で は 水 先 人 も 海 員 の な か に 包 括 し て い る ︒ イ ギ リ ス で は 海 員 を つ ぎ の よ う に 定 義 す る ︒ 冨 ・
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判 例 通 説 は 一 時 の 船 舶 労 務 省 で も ︑ 船 舶 目 的 に 使 用 さ れ る 限 り 船 員
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