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Hydrologic modeling of the Gin River basin, Sri Lanka in assessing the environmental effects due to catchment change 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 Thushara Navodani WICKRAMAARACHCHI 博士の専攻分野の名称 博士(工学) 学 位 記 番 号 医工博乙第66号 学 位 授 与 年 月 日 平成26年3月20日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第2項該当 専 攻 名 環境社会創生工学専攻

学 位 論 文 題 目 Hydrologic modeling of the Gin River basin, Sri Lanka in assessing the environmental effects due to catchment change (スリランカ Gin 川の流域改変に伴う環境影響評価のための水文 モデリング) 論 文 審 査 委 員 主査 准教授 石 平 博 教 授 坂 本 康 教 授 風 間 ふたば 教 授 末 次 忠 司 准教授 西 田 継 准教授 市 川 温

学位論文内容の要旨

スリランカ南部に位置するGin 川流域は、932km2の流域面積の中に60 万人の人口を抱 えており、その河川水は都市の飲料水源として利用されるとともに、河畔地域に住む人々 の生活と密接に関連している。したがって、都市飲料水源の安定的な確保のためには、流 域の気候・土地利用の変化がGin 川の水量・水質にどのような影響を与えるかを把握する 必要がある。 本研究の目的は、スリランカGin 川流域において将来起こりうる気候変動や土地利用変 化によって引き起こされる河川流況の変化とその河川水質への影響を明らかにすることで ある。具体的な検討事項は、1)Gin 川流域における降水と土地利用に関する将来予測、2) 将来におけるGin 川の流況の予測、3)河川流量と各種水質項目(濃度)の関係のモデル化、4) 将来の流況のもとでの水質の推定及び水質基準との比較である。「スリランカにおける持続 的な水供給に関する指針」に示されている目標である「2020 年までの安全な水供給の実現」 に向けて、本研究で得られる結果は、Gin 川の水量・水質の将来像を示し、飲料水確保の見 通しを明らかにするものである。

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将来気候の予測には、イギリス気象局ハドレーセンターが開発した領域気象モデリング システムHadRM3P に基づく PRECIS を使用している。このシステムを用いて、空間解像 度25km×25km で、IPCC-SRES A2 及び A1B の気候変動シナリオに基づく 2020 年時期 の降水量を推定した。さらに、領域気象モデルにおいて得られる日単位降水量変化のパタ ーンを過去の実績降水量に適用することで、2020 年における降水量データを作成した。ま た、土地利用の将来予測には、GIS とロジスティック回帰に基づく土地利用変化解析法を 用いた。この手法では、ある土地利用タイプの生起確率が社会・経済的・生物物理的な因 子によって影響を受けると仮定しており、生起確率の空間分布や土地利用規制を考慮しな がら各土地利用タイプに対する需要を満足するよう繰り返し計算過程を経て、将来の土地 利用分布が得られる。本推定手法の妥当性については、過去(1999 年時点)の土地利用分布 の再現とROC 解析により検証を行った。 次に、土地利用と気候変動が流域水文環境に及ぼす影響を定量的に評価するために、分 布型水文モデルYHyM/BTOPMC による流域水文解析を行った。その結果、河川流量の実 測値とモデル推定値はよく一致しており、YHyM/BTOPMC は対象流域における主な水文 現象を適切に再現できることが確認された。この水文モデルに対して領域気象モデルの出 力と土地利用の将来予測結果を与えることで、2020 年における河川流量の推定を行った。 さらに、水文モデルの出力である2020 年の河川流量と LOADEST を組み合わせることで、 2020 年における河川水に含まれる物質の流出負荷を算定した。LOADEST は、河川におけ る負荷-流出量関係を表す回帰モデルであり、本研究では、修正型最尤法推定法(AMLE)に 基づき、2001-2009 年の期間に得られた物質濃度の実測値と河川流量観測値を参照値とし て用いることで、各物質に関する回帰モデルのパラメータを同定した。 上記の検討を通じて得られた主な結果は、以下の通りである。まず、降水量の将来予測 については、現在気候(2001-2004 年の平均値)と比較して将来気候(2020 年)の流域平均降水 量は、A2 シナリオで 8%、A1B シナリオで 40%減少する推定結果が得られた。また A2 シ ナリオにおいては、より大きな降雨イベントの発生が予測された。また、土地利用変化に ついては、1983 年から 2020 年の間に、農地面積率が 51%から 34%まで減少するとともに、 宅地/都市緑地面積率が18%から 32%まで増加する予想結果が得られた。この変化は主と して人口増加のペースを維持するために必要となる宅地や都市緑地の急速な拡大傾向を反 映したものである。 最終的には、気候変動と土地利用変化が流域水文環境に及ぼす複合的な影響について検 討をおこなった。年流出量はA2 シナリオで 4%増、A1B シナリオでは 50%減し、その中で は月流量の季節変化パターンの変化も見られた。6 月と 11 月については両シナリオ(A2、

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A1B)とも流量が増加、3 月については両シナリオとも減少傾向となった。A2 シナリオでは、 大きなピーク流量を伴う出水イベントが顕著に増加する結果が得られた。水質については、 河川流量のタイミングや強度の変化に対応した物質流出負荷の顕著な増加傾向が見られた。 特に、A2 シナリオにおいて鉄分濃度と濁度が他の物質と比較して大幅に増加する傾向が認 められ、その値は水質基準を大きく上回る見通しである。鉄分・濁質負荷の75 パーセンタ イル値は、6 月において A2 シナリオの場合、それぞれ 347%、107%の増加が見込まれる。 また、最大90%の流量増加が見込まれる中、その結果として鉄分流出負荷は 200%まで増加 し、2020 年の高流量(>110m3/s)の期間における鉄分と濁度が水質基準を満たすようにする ためには、それぞれ92%、95%の劇的な削減が必要となることが示された。ただし、将来 の流況変化に対応した河川水質の変化は、気候変動における排出シナリオに強く依存する ことから、今後、他の排出シナリオや気候モデル出力に基づく解析も実施する必要がある と考えられる。また、気候変動予測やモデリングの過程には、不確実性が伴うことから、 そのような予測不確実性も考慮しながら、本研究を通じて得られた発見・成果である河川 水量・水質の将来変化のトレンドについて解釈する必要がある。 本研究の成果は、将来の河川環境変化について予想される負の影響の軽減に対して必要 な事前対応戦略の必要性を示すものである。さらに、本研究で提示した評価手法の枠組み は、他の流域における同様の環境影響評価の指針を与えうるものである。

論文審査結果の要旨

論文公聴会は、審査委員のほか、約40 名の研究者、学生が出席して行われた。60 分のプ レゼンテーションでは、研究内容を良く整理し、オリジナリティーを分かりやすく説明し た。質疑は、主に土地利用変化の予測手法や将来気候のもとでの水質評価に関する部分に 関して行われた。これに引き続き行われた論文審査委員会における審査では、以下の点が 新たな研究成果であり、当該分野において学術的に高く評価できる功績であると結論した。 ・将来起こりうる気候変動や土地利用変化によって引き起こされる河川流況の変化とそれ に伴う将来の河川水質への影響を総合的に評価する手法を開発した。本手法は、気候変 動に伴う降水変化の予測、社会・経済的・生物物理的な因子の影響を考慮した土地利用 変化の予測、降水・土地利用の変化を考慮した河川水量の変化、流量変化に伴う河川水 質の変化までを統合的に扱うことができることから、今後、他のスリランカ国内の河川 流域を含む、様々な河川流域における温暖化影響評価への適用が期待されるものである。 ・開発した手法をスリランカ南部に位置するGin 川流域に適用し、流域の気候・土地利用

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の変化が都市飲料水源であるGin 川の水量・水質に与える影響を定量的に示した。気候 変動と土地利用変化の複合的な影響により、年流出量はA2 シナリオで 4%増、A1B シナ リオでは50%減し、月流量の季節変化パターンも変化する可能性があることが明らかと なった。また、河川流量のタイミングや強度の変化に対応した物質流出負荷の顕著な増 加傾向がみられた。特に、鉄分濃度と濁度がA2 シナリオにおいて大幅に増加する傾向が 認められ、その値は水質基準を大きく上回る結果が得られた。 以上に基づき、同審査委員は全員一致で、本論文が博士論文として十分な水準にあると 判断した。 学力等の試験では、土地利用モデルの予測精度や、提案された環境影響評価手法の適用 限界等について質疑が行われた。審査委員からの主な質問、コメントは以下の通りである。 ・土地利用変化の将来予測における問題点としてどのようなことが考えられるか。空間解 像度の問題や影響因子(driving factor)の選択方法など、土地利用変化モデルの適用に関す る課題について整理しておく必要があるのではないか。 ・土地利用変化モデルの精度評価(予測可能性)について、より詳細な検証が望まれる。 ・領域気象モデルにより推定された降水量予測値に対して適用したバイアス補正方法(Daily Scaling)について、より詳細な説明が必要である。 ・スリランカ南部の湿潤地域を対象とした他の温暖化影響評価研究との違いは何か? ・本研究では、水量・水質ともに日単位の時間解像度での検討を行っていたが、水質環境 基準値との比較を行うためには、より高い時間解像度での検討が必要なのではないか? ・土地利用変化が面源負荷に及ぼす影響についても検討が必要である。 ・土地利用と気候変動のどちらがより支配的な影響因子となっているか、あるいは両者の 寄与割合を分離して示すような工夫も必要である。また、そのような検討を通じて、他 の人為的な影響(例えば、砂利採掘に伴う濁質の増加)なども考慮したより総合的な影響評 価が可能になると期待される。 ・本研究で将来予測の対象とした2020 年は、さほど遠い未来ではないので、モニタリング データの継続収集・解析などによる予測結果の検証が望まれる。 審査中、上記の質問、コメントに対しては的確に回答しており、質疑を通じて水文モデ ル、数値シミュレーション、環境影響評価など関連する研究領域について深い知識を持っ ていることが確認された。以上のことから、本審査委員会は申請者が博士(工学)の学位 に相応しい科学的・技術的な思考能力、理解力、コミュニケーション能力を備えているも のと判断した。

参照

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