Japanese Physical Therapy Association
Japanese Physioal Therapy Assooiation理学
療
法 学第40巻 第2号
140
〜
145 頁 (2013年 )趨
床 λ 門
講座
シ
リ
ー
ズ
「
義
肢
・装
具
の
要 点
」
連 載 第
3
回
脳
性
ま ひ を も
つ
こ
ど も
の
姿
勢 保 持
と
移 動
の
た
め
の
補 装 具
*神 戸
治
1
)は じ め に
身 体 障
がい に より生 活
に支 障 を き
たす
脳性
ま ひ を もっ た こど も 達 に とっ てt
補 装 具 を 使 用 す るこ と は 生 活 を快
適 な もの に 近づけ
る た め に有 効 な 手 段
であ
る。特
に
粗 大 運 動 能 力 分 類
シ ス テ ム(
Gross
Motor
Function
Classification
System
:GMFCS
)
D
にお ける レベ ル 皿(
手
に持
つ移 動 器 具 を使 用
し て歩 く)
,
レ ベ ルIV
(
制
限を
伴
っ て自力
移 動)
.
レベ ルV
(手 動 車いすで移 送 さ れ る)
の脳性
まひをも
つ こ ども
達 にとっ て は,
多
く
の種
類の補
装
具 が幼 児 期
か ら使
用 さ れ る。
理学
療
法
士 に は 日常
生活
の 中で使 用 す る 補 装 具 を,
こ ど も達や家
族に提 案 す
る と いう役
割
が あ り,
医 師
が補
装具
を処 方 す
る際
に,
下 肢 装
具 や車
いすの種
類 な ど につ いて 理学 療 法
士 に意 見
や判 断
を 求 めて く るこ と は 少 な く ない。
適 切 な 補 装具
を提 案 す
る た め に は,
補 装 具
につ い て の知 識
だけ
でな く
,
個
々 の こ ど も や家 族
,
関
わっ て い る教 育 関係 者 な
どの ニー
ズ を知
ること,
そのニー
ズ が適切
であ
る か の評 価
と判 断
ニー
ズに合
わ せ た補 装 具
の選 択
,
予後
予測
か らの補 装
具選 択
の判 断
補 装 具 費 支 給 制 度
の知 識 な
どが 必 要
とな
る。
前 段
にそ れ らの知 識
につ い てま
とめ,
次
いで各 補 装
具
につ い て提 示 す
る。適
切
な補 装 具
の提 案
にあ
た
って
1
.こ
ども
と家 族
のニー
ズの把 握
1
)
こども
の生 活全 般 を知
るまず
t
標 準
的 な一
日の生 活の流 れ を 知 ることか ら は じ め る。次
に,
家 族
など
が一
対
一
で 関 わっ てい る 時 間帯
や グルー
プの中
で関 わ り
があ
る時
間帯
,
ひと
りで過ごして い る時 間帯
につ い て,
そ れ ぞ れの活 動 内容
や姿 勢
も含
めた 環 境 設 定 を確 認 す
る。 さ ら に,
生 活
の中
で こ ど も達
がど
の ような反 応 を示
し,
満
足感 を
得
ら れてい るのか な ど *Rehabilitation Tools for Postural Support and Locomotion of ChUdren with Cerebral Palsy
l)信濃医療福 祉センタ
ー
リハ ビリテー
シ ョン部 (〒393
−
0093
長 野 県 諏 訪 郡 下 諏 訪 町 社 字 花田6525−
1)
Osamu
Godo,
PT:Department of Rehabiiitation,
ShinanoHandicapped Children
’
s Hospitalキ
ー
ワー
ド:小 児,脳 性 まひ、
補 装 具 につ いて知 るこ とで,
どの よ う な 補 装具
が どの よう
な場
面 や どの よう
な時 間帯
で必要
に な るのか を検 討 す
ること がで き る。
2
)
こど も と家
族 が感
じてい る困 難
を知
る示 さ
れ たニー
ズを把 握 し適切 な も
のか判 断 す
るた め に は,
こども
に 関 わっ てい る家 族
や教 育
関係 者
な ど が 日常
の生 活
の 中で,
どの よう
な点
に 困難
を感
じてい るのか を知
ることが重
要 で あ る。
家
族 な ど が 困難
と感
じ てい る内
容 を 把 握 し,
理学 療 法 場
面におい て困 難
に感
じて い る こ と に対
して の対 策
と 目標
を 立案
し 理学 療 法
を実 施 す
るe 理学 療 法 場 面
で検 討
さ れ た内容 や 結 果
に基
づいた助
言
を行
い,
家 族
や教 育 関係 者
な ど と共 通
した理解
が得
ら れ た 上で,
ニー
ズに合
っ た補 装 具 を提 案 し
て いく
。理 学
療 法
士側
か らの一
方 的 な提 案
ではな く
,
家族
の苦 労
や悩
み に対
応 してか らの提 案
でなけ
ればな
らな
い。 その よう
な過 程 を繰 り返 す
こと
で,
信 頼 関係 を構 築 す
ること も
でき
る。
2.
予後
予 測 か ら使
用 す る 補 装 具 を事
前
に検
討 す
る将 来
,
運 動 能 力
がど
の程 度 ま
で発 達
していく
のか,
獲
得
で きる移 動能 力
や 移 動手
段 は どう
なっ ていく
の か を予
測 す
ること
は,
補 装
具を提 案
し てい く上 で 重 要 な ポ イントとな
る。
予後 を
予測 す
る能 力
は,
多 く
の こども達
に対
す る 運 動療 法
な どの経
験 に よっ て培
わ れていく
。
経 験
の少
ない理 学療法
士 は,
先輩
か らア ドバ イス を受
け
る こ とも
ひ とつ の方 法
であ る が,
GMFCS
を利 用 す
る ことで経
験
の少 な
い理学 療 法
士も
,
あ
る程 度
は予 後 を予 測 す
る こ とが 可能
に な る。
GMFCS
に はレベ ル1
〜
V
の こ ども達
の2
歳
の誕 生 日 まで,
2
歳〜
4
歳の誕 生日まで,
4
歳
〜
6
歳の 誕 生 日 まで,6
歳
〜
12
歳
の誕
生日 ま
で,
12
歳
〜
18
歳
の誕
生 日ま
で の5
つ の期 間
の運 動 能 力 が ま
と められ
て い る。GMFCS
の どの レベ ル にい るかを判 断
でき
れ ば,
18
歳 ま
での能 力 をあ
る程 度
予測
でき
,
事 前
に提
案
す
る補
装 具
の種 類
や時期 な どを検 討 す
ること
が でき
る。3.
補 装
具費 支 給 制 度
につ い て車
いす
や電 動 車
いす
,
歩 行 器 な ど
に は高額
なも
のもあ
Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation脳 性 まひを もつ こど もの姿 勢 保 持と移 動のた めの補装具 141
表
1
補 装 具
と基 準 額
補 装具名称
基 準 額 (円) 補装具名称
基 準 額 (円 ) 義 肢326
,
000
装 具81
,
000
座位 保 持装置 295,
000
普通 型 リ ク ライニ ング式 普 通 型 ティ ル ト式 普 通 型 リ クライニ ング・
ティ ル ト式 普 通型 車 椅子 手 動リフ ト式 普 通 型 前 方大 車 輪 型 片 手駆 動 型 手 押 し型A
手押 し型B
100.
000120,
000148
,
000173
,
000232
.
000100
,
000117
,
00082.
70081
,
000
普 通 型 (4
.
5km
/h
) 普 通 型 (6
.
Okmfh
)簡 易型 (切替 式 )
簡 易型 (アシス ト型) 電 動 リクラ イニ ング式普通 型 車い す 電 動リクラ イニ ング式 普通 型
電
動
リ フ ト式
普 通型電 動テ ィ ル ト式
普
通 型電 動リ ク ライニ ン グ
・
ティル ト式普
通型314
,
000329
,
000157
,
500212,
500343,
500440
,
000701
.
400S8e
.
OOO982
,
000
松 葉づえ (軽 金属,伸 縮 ) つえ ロ フ ス トラ ン ド ク ラッチ 多 点杖 4,
5008.
0006
.
600
六輪型四 輪 型
(腰 掛イ寸) 歩 行 器 四 輪型 (腰 掛な し) 三輪型 二輪型
63
.
10039
,
60039,
60034
,
00027
.
000
座 位 保 持いす (児のみ )24
.
200
起立保
持具 (児のみ)27
,
400
頭 部 保 持 具 (児のみ)7
,
IOO 排 便 補 助 具 (児の み)8
,
200
盲 人安 全つ え,
眼 鏡,
義眼,
補聴器,
重 度障 害 者用意思伝 達 装 置に つ い ては未
記載
.
部 分記 載 (文献2
)より一
部省 略 し,引 用),
歩 行 器,
歩 行 補 助つ えにつ い てはり
,
公 費 か らの支 給 は家
族 にとっ て購 入
を決 断 す
る要 因
の ひとつ とな
っ ている。
制 度
につ い て は社 会福 祉
士 な ど が家 族
に説 明す
るこ とでは あ る が,
理学療 法 士 も家 族
の た め に知 識
と しても
っ て いることで助 言内
容の幅
が広
が る。
補 装
具 は,
障 害 者 自
立支援 法
に おい て「
障害
者
が 日常
生 活 を 送る 上 で必 要 な 移 動 等
の確
保や,
就 労 場 面 に お け る能 率
の向
上を図
ること及
び障 害 児
が将 来
,
社 会 人と し て独 立 自活 す
る た めの素 地
を育
成 助 長す
る こ とを
目的 と
し て,
身体
の欠 損 ま
た は損 な
わ れ た身 体 機
能 を 補 完・
代替 す
る 用 具」 と
さ れ てい る。具 体 的 な補 装 具
の種
類 と し ては,
義
肢,
装
具,
車
いす
,
電 動 車
いす
,
座 位 保 持
装置
,
歩 行 器
,
歩 行 補 助
つ え,
盲
人安 全
つえ
,
眼 鏡
義 眼
,
補
聴 器
,
重度 障 害 者
用意
思伝 達 装 置
とな
っ て い る。補 装 具
の購 入
ま た は修
理の費
用 に 関す
る基 準
に は示 さ
れていな いが,
定
め ら れ た種
目 に 該当す
るも
の で,
定
め られ た名
称 や 形 式
,
基本 構
造 な ど に当
て はま らな
い補 装 具
を特 例
装 具
と して給 付
さ れ る場 合
があ
る。
補 装 具 費 支 給 制 度
に よ り,
購
入 と修 理
に要
し た費
用の9
割
に相 当す
る額
が 公費
か ら支 給
さ れ るた
め,
家 族
の負
担
は1
割
という
ことにな る。
ま
た,
家 族
の負 担
上限 額 も
定
めら
れて い て37200
円
と なっ ている。9
割
の公 費
の負
担 割 合
は,
国が
5
割
,
県
が2
割
5
分
,
市
町村
が2
割
5
分
と なっ てい る。
身体 障害 者 手 帳
を取
得
している者
が対 象
と な る。
公費負 担
の基 準 額
につ い ては,
補 装 具
の種
目 に よ り定
め ら れている(
表
1
)
。補 装
具
1
.
下 肢 装 具
下
肢 装 具 療 法
の 目的
に は,
変 形
の矯 正 と予 防
,
支 持 基
底 面
の確 保
と安 定
,
歩 行 効 率
の改 善 な どが あ る。
脳性
ま ひを も
っ たこども達
に は,
プ ラスチ ック短
下肢 装 具
や継
ぎ手 付
プラ ス チ ック短 下 肢 装 具(
図1
>
,
金 属 支 柱 付 靴
型 短
下肢
装具 (
図2
)
,
靴 型 装 具 が 処方
さ れる ことが多
い。長 下 肢 装 具 適 用
の判 断
に関
し て は,
動 く
こと
へ の負
担
が大 き
い こども
の場 合
に,
立位 姿 勢 を と
る た め であ れ
ば起
立保 持 具
の方
が 適 応 と な る 場 合 が多
い。
使
用 が検 討 さ れ
る時 期
は.
生活
の中
で 立位
と歩 行
が頻
繁 に な る 頃である。
特
に幼 稚 園
な どに通う
よう
に な る時
期 は活 動 す
る こと や参 加 す
る こと が 頻繁
に な る た め,
下 肢の筋
緊張
が高 ま り代 償 も 目
立つ よう
に な る。
幼
児 期 は 体 重 が 軽い た め,
プ ラ ス チ ッ ク や継
ぎ手 付
プラスチッ ク 短 下 肢装
具,
靴 型 装 具
が使 用
さ れ る。
GMFCS
の レベ ルIV・V
の こど も達
は,
内 側 縦
の アー
チ が崩
れ た外
反扁
平 足 を 呈 す るこ とが多
い。足 部
の アー
チの低
下 を防 ぐ
た め にパ ッ トや インソー
ル,
ス トラップ が 用い ら れ る が,
足部
の状態
は自重
や 下肢
の支 持 力
,
上肢
の支 持 性
,
体 幹
の活動 性
な ど と も 関 係 す るた め,
金 属 支 柱 付 短
下肢
装 具の よう
に体
重 を受
け てく
れる機 構
が 必要
にな るこ と も あ る。
ま
たt 一
側 が尖
足 で他 側
が外 反 扁 平 足
という
よう
に左 右 異 な
っ た 症 状 を 呈 す るこ と も多
い。
下肢 装
具 を検
討 す
る場 合
には,
下肢
の 状 態 だ けで なく
,
上肢
の支 持 性
N工 工一
Eleotronio LibraryJapanese Physical Therapy Association
Japanese Physioal Therapy Assooiation142 理 学 療 法 学 第
40
巻 第2
号’
渉
軸
嘩鐵 騨愾
図1 継 ぎ手付プ ラス チッ ク短下肢装具 図3 動的脊 柱装具 図2
金属支 柱付靴 型 短 下肢装具 や 使い
方
.
体 幹
の活 動 性
,
全
身の ア ライメ ン トな ど,
こ ども
の状 態 を的 確
に 評価
す る こ とが 重要
であ
る。 こど も
は成 長 す
るため,
作 成
に あ たっ て装具
の大 き
さも考 慮
さ れ る が.
1
〜
2
歳 は6
ヵ月,
3
〜
5
歳は10
ヵ月
,
6 〜
14
歳
は1
年
で 更 新 さ れ る際
に 公費
の対 象
とな
る。装 具 を使
用 しは じめ た 時に,
拒 否 的
な 反 応 を 示 すこ ども
がい る。
装 具 を 装 着 す ることで理学 療 法
士 が望
んだア ラ イメ ントに なっ た と しても
,
そ
れま
で の ア ラ イメン ト と異 な
る た めこ ど もに とっ て は違 和 感
が 生 じて 拒 否 的 に なっ た りす る。
その よう
な場 合
は,
急
がず
に 時 間 を かけ
て対 応
し てい く よう
にす
るtt治療 場 面
に好
む活
動 を 選 択 し,
装
具 が 活動
の助 けにな
る よう
に 使 用 す るこ とで,
少 しずつ受 け 入 れて も ら える よう
にする。
他の補
装具
でも
い え る こ とであ
る が,
日常 的
に装 着
が 正 し く行 わ れてい る か確 認
していく
必要が ある。
理 学 療 法 士に とっ て容 易
なこ とが,
家 族
に とっ て は容
易 で ない た め実 践
さ れてい ない場 合
が ある。
来
室時
に装 着
の状 態 を確
認 し,
随 時 装 着の 方 法 を 指導
するよう
にす
る。2
.
体 幹 装
具GMFCS
の レベ ルN 〜V
の脳 性
まひ をも
つ こ ども達
は.
側 彎 を呈 す
ること が 少 なく
ない。身体 障 が
いが 重 度
であ ること に 加 えて,
呼 吸障
がい や嚥
下障
が いを伴
う 例も多
い。 側 彎 などの変 形 に対
して矯
止・
悪 化 防 止 を
目的
に使 用 す
る場 合
,
胸
郭の動 き を抑
え ること が考 え
ら れる た め呼
吸 状 態 に 注 意 し な が ら慎
重に使 用
し ていく
。
図3
は動
的脊 柱
装具
であ
る。体 幹 を 固 定 す
る発 想
で は な く,
筋
緊 張 が高
まっ た方 向
に体 幹
の動 き
があ
る程 度
許 さ れる よ う に なっ ていて,
筋 緊張
がゆる んだ と き に装具
の弾性
に より体 幹
を元
の位 置
に戻 り
やす
く し てい る。
体 幹
装具
を 装着
す ることで体 幹
が抗 重 力 位
で安 定
す る た め,
頭部
の 動 き を 引 き だ しやすく
な るなど,
生活 場 面で支 え と な るこ と もあ る。
3.
車
いす
GMFCS
レベルIV
と
V
の脳性
ま ひ を もっ たこども達
に とっ て車
いす
は,
移 動 す
る だ けの器具
で は なく姿 勢 保 持
具 と して の役 割
をも
っ てい る。
身 体
の状 態
に合
わせ たサ イ ズや,
頭 部
や体 幹
,
上一
ド肢 を 支 え る 工夫
が 必要
とな
る。サ イ ズにつ い て は
,
成 長
に 対 応 して調節
が可 能
な機 構
を有 す
る車
いす (
モ ジュ ラー
型)
を用
いる場 合 が あ
る が.
調 節 が 繁 雑
で適 合
が 難 しい という面 もあ
る。3
年 程 度
の成長
を考慮
し,
や や大
き めに作 成 する場 合 も多
い。
頭 部
や体 幹
を 支 え る方 法
と しては.
座 位 姿 勢 を
とっ た時
の体 幹
や 臀 部,
大 腿部
の形 状
に ウ レ タンを 形 成
して適合 さ
せるモー
ル ド型 (図4
)
と,
背
と座
の シー
トの 張 りを
強 くす るこ とや緩
める こ とで身体
に適 合
させ る 張 り調整 式
(図5
) が あ る。
モー
ル ド型
はベル トやパ ッ ドな どJapanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation脳 性 まひ をもつ こ どもの姿勢 保持 と移 動のた めの補 装具 143 図4 モ
ー
ル ド型 車い す 図6SRcwalker 図5
張 り調 整 式 車い す で身 体 を支 え
る こ とができ
ない強
い脊 柱
側彎
など
,
体 幹
の変
形 や骨 盤
のね
じ れ の強
い ケー
スに用い ら れ る。
身体
へ の適 合 性
は よい反 面
,
通 気 性
が悪
い こ と や身体
の成 長
にす ぐ対 応
でき な
い という欠 点
が あ る。
張 り調 整 式 は,
身
体の形 状(
曲面 )
に完
全に適 合 させ ること が 難 しいた め.
シー
トの隙 間
にパ ット
を 入 れて支
え る 面の適 合性
を高
め る よう
にす
る。
成 長
や変形
の変 化
に張
り を調整
す る こと で対 応 す
る ことが でき
る。
車
いす は矯
正のた め で はな く
生活 す
るた めの器 具
で あ り,
あ る程 度
の時 間 を楽
に姿勢
を とっ ても
らう
こ と や活
動
を しやす く
す ること が 目 的である た め,
変 形
の矯
正 を優 先 し
た作 成
を し ない よう
に し てい る。 固定 的
に一
定
の姿 勢
を保
つ こと は,
そ れ だ け で苦痛
につなが
るた め,
過
度
な矯正 を しな
い よう
に設 定
し てい る。
4.
電 動 車
いす
車
いす
で移 動
できた
とし
ても
,
目的
と し た所
まで到
達す
る た めに時 間
が か か り,
身体
的 な負担
が大 き
い場 合
に は電 動 車
いす
の使 用
を検 討
す る。
電動 車
いす を使
っ て生
活 す
る ことに より
,
自
らの意
思で行 動 を
開始
し,
能 動 的
に活 動
に参 加 す
る ことを 数 多 く体 験 す
るこ と が で き る。
GMFCS
の レベ ルIV
の こ ども達
の中
で,
意 思 をも
っ て車
いす を操 作
して移 動
でき
てい る ケー
ス で は 電 動車
いすを
使
用 す ること が 可能
な場 合
があ
る。電 動 車
い すの使
用 にあ
たっ て は,
本 人
や家 族
の ニー
ズ,
知 的 能 力,
認 知 能力
,
調整
して動
かす
こ と が可 能
な身 体 部 位
の存
在
な どの個
人 因子 と
,
家
の構 造
や広 さ
,
通
っ てい る 施 設の構 造
や広
さ,
関 わ
る人
の理 解 な
どの環
境
因 子 を評 価 す る。
脳 性
ま ひ を もっ たこども達
に おいては,
小 学 校
の高 学
年 頃
にな ら ない と 電動 車
いす を行 政
に申請 し
ても許可
さ れ ない場
合 が多
い。
現 時 点で は許
可 されない こ とも多
いが
,
そ
の こども
に とっ て 必要
と医 療 者
側 が判 断
した場 合
に は,
繰 り
返 し申請
す るこ とで行
政の 理解 を得
られ るよう
に したい 。 ま た,
市
町 村 に よっ て は 電動 車
いす
へ の公
費負 担
が許 可
さ れる ことで,
介 助 用の車いすの申 請
は許
可 されな
い こと も ある。
生活
環境
の事 情 な
ど か ら電 動 車
いす
だ けで なく介
助 用の車いす も使 わ な け ればならない場 合 も考 え
ら れるた め.
生 活 に 支 障 が起
こ ら ない よう
に事 前
に公 的 な判 断
を確 認
する こと も必 要 であ
る。5.
歩 行 器
歩
行 器 に は前
に支 持 す
る部 分
がある前 方
型 と,
後
に支
持
す る部
分の ある後 方 型
があ
る。
前 方
型の代 表
的 な歩
行器
にSpontaneous
Reaction
Control
(
SRC
)
Walker
(
図
6
)
が あ る。SRC
Walker
は 立位
を とれず
座る こと もでJapanese Physical Therapy Association
Japane $e Phy $i¢al Therapy A$ $oeiation
正44 理 学療 法学 第
40
巻 第2
号 図7
PCWalker
辷 e婁
図8 座位 保 持装 置 (既製 品) き ない ケー
スで も使
用す
ること ができ
る。胸
のパ ッ ト と サ ドルで体 重
を受
け てく
れ る た め下 肢
へ の負 担 が 軽 減 さ
れ,
下 肢 を 動 か すことや蹴
る能 力
があ
れ ば前
に進
むこ と が で き る。
下 肢
を動
か し やす くす
るた
め に,
テー
ブルや サ ドル の高 さ
.
サド
ル の傾 き を調 整 す
ること
ができ
る。
床
上で寝 返 りす
る こと がで き ない こど も達
であ
っ ても
,
動 く
ことを経験 す
ること
が で き る。
後 方 型の代 表 的
な歩
行 器
にはPosture
Control
(
PC
)
Walker
(
図7)
が ある。
上
肢
の支
えがあ
る こ と で立 位 が と れ ること や,
伝
い歩 き
が
でき
る ケー
スで使
用 さ れ る。
歩 行
器 を前
に 進 め ること で臀 部
が前 方
に押
さ れ る た め,
股 関節
が 伸 展 する よう
に姿 勢
が調 整
さ れる。
歩 行
器の 高 さ は臀 部
の高
さに合
わ せら
れ るた
め,
上肢
は 屈 曲位
で 支持
で き る能 力
が 必要
であ
る。
下 肢
の支持 力 を
上肢
の支
持力
で代 償
してい る ケー
ス につ い て は,
下 肢の筋 緊 張
を高
める ことが あ
るため,
歩
行 時 間
や距 離 を
考
慮
して使
用 し た方
が よい場 合 が あ
る。公 費
の基 準
額 を超
える高 額
な歩
行 器
が多 く
の メー
カー
か ら紹介
さ れている。
ユー
ザー
な
どのニー
ズ に対 応
し て機 構
が追加
さ れ た た め に高 額
に なっ ていく
。家族
の負担
が 大 き く
な る た め 選 択 しにく
い面
があ
る が,
必 要
であ
れ ば特
例 装 具とし て申 請
していく
。特 例 装 具
とし
て の申 請
件 数
が多 く
な る こ と で,
行政
に よ る基 準 額
の検 討
につな
が れ ばと考
え る。
6.
座位 保 持 装 置
長い期
間
,
長 時 間
に わ たっ て抱
っ こ し て 授 乳 し た り離乳 食
を与 え
て いる家 族
は,
ひと り
でいす に 座っ て食 事
を し たり遊
ん でも ら
いた
いと考 え
る よう
に なる。
GMFCS
の レベ ル がW
とV
の こ ども
達 は.
座 位 姿 勢 を 調 整 して保
つ こ と が できず
.
骨 格 系
の アラ イ メン トがくず
れ る た め,
座 位
に おけ
る活 動
が制
限 さ れ る。
座位 保 持
装置
の製
警 華 図9 座位 保 持装 置 (工房の製作 )作
に あ たっ ては,
家 族
や製作 業 者
と とも
に座 位 姿 勢
の状
態 を確
認 す る。
背 臥位
や支
えて座位 姿 勢
を とり
t
重 力
や筋
の過 緊 張,
低 緊 張 な どに より姿勢
が どの方 向
にくず
れ てい くのか確 認 す
る。
身体
の どの部 分 を支 え
るのか,
ど の方 向
にどの よう
な機 構
で支
える の かな どを検
討 す る。
製 作 業 者 に も実際
に支
えて座っ ても
らい確
認 して も らう
よう
にす
る。座 位 保 持 装 置
に は,
メー
カー
か ら ほ ぼ完 成
し た状 態
で提 供
され る座 位 保 持
装 置(
図8
) と,
採 寸 か ら製 作
まで行 う
工房
の座 位
保 持 装置 (
図
9
)
があ
る。 メー
カー
か ら販 売
さ れ る装 置
に 比べ て 工房
で 製作
さ れ る装 置
は,
製 作
する期 間 が あ る た め に 納 品 さ れ る まで に期 間
を要 す
る場 合
があ
る。
車
いす につ い て もいえ るこ とであ
るが
,
使 用
開始 後
に新
た に起
こ る問
題もあ
るの で注 意 す
る。
安 定
し て 座 位 姿 勢 が と れるよう
になるため,
座位 時
Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation脳 性 まひを もつ こどもの姿 勢 保 持と移 動のた めの補装具
145
図10
起i’
i.
保 持具 (前 傾タ イ プ ) 図ll
起 立保 持 具 (後傾タイプ)間
が 長 く な り.
一
定
の肢位 を
とり続
ける ことにな
る。
そ れ に より
.
股 関 節 や 膝 関 節の屈曲拘 縮
などを きた す危 険性
が ある ことや,
体 幹 や ド肢の筋 力 を 使 わず
に座位
が とれ る た めに起
こる筋 力
の低 ド
に注
意 し て使
用 す るtt座 位 保
持 装 置
は市 販
のいす
に 比べ て大 き く,
重 量 が あ るので事
前
に その点
につ い ても説 明
しておく
必要
が あ る。
理 学 療法
室 で検
討
し てい る時
は,
理学 療 法 室 が 家庭
の部
屋 より
か な り大 きい た め装 置
の大 き
さ は気
にな らな
いが,
家 庭
で使
っ てみ る と大 き く
重 量 が あ る た め,
家 族
の不満
につなが り使 用頻 度
が少
なく
な る 原 因 に も な りか ね ない。事
前
に,
部
屋の どの場所
で使 う
の か,
置 き場 所 な
どにつ い て,
家 族
の理解
を得
て使
用 し てい くよう
にす
る。7
.
起
立保 持 具
ひ
と り
で 立位 を
と れな
い こ ど も 達 が 生活
の 中で立位 を
と
ること
に より
,
頭 部 を
上げ
やす く視 覚
や聴
覚
を使
い や す く な る,
目線
が高
くなり周 囲
の人 と関
わ りが も ち や す く な る,
体 幹
が伸
展 し やす
い ことで上肢
が使
いや す く な る.
下肢
の拘 縮 予 防
とな
る,
骨
の脆 弱 化
を予
防 で き る な どの効 果 が考 え
ら れ る。 起 立保
持 具 は2
歳 頃 か ら使
用 さ れ は じ め ること
が多
い 。 立位
を ひ とり
で と れ る よ う に なっ たこども達
につ い ても
,
生活
の中
で立位
を と る 機会
が 少 ない場 合 には継 続
して使 用 す
る。
起 立保
持 具に は.
身 体
を前
傾 し て使
用す
る タ イプ (
図
10
)
と,
後傾
して使
用
する タイ プ 〔図ll
>
があ
る。 日常 的
に身体
の背 側
で支
持 す ることの 多い こ ど も達 にとっ て は.
前 傾
の タイ プで 立位
を と ること で,
能 動 的 な手
の活 動
や人
との関
わり
が経
験で き る。
体 格
が大 き くな
る と前傾 型
の タ イ プで は,
支 えに複 数の 人 が 必 要 に な るこ と もあ る。
後
傾型
の タ イ プでは水 平
まで傾 け る よ う に 設定
す るこ と で,
背 臥 位
で 立位 姿 勢
をセ ッ トす ること ができ
る。18
歳
の誕生
日を過
ぎ
る と,
起 立保 持 具
は 制 度の対象
で は な く な る た め,
作
成 す
る場 合
に はす
べ て自己 負 担
と な る.18
歳 を 過 ぎ て も,
継続
して起
,Z
保 持 具
で立位
を とる必要
が あっ ても
,
現 時 点
で は18
歳
以降
に起
立保 持 具
を更 新 す
る ことにつ いては,
行
政の理解 を得
ら れ ない のが現 状
であ
る。お わ り
に姿 勢
保 持のた め に整 備
さ れた 車
いす
であ
っ ても
,
2
時
間
か ら3
時 間 継 続 し て 使 用 す るこ と で苦 痛
につな
が る。
こ ど も達の反 応 や表
情 を確
認 しな
が ら,
活 動
の内容
や状況
に合
わ せて臥 位
や 立 位 を と る よう
にす
る。車
いす
に限
らず
,
補
装具
は 無 理 を し ない範 囲 で 使 用 す るこ とを基 本
に考 え
てい る。 文献
1
)Palis.
an 〔}R
.
RQsenbaum P,
et α1
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andre且iability of a systern to cLassify gross metor
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NeuroL
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2)厚生労 働 省ホ
ー
ムペー
ジ補 装 具 費 攴 給制 度の概 要
.
hltp
,’
,
”www,
mhlw.
go.
jplbunya
,’
shougaihoken /yogu,
’gaiyo.
html
(2012
年10 月12 日引 用).
参 考 文 献
今 川 忠 男 :発 達 障 害 児の新しい療 育 :こど も と 家 族 と その
未 来のた め に