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小学校建築における多目的スペース計画の多様化とその利用実態 [ PDF

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       36-1 1. 研究の背景と目的  わが国の学校建築における多目的スペース(以下、 MS)は 1972 年に導入され、1984 年の MS 補助制度制 定や以降の 2 度にわたる補助面積増加に関する制度改 正が行われるなど、近年の学校建築の施設計画におけ る MS の重要性はますます高まっている。一方、1988 年の『教育方法等の多様化に対応する学校施設の在り 方について(調査研究のまとめ)』文 1) で小学校施設の 基本計画・設計に対して外部設計者へ委託する際に、 時間と経費の確保に配慮する方針が打ち出されて以 降、1990 年代に入ると小学校の施設計画に対して建 築家が多く参入するようになった。この MS 補助面積 の拡充および建築家の参入によって多様な MS が整備 されるようになったことは一定の評価がされるが、そ の一方で、多様化する MS の中で今日の教育活動がど のように行われ、そこでどのような問題が起こってい るかは十分に明らかになっていない。  そこで、本研究では多様化する MS の傾向がみられ る 1997 年以降に竣工し、先進的な MS を保有する小学 校を対象として近年の MS 計画の動向を分析するとと もに、その利用実態と教師の意識をもとに現在の MS に求められる空間的要求を明らかにし、今後の学校建 築における MS 計画の指針を得ることを目的とする。 2. 研究の方法 2-1. わが国の MS 計画の変遷とその特徴  MS 補助制度をはじめとする制度改正および既往研 究文 2、3) より、わが国の MS 計画の変遷は、概ね 3 期に 分類できる。まず、MS 導入から 1984 年の MS 補助制 度制定まで、複数学年で共有するための大きな幅と奥 行きを持った MS が計画される時期。次に、MS 補助制 度制定から 1997 年の 1 回目の MS 補助面積増加に関す る制度改正が行われるまでで、各学年が占有する MS を持つ片廊下型や中廊下型の MS が整備される時期。 さらに、1997 年以降で、MS を CS と一体化し廊下と分 離するものや 2 学級ごとに区切って MS を設けるもの、 少人数教室を整備して MS としたものなどの内包化・ 細分化・個室化した多様な MS が計画されるようにな り今日に至っている。

小学校建築における多目的スペース計画の多様化とその利用実態

上島 大知 2-2. 研究の視点  本研究では MS と一体的に計画される普通教室(以下、 CS)と MS の数および配置から分類し MS の平面構成を 分析し、多様化する MS 計画の動向を把握した。さら に、異学年合同、学年合同、学級別の利用集団と MS の利用実態の関係性を分析することで、多様化する教 育方法に対する MS に求められる空間的要求を把握し た。特に、それらの中でも特徴的な MS を有する Ks、 Ss、Sc、Gf 小についてはケーススタディを行うこと でより詳細な分析を行った。 2-3. 調査対象  本研究では、各建築系雑誌に掲載されている小学校 のうち、1997 年以降に竣工した MS を保有する公立小 学校 54 校を対象とする。なお、本研究で取り扱う MS とは、文部科学省が提示する“普通教室や特別教室で は実施することが困難な合同授業などの多様な学習指 導方法を実施するために設けられた学習スペース”文 4) と定義し、その目的のために CS 周りに整備されたス ペースとする。 2-4. 調査方法  本研究の調査概要を表 1 に示す。資料調査では各建 築系雑誌より 1997 年以降に竣工した MS を保有する公 立小学校 54 校の図面を収集し、MS 計画の動向を捉え た。次に、任意の調査対象校 21 校の学級担任全員に 対してアンケート調査を行い(有効回答数 210、回収 率 84.0%)、MS の利用実態を把握した。さらに、学校 要覧等から平成 26 年度のクラス配置を把握し、より 詳細な MS の利用実態を分析した。 3. 近年の小学校における MS 計画の動向 3-1.CS、MS の数および配置関係からみた MS の分類  まず、対象校 54 校において MS を構成する CS と MS の数に着目すると、1CS に対して 1MS で構成されてい 表 1. 調査概要 調査方法 調査時期 調査対象 調査内容 2014.11 2014.8~10 2014.11 雑誌から 1997 年以降に竣工 した MS を保有する公立小学 校(54 校)の図面を収集し、 MS の平面構成を分析 MS の利用に関するアンケート 調査(回収率 84.0%)を行い、 MS の利用実態を把握 学校要覧等から平成 26 年度の クラス配置を把握 資料調査① アンケート調査 資料調査② MS を保有する任意の小学 校(21 校)の学級担任全員 (全 250 学級) ・新建築 (1997 年 1 月号       -2014/10 月号) ・近代建築(1997 年 1 月号       -2014/10 月号) ・建築設計資料 67、105 アンケート対象校の 21 校 の学校要覧等

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36-2 る学級タイプ、複数の CS に対して 1MS で構成されて いる学年タイプの 2 つに大別された。その他に、1CS に対して MS が複数設置されており、それらの MS を複 数の CS で共有している事例が 2 校みられた。  次に、それぞれの平面構成を CS と MS の配置関係を もとに、学級タイプは 2 種類、学年タイプは 6 種類、 その他に 2 種類と計 10 種類に分類した(図 1)。 3-2.MS の平面構成と学校規模の関係  前章で分類した MS の特徴を平面構成と学校規模に 着目してみると、これらの MS のタイプは C が 21 校と 最も多く、学校規模問わず計画されている。また、G も同様に学校規模に偏りなく計画されているが、これ は MS が独立していることにより規模の影響を受けな いためと考えられる。一方、E、H は比較的規模の小 さい学校で計画されているが、E は他のタイプと併用 して計画されている。次に、学級タイプの A、B は単 独で計画されることは少なく、学年タイプと併用して 計画される傾向がある。さらに、学級タイプや学年タ イプにも属さない新しいタイプである I や J も 2009 年からみられるようになっている(図 2)。  次に、平面構成と 1MS を構成する CS の数に着目す ると、学校規模問わず計画されている C と G はユニッ トを構成する CS の数に偏りなく計画されていること が 分 か る。 一 方 で、E と H を 比 較 す る と、E は 2 ~ 8CS の範囲に分布しており、ユニットを構成する CS の数に影響を受けていないが、H は 2 ~ 3CS の範囲で 計画されている(図 3)。  さらに、学校規模と 1MS を構成する CS の数に着目 すると、計画クラス数 12 以上の中・大規模校では大 きな傾向はみられないが、計画クラス数 1 ~11 の小規 模校では学級単独での計画、低・中・高学年の 2 学年 ごとの計画、全学級での計画に大別され、その中でも 2学年ごとに計画される MS が最も多い。 4.MS の利用実態 4-1. 利用集団別にみる MS の利用実態  より詳細に MS の利用実態を捉えるために、Ⅰ .1 学 年 2 学級以上で構成されるタイプ、Ⅱ . 単学級で構成 されるタイプの2種類にわけ、それぞれの利用集団に 着目して分析を行った。  まず、活動内容をみると作業・集会では複数の学級 で利用する割合が高い一方で、それ以外では学級での 利用の割合が高いことがⅠ、Ⅱともにみられる。工 作・作業・実験の利用はⅡでは学級での利用の割合が 76.7% と高い。展示・掲示の利用はⅠでは 51.6% と学 年での利用が多いのに対し、Ⅱでは 78.7% と学級での 利用が多い。また、Ⅰでは集会での利用においては、 異学年合同での利用が 17.5% に対して、学年合同での 利用が 77.2% と高い。MS 利用時の利用空間は、MS 単 独および MS と 1CS がⅠでは 88.1%、Ⅱでは 95.1% と およそ 9 割を占めている。また、複数学級で MS を利 用する場合の利用形態はⅠでは 41.3%、Ⅱでは 55.5% と同時に利用する割合が高い。MS 利用の実態をみる と学級利用をベースとして、CS と MS を一体的に利用 できる空間計画が必要であると考えられる(図 4)。 4-2.MS に対する教師の意識  MS に対する教師の意識として、MS、CS、余裕教室 の使い分けにおいて考慮することについてみると、多 様な活動を行うために十分な広さを確保することが 74.7% と最も高く、続いて、活動全体に目が行き届き、 図 1.CS と MS の数および配置関係からみた MS の分類 学級タイプ CS:MS=1:1 CS:MS=1:複数 CS:MS= 複数:複数 学年タイプ その他のタイプ A B C D E F G H I J CS MS MS CS CS CS CS CS CS MS MS MS MS MS MS CS CS CS CS CS CS CS CS CS CS CS CS CS CS CS MS CS CS CS CS CS MS MS CS CS 廊下 廊下 CS CS CS MS 廊下 廊下 図 3. 学年・学級タイプの MS と 1MS を構成する CS 数の関係 図 2. 学年・学級タイプの MS と 1MS を構成する CS 数の関係 計画ク ラス数 MS の 分類 :1 ~ 11:12 ~ 17 :18 ~ 23 :24 ~ ‘97 ‘98 ‘99 ‘00 ‘01 ‘02 ‘03 ‘04 ‘05 ‘06 ‘07 ‘08 ‘09 ‘10 ‘11 ‘12 ‘13 8 竣工年 7 6 5 4 3 2 1 0 ひとつのユニットを構成するクラス数 :A :B :C:D :E:F :G:H 凡例 合計 N=3 N=26 N=1 N=0 N=6 N=3 N=13 N=10 1997 1998 1999 2000 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2001 A B C D E F G H I J 併用 A・C A・D C・G D・F C・E C・F C・E・G C・E C・F 竣工年 計画クラス数 :1 ~ 11 :12 ~ 17 :18 ~ 23 :24 ~ 凡例 MS 分類 学級タイプ MS タイプ 学年タイプ その他

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■MS での活動内容 活動内容 合計 合計 N=64 N=121 N=37 N=37 N=114 N=41 N=4 N=14 N=64 N=25 N=86 N=65 N=15 N=122 N=43 N=54 N=20 N=12 N=21 N=13 N=7 N=1 N=21 N=14 N=29 N=23 N=5 N=47 0 0 10 20 10 20 (%) Ⅰ.1 学年 2 学級以上の学級 Ⅱ. 単学級 ■MS での活動における利用空間 利用空間 合計 合計 N=377 N=322 N=55 N=40 N=121 N=172 N=5 N=10 0 0 50 100 50 100 (%) Ⅰ.1 学年 2 学級以上の学級 Ⅱ. 単学級 39.3% 55.8% 1.6% 3.3% 47.5% N=794 N=308 ■MS での活動における利用形態 利用形態 合計 合計 N=376 N=289 N=35 N=123 N=161 N=6 合計 N=14 N=24 N=82 N=35 N=28 N=53 N=56 N=87 0 0 50 100 50 100 (%) Ⅰ.1 学年 2 学級以上の学級 Ⅱ. 単学級 42.4% 55.5% 2.1% 53.7% 41.3% 5.0% N=290 N=700 40.6% 6.9% 5.0% ■MS、CS、余裕教室の使い分けにおいて考慮すること ■音や視線に対する配慮の内容 ■MS 利用時の他学級への配慮 20 0 53.259.7 41.9 74.7 14.0 31.2 19.9 51.1 18.3 0 20 40 60 80 100 100 80 60 40 (%) (%) 音や視線に関すること 割合=項目別回答数 ÷ 有効回答総数 (%) 割合=項目別回答数 ÷①の回答数 (%) 割合=項目別回答数 ÷ 有効回答総数 (%) ① ① ② ② ③ ③ ④ ④ ⑤ ⑤ ⑥ ⑥ ⑦ ⑦ ⑧ ⑧ ⑨ ⑨ a:他学級からの音や視線 b:学級内の集団間の音や視線 c:他学級への音や視線 活動全体に目が行き届き、指示が通りやすいこと 授業の内容に合わせた雰囲気作りができること 活動する時間の長さ 多様な活動を行うために十分な広さの確保 学級教室との連携が取りやすいこと 机・椅子・電子黒板などの家具・教具が利用できること 作品や教材などの物品を一時的に置いておく場所の確保 学習に必要な教材をすぐに取りに行けること 0 10 20 30 隣接する学級 配慮する学級 a b c 対面する学級 同ユニットの 全学級 隣接ユニット の学級 配慮しない 40 50 (%) N=99 42.6 18.8 20.3 6.1 17.8 51.8 67.5 6.1 7.1 N=183 N=94 N=166 N=52 N=31 N=16 N=14 N=168 N=91 N=43 N=12 ■家具を置く目的 ■MS 内の家具を利用する児童 ■MS 内の家具を利用する職員 20 0 0 20 40 60 80 100 100 80 60 40 (%) (%) 自学級のみで活動を行うためのスペースの確保 割合=項目別回答数 ÷ 有効回答総数 割合=項目別回答数 ÷ 有効回答総数 (%) 割合=項目別回答数 ÷ 有効回答総数 (%) ① ① ② ② ③ ③ ④ ④ ⑤ ⑤ ⑥ ⑥ ⑦ ⑦ ⑧ ⑧ ⑨ ⑨ a:自学級の児童 b:他学級の児童(同学年) d:児童は利用しない c:他学級の児童(異学年) 他学級と合同で活動するためのスペースの確保 自学級の授業展開の多様化 合同授業の活発化 教師間の連携の活発化 展示・掲示スペースの確保 物品・教材置き場の確保 音や視線への対策 安全上の対策 0 20 40 60 他学級の CT (同学年) 自身 a b d c 他学級の CT (異学年) 加配職員 ゲスト ティーチャー 利用しない 80 100 (%) N=190 N=187 53.5% 7.7% 13.1% 44.8% 19.1% 15.3% 88.8% 50.3% 27.8% 16.6% 88.4% 47.9% 22.6% 6.3% 8.6% 7.5% 56.6% 87.9% N=197 N=186 工作・作業・ 実験 発表・説明・ 話し合い 集会 読み聞かせ ダンス・ 演劇・合唱 自習 個別指導・ 取り出し学習 生活指導・ 相談 給食の配膳 教材置き 児童の 荷物置き 掲示・展示 その他 学年合同活動 学級活動 異学年合同活動 少人数指導 凡例 割合=活動内容別回答数 ÷ 有効回答数 ×100 (%) MS のみ MS+1CS MS+ 複数の CS MS+ 余裕教室 学年合同活動 学級活動 異学年合同活動 凡例 割合=項目別回答数 ÷ 有効回答数 ×100 (%) 単独利用 同時利用 交互利用 学年合同活動 学級活動 異学年合同活動 凡例 割合=項目別回答数 ÷ 有効回答数 ×100 (%) 図 6.MS 内の家具に対する教師の意識 図 5.MS 利用における教師の意識 図 4.MS における活動と利用実態 46.2% 11.0% 33.7% 7.3% 1.8% 1.5% N=809 作業・集会 座学 生活 収納・掲示 48.5% 11.3% 32.0% 6.7% N=310 作業・集会 座学 生活 収納・掲示 7.9% 13.9% 15.0% 17.4% 4.6% 6.5% 4.6% 3.9% 14.1% 6.8% 5.1% 4.2% 0.5% 2.3% 1.7% 0.2% 7.9% 6.8% 3.1% 4.5% 10.6% 9.4% 8.0% 7.4% 15.1% 15.2% 36-3 指示が通りやすいことが 59.7%、音や視線に関するこ とが 53.2% と高い。さらに、MS 利用時の音や視線に 対する配慮をみると、他学級への音や視線に配慮する 割合が 87.9% と最も高く、これらの配慮は同ユニット 内までの学級で 65.6% を占める。このことから MS の 利用を有効にするための手段として、MS の広さを十 分に確保した上で、活動全体に目が行き届き、指示が 通りやすいことが求められるとされる(図 5)。  次に、MS 内の家具を置く目的をみると、物品や教 材置き場の確保が 67.5%、展示や掲示スペースの確保 が 51.8% と高い。続いて、自学級のみで活動を行うた めのスペースの確保が 42.6% となっており、MS で活 動をする際は、他学級との合同活動よりも自学級のみ での活動を目的として家具が設置されていることが明 らかとなった。これらの要因として、MS を複数の学 級で利用する際に家具を置くと、活動スペースの確保 がしにくいためだと考えられる。さらに、これらの家 具を利用する主体をみると、同学年の児童、教師の利 用が 47.9%、50.3% と概ね半数を占めており、同学年 の利用にまで配慮して家具を置いていることが伺え、 MS が同学年でひとつのユニットであるという認識が 強い傾向があることが明らかとなった(図 6)。 4-3. 各学校における MS の利用実態 4-3-1.Ks 小学校における MS の利用実態  Ks 小の MS は 1・2 年生が E、3~6年生が C と 2 種類 の MS が併用して計画されている。まず、MS のタイプ 毎にその利用集団を比較すると、E は異学年合同活動 と学年合同活動が 37.5% と同数であるのに対し、C は 学年合同活動が 64.1% と最も高くなっているが、これ は E の面積が C よりも広いことが要因であると考えら れる。次に、MS の利用方法をみると E では異学年合 同活動は MS のみの利用が 50.0%、他教室と交互に利用 が 50.0% と MS と他教室を別々に利用することが多い 一方で、C は他教室と同時に利用する割合が 44.4% と MS と他教室を一体的に利用することが多い。このこ とから、異学年合同活動は、MS のタイプや面積によ りその利用方法に差異がでることが明らかとなった。 4-3-2.Ss 小学校における MS の利用実態  Ss 小の MS は 1MS に対して 4CS のユニットで計画さ れている。MS の利用は学級活動が 95.2% と大半を占 めており、活動内容は 80.9% が収納や展示・掲示となっ ている。これらの要因として MS の広さが不十分なた め廊下としての認識が強いことから、MS での活動が 行いにくいとの回答がみられ、学級活動を中心とした MS の利用となっていることが明らかとなった。

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       36-4 4-3-3.Sc 小学校における MS の利用実態  Sc 小の MS は 1MS に対して 3CS のユニットで計画さ れたが、調査時点では児童数の減少により中央の CS が余裕教室となっており 1MS に対して 2CS のユニット で構成されている。また、MS の利用をみると学級活 動が 68.3% と高い。CS 間に余裕教室があると、MS を 学級単位として認識しやすいことが明らかとなった。 4-3-4.Gf 小学校における MS の利用実態  Gf 小の MS は 1CS に対して 2MS が隣接しており、さ らに 1MS を 2CS で共有している。MS の利用は学年合 同活動が 51.9% と最も高い。一方で、MS 利用時の他 学級への配慮の範囲をみるとユニット外の学級にまで 配慮を行っている割合が 63.6% と高い。Gf 小は MS の 利用について学校で運営や管理がされており、しっか りとした MS 利用の運営や管理を行うとユニット外へ の配慮をしながらも複数の学級で利用されることが明 らかとなった。 5. まとめ  本研究では、先進的な MS を有する小学校 54 校を対 象に以下のことを明らかにした。まず、近年の MS 計 画の動向より、1)学級タイプの MS は他のタイプと併 用して計画されることが多いこと、2)近年多様化す る MS は平面構成別に学校規模と 1MS を構成する CS の 数に影響を受けることが明らかとなった。また、MS の利用実態および教師の意識より、3)MS の利用を有 効にする手段として MS の広さを十分に確保した上で、 活動全体に目が行き届き、指示を通りやすくすること、 4)利用集団別に MS に対する広さの要求が変化するた め、それぞれの利用集団に応じた MS 計画が必要であ ること、5)音や視線が通りやすい MS であっても、MS 利用時の運営や管理が十分に行われることで、複数の 学級での利用が活発化されることが明らかとなった。  今後は、学級単位での活動に考慮した MS と CS の一 体的な計画をしつつも、異学年合同活動や学年合同活 動の活発化を促すための広さに配慮した MS の空間計 画が求められると考えられる。 【謝辞】  調査にあたり各市町村の関係者の方々、並びに各小学校の先生方に多大なるご協力 を頂きました。記して心より感謝いたします。 【参考文献】 1. 教育方法等の多様化に対応する学校施設の在り方について(調査研究のまとめ)、文 部科学省、1988 2. 小学校の多目的スペースにおける空間計画の発展プロセスに関する研究、九州大学  修士論文、2012、西亀和也 3. 熊本県の小学校における多目的スペース計画の変遷とその利用実態、九州大学修士  論文、2013、津田誠 4. 公立学校の施設整備 ―用語解説―(50 音順)、文部科学省、2009 ③18 ④13 ①C ②3 Sc 小 CR CRCR CR CRCR CS 余裕 CS 中庭 中庭 中庭 (%) (%) (%) (%) 利用集団別の活動割合 MS 利用時の活動 MS 利用時の活動 MS 利用時の活動 MS 利用時の活動 MS 利用時の活動 他学級への配慮と範囲 利用集団別 MS 利用方法 0 50 100 0 0 0 ① ① ② ③ ④ ⑤ ② ③ a b c d e f i j k l m n g h 50 40 40 100 N=27 N=82 N=12 0 50 100 N=32 N=2 50.0% 50.0% 作業・集会 生活 収納・掲示 座学 N=82 ③12 ④11 ①C ②4 (%) (%) (%) (%) Ss 小 利用集団別の活動割合 他学級への配慮と範囲 利用集団別 MS 利用方法 0 50 100 0 0 0 ① ① ② ③ ④ ⑤ ② ③ a b c d e f i j k l m n g h 50 40 40 100 N=7 N=21 N=11 0 50 100 N=9 N=1 72.7% 27.3% 作業・集会 生活 収納・掲示 座学 N=21 CR CR CR CR 保健室 生活教室 音楽室 家庭科室 CS CR CR CR CR CS CS CS 理科教室 ③18 ④11 ①L ②-(%) (%) (%) (%) 利用集団別の活動割合 他学級への配慮と範囲 利用集団別 MS 利用方法 0 50 100 0 0 0 ① ① ② ③ ④ ⑤ ② ③ a b c d e f i j k l m n g h 50 40 40 100 N=39 N=81 N=11 0 50 100 N=31 N=5 90.9% 9.1% 作業・集会 生活 収納・掲示 座学 N=81 Gf 小 ③6 ④4 ①E ②6 (%) (%) (%) (%) Ks 小 -1 利用集団別の活動割合 他学級への配慮と範囲 利用集団別 MS 利用方法 0 50 100 0 0 0 ① ① ② ③ ④ ⑤ ② ③ a b c d e f i j k l m n g h 50 40 40 100 N=6 N=16 N=3 0 50 100 N=5 N=4 100.0% 0.0% 作業・集会 生活 収納・掲示 座学 N=16 1階平面図 2 階平面図 3 階平面図 CS CS CS CR CR CR CR CR CR CR CR CR CS WC 保健室 会議室 図工室 調理室 CS CS CRCRCR 職員室 家庭 科室 図書室 PC室 ③12 ④8 ①C ②3 (%) (%) (%) (%) Ks 小 -2 利用集団別の活動割合 他学級への配慮と範囲 利用集団別 MS 利用方法 0 50 100 0 0 0 ① ① ② ③ ④ ⑤ ② ③ a b c d e f i j k l m n g h 50 40 40 100 N=28 N=39 N=6 0 50 100 N=9 N=0 66.7% 33.3% 作業・集会 生活 収納・掲示 座学 N=39 2 階平面図 3 階平面図 CR CR CR CR CR CR CR CR CR 図工室 調理室 CS CS CS 職員室 家庭 科室 図書室 PC室 CR CR CR CS CS CS CS CS CR CR テラス テラス テラス 2 階平面図 アンケート対象校概要 MS 利用時の活動 利用集団別の MS 利用 他学級への配慮と範囲 a. 工作・作業・実験 b. 発表・説明・話し合い c. 読み聞かせ d. ダンス・演劇・合唱 ①MS プラン ②1MS を構成する  計画 CS 数 ③計画クラス数 ④平成 26 年度の  クラス数 :MS e. 集会 f. 個別指導・取り出し学習 ①MS に対面する学級のみ ②MS に隣接する学級のみ ③ユニット内の全学級 ④ユニット外の学級 ⑤配慮していない g. 自習 h. 少人数指導(習熟度別学習) i. 生活指導・相談 ①MS のみ利用 ②他教室と同時に利用 ③他教室と交互に利用 j. 給食の配膳 k. 教材置き l. 児童の荷物置き m. 掲示・展示 n. その他 割合=活動内容別回答数 ÷ 活動総数 ×100(%) 割合=利用集団別活動数 ÷ 活動総数 ×100(%) 割合=利用方法別活動数 ÷ 活動総数 ×100(%) 割合=項目別回答数 ÷ 有効回答数 ×100(%) 利用集団別の活動割合 利用集団別 MS 利用方法 異学年合同 同学年合同 学級のみ 図 7. 各学校別 MS の利用実態 凡例

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