― 51 ― 愛知淑徳大学大学院―文化創造研究科紀要― 第5号 2018.3
情報活用能力を育成するための学習モデルの提案
-小学校国語科の実践をもとに-
文化創造専攻 図書館情報学領域 16001CLM 小林 達也
修 士 論 文 要 旨
目的
本研究の目的は,学校図書館の教育機能として情報活用能力育成機能があることを確認し,
情報活用能力を育成するための学習モデルが備えるべき要素を明らかにし,その要素を備えた 実行可能性のある学習モデルを提案することである。本研究では,そのモデルが司書教諭のみ ならず一般教員においても活用できるかを検証した上で提案することによって,より実行可能 性の高いモデルの構築を目指した。
方法
①学校図書館の情報活用能力育成機能を確認するために,学習指導要領,学校図書館の手び き等,学校図書館に関する政府の施策の中に学校図書館がもつ役割や機能について,その内容 を調査した。②カナダ,アメリカでは学校図書館が中心となって学習モデルの構築が行われて いることから,これらの海外でのモデルやわが国の情報活用能力育成の先行モデルを調査し,
情報活用能力育成のために必要な要素を明らかにした。③現在の学校現場で必要とされる学習 モデルの検討の前に,学校現場では学校図書館が授業に活用されているか,図書館担当者に実 態調査をし,学習モデルの必要性の有無を確認した。これら3つの調査研究結果に基づき,実 行可能な条件を備えた独自の学習モデルを構築した。考案したモデルについては,現場で実践 をし,児童,指導者による評価に基づいて学習モデルの有効性を検証した。
結果
本研究では,学校図書館での情報活用能力育成の機能を前提としているが,関連文書の分析 から,このことを確認できた。カナダ,アメリカにおける情報活用能力育成のための学習モデ ルを分析した結果,学習モデルには課題設定,情報収集,情報整理,情報提供,評価というプ ロセスをもつことが明らかになった。わが国においても具体的な学習モデルが発表されている が,実際の授業では活用しづらいモデルであったことが明らかになった。それは,情報活用能 力として,何を,いつ,どのように指導するのかという3つの要素が不十分なためである。
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愛知淑徳大学大学院―文化創造研究科紀要― 第5号
学校現場の実態調査でも,調査協力者らは学校図書館が情報活用能力を育成することは理解 できるが,どのように指導すればよいか分からないという結果が得られ,新たな学習モデルが 必要であることが分かった。そこで,何を,いつ指導するのかという問題を解決するために,
小学校国語科の教科書を調査し,国語科の指導事項の中から,情報活用スキルを抽出した。ど のように指導するのかという問題を解決するために,課題設定,情報収集,情報の整理・分析,
情報発信というプロセスを図にした学習モデルを考案した。5年生の国語科の授業で,このモ デルを使って調べ学習の実践をした。同一クラスで当該学習モデルを用いないで行った社会科 での学習状況と比較すると,情報の整理・分析の面で多くの児童に進歩がみられた。本実践に ついての質問紙調査では,児童は情報活用スキルが役立ったと評価し,指導者は情報活用能力 の認識はなかったが,モデル図をみて指導するプロセスが理解できたと評価した。したがって,
提案した学習モデルは本調査対象においては有効であると言える。
考察
本研究では情報活用能力を育成する情報センター機能をもつ学校図書館が提案する学習モデ ルが学校現場で使われるためには,何を,いつ,どのように指導するのか,という要素を備え ることが必要であることが明らかになった。また,どのように学習を進めるのか,モデル図と して提示することも有効であり,本研究では効果的なモデルを提示することができた。学校図 書館には情報活用能力育成の役割があるという認識を広めるためにも,学習指導要領に学校図 書館が情報活用能力を育成するための時間を位置づけることが今後の課題である。