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-構造接着,精密接着,技術者育成-

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Academic year: 2021

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 接着技術は,輸送機器,土木・建築,電機・電子・精密 機器,医療などを始めとして広範な分野で用いられてお り,今では組立の重要な要素技術の一つとなっている。

 2010年代に入ってからは,自動車の車体軽量化のため のマルチマテリアル化に伴い,異種材接合の有力な手段と して「構造接着技術」が注目を集めている。しかし,自動車 の異材構造接着技術は,明らかに欧州先行で,日本ではそ れに刺激されて国プロなども始まり,自動車の産業規模の 大きさから,ブレイク現象とも言える状況に至っている が,早期にキャッチアップ段階を超えるには,学官と企業 ごとの連携だけでなく,シーズ側,ニーズ側の各業界内で の連携強化の下での産官学連携が必要ではないだろうか。

 自動車以外の分野では,日本でも,長年にわたって多く の機器で優れた構造接着が実用化されてきたが,これらの 技術が汎用化されているとは言えない。その理由は,接着 は完成後に接着部の性能を非破壊で検査できない特殊工程 の技術であり,接着部の性能,信頼性,品質を担保するに は,設計段階と製造段階での作り込みが最重要で,これら はノウハウそのものであるため,高度な技術は特定の企業 内に留まっているためと思われる。

 日本における接着技術は,接着のシーズ側である材料開 発などのケミカル面を中心に発展してきたが,接合構造体 としての性能,信頼性,品質を確保するためには,力学面 での研究も重要である。欧米に比べて日本では構造接着技 術が汎用化できなかったのは,構造接着の牽引役である航 空機産業が戦後伸びなかったため,大学での教育,研究・

開発も欧米に比べると稀少で,人材育成ができなかったた めであろう。構造接着技術の向上のためには,接着でモノ づくりをおこなう接着のニーズ側が業界内での連携を強化 し,目的を明確にして,学官と連携して力学面での研究開 発を強化し,関連業界全体で情報を共有化する取組みが必 要であろう。

 一方,あまり注目されていないが重要な接着分野として

「精密接着」がある。精密部品・精密機器の組立には,長年 にわたって接着が重要な技術として広範な産業分野の膨大 な数の企業で実施されている。しかし,精密部品や微小部 品の接着は,対象の部品や機器が千差万別で,手作業個産 から自動化量産まで生産方式もさまざまであり,その要求 条件も広範にわたるため,接着剤は多品種少量使用で,ま た,微小接着部の接着特性の評価はきわめて困難であるた め,接着技術の開発は企業ごとに試行錯誤的に,接着トラ ブル対策は,対症療法的におこなわれているのが実情であ る。今後の自動運転,情報量の拡大,通信速度の向上など に伴い,精密部品や機器の高性能化,低コスト化,信頼性・

品質の向上が強く要求されている。これに対応するために は,精密・微小部品接着における技術課題を抽出,分類,

整理して,要素技術として体系化し,一つの技術分野とし て確立していくことが急務である。対応の一つとして,今 年度から精密接着

WG

活動1)も開始され,微小で実験的評 価が困難な精密接着の諸現象を定性・定量・可視化できる

CAE

解析技術の高度化などの取組みが始まっている。

 接着剤は,機能,接合特性,耐久性,信頼性,作業性な ど多面的に検討して選定するため,多大なる評価試験と経 験が必要で,接着剤選定の困難さは,接着採用の大きな障 害となっている。データベースの構築も必要であろう。

 接着部の耐久性を正確に予測するのは容易ではない。接 着部に劣化が生じると,接着体の特性にも何らかの変化が 生じるので,劣化の程度と特性の変化の関係を掴み,特性 をリアルタイムにセンシング,モニタリングする技術を開発 すれば,不良に至る前に補修や交換が可能となるであろう。

 先にも述べたが,接着接合は特殊工程の技術であり,設 計段階,製造段階での品質の作り込みが最重要であるが,

接着はさまざまな学問の境界領域の技術であるため,「接 着」をキーワードとした多くの知識が必要である。しかし,

日本には接着工学を扱っている大学は非常に少ないため,

接着の作り込みができる技術者は少ない状況にある。この ような状況に対処するために,接着設計と接着管理に必要 な要素技術を体系的に保有し,全体を俯瞰できる接着適用 技術者の育成が急務であり,3年前から接着適用技術者養 成講座1)も開催されている。また,欧州ではドイツが中心 となって,接着の品質向上を目的に,製品組立に接着を用 いる企業と技術者,作業者の認定制度が規格化されて施行 されている。日本でも,国際的に相互認証可能な資格認定 制度の早期設定が必要である。

 接着技術の体系化と情報共有による汎用化,技術者増強 による接着技術の今後の展開に期待したい。

1日本接着学会構造接着研究会HPhttps://www.struct-adhesion.org/

接着技術のさらなる高度化のための課題と取組み

-構造接着,精密接着,技術者育成-

原賀 康介

Issues and Initiatives for Further Improvement of Adhesion Technology

Structural bonding, Precision adhesion, Engineer training−

Kosuke HARAGA

1973 京都大学工学部工業化学科卒業

同 年 三菱電機(株)入社,生産技術研究所,材料研究所,先端 技術総合研究所に勤務

2012 三菱電機(株)を退職

同 年 (株)原賀接着技術コンサルタントを設立 現在に至る

連絡先;〒659-0042 兵庫県芦屋市緑町1-9-301 E-mail [email protected]

第 82 巻 第 9 号 (2018) (1) 471

公益社団法人 化学工学会 http://www.scej.org/

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参照

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