動作遂行プロセスにおける「自体感」・「対援助者体験感」の変容過程 [ PDF
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(2) 主成分分析バリマックス回転による抽出を行った結果、. んどなく、すんなりとやる気が出て、本気になり、引き込. 「変容感」 、 「動作制御困難感」 、 「主動感」 、 「動作への意識. まれるように(成瀬 2000) 」感じ、つまり課題動作に意欲. 化」の4因子が抽出された(Table1 参照)。動作感の「動作. 的な感じを持つということも、その一つとして考えられる。. への意識化」は、須藤ら(2000)による動作感の因子内容に は含まれていなかったが、 「自体を動かそうと努力すると. 3.対援助者体験感に関する因子分析. なれば、自分のからだの感じにこころを向けざるを得なく. 最尤法バリマックス回転による因子分析の結果、 「共動. なる(成瀬 2000) 」ので、からだの感じに意識を向けよう. 作感」 、 「防衛的構え」及び「信頼感」の3因子が抽出され. とする感じ、つまり「動作への意識化」も動作感の内容と. た(Table3 参照)。つまり、援助者に対する感じとしては、. して考えられる。. 援助の動きと一致しているという感じ、援助者に対する気 遣いや緊張、援助者に分かってもらっているという感じが. Tabl e1 動作感に関する因子分析結果 F1. F2. F3. その内容として考えられる。. F4. 「 動作制 「動作へ 「 変容感」御困難 「主動感」の意識 共通性 感」 化」. 項目 (α係数). 3.身体の感じが変わったように感じた 11.身体の動きが変わった感じがした 7.身体が軽くなった感じがした 15.身体の姿勢や状態が変わった感じがした 5.自分が動かそうとしているようには身体が動か ない感じがした 4.動かしている身体の部分に違和感を感じた 1.身体が動かない感じがした 2.思い通りに動かしている感じがした(*) 18.身体の感じや動きの変化に戸惑った 6.自分で力を抜くことができていた 9.身体に力が入って抜けない感じがした(*) 19.他の部分の余分な力を抜くことができた 10.スムーズに動かせていた 12.動かしているところに意識を向けた 14.自分なりに力を抜いたり,動かそうと工夫してみた. 固有値 寄与率 累積寄与率. (.77) .79 .78 .77 .71. (.70) -.05 .06 -.15 .04. (.70) .11 .11 .10 .09. (.49) .05 .11 -.02 .23. 1.00 1.00 1.00 1.00. -.06. .72. -.05. -.09. 1.00. .17 .00 .21 -.04 -.07 -.07 .27 .24 .14 .12 3.793 25.288 25.288. .68 .64 -.63 .58 -.16 .31 .05 -.37 .05 -.13 2.332 15.546 40.834. -.12 .08 -.22 -.20 .13 .30 -.09 .22 .71 .34 -.69 .12 .69 .01 .63 .06 .07 .77 .03 .75 1.299 1.141 8.663 7.604 49.497 57.101. 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00. Table3 対援助者体験感尺度の因子分析結果. (α係数). (.80). (.67). 57.援助の動きと自分の身体の動きが一致していた. .76. -.23. .18. 52.援助者が自分の動きを待っていてくれている感じがした. .72. .04. .15. .55. 51.援助者が次にどのような援助をするかが分かるようになった. .62. -.04. .28. .47. 47.援助者の動きとの一体感を感じた. .58. -.27. .32. .51. 42.援助者に対して緊張した. -.02. .82. .03. .68. 55.援助者に対して気をつかった. -.04. .61. -.07. .38. 45.援助者に対して力を抜くことが出来ていた ( *). .32. -.50. .20. .39. 44.援助者に自分の気持ちや心の状態を分かってもらえてい る感じがした. .32. -.06. .67. .55. .17 3.423 32.727 32.727. -.07 1.621 12.845 5.457. .62 .986 45.572 51.030. .42. 43.援助者に頼っていた. 固有値 寄与率 累積寄与率. 2.情動体験感に関する因子分析 最尤法バリマックス回転による因子分析の結果、 「自発 性・積極性」 、 「違和感」 、 「活性感」 、 「爽快感」の4因子が 抽出された(Table2 参照)。 情動体験感の「自発性・積極性」は、須藤ら(2000)によ る因子内容には含まれていなかったが、 「動作をやってい るうち、ふだんの意識生活では当然に見られるいわゆるプ どという気持ちに関わったり煩わされたりすることがほと Tabl e2 情動体験感に関する因子分析結果. F4. 「自発性・ 「 違和感」「 活性感」 「爽快感」 共通性 積極性」. 項目 . F3. (α係数). 38.意欲的な気持ちになった 29.積極的な気持ちになった 37.自分から動き出したくなる感じがした 36.頭の中で何も考えなくなった 31.不思議な感じがした 40.言葉で表現できない感じを持った 27.いつもと違う感じがした 24.前向きな気持ちになった 23.気になっていたことが気にならなくなる ような感じがした 20.気持ちが良かった 32.すっきりした 35.変な感じが残った(* ). 固有値 寄与率 累積寄与率. (.77). (.69). (.82). (.63). .80 .63 .61 .43 .15 .21 .14 .33. .13 .11 .24 .24 .82 .56 .56 .15. .30 .35 .14 .09 .05 .08 .16 .91. .12 .18 .01 .15 .04 .10 -.05 .20. .76 .56 .45 .27 .70 .38 .36 .99. .36. .19. .57. .16. .51. .25 .38 .02 4.632 24.922 24.922. .26 .31 .17 1.552 16.001 40.922. .17 .19 -.05 1.212 8.157 6.155. .81 .57 -.44 .869 49.079 55.234. .81 .60 .23. *は逆転項目 最尤法 バリマックス回転. .65. 4.自己観に関する因子分析 最尤法バリマックス回転による因子分析結果、 「内的状 態への意識性」 、 「他者評価への意識性」の2因子が抽出さ れた(Table4参照)。 「内的状態への意識性」は、気分が良好 な感じ、身体が広がった感じなど、内的な心身の状態の特 に良好な状態に意識が向けられている内容だと考えられる。 Table4 自己観尺度の因子分析結果 F1. ライドや気構え、抵抗や防衛、自己表現への怖れや逃げな. F2. (.64). *は逆転項目 最尤法 バリマックス回転. *は逆転項目 主成分分析 バリマックス回転. F1. F1 F2 F3 「 共動 「 防衛的 「 信頼 共通性 作感」 構え」 感」. 項目. 項目 . F2. 「内的状態へ 「他者評価へ 共通性 の意識性」 の意識性」. (α係数) 13.気分が良好な感じがする 14.身体が安定している感じがする 12.心が広くなった感じがする 6.身体が広がった感じがする 9.身体が自由な感じがする 3.身体が軽い感じがする 1.自分が他人にどう思われているか気に なる 7.自分の言動を他人がどう受け取ったか 気になる 2.自分の嫌な面の方がよく目に付く 4.人に会うときどのようにふるまえばよい か気になる. (.89). (.81). .81 .79 .76 .74 .74 .63. -.15 -.13 -.13 -.19 -.24 -.24. .68 .64 .60 .58 .60 .46. - .19. .78. .64. - .06. .74. .55. - .27. .67. .52. - .18. .61. .41. 固有値 寄与率 累積寄与率. 4.687 42.584 42.584. 1.846 14.098 56.683. 最尤法 バリマックス回転. Ⅱ.第二研究 セッション間の動作体験感の変容プロセス.
(3) の検討. 1)動作感の変容プロセス. 目的 セッション間における動作体験感の変容プロセスを. 従属変数を動作感の各因子尺度得点、独立変数を課題(2)、. 捉え、またリラクセイション課題とタテ系動作課題間にお. セッション(3) 、動作感因子(4)とし、3要因の対応が. ける動作体験感の変容プロセスの違いについて検討する。. ある分散分析を行った。その結果、課題による主効果(F. 方法. (1,17) = 14.134 、 p<.01 )、 動 作 感 因 子 に よ る 主 効 果. 対象者 大学院生 20 名(男 6 名、女 14 名)平均年齢は. (F(3,51)=65.931、p<.001) 、セッションと動作感因子の交. 24.6 歳、SDは 2.39 であった。対象者は、動作法の経験が. 互作用(F(6,102)=15.376、p<.001)が有意であった(Fig.1. 未経験に近い者とした。. 参照) 。セッションと動作感因子の交互作用が有意であった. 課題 「リラクセイション課題」は躯幹の捻り課題を行い、. ので、セッションについて単純主効果の検定を行った。セ. 「タテ系動作課題」は立位の重心移動・片足立ち課題を行. ッションの単純主効果の検定では、F2「動作制御困難感」. った。躯幹の捻り課題は、背中・肩の捻る部位の感じをは. が、第一セッション(以下、S1と記す)の方がS2、S3. っきりと感じ取って順に弛めながら捻っていく課題であり、. よりも有意に得点が高く、また F3「主動感」においては、. 立位課題は、まっすぐに立ち、足裏でしっかりと踏みなが. S1よりもS3の方が有意に得点が高かった。. ら、からだを前後左右に動かし、また左右の足裏に全身を. 次に、動作感の因子の単純主効果の検定に関しては、フ. しっかりと乗せながら、片足で立つ課題である。. リードマンの検定を行った結果、両課題において F4「動作. 手続き Table5,6,7 参照。援助は動作法経験者が行った。. への意識化」が他の全因子よりも有意に得点が高かった。. 質問紙 第一研究で作成された動作体験感尺度及び自己観. 課題の主効果に関しては、リラクセイション課題の方が. 尺度を実施した。. タテ系動作課題より動作感因子尺度得点が有意に高かった。. Table5 援助の手続き(リラクセイション課題) 1.仰臥位で身体の感じを確かめる。 2.側臥位の姿勢を取らせる。 3.自分でマットに着いていない方の肩をマット方向に下げ、 躯幹部を捻ってもらう。 自分で動かせるところまで動かしてもらう。 4.援助者が動作者の肩に手を当て、弛めていく。 5.5分間行った後、援助なしで自分で捻ってもらう。 6.仰臥位で肩の感じを確かめてもらう。 7.もう片方の肩に対して2∼6の手続きと同じように行う。 8.最後に両肩の感じを確かめてもらう。 Table6 援助の手続き(タテ系動作課題) 1.両足を平行に揃えてまっすぐに立たせる。 足の踏んでいる感じ、身体全体の感じを確かめてもらう。 2.前後左右に重心を移し、その踏んだ感じを確かめてもらう。 3.援助者が手伝って、重心移動を行う。 4.一人で重心移動を行ってもらい、その感じを確かめてもらう。 5.援助なしで片足立ちを行ってもらう。 6.援助者が手伝って片足立ちを行う。 7.自分一人で片足立ちを行い、その感じを確かめてもらう。 8.もう一度両足を平行に揃えてまっすぐに立たせる。 足の踏んでいる感じ、身体全体の感じを確かめてもらう。. Table7 実験の手続き セッション 内容 自己観尺度への記入 課題A 動作体験感尺度への記入 1S 課題B 動作体験感尺度への記入 休憩 課題B 動作体験感尺度への記入 2S 課題A 動作体験感尺度への記入 休憩 課題A 動作体験感尺度への記入 課題B 3S 動作体験感尺度への記入 自己観尺度への記入 感想. 時間( 分) 5 10 5 10 5 10 10 5 10 5 10 10 5 10 5 5 20. 課題A・ Bは、リラクセイション課題またはタテ系動作課題を指す. これらの結果より、動作感の変容プロセスとしては、S1 よりも S2 以降の方が「動作制御困難感」が感じられなくな っており、その一方で「主動感」は、S1 よりも S3 でより 感じられていた。また、 「動作への意識化」と「変容感」は S1から一貫して強く感じられていたことが示唆された。 また、課題の違いに関しては、全セッションを通してリ ラクセイション課題の方が「動作感」の全ての因子におい て、より強く体験されていたが、課題とセッションによる 交互作用は見られなかったので、両課題における動作感の 変容プロセスは類似したものであったことが示唆された。 7 6 5 4 3 2 1. S1 S2 S3. 変 容 感. 動 困 作 難 制 感 御. 主 動 感. 動 意 作 識 化 へ の. Fig1 「 動作感」 におけるセッション×動作感因子の交互作用. 2)情動体験感の変容プロセス 従属変数を各因子尺度得点、独立変数を課題、セッショ ン、情動体験感因子の3要因の対応がある分散分析を行っ た結果、課題と情動体験感因子の交互作用(F(3,57)=23.837、 p<.001) 、 セ ッ シ ョ ン と 情 動 体 験 感 因 子 の 交 互 作 用 (F(6,114)=2.754、p<.05)が有意だった(Fig.2,3 参照)。 まず、課題と情動体験感因子の交互作用が有意であった ので、課題による単純主効果の検定を行った結果、リラク. 結果と考察 1. 動作体験感の変容プロセス. セイション課題の方がタテ系動作課題よりも、F4「爽快.
(4) 感」の因子尺度得点が高かった。また、セッションと情動. 「共動作感」はセッションが進むにつれてより感じられ、. 体験感因子の交互作用より、セッションによる単純主効果. 援助者に対する気遣いや緊張といった「防衛的構え」はセ. の検定を行った結果、F3「活性感」において、S1 よりも. ッションが進むにつれて感じられなくなっていた。. S3 の方が有意に得点が高かった。次に、情動体験感因子の. 次に課題間に関しては、リラクセイション課題の方がタ. 単純主効果の検定に関するフリードマン検定の結果、リラ. テ系動作課題よりも「共動作感」および「信頼感」がより. クセイション課題においては、F4「爽快感」が、タテ系. 体験され、一方「防衛的構え」はタテ系動作課題の方がよ. 動作課題では、F2「違和感」が最も強く感じられていた。. り強く体験されていたというように、 「対援助者体験感」の. これらの結果から、情動体験感の時系列的な変化として、. 感じ方の程度には違いが見られたものの、その時系列的な. S1 よりも S3 において前向きな気持ちといった「活性感」. 変容プロセスは類似したものであったと考えられた。. をより感じるようになっていた。また、 「違和感」や「爽快. 6. 感」は S1 から持続して体験されていたことが示唆された。 課題の違いに関しては、リラクセイション課題において は「爽快感」 、タテ系動作課題においては「違和感」が特に 体験されていたこと、リラクセイション課題の方がタテ系 動作課題よりも「爽快感」が体験されていたなど両課題に おいて体験される「情動体験感」の感じ方の程度に違いは 見られたものの、その時系列的な変容プロセスは類似した ものであったと考えられた。 リラクセイ ション課 題 タテ系動 作課題. 6 5 4 3 2. 4 3 2. 共 動 作 感. リラクセ イション 課題. 6. タテ系 動作課 題. 2. 防 信 衛 頼 え 的 感 構 Fig.4 「対援助者体験感」における課題 ×対援助者体験感因子の交互作用. S1. 5 4. S2. 3. S3. 1. 防 構 衛 え 的. 共 感動 作. 信 頼 感. Fig 5 「 対援助者体験感」 における セッション×対援助者体験 感因子の交互作用. 2.動作遂行前後における自己観の変化 従属変数を自己観の各因子尺度得点として、独立変数を 動作前後(2)と自己観因子(2)として、2要因の対応が. 5. S1. 4 3 2 1. 自 違 活 爽 積 発 和 性 快 極 性 感 感 感 性 ・Fig.2 「情動体験感」における課題×情. 5. 性. 違 和 感. 自 発 性 ・ 積 極. 動体験感因子の 交互作用. 活 性 感. ある分散分析を行った。その結果、動作前後による主効果. S2. (F(1,18)=22.919,p<.001)、動作前後と自己観の交互作用. S3. (F(1,18)=58.349,p<.001)が有意であった。動作前後の単純. 爽 快 感. 主効果の検定の結果から、F1「内的状態への意識性」では、 動作前よりも動作後に有意に得点が高くなり、F2「他者評. Fig.3「情動体験感」におけるセッション× 情動体験感因子 の交互作用. 3)対援助者体験感の変容プロセス 従属変数を対援助者体験感の各因子尺度得点、独立変数. 価への意識性」では、動作後にかけて有意に低くなった。 これらの結果から、動作者が課題の遂行を通して、動作 法体験前より内的な心身の良好な状態に意識が向きやすく、 外的な他者評価が気にならなくなったことが示唆された。. を課題、セッション、対援助者体験感因子とし、3要因の 対応がある分散分析を行った。その結果、課題と対援助者. 第三章 総合考察. 体験感因子の交互作用(F(2,38)=5.413、p<.01)、セッション. 本研究の結果より、動作遂行においては、自分の動作、. と対援助者体験感因子の交互作用(F(4,76)=12.617 、. 緊張状態を意識することが早くから生じやすく、身体の感. p<.001)が有意であった(Fig.4,5 参照)。. じや姿勢が変わったという「変容感」もまた短い動作遂行. 課題と対援助者体験感因子の交互作用が有意であったの. の中で体験されやすいことが示された。さらに、動作遂行. で、課題による単純主効果の検定を行った結果、F1「共動. の早期から、すっきりとする感じや気持ちが良い感じとい. 作感」および F3「信頼感」においては、リラクセイション. った「爽快感」や、またいつもとは違う感じ、不思議な感. 課題の方が、F2「防衛的構え」では、タテ系動作課題の方. じといった「違和感」も体験されやすいことが示唆された。. が、それぞれ得点が高かった。セッションと対援助者体験. そして同時に、自分の身体を意図通りに動かせないとい. 感因子の交互作用より、セッションによる単純主効果の検. った「動作制御困難感」もあわせて体験されやすいが、援. 定を行った結果、F1「共動作感」においては S3 で S1 より. 助を手がかりにしながら、自分なりの動かし方、弛め方を. も有意に得点が高く、F2「防衛的構え」においては S3 で. 意識化していくことによって「主動感」が体験されていく. S1 よりも有意に得点が低かった。. ことが示唆された。さらに、普段の自己の在り方と動作体. これらの結果から、 「対援助者体験感」については、援助. 験との関連については、動作課題に向き合う過程を通して、. 者に対する信頼感は一貫して体験されていたこと、援助者. 自分の心身の良好な状態を、より意識するようになり、ま. の援助的働きかけと自分の身体の動きが一致したといった. た他者評価をあまり意識しなくなることが示唆された。.
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