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ることや 都会と地方との生活費の違いなどを主に新聞記事などを使って紹介している また 就職しても奨学金を返済できない人が増えている状況も教えている ( 岩手県 公立 ) 進学費用に対する意識を高める取り組み 親と子の進路計画 ( キッズコーポレーション ) を配布し さまざまな奨学金があることや そ

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大学選びの視点 第6回 進学費用に関する情報  このシリーズでは、高校生が志望大学を考えるときに、 どのような情報を提供し、指導に生かしていくのか、高 校の先生方へのインタビューやアンケートの結果などを 中心に紹介していく。  今回のテーマは、「進学費用に関する情報」である。 大学進学には多額のお金がかかる。まず、大学受験には 受験料がかかり、家から遠い大学を受験する場合にはさ らに交通費、宿泊費などがかかる。大学入学後には授業 料や施設設備費、実験実習料などがかかるほか、親元を 離れて進学する場合には住居費などの生活費も加わる。 生徒や保護者にはそうした現状を伝え、場合によっては 早期から進学資金の準備を促すことが不可欠になる。  奨学金や教育ローンの利用を検討する家庭も少なくな いが、奨学金には給付型と貸与型、貸与型の場合は金利 や貸与額が異なるさまざまな制度がある。実施の主体も 日本学生支援機構、地方自治体、大学などがあり、家庭 に応じた制度を選択する必要がある。  こうした、進学費用に関する情報の見方や、進学資金 の準備を促す指導について、アンケートで寄せられたコ メントを紹介する。さらに2名の先生に、生徒や保護者 にどのように情報提供しているかをインタビューした。

大学

びの

視点

Contents

進学費用に関する情報 高校教員アンケートより 奨学金・教育ローンの活用について Interview 続報 大学ポートレートの現状

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p93

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p96

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進学費用に関する情報

高校教員アンケートより

大学受験にかかる費用 ▶受験にかかる費用の納入日や納入金も確認して受験先を選 ぶように指導している。(大阪府、公立) ▶大学受験にかかる費用については、受験費用・手続き費用 など、受験方法によってどの時期に必要なのか示し、大体の 大学入学後にかかる費用 ▶『蛍雪時代』(旺文社)の付録ページにある学費一覧を見せ ている。本校からは下宿生が多いので、過去の生徒の例を 紹介し、学生寮+奨学金+アルバイトでなんとか乗り切るこ とができる可能性を示している。(長野県、公立) ▶授業料だけでなく、実習費や校納金等についても調べておく ように伝えている。(山口県、公立) ▶4年間で学費と生活費がどれくらい必要なのかを保護者とと もにシミュレートしてもらう。実際の生活費を家計と比較し ながら確認させるようにする。(北海道、公立) ▶国公立大学と私立大学、文系と理系の学費の例と、各大学 の学費一覧を見せる。それに加えて4年間の生活費のモデ ル像を作成し、仕送りの平均値も資料に掲載して見せている。 (青森県、公立) ▶最初から「私立大学は無理」と決めつけている保護者も少な 進学費用に関する情報 ガイドライン編集部では、進学にかかる費用に関 する情報をどのように進路指導に活用しているか 『ガイドライン』の読者の先生方にアンケートを実 施した(2015 年4月から5月、回答数 99 件)。 先生方のコメントを紹介する。 ※括弧内は勤務先の学校所在地、設置者を表す

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▶『親と子の進路計画』(キッズコーポレーション)を配布し、 さまざまな奨学金があることや、それに向けて1年次から準 備が必要なことを説明している。4月のPTA総会の際に高 校1年~3年の生徒全員、また希望する保護者を対象に奨学 金の専門家を招き、講演会を実施している。(群馬県、私立) ▶3年生になってから、経済的理由で進学をあきらめることが ないように、低学年のときから講演会を通して指導している。 (島根県、公立) ▶大学進学に関する金銭的な意識が低い生徒もいる。そこで、 授業を含むあらゆる学校生活の場面で、大学進学には保護 者の経済的負担がいかに大きいかを、生徒たちに伝えている。 (兵庫県、私立) ▶奨学金制度とともに、大学独自の成績に応じた学費減免付入 試を行っている大学・学部を紹介している。(宮城県、公立) ▶労働金庫や地元地方銀行などの教育ローンのパンフレットを 保護者懇談会で保護者に配付している。(福井県、公立) ▶できるだけ国公立大学、自宅通学できる大学に行くよう勧め ている。仮に奨学金を借りる場合でもどのくらい将来返済す ることになるかシミュレーションさせている。医学部などに 進学を希望する生徒には、将来その地域で医者として勤める ことを条件に自治体が返済不要の奨学金を設けていることが あるので、勧めている。(岡山県、公立) ▶奨学生入試を受験し、合格をもらう生徒もいるが、早い時期 にお金を納めなければならない場合もあるので、安易に飛び 半数以上の学生が奨学金制度を利用  大学進学には多額の資金がかかる。そこで、奨学金制度 や教育ローンを利用する家庭も多くなっている。  2012 年度学生生活調査(日本学生支援機構)による と、奨学金を利用する学生の割合は学士課程(昼間部)で 52.5%、修士課程で 60.5%、博士課程で 66.2%、専門 職学位課程で 60.7%と、いずれも前回調査(2010 年度) より 0.6%~ 1.8%増加し、半数以上の学生が何らかの奨 学金制度を利用している。  奨学金には、実施主体の異なるさまざまな制度がある。  最も利用者の多いものは、日本学生支援機構が実施する 奨学金である<表>。大学卒業後に返済義務がある貸与制 の奨学金だが、採用基準は比較的緩やかである。無利子の 第一種と有利子の第二種があり、2013 年度の利用者数は 第一種が 427,423 人(156,950 人)、第二種が 911,584 人(299,992 人)と、約 134 万人が利用している(括弧 内は新規採用数)。  奨学金の受給方法は大学進学前に申請する「予約採用」 と、進学後に申請する「在学採用」があり、約7割が予約 採用である。在学採用の場合は大学ごとに採用枠が定めら れていること、予約採用で不採用となっても在学採用に再 申請できることから、奨学金の利用を考える生徒には、ま ず予約採用を勧めると良いだろう。  日本学生支援機構では家計の状況等に応じて他にもさま ざまな制度を用意している。例えば、家計支持者の失職等 により家計が急変した場合に、<表>よりも緩やかな条件 で第一種奨学金を貸与する「緊急採用奨学金」や、第二種 奨学金を貸与する「応急採用奨学金」を設けている。また、 入学時に貸与額を増額する「入学時特別増額貸与奨学金」 もある。  また、第一種奨学金採用者のうち、家計年収が 300 万 円以下の学生に対しては、本人が卒業後に一定の収入を得 るまでは返済期限を猶予する「所得連動返還型無利子奨学 金制度」も設けている。さらに文部科学省「学生への経済 的支援の在り方に関する検討会」では、2017 年のマイナ ンバー制度開始を背景に、2018 年度以降のより柔軟な所 得連動返還型奨学金制度の導入も提言されている。大学卒 業後に一定の収入を得られなかった場合に返還額が減額さ れることが特徴で、より安心して奨学金を利用でき、進学 機会が保証されるという利点がある。  都道府県や市町村など地方自治体でも多くの奨学金制度 を実施している。ただし、その地域に学生本人や保護者が 居住していることなどが条件になることや、他の奨学金と の併用が認められない場合もあるので注意が必要である。

奨学金・教育ローンの活用について

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大学選びの視点 第6回 進学費用に関する情報 つかないほうが良いと考えている。ただし、専門学校で合格 後に特待生試験を行っている学校は、積極的に受験させる。 進路決定後にも学習を続けさせる対策の1つでもある。(静 岡県、公立) 奨学金の採用条件 ▶奨学金については高校時代の成績が影響する場合があるの で、早めの段階で伝えるようにしている。(長野県、公立) ▶返済の義務があるかないかが一番の問題ですが、条件を満 たすかを考えるときに生徒の家庭の年収等に踏み込むことに なるので、奨学金制度の利用を具体的には提案していません。 (東京都、私立) 奨学金、教育ローンの返済 ▶奨学金について説明する。ただし、奨学金と言えども、要は「借 金」なので、就職したら保護者の力を借りずに返済するよう 言い添える。(宮崎県、私立) ▶奨学金については卒業してからの返済方法を調べさせ、実際 に返済可能かどうかを考えさせる。(三重県、公立) ▶学生寮などの情報を提供し、保護者が生徒に対して、「地元 しかだめ」と言わないようにさせている。(長崎県、私立) ▶多くの国公立大学には学生寮があるので、学生寮の情報を調 べておくことを進めています。(愛知県、公立) ▶地方の大学を受験する際に、受験場所に東京会場があるか どうかを調べさせている。(東京都、私立) ▶働きながら学ぶ方法もあるのでそれらを紹介しています。具 体的には第1部(昼間部)と第2部(夜間部)のほか、短期 大学には第3部があることや、自宅で学習できる大学がある ことを紹介しています。資料としては、学費、通学費等など が載っている冊子やホームページなどを利用しています。(長 野県、公立) その他の情報 また、民間育英団体による奨学金や、新聞 社を母体とする新聞奨学金制度などもある。  各大学でも独自の奨学金制度を設けてい る。2014 年度「ひらく 日本の大学」調 査によると、学士課程の学生に対して給付 型奨学金を実施している大学は 76%(国 立大 70%、公立大 40%、私立大 82%)、 貸与型奨学金を実施している大学は 38% (国立大 14%、公立大 10%、私立大 46%) となっている。大学によっては日本学生支 援機構よりも緩やかな基準で貸与する場合 もあるので、ホームページ等で確認したい。 その他、授業料減免制度も 76%(国立大 83%、公立大 99%、私立大 72%)の大 学が設けている。  注意しておきたいのが、奨学金を受給できるのは大学入 学後であることだ。そのため、入学前に必要になる大学受 験にかかる費用などには利用できない。そうした資金の不 足を補うためには、教育ローンを利用することができる。 中でも日本政策金融公庫が運営する「国の教育ローン」は 低金利で融資の条件も比較的緩やかであるため、利用者が 多い。審査期間が短く、最短2週間で借り入れられること から、家計の急変等に柔軟に対応できることも利点である。 他にも、民間金融機関等で、融資条件や返済方法がさまざ まな教育ローンを実施している。  このように、奨学金や教育ローンにはさまざまな制度が あり、家計が厳しい高校生にも、進学のチャンスは開かれ ている。ただし、昨今は奨学金の返還を滞納したり、返還 が不能になったりする利用者がいることも問題になってい る。生徒や保護者には、返還までを見越して計画的に利用 することを勧めたい。日本学生支援機構ではホームページ に「奨学金貸与・返還シミュレーション」を設けている。 こうしたものも参照しながら、奨学金や教育ローンの利用 を考えさせると良いだろう。 第一種奨学金 第二種奨学金 利息 無 ①利率固定方式(2014 年3月末現在 年 0.82%)、②利率見直し方式(2014 年3月末現在 年 0.20% 上限年 3.0%)から選択 成績基準 高等学校等での申込時までの全履修科目の評定平均値が、5 段階評価で 3. 5以上であること 下記のいずれかに該当する者 ・高等学校等での申込時までの全履修科目の学習成 績が、学年の平均水準以上であること。 ・特定の分野において、特に優れた資質能力を有す ると認められること。 ・大学等における学修に意欲があり、学業を確実に 修了できる見込みがあると認められること。 家計基準 (給与所得) 自宅通学 自宅外通学 自宅通学 自宅外通学 国公立 805 万円程度 849 万円程度 国公立 1,121 万円程度 1,165 万円程度 私立 854 万円程度 897 万円程度 私立 1,170 万円程度 1,213 万円程度 貸与月額 自宅通学 自宅外通学 30,000 円・50,000 円・80,000 円・100,000 円・ 120,000 円から選択 国公立 45,000 円 51,000 円 私立 54,000 円 64,000 円 ※ 30,000 円を選択することも可能 ※私立の一部の課程は下記の金額も選択可  医・歯学課程  160,000 円  薬・獣医学課程 140,000 円 <表>日本学生支援機構 奨学金制度(2016 年度入学者用) ※家計基準は4人世帯の場合。家計支持者の年収・所得金額(税込み)の上限額の目安(在学採用)。 (日本学生支援機構ホームページより作成)

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静岡県立伊東高等学校 進路指導主事  

稲葉 渉

先生

高校の先生に聞く、進学費用に関する情報の活用

本校は、材料科学・環境科学・バイオ技術分野、情報・ コンピュータサイエンス分野、システムデザイン・ロ ボット分野、エレクトロニクス・エネルギー・通信分野、 立体造形・ディジタルデザイン分野の5つの専門分野 を持つ工業系の専門高校であり、ほとんどの生徒が理 工系の大学・学部への進学を希望しています。  入学当初は東京近郊の国公立大学を志望する生徒 が多いのですが、難関大学が多いため、学年が進むに つれて志望大学を再考する生徒も出てきます。その際、 進路指導部や各専門分野の教員は、関東近県の国公立 大学なども紹介するのですが、近年は自宅から通える 私立大学を選ぶ生徒が増えています。地方の国立大学 に進学すると学費に加えて生活費がかかるのに対して、  私立大学の理工系の学部は、国公立大学に比べると 学費が高く、奨学金制度の利用を考える家庭もあります。 しかし、制度が非常に複雑なため、進路指導部では奨 学金に関する情報を校内掲示などで発信するとともに、 希望者に対して個別に情報を提供するようにしています。  その際に強調していることは、奨学金にもさまざまな 種類があることです。返済不要の給費型のもの、返済 が必要な貸与型のものがあること、実施主体も各大学、 都道府県や市町村、日本学生支援機構などさまざまで あることを紹介しています。貸与型の奨学金のうち、利 用者の多い日本学生支援機構のものについても、利息 の付かない第一種奨学金と、利息の付く第二種奨学金 があり、採用条件が異なっていること、家計の状況など

Interview 2

保護者会などを通じて 早期から資金の準備を促す 本校では、お金が原因で生徒がやりたいことを諦めさ せたり、大学進学のチャンスを狭めたりしないことを進 路指導のスタンスとしています。そのことも理由の一つ として、生徒には進学費用の点で有利で、学びの幅が 広い国公立大学に目を向けさせる指導をしています。た だし、近隣の国公立大学には難関大学が多く、進学が 難しいのが現状です。そこで、全国の国公立大学を視 野に入れる必要があると考えています。  しかし、大学進学には多額の資金が必要であり、自 宅を離れて下宿する場合はなおさらです。そこで、保護 者会などで進学にかかる費用に関する案内を繰り返し行 い、早期からの準備を促しています。  保護者会は各学年、年に3回開催し、進路や学習に 関する情報を提供しています。  そのうち、1年次の入学式当日に行う保護者会では、 毎年必ず、大学進学にかかる費用のことを話すようにし ています。そのときに見せるのが、国公立大学、私立大 学(学部別)、専門学校に進学した場合にかかる費用の 総額を示したグラフです。私立大学に比べて学費を抑 えられることを伝えるとともに、国公立大学でも4年間 で 300 ~ 400 万円が必要なことを示して早期からの準 備を呼びかけています。またその際、どのような進路方 向でも自宅からだと選択肢が少なくなること、高校卒業 時に一旦地元を離れる生徒がほとんどである現状を伝 え、3年後に「子離れ」する覚悟をするように伝えてい ます。  3年次4月の保護者会は「進学資金説明会」として、 ファイナンシャルプランナーに講演してもらっています。 内容は、受験料など入学までにかかる費用と進学後にか かる費用、自宅通学の場合と下宿した場合の費用の違 い、奨学金と教育ローンの違いや申請方法などについ てです。入学前の資金には原則的に奨学金を使えない こと、教育ローンには審査期間があり、合格発表後の申 し込みでは入学金振込み期限に間に合わない場合があ ることなど、見落としがちな情報も話してもらっており、 保護者も修学資金について具体的に意識するようです。  そのほか、国公立大学では独自に学費免除や奨学金 制度を設けている場合が多いのですが、日本学生支援 機構や自治体が実施する奨学金制度より減免の条件が 厳しくないものもありますし、学費減免を申請する学生

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大学選びの視点 第6回 進学費用に関する情報 (注)伊東高校では国公立大学への進学をめざすP(プレパラトリー)コースと、多様な進路希望に応えるC(コンプリヘンシブ)コースを設け、 入学時に選択させている。Pコースの生徒には、土曜講習や長期休業中の進学補習、2年次の勉強合宿に全員参加として、5教科の学力をバ ランス良く身につけられるように指導している。 によっては希望通りの制度を利用できない場合があるこ となども伝えています。  また、奨学金のほかに公的な制度として日本政策金融 公庫の「国の教育ローン」などがあり、奨学金と併用が 可能であること、日本学生支援機構に入学時特別増額 貸与奨学金という制度があることなど、家庭の状況に応 じてアドバイスを行っています。  しかし、昨今は奨学金や教育ローンが返済できない人 もいることが社会問題となっていることもあり、給費型 の奨学金を受給できる家庭でなければ、制度の利用を 安易に勧めず、熟考するように伝えています。そのため、 制度に関する問い合わせは増えているのですが、実際の 利用はあまり多くありません。 地方も含めた幅広い選択肢から 本当に生徒に合った大学を紹介したい  東京近郊の私立大学への進学が増えている理由は経 済的な側面もありますが、面談等をしていると、地元志 向が強まり、生徒も保護者も自宅外からの通学を望まな くなっていることもあると感じます。しかし、生徒が将 来の職業として希望することの多い研究者やエンジニア は、地方、そして国内外を問わずさまざまな場所で働く ことになるため、若い頃に一人暮らしをすることも貴重 な経験になるはずです。もちろん家庭の意向を尊重しま すが、地方の国公立大学への進学も検討させたいと考 えています。  地方の小規模な大学にも教育を充実させている大学、 特色ある研究をしている大学はたくさんありますし、本 校の生徒の場合は理系ですから、一度地方に出てから 大学院で都内に戻ってくるという選択肢もあるはずです。  また、本校では 1983 年から「課題研究」に取り組み、 工業系の専門教育の集大成として、生徒の興味・関心 に応じた研究を行っています(注)。推薦・AO 入試で探 究的な活動を評価する大学は全国にありますから、そう した制度の利用も視野に入れ、地方も含めた幅広い大 学から、生徒に本当に合った大学を紹介したいと考えて います。 が募集枠を下回っている大学もあると聞きます。また、 学生寮が充実している大学も多い印象があります。そう した情報は積極的に発信し、特に国公立大学であれば、 家計が厳しくても進学のチャンスがあることを伝えてい ます。 国公立大学の魅力を伝え 全国に卒業生を送り出す  生徒に対しては、奨学金などの情報も伝えますが、 国公立大学への進学が資金の心配を減らすことにつな がると考えています。そこで、幅広い学力を身につけさ せる本校の学習指導とも関連付け、さまざまな機会を通 じて国公立大学の魅力を伝えています。  1年次夏休みの「文理選択講話」や1・2年次3月の 「卒業生を囲む会」では、本校の卒業生に、大学での学 びや下宿生活の様子、高校時代の勉強方法などについ て話してもらっています。長期休業中に実施することで、 他県に進学した卒業生を招くことを可能にしています。  Pコース(注)では1年次に、生徒1人につき2大学の 国公立大学に関するレポートを書き、クラスで発表させ ています。担当はくじ引きで決めるため、考えたことの ない大学に当たることもありますが、調査や他の生徒の 発表を聴くことを通じて、幅広い国公立大学を知ること につながっているようです。  また、毎年 10 月に2名の教員で、本校から遠くにあ る国公立大学の取材をしています。生徒の進路選択の ために有意な情報があまりない大学を訪問し、学生生 活の実態や、将来の職業等に対する情報を取得し、生 徒や保護者に提供することが目的です。施設見学や本 校卒業生との面談を行い、インターネット等ではわから ない大学の魅力や特徴ある教育内容等について報告し ています。  こうした進路指導の影響か、ここ 10 年で国公立大学 を中心に、全国の大学に進学する卒業生が増えました。  地元を離れてしまうと疎遠になりがちですから、私は SNSを活用して、卒業生に高校の情報を発信したり 卒業生の様子を聞いたりしています。これを発展させて、 卒業生ネットワークを構築したいと考えています。  伊東市の課題としては、観光業以外の産業があまり ないことがあります。そこで、全国に送り出した本校の 卒業生が、さまざまな専門性を身につけて地元に戻り、 互いに連携することで伊東市を盛り上げられたらと思っ ています。そのためにも、今後は地域と連携したキャリ ア教育に力を入れていきたいと考えています。 (注)ガイドライン 2014 年 11 月号参照

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<図>大学ポートレート(国公立)画面イメージ 2015 年3月に国公立の教育情報も公表 国立大学は 86 校すべてが参加  大学ポートレートは、国公立大学(短期大学を含む。以 下同じ)の教育情報は大学評価・学位授与機構の大学ポー トレートセンターが運営を担い、私立大学の教育情報につ いては日本私立学校振興・共済事業団がその運営を担って いる。2014 年 10 月6日から私立の情報が、2015 年3月 10 日から国公私立全体での情報の公表が開始された。さ らに、国公私立全体での公表と同時に、大学評価・学位授 与機構のホームページに共通画面も設け、日本の大学全体 の概況を見たり、国公私立を問わず全ての大学から検索し たりできるようにしている。  大学ポートレートへの参加は任意で、国公立大学につい ては、大学評価・学位授与機構が参加の意思を確認するこ とになっている。2015 年3月 10 日現在で、国立大学は 86 校すべてが参加し、公立大学は 65 校(75.6%)、私立 大学は 535 校(88.9%)の参加となっている。稼動から 間もないことから参加していない大学もあるが、有用性を 見きわめた上で決めたいと考えた大学があったためで、今 後は参加大学が増えると考えられる。  大学ポートレートでは参加した大学がさまざまな項目を 共通に公表することとしているが、入学者の構成(出身高 校所在地別、入試方法別)や卒業者・修了者の構成(職業 分類別、産業分類別、就職地域別)など一部の項目は、公 表を希望する大学のみの掲載にしている。  「任意の公表項目を設けているのは、大学によっては必須 の公表項目に加えてより積極的に情報を発信していきたい という場合があるからです」(小山田室長) グラフで表示、数値の見方を示すなど 利用者にわかりやすい画面を開発  国公立の画面と私立の画面では公表する項目は共通して いるが、画面での表示方法は異なっている。  国公立の画面の特色の一つは、数値情報を一目でわかり やすいように工夫している点である。例えば入学者の構成 や卒業者・修了者の構成などは、グラフで表示して内訳が 機構評価企画課長で、大学ポートレートセンター事務室長も兼務する小山田享史氏に聞いた。なお、大学ポー トレートの開発の背景や「私学版」の特徴については、ガイドライン4・5月号をご参照いただきたい。 大学ポートレート URL(http://portraits.niad.ac.jp/) ■ 卒業⽣・修了者の構成(就業地域別) 2012 年度 2013 年度 2014 年度 都道府県 学⽣数 都道府県 学⽣数 都道府県 学⽣数 東京都 62 ⼈ 神奈川県 58 ⼈ 東京都 56 ⼈ 神奈川県 56 ⼈ 東京都 55 ⼈ 神奈川県 55 ⼈ 埼⽟県 25 ⼈ 千葉県 23 ⼈ 埼⽟県 28 ⼈ 千葉県 20 ⼈ 埼⽟県 22 ⼈ 千葉県 25 ⼈ 栃⽊県 7 ⼈ ⼭梨県 7 ⼈ 群⾺県 6 ⼈ 就職地域については、本社の所在地 に基づいて集計しています。 ※その他は外国 数値の説明(増減理由等) (2014 年 5 ⽉ 1 ⽇現在) 2012 年度卒業・修了者の構成 ( 就業地域別) 2013 年度卒業・修了者の構成 ( 就業地域別) 2014年度卒業・修了者の構成(就業地域別)(最新) 31% 28% 12% 10% 4% 15% 29% 27% 11% 11% 4% 18% 28% 27% 14% 13% 3% 15% ■東京都 ■神奈川県 ■埼⽟県 ■千葉県 ■栃⽊県 ■その他の県 ■神奈川県 ■東京都 ■千葉県 ■埼⽟県 ■⼭梨県 ■その他の県 ■東京都 ■神奈川県 ■埼⽟県 ■千葉県 ■群⾺県 ■その他の県

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大学選びの視点 第6回 進学費用に関する情報 わかるようにしている<図>。  また、数値情報は捉え方が難しく、高校生などが数値だ けを見て誤解する恐れもある。そこで、「数値の説明」と いう項目も設けている。  「例えば、就職者数がゼロになっていると、誰も就職で きなかったと思う利用者もいるかもしれませんが、新設学 部で卒業生がいない場合もあります。そこで、例えば『今 年度開学のため、卒業生が出ていない』といった補足説明 ができるようにしたのです。同様に、入学者の構成(入試 方法別)や卒業・修了者数などについては3年分の経年変 化が表示できるようにしました。大きく数値が変化した場 合にも、その要因を『数値の説明』で補足できるようにし ています」(小山田室長)  国公立の画面については、情報の入力についても、大学 の負担や利用者の利便性に配慮して工夫した。  「国公立大学の場合、入学者数、教員数、学生数、卒業者 数などの数値情報については、大学が文部科学省に提出す る学校基本調査と同等の情報を提出してもらうことで、大 学の入力の負担を減らしています。大学ポートレートの情 報については、その年度の5月1日現在のデータに更新さ れる予定です。  また、大学の特色等を記述する項目については、各大学 が入力しますが、書き方や盛り込む内容を示すための入力 の手引きを大学評価・学位授与機構で作成し、それに沿っ て書いてもらうようにしました。表記を揃えることで、利 用者も各大学の特色を見比べながら検討できると考えてい ます」(小山田室長)  なお、私立の画面と同様に、国公立の画面の情報も、学 校の進路学習用のプリントなどに掲載することができる。 さらに、今後は国公立の画面については大学の情報や条件 検索の結果をCSV形式でダウンロードできるようにする 予定だ。この機能が導入されれば、データを加工すること ができ、進路指導などに役立てやすくなると考えられる。 国公私立の共通検索画面を設ける  国公私立全体での公表と同時に、国公私立の共通画面も 設けた。  「共通検索画面」では、学校名、学部名、課程区分(学士、 修士など)、設置形態(国公私)、キャンパスの所在地など から、国公私立の大学・短期大学を検索できる。さらに詳 しい条件で検索したい場合は、国公立、私立それぞれの詳 細検索画面で行う。国公立の詳細検索では入試形態や奨学 金の有無、私立の詳細検索では教育の取り組みの特徴など を検索できることが特徴だ。  「用語集」では、利用者が大学についての理解を深められ るよう大学関係の用語について解説している。  さらに、今後は「データ分析集」「大学の質保証」といっ たページも設ける予定である。  「『データ分析集』では、大学ポートレートに入力された 数値情報などから、日本の高等教育の傾向を分析し、掲載 する予定です。長期的にデータを蓄積する必要があるため、 公表までにはもう少し時間がかかるでしょう。『大学の質保 証』は、認証評価(注)機関連絡協議会のポータルサイトに リンクを張って、各大学の評価結果を見られるようにしま す」(小山田室長) 利用者の要望を踏まえて 柔軟に改善を加える  国公私立の共通画面と国公立の画面の閲覧件数は、3月 10 日の公表開始後、4月7日までに、トップページが約 1 万 4000 件、共通検索画面が約 1 万 6000 件、総閲覧数は 約 8 万 3000 件だった。やや少なめの印象もあるが、新年 度になったばかりで、まだ大学について調べる高校生が多 くない時期だったことも影響していると思われる。  「利用者を増やすために、広報活動に力を入れる必要性を 感じています。大学ポートレートを知らない高校生や高校 教員も多いと思いますので、近日中にパンフレットを作成 して、配布する予定です。また、全国高等学校進路指導協 議会が開発した『「大学」見極め術』という副教材に、大学ポー トレートを使って大学調べをするワークシートもつけても らいました。進路学習などで使ってもらうことで、大学ポー トレートの利用が増えることを期待しています」(小山田室 長)  現在の大学ポートレートは、稼動していない機能がある ことや、国公立と私立とで画面の表示や検索条件が異なる など、利用者が戸惑うと考えられる点もある。今後、どの ように改善していくのか。  「大学ポートレートは公表したばかりで、これで完成だと は考えていません。例えば『私学版』には、教育の特色か ら大学を検索する機能があるなど、『国公立版』や『共通検 索画面』の参考になる点も少なくありません。利用者から の要望を聞きながら、『大学ポートレート運営会議』でも議 論し、柔軟に改善を加えていきたいと考えています」(小山 田室長) (注)認証評価…大学、短期大学、高等専門学校が、定期的(7年以内ごと)に、文部科学大臣の認証を受けた評価機関(認証評価機関)による評価を受 ける制度。2004 年4月に導入された。評価機関は複数あり、評価結果はそれぞれの評価機関のサイトで公表しているが、現在は評価を実施した機 大学選びの視点 続報 大学ポートレートの現状

参照

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