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学位論文題名Study on transport and characteristics of organic matter in river waters with differentWaterShedCOnditionS

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Academic year: 2021

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博 士 ( 地 球 環 境 科 学 ) マ ド ジ ャ ハ ン ガ ー ア ラ ム

     学位論文題名

Study on transport and characteristics of organic matter     in river waters with differentWaterShedCOnditionS

( 流 域 環 境 の 異 な る 河 川 水 に お け る 有 機 物 の 輸 送 挙 動 と 特 徴 に 関 す る 研 究 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  河川 を経 由し た陸 域 から 海洋 への 有機 炭素 の輸 送量 は、 年間0.4〜 0.9xl015gと見積もら れ 、炭 素循 環に おけ る 重要 な移 行経 路の1っ と考 え られ てい る。しかし、この見積もりは、

世 界の 主要 な河 川の 有 機物 濃度 の年 間の 平均 値や 平均 流量 を用 いた 結果 であ り 、河 川特有 の 季節 変動 や潜 荏的 な 重要 陸が 指摘 され てい る小 河川 の移 行量 に関 して の検 討 が考 慮され て いな い。 また 、今 後 の環 境変 動に 対応 して どの 程度 有機 物の 移行 量、 起源 及 びそ の組成 等 の特 徴が 変わ るの か を予 想す るためには、いつの時代 に蓄積された有機炭素がどこから、

どれだけ、 どのような機構での輸送なのか把握する必要がある。

  こ れ ら の 点 の 解 明 に は 、 流域 環境 の異 なる 河川 での1年間 以上 にわ たる 観測 、溶 存及 び 粒 子態 有機 炭素 濃度 の 同時 計測 、有 機物 の質 に着 目し た調 査・ 研究 が必 要で あ る。 これま で の研 究で は、 北米 の 河川 や南 米の アマ ゾン 川を 対象 に、 溶存 及び 粒子 態有 機 炭素 濃度の 変 動や フラ ック ス計 算 が行 われ てき た。 また 、有 機物 の特 徴に 関し て、 リグ ニ ン、 脂肪酸 等 のバ イオ マー カー が 着目 され 、有 機成 分の 詳細 な検 討が 行わ れて きた 。し か し、 これら の バイ オマ ーカ ーは 有 機物 の中 では 微量 な成 分で あり 、有 機物 全体 の特 徴を 検 討で きる調 査項目が必 要である。

  炭 素 安 定 同 位 体 比(813C)は 陸 上 の 植 生 を 識 別 す る パ ラメ ータ とし て河 川の 有機 物研 究 に 活 用 さ れ て き た が 、 植 物 によ りあ る程 度重 複す る。 放射 性炭 素14Cは、1950〜1960年 代 に 行 わ れ た 核 実 験 に よ り 大 気 中 ヘ 放 出 さ れ 、 大 気 中 の14C濃度 はそ れ以 前 の約2倍 にな っ た 。そ のた め、14C濃 度の 評価 は、 「現 代」 から の 試料 の14dl℃ 比の ずれ の度 合い 、△1℃ 値 とし て表 され る。 △ ℃ 値が プラスの場合は、核実験 起源の ̄4Cの寄与、マイナスは核実 験以前の ̄4Cの存在量が大きいことを意味している。

  近年 の加 速器 質量 分 析器 の精 度・ 感度 の向 上に より 、炭 素循 環過 程に おけ る 有機 物の動 態 のト レー サー とし て 用い る研 究が 報告 され 始め た。 アマ ゾン 川や 北米 大陸 、 欧州 の河川 水中の溶存 有機物の△14Cは−158〜十283960、懸濁粒子中の有機物の△1℃では―980〜十227%o と 、地 域に より 大き く 変動 して いる 。こ れは 、流 域の 植生 、土 壌で の有 機物 の 蓄積 ・分解 過 程、 腐植 化の 違い 等 が関 係し てい る。 その ため 、炭 素同 位体比、△ ̄℃と6 ̄3Cの組み合 わ せに より 、河 川域 に おけ る有 機物 輸送 のト レー サー とし て活 用で きる 可能 性 が考 えられ る。

  また、. 最近では、集中豪雨時の有機物の輸送効果が非常に高い 可能陸が指摘され始めた。

日 本を はじ め世 界各 地 で集 中豪 雨の 発生 回数 が増 加し てい るこ とか ら、 豪雨 の 影響 の評価

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も 行 う 必要 が あ る。 そ の ため 、 雪 解け と 豪 雨時 の 観 測 を1つ の 河川 水 系 で年 間を通じ ての 観測から比較検討できる亜寒帯域での観測が必要不可欠である。

本 研 究 では 、 河 川を 経 由 して 輸 送 され る 溶 存及 び粒 子態有機 炭素の 移行量及 びその特 徴、

並 び に 輸送 挙 動 、輸 送 機 購を 明 ら かに す る ため に、 亜寒帯域 に属す る北海道 の石狩川 と十 勝 川 を 主な 観 測 フイ ー ル ドに 設 定 し、2004〜 2005年 の約2年 間、 月1回の 観測 を行っ た。

河 川 懸 濁 粒 子 は 連 続 遠J己 機 に より 河 川 水30L ‑100Lか ら 分離 し 、 顕 微鏡 で の 粒子 の 観 測 を 行 う と と も に 、 有 機 炭素 含 量 、見 か け の年 代 情 報が 得 ら れる 放 射 陸炭 素(A14C)、炭 素 安 定 同 位体 比 (613C)を 測 定 した 。 ま た、 溶 存 有 機物 は 、 溶存 有 機 炭素 の 大部分 を占め 、 難 分 解 陸の 高 分 子電 解 質 の有 機 酸 であ る 腐 植物 質に 着目し、 三次元 螢光分光 光度法に より その濃度と特徴を検討した。

  両 河川 と も 河川 の 流 況に 対 応 して 有 機 炭素 含 量、有 機物の特 徴は変 動した。 粒子態 有機 物 のAl℃ 値 は 初夏 に −100%0、813C値は −26%0と重 くなり、 雪解け と豪雨時 にA14C値は 最大 で‑370%0と古 く な った 。また 、石狩川 の粒子態 有機物 のA14C値、6 ̄3C値 の変動は 、それ ぞ れ―364臨〜−103%oと―23%。〜−34%であり、十勝川に比べて△1℃値では120%0、613C値では 1( 腸 。と よ り 大き な 変動幅で あった 。この結 果は、 流域から 河川に 供給され る有機物 の質 が 両 河 川間 で 異 なり 、 流 域の 土 壌 特陸 、 土 地利 用形 態等の違 いが反 映された 可能性が 考え ら れる。ま た、石 狩川の粒 子態有機 物の△  ̄4C値と6 ̄ C値を プロット した結 果、雪解けと そ の 他 の季 節 に 分か れ た 。ま た 、 初夏 と 初 冬で は異 なる値を 示し、 二成分系 の混合の 特徴 を 示 し た。 有 機 炭素 / 窒 素モ ル 比 は、 こ れ らの 分類 されたグ ループ に相当す るように 雪解 け時で11.9士111、初夏8.1土111、初冬で10.6土o.2であった。また、顕微鏡観察の結果、夏 場 は 藻 類の 割 合 が高 く 他 の季 節 と は異 な る 状況 であ った。以 上の結 果から、 雪解け時 や豪 雨 時 と 平常 時 で は輸 送 さ れる 粒 子 態有 機 物 の質 が異 なり、平 常時で も供給有 機物の違 いが 存 在 す るこ と が 明ら か と なっ た 。 この こ と は、 河川 で輸送さ れる粒 子態有機 物の起源 や移 行経路が季節により変動することを意味している。

  溶 存有 機 物 は、 全 溶 存有 機 炭 素濃 度 と フル ボ 酸様成 分の有機 炭素濃 度を測定 し比較 検討 し た。平常 時には フルボ酸 様有機物 の占め る割合は 、石狩 川で77士9%、十勝川では74士lO% で あ っ た 。 一 方 、 雪 解 け 時 に は 、 石 狩 川 は2004年 で69蛔 % 、2005年 では44±1% 、 十勝 川 は25士8% と異 な る 結果 で あ った 。 ま た、 フ ル ボ 酸様 有 機 物の 螢 光 ピー ク位 置は、 十勝 川 で は 年 間 を 通 じ て 励 起 波 長331士6nm、 螢 光 波 長425gnmと ほ ば 一 定 の 値 を示 し た が、

石 狩 川 で は 、1月 〜6月 で 励 起 波 長331錨nm、 螢 光 波 長426錨nm、7月 か ら12月 で は 励 起 波 長339繊m、 螢 光 波 長426蜘mと 励 起 波 長 で 有 意 の 差 が 存 在 し た 。 こ の こ と は 、 石 狩 川 で は、 河 川 に供 給 さ れる フ ル ボ酸 様 有 機物 の特 徴が季節 により 異なり、 移行経路 、移 行機構の違いが反映した可能J陸が考えられる。

  こ のよ う な 変動 の 原 因を 明 ら かに す る ため 、 河川水 の粒子量 や溶存 成分の濃 度を支 配す る 流 量 との 関 係 を調 べた 。石狩 川と十勝 川では、 粒子態 の有機炭 素濃度 (nlgゆ が流量 の増 加 と と もに 増 加 する 傾 向 を示 し 、 平常 時 と 雪解 け ・ 豪 雨時 の2つの 相 関 性に 分類され た。

一 方 、 粒子 態 の 有機 炭素 含量(w腸) と△ ̄4C値 は流量 の増加に 対して 減少し、 平常時 と雪 解 け ・ 豪 雨 時 の2つ の 関係 が 認 めら れ た 。こ の こ とは 、 粒 子態 有 機 物は 流 量 に 応じ て2つ の 移 行 経路 を 存 注す る と 考え ら れ る。 一 方 、フ ルボ 酸矇有機 物濃度 は流量の 増加とと もに 減 少 し 、平 常 時 と雪 解け ・豪雨 時の2つの関係 が認め られた。 これは 、流量の 増加時に は、

平 常 時 とは 異 な る起 源 あ るい は 経 路か ら 溶 存フ ルポ 酸様成分 が河川 に供給さ れている こと を示唆している。

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  以上の結果より、河川流域の特徴、流況に応じて河川により輸送される有機物量は異な り、雪解けや豪雨の寄与が比較的大きいことが明らかとなった。また、季節や流量に応じ て運ばれる有機物の質が変動していることも明らかとなった。今後は、これら地域レベル のデータをグローバルな炭素フラックスの見積もり、時間軸を導入した有機物の輸送機構 に反映させるとともに、流域環境とのより詳細な検討を進め、環境変動に伴う有機物の輸 送状況の変動を検討することが期待される。

(4)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査

副査 副査 副査 副査

助教授 教授 教授 教授 助教授

長尾誠也 南川雅男 杉本敦子 岩熊敏夫 山本正伸

     学位論文題名

Study on transport and characteristics of organic matter     in river waters with differentWaterShedCOnditionS

(流域環境の異なる河川水における有機物の輸送挙動と特徴に関する研究)

  河川を経由 した陸域から海洋への有機炭素の輸送量は、年間0.4丶一一‑0.9x1015gと見積もら れ 、 炭 素 循 環 に おけ る重 要な 移行 経路 の1っ と考 えら れて いる 。今 後 の環 境変 動に 対応 し た 有機 物の 特徴 や移 行量 の 変動 を予 想す るた めに は、 有機 物の 起源 と時 間軸 を導入した輸 送 機 隣 を 把 握 す る必 要が ある 。こ れら の 点の 解明 には 、流 域環 境の 異な る河 川で の1年 間 以 上に わた る観 測、 溶存 及ぴ陸子態有機炭素濃度の同時計測、有機 物の質に着目した調査・

研究が必要で ある。

  これまでの 研究では、北米の河川や南米のアマゾン丿||を対象に、溶存及び粒子態有機炭 素 濃度 の変 動や フラ ック ス計算が行われてきた。また、有機物の特 徴に関して、リグニン、

脂 肪酸 等の バイ オマ ーカ ー が着 目さ れ、 有機 成分 の詳 細な 検討 が行 われ てき た。しかし、

こ れら のバ イオ マー カー は 有機 物の 中で は微 量な 成分 であ り、 有機 物全 体の 特徴を検討で きる調査項目 が必要である。

  炭 素 安 定 同 位 体 比(813C)は 陸 上 の 植 生 を 識別 する パラ メー タと し て河 川の 有機 物研 究 に 活用 され てき た。 一方 、 放射 性炭 素の 同位 体比 、A14C値 は見 かけ の年 代を 検討すること が 可能 であ る。 その ため 、A14Cと813Cの 組み 合わ せに より 、河 川域 にお ける 有機物の特徴 や起源を考慮 した輸送挙動を検討することが出来る。

  本研 究で は、 北海 道の 石 狩川 と十 勝川 を観 測フ イー ルド に設 定し 、2004ー 2005年の約2 年 間 、 月1回 の 観 測 を 行 っ た 。 河 川 水301‑100Lか ら 河 川 懸 濁 粒 子 を 分 離 し 、 顕 微 鏡 で の 観察 、有 機炭 素含 量、813C、A14Cを測 定し た。 溶存 有機 物は 、溶 存有 機炭 素の大部分を 占 め、 難分 解陸 の高 分子 電解質の有機酸である腐植物質(フミン酸 、フルボ酸)に着目し、

三次元螢光分 光光度法によりその濃度と特徴を検討した。

  両河 川と も河 川の 流況 に 対応 して 有機 炭素 含量 、有 機物 の特 徴は 変動 した 。粒子態有機 物 のAJ4C値 は 初 夏に‑100%o、813C値は‑26%0と重 くな り、 雪解 けと 豪 雨時 にA14C値 は最 大 で‑370%0と 古く なっ た。 ま た、 石狩 川の 粒子 態有 機物 のA14C値 、813C値 の変 動は、それぞ

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れ‑364%0ー‑103%0と‑23%。ー‑34%0であり、十勝川に比べてA14C値では120V00、813C値では 10%0とより大きな変動幅であった。この結果は、流域から河川に供給される有機物の質が 両河川間で異なり、流域の土壌特性、土地利用形態等の違いが反映された可能性が考え られる。

  溶存有機物は、全溶存有機炭素濃度とフルポ酸様成分の有機炭素濃度を測定し比較検討 した。平常時にはフルボ酸様有機物の占める割合は、石狩川で77:t9%、十勝川では74土10% であった 。一方、 雪解け時 に石狩川で は2004年で69t9% 、2005年では44+1%、十勝川 は25t8%と異なる結果であった。また、フルボ酸様有機物の螢光ピーク位置は、十勝川 では年間 を通じて 励起波長33116nm、螢光波長425:t5nmとほば一定の値を示したが、石 狩川 で は 、1月 〜6月 で 励起 波 長33116nm、 螢 光波 長426ぢnm、7月から12月では励 起 波長339+−4nm、螢光波長426士4nmと励起波長で有意の差が存在した。このことは、石狩 川では、河川に供給されるフルボ酸様有機物の特徴が季節により異なり、移行経路、移行 機構の違いが反映した可能陸が考えられる。

  上記の変動要因を明らかにするため、河川水の粒子量や溶存成分の濃度を支配する流量 との関係を調べた。石狩川と十勝川では、粒子態の有機炭素濃度(mgn)が流量の増加とと もに増加する傾向を示し、平常時と雪解け・豪雨時の2っの相関性に分類された。一方、

粒子態の有機炭素含量(wtワ。)と△ ̄℃値は流量の増加に対して減少し、平常時と雪解け・

豪雨時の2っの関係が認められた。このことは、粒子態有機物は流量に応じて2っの移行 経路を存在すると考えられる。一方、フルポ酸様有機物濃度は流量の増加とともに減少し、

平常時と雪解け・豪雨時の2っの関係が認められた。これは、流量の増加時には、.平常時 とは異なる起源あるいは経路から溶存フルポ酸様成分が河川に供給されていることを示唆 している。

  以上の結果より、河川流域の特徴、流況に応じて輸送される有機物量は異をり、雪解け や豪雨の寄与が比較的大きいことが明らかとなった。また、季節や流量に応じて運ばれる 有機物の質が変動していることも明らかとなった。今後は、これら地域レベルのデータを グローバルな炭素フラックスの見積もり、時間軸を導入した有機物の輸送機構に反映させ、

環 境 変 動 に 伴 う 有 機 物 の 輸 送 状 況 の 変 動 を 検 討 す る こ と が 期 待 さ れ る 。   審査員一同は、これらの成果を高く評価し、また、研究者としての誠実かつ熱心であり、

大学院博士課程における研鑽や修得単位などもあわせ、申請者が博士(地球環境科学)の 学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

参照

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