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(1)

373  

−47一・  

フランス扶養法の若干の問題   

−一養育義務と狭義の親族扶養義務の  

比較検討を中心として:−一   山 脇 貞 司   

Ⅰ 問題の所在  

私的扶養法ほ,社会全体の扶養法秩序のなかでどのような位置を占めており,  

かつ,占めるべきなのだろうか。当課題は社会保障法の発展がもたらしたも  

(1) のであり,ひさしく問われ続けてきている。その解明は現代社会が複雑な様相  

を呈するに.つれて,ますます困難になってきているとさえいうことができるで   あろう。各法分野ほいうまでもなく,隣接諸科学の協力なしには,その解明は   不可能なように・思われる。このような状況のなかで,民法学を学ぶ私ほ当課   題虹接近する3つの作業を当面考えている。第1の作業ほ比較法的研究であ  

り,第2の作業は法史的研究であり,第3の作業ほ民法上の扶養的性質を有す  

(2)  

る諸債務秩序の再構成の研究である。そこでまず,本稿では第1の作業とし   て,フランスにIおける扶養義務(obligationalimentaire)を概観して−みた次算   である。対象をフランス扶養蔭に.求めたのはつぎの理由からである。第1の理   由は,フランスではブルジョワ革命がきわめて典型的な形態で遂行され,資本   主義体制が順調な発展を遂げているため,フランス扶養法研究は,わが国の扶   養法を他の資本制社会の扶養法と比較研究する場合に・基本的な手がかりを与え  

(1)沼正也氏をはじめとして,西原道雄,小川政亮,稲子宣子,深谷松男,明山和夫の各    氏らの多くの研究がある。それらの研究紅ついてほ,於保不二雄編・注釈民法(23),1969,   

有斐閣く太田武男>363ぺ・−・汐以下紅引用された文献を見られたい。なお,松本時男「近    代フランス家族生酒の基礎」関大法学8巻2号もある。最近の文献として,法律時報亜    巻15号35ぺ−・ジを参魔のこ.と。  

12)扶養法・扶養契約法・終身定期金契約法・贈与法・相続法などが考察の対象となる。   

(2)

第44巻 第4・5・6号   374  

−4β− 

(3) るからである。第2の理由は,わが国の扶遵法の母法がいかなる性格のもので  

あるかの検討ほ,現行扶養法の諸規定の性格を決定するために・も重要であるか  

(3)  

らである。第3の理由は,そうであるのに.,フランス扶養法の研究はきわめて  

(4)  

少なく,私の研究がその間隙を少しでもうめることができればと思ったからで   ある。さて,周知のとおり,フランスでは,現今,私生子(enfant naturel)  

(5)  

を嫡出子(enfantl畠gitime)と平等化しようとする親子法改正案が,国民議会  

(6) (Assembl畠e nationale)で審議中であり,私的扶養法もきわめ{:流動的であ  

る。本来ならば,それをも踏まえて論じるぺきなのであるが,いまだ法案の段   階であるので触れないことにし,本稿ほ,とくに,親の未成熟子に対する養育  

(7)  

養務(Obligation d entretien)と狭義の親族扶養義務を比較検討しつつ,フラ   ンス扶養法を−・般的に概観するものである。   

フランス民法の条文の訳ほ,谷lコ知平・前掲書によった。   

判決の略記はつぎのとおりである。  

Civ.:Arret dela Cour de Cassation,Chambre civile,Section civile  Req:Arret dela CouIde Cassation,Chambre des Requetes  Tribciv.:Tribunalcivil   

雑誌の略記ほつぎのとおりである。  

RT =)C:Revue trimestIielle de dIOit civil    なお,判例集の引用は通常用いられている方饉常.よる。  

ⅠⅠフランスにおける扶養的性質を有する諸債務秩序の再構成   

扶養義務は,偶然に,金銭扶養料という表現をとるとしても,その性真上,  

決して金銭上の債務なのでほなくて,他者を生活させる義務なのである。そう  

(3)菊地亨・家族制度研究序説,1966,法律文化社,ほしがき3ぺ」一汐参照  

(4)谷口知平・現代外国法典叢書(抽仏繭西民法〔1二j,1956,有斐閣,木村健助・現代外国    法典叢書(15)仏前西民法〔町〕,1956,有斐閣,同「フランス法における夫婦間の扶重義務」関    大法学3巻4号,同「フランス法紅おける扶養義務」比較法研究8巻,右近健男・離婚    扶養の研究(大阪府大経済研究叢宙33),松本・前掲論文が目にとまる程度である。  

(5)HenriMazeaud, Une famille<宅dansle vent≫:1a famille horsmariage〃,D.   

1971‖ ChI・Onn 99.  

t6)朝日新聞,昭和46年12月11日  

(7)夫婦間と親の未成熟子に対する扶養義務以外の親族扶養義務をさす。   

(3)

フランス扶養法の若干の問題  

ー・49−  

375  

(8)(9)  

だから,扶養義務ほ,通常の債務と異る性質を菊するわけである。以上の叙述   ほ,民法上の扶養義務に.関するものであるが,社会保障法の発展紅伴い,扶養   的性質を有する社会保障法上の債務にも妥当することになる。さらに,社会保   障法の発展に触発されて,扶養的性質を有する通常の債務も,一定の範囲で,  

叙上の説明が妥当することに.なる。結局,社会全体の扶養法秩序が問題に・され   ることに・なり,民法上の扶養義務を基礎にして,扶養的性質を有する諸債務が  

(10)  

再構成される試みがなされるのである。たとえば,ぺリシェ(Jean Pelissier)  

り11  

ほ,彼の著書・扶養義務論(Les obligationsalimentaires)において,以下の   ように論を展開する。   

(1) 扶養的性質を有する諸債務紅関するぺリレェのテL−ゼ   

扶養的性質を有する諸債務には,起源の多様性(diversit6d origine)という   デーゼと他者の生活を保障するという目的の唯一・性(unit畠de destination)と   いうテーゼが該営する。そして,前者のテ−ゼにもかかわらず,後者のテ−ゼ   のゆえに,多様な扶養的性質を有する諸債務ほ,原則として,民法上の狭義の  

(12)  

親族扶養義務と共通の制度に従うことになる。  

(2) 扶養的性質を存する諸債務の分類   

扶養的性質を有する諸債務ほ,大きく2つのカテゴリーに分類される。   

算1のカテゴリーほ,血族(parent)あるいは市属という資格より生じ,家族   または社会の連帯関係(1ien de solidarit6)から生じる扶養的性質を有する諸   債務で,家族法上の扶養義務や社会保障法上の給付義務がそれに.該■当する。   

第2のカテゴリL−ほ,人の活動より生じ,法律行為(actejuridique)あるい  

L8=ean Carbonnier,Droit civil,t.2,8eed ,1969,Presses Universitaires de Fra−   

nce,nOl15  

191扶養義務の性質については,本稿Ⅴで述べる。  

(10)彼は1971年Klは,リオン大学法学部教授の地位に.ある(The world ofleaming参照)。  

(11)JeanPelissier,Les obligations alimentaires,1961,LGりD.J単紅民法上の狭義    の親族扶養義務だけでなく,多様な民法上の扶養義務を扶養的性質を有する債務全体の    なか紅位置づけで考察の対象にしているので,寄名が複数になっている点を注意された    い(preface paIRoger Nerson参顆)。  

(12)idem,p.3,なお,preface par Roger Nerson参照   

(4)

376   第44巻 第4・5・6号   

ー50−  

ほ法的所為(faitjuridique)から生じる扶養的性質を有する諸債務で,商取  

引(commercejuridique)・契約(contrat)・不法行為(d61it)による債務がそ  

(13)  

れ紅該当する。   

(3) 扶養的性質を有する諸債務の基礎   

扶養的性質を肯する諸債務の基礎は,要扶養者の困窮状態にあるのでほなく,  

要扶養窄が家族関係・契約から生じる関係(1iend originecontractuelle)●不  

(14) 法行為から生じる関係を脅していることにある。したがって連帯関係から生じ  

る家族法上の扶養義務と社会保障法上の給付義務が,扶養的性賓を有する諸債   務秩序の中核に位置づけられるのである。まず第1に・,家族のメンバーほ;  

共同生括をするときはもちろんのこと,共同生活をしていないときでも,扶養   関係にたつ生活共同体(communaut畠)を常に・形成する。そ・のような基盤のも   とに,扶養義務は,そのメンバーの四散に・もかかわらず,家族に・おける統一・  

(柑) (un舶)と連帯の最小限を維持するのである。さらに第2に・,要扶養者ほ貧し  

いからではなく,国民のすべてのメンバ一間に連帯の法則(loi)が存在するか  

(16)  

ら,社会保障法上の給付の権利に・よっで二息に保護される。以上の2つの義務   に.,葬2のカテゴリー一に鳳する債務が加わるととに・より,それらが相互依存の  

(17)  

関係に立って,要扶養者に扶養が提供されるのである。   

(4) 家族法上の扶養義務   

家族法上の扶養義務に問題をしぼってみると,その義務のうちに・も,夫婦間  

の扶助義務・離婚後の扶養義務・養育義務・狭義の親族扶養義務というように   多様性がみられる。離婚後の扶養義務紅ついてほ,通説・判例は,扶養定期金   ほ婚姻中の扶助を離婚によって失ったことに対する賠償であり,したがって,  

(18) 扶養と賠償の両方の性質があると解しており,また,養育義務を狭義の親族扶  

(13)idem,p.6et s 

(14)idem,p‖5  

(15)GabrielMarty et Pierre Raynaud,Droit civil,t 1,VOl 2,2eedr,1967,Sirey,   

nogO 

(16)PelissieI,pp 7et15 

(17)idem,p.7 

(18)右近健男「離婚扶養の根拠とその性質」私法33号,1971,有斐閣,614ぺ一−ジ 

(5)

フランス扶養法の若干の問題  

−・古∫−  

377  

(19)  

養義務とほ別異の義務と解している。しかしながら,ぺリンェは,扶養的性質   を宿する諸債務の起源の多様性と目的の唯一L性という彼のテーゼに・基ずいて,  

離婚後の扶養義務も,養育義務も,狭義の親族扶養義務と同一・の準則(Ⅰ畠gle)  

(20)  

に.従うと主張するのである。   

以l二のような扶養的性質を有する諸債務秩序の再構成の試みを踏まえなが   ら,つぎにフランスにおける家族法」二の扶養義務の個別的検討に移ろう。   

ⅠⅠⅠフランスにおける扶養義務者の範囲  

(1)夫婦間の扶助義蓼(devoirdesecotlrS)  

夫婦扶養は婚姻効果の一・側面であり,主として,扶養義務とほ別の夫婦財産  

(21)  

制度に従うので,本稿でほ割愛する。   

(2) 直系嫡出血族間の扶養義務   

フ属§205ほ「子ノ、扶養ヲ受クル必要アル父母又ノ\其ノ他ノ直系尊属二対レ   扶養ヲ為ス義務ヲ負フ。(以下略)_lと規定し,フ民§207は「此等ノ規定ヨリ  

(22)  

生ズル義務ハ相互的ノモノトス」と規定する。直系嫡出血族間の扶養義務のう   ち,とくに・,親の子に対する養育義務について,ここで若干検討を加・えておく。   

フ民§203は「配偶者ハ婚姻ヲ為シタルノ事実ノミニ依リチ,其ノ子ヲ養育  

(nourrir)扶養(entretenir)教育(6lever)スルノ義務ヲ相互二約諾スルモノ  

(23)  

トス」と規定する。本条は嫡出子(準正‖子(enfantl畠gitim畠)をも含む)に・しか   適用がない。しかしながら,親の養育義務について,嫡出子と私生子を区別す   る理由はないから,「子をつくる老は,その子を養育すべし(Quifaitl enfant  

(19)Hemi,Lるon etJean,Mazeaud,LeGOnS de droit civil,par MicheldeJuglart,   

thl,VOl2,4eed,1967,Montchrestien,nOl198,Carbonnier,nO126,Fe川and Derri−   

da,L,obligation d,entretieIl,1952,Dalloz,pp‖335et S 

(20)Pelissier,pp.460et s 

C21)Martyet Raynaud,nO42,Carbonnier,nOl12,しかし,ぺリVェは一,夫婦間の扶助    義務も扶養義務の一つにすぎないと主張している(Pelissier,p27)。  

(22Jこれらの扶養義務の規定(フ民§§203〜211)が婚姻より生ずる義務の節に位置を占    めていることに注意されたい。  

位3)私生子はその父母が婚姻すると,嫡出子と同じ法的地位を取得する(フ民§§331,   

333)。   

(6)

輝44巻 貨4・5・6号  

−β2−  

378  

doitle nourrir)」というロアゼル(Loysel)の格言が,実定法上の準則とし  

(2ヰ) て確立しているのである。  

ところで,養育義務と狭義の親族扶養義務は,学説上,区別されている。こ   こで,−・般的に論じておこう。  

(26)   

両義務を明確に区別してデリダ(Fernand Derrida)はつぎのようにいう。   

狭義の親族扶養義務ほ多数の世代を−・群とする家父長制家族(famille pat工■ト   aI・Cale)の拡大的性賓に対応しており,他方,養育義務は父母とその子から構  

\加\  

成される近代家族(fami11e moderne)の制限的性質に.対応している。前者は,  

家族関係(1ien de famille)のうちに存在し,後者は血族関係(1ien de pare−  

nte)のうちに/存在する。「ニつの関係ほ一・致しない0すなわち,家族は法によ   って組織された集合である。したがって,家族関係は法的関係なのである。血   族関係は血の共通から生、じるのであり,血族関係は自然関係である。両者の各   々は異った起源(origine)を有している。すなわち,家族の淵源(source)  

ほ,婚姻・認知・養子縁組というような法に・よって−承認される(reconnu et   sanctionn畠)大部分任意的所為(fait en grande partie volontaire)のうち   みいだされる。家族上の諸義務ほ肉体的本能や物質的生活の必要から自立した  

(ind6pendantes)遺徳秩序からなっており,人間性から生じる宗教的・法的・  

経済的諸概念に依存している。血族関係の起源ほ物質的所為(faitmat畠riel),  

すなわち,生殖(pI■OCI・るation)のうちにみいだされる。それから生ずる諸義   務ほ肉体的・物質的必要の満足を目的として有し,いわば本能の遂行を構成す   

(27)   (公)  

る。」したがって養育義務ほ狭義の親族扶養義務から自立した制度である。   

学説は,両義務をデリダがするようには.明確に区別しないのであるが,−・応,  

l  

(24)Carbonnier,nO126,Pelissier,p。58,Civ.?7nov,1935,D.P。1936.1‖25(nOte    de Rouast) 

(251彼は1971年にほ,・ニ−ス大学法経学部教授の地位に.ある(The world ofleaming)。  

C26)Derrida,p339 

但7)idem,p・58  

伽)idem,p44   

(7)

フランス扶養法の若干の問題  

−・53−  

379   

(29)  

以下の図式のように.区別して:いる。   

狭義の親族扶養義務   養  育  義  務   

① 「子をつくる者ほ,その子を養    許すべし」という道徳原別にした    がう。生殖常基礎があり,父母の    みが負担する義務である。  

④・一方的(unilat≦ral)である。  

(30)  

⑨ 子に必要がなくても存在する。  

① 親の未成年子に.対する関係を除    き,すべての尊属・卑属間,摘また    は嫁と義父母間に存在する義務であ   る。  

㊥ 相互的(r6ciproque)である。  

④ 必要がなければ権利ほ発生しな   い。  

(薮 原則として,未成年子(eIlfant  

(31)   

mineur)に対してのみ存在する。  

④ 年齢と無関係に存在する。  

それに対して,ぺリレ工は図式の①については賛成しつつも,両義務の区別   を否定する。彼ほ,デリダに.対する批判を通して,つぎのように主張する。   

監澄負担の個人的な而は,養育義務から分離されるので,養育義務は金銭上  

(32) の義務にすぎない。デリダは,養育義務ほ血族関係のうちに膚在し,狭義の親  

族扶養義務は家族関係のうちに存在するというが疑問である。たとえば,養親   子関係は,家族関係であるが,養子が未成年子の場合には,養親ほ養子に対し   て当然に養育義務を負うから,養育義務の基礎は常に血族関係とは・いえない   し,血族関係もまた狭義の親族扶養義務の基礎なのである。したがって,両義   務ほ,家族関係または血族関係という同じ基礎からなるので区別されない0尊   

但9)MazeaudetdeJuglart,nOl198,Derrida,ppl335etSICarbomier ,nO126  冊 具体的にいえは,教育費は,養育料のうちに含まれるが,扶養料には含まれないこと   

や,子紅資産がある場合,その収益は養育費に充当される紅レても,資産の売却まで強    いられないことなどがあげられる。本稿ⅠⅤで再説する。  

(31)親権との関連で未成年子となっているが,未成熟子と解してよいと思われる(CaI−   

bonnier・,nO126)。  

62)Pelissier,p290   

(8)

380   第44巻 第4・5・6号   

−J了・才 一  

属と卑属の間にほ,未成年子の権利が狭義の親族扶養の権利と少しも区別され  

(33)  

ないで,常に扶養の権利が存在する。   

両義務の検討ほⅠⅤ以下でさらに加えられるであろう。   

(3) 婿または嫁と義父母間の扶養義務   

フ民§206は「女婿及嫁モ又同様ノ事情アル場合二於チ,其ノ義父母二対レ   扶養ノ義務ヲ魚フ,但γ此ノ義務ノ\姻族関係ヲ生ゼシメタル山・方配偶者及他ノ  

(34)  

配偶者守ノ結合ヨリ生マレタル子が死亡レタルトキハ消滅ス.」と規定し,婿ま   たは.嫁と義父母間の扶養義務は,フ戌§207により相互的な扶養義務に・なる。  

(35)  

子が失跡した場合も扶養義務は消滅すると解されている。但沓の理由ほ,一・ガ   配偶者の死亡と他方配偶者との結合より生れたる子の死亡またほ失跡の場合に   は,「生残配偶者と先死配偶者の父母との間に何らの関係も存しないと考えら  

(38) れるからである.」。さらに,規定ほないが,判例上,配偶者が離婚するときは,  

(37)  

その間の子の有無に.関係なく,婿または嫁と義父母間の扶養義務は消滅する。  

ただし,以上の場合でも,婿または嫁と義父母間にほ自然債務(obligation na−  

(粥)   (39)  

turelle)としての扶養義務が残存する。   

(4) 兄弟姉妹間の扶養義務   

フランス民法には,兄弟姉妹扶養の規定がない。大家族の年長者に荷を負わ  

(40)  

せすぎることを憂慮したところにその理由があると思われる。しかし,婿また   は嫁と義父母間の扶養義務を認めて兄弟姉妹扶養を認めない不均衡さは批判さ  

(33)idem,p。53  

(34)子孫も含まれると解されている(谷口・前掲番192ぺ−ジ)。  

(35)Mazeaud et deJuglart,T)O1206   伽)谷口・前掲番192ぺ一汐  

C37)Civ13juill、1891,D,P1893.1.353 

(38)自然債務としての扶養義務とは,道徳義務(ObligatioTlmOI■ale)の強化された−・種    の法律的義務であり,義務者の約束により民事債務(Obligationcivile)に転化され    るものをいう(木村「フランス法に.おける扶養義務」比較法研究8巻32ぺ・−汐参照)。  

伽)Mazeaud et deJuglart,nO1206  

(40)Les TravauxdelaCommissionder6formeducodecivilニ t.vII,Ann6e195ト   

52,p.105,ドゥ・ラ・モランディエル(dela Mor・餌diとⅠ・e)の意見 

(9)

フランス扶養法の若干の問題  

381    ー∂∂−  

(41) れており,判例も,その批判を部分的に考慮して,兄弟姉妹間紅自然債務とし  

(42)  

ての扶養義務を認めている。なお,民法典改正委員会は,兄弟姉妹挽養につい   ては,自然債務の存在も規定しないで,従来どおり,判例に・ゆだねる甲が好ま  

(43)  

しいとの立場をとっている。   

(5) 直系養子血族間の扶養義務   

完全養子縁組(adoption pl由1i6re)の場合ほ,もとの親子関係は消滅し(フ   民§356),養子ほ養親の家族において嫡出子と同様の権利義務を有するので,  

扶養義務も存在する(フ民§358)。したがって,もとの血族関係より生じる扶   養義務ほ消滅する。普通養子縁組(adoption simple)の場合ほ,養親と養子お   よびその嫡出子に血族関係ほ広がるので(フ属§366),その間にほ扶養義務が   存在する。なお,普通養子の場合にほ,扶養義務は,養親が実親より先順位で   負うけれども,養子と実親間に従来通り存続する(フ民§367)。   

(6) 私生血族間の扶養義務   

(a) 私生の朝子間の扶養義務   

単純私生子(enfant naturelsimple)(未婚者の子)ほ,親の任意認知(re−  

COnnaissance volontaire)(フ民§334)またほ父の捜索訴訟(reche工℃he dela   paternit6nature11e)(フ民S340)に・より,法律iの親子関係が確定し,原則  

として,その効果である扶養の権利を宿する。「子をつくる老ほ.,その子を養   育すべし」という実定法」二の準則がその法的根拠である。私生の父が詐欺に  

よって(dolosive)私生の母を誘惑(s畠duction)した場合に,1955年7月15日  

(44) は雪面による証拠を不必要にして,私生の父の捜索を容易にしたけれども,  

(4さ、  

父の捜索訴訟の受理要件(conditions de recevabili縫)に該当せずっ または   

hl)Pelissier,p147・民法典改正委員会でも,未成年の原告に限定された兄弟姉妹の扶養    義務を目的とする提案が4対3の僅少差で否決されている(TravauxVII,p.106)。  

仏勿 Reqい 7.maI・S1911,DP1913小1.404 

(43)TravauxⅦ,p106 

㈹ 民法典改正委員会は,さらに・,父子関係の証拠の完全な自由を提案している(Tra−   

VauX,t VI,Ann占e1950−51,p298.)。  

個 父の捜索訴訟の受理要件は以下のとおりそある(フ民§340Ⅰ)。①誘拐(enl昌ve−   

ment)または強姦(vi01)の時と懐胎(conceptioI】)の時との−・致⑧詐術(manαuVreS   

(10)

簡44巻 籍4・5ひ6弓  

−56・−  

382  

(48)  

訴不受理の理由(fin de non−reCeVOir)に該当すれほ,法律上の父子関係ほ確   定しえ.ず事実上の父子関係となる。さらに,単純私生子が父の捜索訴訟の提起  

(47)  

期間を渡過したり,訴訟開始のときに不在の場合にほ,単純私生子ほ法律上  

(48)  

の親子関係を確定しえず,事実上の単純私生了:となる。事実上の姦生子(enfant   adult6rin)・乱倫子(enfantincestueux)に扶養訴訟を認めるフ民§342の類推   適用が,事実上の単純私生子に認められるかという問題紅ついて−は.,学説は肯  

(49)  (別)  (51)  

定・否定両説があるが,判例ほ,最近,否定説から肯定説に.転じた。   

以上の点より,法律⊥の単純私生子ほもちろんのこ.と,フ民§342の扶養訴  

(さ2)  

訟の受理要件を充たすかぎりで事実上の単純私生子・も,扶養の権利が認められ   ている。フ戌§342の扶養訴訟の受理要件を充たさない事実上の単純私生子咋・  

ほ,自然債務としての扶養の権利があるだけである。なお,単純私生の親子間  

(さ3)(64)  

でほ,扶養義務ほ相互的である。  

dolosives)等による誘惑⑨父子関係の明白な自白(aveu non6quivoque de paternit6)   

④懐胎の鎮定期間中の公知の内縁関係(COnCubir)age nOtOire) ⑤いわゆる父が父の資    格として,子の教育・養育への関与  

極6)訴不受理の理由ほ以下のとおりである(フ民§340Ⅰり。①懐胎の法定期間中の母の公    知の不行跡(inconduite notoir e)またほ.母といわゆる父以外の者との情交関係(CO・   

mmeICe) ④子の父であることの物理的不可能(impossibilit畠physique)⑨被曽が    父でありえないことを確認する血液鑑定(examen des sangs)  

(押 その提訴期間は原則として,子の出生後2年であり(フ民§340Ⅳ),同棲であれ,子    の扶養と教育に対するいわゆる父の関与であれ,その場合に.はそれらが停止してから2   

年である(フ民§340V)。  

(48)Pelissier,p.72.  

(凋 肯定説とレて,ハ−ディ(HaIdy)は「疑いなく,論理・衝乎および慣習法上の準則は,  

1955年法のうちに,常に私生子のための扶養訴訟の観念をみいだすのである」という  

(HaI・dy,一lC.P.1958.2.10607)。マゾオ=ドゥ・汐コグラ−ルも「1955年法は,事実上    の単純私生の親子関係の場合に,判例に,撃に自然債務ではなく,民法上の扶養義務の存   

在を認めるようにし向けたと考えられる」という(Mazeaud et deJuglart,nO1201.)。  

否定説として,ペリレェは,フ民§342の扶養訴訟は姦生子・乱倫子が,将来第3者    により認知され または準正子とされる可能性を残しつつ,姦生子・乱倫子の生存のた   

めの必要な扶養料を直抜得ることを句能ならしめるものであり,親子関係を捜索しうる   

単純私生子に対しては,その捜索訴訟の提起を容易にすることにより救済されるぺきで    あるという(Pelissier,pp.75et S)。  

(弧 Civ.13janv1959,D√1959.′ 62  伍1)Civ.20mai1969,D.1969429   62)姦生子・乱倫子の扶養義務の部分で述べる。  

63)Pelissier,pp.54et s.   

(11)

−57−・−   

フランス扶養法の若干の問題  

383  

姦生子・乱倫子の扶養義務については,1955年7月15日法(フ民§別2)  

が,事実上の姦堕子・乱倫子に.法律上の親子関係を確立させないで扶養請求を   認めた。したがって,本条ほ単純私生子に.認めたフ屈辱340の身分訴訟(actioil  

(さB)  

d,畠tat)とは興った扶養訴訟(actionalimentaire)という名称が与えられる。  

ところで,フ民§鎚2の扶養訴訟の受理要件であるが,親子関係の立証につきフ  

(66)  

民§340の要件を類推適用すべきであるとする学説もあるが,フ民§鎚2ほ廟子   関係を確立する目的をもつフ民§340と違って扶養料を授与するのが目的であ  

(即)  

るので,姦生子・乱倫子はフ属§340に・規定する5つの受理要件に該当しな   くても父に.対して扶養料請求ほ可能であり.,訴不受理の理由にも衝突しない  

(園)(89)  

というのが学説・判例の認めるところである。そうであるけれども,扶養訴訟   ほ,姦生・乱倫の親子関係をあばき嫡出家族の解消を導く可能性があるの   で,扶養訴訟ほフ民§340により確定された受理要件である父子関係に蓋然  

(50)  

性があり,おおよそ確かである場合にしか受理されないことになるであろう。  

(61)  

なお,扶養訴訟の提起期間ほ,フ民§340の身分訴訟より巾広く解放されてい   る。すなわち,21歳までに扶養訴訟が提起され,姦生子・乱倫子に扶養の権利が   確立した場合とか,そうでなぐても,姦生・乱倫の父が規則正しく扶養義務を履   行した場合などのように.親子関係の事実が存在すれば,姦生子・乱倫子は22歳後  

(5亜 フ民§337(配偶者ノー・方が,婚姻以前二其ノ相手方配偶者以外ノ者レ間二挙ゲタル    私生子ノ利益ノ為ニ,婚姻中為シタル認知ノ、,其ノ相手方配偶者及此ノ婚姻ヨリ生レタ   

ル子ヲ害スルコトヲ得ズ(以下略))は,私生子保護の観点から問題があったので,1970    年12月31日法によって削除された(RT.D C」1971,p435)。  

(55)Pelissier,p68 

(56)Ripert,Chron.I)1956h134,GeorgesRipertetJeanBoulanger,Trait6dedroit    civild・apresle trait畠de Planiol,t1,1956,LGDJ,nO1959 

(57)本稿注鵬参照 

6B)Rouast,nOte au D.195963etnote au Dl1956l151,Mazeaud et deJuglart,   

n0994,Martyet Raynand,nO451,Carbonnier,nO84,Minjoz,JouInalofficiel,p    2612,Cit6de R TD.C.,1956,p323,Pelissier,pp,72et s 

(59)Civ,13Janv.1959,D.1959.61  

(60)Pelissier,pp.89et s 

飢)本稿注㈲参照 

(12)

貸44巻 鱒4・5u6号   384  

−5β−  

であっても扶養訴訟を提起しうる。なぜなら,それは扶養の権利を確立するの   ではなく,その履行を始めさせるにすぎないからである。したがって,叙上の   場合に該当しない姦生子・乱倫子腰,22歳後にほ扶養訴訟を提起しえない。扶  

(62) 養の権利の確立があまりにも遅いというのがその畔由である。   

以上の点より,姦生子・乱倫子はフ戌§342の扶養訴訟の要件を充たすかぎり,  

扶養の権利を有するわけであり,21歳までに裁判】ヒ扶養の権利が確立したとか,  

そうでなくても姦生・乱倫の父が規則tl三しく扶養義務を履行していたなどのよ   うに親子関係の事実が存在すれば,22歳後においても扶養訴訟を提起しうるの   である。叙上の場合に該当しない姦生子・乱倫子ほ,自然債務としての扶養の   権利があるだけである。なお,姦生子・乱倫子・の親に対する扶養の権利が確立  

(q3)  

しても,その親ほ姦生子・乱倫子に対して扶養の権利はない。この点につき,  

民法典改正委員会ほ,姦生・乱倫の親ほ.養育義務を履行してはじめて扶養の権  

(64)  

利を姦生子・乱倫子に対して得ることができるとの提案をしている。   

(b) 2親等以上の私生の血族間の扶養義務   

単純私生子の場合にほ,単純私生子とそ・の親の尊属間にほ法律上の血族関係   はなく,したがって,扶養革務も存在しない。自然債務としての扶養義務が存   在するだけである。他方,単純私生の親と単純私生子の卑属にほ,法律上の血   族関係があり,したがって,扶養義務も存在する。   

姦生子・乱倫子の場合にほ,彼らとその親の尊属間ほ勿論のこと,姦生・乱  

倫の親とその子の卑属間にも法律上の血族関係がなく,したがって,扶養義務  

(85) も存在しない。単純私生子・姦生子・乱倫子とその父母の尊属間に扶養義務が  

62)Pelissier,pp.83ets 

僻)その理由ほ,姦生・乱倫の親は非難されるべきフォ・−ト(faute)(日民§709にいう   

「過失」とはかなり遜った概念)を有しているというところにある(Tr ibCivde    Seine,13apr1950,Gazh Pal50 2hlO4)なお,根拠規定もない。  

(64)TIaVauXⅦ,p‖129  

(65)Pelissier,pp,109et s 

(13)

−・59−  

フランス扶養法の若干の問題  

385  

(¢6)  (87)  

(¢8)  

存在しない点についてほ,学説・判例のおおよそ・一徹するとこ・ろであるが,姦   生・乱倫の親とその子の卑属間に扶養義務を認めない点については,異議があ  

り,民法典改正委員会も,扶養義務ほ嫡出または私生の父母・彼らの子そして  

(q9)  

その他の嫡出またほ私生の卑属の間に.存在するとの提案をしているのである0  

ⅠⅤ 扶養義務の対象(objet)  

扶益義務の対象を考察する前に,扶養義務の成立要件について触れておこう○  

ぐ70)   

扶養義務ほ,扶養権利者の必要と扶養義務者の資力が存在すれは発生する0   裁判所は,当事者の社会的地位を薗酌し,絶対的裁運権をもって決定しうるの  

(71) である。近代市民法礎,原則として,人間関係を個人対個人の権利義務関係と  

してとらえるのであり,扶養義務もその例外でほないのであるが,フランスにお   いてほ,扶養権利者の必要を扶養権利者およびその家族の必要と解している学  

(72)  

説も散見され,家族員も扶養権利者であれは問題はないが,そうでない場合に   は,その法理論のたて方が注目されるところである。   

扶養権利者の必要については,つぎの点が問題となる。   

66)Mazeaud et deJuglart,nOl199,MartyctRaynaud,nO43,Planiolet Ripert,   

Trait6pratiquededIOit civilfranGais,paIAndr占Rou?St,t2,2Ced小1952・nO26,   

LagaIde,RTD.C.1950,pp..491et s,LouisJosserand,Coursdedroitcivil   

positif franGais,t.1,1930,Sirey,nO1246  

67)Civ29mars1950,D.1950.593(note de Carbonnier) 

略説 なお,カルポニ.エほ次のように異議を唱える。「私生の親子関係ほ血に基ずく深奥に    ぉいて,裁判認知または任意認知により宣言される」のであるが,「もし血の共通がか    ような効果をもつはずであるとすれほ,血の共通が認められるところはどこでも,それ    は絶対的な効果なのである」。「法が若干の民事上の権利(dI・Oit civil)(相続権)を私生    子紅与えることを拒否するからといって,自然の権利(droitnaturel)に基ずく子である    私生子は,自然の嘩利,とく紅扶養料を祖父母に謂求する権利を奪われるという結論紅    はならない」(Carbonnier,nOte auD.1950.596)。  

伽)TIaVauXlⅦ,p、129.  

(70)フ民§208は「扶養ハ扶養請求者ノ需要卜扶養義務者  ノ資力トノ比二従ヒデノミ之ヲ    付与ス」と規定する。  

(71)谷口・前掲苔192ぺ・一汐‖  

け2)MartyetRaynaud,nO45,Carbomier,nOl15,Nouveaur6pertoirededroitpubli畠   

sousla direction de EmmanuelVeIg畠,Roger de S6gogne,t。1,2eed,1964,   

Dalloz,乃016   

(14)

第44巻 第4・5・6号  

−6 0−  

386  

(73)  (1) 容易に換価しうる資産があれはその売却が前提となる。ただし,  

資産所有者でも売却が不利な条件でしか行われぬ場合ほ,必要があるものとさ  

(74)  

れる。   

(2) 扶養権利者が裁判別居(s畠paration de corps)の妻の場合,そ・の   持参金(dot)および保持が認められている動産(mobilier)から偶然生じた金   額とか,監護義務と両立しない就労によって偶然生じた金額ほ,扶養権利者で  

く7∂) ある裁判別居の妻の資力には含まれない。   

(3) 所得の実際の欠如がなけれはならない。すなわち,扶養権利者の労   働に‥おいて,まず生存手段を求めなけれぼならない。したがって,実際の怠惰  

ぐ7さ)  

ほ扶養権利者の必要の要件を欠く。   

(4) 養育義務紅つき,学説・判例はつぎの点を承認している。父母が子   の個人財産に・対し法律iの収益権(jouissance16gale)をもっていない場合   に,子の個人財産(biens personnels:)K,収益(revenus)があれば,まずそれ   が養育費にあてられる。子の収益が不十分な場合にのみ,その支出は.父母の負  

(77)  

担となる。さら軋,親が十分な所得(工・eVenuS)を萌しないときにほ,親正子   の資産から養育費用を先取りする(pI・畠1eve工)ことさえ可能であるとの下級審  

(78)  

判決もみられるが,その点につき学説は明らかでないようである。   

つぎ紅,扶養義務の存否を確定するに.あたり,扶養権利者の有資性は考慮の   外におかれる。なぜなら,扶養関係は,道徳的に・は中性の純粋隕経済的に与え  

ぐ7g) られた必要と資力の二つの関係として考察されるからである。それゆえに,扶  

(73).Carbonnier,nOl12  

桐)Ambroise Colin et HenriCapitantIefondu par L占onJulliot delaMorandi主re,   

Trait占de droit civil,t‖1,1957,Dalloz,n◇1306  

(75)Douai,28juill‖1953,Dい1954.477  U6)Carbonnier,nOl12 

(叩 Aubryet Rau par PaulEsmein,Droit civilfranGais,t.XI,6eed.,1953,− Lib・   

rairies Techniques,§547,MartyetRaynaud,nO236,Carbonnier,nQ126,Ripertet    BoulangeI・,〝02319  

W8)TIib.civ.de Marsei11e,23mai1891,Gaz.Pal.一T.Q.1892−97,Vtute11e一−・tuteur,   

が96,Rennes,9nov.1878,S,1879.2181,  

Ⅳ9)Carbonnier,が115 

(15)

フランス扶養法の若干の問題  

−6−J−  

387  

(80)  

養権利者の不行跡(inconduite)が必要原因であっても,扶養権利者が扶養義  

(81) 務者に対して不法行為(toftS)を犯しても,扶養の権利を消滅させない。せい  

ぜい,相続粧.関する欠格事由(殺人未遂(tentative de meurtre)または誹詩  

(calomnieuse)だと判断された主要な告訴)がアナ・ロジ㌧イによって扶養の梅  

(82〉  

利を消滅させてしまうかどうか  という問題が議論されるぐらいである。しかし   ながら,ペリレェほ非常紅重大なフォートを血族またほ姻族に対して犯した   者にまで,血族またほ姻族が扶養を義務づけられる点について疑問を提出して  

(83)  

いる。この間題濫ついてほ,扶養権利者の不怯行為ほ扶養料の確定において考  

(84)  

慮されるので,法理論上ほともかく,実際上の差異ほそれはど生じないことに   なろう。  

さて,扶養義務の対象の検討にはいろう。−・般に,生活必要費,すなわち,  

(85) 衣料費・食費(nou工Ⅰitu吟)・住居費・畷房費・治療費・葬式費用などがそれ  

(86) に属する。ただし,扶養義務の対象として,配偶者間にのみ訴訟費用補助金(p工■0−  

vi主ion adlitem)が義務づけられうるが,一・般には,扶養料のうちに・訴訟費用  

(87)(8S)  

(charge d un proces)ほはいらないというのが学説・判例の認めるとこLろで   ある。   

教育費用については,それほ単に金銭面での教育義務なのであるが,フ民§  

203ほ,教育義務を養育義務の内容の一・つとして,特に規定している。したが  

(80)Colin,CapitantetdelaMarandiらTIe,nO1306  

(81)idem,7lO1306,Mar ty et Raynaud,72O45 

(82)NouveauI6pertoire de droit,nO18,コラン=カピタン=ドク・ラ・モランディエル    は,相続樅が剥奪されるまで扶養の権利は消滅しないという(Colin,Capitantet dela    Mor・弧diもⅠe,が1306)。  

(83JPelissier ,P459  

(84)Montpellier,9janV,1952,GazPal.52.1.157 

鵬 鯨終の病気の費用紅つき,死者の子は相続放棄をしたときでも,その費用の支払いが    義務づけられる(Colin, 

66)Marty et Raynaud,72◇53,Mazeaud et deJuglart,nO1208 

研)Marty et Raynaud,nO53,R6pertoire de droit civilmise a jour,1970,Dalloz,   

Aliments,n0254,反対,Pelissier,P159 

(醐 Civ,20fev1957,Dい1957266 

(16)

−62−   第44巻 第4・5・6弓  

288  

(89) って,判例は,それを父母のみが義務者となる養育義務の内容とする。ドゥエ  

(Douai)控訴院は「実際,疑いなく,尊属が彼らの卑属の生活に必要なもの   を供給することを強いられるとしても,(夫婦間の−・山脇注)扶助義務は,  

尊属紅卑属の必要と教育費用を満足させることを義務づけないし,さらに,父   母の社会境遇と関連した(en rapport avecleur milieu social)教育負担が法   律上子の父母に・課せられるとしても,専属ほかような教育負担を引き受けるこ 

(90)  

とを義務づけられない」と判示している。しかし,ぺリレェほ「(今日一山脇注)  

知的・職業的形成が今までより必要な時期紅あるし,l……生命の必要は精神の必   要と肉体の必要の両方を含み,その必要ほ親によってと同様祖父母によって満  

(91)  

足させられなければならない」と反論を加えている。ところで,教育義務が養   育義務の内容をなすとしても,それは子の成年後も存続するのか。カルポニュ   ほ,フ民§203が子を未成年子に・かぎっていないこ.とは事実であるが,子の教育  

(92)  

(親eveI)という場合,親権に服する子を予定しているとして否定的である。し   かし,判例ほ「たとえ彼らの子の養育義務が,原則として,彼らの成年で終了   するとしても,親は,しかしながら,子らが成年に到達した後も,親の資力の   割合に応じて,子らが赴くところの職業に応じた研究(如ude)を追求する手段  

(93)  

を子ら紅与えることが義務づけられる」という。ぺリレェも,養育義務の年齢  

(94)(98)  

制限はなんら真面目な基礎がないと主張する。   

さいどに・,現物給付(現物給与・引取扶養)に.ついて触れておきたい。扶養  

(89)Douai,283ui111953,D1954h477(notede Rh Savatier),Paris,4juin1954,   

D.1954.524 

(90)Douai,28juill…1953,D1954478(note de RSavatier) 

(91)PelissieI,p,158   02)Carbormier,nO127 

(93)Civ18mai1967,D1967.633.監護義務のない離婚の父に,子の成年後紅も養育と研    究の費用の負担を命じた事例として,Paris,17juin1965,D 1965。130(note de    Robert),Gaz.Pal1966..17  

伽)Pelissier,p.165  

個 なお,扶養権利者が乱倫子・姦生子であるときは,これらの子の両親は,その社会的    地位のいかんにかかわらず,−一・労働者の教育を与えることによって義務を免れるのであ   

る(フ民§764参照)(谷口・前掲番194ぺ−ジ)。   

(17)

フランス扶養法の若干の問題  

−6β−  

389  

義務は金銭給付が原則である。なぜな ら,金銭給付は扶養権利者の支出の選択   を扶養権利者に保持させて,扶養権利者の自由を守るからであり,反対に,扶   養義務者の家の内に侵入者を受け入れることを免除して扶養義務者の自由を守  

(9(‡)  

るからである。したがって,つぎの2つの場合のみ,裁判所に裁患の余地を残   して現物給付を認めているのである。第1は,扶養義務者が扶養定期金を支払   いえないことを立証するときである(フ民§210)。たとえば,農村に∴おいては   金銭給付ほ不可能でも,現物給付が可能な場合がある。第2は,父母が子に対  

して現物給付を申しでるときである(フ民§211)。ただし,姦生の父に対して  

(97)  

ほ,その適用が拒絶されている。   

Ⅴ 扶養義務の性質  

扶養義務ほ,扶養権利者の生存を保障する目的を有し,慈善(cha工i縫)と家   族連帯の義務紅基礎ずけられて∵いる特別な法制度である。したがって,扶為義   務は通常の債務と対立する性質を有している。扶養の権利ほ厳密にほ.その人に   付着しており,扶養の準則ほ公的秩序に関係していることから,扶養義務の  

目的から由来する性質として処分不可能性(indisponibilit6)と相続不可能性  

(intransmissibilit6)があげられる。前者ほ,さらに,譲渡不可能性(inceq   SSibilit畠)・差押不可能性(insaisissabilite)・相殺(COmpenSatiop)や放棄  

(98)  

(renonciation)の不可能性に.分けて考えることができる。ここでは,これらの性   賀を個別的にとりあげないで,「扶養は滞ることなし≪alimentsnes arreragent   pas》」という準則の検討を通してみてみよう。   

(1)「扶養は滞ることなし」という準則   

本準則によれば,扶養料の未払金,いいかえれば定期に.払いこまれるべき額   金ほ.,それらが支払われないで,かつ支払期日がきても裁判所へ訴求されない  

髄)CaI■boI】nieI■,n0113 

但Ⅵ PaIis,2mai1958,D.1958,寧Omm153.  

(98)Mazeaud et deJuglart,nO1212et s 

(18)

第44巻 第4・5・6号  

390  

−・64−  

(9g)(100) ときにほ.,支払われなくともよいのである。本準則ほ,1920年の判決によって確  

(101) 立されたものであり,その法的根拠ほフ戌§208であるとされている。学説ほ  

本準則をつぎのように批判してきた。すなわち,扶養権利者ほ扶養料を訴求しな   かったからといって,必要が 

(102)  

権利者ほ訴訟費用等の点から訴求しないこともありうる。さらに,扶養権利者   が訴求しないで生活しえたではないかという主張に対しては,扶養料は衣食費   のみでなく,暖房費等の扶養権利者が生存していく上で全ぐなくてもすましう  

(103)  

る、ものも含んでいる。したがって,扶養義務の性質上扶養権利者の単なる無為  

(104)       (10る) から放棄を導くことほできない。かくして.,判例も本準則を制限的に.適用して  

きた。すなわち,その理論構成ほつぎのようである。扶養料を訴求しない扶養   権利者は,必要が欠如していたという単純推定が働く。しかし,その推定が反  

(108)  

対証明紅よって覆えされると,未払いの扶養債権は存続することになる。反対   証明の例としては,扶養義務者の不在(absence)とか悪意(mauvaise volon一   縫)の立証,扶養権利者が生存のために借用が必要であったことや,救済院に入   る(se faire hospitaliser)必要があったことの立証,扶養権利者による再三   の請求や,未払金の債務者であることを認める定期金債務者の手紙による立証,  

(107)  

および不可抗力(force majeure)の立証などがあげられている。だがしかし,  

父母の子に対する養育義務について−は,必要が欠如していたという単純推定が  

(108)  

働かないのである。ドゥ・エ控訴院ももし裁判別居の配偶者に割り当てられた扶  

㈹idem,nO1218  

¢叫 Req‖23nov‖1920,S1922.183,D 19211.79  

㈹ Douai,10d昌c.1963,D.1964458   a喝 MazealId et deJuglart,nO1218 

¢鴫idem,nO1218 

㈹ Marty et Raynaud,nO60  

㈹lReq.27juill.1942,D。.A1943.10 

8昭 Mazeaud et deJuglart,nO1218,Marty et Raynaud,n◇60,Colirl,Capitant et    dela MoI・aTldiとⅠ・e,nO1316 

㈹ Carboェmier,nOl14,Mazeaud et deJuglart,DO1218,Marty etRaynaud,nO60,   

Civ.28janv1963,D.1963‖ SOmm.53 

㈹ Ma2:eaud et deJuglart,n◇1218   

(19)

フランス扶養法の若干の問題   ー65−  

391  

助料が′『扶養ほ滞ることなし.』という準則を受け入れるとしても,婚姻から生   れた子に対してその母に.割り当て−られた扶養料についても同様ではありえな  

(109)  

い。そ・して配偶者の無為ほ放棄があったと推定されえない」と判示している。  

ところで,相続不可能性との関連において本準則はどのよう紅働くのであろ   うか。相対する見解が存在する。一・方の見解は,扶養権利者の死亡によりその  

(110) 相続人は被相続人の存命中の未払いの扶養料を請求する権利をもつという。こ 

の見解に従え.ば,支払期日のきた扶養料の支分的債権は一・般の金銭債権となり   本準則の適用ほなくなる。他方の見解ほ,同様の場合紅,本準則の適用により   相続人は扶養料の未払い年金額(annuit由)の請求権を有しないという。ただ  

(111)  

し,相続人がいわゆる単純推定を反対証明により覆えせば請求ほ可能である。   

なお,フ民§2277ほ扶養料の未払い年金額の請求権を5年の時効で消滅させ   ており,本準則との関係が問題となるが,他日稿を改めることとしたい。   

つぎに,扶養義務の基礎から由来する性質として,多数義務者の順位(hiるⅠaI・−  

(112)  

Chie)の欠如・連帯性、(solidarit6)・相互性(reciprocit6)があげられる。   

(2)多数義務者の順位の欠如  

1929年の破毀院は,裁判別居をし天から財産を分離した(s畠par畠e de biens   deleu工■fils)嫁に・対する義父母からの扶養請畢を容認して,つぎのよう紅判   決する。「婿と嫁は,扶餐の必要状態にある義父母に対して扶養が義務づけら   れる。婿と嫁ほ,その点については,義父母の子と全く同一濱格であるp   いかなる規定も,原告に,いく人かの扶養義務者に対して,共同訴訟ノ(action  

〈113)  

COmmune)または−L定の順序による訴訟(actions successives)を課さな   い。・……したがって,義父母の嫁に.対してなした扶養料請求訴訟ほ,先決すべ   き訴訟(poursuite pr6alable)や,子を訴訟に参加させること(mise en cau−  

q㈲ Douai,10d畠c.1963,D…1964.458.  

AlO Nouveau r畠pertoire de droit,nO56.  

㈹ Colin,Capitant et dela MorandiらⅠ・e,nO1313   819 Mazeaud et deJuglart,n◇1220et s.  

ql針資力のある扶養義務者全員を被告とする訴訟.   

(20)

第44巻 第4・5・6号  

■−66■−   392  

(114)  

se)に従属させられないで受理可能である」。カルポニエは本判決に依拠して,  

扶養義務ほ個人毎ではなくて家族毎に規律されるべきあるということ,そし   て,嫁ほ夫と一・緒に,または夫と死別している場合でも,卑属のブロックを代   表するということが考え.られる」といいつつも,「その嫁が裁判別居をして)、  

(11さ)  

る場合にほもほや・その理由は認められない」と判決にほ否定的である。多数義   務者の順位の欠如を認める長所ほ.扶養権利者の便宜さであり,扶養義務の緊急   性に適っていることであろう。扶養権利者は識別困難な版位の問題を回避し  

て,最も近いところに居住する後順位の扶養義務者にまず請求しうるわけであ  

(116) るし,さらに,一・定の順序による訴訟では要求されるのであるが,より近二い収  

位の扶養義務者が無資力であるという困難な立証を扶養権利者ほ.避けうるので  

(117)  

ある。   

しかし,学説ほ,一・般に,扶養義務の順位を認める。そのはうが,家族の有機的  

(118)  

概念に.よりよく答えるというのがその理由である。第1に,普通養子に対し,  

益親が実親より先順位の扶養義務者であることは,フ戌§367が示すところで   ある。第2に,夫婦間の扶助義務(フ戌§212)・婚姻費用分担義務(フ戌§  

214)や,養育義務(フ戌§203)は,狭義の親族扶養義務のはかに特別に規定   をおいているので,それらの扶養義務者ほ先順位である。以上の点を踏まえ  

(119)(120)  

て,扶養義務者の順位は,配偶者・卑属・尊属・姻族とされているのである。   

(3)連帯性   

扶養義務の内容は,通常,金銭扶養料なので,不可分債務(obligationindi−  

visible)ではない。なぜなら,不可分債務とほ.,その対象の分割履行が自然の   814> Civ。2janv.1929,D.Pり1929。1.137(note de R Savatier)  

q均 CaIbonnie工,nOl15 

a10 Marty et Rayr)aud,nO47,Mazeaud et deJuglart,nO1223 

¢lみ Marty et Raynaud,nO47  8旭 Carbonnier,nOl15 

819 Carbonnier,nOl14,Colin,Capitant et dela Morandi畠re,nO1318」マルチイ   

=レノは,配偶者・血族:(最近血族が先頓位)・姻族の順位とする(MaI■ty et Ray・   

naud,n◇47)。  

脚 なお, ̄F級審は,夫婦間の扶助義務が,血族関係から生じる扶養義務に優位すると判   

決し{:いる(Paris,20mars1952,J.G.P.1952,.7219)。   

(21)

フランス扶養法の若干の問題  

−・67−  

393  

性質一上または取りきめられた性質上不可能な債務だからである。さらに.,扶養   義務ほ連帯債務(obligation solidaire)でもない。なぜなら,連帯債務ほ約定  

(121)  

または法定のときのみしか成立しないからである(フ民§1202)。また,通常の   債務ほ共同債務者に共通な金額の確定した債務であるが,扶養義務ほ義務者の   それぞれにつき金額が不定(variable)であり,義務者の資力により確定する債   務である。この点からも,扶養義務に通常の不可分性や連帯性の原則を適肝す  

(122)  

るのほ困難である。しかし,前述の1929年の破毀院判決が判示したよう軋,扶  

(123)  

養権利者ほ共同義務者の誰か1人に扶養料の全額を訴求しうるのである。私生   の父母に課せられる養育義務につき,1935年の破毀院もつぎのように判示す   る。  「もし,嫡出同様,私生の父母の各々が,共同の子を養育・扶養・教育す   る義務のすべてに対して義務づけられるとしても, ‥‥‥それでもやはり,その  

(124) 義務は彼らの資力の割合に.おいて負担せねばならない両親の間に分割される。」  

このような判決に依拠して,学説ほ扶養義務を通常の連帯債務とは異ったとこ  

(128)   (126)  

ろの全部義務(obligationin solidum)であると考えている。  

(127)   

全部義務は求償権の問題な・生じる。前述の1935年の破毀院判決は,「もし,  

両親の一・方が,子に対して一・たび法的・道徳的な義務履行を免れたならば,そ  

(1別)  

の負担を引き受けた者は,原則として,不履行者に対して求償しうる」として,  

(128)  

養育義務につき父母間の求償を認める。しかし,狭義の親族扶養義務の求償権   についてほ,判例も固っていないようである。−・カ■でほ,り一−ル(Lille)民事   裁判所は「扶養義務者の直接の求償権は,父母の1人が単独で子の養育料を支  

02D MaIty et Raynaud,nO48  

㈹ Colin,Capitant et dela MoIandiとre,nO1319‖  

㈹ 訴求された共同義務者の1人ほ,資力の限度内の負担となる(Mazeaud et deJug−  

1aI−t,n01223)。  

O24)Civ 27nov.1935,D1936125(note de Rouast)小  

q璃 淡路剛久「フランス法紅おける連滞債務と全部義務」立教法学10号参照.  

Q姻 Colin,Capitant et dela Morandiとre,nO1319(脚注),Pelissier,p266。  

脚 この求償権の基礎は,連帯債務の求償と速い,事務管理・不当利得・横棒者代位にあ    る(Marty et Raynaud,nO51)。  

q淘 コルマ−ル(ColmaIう控訴院は「私生子の父母の一・方が,共同義務をすべて支払っ   

たとき,  彼は事務管理者(negotisrum gestor)として行動したのであり,彼は   

(22)

鞠44巻 第4u5・6号   394  

−6β−・  

払った場合に認められるのであるが,それほ扶養義務者が多数いるようなすべ   ての場合に,とくに,裁判所が扶養義務者の各々の資力を考慮して,母と配偶  

(129)  

老に共に義務を分配サる場合に適用さるべきように思われる」と判示し,狭義   の親族扶養義務の求償権を認めている。しかし,他方でほ,リヨン(Lyon)  

控訴院は「父と共に生偏する3人の息子が合意の結果彼らの父に対してなした  

●●●  

世話ほ,彼らの固有の扶養義務の履行を構成し,このように義務づけられた息   子から,父が決して請求しないで暗に一・切の分担を免除した別の子らに対す  

(130)  

るいかなる求償も認められないのである(傍点w山脇)」と判示し,狭義の親  

(13】)  

族扶養義務の求償権を認めていないのである。マルチイ=レノは,求償権の行  

(132)  

使を父母間に制限する根拠がないと主張している。なお,被訴求者の利益を考   慮して,属法典改正委貞会は「唯1人訴求される者は,義務者各々の資力の割   合に応じて扶養負担を割り当てさせるために,共同義務者を訴訟に参加させて,  

結果的に,彼の固有の義務負担額を減少させることを主張しうる」との提案をし  

(133)  

ている。  

(4)相互性  

扶養義務は,原則として,相互的である。しかし,すでに触れたように.,い  

(1き4) くつかの例外がみられる。まず欝1に養育義務ほ−・方的であるという見解であ  

り,そこに,養育義務と狭義の親族扶養義務の間の本質的な差異を見いだして   いる。この点につき,ぺ.リレェほ養育義務濫子という個人の世話をする義務を  

『−扶養は滞ることなし』の準則も,5年の消威時効も対抗しえない求償権を父母の他方紅    対して行使する樅利がある」と判示する(Colmar,15mars1938,S.1938.2.231)。  

㈹仁Trib.civ.deLi11e,170Ct.1947,Gaz.Palり1947.,2,.268  側 LyoI】,19mai1952,D.1953.48 

囲 ブローニュ=.スコル=メ−ル(Boulogl】e・SuI・mer)民事裁判所は「いかなる法原則    も,いかなる法規定も,尊属にある額を支払った扶養義務者である子に,一・部分でさえ   

償還を得るために,同じ義務の共同義務者の各々に対して求償することを認めない」と    より一・般的に求償権を否定している(TIib。CivLde Boulogne・Sur・mer,21d6c.1948,   

D..1949,SOm汀L19)。  

囲 Marty et Raynaud,nO50 

O泌 TravauxⅦ,pp。113et s,Marty et Raynaud,nO49も同旨 

(朗 本稿注桧功参照 

(23)

フランス扶養法の若干の問題   −69・−  

395  

含めずに.,単に,養育義務を子の養育を保障する金銭上の義務としたので,養   育義務も狭義の親族扶養義務と全く同一・に考え,子と親の扶養関係紅ほ,−・般  

(138)  

にほ時間的なずれがあるとしてもその間に相互性があるという。第2に,子   ほ親権を喪失した親や遺棄した親に対して,反対判決がないかぎり扶養の義務  

(136)  

がない。その理由は,親に.フォートがあるからである。しかし,その親が,あ   とで,社会扶助機関(services del aide sociale)に養育費を償還した場合に   は,その親は子に扶養の権利をもつことになり,親子扶養の相互性が維持され   るのである(家族と社会扶助法(Code dela famille et del aide sociale)§83  

Ⅱ)。姦生・乱倫の親子扶養の−・方的性質もフォートに基因するこ・とほすでに触  

(137) れたところである。第3に,扶養権利者が扶養義務者の相続財産に対して扶養  

請求ができる場合(フ民 §§205,762)や,離婚配偶者が前配偶者の相続人に対   して判決で認められた扶養請求ができる場合(フ民§301Ⅰ)には相互性ほ全   くないことに.なる。第3の点については,要扶養者の生活を保障するという扶   養義務の目的から生じる例外的構成を認めているということができよう。  

ⅤⅠ結   語  

以上,不一ト分ながら,フランス扶養法の若干の問題を,養育義務と狭義の親   族扶養義務の比較検討を中心として−みてきた。さいごに,わが国の扶養法との   比較に.おいて,いくつかの問題点を指摘することでもって㌧むすびにかえたいと   思う。   

(1)フランスにおいて−,民法上の扶養義務を基礎にして,扶養的性質を有   する諸債務が再構成される試みがみられるわけであるが,商取引・契約・不法   行為に.よる債務のうち,売買のような通常の債務は別として,扶養義務と同一  の機能を果す債務(扶養契約・無償の養老契約・終身定期金契約に・よる債務な   どはその典型的な例)を扶養的性質を有する債務として再構成することほ,非  

03S)Pelissier,pp。288ets 

0凋 Colin,Capitant et dela Morandi昌一e,nOg1299et1306,Carbonnier,nOl15 

仰 木稿pい58参照 

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