「裾野市の未来とスマートシティーAIと法の観点か ら」の開催に際して
著者 朱 曄
雑誌名 静岡法務雑誌
巻 12
ページ 135‑136
発行年 2021‑03‑31
出版者 静岡大学サステナビリティセンター
URL http://doi.org/10.14945/00028139
近時、深層学習(Deep Learning)という機械学習の技術の誕生により、人工知能
(AI)は飛躍的に進化するようになった。そして、世界の情勢に注視すると、AI技 術の利用が凄まじい迫りで普及し、新たな産業の誕生が生まれ、社会に利便性をもた らした。AIが普及したデジタル社会において、人々の生活をより豊かなものにする には、データの利活用が重要な課題として浮上した。
こうした動向の中、「TOYOTA Woven City」の未来都市および裾野市の「スソノ・
デジタル・クリエイティブ・シティ」の構想が打ち出され、デジタル社会における斬 新な試みが行われようとしている。
そうした中、2020年10月に、静岡大学と裾野市は包括連携協定を締結し、今後、こ の協定のもと、法やAIといった観点から裾野市の構想に協力していく予定である。
このよう背景のもとで、今回は、静岡大学サステナビリティセンター、静岡大学情報 学部、裾野市、静岡弁護士会は、静岡県の協力をもいただきながら、「裾野市の未来 とスマートシティ―AIと法の観点から」を題とする先端学術シンポジウムを企画し た。本シンポジウムの趣旨として、裾野市の構想を踏まえつつ、どうのようにすれば プライバシーの侵害といった市民の懸念を払拭し、安心して暮らすことのできるス マートシティが実現されるのかについて、多方面の専門家から検証していただくこと とした。
今回の先端学術シンポジウムは、2021年2月28日(日)に開催された。本年は新型コ ロナ禍のため、感染拡大を防止する観点からZoom方式で開催され、山下善弘静岡 県弁護士会副会長に司会進行を務めていただいた。
開催に当たって、上川陽子衆議院議員、法務大臣からご挨拶をいただき、AI、
IT等の技術の発展に伴うデジタル化の推進は、国民生活の利便性を高め、快適で豊 かな生活を実現し、活力に富んだ経済の構築に重要な役割を果たし、こうした科学技 術のイノベーションがデータの利用や取引の在り方など社会システムに大きな変化を もたらすと共に、データの帰属、管理、法的責任の所在など新たな法的課題を提起し
■ 先端学術シンポジウム ■
「裾野市の未来とスマートシティ―AI と法の観点から」の 開催に際して
朱 曄
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ている旨の現状を紹介していただいた。そして、AI、IT等の技術を活用したス マートシティの社会実装にあたっては、市民を街作りの主人公としながら、生じうる 法的課題を整理し解決策を模索し、市民の不安を解消する必要があり、民事法制等の 基本法を司る法務大臣として、新たな法的課題にしっかりと向き合い、その役割を果 たしたい旨の抱負を語っていただき、シンポジウムでの多角的な議論によって課題整 理、解決ができるよう登壇者の士気を鼓舞していただいた。続いて、髙村謙二裾野市 市長からご挨拶をいただき、本シンポジウム開催の経緯および「スソノ・デジタル・
クリエイティブ・シティ」構想誕生の背景について紹介していただき、上川大臣のお 話を受けつつ、豊かな自然と調和し、みんなが誇る田園未来都市としての裾野市の輝 かしい将来像について語っていただいた。
本シンポジウムは、「報告」、「コメント」および「パネルディスカッション」の3 部により構成され、それぞれの概要は次の通りである。
第一部の「報告」では、まず髙村謙二裾野市市長が構想の実現によって拓く未来社 会について紹介していただいた。続いて、市川博之(一般社団法人シビックテック・
ラボ代表理事)はデジタル・データ・デザインでスマートシティを進めることについ ての解析を行っていただいた。その後、静岡大学情報学部准教授の狩野芳伸氏は人工 知能技術の発展がもたらすスマートシティの可能性について語っていただいた。そし て、休憩後に、静岡大学サステナビリティセンター長の堂囿俊彦氏はSDGsの視点 からスマートシティについて解説を行い、最後に静岡大学サステナビリティセンター 教員の朱曄は、民事法の視点からデジタル社会におけるデータ利活用の課題解決をめ ぐる検討を行った。
第二部においては、各報告を受けて、情報と法について造詣の深い浅井裕貴弁護士 が、来聴者の理解を深める上で大変有益なコメントを加えられた。
第三部では、浅井裕貴弁護士によるコメントの後、パネルディスカッションが行わ れたが、聴衆の質問、スマートシティ構想の実現などを踏まえた活発な討論が行われ た。
最後に、本シンポジウムの開催にあたって共催者として全面的にご支援いただいた 裾野市、静岡県弁護士会、静岡大学情報学部、また、ご後援いただいた静岡県をはじ め、その他ご協力いただいた関係者の皆様には、この場を借りて深く御礼申し上げた い。
当日の報告の内容を本号の静岡法務雑誌に掲載し、今後のスマートシティの実現の 理解に資することを願いたい。
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