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A Study on Low Streamflow and Its Severity for Water Resouces Preservation in Forested River Basin.

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Academic year: 2021

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(1)

博 士(農学)テ リヨノスダルマジ

学 位 論 文 題 名

A Study on Low Streamflow and Its Severity

for Water Resouces Preservation in Forested River Basin.

低水指標による森林流域評価手法に関する研究

学位論 文内容の要旨

  地球上の水資源分布は地域的に大きな偏りをみせ,過酷な水不足に見舞われる地域もあれば,

一方で洪水害を被る地域もある。水資源には限りがあることから,その多目的有効利用や水源地 帯における水供給能の維持あるいは改善が重大な課題である。とくに20世紀後半より顕著となっ た土地利用高度化その進展にともなう森林地帯の改変は,水需要の急増と相まって慣性的水不足 をもたらしてきた。そして,水需要の逼迫化に見舞われている先進諸国tまもちろん,開発途上国 においてはとくに水源地帯の保全・整備が急がれており,森林保全施業,流域管理システムを確 立するための流域評価手法の開発が緊急課題である。

  本研究の目的は,適切な量と質と時期での持続可能な水資源利用を目指すための最も重要な水 文指標である,低水流量と低水度の現況を明らかにし,これら低水指標による流域評価手法の開 発と流域管理技術への展開にある。

  1.研究方法:水不足に関しては水文学,気象学,農業水利学の課題としてこれまでも詳しく     研究されてきた。本論では低水流量を水文学的に水不足の指標としてとらえ,平年流量の標     準範囲より低位なものと定義づけた。そして地域スケ―ル,流域スケールの順に適用し検討     することとした。なお平年流量の地域標準範囲にっいては,北海道の70流域の流量デ一夕よ     り求めた。

  2.低 水流量と低水度:年低水値(ALS)は平年流量の標準範囲により検討した低水状況か     ら求 め,5段階の低水度(SIL)区 分を行った。すなわちSILが 高いほど厳しい低水状況     を示すものとしたが,上記70流域の約20%に当たる13流域がSIL・3,4,5と評価された。

  3.低水流量・低水度の地域分布;地域スケールでの年平均流量(AMS)は1300mmとなる(然     別 :309mm〜, 暑寒 別 :3246mm)。AMSとALSにっ い てみ ると ,AMS 803〜3246mmで

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  ALSO〜182mmの 流域 がSIL―1と2に ,そ してAMS 309〜940mmでALS 130〜505mmの流域   はSIL―3,4,5に 区 分 さ れ た 。 す なわ ちAMSの 高 い流 域はSILが低 く, 逆にAMSの   低い流域はSILが高い 値を示す。このAMSとの関連 から,ALS 200mm以下の流域 はSIL―     1 (slight)と2(fair)に,またALS200mm以上の 流域はSILー3(moderate),4(hard),   5 (very hard)に区分された。

4.厚真川試験流域の低 水状況:低水状況を更に検討するため低水域(SIL−3)の厚真川を   代表流域としてとりあげた。これは,当流域には主に第三紀泥岩が分布しており,インドネ   シア・東カリマンタンと同様に,北海道低山丘陵地を代表する地質であること,さらに近未   来の土地利用形態の変化によって低水状況の悪化がもたらされ,流域管理・流域森林施業上   の課題が現出すると予想されることからである。

・  低水度は基本的に河川流量の変動に左右されるが,その流量変動は以下の2夕イプに区分   された。ひとっは火山地域の幌内川流域にみられる低変動夕イプであり,一方は清川流域と   厚真川流域などの第三紀層地域にみられる高変動夕イプである。後者は最大流量と最少の差   が 極 め て 大 き く , こ れ は 流 域 貯 留 カ が 小 さ い こ と に 起 因 す る と 考 え ら れ る 。 5.厚真川上流域における低水流量の推定:厚真川の上流水源流域を位置関係,地形条件,植   生被覆状況などから9小支流域に分割し,それぞれにっいて水文調査(流量と浮遊砂量)を   行った。

    支流の流量変動幅は大きく(最大/最小‑10〜20),また多くの支流域ではポテンシャル   流量は5001/sec(43,200 ton/day)以下となっ ていた(ただし高水期には172,800   ton/day以上)。一方,浮遊砂濃度は100 ppm以下〜600 ppm以上とバラツキが大きいが,

  平均的には約300 ppmとなっていた。従って浮遊 砂量は13.0 ton/day〜51.8 ton/dayの   流出が見積もられた。

    っぎに,ポテンシャル流量と浮遊砂量を用いた簡易評価モデルを考えた。すなわち厚真川   流域の4観測地点にお ける継続観測データに基づ いて得られたALSと比流量と の関係か   ら,短期間観測による支流域のALS推定値を概算した。この結果,アツマ,ショウシウシ,

  メルクンナイ,オニ キシベ支流域のALS推定値は200mm/year以下で,残り5支流域は200   mm7year以上であると見積もられた。

6.低水度と流域特性:水源地域においては,各支流域の森林率が高いほど流量は増加し,浮   遊砂量は減少,そし てALSも低下することが認められた。これに従い,調査対象9支流域   にっいて水の量と質の両面から森林水文状況評価が行われた。

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    低水流 量と低 水度 に関し ては, 当然の よう に降水 量が重 要な影 響カを 持ち ,SIL・3,4,   5の 流 域 の 多 く は 年 降 水量 が1200mm以 下(SILー1,2の 流 域 は1200〜1600mm)と な っ てい   る 。 し かし , 降水量 の大き い地域 にもSIL・3以 上の流 域が分 布し, この要 因と して地 理学 的 特質 ,とり わけ地 質や地 形など の流 域特性 が挙げ られた 。

  第 三 紀 泥岩 流 域の流 出ハイ ド口グ ラフ は第四 紀火山 噴出物 流域 に比べ ,変動 幅が大 きい。

  さ ら に ,流 域 面 積 が 大き い ほ どSILが 高 い 傾 向が み ら れ た 。ま た 流 域 形 状係 数(Rf)が 高   く 谷 密 度(Rd)も高 い 円 形 を 呈す る 流 域 で は ,SILに 影響 す る よ う な変 動 幅 の 大 きい流 況 と なっ ていた 。

7.流 域評価 :水 源林水 資源に 関する 流域水 文特 性とし ては, 流量, 質, 流出時 期の三っを考 え る 必 要 が あり ,流 量と浮 遊砂量 の年単 位, あるい は季節 単位で の変化 実態 に基づ ぃた流 域 管 理 が 行 わ れる べき である と考え た。し たが って水 不足に より水 需要が 満た されな い場合 に は , 水 供 給 量を 増加 させる ような 量的管 理, さらに ,土壌 侵食や それに 伴う 浮遊砂 生産の 抑 止 に よ る 質 的対 策と ,高水 流量を 遅らせ 低水 流量を 増大さ せるよ うな時 期的 対策を 組み合 わ せ た施 策が講 じられ ねばな らない 。

    厚真 川 流 域に おける 現在 の土地 利用状 況は流 域面積 の73% が森林 により 被覆 されて いる が , 開 発 が 進展 する と現在 の森林 域の40%(流 域面積 の29% )しか 残らな いこと も予 想され て い る 。 そ こで ,水 源地帯 は森林 で被覆 され 水貯留 域とな り得る ため, 水源 涵養域 として の 位 置 づ け を 強化 する 必要が ある。 とりわ け水 源地帯 の最上 流域は ,おも に農 耕地や 居住域 へ の 水 供 給 を 維持 する ための 緩衝地 帯,す なわ ち不可 変な保 安林と しての 流域 施業が 必要と な   る。

  低 水 指 標に よ る流域 評価手 法は, 潜在 的な水 資源域 を改善 する ための 流域地 帯区分 や,低 水 流 量 を 増 大さ せる 試みあ るいは ,水供 給の 季節変 動を極 力抑制 する流 域管 理に有 効と考 え ら れ る 。 ま た, 水源 森林流 域にお いては これ までに も緑化 工や山 腹工, 渓間 工など の森林 保 全 対 策 が 数 多く 実施 され, 森林機 能の強 化が 行われ てきた が,こ れらの 実績 評価も 本手法 に

よ っ て 可 能 に な る と 考 え ら れ る 。

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   学位 論文審 査の要旨 主 査    教授    新谷    融 副 査    教授    霜鳥    茂 副査   教授   藤原滉一郎

  本論 文 は , 図51, 表20を含 む8章 で 構成 さ れ た 総 頁数168の 英文論 文であ る。他 に参 考論文8 編が 添えら れて いる。

  土 地利用 の高度 化とそ の進展 にと もなう 森林地 帯の改 変と 水需要 の増加 は慢性 的水不足をもた らし ,水需 要の 逼迫化 にみま われて いる 先進諸 国はも ちろん のこと ,開 発途上 国にお いてはとく に水 源林の 保全 ・整備 が急が れてお り, 森林保 全施業 ・流域 管理シ ステ ムを確 立する ための流域 評価 手法の 開発 が緊急 課題で ある。

  本 研究は ,渇水 問題の 顕在化 が開 発の進 行とと もに予 想さ れてい る北海 道水源 流域を対象とし て, 潜在的 水不 足(低 水)状 況の分 布把 握を行 うと同 時に, 渇水に 関す る重要 な流域 水文指標を 提起 するこ と, ならび にこの 流域水 文指 標の流 域管理 と森林 機能強 化へ の適用 方法を 確立するこ とを 目的と した もので ある。 研究の 結果 は以下 のよう に要約 される 。

  (1)まず,北海道内水源地帯70流域(面積10kni〜.100knオーダー)にっいて水文資料解析を行     い ,共通 時期の 約12年 間にわ たる月 平均 流量デ ータを 用いて 北海道 の平 年流量 を求め,この     標 準偏差 下限値 より 低位の ものを 低水と 規定し た。 そして 低水状 況を把 握す るための流域水     文 評価量 として 年低 水値(ALS)を求 めた。

  (2) こ のALSは 降 雨 特 性や 地 質 ・地 形・流 域形状 ・地 表被覆 などの 流域特 性に支 配さ れてい     る が ,ALS値 の 地 理 分 布 を 示 す た め の 簡 潔 な 指 標 と し て5段 階 のSIL( 低 水 度 ) [1     (slight),2(fair),3(moderate),4(hard) ,5(very hard) ] を提 起 し た 。 これ     に よ っ て北 海道内 の低 水度分 布をみ たとこ ろ,低 水度3以上 の低 水域は 年降雨 量の少 ない 道     東 域に多 いこと は当 然とし ても, 相対的 多雨域 の道 南・道 央域に も分布 して いることを明ら     か にした 。

  (3)低 水域 の代表 流域で しかも 近未来 に開 発域が 急増す るとみ られる厚真川流域をとりあげ,

    上 〜 下 流 域に わ た る4観測 地 点 の 水 文資 料 を 解 析 し た。 そ れ ぞ れ のALSに っい て比較 検討     を 行った ところ ,下 流域ほ ど森林 開発域 が増大 し, これに っれて 低水度 が大 きくなることが     明 らかに なった 。

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(4) さ ら に , 上流 域 を9小 支流 域 (10〜20kni)に分 割して ,流量 ・浮 遊砂量 を2年間に わたっ     て 現 地測 定 し た 。 この 一 時 的 測 定 値を も と に , 上記4地 点 で求 められ た比流 量とALS値 の     関 係 から , 各 支 流 域ご と のALS推 定 値 を求 めた。 そして 相対 的な低 水度比 較を行 ったと こ     ろ, 土地利 用区分 によ る森林率のわずかな低下が低水度を変える可能性があることが推損lJさ     れた 。

(5)っい で小支 流域 ごとの 流量・浮遊砂量損I亅定値も含めて流域比較を行い,低水度が小さくし     かも 浮遊砂 量の多 い小 支流域 にあっ ては森 林か らの土 地利用 変更に より水不足の生じる危険     性が 高いこ と,ま た低 水度は 小さく しかも 浮遊 砂量の 少ない 流域は 良好な水源林を保持して     いる ことな どを指 摘し た。そ して森 林保全 ・管 理・施 業上の 流域区 分と優先順位决定は流域     水文 指標と して提 起し た低水 度によ って可 能で あると した。

(6) ま た 森 林 で被 覆 され た水源 地帯の 水文機 能のな かで も水資 源賦存 カを保 持す るため の保安     林配 置の有 効性や ,な らびに 低水度 の増大 を緩 和軽減 し水質 を保持 するための上流域の山腹     ・渓 間にお ける森 林保 全(治 山)対 策(浸 透促 進工や 侵食防 止工) の意義や保安林改良の方     法な どにっ いて論 じた 。

  以 上 の よ う な本 研 究 は , 流域 に お け る 水資 源管理 を目標 として ,ALS. SILの 低水 指標に よ る流域 評価 手法と ,これ に基づ く水源 林基 盤整備 のため の小流 域ご との優先順位決定手法を提起 し たも の で あ る 。そ の成 果は学 術的 のみな らず流 域管理 技術 の応用 面から も高く 評価さ れる 。   よ っ て 審 査 員一 同 は, 最終試 験の結 果と合 わせて ,本 論文の 提出者 テリヨ ノス ダルマ ジは博 士(農 学) の学位 を受け るのに 十分な 資格 がある ものと 認定し た。

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