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第20回神奈川小児循環器談話会 日時平成10年4月11日

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日本小児循環器学会雑誌14巻5号728〜730頁(1998年)

第20回神奈川小児循環器談話会 日時平成10年4月11日

会場横浜市立大学病院会議室

 1.肝血管内皮腫により重症心不全をきたした心房

中隔欠損の1例

    聖マリアンナ医科大学小児科

      吉丸 昌秀,麻生健太郎,栗原八千代       豊川 達記,村野浩太郎

 日齢25,男児.主訴は呼吸困難.来院時にチアノー ゼ,多呼吸,呼吸困難を認め,聴診上,ギャロップお よびII度の駆出性収縮期雑音を胸骨左縁中部に聴取.

触診上,肝を右季肋下に4横指触知.胸部X線上は心 胸廓比は71%,肺血管陰影の増強,心電図上は不完全 右脚ブロック,右房負荷,右室肥大を認めた.心エコー 上,ASD(3〜4mm径),右心系の著名な拡大と肺高血 圧を認めた.進行する心不全に対し,抗心不全療法に て経過をみるもコントロール不能なため,心臓カテー テル検査を施行.右房における酸素飽和度の上昇と右 房圧,右室圧および肺動脈圧の上昇を認めたため,

ASD閉鎖術に踏み切った.術後,心不全の進行は一旦 落ち着いたかに見えたが,その後再び増悪傾向を示し,

DICを伴い永眠された.解剖の結果,肝臓後面ほぼ全 域にわたる血管内皮腫と判明した.諸症状は腫瘍内の 門脈一静脈短絡によるものと考察された.

 2.カテーテルアブレーションにて良好なコント ロールを得た内服薬治療困難なVT症例

    横浜市立大学医学部小児科

      川名 伸子,瀧聞 瀞宏,西澤  崇       横山 詩子,佐近 琢磨,小林 博英       岩本 眞里,安井  清,柴田 利満  症例:12歳,F

 現病歴:1995/1/25,夕食中に突然顔色不良,気分不 快,動悸を訴えた.意識消失はなし.救急車にて某院 受診し,上室性頻拍(HR 200)と診断されATP投与 されるが効果なく,verapamil ivにてsinus rhythmに 戻った.3/15,再度頻拍発作出現し同院受診.この時 の心電図にて心室性頻拍(HR 180)と診断, verapamil

別刷請求先:(〒236−0004)神奈川県横浜市金沢区福浦

     3−9

     横浜市大医学部小児科    柴田利満

ivにてsinus rhythmへ戻った.精査加療目的に当院 紹介受診.5/16EPS施行, verapamil ivにてVTの予 防効果,停止効果認めたため,verapami1120mg経口 投与にて経過観察とした.しかし7月末より8月にか

けて再度VT発作頻回となりverapamil 240mg, pro・

pranolol 40mgに変更した.しかしその後もVTは 時々出現していたが,VT rateは初発時より抑えられ ていた.97年7月,VT発作頻回となりverapamil 320 mgに増量, propranololを中止しdisopyramide 400

mgへ変更.その後もVT発作頻回に認めるため,

disopyramideをflecainide 100mgへ変更した.しか しその後もVT発作頻回のため,内服治療困難例と考 え,98年2月ablation施行した.左室心尖部60℃60秒 焼灼にてVT消失.その後も良好なコントロールを得

ている.

 3.若年期心室性頻拍の臨床像     横浜市立大学小児科

      岩本 真理,川名 伸子,瀧聞 瀞宏       小林 博英,安井  清,柴田 利満       新村 一郎

 若年者心室性頻拍(VT)の臨床上の特徴について検 討した.対象は過去10年間に当科を受診した心室頻拍 87例(男45女42)で持続性心室頻拍は20例(recurrent sustained VT 8例とrepetitive sustained VT 12例に 分類),非持続性心室頻拍(NSVT)は67例だった.全 体で特発性心室頻拍82%,単形性心室頻拍88%であっ た.2年以上の経過観察70例ではNSVTの約2/3と repetitive VT(sustained type)の約1/2でVTが消 失した.突然死2例中1例は多形性特発性反復性心室 頻拍で失神をくりかえしたが怠薬時歩行中に急死,も う1例は単形性特発性非持続性心室頻拍で夜間自宅で 急死した.

 結語:若年期の心室頻拍の多くは予後良好であるが 稀に突然死例があり,特に症候性,多形性心室頻拍例 などでは注意を要する.

 4.肺動脈絞拒術が無効であった単心房・心不全の 1症例

    北里大学医学部小児科

Presented by Medical*Online

(2)

日小循誌 14(5),1998

      武田 信裕,小川 夏子       三沢 仁司,平石  聰  症例は日齢1の女児.在胎41週2日,生下時体重 2,595gにて出生.生下時より心雑音と哺乳不良認め,

日齢1に当院NICU搬送となった.入院時,チアノー ゼは明らかでなく胸骨左縁中部にIII度の収縮期雑音を 認め,血液ガス所見上著明なアシドーシスを認めた.

胸部単純X線写真,心電図,心臓超音波検査などより 単心房,心室中隔欠損,左室流出路狭窄,大動脈縮窄

(軽度)と診断した.入院後抗心不全療法(輸液管理,

DOA,利尿剤),アシドーシスの補正を行い経過観察を 行った.しかし抵抗性の代謝性アシドーシスが続き多 呼吸の進行もみられたため日齢3より挿管人工呼吸管 理とした.肺体血流比の増大が低心拍出の主因と考え,

日齢7に肺動脈絞拒術を施行した.しかし術後も低心 拍出状態は改善せず低血圧・乏尿・アシドーシスは進 行した.腹膜透析や各種薬剤にも反応なく多臓器不全

となり日齢17死亡した.

 本症例では肺動脈絞拒術による肺血流量の調節は困 難であり,一期的心内修復術を考慮すべきと考えられ

た.

 5.急激な経過をたどった右室内腫瘤と肺高血圧の 1女児例

    北里大学医学部小児科

      武田 信裕,小川 夏子       三沢 仁司,平石  聰  症例は8カ月女児.在胎週数40週2日,生下時体重 2,884g,正常経膣分娩にて出生.妊娠,分娩経過に問 題なく出生後も特に異常を指摘されなかった.家族歴

に特記すべきことなし.生後4カ月頃より家族は顔色 不良に気がついていたが健診等では異常ないと言われ た.生後7ヵ月頃より頻回に感冒に罹患,顔色不良も 著明となり徐々に活動性の低下も認めた.当院受診2 日前より哺乳力の低下,四肢の浮腫を認め当科受診と

なった.

 来院時全身に著明なチアノーゼと多呼吸,浮腫を認 めた.聴診所見上肺野は清,Lev III/VIの収縮期雑音 を認めた.肝臓は季肋部に4cm触知した.

 血液検査では血算・凝固系に異常なく生化学検査も 正常範囲内であった.血液ガスでは著明な低酸素血症

を呈していた.胸部単純X線写真上心拡大と左肺野の 血管影の減弱を認め,心臓超音波検査では右肺動脈の 低形成および重度の肺高血圧がみられた.また右室心 筋・内膜の肥厚とエコー輝度の不均一なmass lesion

729−(137)

を右室内に認めた.心臓カテーテル検査上肺動脈圧は 97/43(63)と体血圧を上回る肺高血圧を認めた.入院 後直ちに人工呼吸管理を開始し,抗心不全療法及び肺 高血圧に対しPDE−III阻害剤の投与を行った.しかし 低酸素血症,アシドーシスの進行を認め入院翌日永眠 した.病理解剖所見では右肺動脈欠損,右室内壁在血 栓,左肺内肺動脈において小血栓が散見され,左肺内 細動脈にHeath・Edwards III度の肺高血圧性変化を

認めた.

 本症例では右側肺動脈欠損に左肺高血圧の進行,右 室内血栓形成及び肺塞栓症が合併し,右心不全の増悪

をきたしたと考えられた.

 6.興味深い血行動態を示した,大動脈弓離断,動 脈管開存,第5鯉弓遺残および側副血行路を有した1 例

    北里大学医学部小児科

      小川 夏子,平石  聰       三沢 仁司,武田 信裕  症例は妊娠分娩経過に問題なく出生.日齢より活気 不良,哺乳力低下を示し,日齢15に多呼吸,顔色不良 にて当院を受診した.入院時は多呼吸で呼吸音は減弱 し,心雑音は聴取されなかった.上下肢の血圧差を認 めた.胸部X−PではCTR 64%と心拡大があり,肺血 管陰影の増強もみられた.心エコー所見より大動脈弓 離断(Type A),動脈管開存(血流は両方向性),第5 鯉弓遺残(縮窄合併),心不全と診断し,Lipo−PGE1,

DoA,利尿剤の投与を開始した. Lipo−PGE1使用数時 間後から血圧の低下を認め,その時点の心エコー所見 で動脈管血流が左一右シャントとなっていたため Lipo−PGEIは中止とした.造影所見で左鎖骨下動脈か ら縮窄部より遠位の下行大動脈に連結する側副血行路 を確認できたため,Lipo−PGEIを再開せず様子観察と した.中止後血圧は安定したが,その後心エコー所見 では動脈管と第5鯉弓縮窄部の閉鎖を認めた.日齢23 に大動脈形成術(大動脈弓下面と下行大動脈の直接吻 合)を施行し,術後経過は1頂調である.

 7.胎児心房粗動の1例

    横浜市立市民病院小児科   三浦  大  在胎34週6日,胎児の頻脈のため当院を受診した.

胎児心エコーで心房粗動(AF,2:1伝導,心拍数220)

と診断し,母体へのジゴキシン投与を開始した.頻脈 が持続するため1.5mg/日まで増量したところ,母体の 嘔気と胎児の徐脈が出現したためジゴキシンを中止し た.経過中,胎児水腫の徴候はなかった.在胎36週3

Presented by Medical*Online

(3)

730−(138)

口,誘発により経膣分娩で出生した.出生時は2:1 のAFであったが,ジゴキシン0.01mg/kgを2回静注 後3:1〜4:1伝導になった.日齢1からO.Olmg/

kg/日の内服を開始し,日齢4以降AFは消失した.生

日本小児循環器学会雑誌第/4巻第5号 後2カ月の時点で不整脈は認められていない.胎児の AFに対する母体へのジゴキシン投与が無効であって も,新生児への投与は有効である場合があると考えた.

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