プログラム
座長:西村 勝治
(東京女子医科大学 神経精神科)
岡部 祥
(東京女子医科大学 移植支援室)
1. 腎移植前後の就労の現状と問題点
~余丁町クリニックでのアンケート調査から~
三
み や け
宅 克
かつのり
典
(東京女子医科大学 泌尿器科)
2. 腎移植患者における社会復帰と問題点
―ソーシャルワーカーの視点から―
縄
なわしま
島 正
まさゆき
之
(東京女子医科大学附属八千代医療センター 医療支援室
)
3. 障がい者雇用の立場から~障がいを持って生きる~
田
た さ き
崎 仁
ひ と み
巳
(腎臓移植患者様)
4. 腎移植患者における社会復帰と問題点
―臨床心理士の視点から
小
こばやし
林 清
さ や か
香
(埼玉医科大学総合医療センター)
5. ~腎移植患者会の活動を通じて~
小
こやなぎ
柳 啓
けいいち
一
(東京女子医大 移植者の会(あけぼの会))
6. 免疫抑制剤の飲み忘れの対処は?
堀
ほりうち
内 淳
じゅんこ
子
(余丁町クリニック 薬剤部)
7. 移植医療と臓器提供意思表示への想い
清
し み ず
水 理
り え
恵
(心臓移植患者様)
8. 総合討論
2. 腎移植患者における社会復帰と問題点
―ソーシャルワーカーの視点から―
縄
なわしま
島 正
まさゆき
之
(東京女子医科大学附属八千代医療センター 医療支援室ソーシャルワーカー
)
ソーシャルワーカー(以下SW)は病気によって起こる様々な問題を患者さんやご家族と共に考え、解決
できるよう支援する役割を担っています。SWによる医療費助成制度など腎移植に関連する社会保障制度の
活用に対する支援は、経済的な面だけでなく、心理・社会的な支援にも繋がっていると考えます。当院では
2014 年 7 月の第 1 例目の患者さんから 2018 年 6 月現在、すべての患者さんに術前の外来受診時にお会いし、
医療費助成制度について説明と確認を行い、経済的な不安の軽減を図っています。また毎月の「腎移植カンファ
レンス」にも参加し、患者さんの病状や社会的背景などについて報告と確認を行っています。術前には仕事
復帰や今後の生活に不安を抱く患者さんも少なくありませんが、移植後は多くの患者さんが日常生活に大き
な支障なく、順調に社会復帰を果たしています。しかしSWは、移植後も抗免疫療法における自立支援医療
(更生医療)の手続きや障害年金のことなど社会保障制度に関わる相談が中心で、社会生活における移植患者
さんの現状や問題点などの把握は十分とは言えません。昨今、がん患者さんにおける就労支援が話題ですが、
移植患者さんにおいても現役世代の就労継続は、重要な課題です。SWとして現役世代だけでなく移植患者
さんの抱える潜在的な問題や悩みにも、耳を傾けて適切なタイミングで支援できるよう体制を作っていきた
いと考えています。
1. 腎移植前後の就労の現状と問題点
~余丁町クリニックでのアンケート調査から~
三
み や け
宅 克
かつのり
典
(湘南鎌倉病院 腎移植外科(東京女子医科大学 泌尿器科))
近年、病気と就労の問題が注目を集めています。働くことは、収入だけでなく、生き甲斐や社会貢献の機
会を与えてくれます。また、貴重な人材の活用は企業にとっても大きな課題であり、職場の生産性や社会全
体の活性化にも直結するといわれています。このため就労は、患者本人・家族・職場関係者・医療者・地域コミュ
ニティ・行政など、さまざまな関係者が関わる問題といえるでしょう。
慢性腎不全において、腎移植は透析療法と比べて生命予後や生活の質の点で優れているとされています。
今回、東京女子医大泌尿器科の腎移植後フォロー外来である余丁町クリニックにて移植後の患者約 700 名に
対して、移植医療を受けた後でどのように就労状況が変わったかについてのアンケート調査を行いました。
このアンケートを踏まえて、日本の腎移植後の就労状況の現状把握と、改善すべき問題点について議論した
いと思います。
4. 腎移植患者における社会復帰と問題点
―臨床心理士の視点から
小
こばやし
林 清
さ や か
香
(埼玉医科大学総合医療センター)
腎移植は、末期腎不全に伴うさまざまな身体的不調、治療に伴うさまざまな制限を改善するとともに、心
理的な苦痛や社会的な制限も緩和してくれることは言うまでもありません。
多くの方は移植を受けた後、学業、仕事、家事や育児、趣味活動など色々な形で社会に参加していきます。
しかし、移植後も通院や服薬をはじめとするセルフケアは必要となり、生活との十分な両立は重要な課題と
なります。また、移植前には難しかったこと(例えば、フルタイムでの仕事や出産・育児など)に移植後に
新たに取り組む中で、困りに出会う方もいます。
身体疾患の心理社会的問題への支援の取り組みが先進的に行われているがん領域では、近年 AYA
(Adolescent and Young Adult)世代の課題が注目されています。これは 15 歳から 30 代くらいまでの思春
期から若年成人の世代を指します。この時期には、進学・就学・恋愛・結婚・妊娠・出産などさまざまなラ
イフイベントを経験する時期に重なり、特有の心理社会的な課題に出会う時期と考えられています。腎移植
を受けた方でも、この世代における社会復帰・社会参加にはいろいろな課題があるように思います。
このシンポジウムでは、臨床心理士として腎移植医療にかかわる中で考えてきた、こうしたテーマについ
てお話ししたいと考えています。
3. 障がい者雇用の立場から
~障がいを持って生きる~
田
た さ き
崎 仁
ひ と み
巳
(腎臓移植患者様(かんぽシステムソリューションズ株式会社人材管理統括部))
1. 自己紹介
ポリオ発症(2 才 3 ヶ月)
~慢性腎不全発症(人工透析 36 才)そして腎移植 (49 才)
・医師・看護師・薬剤師・家族・同僚・友人の皆さまに支えられて~
・慢性腎不全発症後の意識改革⇒ 自著「W の決意」「決意」出版⇒ 【生き抜くことこそ、人生の最大の喜び】
2. 障がい者雇用を取り巻く社会情勢
・障がい者雇用は超売り手市場⇒統計資料等使用
・今が社会復帰に向けての最大のチャンス
・自分を売り込む 3 つのポイント
⇒体調のセルフコントロールができること
⇒働く意欲が旺盛であること
⇒ 自身の得意な業務スキルをはっきり伝えられること
3. かんぽシステムソリューションズ障がい者雇用の取組
・企業在籍型職場適応援助者である専門支援員等認定資格者及び社会福祉士、精神保健福祉士による支援
・身体、知的、精神障がいのある方を雇用
・順調な職域拡大→継続雇用→定着
・在籍しているハンディある皆さまの幸せな職業生活を最優先に取組
4. 終わりに
ハンディをお持ちで働く意欲のある方の応募を心よりお待ちしています。
6. 免疫抑制剤の飲み忘れの対処は?
堀
ほりうち
内 淳
じゅんこ
子
(余丁町クリニック 薬剤部)
、緒方 宏泰
(明治薬科大学名誉教授)
一定時間ごとに、指示量の免疫抑制剤の服用を続けることは臓器の長期生着の要ですが、社会復帰されると、
さまざまな事情で飲み忘れを起こす危険があります。飲み忘れた場合どうすれば良いのか?
製薬会社から出されているパンフレットには、『飲み忘れた場合は次の服用まで 5 時間以上あけて下さい』
と書かれていますが、その根拠は不明瞭です。今回、薬物動態のパラメータを用いて、速度論の視点で薬物
血中濃度推移を推定し、飲み忘れた時の対処について検討をしました。
【方法】臨床現場でグラセプター服用中の安定している患者を無作為に抽出し、平均投与量と平均トラフ濃度
を調査。タクロリムスの PK パラメータを用い、不連続繰り返し投与の薬物血中濃度を推定する際の検討モ
デルの選択、吸収過程の考慮を行い、定常状態のトラフ濃度とピーク濃度を算出。それを対照とし 5h 遅れ、
10h 遅れ、15h 遅れ、21h 遅れ、1 回抜きのそれぞれについて血中濃度推移のシミュレーションを作成し、比
較を行いました。
【結果】服用を 1 回抜きにすると、定常状態が崩れてしまう。
【結論】服用忘れに気づいた時点で服用、次からはいつもの時間に服用することが適切。この検討については
製薬会社に提出、間違いがないことを確認しています。プログラフ、セルセプトについても同様にみました。
忘れた時点で服用するというのは薬剤によっては適切ではない場合があります。それについても少し触れた
いと思います。
5. ~腎移植患者会の活動を通じて~
小
こやなぎ
柳 啓
けいいち
一、石丸 君子、鈴木 勝文、田部 優、植松 信ー、千保 久士、大城 克史
(東京女子医大 移植者の会(あけぼの会))
我々は、東京女子医大や関連病院で移植やケアを行っている患者やドナー、家族、医療関係者などで構成
される、1999 年に設立された移植患者会です。現在は会員数も 700 名を超え、年に 7 回の移植勉強会と 4 回
の会報発行、3 回の懇親イベントと 2 回のドナー関連イベントを開催する、活発な活動を続けている移植患
者会です。通常の移植勉強会のほか、待機者向けの勉強会や様々なテーマのディスカッション中心の勉強会
も開催し、不安の多い移植希望の待機者の患者さんや、移植年数の浅い患者さんへの社会復帰に対するフォ
ローなども積極的に行っております。本演題では、生体腎移植後 21 年の腎移植患者自らの体験や、長年の移
植患者会の活動を通じて知ることが出来た腎移植患者さんの社会復帰のエピソードなどについて報告します。
7. 移植医療と臓器提供意思表示への想い
清
し み ず
水 理
り え
恵
(心臓移植患者様)
今から約 17 年前、拡張型心筋症と告げられました。心臓移植でしか治らない難病、、、
そこから長い闘病生活が始まりました。
内服薬治療は限界となり、そのとき認可されたばかりのペースメーカーによる心臓再同期療法を取り入れ
少し持ち直したものの、また悪化して、入退院の繰り返しの生活でした。
そのうち植込み型補助人工心臓の手術を受け、一旦、自宅で心臓移植を待つことが出来るまで回復しまし
たが、出血性脳梗塞を発症し、生死を彷徨うことになってしまいました。その後、奇跡的な回復を経て、心
臓移植を受ける事ができました。
あれから今年で 5 年です。2 年前から杜会復帰をし、今では週 5 日間、地元のパン屋さんで働いています。
ドナーさんとの繋がりを得ての現在の自分は、移植医療の現状と臓器提供意思表示の大切さについての啓
発を自分の周りから働きかけています。
8. 総合討論