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河瀨真也 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成27年9月

河瀨真也 学位論文審査要旨

主 査 黒 沢 洋 一 副主査 前 垣 義 弘 同 中 島 健 二

主論文

Plasma brain natriuretic peptide is a marker of prognostic functional outcome in non-cardioembolic infarction

(血漿脳性ナトリウム利尿ペプチドは非心原性脳梗塞における機能予後を予測する指標と なる)

(著者:河瀨真也、古和久典、周藤豊、福田弘毅、楠見公義、中安弘幸、中島健二)

平成27年 Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases 掲載予定

参考論文

1. Use of ramelteon for the treatment of secondary REM sleep behavior disorder

(二次性レム期睡眠行動異常症の治療に対するラメルテオンの使用)

(著者:野村哲志、河瀨真也、渡邉保裕、中島健二)

平成25年 INTERNAL MEDICINE 52巻 2123頁~2126頁

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学 位 論 文 要 旨

Plasma brain natriuretic peptide is a marker of prognostic functional outcome in non-cardioembolic infarction

(血漿脳性ナトリウム利尿ペプチドは非心原性脳梗塞における機能予後を予測する指標と なる)

血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP)は心容量負荷、

左心室拡張末期圧の上昇、神経液性因子に反応して左心室より分泌される。BNPの分泌によ り、ナトリウム利尿、血圧降下、脂肪分解、アルドステロン合成やレニン分泌の抑制など がもたらされ、BNPは血圧や循環血液量の調整に重要な役割を果たしている。BNPはうっ血 性心不全患者の評価に有用である。近年、BNPは急性期脳梗塞、特に心原性脳塞栓症

(cardioembolic infarction:CEI)で上昇し、BNPはCEIの診断や予後を予測する指標とし て有用であると報告されている。臨床的には、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞等の 非心原性脳梗塞(non-cardioembolic infarction:non-CEI)の患者においてもBNPの上昇 は認められるが、その意義は明らかでなく、本研究において検討した。

方 法

鳥取県立中央病院、松江赤十字病院、山陰労災病院、鳥取大学医学部附属病院に入院し た急性期脳梗塞患者を連続登録し、NINDS Stroke Data Bank criteriaに則り、CEI、アテ ローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、分類不能、その他の脳梗塞、に臨床病型分類を行った。

アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、分類不能、その他の脳梗塞をまとめてnon-CEIと分

類した。CEI、non-CEIにおける血漿BNP値と脳梗塞の危険因子との関連、機能予後について

検討を行った。機能予後はmodified Rankin Scale(mRS)で評価し、mRS≦2を機能予後良 好とした。統計学的にp<0.05を有意差ありとした。

結 果

対象は718例であり、平均年齢は73.9歳で、うち男性は445例であった。CEI、non-CEIい ずれも、入院・退院時機能予後不良群は良好群よりも有意にBNPが高値であった。ラクナ梗 塞はアテローム血栓性脳梗塞、分類不能よりもBNP値が低く機能転帰良好の傾向であった。

receiver operating characteristic(ROC)曲線を用いたCEIとnon-CEIを区別するBNP値の カットオフの検討では、BNP111.5 pg/mlで感度、特異度とも76.2%となった。感度95%以上

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となるようなBNPのカットオフ値は411 pg/mlであり、BNPがより高値であるとCEIとnon-CEI を高感度で識別できた。多変量解析では、BNPと関連する因子はCEIとnon-CEIで異なり、CEI では女性でBNPが有意に高く、喫煙率が正の相関、中性脂肪、クレアチニンクリアランスが 負の相関を認めた。non-CEIではBNPと収縮期血圧が正の相関、拡張期血圧、中性脂肪、HDL コレステロール、クレアチニンクリアランスが負の相関を認めた。

考 察

本検討で、non-CEIにおいて血漿BNP値が高値を示す群が存在することが明らかになった。

心疾患の存在に加え、血漿BNP値を上昇させるいくつかの機序が考えられる。BNPは脳梗塞 急性期における心筋への負荷や血圧上昇により増加することや、梗塞巣の大きさに関連し て増加し梗塞範囲を予測する有用なマーカーとなり得ることが報告されている。BNPは小血 管閉塞病変よりも大血管の動脈硬化を有する例で有意に高く、心疾患とは独立して梗塞巣 や虚血ダメージを反映する可能性も報告されており、本検討でもこれらの報告を支持する 結果であった。脳梗塞発症による神経液性因子の変化が、レニン‐アンギオテンシン‐ア ルドステロン系や交感神経系の活性化をもたらし、BNPがこれらに対する保護的な役割を果 たしていることが知られている。non-CEIにおける多変量解析で得られた関連因子の動態は 交感神経系と関連することが報告されている。一方、拡張期血圧、HDL-コレステロールは BNPと負の相関を認めた。これらの要因は動脈硬化に対する防御の役割を果たしている。本 検討の結果は、BNPの上昇が単に動脈硬化に基づくものとしては説明困難であり、心臓の要 因に加えて神経液性因子の活性化の指標となる可能性が示唆された。

結 論

心原性素因の有無にかかわらず、BNPは脳梗塞機能予後を予測する指標となることを明ら かにした。またCEIとnon-CEIにおけるBNPと関連する因子の差異と特徴を明らかにし、BNP はnon-CEIにおける脳障害と神経液性因子の変化を示す指標となり得ることを示した。

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参照

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