Wharton Schoolの稼働率指数
について
大 薮 和 雄
稼働率ほ生産関数,投資関数,景気指標など私利用され,また物の価格の動 き労働時間の動きなどを説明するための重要な経済指標である。わが国でも,
通産省調査統計部統計解析課において−,
生産能力生産指数(季節調整済)
×100.0
(1)
生産能力指数
という形で稼働率指数が計算されている。この小論の目的は,各種の稼働率指 数の計算法の中で,比較的簡単に・計算の可能なWhartonSchool流の稼働率指 数についての吟味と,わが国のとくに鉱工業を中心とするこの方法の適用とに ある。
Ⅰトレンド・スルー・・ピーク・メソッド
Wharton Schoolの稼働率指数といわれる稼働率指数の計算法ほ.,斗、わゆる trend−through−peakpmethod(景気の山を通るトL/ンドを用いる方法)といわ れる方法を放として,生産関数法を加味し長方法であるということができる。
この最終的な計算港を筆者ほ改良されたWharton School法と呼び,生産関数 法を加味しない前のものをトレンド・スルー・ピーク・メソッドと呼ぶととに する。そして,この節でほ,この方法についてのぺることにする。
この方法では,計辞しようとする稼働率指数を欝才期の生産能力をy占C,欝
≠期の実際の生産高をy↓とするとき,
働乙=老×100・0 (1.1)
(1)〔12〕,〔13〕参照。
250 第46巻 第4・5・6号
− β4 −−
なる式で求める。この分母の生産能力の概念は非常にとらえにくい概念であ
り,定義するのもむずかしいが,Klein,L.R.とS11mmerS,R・ほ,つぎの
ように.考えている。
「ある特定時におけるある産業の生産能力は,その産業がその通常の水準の 強度でその存在する資本ストックを運転するときに・,その産業の生産物紅対す
る需要が制限要因として−働かない場合に.,非常に短い時間内に達成可能なその
(2) 産業の最大持続可能産出水準である。」このような生産能力の概念は,実際に・ほ,
つぎのようにして計測される。
ほじめに.,季節調整済の四半期別生産指数の系列が用意される。、このように 調整されるのは,上の定義の持続可能という条件を満たすようにするためであ
る。
(1)つぎに,産兼がその最高の産出をしている時期を選び出すことが必要 である。そのような時期には能力産出豊ほ実際産出量に.等しいと考えられるか
らである。景気の山をさがす方法について,
Klein,L.R.とPrestqn,R.S.ほ,図のよ
(8)
うな4つの場合に.ついてふれている。いずれの 場合も・印の部分がピ−・ク(山)と考えられて いる。①の場合ほ,生産指数の系列をみ七,ピ
−クの前後のいずれの時期(≠−1,≠+1)よ りもピーク(≠)において高い値を示すとき,
その時期を相対的ピークとするとのぺている が,⑧,④の場合との関連で考えると,第≠+
2期の値は図のよう紅第f+1期の値より小で あると考えているように思われる。(参の場合ほ 欝f期以後数期間経過してもその値が変化しな
①ノ、㌔
t−1t t+1t+2
②′て二芦
何期聞か経過
③♪へ
④ ぷ
高台のような形になる場合で,
いときである。⑧の場合ほ,一・旦下落した生産鼠がふたたびもとの水準に.上昇
(2)〔6〕参照。
(3)〔5〕参照。
WIlaI・tOnScIl001の稼働率指数に、ついて
−β5−
251
した場合で,下落の期間が1期に・限られる場合である。④の場合は,⑧の欝才 十2期で,もとの水準以上に上昇した場合であるが,むしろ,これは省略した 方がよいように思われる。その理由は,欝才+3期でどのような値をとるか紅 よりピークと考えられない場合も生じうると思われるし,算才・十1,才十2期 を新たな欝トー1,才期と考えてピークか否かを検討すればよいと思われるか らである。以上の①,⑧,⑧紅ついて式であらわせば,
(1.2)
y _1くy占一>max(y£+1,y£.2)
ならば,欝才期を相対的ピークとする。
もし,
n_、1<n≧max(n十1,n.2) (1.2′)
ならば,n=坑+1のとき,欝才期を相対的ピ1−−クとし,n=yf.2のときはさ らに‡∵>n十∂なる条件が満たされれば欝メ期を相対的ピークとする。後者の 場合でさらに,yf=y£.3ならば,yf>y叫のとき欝≠期を相対的ピークとす るが,y‡=yh4ならばさらにy£>n.5のとき舞子期を相対的ピークとする,
以下同様につづける。
以上のようにして得られた相対的ピー・クに.おいて,他の情報からみてピーク と考えるとと紅反するような事情がないならば,また,相対的ピークが相互濫
近接(たとえば,2〜3四半期)していないならば事実上のピークと考える。
互いに近接している場合ほ能力産出がなめらかな動きをするよう転調整する。
非常に高い成長率の産業においては,産出の成長率が鈍化した場合相対的ピー
/′ クが起ったと考えるべきときもある。また,
図1−2のように・なっている場合,上記の やり方で考えれは算f期で相対的ピークが 起こるのであるが,それよりも1つ前の欝 才一1期で実際上のピークが起こっている と考える方がよい。もし,欝イー1期が異 図 1−2
第46巻 舞4・5・6号
− g6 − 252
常値である場合であるこ.とがはっきりしていれば,欝才期を実際上のピーークと 考え,欝トー1期は,100を超える稼働率となる。
(2)つぎの問題ほ,ピ−・クとピークの間の期間について−の能力産出の推定 である。こ.れは,簡単に.,ピーークとピ・−クの間を直線で結ぶこと紅よって補間 する。限界資本係数の一・定性がはぼ妥当する場合,資本ストックをだ£として,
」i∵=(Y」踪 (1.3)
こ.こで,αは−・定とする(』は.増分をあらわす)。
このとき,純投資をこのピ−・クとピークの間で一億とすると,yエeは直線的 上昇すること紅なる。投資の時間的な動きを利用してみた結果と直線補間と比
適疫 較してみて一大きな差はみられなかったというこ.とと,能力産出の技術的な推定
せ華感熱 砥が利用できる産業についても,ピー・クとピークとの間ではば直線と考えても
よいということもあり第一・次近似としてこの方法が認められる。
(3)最後の問題は,最初のピ−クより前の能力産出と最後のピー・ク以後の 能力産出の補外である。最初のピークより前の補外ほ.,第2のピ」−クと第1の
ピークを結ぶ線を延長して求める。
最後のピ−ク以後の補外は,普通最 後から2番目のピークと最後のピ−
クを結ぶ線を延長して求めるが,実 際の産出鼠が,その延長した水準を 超える場合は,最後のピ−クとそれ
敢後から 2目のど一
番ク
以後の最大値とを直線で結ぶことに 図 1−3
より補外する。新しい最後のピーク が確認されるまで,最後の部分の補外値は変動の可能性を含む。
ⅠⅠ改良されたWharton School法
上記のようなトレンド・スルー・・ピ−ク・メソッドの最大の欠点は,この方法砿 よってこ決められたピ」−クに.おいて,事実上の稼働率が100でない場合でも,形式
WbaIわn Sとboolの稼働率指数紅ついて 一一 37 −
253
(4〉
上ピークとされるため紅稼働率が100とされる場合があるということである。
この欠点を繍なう一つの方法が生産関数法であり,Ⅹ1ein,L.R.とP‡■eStOn,
(6) R・S・によ?て用いられた。その方法の概要はつぎの如くである。
ある特定の産業どとに,つぎのような変数と関数を考える。
晶:舞子期に.おける実際の産出塁 上勘:欝f期における雇用労働時間
だ翫:欝f期に.おいて一利用された実質資本 βr古:技術進歩の代理変数(βは自然対数の底)
仇:扱乱項
とするとき,実際の産出患を説明する生産関数ほ.,
晶=Aβγ才エβ£α麒〝↓βぴ£ (2.1)
最大能力産出鼠を説明する生産関数ほ,
盈£:欝才期における最大能力実質産出患
ん:欝才期に利用可儲な労働時間(実際には摩擦的失業が考慮されている)
」狐:罪f期で完全に利用された実質資本として,
jお£=Aβ7亡んαだ£β
(2.2)この式が(2.1)式と異なるのほ腐乱項を1とし,パラメータの推定値を代入 している点である。
究極的た求めたいのほ教£であるが,労働および資本を完全に・利用している ピーークとなるような点の数ほ非常に.限られているために(2.2)式を直接に.推定 することはできないし,(2u2)式中のんの値を求めることが困難である。ここ に,(2.2)式のパラメー・タの推定という問題とんをどのようにして推定するか
という問題が生まれる。(2.2)式のパラメータの推定を(2.1)式を求めるこ.と によって行なうとしても,(2.1)式中の&‰の数値が得られないという問題か 生じる。
(4)これを指摘したのは,Phi11ips,A小〔.8〕である。
(5)〔5.〕参照。
第46巻 第4・5・6号 254
−3β −
〉
産業ビとの資本の操業度の推定値が得られないので,つぎのことを仮定する
(81
ことにより,g仇を求める。
g的 +ヱ廠
▼− ̄ ̄ ̄ = −−−−
斤£ ん (2.3)
こ.の式の右辺の値もんが求められなければ得られないので,産業別のんのデ ー・タを得ることが二塵の意味で肝要であるごとがわかる。
(7) 産業別のんは,段階的に求められる。はじめに・,全産業合計値が,つぎに,
それが各産業に.分割される。
エ£:完全雇用における総労働カ エの:雇用された労働力 エぴf:非自発的失業 エノと:摩擦的失業 として,んは,
ん=エ¢£+エ仇+エノ;+∂〔ムーエ勘−エノ;〕
(2.4)と定義する。ここで,∂は雇用機会紅対する労働供給の反応係数である。(すべ て,人時数でなく,人数で測られている。)
卜・∂ \/∂\
\ェ −エビ£−り壱/
図 2−1
(6)このことを仮定することは,各産業の稼働率指数が各産業の雇用率の関数であるこ とになる。すなわち,(2.1),(2.2)式と(2.3)式を用いると,
㌫ニ(普)α+㌦
なる式を得るからである。このことを利用して,稼働率指数を求めたもの紅BIis00e,
G.等の研究〔2〕がある。(この場合,ガ =1と考えている。)
(7)生産関数は資本のデータの制約から11業種紅限られるが,エfは全産業部門に.ついて 求められる。ただし,農業および自営業従事者を除く。
WhaI・tOnScboolの稼働率指数紅ついて −3クー 255
この式をつぎのように変形する。
エβ£
)〕(2・5)
レエノゝ=エの〔1+1与富( エ仇
ここで,
エβ£+エ机+んカ エの+エ机十ん差
エ机+エノ;
(総失業率)
〝£=
エβ£+・エ机+・エ.差
エ/;
(摩擦的失業率)
〝ノ;=
エの+・エ仇十エ.石 とおくと,(2.5)式は,
レエノ去=払
(1+
ル才一甚ノ;
(2.6)
(1−∂)(ト一世)
とかける。
(8)
〝.差は2.67%,8は0.25とすることに・すれば,(2.6)式は,
囲−0.0267
レエノゝ=払〔1・0+ (2.7)
(1.0−−〃J)×0.75
この式に,実際に儲測されるエ勘,仰のデータを代入すれば,1−ム丁ん/去が得ら れる。エ釣のデータとしては,実際に働いた総労働時間を用いたために・,ムー エ.差ほ景気循環に応じて変動する。しかし,こ.の値は本来変動すべきではない ので,単調増加に.なるように,ピL−クを通る直線をあてほめた。
つぎの問題は,こ.の集計的完全雇用における総労働時間を産業に割りふるこ とである。完全雇用のピークにおける集計的雇用総労働時間に対する各産業の
(8)巧/ょが2.67%であることは,1953年のある四半期で〟りの最小値が2・・67%であったこ とによる。また,∂=0。、25とするのほ,ち/ゝ=烏エ と仮定して,(2.4)式を変形すると,
ム鋸→」k畑+エ木戸1・(丁㌔一ゑ)ェ 一丁告(ム鋸+エポ)
他方,Wbar■tO8Schoolの計豊モデルの計測に・よって得られ年式に エβ上+ム勘・十ちれ=61.2+.226才一。310(エ少£+ヱノi)
というのがあるので,両者の比較により,
0・310=
丁 これに.より∂=0.25を得ること紅よる。
欝46巻 第4・5・6号
ー 4クーー
256労働時間の割合を求め,その間の期間は直線補間軋より各産業どとの,各時欺 に・おける割合を推定する。この割合をさきの集計的完全雇用吟おける総労働時 間紅かけることに.より・各産業ごとのムを得る。
以上で得られたんのデー・タと実際の労働時間エβJを用いれば(2.3)式から だ物を求めるととができる。かくして,つぎの問題は(2.1)式のバラメー・クー の推定の問題に移る。
実際上の生産関数を求めるには,(2.1)式を直接紅求めるとマルチコの問題
が起こるので,分配のデー・タから告の推定値を求めておき,これを用いて生産
(9) 関数を計測する。計測のために用いられる式ほ,
ノヘ ′∂蕗=′融+γ才十α〔履折(雷)瑚物〕十わ軌 (2・8)
このよう紅して得られたA,÷・品,β=&(雷)を(2
かくして
&=意×100・0 (2.9)
より,生産関数法に・皐る稼働率を得るととができる0 最後に,以上により得られたR。を用いてW払を修正する方法であ れにほまず丘才一1柁との視琴檻より,適当な期間に・ついて,
(2.10)
坪‰=α+・∂晶+c才
なる式をあてはめ,Cが正であるもののうち有意な係数である産業について修 正を行なう。
昭一A=I和才−C才 (2.11)
なる式を用いるdただし,1960年以後の修正は,1960年の修正と同塵だけ行な
(9)(与)=÷ゑ一覧賢一 ,ただし,す動は咽点紅おける非飴所得,紗は≠
時点に.おける賃金所得である。
WhaI・tOn Schoolの稼働率指数紅ついて
ー4ヱ・−
257
う。また,集計的指数の修正ほ,生産関数が計測されたユ1業種について修正さ
(10)
れた畳だけ修正する。
ⅠⅠⅠ集計的稼働率指数のためのウェイト
さて,さきに.得られた産業別の稼働率指数の集計については,くわしいこと はのべなかったが,以下にそれについてふれてみよう。
簡単に云えば,個々の産業の重要度を考慮して,個々の産業別稼働率指数を 加重平均する。このようにしてよい条件としては,(1)ただちに体化できない
ような固定資本ストックが各産業ごとに存在する(2)各産業に利用可能な変郵 ヽ しうる生産要素が無尽蔵に.存在する(3)個々の産業の生産の水準が他のすべて の産業の生産とは独立であるが考えられる。(1)の条件は仮定して−もよいが,
(2),(3)ほ普通の場合成立しない条件である。(3)の逆の場合として,欝1 部門の生産物が第2部門の主要な投入であり,第2部門の生産物が第3部門の
主要な投入であり,…… ,等々といった場合に.は,ボトル・ネック部門の稼 働率が集計的稼働率指数の大きさを決定するようなこと紅なろう。
実際には,労働の供給にも限りがあり,各種の生産物は産業連関表にみられ るように相互にある程度の関連をもっている。そこで,集計的稼働率指数を個 々の産業の稼働率のデー・タから作りあげる最も適切な方法ということに.なると 困難をきわめるためつぎのような便法がとられて−いる。
第1の方法は,固定価格評価あるいほ時価評価の付加価値のウェイトを用い て加重算術平均することである。
第2の方法ほ,経済全体として,フル・キャパシティーと考えられる時点の 時価評価の付加価値の割合を他の時点について補間あるいは補外したものをウ ェイトとして算術平均するものである。
第3の方法としては,各時点の潜在産出
(10)これは,他の業種の修正される畳も等しいと仮定したこと紅なる。〔5〕p.43−44参 照。
258 第46巻 第4・5・6号
ー42 一
少亡豆
1野=ひ£名‥ (3.1)
(ただし,仇£は」期に.おける£産業の付加価値とする。)をクエ.イトとして算 術平均する。ただち紅明らかなように,これは各産業の付加価値をケエイトと する稼働率指数の調和平均である。
が£亀 ∑W好・−一
顧訂 ∑ぴf乞
(3.2)
∑ ∑一
これらの方法のうち,あとの2つの方法はいずれもある種の生産能力をウェ イトにする考え方である。
ⅠⅤ わが国のデータへの適用
以上のように.,Wharton Schoolの方法は,計静が容易であるばかりでな く,生産指数とはば同時的に.発表できるという長所をもっている。他方,その 最大の短所としては,さきにあげた,事実上のピ−クでないものがピークとし て考えられ,稼働率が高めになることである。しかしこれほ.,生産関数法により ある程度轟見でき修正できることが知られた。他の欠点としては,生産壷が滅
少傾向を示す場合,生産能力の推計をど うすればよいかという困難な問題がある ことである。図のPAとすべきか,PC とすべきかあるいはその中間をとってP Bとすべきか決定がむずかしい。
以下では,わが国の稼働率指数の試算
__一入
一一一一一一一一一■  ̄
________一−−B
図 4−1
(11)
についてのべよう。
(1)はじめに,仮のピ−クをさがす。ある期間才の生産指数の値をズ£,
その前の期の生産指数の値をズ↓_1,その次の期才+1に・おける生産指数の値を
(11)WhartonSchool法のイギリスに・ついての適用は,〔2〕,〔10〕にみられる0
WbaI・tOn Scb001の稼働率指数紅ついて! −4β−
259
為+1,その次の次の期ヂ・十2に屈ける生産指数の値を為+2とするとき,
芯>あ_1 為≧為.1
晶>為.2
が同時に成立するとき,才期を仮のピー・クとする。もし,(4.1),(4.2)が成立し て,ズ =Ⅹ£十2のときは,晶.>ズ£十8が成立するとき,才期を仮のピークとす る。もし,ズ£=ズ¢+2で晶=ズ£+8のときほ,さらにつぎの期の生産指数をみて あ:>晶十4のとき,ヂ期を仮のピー・クとする。以下同様に考える。
(2)最初の仮のピークが,最初の四半期のデー・タから5・四半期以内にあ るときは,(1)あるいは(3)の方法に・より求めたつぎの仮のピーク((4)の条 件を満たす)と直線で結んでみて,最初の仮のピーク以前に稼働率100を超え
る部分があらわれないとき,最初の仮のピ−・クを最初のピークとする。もし,
稼働率が100を超える部分が最初の仮のピーク以前にあらわれるときは,それ がなくなるように調整するため,最初の仮のピークをピークとしないで,それ より前の時点で最初のピー・クがあらわれることにする(図4−2参照)。
最初の仮のピ−クが最初の四半期から数えて6・四半期以後の時点であらわ
図 4−2
れるときは,最初の仮のピーークよりも左の部分について,上側から接線をひい
第46巻 第ノ4・5・6号 260
『 44 −
てみて,最初虹技する点を最初のピー・クとする。
以上のいずれの場合にも,つぎの仮のピ−クがピークとして確定したとき,
最初のピL−クとつぎのピー・クを線分で結び,最初のピーク以前についても,そ の線分を延長する、こと紅よって,生産能力の補外を行なう。
(3)さきに決まったピ−・クから,≠−1期,≠期,f+1期,才+2期の値
紅対して直線をひき,それらの直線の勾配をそれぞれα _1,α ,α∫+1,α∫十gと するとき,
α£>αLl
α上≧α£+1
αJ>αJ.2
(12) ならばf期の生産指数の値をつぎの仮のピ−・クと考える。
(4=煩次以上のようにして,ピークを決めてゆくとき,ある仮のピ−クと
(18) つぎの仮のピークとの間隔が,5・四単期以内であるとき,そのいずれかの仮
のピークをピークとはしないような調整を行なう。
(12)(1)の方法で決めた仮のど−クと,この方法で決める仮のピークが藍復する場合が あろうが,あえて(1)も採用したのは,(1)の仮のピ−ク発見法が容易であることも あり,ピ−ク発見のみとおしをよくするためでもある(最初のピークの発見に.は(1)
が重要な役割を果たす)。また,(3)を考えたのは,日本経済の特徴として,経瞬時系 列が単調増加関数を示す場合がしばしば考えられるからである。
(13)5・四半期以内に2つ以上のピークがあらわれないよう紅したのは,BuInS,A.F・
〔.3〕紅よれば,アメリカの1854−1961年のデータ紅ついての景気循環の長さの研究は つぎのようであり,
景気循環の長さ (単位:月)
この表の周期の最小値17か月から考えて,5・四半期内紅2つ以上のピ・−クは起こ らないと考えたためである。また,(1)および(3)で,ピ−ク以後の2時点で低落す るという条件を考えたのは,表の収縮期の最小値7か月を考慮している。
Wharton Schoolの縁働率指数について
261 一 度5−
図4−−3の〃のような場合は,PQRが下紅凸となるため,Qをピークとし ないで,PRを結んで生産能力とする。∂の場合ほ,P′Q′R′は上に凸となる
P一
図 4−3
が,Q′R′S′が下紅凸となるためP′Q′,Q′S′なる線分を生産能力とする。Cの ような場合には,P′′Q′′R′′およびQ′′R′′S′′ほ.いずれも上紅凸となるのでQ′′,R′′い ずれもピークとして−,調整を行なわない。
(5)最後のピーク以後の補外ほ,普通最後から2番目のピークと最後のピ
−クを結ぶ線を延長して求めるが,このようにしたとき,稼働率が100を超え る部分が生じる場合に.は,それがなくなるように調整する。新しい最後のピー クが確認されるまで,最後の部分の補外は変動の可能性が残る。
(14)
(6)生産指数が傾向的に低落している場合。その低落が5年以内セあれほ,
それまでの傾向催すなわち最後から2番目のピL−クと最後のピークを結んだ線 分を延長したもので能力産出を推定する。5年以上最後のピークの記録が破ら れない場合は,5年までは垂平線,それ以後ほ,(1)の条件を満たすピ▲−ク(こ れが存在しない場合は最後の四半期の生産指数の値)と垂平線との中点を通る
(14)以上では,ピ」−クは,あとのピ叩クはど高い位置をとると考えてせた。
寛亜巻 滞4・5・6号 262
− 46 −
直線を能力産出とする。また,10年以上最後のピークの記録がやぶられない場 合は,5年までほ,それぞれのピークと垂平線との中点,5年から10年まで軋
それぞれのピークと垂平線との距離の与の点,10年を超える部分は(1)の条件 を満たすピー・ク紅あわせる。(いずれもピークがない場合は,5年乱10年臥
(15) 最後の四半期を考慮する)
本来のWharton School法は,以上の(1)から(6)までの原則のみを適用 するような形式的なものではなく,他の各種の情報をとり入れ,より妥当な稼 働率指数を計算しようとするものであるが,ここでは,(1)から(6)のみを通
(16)
産省発表の季節調整済生産指数(伺加価値ウェイト)の系列に適用してみた。
他の情報をとり入れれば入れるほど指数はある意味で優良なものとなろうが慈 恵性が増すことになるということもあるので,できるだけ形式的に計静を行な ってみたわけである。したがって,より多くの情報をとり入れたり,ここに割 辞した稼働率指数の吟味は今後の課題である。
新しい昭和45年基準鉱工米生産指数では,業種分類のうち,「その他の工業」
の中に.,小分類としてゴム製品工農,皮革製品工業,金属製家具工業,プラス チック製品工業,その他製品工業を含んでいるが,ここでは,その他工業とし てほ,プラスチック製品工業とその他製品工業の系列の加重平均を用い,ゴム 製品工業,皮革製品工業は従来どおり中分類業種と考え,金属製家具工業は除 外して考え,そのクエイトは製造業の全体に・配分することにした。そ・して\機械 工菓は−・般機械工業,電気機械工業,輸送機械工業,精密機械工共にわけて考
えたため,全部で19業種紅分割することになった。
稼働率指数の集計的指数としては付加価値ウェイトの算術平均と調和平均を 求めること紅しセ。産業総合の稼働率指数のピ−クとみられる時期は,1953年 第4四単期,1957年欝2四半;軌1962年欝1四判臥1964年膚3四半期,1970 年第2四半期であり,経済企画庁の景気指数から得られた景気の山とはぼ・一・敦
(15)このような取扱いをするのは便宜上のことで,背後に・なんの理論も考えていない。
資本ストックの動きなどを考慮することも考えられる。
(16)資料については,通商産業大臣官房調査統計部統討解析課の田畑紀年氏に・いろいろ 衛教示いただいた。ここに深く感謝したい。
Wharton Schoolの縁働率拾数について ー47−
263
(17)
している。
表1におけるQほ通産省の季節調整済生産指数(付加価値クェイり であ り,Cはトレンド・スルー・・・ピーク・メソッドを適用して求めた生産能力指数
であり,働ほ×100・0に・より求めた業馴稼働率指数である0表2のAの
系列ほ付加価値クエイトの算術平均指数であり,Bの系列は調和平均指数であ
る。ただし,1953−1′−ノ1957−・4は昭和30年のウ工.イh1958−1′・・ノ1962−4は昭和35 年のウェイト,1963−1〜1967−4は昭和40年のウェイト,1968−1′−1973−3ほ昭和
45年のウェイトを用いている。
(1974.1.21)
参 考 文 献
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伽cβ♂成〝g,ざq/■才力♂βが∠−ガ蛸の如㌧訊竹親切流フ∫ね需烏翫・ざ 5加瀬㈹1968.
〔101〕Taylor,J.,D.Winter andI)..Pearce, A19Industry Quarterly Seriesof Capacity Utilizationin the United Kingdom,1948−1968,〃 Bulleii7iqf the
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〔11〕経済企画庁『経済変動観測資料』1973(1−3),p・・4。
〔12〕通商産業大臣官房調査統計部編『昭和45年基準鉱工業指数総覧』通商産巣研究社昭 和48年6月。
〔13〕通商産業大臣官房調査統計部編『昭和45年基準鉱工業指数年報48年版』道南産業研 究社昭和48年9月。
〔付記〕参考文献〔1〕は参隠することができなかったが,ここに眉己しておく。
(17)経済企画庁〔11〕に.よると,景気の山は,昭和26年6月,29年1月,32年6月,36年 12月,39年10月,45年7月である。
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第46巻 第4・5・6号 268
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