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5.2.1 定積分の定義と存在 以下本節では断らない限り y =f(x)を閉区間 I = [a, b] ={x∈R

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Academic year: 2021

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(1)

浪川 幸彦 July 3, 2007

5 積分

5.2 定積分

 ここではリーマンによる定積分の厳密な定義(の仕方の一つ)と,それと不定積分とを関 連づける「微分積分学の基本定理」を学ぶ。すでに知っている定積分の基本性質とともに,

幾つかのより高度な定積分の技法を学ぶ。

5.2.1 定積分の定義と存在

 以下本節では断らない限り y =f(x)を閉区間 I = [a, b] ={xR; ax b} 上で有界 な関数とする。

Definition 5.2.1 (Text p.177f ). 1)区間 I を小区間に細分し,その分点を a = x0 <

x1 < x2 <· · ·< xn=b とする。この分割 に対し,

Ik= [xk−1, xk], kx=xkxk−1 (k = 1,2, . . . , n)

とおき,

|∆|= max

1≤k≤nkx を分割 の幅とよぶ。

2)各 Ik から任意に点 ξk を取って作った和

R[∆;k}] =

n

X

k=1

f(ξk)∆kx

∆,k} に関するリーマン和という。

3)ある数 A があって,分割の幅を 0 に近づけるとき,分割や点の選び方に拠らずリーマ

1

(2)

ン和が A に限りなく近づくとき,正確に言えば,いかなる ε >0 に対しても δ >0 が存在 して |∆| < δ ならば |R[∆;k}]A| < ε となるとき,関数 f は区間 I 上で(リーマン)

積分可能(または 可積であるという。この値 A f I 上の定積分とよび Z b

a

f(x)dx

で表す。

 これは一般的な定義であるが,このままでは使いにくいので,リーマン和を上下から挟み 打ちにすることを考える。分割 に対し,Ik での f の値の上限,下限を各々 Mk.mk おき,

S[∆] =

n

X

k=1

Mkkx, s[∆] =

n

X

k=1

mkkx

を作ると,明らかに

s[∆]R[∆;k}]S[∆]

が成り立つ。

Proposition 5.2.2.  分割すべてを動かすとき,s[∆] には上限 s が,S[∆] には下限 S 存在する。明らかに sS. 前者を f I 上の下積分,後者を 上積分とよぶ。

Idea of proof. 分割を「細かく」するときにs[∆]は大きくなり(正確には下回らない),S[∆]

は小さくなる(正確には上回らない)。また任意に二つの分割を取るとき,それらよりも「細 かい」分割が必ず存在する。

Theorem 5.2.3 (Darboux).  関数 f が区間 I 上で積分可能であるための必要十分条件 s=S である。このときその値は定積分に等しい。

Corollary 5.2.4.  関数 f が区間 I 上で積分可能であるための必要十分条件は,任意の ε >0 に対し, P

k(Mkmk)∆kx < ε をみたす分割 が存在することである。

Example. I = [0.1]

f(x) =

( 1 (xQ

0 (x /Q

と定義すると,任意の分割に対し,S = 1, s= 0 であるから,f は積分可能ではない。

Remark. 別の定義,特にルベーグ積分に拠れば,これは積分可能で,その定積分は0になる。

Theorem 5.2.5.  関数 f が区間 I 上で単調であれば,積分可能である。

Idea of proof. 単調増加としよう。Mk=f(xk), mk =f(xk1) であるから X

k

(Mkmk)∆kxX

k

(Mkmk)|∆| =|∆|X

k

(f(xkfk−1) =|∆|(f(b)f(a)).

Theorem 5.2.6 (Text p.179).  関数 f が区間 I 上で連続であれば,積分可能である。

Idea of proof. 有界閉区間上の連続関数は「一様連続」であるという Weierstrassの定理に よる。

(3)

5.2.2 定積分の基本性質

 ここに掲げた基本性質は,前項の定積分の厳密な定義に従って,容易に証明される。それ らの多くは皆さんに既知のものである。

Proposition 5.2.7.  関数 f が区間 I 上で積分可能であれば, I に含まれる任意の閉区 間上で積分可能である。

Proposition 5.2.8 (区間加法性).  関数 f が区間 [a, b], [b, c] (a < b < c) 上で積分可能 であれば, [a, c] 上でも積分可能で

Z c

a

f(x)dx= Z b

a

f(x)dx+ Z c

b

f(x)dx.

Remark. a < b に対し,形式的に Ra

b f(x)dx =Rb

a f(x)dx と定めれば,上記命題の大小関

係の条件は不要である。

Proposition 5.2.9 (線形性). 関数f, gが区間I 上で積分可能であれば,f±g, αf 定数), f g I 上で積分可能で,α, βを定数とするとき

Z b

a

(αf(x) +βg(x))dx=α Z b

a

f(x)dx+β Z b

a

g(x)dx.

Proposition 5.2.10. 関数 f が区間 I 上で積分可能で,かつ m f(x) M であるとす る。さらにφ(x) が区間 [m, M] で連続であれば,合成関数φf I 上で積分可能である。

 とくに f が積分可能であれば,|f(x)|,(f(x))p, af(x) などは積分可能である。

Proposition 5.2.11 (単調性). 関数 f, g I 上で積分可能で,かつf(x)g(x)であれば,

Z b

a

f(x)dx Z b

a

g(x)dx.

 さらに f, g が連続であれば,等号は f(x)g(x) の場合のみ成り立つ。

Corollary 5.2.12. 関数 f が区間 I 上で積分可能で,かつ f(x)0 であれば,

Z b

a

f(x)dx0.

 さらに f が連続であれば,等号は f(x)0 の場合のみ成り立つ。

Corollary 5.2.13.

Z b

a

f(x)dx

Z b

a

|f(x)|dx Z b

a

|f(x) +g(x)|dx Z b

a

|f(x)|dx+ Z b

a

|g(x)|dx

(4)

5.2.3 微分積分学の基本定理

関数f は区間I 上で有界かつ積分可能であるとする。I 上の関数

F(x) = Z x

a

f(t)dt (a x b)

を考える。

Theorem 5.2.14. F(x) は区間 I で連続である。

Theorem 5.2.15. さらにf x=x0 で連続であるとすると,F(x) x=x0 で微分可能 F0(x0) =f(x0) である。

Corollary 5.2.16. f I で連続であれば,F(x) f の不定積分である。

Theorem 5.2.17. f I 上で積分可能で,かつそこで不定積分 G(x) を持つとすると,

Z b

a

f(x)dx= [G(x)]ba =G(b)G(a)

Idea of proof. 任意の分割を考える。G(x) に対し平均値の定理を用いると各小区間において

G(xk)G(xk−1) =fk)∆kx, xk−1 ξk xk).

よって

G(b)G(a) =X

k

(G(xk)G(xk−1) =X

k

fk)∆kx.

分割の幅を 0 に近づければ,右辺は定積分に収束する。

Remark. ここに与えた証明は f の連続性を仮定しておらず,教科書よりも強い命題である。

連続性を仮定すれば,その前の系を用いることで証明は終わっている。

5.2.4 定積分の計算

置換積分や部分積分を用いる定積分の公式をまとめておく。

Proposition 5.2.18 (置換積分). 関数f は区間[a, b]上で連続,かつx=x(u)uの関数で [α, β]において微分可能かつその微分が連続であり,しかも ax(u)b, x(α) =a, x(β) =b であるとするとき,

Z b

a

f(x)dx= Z β

α

f(x(u))dx dudu.

Proposition 5.2.19 (部分積分). 関数 u, v は区間 [a, b] 上で微分可能かつその微分が連続 であるとするとき,

Z b

a

uv0dx= [uv]ba Z b

a

u0vdx

(5)

Example 1. [Text p.182 (4.6) - (4.8)] 三角関数の直交性 Example 2. n 2のとき,

Z π/2

0

sinnxdx= Z π/2

0

cosnxdx=

( n−1

n · n−3n−2 · · · · · 12 · π2 (n even)

n1

n · nn−23 · · · · · 23 (n odd) Example 3. [Text p.184 (4.10)]

Exercise 6. 次の公式を示せ:

Z 1

1

(1x2)ndx= 22n+1(n!)2 (2n+ 1)!

Hint. 上の例3(の m =n の場合)を変形するか,同様にやる。

Exercise 7. Pn(x) をルジャンドル多項式

Pn(x) = 1 2nn!

dn

dxn(x2 1)n (n = 0,1,2,3, . . .) とするとき,次を示せ:m, nを非負整数とするとき

Z 1

−1

Pm(x)Pn(x)dx= 2

2n+ 1δmn.

ただし δmn = 1 (m=n),0 (m6=n) (Kronecker のデルタ)。

Hint. 直前の練習問題の結果を用いる。

重ねてのお詫び:再試験の返却

 今週も再試験の返却ができませんでした。次週になります。

連絡先

研究室:理1号館506号室

オフィスアワー:木曜日11:30〜12:30(それ以外の場合は事前にアポを)

E-mail : [email protected]

Tel.: (052-789-) 4746

Website : http://www.math.nagoya-u.ac.jp/˜ namikawa/

ウェブページには,今までの配付資料をすべて掲載してあります。

参照

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