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論文の内容の要旨

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Academic year: 2021

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氏 名 岡谷 大 学 位 の 種 類 博士(学術)

学 位 記 番 号 博農甲 第1013号 学 位 授 与 年 月 日

研 究 科 ・ 専 攻 連合農学研究科 農林共生社会科学専攻 指 導 を 受 け た 大 学 東京農工大学

学 位 論 文 名 有機体とプロセスの哲学による〈環境〉と〈自然〉の今日的理解

-ホワイトヘッドの環境思想とターミノロジーの視点から-

平成23年 3月17日

論文の内容の要旨

本論文では、今日の環境問題やエコロジーの問題解決を考えるうえで、ホワイトヘッド の哲学を研究することが重要であるとの認識に立ち研究を進めた。

1)環境問題を考える上で必要なホワイトヘッドの独自な思想を、他の思想との関係を通し て明らかにし、環境思想史上の位置づけを試みた。

2)ホワイトヘッドの研究者を含めホワイトヘッドの環境思想が、今日の環境思想へ与える 影響や、未来の環境に配慮した社会に示唆するものはなにかを独自の視点から明らかにし た。

<各章の要約>

第 1 章では、環境破壊から人間自身への内面化・内省化、さらに心の問題への推移を通 して、環境問題の原因、構造的な意味や人間破壊への連なりを確認した。さらに国際レベ ルや国内レベルでの環境政策や社会経済的な取り組みや、個人レベルでのかかわりなどの 検討を通して、環境問題の原因や解決の限界を指摘し、ホワイトヘッドの環境への考え方 を明らかにした。

第 2 章では、環境問題と近代思想、環境思想の流れをたどり、さらにレオポルドなどの 主要な環境倫理を取り上げ、環境倫理の中心的な論点に踏み込んで、思想間の対立点を検 討しホワイトヘッドと関連づけた。例えばホワイトヘッドの「現実的実質」(actual entity) の思想により、人間中心主義と自然中心主義との対立の乗り越えや、世代間倫理に対する ホワイトヘッドのかかわりなどを示した。「現実的実質」は、物質的なアトムに相当するも のであるが、同時にモナドの表象的側面を併せもつものである。ホワイトヘッドの有機体 の特徴は、こうした「現実的実質」の性格に依拠するものである。

(2)

第 3 章では、ホワイトヘッド及びホワイトヘッドの研究者の思想の独自性を検討した。

まずこれまでの様々なコスモロジー(世界観)を検討し、その中での有機体の思想を取り上 げつつ、それとの対比において、ホワイトヘッドの独自な有機体の思想を位置づけた。次 にホワイトヘッドの、思想の形成過程を検討した。ここではホワイトヘッドに特有な概念・

用語(ターミノロジー)の変化を指摘しつつ、とくにホワイトヘッドの思想の根底にある

「モノからコト(出来事)へ」という考えが、「現実的実質」の発想へとつながっていくもの であることを指摘した。さらに方法論としてホワイトヘッドにみられる弁証法的手法等に 注目し、プロセスと弁証法やコントラスト(対照化)との関係の考察を進めた。

第 4 章では、ホワイトヘッドの哲学と環境問題との主要なかかわりを検討した。まず、

ホワイトヘッドのコスモロジーについて考察した。それは人間も環境も、全てが全てと関 係しあい、価値の実現のために、共に連帯して生きているという発想である。次にその世 界の構成要素である「現実的実質」について、その内容や生命、経験などとの関係を明ら かにした。さらにホワイトヘッドのいう現実的実質同士の関連の流れ(プロセス)について 検討した。プロセスを形成している、現実的実質同士の主体化、客体化の関連様態である

「抱握」(prehension)や、多くの現実的実質から「一」の現実的実質への収束の過程であ

る「合生」(concrescence)の概念を明らかにし、そのプロセスが具体的な世界を構築してい ると指摘した。さらにホワイトヘッドの生態学にも通じる環境思想の評価と、カブなどの ホワイトヘッドの後継者の見解を検討した。そしてホワイトヘッドにおける「秩序」と社 会との関連、目的と文明を明らかにした。

第 5 章では、ホワイトヘッドの連帯や共在の思想の、持続と共生の思想への寄与を検討 し、さらにコミュニケーションの視点から、共生型持続社会との関連を論じた。またホワ イトヘッドやカブらによるコミュニテイの意味を明らかにし、Okamotoのコミュニテイに おける実践を通して、有機農業等の実際とホワイトヘッドの哲学との関連を明らかにした。

最後に環境に配慮した未来社会について、ホワイトヘッドの思想を用いて独自に考察し展 望した。

補論では、ホワイトヘッドの主要な用語について、ターミノロジー学の視点から表記や 概念を検討し、全体的に研究を深めた。

参照

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