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Academic year: 2021

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学 位 論 文 内 容 の 要 旨

心房細動では心房が局所的には 1 分間に 250~350 回以上興奮し、心臓のポンプ作用が 正常に機能しないため、血栓が生じやすくなる。そのため、心房細動患者では血栓により生 じる合併症である虚血性脳卒中や全身性塞栓症を適切に予防することが課題となる。よっ て、心房細動患者では適切に抗凝固薬を選択し、抗凝固療法を継続する必要がある。

直接経口抗凝固薬のうち、ダビガトランは、ワルファリンに比べ、脳卒中リスクが低い患 者から、使用が推奨される。これは世界的に実施された第III相試験においてダビガトラン が有意に脳卒中の発症を抑制したからである。しかし、このような臨床試験では、被験者を 厳しい選択除外基準により選択し、実臨床とは異なる医療環境でケア、検査等を行う。その ため、臨床試験と実臨床における観察研究の結果が異なることも多い。また、アジア人と非 アジア人では脳卒中/全身性塞栓症の発症率が異なる可能性があり、非アジア人の実臨床結 果をそのまま日本人に外挿できない。さらに、実臨床の先行研究は心房細動の有病率が高く なる75歳以上の年齢層に着目したものが多く、実臨床における有効性の検証は不十分であ る可能性がある。

第1章では、診療所や大学病院等様々な医療施設を含む実臨床下で、18~74歳の非弁膜 症性心房細動患者に対して、ダビガトランの方がワルファリンよりも脳卒中/全身性塞栓症 の発症率が低いことを明らかにした。そして、ダビガトランの方がワルファリンよりも、全 身性塞栓症発症率がより低い可能性が示唆された。また、悪性新生物患者やアスピリン、ベ ラパミル、アミオダロン併用時においてもワルファリンよりダビガトランを推奨すること

氏 名

大島 礼子

授与した学位

博 士 専攻分野の名称 薬 科 学 学位記授与番号

博甲 第

6179

号 学位授与の日付 令和 2 年

3

25

学位授与の要件

医歯薬学総合研究科 薬科学

専攻

(学位規則第4条第1項該当)

学位論文の題目

非弁膜症性心房細動患者におけるワルファリンと比較したダビガトラ ンの脳卒中/全身性塞栓発症抑制効果評価

論 文 審 査 委 員 教

授 名倉

弘哲

(主査)

准教授 合葉

哲也

准教授 藤吉

正哉

(2)

を否定する結果は得られなかった。第2章では、メタアナリシスの手法を用いることで、実 臨床下でのワルファリンと比較したダビガトランの脳卒中/全身性塞栓症発症率比には人種 差があることを示した。

以上の結果より、日本人の 18~74 歳を含む脳卒中/全身性塞栓症低リスク非弁膜症性心房 細動患者やアジア非弁膜症性心房細動患者にはワルファリンよりもダビガトランが推奨さ れることが示された。しかし、実臨床の現場では年齢、人種という要素以外の患者背景を多 数考慮して適切な抗凝固薬を決定する必要があることには留意する必要がある。

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

審査結果に至った理由:論文タイトルの再考、サブグループ解析の方法、人種差解析を含め た先行研究との関連データの整合性、さらにはダビガトランの方がワルファリンに比べて、

脳卒中/全身性塞栓症の発症率が低いことを明らかにするための手法に関して明確に論述で きていると判断した。また、得られた結果のバリデーションについては、適切に行われてい た。ワルファリンよりダビガトランの方を推奨する理由について薬理学的観点から深く考察 なされていた。以上、審査委員からの質疑に対して忠実に解説し、論文作成がなされていた ことから、最終的に「合」と判断した。

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