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足白癬の外用剤塗布の指導を試みて

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Academic year: 2021

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67

足白癬の外用剤塗布の指導を試みて

       市立室蘭総合病院 皮膚科外来

木 村 成 子  佐 藤 矩 子  岩 本 まさ子  石 川 郁 子 

要   旨

 足白癬は長期治療を必要とする疾患であり、治らないと思い込み放棄する患者が多い。

 今回、白癬患者208名を対象に外用剤塗布の実践指導を試み、その理解度を把握するため再度確認指導を行った。

適切な外用剤塗布が認識され、ライフスタイルに合わせて習慣化させることができたので報告する。

キーワード

足白癬・外用剤指導

Ⅰ は じ め に

 皮膚科外来において、足疾患の中でも足白癬は最も多 い疾患の一つである。

 今までは、患者に既製のパンフレットを渡し、足の外 用剤の塗布方法、量、回数、日常生活の注意点等につい て口頭で説明していたが、連日塗布をしていなかったり 塗り残しがあるという外用剤の誤った塗布方法や、治療 を中断して再発を繰り返し何年にも渡って外来通院して いる患者も多くみられる。このことから、従来の口頭で の指導から看護師が実際に患者の足に外用剤塗布を実践 指導する方法へと改善を試み、適切な外用剤の塗布がで きたので、ここに成果を報告する。

Ⅱ 研 究 方 法

1.研究期間

  平成14年3月7日〜5月17日

2.研究方法

1)既製のパンフレット(製薬会社発刊)と、指導   用紙を用いて患者の足に実践指導する。

2)再来患者自身に外用剤を塗布してもらい、毎日   塗布されているかを把握するため聞き取り調査   を行う。

3.研究対象

  足白癬の外用剤治療患者(208名)

市立室蘭医誌(第28巻 第1号 平成15年4月)

Ⅲ 実践と結果

1回目指導(指導患者数 208 名)

 日常生活で心がける注意点を既製のパンフレットを用 いて説明した。

 足の外用剤塗布については、医師に処方された外用剤 名、回数を記入した資料1を基に説明した。看護師が実 際に患者の足に外用剤を適量のせて、足底全体を手の掌 で薄くのばし、爪はローションを1滴指の腹に取り左右 の爪に塗布した。「こんなに薄くていいの、ついているの が分からない」等の声が多く聞かれた。塗布後の状態を 手で触ってもらい「これ位の量で十分です」と説明を加 えた。

 塗布方法を実体験することで、自分流のつけ方との ギャップに驚く患者が多かった。個別に指導を受けたと いう満足感のためか肯定的に指導が受け入れられた。

 外用剤塗布が習慣化できるようカレンダーを活用し 薬をつけた日は印を付けることを提案した。

 50才〜70才代に足白癬が多く見られるのは、通院する 機会が多くなる年代であると共に、通院中に指摘された 患者もいる。

 実践指導した患者は外来カルテに聞き取り調査の用紙 を挟んで、次回来院時に2回目指導を行なった。

2回目指導(指導患者数 100 名)

  2回目の指導方法は聞き取り調査用紙(資料2)を用い て、1回目の指導内容の患者理解度を把握した。

 患者自身で片足に外用剤を塗布してもらい、その方法

(2)

68 を確認した上で、注意すべき点を説明しながら再度患者 と共にもう片方の足に外用剤塗布を行った。

Ⅳ 考   察

 2回目指導から見ると、殆どの患者は外用剤を毎日塗 布していた。これは実践指導による成果である。

 塗布量については、指導する量に納得いかず多量に塗 布する傾向にあった。塗布しない患者より確実に塗布し ていれば、たとえ量が多くても身体的影響はないため、そ のまま外用剤塗布の指導を継続して行くこととした。ま た実践指導により、患者は患部にのみ外用剤を塗布し、そ の他の部分には塗布しなくて良いといった誤った解釈を しているのも見出すことができた。

 外用剤塗布を確認し実行するきっかけ作りの《みずむ し退冶カレンダー》は、約半数の患者に使用されていた。

このカレンダーは指導内容と共に1枚の用紙に印刷して 使用したが、今後は各々独立させて作成し、必要とする 患者に渡して行きたい。  

 外用剤塗布方法について再指導の必要がある患者は 聞き取り調査用紙にコメントを記入し、それを外来カル テに挟んで継続指導した。

Ⅴ お わ り に

 外用剤塗布指導の成果をあげるためには、その人に合 わせた日常生活行動に着目して指導することが重要であ る。塗布方法をただ説明するばかりではなく、直接患者 に実践してもらいながら指導を行なうことにより、治療 に対する意欲が高まって行った。

 指導内容を守り、外用剤塗布を続けることで徐々に足 がきれいになつて行き、目に見える形で治療効果が上が り始めると、患者の表情にも変化が現れて来たのを実感 できた。

 これからも患者との信頼関係を築き、継続指導を行っ ていきたい。

文   献

1)渡辺晋一,西本勝太郎,浅沼廣幸,楠俊雄,古賀哲 也,原田昭太郎:本邦における足・爪白癬の免疫調 査成績 日本皮膚科学会雑誌別刷 111:2101-2112,

2001.

2)朝日新聞 医療広告シリーズ2001年8月4日朝刊   患者さん主体の医療にむけて

 2回目指導を行った81%の患者は毎日塗布していた。

残り19%は症状の出ている所しか塗布していなかった。

 外用剤の適量に対しては、殆どの人は塗布量が多く回 数を重ねる毎に量を減らしていくよう指導した。

 資料1にあるカレンダーの利用については、49%は何 らかの形で利用されていた。51%は決めた時間帯につけ ているのでカレンダーは活用していなかった。

 カレンダー使用の有無は、患者の必要性によって判断 をゆだねた。

 今回、1回目指導を行った患者は70才代が多く、これ は仕事から離れていて自分の時間を多く持てる年齢であ り来院しやすいことが考えられる。しかし、2回目指導 が行われた70才代の患者数は、50才〜60才代に比べて少 なく、これは指導が十分理解されていないか、定期的に 外用剤塗布がされていないことが考えられる。50才代女 性の受診率が高いのは、家庭内での感染を防止するとい う意識から、指導に対しても意欲が見られた。

(指導対象の人数詳細は資料3参照)

1回目指導

人数

40 35 30 25 20 15 10 5

0 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 90代

2回目指導

人数

16 14 12 10 8 6 4 2

0 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代

毎日塗る

81%

19%

時々塗る 外用薬は塗っていますか

使ってる

49%

51% 使っていない

カレンダーは使用していますか

(3)

69

〈資料1〉

足のみずむしの薬のつけ方について

足(       )1日  回

①足を清潔にして良く乾燥させてから薬をつけてく ださい。

②入浴後が理想的ですが、入浴しない日は足を洗う か、拭いた後に薬をつけて下さい。

③両足の裏全体とゆびの間に薄くつけて下さい。 

 *塗り薬の量は目安として両足に小豆大1〜2   個位でよろしいです。

爪(       )1日  回

①指の腹に1滴取って足の爪10本にチョンチョンと  薄く塗ってください。

 *直接ローションを爪に押し付けることはしない   でください。

  

 まず、みずむしを治そう!とあなたが決意するこ とが大切です。

 もう治ったと自己判断せず必ず医師の診察を受け て下さい。

 みずむし退治の近道は、毎日根気良く治療を続け ることです。

 1日も早く完治されますよう皮膚科外来スタッフ 一同ができる限りお手伝いさせて頂きます。

お大事に! 

《 みずむし退治カレンダー 》

薬を塗った日はカレンダーを塗りつぶしましょう。

〈  月〉

1 12 23

2 13 24

3 14 25

4 15 26

5 16 27

6 17 28

7 18 29

8 19 30

9 20 31

10 21

11 22

〈  月〉

1 12 23

2 13 24

3 14 25

4 15 26

5 16 27

6 17 28

7 18 29

8 19 30

9 20 31

10 21

11 22

〈  月〉

1 12 23

2 13 24

3 14 25

4 15 26

5 16 27

6 17 28

7 18 29

8 19 30

9 20 31

10 21

11 22

〈  月〉

1 12 23

2 13 24

3 14 25

4 15 26

5 16 27

6 17 28

7 18 29

8 19 30

9 20 31

10 21

11 22

〈資料2〉

性別  (男・女)   年齢  (  才)

1.外用剤は毎日つけていますか

  (毎日・毎日つけてない        ) 2.外用剤は適量と回数を守っていますか   (量 :       )    (回数:       ) 3.カレンダーは使用していますか

  (はい・いいえ      )

〈資料3〉

年代 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 90代

男 女

0 0 3 4 29 30 37 6 1

1 1 3 3 29 25 30 6 0 1回目指導

年代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代

男 女

0 1 3 11 13 15 3

0 0 2 13 10 9 2 2回目指導

参照

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