ファジィ理論とファジィ微分方程式
Fuzzy Logic and Fuzzy Differential Equations
非線形解析研究室 BV12073 林 愛彩香 指導教員 : 竹内慎吾 准教授
1 はじめに
数学において, 「だいたい 2」などと言ったあいまいな表 現は許されない. ところが, そのあいまいさを認めたファジィ 理論というものが存在する . 1965 年にカリフォルニア大学の
Zadeh 教授によって発表された論文 [1] がファジィ理論の始
まりである . ファジィ制御など , その応用例は多岐にわたる . 本研究では, ファジィ微分方程式について論じる.
第 2 節は [1], [2], [3] を, 第 3 節は [2], [4], [5] を参考にした.
2 ファジィ理論
ファジィ集合 U は, 各 ξ ∈ R n に対し 0 から 1 までの値 をとるメンバーシップ関数 u : R n → [0, 1] で特徴づけられ る. メンバーシップ関数はファジィ集合を可視化するために 用いられる. メンバーシップ関数の値 u(ξ) は ξ ∈ R n が U に属する “ 度合い ” を表現し , その値 u(ξ) が 1 に近ければ近 いほど ξ が U のメンバーである可能性が高い. このことか ら , ファジィ集合 U とメンバーシップ関数 u を同一視する . メンバーシップ関数のうち, ある種の単調性と凸性がある ものの集合を E n とする.
定義 2.1 ( メンバーシップ関数の集合 E n ) 関数 u が以下 の 4 条件をみたすとき, u は集合 E n の元であるという.
1. u は R n から [0, 1] への関数である.
2. u の台 [u] 0 := { x ∈ R n | u(x) > 0 } はコンパクトである.
3. 任意の α ∈ (0, 1] に対して, u の α –カット集合 [u] α :=
{ x ∈ R n | u(x) ≥ α } はコンパクトである .
4. 0 < λ < 1, x, y ∈ R n に対して, 狭義ファジィ凸である:
u(λx + (1 − λ)y) > min [u(x), u(y)] .
特に u ∈ E 1 をファジィ数という .
定義 2.2 (ファジィ集合の二項演算) u, v ∈ E n に対して (u ± v)(ξ) := sup
ξ
1± ξ
2=ξ
min [u(ξ 1 ), v(ξ 2 )] , (uv)(ξ) := sup
ξ
1ξ
2=ξ
min [u(ξ 1 ), v(ξ 2 )] , (u/v)(ξ) := sup
ξ
1/ξ
2=ξ
min [u(ξ 1 ), v(ξ 2 )] .
定義 2.3 A, B ⊂ R n について, d ∗ H (A, B) := sup
a ∈ A
b inf ∈ B | a − b | ,
d H (A, B) := max { d ∗ H (A, B), d ∗ H (B, A) } とする. u, v ∈ E n に対し, 距離を次のように定義する.
d(u, v) := sup { d H ([u] α , [v] α ) : α ∈ [0, 1] } . 定理 2.1 (E n , d) は完備距離空間である.
3 ファジィ微分方程式
3.1 ファジィ関数の微分積分
T ⊂ R を有界閉区間とする.
定義 3.1 F : T → E n をファジィ関数という .
定義 3.2 (selection) X, Y を任意の集合とし, R(Y ) を Y の閉部分集合族とする. 実数値関数 f : X → Y と 集合値関 数 F : X → R(Y ) \ {∅} について, 任意の x ∈ X に対して f (x) ∈ F (x) のとき, f を F に対する selection という.
定義 3.3 ( ファジィ積分 ) F : T → E n , F α (t) := [F (t)] α と する. F の T における積分 ∫
T F (t) dt ∈ E n は 各 α で次 のように定義される . 任意の α ∈ (0, 1] に対して ,
[∫
T
F (t) dt ] α
:=
∫
T
F α (t) dt :=
{∫
T