ドイツ金融資本と国際的信用制度の展開(二) : ド イツ大銀行の海外進出の構造と展開
著者 居城 弘
雑誌名 靜岡大学法経研究
巻 30
号 3‑4
ページ 109‑152
発行年 1982‑03‑20
出版者 静岡大学法経学会
URL http://doi.org/10.14945/00005815
ド イ ツ金 融 資 本 と国 際 的 信 用制 度 の 展 開
︱
︱ ド イ
ツ大 銀 行 の海 外 進 出 の構 造 と 展 開
︱
︱
居
目 次 問 題 の設 定 ド イ ツ信 用 制度 の国 際 的 展開 の諸 契 機 イド ツ信 用 制 度 の国 際的 展 開 の過 程 と そ の諸 形態
﹁海外 銀 行
﹂ 機 構 の展 開
︵以 上 本︑ 誌 第 二十 巻 一号 に掲
︶載 ド イ ツの
︐ 国際
︲的 信 用 制度 の機 能 と 貿易 金 融 決済 側 輸入取引② 輸出取引 0 海外銀行の貿易金融・決済業務 0 ドイツ貿易における取引通貨 同 国際的な銀行間取引の諸問題 0 いわゆる﹁マルク決済メヵニズム﹂について 五 残された諸課題︵以上︑本号︶
ドイツ金融資本と国際的信用制度の展開︵一〇
三 二 一 序
︵一 一︶
城
弘
一〇 九
法経研究誉一十巻三・︲ 四号一九八二
一二
〇 四
ド イ ツ の 国 際 的 信 用 制 度 の 機 能 と 貿 易 金 融
・決 済 イド
ツ大 銀行 の海 外進 出 の諸 形 態 の全 体 的 編制 国︑ 際
︲的信 用 制一 度 の展 開 基の 礎上 で
︑ イド ツ輸 出入 貿易
︲の金 融︑ 用信 と・ 支払 煤介 が いか
︱︲こし 行て なわ れ たか
︑ そ でこ の国 際的 信用 制度 役の 割 はど う・ か︑ さ ら に︑ いわ ゆる マ﹁ ルク 決済 メカ ニズ
﹂ム を いか に評 価し 理解 す べき であ かる
︑ 本節 では うこ し た点 にか かわ る 諸問 題に つい て検 討を え加 る︒ 貿 易取 引 の慣 習
・形 そ態 れ自 体
︑ イド ツ外 国 易貿 の 史的 展 開 とと もに 変一遷 を 遂げ てき た こと は当 然 で
︐あ 犯︵ 貿 易繭 人 の も でと 商︑ 業
︱的機 能 と貨 取幣 扱
・金 融的 機能 と が 一体 とし て結 合 され て いた 段 階 から
︑ 者両
︲の機 能 が分 化し
︑ とり けわ 後 者 の機 能 近が 代
︲的 行銀 業 務 の 環一 とし て媒 介
・遂
.行さ れ るに 至 たっ 段 階 が ここ での 前 提 であ る︒ こ・う し た 限定 を付 し た と てし も 貿︑ 易 取引 形態 と・ 金 融と
︲のか わか り の具 体
︱的展 開 は︑ た とえ
︲ばヨ ー ロ パッ 大陸 間貿 易 と 海﹃ 外
﹁諸 市場 との 貿易 と の社
疑 を はじ めと し て︑ 現実 はに か なり ︲ 多 様 なも の であ たっ と みる とこ でが き るo たし が てつ
︑ そ の総 てに つい て網 羅 す る こと は困 難 な ので
︑ それ ら うの ち でも 一定 の支 配 傾的 向を も たっ
︑ いく つか 類の 型 そに く﹄ て考 え てみ こる と と し た い︒ そ のさ い 問に 題
︲の焦点 は︑ 貿易
︲の︲取 引と 決済 にお け る︑ イド ツの 銀諸 行な らび に 国際 信的 用制 度の 一蝶︑ 介的 機能 内の 容と とも に︑ そう てb 成形 され 国た 際間 用信 が集
︲中化 され て︑ 決済
・清 算が 行わ れ てい く メカ ニズ ムに おか れて いる
︒ 以 下︑ イド ツの 輸入
︒輸 出 のそ れ ぞれ に いつ ての 検討 を行 なう
︒ 刊
・輸 執
∴諏 矧
︲・
■
■ 1
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■ 一 三二 一
″ 一
︑ イド
ツの 輸入 取引
︑ くと に海 外 から の原 料輸 入に おい て典 的型 取な 引 の実 際を W︑
・ム エー ラー
Og 一︼q によ るド イ
│
ツの 北 米 か ら の 棉 花 輸 入 に関 す る 説 明 を 参 考 にし
つつ 見て いく こと にし よ賛 貧一 1図 1︺ を参 照︶
たと えば ブ ーレ メ のン 輸 入商 は︑ 北 米 か ら の棉 花 の輸 入 にあ た てっ
︑ そ の取 引銀 行 対に し て商 業 信 用状 の発 行︑ す なわ ち ラ ンブ ー ル信 用
︵荷 替為 用信
︶ の開 設を 依頼 す る︒ 輸 入商 の取 引銀 行 であ る イド のン 銀 行 によ り 商業 信用 状 が 発 行 さ れ る と︑ それ にも とづ い て輸 入商 北は 米 の棉 花 出輸 商 対に
し て︑ こ のド イ ツの 銀行 に宛 てて 三︱ 六 月ケ 期 限付 手 形 を振 出す よう 指 図す る︒ 米北 の棉 花輸 出商 商は 品 の船 積 と もと に イド ツの 銀 行 に宛 てて 手形 を 出振 し
︑ これ
に船 積 書類 を添 え て北 米 の銀 行 にこ の手 形 を イド ツの 銀行 に引 受 け て貫 い︑ 船 積書 類 の引 渡 し を行 なう 依 頼 とと も 売に 却
・引 渡 さ れ る︒ 北 米 の銀 行 を経 由し 手て 形 と船 積書 類 は イド ツの 銀 行 送に ら れ︑ そ こ で手 形 の引 受 のた め に呈 示さ れ る︒ イド ツの 銀行 は︑ 送付 され てき た 手 形︑ 積¨船 書類 が︑ 顧客 であ るブ レ ー メ ンの 輸 入 イド 金ツ 融資 本と 国際 信的 用制 度の 展開
︵二
︶
(出FTT)W:M[ueller,Die Organisation des Kredit‐ und Zahlungsver‐
kehrs in Deutschland(Bank Archiv,8 Jgo Nr.8.1909)S.115 に よる。
図‑1 北米か らの綿花輸入取引
④商業信用状の送付
︿ ドイツ割引市場﹀ ヽ
〆
ヽ 一搬/鳩八
ノ一餌7 ノ
一Ψ州ノ赫
形支判 で 銀九
\ 金ピ湿
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の 銀 行 ン ‐
=2蟹饗 費 生 盤 壼 蟄L二
(北米 あ 銀 √
②ランブール信用開設依頼 ③商業信用状発行 ③船積書類貸渡し
⑪代 金 支 払
一受
③荷 為替 手形 買取 船積 書類 引渡 じ
⑥輸出代金の受取
ブ レ ー メ ンの輸 入 嵩 棉花輸 出商
法経 研究 ゴ一十 巻 三
・四 号 一九 八二 一二 二 商 指の 図
・申 告 通 り あで れ ば
︑ こ 手の 形 に引 受 を 与 え︑ 船 積 書 類 を ブ レー メ 輸ン 入 商 に ト ラ スト
・レ シ ー トと 引 換 に 貸 渡 す
︒
︲
イド ツの 銀行 のi引 受が 与え れら た手 形は 北︑ 米 銀の 行 の指 図 によ 割り か計 れて
︑ イド ツの 銀行 にお かれ てい る北 米 銀の 行の 金預 口座 に貸 方記 帳さ るれ 他︒ 方︑ ブ ーレ メン 輸の 入商 は︑ 手形 の満 期日 ま でに はド イ ツの 取引 銀行 に手 形代 の金 文 払い をな す
︲こと によ てっ ド︑ イ ツの 銀行 は自 己の 銀行 引受 手 形が 満期 日に 呈示 され るこ
︲とに 対し てそ なえ るこ とが 可能 と なる ︒
″
以 上 がも とっ も 典 型 的 な ケ ー スで あ る が
︑ こ 他の にも 現 実 に は さ ま ざ ま な 形 態で
︑ 輸 入 取 引 に 対 す る 銀 行 の 金 融 的 支 援 は 行 な わ れ た︒ た と えば
︑ 輸 入 棉 花 の着 荷 の時 点 で な お
︑ 売 却 先 が定 てっ い な い場 合
︑ ド イ ツ 銀の 行 は 送 ら れ てき た 船 積 書 類 にも と づい て輸 入 棉花 を受 取 ると とも に︑ 手 形 対に す る引 受 を一 与 え︑ さら に棉 花を 倉 庫 保管 に移 し︑ 銀行 は そ の保 証 とし て倉 庫 券証 取を 得す る ので ある
︒ あ る いは ま た︑ りよ 一般 的 ケ ー スと し ては
︑ ブ ーレ メン の棉 花輸 入商 輸が 入棉 花 を他 の国 内業 者 に転 売 し たな ばら
︑ ド イ ツの 銀行 は この 新 た な買 い手 に対 し て倉 庫証 券 な いし 貨 物引 渡 証を 転 送す
﹁る 転売 先 国が 内業 者 では なく 外 国 の業 者 で あ る場 合 に は︑ 書類 の引 渡し が外 国 の銀 行 に委 託 され る︒ のこ よう に︑ 輸 入棉 花が 転売 され るケ ー ス では 転︑ 売先 に商 品 引換 証 移が 送 され る こと によ り︑ そ の時 点 でド イ ツの 銀行 にと ら て そ の引 受 信 用 対に す る補 償 が 切れ る こと に なり 一 それ ゆえ 銀行 新は た な買 い手 よに 支る 払 の時 点 ま で︑ た い てい はき わめ て短 期 間 であ るが
︑ 無 担保 の信 用 与を え る こ と に な る︒ 転売
先 業の 者
︵たと えば 紡 績業 者︶ から ブ ーレ メ ンの 輸入 商 手に 形 支で 払が 行わ れ た なぅ ば 銀︑ 行 は これ 割を 引き
︑ 割 引代 金 がブ ーレ メ 輸ン 入商 口の 座 に貸 方記 帳 され
︑ これ 銀は 行 の引 受 手形 の満 期ま で の間 補︑ 償 さと れ る とこ にな る︒ み られ よる う にド イ
ツの 輸 入貿 易 に対 する 金 融的 支 援 は︑ イド
ツの 銀行 によ る ァ ブン ー ル業 務 o日 0げ
●H●
¨8 0F﹂記
に
よ てっ
︲⁚⁚す︑ わな 海ち 外 の輸 出 者を し て イド ツの 銀行 に宛 て て手 形 を振 出す こと を 可能 とさ せ 手︵ 形 信 用 轟↓ oo中 oロ 鶴ロ 9 澪r
針 一︶︑
そ の手 形 にた いし て イド ツの 銀行 が引 受 与を え る
︵引 受 信 用
>F No
■r 澪針
← こと
︑ そし て うこ し た信 用供 与 対に
し ては 積船 書 類等 の商 品 証券 通を じ て銀 行 が補 償 担保 を保 持し う る
︵ラ ンブ ルト 信 用 o日 oぴ
●H
∽rお
︐ 0 こと によ っ て行 わな れ る の であ る︒ こう し た ラ ンブ ー ル業 務︑ 引受 信用 の供 与 は︑ 当 然︑ イド ツの 大 銀行 よに てっ 行 なわ れ た ので あ り︑ 大 銀 行 によ てっ 引受 を与 えら れ た手 形 す なわ ち銀 行引 受 手形 は︑ イド ツの 手 形 割引 市 場 で はも とっ も 信 用度 の高 い優 良 手形 とし て︑ 第 級一 手 形 の格 付 け が与 えら れ︑ 優 過利 率 で割 引 かれ た
︵割 引信 用
∪¨ o庁o
●澤
︐ 8
←︒ うこ
し た大 銀 行 に よる 引 受信 用 割と 計信 用 の作 用 よに てっ
︑ 貿易 金 融 の効 果 輸が 出者 輸︑^
者二入 のX
方 の側 生で じ る こと なに る︒ す なわ ち︑ 一北米
の輸 出商 の振 出 し 手た 形 が︑ 北米 の銀 行 によ てっ 買 取ら れ た のち
︑ イド
ツ大 銀行 引に 受 を与 えら れ る こ と によ てっ
︑ イド ツ手 形割 引市 場 で割 引か れ る こと
︑ こ こで の割 引信 用 が前 提 さと れ て︑ 北米 の銀 行 よに る手 形 の買 取 割引 が■ 能と され でい るの でぁ がる ヽこ れに よ てっ 輸出 商は 輸入 に商 よる 現実 の支 払に 先立 てっ 投下 資本 の先 取回 収を 実 現し うる いと うこ とで ある ま︒ た輸 入商 は︑ イド ツ大 銀行 の引 受信 に請 もと いづ て︑ 手形 の支 払期 日ま での 間︑ 商品 形態 での 前貸
︵船 積書 類の 貸渡 Yし によ てっ 輸入 代金 の支 が払 猶予 され るこ とに なる ので ある
︒ ざ ら に付 け 加え る べき 点 は︑ 手形 支の 払期 日ま で に輸 入商 によ てっ 棉. 花代︲
金 支の 払 が なさ れ とる
︑ それ 北は 米 の銀 行が イド のツ 行銀 にも てっ い る預 金勘 定 に貸 方 記帳 され ベ︑ ルリ 預ン 金 毛増 加 さ るせ て之 にな
﹁る
^引受 けら れ 千た 影 つ割 馴漱 金 の記 帳 しと て 考 え ても よい
︶︒ まつ り これ 北は 米 の銀 行 の イド ツの 銀 行 にた いす る対 外 債 権を なす も の であ てっ
︑ こ う し て銀 行 間債 権 債務 係関 とし て形 さ成 れ ると いう 点 であ る︒
. の よ う に し て︑ ア メ リ カ か ら
︱の穀 物
︑ 棉 花
︑ 銅 一︑
オ ー ス ト ラ リ ア ゃ ア ルゼ ン チ ン の 羊 毛 や 食 料
︑ ス
■エ デ ツ
︑ ス パ
・イ ン 産 鉱 石 な ど の厖 大 な ド イ ツ の 輸 入 に 対 す る 金 融 が 行 な わ れ た の で あ っ た
︒ ボイツ金融資本と国
︲ 際︲的信用制度の展開︵一じ
一一 一一 一