循 環 器 疾 患 総 論
全 身の血液循環
人 間 の 体 を 構 成 し て い る す べ て の 細 胞 は
、 酸 素 と 栄 養 を 材 料 に し て エ ネ ル ギ ー を 産 生
し て 生 き て い る
。 そ の た め に
、 全 身 の 細 胞 に 酸 素 と 栄 養 を
運 ぶ機構として、血液と循環器系が準備されている。
1 .循環器系の構成と血流の分布
体 循
環: 左心室—大動脈—細動脈—臓器の毛細血管網—細
静脈—大静脈—右心房
血 液 は 心 臓 の 左 心 室 か ら 大 動 脈 に 送 ら れ て
、 末 梢
臓 器 に 到 達 し
、 毛 細 血 管 網 を 流 れ た 後 で
、 静
脈 に入って大静脈に集められて右心房に帰ってくる。
肺 : 循環 右心室—肺動脈−肺−肺静脈—左心房
右 心 房 に 帰 っ て き た 静 脈 血 は
、 右 心 室 か ら
肺 に 送 ら れ
て 、ここで酸素が飽和されて、左心房に戻ってくる。
循 環器系の働き
①体 循環は、全身へ酸素を運び、末梢臓器から
CO2 を 運ぶ。
②全 身に栄養素を運び、末梢から代謝産物を運ぶ。
③
腎 臓で尿を作らせる。血圧で糸球体から濾過される。
④末 H+ イ pH 梢から オンを運び、組織の
を 保つ。
⑤ホ ルモンなどを運搬する。
⑥Na+やCa2+等 のイオンを運ぶ。
⑦末 梢組織での体温維持。
⑧白 血球などの生体防御因子を運ぶ。
Q:
心
臓 から1回当たりどのくらいの血液が送られるのか?
Q: 1 分間ではどのくらい?
I. 循 環器疾患で認められる症状
1 .胸痛
胸痛をもたらす疾患の頻度と重大性
2 .呼吸困難
75 % 呼吸器疾患( )
上気道閉塞(気道異物、喉頭浮腫など)
COPDな 下気道閉塞(気管支喘息、 ど)
肺実質疾患(急性肺炎、肺癌など)
10 % 心疾患( )
肺うっ血(心不全、僧房弁狭窄症など)
3 .動悸
通常は自覚しない心臓の拍動や鼓動,またはその
乱れを自覚する事.
循環器疾患
不整脈(期外収縮、頻脈)
非不整脈(心不全、高血圧など)
非循環器疾患
2 次性(貧血、発熱、甲状腺機能亢進)
心因性(心臓神経症、過換気症候群など)
4 ( .浮腫 むくみ)
心性:うっ血性心不全
下 肢に多く、夕方に増強
肝性:肝硬変
腹水、下肢の浮腫
腎性:糸球体腎炎、腎不全
眼 瞼、顔の浮腫、朝方に多い
栄養失調性
内分泌性:甲状腺機能低下症(粘液水腫)
妊娠性
致死性の高い疾患
心 筋梗塞
肺塞栓
緊張性気胸
解離性大動脈瘤
5 .失神
失 神 と は 一 過 性 の 意 識 消 失 発 作 を 指 し
、 心 疾 患 に よ る も の
、 て ん か ん な ど の 脳 神 経 疾 患
に よ る
も あ の、代謝性のものなどが
る
。 失 神
の 因としては 原
反 性( 36 ~ 62 % 原 射 )、心
性
( 10 ~
30 % )、
起
立 性( 2 ~
24 % 、 )
脳 あ 血管 1% る. 性 )などが (
①心 性
・ア ダムス・スト
ー クス 症候群
極端 な 急に発生した
徐 停止 、頻脈のた 脈、心
めに、心臓から
脳 供給 が大きく低 への血液の
下
/ 停
止 脳 した 場 して、 の酸素低下を 来
合
を 結果 、めまい ・ い う 。その 失神 ・け いれ
ん
が れて死に 至 る 。 現 ることも あ 危険 な状 態
房 ブロ が 室 ッ ク
50−60% 、
洞 不全 30 症 候 群が
40% 、 − その
他 に心室頻 拍 、 心室細動
・
器 的 質 心疾患( 大 動 脈弁狭窄症など)
②反 性( 射 神 経 調
節 性)
血管
迷 走 神経性失神
礼 朝
な ど
で 立 長時 間 っていると不意に意識 が
立ち くらみが お なくなる、
き る
、 め ま い
が き お
特徴 。また、 病院 で るなどの症状が
採 血したり
絶 すると自分の血をみて気
す る 人 が い る が
、 こ
れも血管
迷
走 神経 反射 。
6
. ショ ッ ク
定 ( 急 ) 義 日本救 医学会
90mmHg以 血圧低下(収縮期血圧
下 )
+
小 項目以 項 目 3 上
① 上 心拍 数 100以
② 微 弱 な脈拍
③ 爪 床 の毛細血 refilling遅 管 延 の
④ 意識 障害
⑤ 尿 乏 /無 尿
⑥ 白と 冷汗 皮 膚 蒼
7
. ー チア ゼ ノ
毛細血管
中 還元型ヘ モ ンの 量 の グロビ が 5g/dl以
加 上に増
し た
状 をさす. 態
中 よ 心性 る : 動 脈血酸素飽和度の低下に
拘
束 性肺疾患など、
→ 右
左 ト シャ ン
末梢性:血流うっ
滞 よ に る
心不全、閉塞性動脈硬
化 症など
・
心 と収縮 /拡 張期の 期 音 関係
I 音
は まる 時 鎖音 収 縮 期が 始 、房 室弁の閉
II音
は 張期の まる 時 拡 始 、大 鎖音 動脈弁の閉
肺 鎖音 動脈弁の閉
朝
礼 突然 意識を失う など 場合 など で
シ の分 類 ョック
・
外 性 傷 ショック :1
次 性 は 精 神 的 シ ョ
ッ に ク
よ 反射 ( 痛 引金 ( な ど の る神経 疼 trig-
ger) よ に
る 血
管 迷走 神経 反射 ( Vaso-
vagal reflex))
の
結 果
、 徐 脈
・ 心 収 縮 力 の 低 下 に 起 因 す る 心 拍 出 量 の 低 下 お よ
び 末梢血管
拡 る血圧低下が 起 張に よ こる。 2
次 性は
出 よ 血性 ショック に る。
・ 心 原 性 シ ョ ッ ク
: 心 筋
梗 塞に
よ る 態 る急性左 よ ショック 状 心 不 全に
・ 血性 ショック :血液の 喪 出 失
に よ る血圧の低下
・ エ ン ド ト キ シ ン シ ョ ッ ク
: エ ン ド ト キ シ ン が マ ク ロ フ ァ ー ジ の サ イ ト カ イ ン 産 生
、 内 皮
細 胞 の 細 動 脈 拡 張 因 子 産
生 拡 、全身の細動脈
張
を 誘 発して血圧低下。
・ ア ナ フ ィ ラ キ シ ー シ ョ ッ ク
: 薬 剤 な ど に 対 す る 過 敏 反 応 と し て
起 こ る
。 多 量 の
化 球から 学 伝 達物質が 好塩基 放出 される。
II. 不 整脈 不
整 脈 は
、 刺 激 を 形 成 し て 伝 達 す る と い う
、 心 臓
本 の 来
仕 際 出現 する。 組みがう に ま く 機能しない
類 1)分
・
脈 が
不 整 に なる不整脈
期外収縮(心房性、心室性)
心房細動
・
脈
が 遅 くなる不整脈
洞 」 不全症候 群
房室
ブ ロ ッ ク
・
脈
が 速 くなる不整脈
上室性:
洞 動、発作性上室性 性頻拍、心房 粗
頻脈
粗 心室性:心室頻拍、心室
動 細動 ・
2)期外収縮
心房性期外収縮
接合 部
性 期 外 収 縮
心 室性期外収縮
虚 (急性の
血 性 心 疾 患 で
発 生 し やすく、頻発す
る
際 危険 性 には心室 細 動 が発生しやすいので
が高い)
3)心房細動
基礎 疾患の
明 加齢 に って発症 率 らかでない 伴
が高くなるものと、症候性に
起 こるものに分 け
られる。
・
症 候
性 起 心 房 細動を こす疾患
心 臓弁
膜 症(僧房 弁 疾 患)
心筋症
虚 血性心疾 患
高血圧症
心房
中 核 欠
損 症
甲状腺機能亢進症
心不全
・
重 大
な 病態
心拍
出 量 の低下
血栓
形 成
・治 療
①
洞 調 にもどす 律
薬
物
: b-
blocker、
カ シウム 、 拮 抗 剤 ル ジ
タリス製剤 ギ
電
気 ショック
期 電図 外収縮の心
心 電図 房細動の心
②
血 形 抗凝固療法 栓 成を 抑制 ( )
4)
洞 不全症候 群
洞徐 脈は 50/分
以 調 を す。運動 選手 下の 洞 律 指
などは心拍
数 が 40/
分 でも
絶
好 調の 場合 も る. あ
(こうした
場
合 には 治療 しない)
Adams-Stokes めまいや失神(
症 候群)、
倦 怠
感 、
出 胸痛などの症状が
る も の
を 洞 不全症候群と
呼ぶ。
50
% ・粗 動に 合併 するもので、頻脈 は心房細動
発作に
続 房 徐 いて 洞 結節抑制 がかかるために
脈となる。(右の3
番
目 の イ ) タ プ
治 とし ペ 療 て は
ー カ スメ ー ーの 絶対的適応
5)房室
ブ ロ ッ ク
・ I 度 房室
ブ ロ
ッ ク
心 房の
刺
激 はすべて心 必要 室 に 伝わ る。 治療 は
な し
・ II度 房室
ブ ロ
ッ ク
Wenkebach 型
( 徐々 に PQ
間
隔 延長 して が QRS
波 ぬけ る) が
治
療 は 脈がな れ しない。 徐 け ば
MobitzII型( PQ間隔は一定だが、QRS 波
が ぬ
け る)
無 ー カ 症状でも ペ スメ ー ーの 適応
・ III度 房室
ブ ロ
ッ ク
心房と心室は
独 立 して拍動する。
ペ
ー カ スメ ー ーの 適応
6 )上 室 性 頻脈
PSVT) 発作性上室性頻拍(
paroxysmal supraventricular (
tachycardia)
約
90 % リ が
エ
ン トリ ーを 原 因とする(心房と心
ぐ副伝導路 室をつな
が 存在 する)発作性の頻拍
房室
結 節
リ エン トリ ー頻拍
房室
リ エン トリ ー頻拍( WPW 症 候群
な ど)
心房頻拍(低
カ リ ウ
ム 血症、 ギ ) ジ タリス中毒
突然 起
こ る 動 悸
、 失 め ま い、意識 消
心
電
図 で しい 隔 幅 規則正 RR 間 で の狭い
QRS 波
の
連
続 ( 程 140-220/ 分 度)
・治 療
急性期:
迷
走 神経 刺激
ATP製 、 剤
カ シウム拮抗 、 剤 ル
-blockerな 注 どを静
慢 カテ ー ル ー 性期: テ アブレ ショ ン
発 作性上室性頻拍と心室性頻拍
WPW症 候群
上室性頻拍を
引 起 存在 す き こす 副伝導路 が
るために心電図上の波、PQ短縮、 QRS
延 長
を 認める疾患。
発 時 作
に は
上 室 性 頻拍と発作性心房細動
・ 治療
時 非発作
に は 経
過 観察
発作
時 迷走 神経 刺激 :
ATPや
カ シウム 静 拮 抗 剤 ル 注
再 予 テ アブレ ショ ン 発 防: カテ ー ル ー
7 )心 室 頻 拍
部 心室の一
か
ら 起 所 刺激 が こる異 性 連続 して発生
し、頻脈を
呈 する。
非
連
続 性心室頻拍 ( 30 秒 下) 以
連続 性心室頻 30 秒 上 拍 以 (
継 続 )
①病 態
生 と心 電図 理
心
室 起源 を に
有 する頻拍性不 先行 する P 整 脈 で,
波
を く、 欠 QRS
波
の な 幅広 い 規則 出現 、 QRS 的
波
( 0.12 秒 上) 以
②治 療
非
連 性頻 対 続 拍 に
し て は
、 基礎 疾患で る 血 あ 虚
性
心 電 疾患、心筋症、心不全、
解 質 異 常
の 治療
連 性心 続 室 頻 拍
急性期
・
血 動 が 行 態 安定 している 場合
プ ロカ
イ
ン アミド アミ オ 、 ダロ ンなど。
・
血 動 が不 安定 行 態
カ ディ オ ー ル バ ジョ ン
・
拍 動
を れない 触 場合
カ
ウ ン ー タ ショック
根 治 療 法
カテ ー
テ アブレ ショ ン ル ー
8 )心 室 細 動
急 膜 性心筋梗塞や弁
症 な ど
が 原 因
め まい、失神
治 療法
と し
て カウ ン ー は タ ショック
Cが
典 の心 電図 型 的 な非発作 時
Bが 発作
時 リ の心 電図 ( エン トリ ー頻拍)
Dは
偽 発) 性心 併 室 性 頻拍(心房細動の
心室細動に
対 タ ショック する カウ ン ー
II. 心 不全
心 出 臓の血液を送り
す
能 力 。 が低下した状 態
多 く は 心 筋 傷 害
( 心筋梗塞など)に
基
づ く心室機能の低下が 因。 原
全 身 の 内 臓 器 官 は
、 十 分 な 血 液 を 得 ら れ な い 状 態 に 陥 り
、 心 臓 は で き
る だ け 多 く の 血 液 を 送 ろ う と す る た め 頻 脈 と な る
。 ま た
、 静 脈 系 を 通 っ て 心 臓 に 戻 っ て く る
べ き 血 液 が
、 か ら だ の 各 所 に 滞 っ て
、 肝 臓 や 脾 臓 が 腫 大 す る
。 さ ら に
、 血 液
の うっ
滞 よ る。 に って全身に浮 じ 腫 ( むくみ)が生
1 .心不全の分
類
① 左心 不 全
左 室 か
ら の 血 液 排 出 量 の 低 下 か ら 始 ま り
、 症 状 と し て は 呼 吸 困 難 が 先
。 慢 性 の 肺 う っ 血
、 肺 出 血 が
起 こ る と マ ク ロ フ ァ ー ジ が 赤 血 球 を 貪 食 し て ヘ モ ジ デ リ ン を 細 胞 内 に 蓄 積 す
る ガ 。
ス 換が 阻 され、 ー 。 交 害 チアノ ゼ出現
② 右心 不 全
左心不全に
続 こることが多いが、全身 いて お
に 先 うっ血。症状としては浮腫が
。
III. 出
血 凝固 と 血 液
血が
固 象 正 では血管内で 起 まる 現 は 常状 態 こら
出 ない。一方血管外に
る
と 固 うになってい まる よ
破綻 すると る。この機構が
出 凝固 など 血、血管内
病態 が発生。 の
1)
止 血機構
血
小 凝 止 皮 小 板 集( 1次 血) 血 細胞下に 管内 血
板 凝 付着 する。 が 集して
血 凝固 ( 2次 液
止 活 化 血) 凝 因子 性 して血 固 が
栓を
形 成する。
2)
凝 固 機構
充
血 相違 と う っ血の
( 1
) 充 血
( 細 動 脈 の 拡 張 に よ っ て 組 織 へ
の 動 脈 血 の 増 加
) 高 速 道 路 に 例 え る と
、 入 り 口 が 大 き く 開 い て 道 に 入 っ て く る 車 が 増 加 し て
、 走 っ て い る 車 が 多 く な っ て く る こ と を 言 っ て い る
。 車 の 渋 滞 の 渋 と は 違 う の で 注 意
。 炎 症
部 位 や 感 染 局
所 赤 充 考え られる。 など くなるのは 血のせいと が
充 血 と う っ 血 の 大 き な 違 い は
、 動 脈 血 の 組 織 に お け る 増
加 充 をうっ血という。 を 血といい 加 、 静 脈血の増
( 2
) う っ 血
( 静 脈
血 の 増 加
) 静 脈 の 血 液 が う っ 滞 し て い る こ と を さ す
。 出 口 が 狭 く な っ た り
、 静 脈 側 の 血 流 が
遅 く な る と う っ 滞 が 起 こ っ て く る
。 炎 症 な ど で も 後 期 に な る と 充 血 に 加 え て う っ 血 も 起 こ っ
て 血 漿
( 血 液 を 構 成 す る 液 体 を 血 漿
、
細 出 胞を血球と呼ぶ)成分が血管外に
る
。
(
腫 脹 )
虚 血
局 所 動 脈 が 狭 窄 も し く は 閉 塞 し
、 血 流 が 低 下 も
し く は 遮 断 さ れ る こ と に よ っ て
、 そ の
動 配領域 脈の支
の 組 織 の 酸 素
不 をきたした状 態 足 .
3)血栓症
血液が
固 を血栓という。通常は まってできる 塊
血管内では
凝
固 は こらないが、心臓と血管 内 起
凝固 が での血液
起 気を血栓症と呼ぶ。血 こる 病
壁 栓は血管
に り、血管閉塞の 因と 付着 して お 原
なる。
・
動 脈
血 栓 症
ア テ
ロ ム 化 ー 動脈硬 症に認められる
・
静 脈
血 栓 症
深 静脈に 成された血栓が肺に 塞 栓 部 形
4)塞栓症
よ 動脈血栓:心房内血栓に
る 動脈塞栓 脳
静脈血栓:エ
コ ノミ ー症候群
塞栓の
原 因となるもの
脂肪 、 血栓、
羊 瘍 空 水、腫 、 気
5 )梗塞
梗 塞
: 終 動 脈 の 閉 塞 に よ っ て そ の 支 配 領 域 全 体 が 虚 血 に 陥
り の 死を 起 、 細 胞集 団 壊 こすことを梗塞という
貧血性梗塞:通常の梗塞で
お こる
出 吻 の多い臓器や血管の 血性梗塞: 合 2
重 支 配 が あ る
場 合
( 肺 と か 肝 臓
) に は 梗 塞 が 起 こ り に く い
が 、まれに
起 出 う。 こると 血を 伴