本市では、平成 23 年 4 月に水道事業と下水道事業の組織 統合を行い、より総合的に水環境を創る体制を整えました。 この組織統合後、枚方市上下水道局として、市民の暮らし や企業活動を支えるために、お客さまに信頼され、満足いた だける、持続可能な水道をめざす水道事業と、水環境を保全し、 快適な生活環境を創造するとともに、大雨による浸水被害から市民 生活を守る下水道事業に取り組んでいます。 本市の上下水道事業は、長引く景気の低迷や人口減少、さらには社会全体で の節水意識の広がりによる水需要の減少が見込まれ、厳しい経営環境の中で、 老朽化施設の更新・改良、局地的豪雨や地震などの災害への対応、技術の継承 問題など、さまざまな課題に対して取り組んでいく必要があります。 こうした状況に対応していくため、今後9年間で取り組むべき課題や目標を 掲げた新たな経営戦略として、「枚方市上下水道ビジョン」を策定しました。 今後は、このビジョンに掲げた目標の実現をめざし、より一層、職員の意識 改革を進め、能力の向上を図るとともに、効率的な経営のもとに、常に事業の あり方を検証し、本市上下水道事業を着実に進めていきたいと考えています。 本ビジョンの策定にあたり、ご尽力いただきました枚方市上下水道事業経営 委員の皆様、また、貴重なご意見、ご提言をいただきました市民の皆様に心か ら感謝申し上げますとともに、今後とも本市の上下水道事業に対するより一層 のご理解とご協力をお願い申し上げます。 平成 25 年4月 枚方市上下水道事業管理者 西尾 和三
ページ 第1章 策定の趣旨と位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第1節 策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第2節 ビジョンの体系 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 第2章 施策の進行管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 第1章 枚方市水道事業の歩み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第2章 水道の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 第1節 水需要の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 第2節 水道施設の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 第3節 給水の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 第4節 水質の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 第5節 危機管理・防災対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 第6節 環境保全に関する取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 第7節 経営状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 第3章 水道事業に係る将来予測指標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 第1節 人口予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 第2節 給水人口と水需要予測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 第4章 水道事業のめざすべき方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 第1節 基本理念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 第2節 基本方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 第5章 今後の水道事業の基本施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 第1節 危機管理による安全重視の水道・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 第2節 安定的な給水の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 第3節 安心して飲める良質な水の供給 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 第4節 お客さまへのサービス向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 第5節 官民の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 第6節 省エネルギーと環境保全 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
第 1 編 水道編
第2章 下水道事業の歩み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 第3章 下水道の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 第1節 汚水事業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 第2節 雤水事業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 第3節 経営健全化に向けた取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 第4章 課題の解決に向けた方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50 第1節 汚水整備の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 第2節 雤水整備・浸水対策の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54 第3節 経営の健全化に向けた方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 *を付した用語は、巻末の「用語解説」で解説していますので、 ご参照ください。
- 1 - 第 1 章 策定の趣旨と位置づけ 第 1 節 策定の趣旨 本市の水道事業は、昭和 9 年 2 月に給水を開始して以来、行政区域の拡大や 人口急増に対応し、安定給水という「量」的課題への対応に力を注いできまし た。また、水源である琵琶湖・淀川水系の水質の改善など「質」的課題にも積 極的に取り組み、今日では、市民約 41 万人に水道水を供給しており、市民・事 業者等(以下、「お客さま」という。)に満足いただける、おいしくて安全な水 を安定的に供給するため、計画的かつ効率的な施設整備を行いつつ、より効率 的な水道事業経営を推進することを目標として、平成 19 年 8 月に「枚方市水道 ビジョン」を策定し事業を推進してきました。 一方、本市の下水道事業は、汚水と雤水を分けて排水する環境にやさしい分 流式下水道を採用し、昭和 33 年に整備事業を開始しました。今日では、汚水整 備事業は、人口普及率が 9 割を超え、公共下水道の普及に重点を置いた建設の 時代から、今後は施設の老朽化に対応するなど、維持管理の時代を迎えており ます。より効率的な施設の維持管理を進め、健全な経営を推進するため、地方 公営企業法を適用とすることとしました。 この下水道事業への地方公営企業法の適用を円滑に進めるため、また、水循 環を環境保全の観点から総合的に捉え事業展開を行える体制とするため、水道 事業と下水道事業は平成 23 年 4 月に組織統合を行いました。 そして、上下水道組織の統合を機に、水道事業、下水道事業のそれぞれの方 向性を示すために、従来の「枚方市水道ビジョン」を改定し、下水道ビジョン と併せ「枚方市上下水道ビジョン」(以下、「ビジョン」という。)として策定し ました。 本市の上下水道事業を取り巻く環境は近年大きく変化しています。 本市の上下水道の組織統合と時期を同じくして、平成 23 年 4 月に本市が浄水 の一部を受水*している大阪府営水道が本市を含む府内 42 市町村で構成する大 阪広域水道企業団へ再編されました。 また、東日本大震災を経験し、改めて耐震化の重要性が浮き彫りになりまし た。気象の変化に伴い、近年多発する局地的豪雤などによる浸水被害への対応 も大きな課題です。
- 2 - さらに、水道施設、下水道施設ともに老朽化が進んでおり、施設を適切に維 持していくことがこれからの大きな課題であり、施設の更新、改良を耐震化と ともに積極的に進めていく必要があります。 経営面においては、長引く景気の低迷、節水意識の高まり、人口減尐傾向な どによる水需要の減尐に伴い、厳しい経営状況が予測されます。 このような本市の上下水道事業を取り巻く環境の変化や新たな課題にも的確 に対応し、次世代に安心して引き継いでいける施設のあり方や健全な事業経営 を進めるための基本的な方向性を示すものとして、平成 25 年度から平成 33 年 度までを計画期間として本ビジョンを策定しました。 本ビジョンの策定にあたっては、水道事業と下水道事業には、それぞれ個別 の課題と目的があり、それぞれに収支均衡の維持、収益の確保を図るなど適切 な経営管理を行い、両事業において経営健全化を目指す必要があります。この ため、本ビジョンの構成については、両事業の課題や方針を明確に整理し、わ かりやすくするために、「第 1 編 水道編」、「第 2 編 下水道編」としました。 なお、地方公営企業法においても、1 事業 1 会計を原則とされています。 また、本ビジョンの策定にあわせて、「枚方市水道施設整備基本計画」(以下、 「水道施設整備基本計画」という。)及び「枚方市水道事業中期経営計画」(以 下、「水道中期経営計画」という。)を改定し、「枚方市下水道事業経営計画」(以 下、「下水道経営計画」という。)を新たに策定し、効果的・効率的な上下水道 事業経営に取り組んでいきます。 上下水道ビジョン策定のイメージ ●上下水道組織の統合 ●大阪府営水道の大阪広域水道企業団への再編 ●震災を教訓にした耐震化のさらなる推進 ●局地的集中豪雨などによる浸水被害の軽減 ●施設の老朽化に伴う維持管理と更新・改良 ●より一層の経営健全化 上下水道事業を取り巻く環境の変化と課題
上下水道ビジョン
◇施設の整備、維持・更新、 耐震化を総合的に進めるため の方針 ◇安定経営に向けた経営指針 対応- 3 - 第 2 節 ビジョンの体系 水道と下水道の組織統合に伴い、水道ビジョンと下水道ビジョンを合わせ「上 下水道ビジョン」として策定しました。なお、ビジョンは、国の「水道ビジョ ン」、「下水道ビジョン」及び「第4次枚方市総合計画」との整合を図り、本市 上下水道事業の目指すべき方向を示しています。また、ビジョンの実施計画と しての役割を担う「水道施設整備基本計画」、「水道中期経営計画」、「下水道経 営計画」をあわせて策定しました。 第4次枚方市総合計画(第2期基本計画)〔平成 21 年度~27 年度〕 水道ビジョン(厚生労働省) 下水道ビジョン(国土交通省)
枚方市上下水道ビジョン
〔平成 25 年度~33 年度〕水 道 編
下 水 道 編
実施計画 〔平成 25 年度~33 年度〕 ・枚方市下水道事業経営計画 実施計画 〔平成 25 年度~33 年度〕 ・枚方市水道施設整備基本計画 〔平成 25 年度~30 年度〕 ・枚方市水道事業中期経営計画- 4 - 第 2 章 施策の進行管理 お客さまに信頼され、安定したサービスを継続できる上下水道事業を実現す るためには、本ビジョンに示した基本施策が確実かつ効果的に推進できる体制 の構築と進行管理の仕組みが重要になります。このため、ビジョンの実施計画 的な役割を担う「水道施設整備基本計画」、「水道中期経営計画」、「下水道事業 経営計画」を策定し、これらの計画の取り組みを客観的に評価する機関として、 有識者や市民等で構成する枚方市上下水道事業経営委員会において、経営評価 システムに基づく外部評価を実施します。 また、評価結果をホームページに公表するとともに、その結果を施策に反映 していきます。 1.枚方市上下水道事業経営委員会 経営委員会は、上下水道局が実施する経営評価の客観性を確保するため、 枚方市上下水道事業経営委員会規程に基づき設置した上下水道事業管理者 の諮問機関です。 平成 23 年 4 月の組織統合以降は、上下水道両事業の経営評価等をその担 任事務として、専門的見地から調査、審議し、管理者への意見具申を行っ ています。 2.経営評価システム 従来の「枚方市水道ビジョン」において、事業の進捗管理、事業効果の 点検・改善を図るため、水道施設整備基本計画及び水道中期経営計画の進 行管理等を目的に、水道事業ガイドライン業務指標(PI)*と水道中期経 営の計画主要施策に焦点をあてた「水道事業経営評価システム」を平成 20 年度に構築しました。 このシステムは、類似団体と業務指標等を活用した比較を行い、今後の 水道事業の方向を表わす「経営評価」と、中期経営計画に掲げた計画主要 施策の実績・成果について評価する「基本施策評価」からなっており、そ の評価結果をもとにビジョンの達成状況を検証しています。なお、水道事 業の経営・業務分析は、PI を活用しています。 今回のビジョン策定にあわせ、水道事業については、このシステムを継 承し、評価項目については見直しを行うものとします。 下水道事業については、水道事業に準じた「経営評価」と「基本施策評 価」を行うものとし、新たな上下水道経営評価システムを構築します。
- 5 - 3.計画推進と進行管理の枠組み PLAN DO CHECK ACTION ◆水道中期経営計画 ◆下水道経営計画 ◆水道施設整備基本計画 上下水道事業経営評価システム ○上下水道局自己評価 ○外部評価(経営委員会) 外部評価に対する対処方針 ホームページ公表 (1)経営評価 (2)基本施策評価 上下水道ビジョン基本 方向の達成状況確認 施策への反映 上下水道ビジョンに基づく 基本施策の推進
- 6 - 第1章 枚方市水道事業の歩み 本市の水道事業は、昭和7年に天野川の伏流水*を水源とする水道施設の建 設に着手し、昭和9年に給水を開始しました。当時の事業規模は、計画給水人 口 12,000 人、1日最大給水量 1,680 ㎥でした。 その後、津田町との合併に伴う行政区域の拡大や人口急増等(図 1-1)に対 応するため、平成 15 年度まで7次にわたり拡張事業を行ってきました(表 1-1)。 第7次拡張事業では、平成 10 年に高度浄水施設を完成させ、市内全域に安全 でおいしい高度浄水処理*水を通水することができました。 本市では、淀川水系の水資源の開発により毎秒 1.505 ㎥の水利権*を取得し ており、全給水量の8割強を自己水*により給水し、残りを大阪広域水道企業 団からの受水*により給水しています。 年次 事業認可等 計画給水人口 1 日最大給水量 昭和 9 給水開始 創設事業 12,000 人 1,680 ㎥ 26 第1次拡張 24,000 人 3,600 ㎥ 30 第2次拡張 95,000 人 19,000 ㎥ 36 第3次拡張 165,000 人 59,400 ㎥ 41 第4次拡張 222,500 人 89,000 ㎥ 46 府営水道から受水開始 第5次拡張 315,000 人 126,000 ㎥ 52 第6次拡張 366,670 人 158,300 ㎥ 57 第7次拡張 421,000 人 193,200 ㎥ 平成 5 第7次拡張 変更 419,000 人 206,800 ㎥ 0 10 20 30 40 50 S22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 55 58 61 H1 4 7 10 13 16 19 22 (万人) (年度) 【図1-1】 行政人口の推移 【表1-1】 拡張事業の沿革 津 田 町 合 併 中 宮 第 一 浄 水 場 完 成 大 阪 府 水 受 水
- 7 - 水道施設については、拡張事業により中宮第一浄水場(昭和 40 年)をはじめ として、順次、取水・浄水*・配水施設*等の整備を進めるとともに、良質で安 全な水を供給するため、平成 10 年には高度浄水施設の供用を開始しました。ま た、ISO14001*の認証取得や太陽光発電システムの導入など、環境への取り組 みも積極的に進めてきましたが、平成 18 年には、水道水の安全性をさらに高め るために水道 GLP*の認証を取得しています(表 1-2)。 年 次 沿 革 の 概 要 昭和 7 水道事業創設の認可。天野川の伏流水を水源とする水道施設の建設に着手 40 中宮第一浄水場完成 46 大阪府水受水 48 中宮第二浄水場、中宮庁舎完成 54 春日受水場 供用開始 平成 10 香里受水場供用開始 10 中宮浄水場高度浄水施設 供用開始 13 ISO14001 認証取得 15 太陽光発電システム通電 18 水道 GLP 認定取得 22 中宮浄水場排水処理施設更新工事完成 【表1-1】 水道事業の沿革 枚方市の水道水は琵琶湖を水源とする淀川の 水を原水としています。 1 日平均約 13 万㎥、年間に約 4,900 万㎥の水 をお客さまに給水しています。 琵琶湖 枚方市
- 8 - 第2章 水道の現状と課題 第 1 節 水需要の動向 水道事業は、お客さまに良質な水を安定的に供給することを使命に、41 万人 の全市民に水道水を供給できる環境を整えてきました。しかし、本市の有収水 量*(図 2-1)は、平成8年度に 50,618,428 ㎥に達しましたが、それをピーク に今日まで漸減傾向が続いています。平成 22 年度には、これまで増加してきた 給水人口も減尐に転じ、これに伴って、さらなる水需要の減尐が想定されます。 水需要の傾向を用途別*でみると、一般用(図 2-2)は平成 10 年度以降、漸 減傾向が続いています。業務用(図 2-3)及び業務用の大口使用者(201 ㎥/月 以上)(図 2-4)についても、平成8年度をピークに漸減傾向が続いており、市 民の節水意識の高まりや景気低迷に伴う需要の減尐等が要因であると考えられ ます。 また、企業等の地下水採取に対する新たな方向性について、現在、検討中で すが、その結果によっては、将来の水需要への影響が懸念されます。 50,618 50,308 47,199 47,072 46,243 45,951 45,927 45,216 40,000 45,000 50,000 55,000 8 10 18 19 20 21 22 23 (年度) 39,605 39,735 37,355 37,309 36,880 36,894 36,796 36,330 0 10,000 20,000 30,000 40,000 8 10 18 19 20 21 22 23 (年度) 【図2-1】 有収水量の推移 【図2-2】 一般用水量の推移
- 9 - 第 2 節 水道施設の状況 現在の水道施設(図 2-5)は、開設後 30 年を超えるものが半数以上あり(表 2-1)、老朽化が進み、施設の更新、耐震化が大きな課題となっています。特に、 中宮浄水場は水道事業の根幹となる施設であり、計画的な更新を進めなくては なりません。 また、府域水道事業においては、平成 23 年 4 月に府営水道が府内 42 市町村 で構成される大阪広域水道企業団に再編されましたが、現在では、大阪府内全 域の水道事業の統合という、さらなる広域化の検討が進められています。 本市においても府域水道事業の将来を見据えた対応が必要となっています。 さらに、新たな技術への取り組みや、災害などの危機事象に対する幅広い対 応力が求められています。 10,556 10,184 9,309 9,250 8,922 8,631 8,692 8,169 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 8 10 18 19 20 21 22 23 (年度) 【図2-3】 業務用水量の推移 5,752 5,906 5,847 6,038 6,130 6,193 6,576 6,937 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 8 10 18 19 20 21 22 23 (千㎥) (年度) 【図2-4】 大口使用者(201 ㎥/月以上)の推移(水量ランク別調定集計表より)
- 10 - ②中宮浄水場 ①磯島取水場 ⑤田口山配水場 ⑰長尾宮前配水場 ⑥鷹塚山配水場 ④妙見山配水池 ⑮津田低区配水場 ⑱津田高区配水場 ⑦東部長尾配水場 25 氷室高区配水場 ⑧尊延寺配水場 ⑲国見山配水池 22 新穂谷配水場 ⑩長尾配水池(H24~休止中) ⑯北山配水場 ⑫楠葉配水場 淀川 ⑭春日受水場 21 香里受水場 大阪広域水道企業団 ③大池配水場 ⑬東香里高架水槽 24 氷室低区配水場 ⑨北部長尾配水池 ⑳高度浄水施設 23 穂谷加圧ポンプ
N
⑪水道局庁舎 施設名 開設時期 施設名 開設時期 1 磯島取水場 昭和 36 年 3 月 14 春日受水場 昭和 54 年 9 月 2 中宮浄水場 (第二浄水場) 昭和 36 年 3 月 (昭和48年9月) 15 津田低区配水場 昭和 59 年 5 月 3 大池配水場 昭和 36 年 3 月 16 北山配水場 平成 3 年 9 月 4 妙見山配水池 昭和 36 年 3 月 17 長尾宮前配水場 平成 7 年 7 月 5 田口山配水場 昭和 42 年5月 18 津田高区配水場 平成 8 年 3 月 6 鷹塚山配水場 昭和 44 年8月 19 国見山配水池 平成 8 年 3 月 7 東部長尾配水場 昭和 44 年 9 月 20 中宮浄水場高度浄水 施設 平成 10 年 8 月 8 尊延寺配水場 昭和 45 年 8 月 21 香里受水場 平成 10 年 11 月 9 北部長尾配水池 昭和 45 年 8 月 22 新穂谷配水場 平成 14 年 6 月 10 長尾配水池(休止中) 昭和 46 年 9 月 23 穂谷加圧ポンプ 平成 14 年 6 月 11 水道局庁舎 昭和 48 年 11 月 24 氷室低区配水場 平成 16 年 3 月 12 楠葉配水場 昭和 50 年 3 月 25 氷室高区配水場 平成 19 年 4 月 13 東香里高架水槽 昭和 50 年8月 【表2-1】 水道施設の現状 【図2-5】 水道施設位置図- 11 - 第 3 節 給水の状況 1.水利権*の状況 本市の水道水は、淀川の表流水*を水源としています。昭和 22 年に近畿財 務局より引き継いだ毎秒 0.250 ㎥の水利権に始まり、現在では、淀川水系の 水資源開発により毎秒 1.505 ㎥(1 日当たり 130,032 ㎥)の水利権を取得し ています(表 2-2)。 取 得 区 分 毎秒(㎥) 一日(㎥) 取得年度 河 水 統 制 配 分 前 0.250 21,600 昭和 22 河 水 統 制 配 分 量 0.080 6,912 32 淀川大堰(旧長柄可動堰改築) 0.110 9,504 41 高 山 ダ ム 0.112 9,677 49 青 蓮 寺 ダ ム 0.051 4,406 49 正 蓮 寺 川 利 水 0.109 9,418 49 琵 琶 湖 総 合 開 発 0.793 68,515 平成 4 合 計 1.505 130,032 2.自己水*と大阪広域水道企業団受水* 本市では、昭和 22 年に淀川から取水を開始して以来、単独で給水してきま したが、高度経済成長期の人口急増に伴う不足分を補うため、昭和 46 年以降、 大阪府営水道(現在の大阪広域水道企業団)から一部受水しています。平成 23 年度は、年間約 4,900 万㎥の配水量*のうち2割弱にあたる約 800 万㎥を 大阪広域水道企業団から受水しています。 なお、大阪市を除く府内市町村の平均自己水率*は3割程度であり、本市 は8割を超えていることから、自己水率の高い自治体と言えます(図 2-6)。 【表2-2】 水利権取得の経過
- 12 - 第 4 節 水質の状況 1.原水の水質状況 本市の水道水は、淀川の水を原水としています。淀川の流量は安定して おり、水道水を安定的に供給することが可能となっていますが、京都から 大阪に至る淀川水系は、流域の都市化が著しく進み、上流から下流まで取 水と排水が繰り返され、水質は悪化しやすい状況です。 しかし、近年の下水道の整備や工場の排水規制等により、淀川水系の水 質は良化傾向にあります。一方、淀川水系における油流出などの水源水質 事故は数多く発生し、浄水への影響が懸念される事故は年間 20~30 件程度 発生しています。この様な状況に対応するため、琵琶湖・淀川水系を水源 とする水道事業体で協議会を結成し、水源の保全活動や広域的な水質調査 を行うとともに、情報連絡体制を整え緊急時の事故に対応しています。 また、塩素消毒に強いクリプトスポリジウム等の原虫*や微量な医薬品 残留物質等による汚染、淀川の水質良化による浄水過程での濁り物質の凝 集不良など、高度な処理技術が求められる新たな課題が見られるようにな りました。 2.浄水の水質状況 昭和 40 年代以降、淀川流域の都市化に伴い水源水質の悪化が進み、水道 水中のカビ臭やトリハロメタン* などが問題となり、安心でおいしい水道 水の供給が求められるようになりました。 80.4 79.7 82.9 82.7 82.5 82.6 84.3 83.2 75 80 85 90 8 10 18 19 20 21 22 23 (%) (年度) 【図2-6】 自己水率の推移
- 13 - そこで本市では、水道水質の向上に向け、平成 10 年度に高度浄水処理* の運用を開始しました。これによりカビ臭等の異臭味は解消され、TOC*や トリハロメタン*等についても削減することができ、水質は格段に良化し ました(図 2-7)。 また、水質検査は、原水から末端の給水栓に至るまで、水道法で定める 水質検査計画*に基づき継続的に実施しており、福島第一原子力発電所の 事故を受け、放射能についても定期的に監視を行っています。さらに、そ れらの水質検査計画や水質検査結果については、本市上下水道局のホーム ページで公開し、お客さまに安心して水道を利用いただけるよう努めてい ます。 【中宮浄水場高度浄水施設】 T O C ト リ ハ ロ メ タ ン 【図2-7】 浄水水質経年変化(H8~23)
- 14 - 3.安全・安心な水道水をお届けするための取り組み 水道水の安全性を確保するため、より質の高い水質検査体制の構築を目 指し、水質基準等が良好に管理されている機関のみが認定される水道 GLP* を平成 18 年5月に全国で9番目(関西で2番目)に認定取得し、水質検査 に必要な精度の向上と信頼性の確保を図りました。また、厚生労働省や大 阪府が実施する外部精度管理にも参加し、良好な検査機関であるとの評価 を得ています。 また、水道法の適用を受けない 10 ㎥以下の小規模貯水槽*の衛生管理は、 所有者又は施設管理者が適正に行わなければなりませんが、本市では貯水 槽の管理が適正に行われるように年1回の巡回点検を実施しています(図 2-8)。 1,180 1,190 1,190 1,197 1,147 1,089 0 400 800 1,200 1,600 18 19 20 21 22 23 (年度) (件数) 【図2-8】 小規模貯水槽の点検業務の推移
- 15 - 4.鉛製給水管*の解消 昭和 63 年度以前に布設されてきた鉛製給水管(以下、「鉛管」という。) については、長時間の滞留による水道水中への鉛の溶出や、腐食が原因の 漏水事故につながることから、本市では、配水管*から水道メータまでの 間の鉛管を取り替える工事を進めてきましたが(図 2-9)、まだ、全給水件 数の約2割が鉛管を使用しています(表 2-3)。 なお、現在では、水道水を弱アルカリ性に保っていますので、鉛の溶出 は抑制されています。 5.快適な給水水圧の確保 2階までの低層住宅の場合は、水道管からの水圧のみで給水できますが、 集合住宅など3階以上の建物の場合は水圧が足りないため、貯水槽にいっ たん水を貯めてポンプで圧送する方法が従来、行われてきました。 しかし、この方法は、貯水槽での水の滞留による衛生面のほか、設備の ための土地や費用など維持管理の課題もありますので、本市では、給水水 圧を確保し、3階以上の建物にも貯水槽を設けないで直接又はポンプによ り給水できる直結給水が可能な区域の拡大に努めています。 現在、直結給水の審査対象区域は計画区域の 78%まで拡大しましたが、 今後も、地理的条件などにより困難な地域を除き、市内全域が直結給水に 対応できるよう区域を拡大する必要があります。 給水件数 鉛管使用件数 151,374 件 33,834 件 50,971 48,268 45,553 43,374 40,689 38,124 35,680 33,834 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 16 17 18 19 20 21 22 23 年度 【表2-3】 鉛管の使用状況(平成24 年 3 月末現在) 【図2-9】 鉛管使用件数の推移
- 16 - 第 5 節 危機管理・防災対策 お客さまに安全な水を安定的に供給するため、水質管理のみならず、震災・ 風水害等の自然災害やテロ・突発事故などの危機事象に、迅速かつ的確に対応 できる体制を常に整えておく必要があります。 震災・風水害等の自然災害など危機事象に対しては、その対応方針を危機管 理マニュアル*に示していますが、今後、危機管理マニュアルの「枚方市地域 防災計画」との連携や職員への周知徹底に取り組む必要があります。自然災害 の中でも特に、今後の大きな課題である大地震に対しては、施設の耐震化や配 水場等への緊急遮断弁*の設置(表 2-4)、応急給水拠点*の整備などに取り組ん できましたが、緊急時の被害を未然に防ぎ市民生活を守るため、今後も未整備 箇所の整備を着実に進めていく必要があります。 なお、本市の水道水は、配水池から高低差による自然流下で配水されますの で、ポンプ圧送方式のように停電時に直ちに断水することはなく、浄水場から の送水が停止しても、一部の区域を除き3時間程度の給水は可能です。 また、危機事象の発生時に迅速、適切に動ける組織を目指し、定期的に訓練 を実施するとともに、災害応援協定を締結するなど、関係部署、関係機関、地 域との連携も図っています(表 2-5、表 2-6)。 施 設 名 緊 急 時 貯 水 容 量 (㎥ ) 備 考 長尾宮前配水場 925 緊急遮断弁設置 楠葉配水場 1,268 緊急遮断弁設置 新穂谷配水場 700 緊急遮断弁設置 津田高区配水場 1,500 緊急遮断弁設置(2 か所) 国見山配水池 150 緊急遮断弁設置 香里受水場 486 緊急遮断弁設置 氷室低区配水場 1,237 緊急遮断弁設置 氷室高区配水場 1,000 緊急遮断弁設置(2 か所) 田口山配水場 3,528 緊急遮断弁設置 高度浄水施設 5,400 耐震性貯水槽 300(3か所計) 伊加賀小学校、中部区画第 2 公園、車塚公園 合 計 16,494 40 ㍑/人 目 標 32,714 80 ㍑/人 【表2-4】 緊急時の貯水施設と緊急遮断弁設置施設(平成 25 年 3 月末現在)
- 17 - 応援協定の名称 応援協定締結日及び締結先 水道災害等相互応援に関する協定 平成5年6月1日(京都府八幡市) 平成 19 年7月 25 日(寝屋川市) 平成 20 年9月 22 日(交野市) 平成 22 年1月 21 日(東部大阪9市) 大規模水道災害発生時における緊急対 応に関する協定 平成 19 年7月3日 (枚方市管工事業協同組合) 水道施設の災害に伴う応援協定 平成 22 年8月 20 日(民間事業者) 大阪府水道震災対策相互応援協定 平成9年3月 31 日(大阪府・43 府市町村・ 1団体) 大阪広域水道震災対策相互応援協定 平成 23 年4月1日(大阪広域水道企業団・ 43 府市町村・1団体) 広域連携団体の名称 関係自治体等 淀川水質協議会* 大阪広域水道企業団、大阪市、守口市、寝 屋川市、吹田市、尼崎市、西宮市、伊丹市、 阪神水道企業団及び枚方市で構成し、水質 事故への対応、水源水質の観測、各種調査 研究を実施 【表2-5】 水道災害相互応援協定 【表2-6】 主な広域連携の概要
- 18 - 第 6 節 環境保全に関する取り組み 水道事業は、浄水処理や送・配水過程において、電力をはじめとする様々な エネルギーを消費する環境負荷の大きな事業であることから、環境対策に十分 配慮して取り組むことが求められています。そのため、浄・配水施設*などに 太陽光発電システムを設置し、自然エネルギーの活用を図るとともに、エコオ フィス活動*など環境保全活動に取り組んできました(表 2-7)。 また、これまで取り組んできた省エネルギー対策に配慮した設備等の設置や、 工事により発生する残土などの建設副産物の有効利用と合わせて、浄水処理過 程で排出される副産物の有効利用の推進が求められています。 年度 概 要 太陽光発電 システム 中 宮 浄 水 場 平成 14 年度 最大出力 100 キロワット 香 里 受 水 場 平成 15 年度 50 キロワット 北 山 配 水 場 平成 16 年度 20 キロワット 田 口 山 配 水 場 平成 17 年度 20 キロワット 第 7 節 経営状況 1.水道料金 水道事業は、受益者負担の原則に基づく独立採算で行う事業であり、そ の費用は、主に料金収入により賄われています。本市の水道料金は施設の 拡張に併せ改定を行ってきましたが、平成 12 年を最後に料金の改定は行っ ておらず(図 2-10)、一般用で 20 ㎥/月使用した場合、平成 23 年度末現在、 大阪府内 43 市町村のうち4番目に低い料金設定となっています。 790 900 1,400 1,780 1,726 2,176 2,176 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 S51.6 S52.4 S57.1 H5.11 H9.7 H12.4 H24.4 (円) 改定年月(H24.4を除く) 【表2-7】 環境保全の取り組み 【図2-10】 水道料金の改定の経緯(一般用・20m3/月:消費税抜き)
- 19 - 2.料金体系 本市の水道料金は、用途別*従量料金*体系を採用しています。用途につ いては、一般用・浴場用・臨時用・業務用・家事共用の 5 区分に分け、そ れぞれに応じた料金を設定しています。また、従量制については、各用途 それぞれに基本水量(一般用8㎥・業務用 10 ㎥等)に応じた基本料金を設 定し、使用水量が増えるに従い単価が高くなる逓増制*を採用しています。 料金体系については、近年、民間の事業内容が多様化しており、用途区 分が実情になじまないケースが見られるなど、そのあり方については今後 も時代に合わせた見直しを行っていく必要があります。 3.給水収益 水道事業の経営状況は、これまで経営改善に向けた取り組みを進めてき たことにより、平成 12 年度以降黒字基調で推移していますが、主たる収入 である給水収益は漸減傾向が継続しています(図 2-11)。今後の水需要に ついても、給水人口の減尐、節水意識の向上、景気の低迷等による使用水 量の減尐が想定されることから、引き続き、有収水量*の漸減に伴う給水 収益の減尐が想定されます。 6,377 6,272 6,212 6,135 7,546 7,598 7,434 7,226 7,245 7,222 7,207 7,144 6,945 6,831 6,833 6,682 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 55,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 (千㎥) (百万円) (年度) 給水収益 有収水量 【図2-11】 給水収益と有収水量の推移 料 金 改 定
- 20 - 4.財務状況 (1)収益的収支・資本的収支の状況 収益的収支は、事業年度の経営活動に伴い発生した全ての支出と、そ れに対応する全ての収入で、平成 12 年度以降は黒字を保っています(図 2-12)。 資本的収支は、経営活動に必要な施設の建設改良及びそのために発行 する企業債*の償還金などの支出とその財源となる収入であり、平成8 年度以降の推移は、図 2-13 のとおりです。 8,532 8,059 7,977 7,441 8,999 9,083 8,819 8,320 8,494 8,466 8,564 8,128 7,776 7,715 7,692 7,295 8,205 8,438 8,297 7,909 8,602 8,761 8,725 8,165 8,056 7,893 7,802 7,297 6,957 6,913 6,932 6,697 6,500 7,000 7,500 8,000 8,500 9,000 9,500 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 (年度) 収入 支出 6,683 9,248 4,109 1,989 1,296 1,202 1,799 1,240 543 1,020 1,384 1,725 1,543 1,711 1,286 1,027 8,216 10,770 5,769 4,003 3,107 3,065 3,974 3,389 2,909 4,309 4,604 5,784 5,183 5,942 4,026 4,390 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 (年度) 収入 支出 【図2-12】 収益的収支の状況 【図2-13】 資本的収支の状況(税込み)
- 21 - (2)給水原価*と供給単価*の状況 年間の有収水量*1㎥当たりの生産に要する費用を表す「給水原価※1」 と、年間の有収水量1㎥当たりで得ている収益を表す「供給単価※2」は、 いずれも低い方が良い数値とされており、本市では、両指標とも府内市 町村及び全国の平均値を下回っている状況です(図 2-14、2-15)。 また、水道事業の経営状況の健全性を示す指標として、給水原価に対 する供給単価の比率を示す「料金回収率*※3」があります。料金回収率 が 100%を下回っていると、給水にかかる費用が料金収入だけでは賄え ていないことを表しますが、本市では、平成 18 年度以降 100%を上回っ ています(図 2-16)。 140.70 167.86 169.94 148.77 170.69 172.06 0 50 100 150 200 枚方市 府内市町村平均 全国平均 (円/m3) 給水原価 供給単価 140.38 144.15 143.29 144.6 161.88 166.62 168.75 164.66 157.28 157.18 151.78 145.63 141.91 140.32 140.70 146.14 125.99 124.68 123.48122.81 152.97156.06 154.85 153.08 153.02 153.03 152.68 151.76 150.18 148.65 148.77 147.80 120 130 140 150 160 170 180 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 (円/m3) (年度) 給水原価 供給単価 ※1:給水原価(円/㎥)=(経常費用-受託工事費*)÷有収水量 ※2:供給単価(円/㎥)=給水収益÷有収水量 ※3:料金回収率(%)=(供給単価÷給水原価)×100 【図2-14】 大阪府内市町村・全国平均との給水原価と供給単価の比較(平成22 年度) 【図2-15】 給水原価と供給単価の推移
- 22 - 目的別給水原価*の推移は、表 2-8 に記載のとおりです。 支出面においては、執行体制の見直しや、企業債*の繰上償還*による 支払利息の縮減など経費の節減に取り組んでいますが、今後は、これま でに整備した施設・管路の維持管理費の増加や更新・改良及び耐震化な ど新たな施設整備に伴う減価償却費*の増加が見込まれています。 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 職員給与費 29.45 25.35 24.64 24.48 23.56 25.97 支払利息 22.52 20.49 15.76 13.32 12.73 12.19 減価償却費 53.84 54.26 56.65 57.36 57.89 59.91 動力費 7.40 7.38 7.99 7.34 7.46 7.85 修繕費 1.79 1.66 1.91 1.83 2.65 4.44 材料費 0.41 0.47 0.45 0.44 0.43 0.40 薬品費 2.46 2.49 1.03 1.39 2.68 1.45 委託料 9.29 9.18 9.55 9.20 10.68 11.43 工事請負費 0.53 0.24 1.27 1.70 2.16 1.45 受水費 16.46 16.70 16.82 16.71 13.28 14.32 その他 7.63 7.41 5.84 6.55 7.18 6.73 計 151.78 145.63 141.91 140.32 140.70 146.14 88.75 86.49 86.17 84.93 94.50 93.66 91.76 92.97 97.29 97.36 100.59 104.21 105.83 105.94 105.74 101.10 80 90 100 110 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 (円/m3) (年度) 【図2-16】 料金回収率 参考(平成 22 年度実績):全国平均値 101.25% 大阪府内市町村平均値 101.7% 出典:水道統計(平成 22 年度版)総務省 HP.平成 22 年度地方公営企業決算の概況 【表2-8】 目的別給水原価 (単位:円)
- 23 - (3)企業債*等長期借入金 企業債は、主に建設工事等に要する資金を調達するための長期借入金 です。施設・管路等の更新事業や建設改良事業の財源として発行するも のですが、その償還金が将来の経営を圧迫することがないよう、発行額 の抑制に努める必要があります(図2-17)。 また、その他の長期借入として、水源である琵琶湖総合開発に係る水 利施設利用負担金がありますが、その償還は平成27年度に終了する予定 です。 5.経営の効率化 水道事業の職員数は、平成8年の 230 人から平成 18 年に 144 人となり、そ の後も事務の効率化や民間委託を進め、平成 24 年4月1日時点で 111 人とな りました(図 2-18)。今後も施設の更新、拡充を進めていかなければならな いことに加え、事故・災害に強い水道事業をめざし、水質管理のみならず、 震災・風水害等の災害対策や突発事故対応など、危機事象に迅速かつ的確に 対応できる体制を常に整えておく必要があります。 これらの人員確保とともに民間委託を進めるなど、さらなる効率化が求め られますが、民間委託に際しては、職員の専門的知識・技術力の低下に繋が らないよう、技術の継承を図る必要があります。 28,517 25,839 23,762 23,550 23,022 22,205 20,000 21,000 22,000 23,000 24,000 25,000 26,000 27,000 28,000 29,000 18 19 20 21 22 23 (年度) 144 137 133 128 121 119 111 100 150 18 19 20 21 22 23 24 (人) (年度) 【図2-17】 企業債等残額の推移 【図2-18】 職員数の推移
- 24 - 第3章 水道事業に係る将来予測指標 第1節 人口予測 水道ビジョンの策定にあたり、行政区域内の人口については、総合計画第 2期基本計画人口推計値を基に、時点修正を加えるものとします(表 3-1)。 これによれば、本市の将来人口は減尐を続け、平成 33 年には 396,960 人と想 定しています。 25 26 27 28 29 30 31 32 33 10/1 409,586 408,790 407,993 407,196 405,424 403,653 401,882 400,110 398,339 第 2 節 給水人口と水需要予測 1.計画給水人口 計画給水人口は、平成 31 年度までは現在の普及率*99.974%で推移し、 平成 32 年度以降は未普及地域が解消するものとし、100%で推移するも のとします(表 3-2)。 25 26 27 28 29 30 31 32 33 10/1 409,480 408,684 407,887 407,090 405,319 403,548 401,778 400,110 398,339 2.水需要予測 本市の有収水量*は、平成8年度に 5,061 万 8 千㎥に達しましたが、 それ以降は漸減傾向が継続しています。 これは景気の低迷や節水意識の浸透、節水型家電製品の普及及び飲用 の多様化などライフスタイルの変化、環境保全意識の高まりなどが要因 にあると考えられます。 これらを踏まえ、平成 23 年 10 月に「枚方市水道事業 水需要の試算」 を策定し、将来の水需要を次のように予測しました(図 3-1)。 【表3-1】 枚方市将来人口推計 (単位:人) 【表3-2】 計画給水人口 (単位:人)
- 25 - (1)生活用原単位(1 人 1 日当たりの水使用量) 推計値(㍑/人・日) H19 実績 H42 推計値 (飽和値) 枚方市 249 226 (2)有収水量* 一般用水量は、計画給水人口と生活用原単位の推計値から予測し、 業務用水量は過年度実績値を元に大阪府試算値等を踏まえ予測しまし た。 (単位:千㎥) 年度 25 26 27 28 29 30 31 32 33 水量 44,800 44,488 44,328 44,018 43,858 43,463 43,314 42,827 42,457 38,000 40,000 42,000 44,000 46,000 48,000 50,000 220 225 230 235 240 245 250 255 260 265 270 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 (千㎥) (㍑/人・日) (年度) 生活用原単位 有収水量 【図3-1】 生活用原単位及び有収水量の推移
- 26 - 第4章 水道事業のめざすべき方向 第1節 基本理念 本市がめざす水道事業の基本理念 ~ 市民の暮らしや企業活動を支える ~ 信頼される水道 満足される水道 持続可能な水道 水道事業は、地方公営企業として常に経済合理性に従った運営を行い、最 尐の経費で最大のサービスを提供するとともに、その本来の目的である公共 の福祉を増進するよう運営されなければなりません。本市では、この運営原 則をもとに事業運営にあたってきた結果、今日では、安全・安心な水を安定 かつ持続的に供給できる給水体制を構築しています。 しかし近年、長引く景気の低迷、節水型家電製品の普及など節水意識の浸 透、飲用の多様化などライフスタイルの変化に伴う使用水量の減尐や施設の 老朽化への対応、また、大地震等の危機事象への対応などが求められていま す。 今後は、これらの課題にも応えながら、さらなる経営改善を進める必要が ありますが、本市の水道事業は、「市民の暮らしや企業活動を支えるために、 お客さまに信頼され、満足いただける、持続可能な水道」をめざすという基 本的な考え方は今も生きており、平成 19 年の枚方市水道ビジョン策定時の 「基本理念」を継承し、この基本理念の実現のため、新しい時代に向かって 取り組んでいきます。 第 2 節 基本方向 水道事業が抱える様々な課題を踏まえ、基本理念の実現に向け、今後の水道 事業の進むべき「基本方向」を次の6つに定めます。 「危機管理による安全重視の水道:Safety(安全)」を柱に、6つの S を相互 に連携させ、将来の水道事業のあるべき姿をめざし、取り組んでいきます(図 4-1)。
- 27 - 【6つのS】 1 危機管理による安全重視の水道 Safety(安全) 2 安定的な給水の確保 Stability(安定) 3 安心して飲める良質な水の供給 Security(安心) 4 お客さまへのサービスの向上 Service(サービス) 5 官民の役割分担 Sharing(分担) 6 省エネルギーと環境保全 Saving(環境保全) ~市民の暮らしや企業活動を支える~
信頼される水道 満足される水道 持続可能な水道
【図4-1】〔基本理念〕
S
aving (環境保全) 省エネルギーと 環境保全S
ecurity (安心) 安心して飲める 良質な水の供給S
ervice (サービス) お客さまへの サービスの向上S
haring (分担) 官民の 役割分担S
tability (安定) 安定的な 給水の確保S
afety (安全) 危機管理による 安全重視の水道- 28 - 1.危機管理による安全重視の水道(Safety) 阪神淡路大震災や東日本大震災を経験した今日、危機管理・防災対策等、 安全性に重点を置いた事業運営がこれからの重要課題です。 日頃から事故・災害に強い水道事業をめざし、取水から蛇口まで常に安 全性を確保するために、水質管理のみならず、震災・風水害等の災害対策 やテロ対策、突発事故対応など、危機事象に迅速かつ的確に対応できる体 制を常に整えておく必要があります。 したがって、これからの本市水道事業全般を通した活動は、危機管理・ 防災対策に重点を置いた「安全(Safety)」の S を柱に、「安定(Stability)」 「安心(Security)」「環境保全(Saving)」「サービス(Service)」「分担 (Sharing)」の5つの S を包含し、かつ連携し、総合的な施策の展開を図 ります。 2.安定的な給水の確保(Stability) お客さまの暮らしや企業活動を支え、安定的に水を供給することは、水 道事業者としての使命です。本市は給水開始以来、人口増加、市街地の拡 大等に対応して、7次にわたり拡張事業を行い、給水量の約 80%を自らの 水で賄うことで、安定的な給水の確保に努めてきました。今後も安定的な 給水を確保するには、適切な維持管理とともに老朽化した施設及び送・配 水管*の更新・改良が必要です。また、引き続き、配水管の更新と合わせ、 お客さまが管理されている鉛製給水管*の解消に向けた取り組みを進めま す。 施設の更新・改良には莫大な投資が必要となりますが、スリムな執行体 制の構築、収入とのバランスを図った計画的・効率的な事業の推進に取り 組むなど、持続可能な経営を維持し、引き続き、安定的な給水の確保に努 めます。 ☆水道水が蛇口に届くまで(左図) ■配水施設(配水場と配水池)は水を溜めて おき、使用する量に応じて市内のすみずみ にまで水道水を配る施設です。 ■配水施設は主に高台に作られており、高低 差を利用した自然流下方式で水を供給し ています。 企業団水
- 29 - 3.安心して飲める良質な水の供給(Security) お客さまに安心しておいしい水を飲んでいただくことは、水道事業者と して常に求められる課題です。本市では、お客さまの蛇口まで安全で良質 なおいしい水を供給するため、高度浄水施設の稼動、水道 GLP*の取得など、 水質管理に力を注いできました。 また、共同住宅等の小規模な貯水槽(10 ㎥以下)の点検をお客さまに代 わって行うなど、きめ細やかな対応をしてきました。引き続き、安心して 飲める良質な水の供給に努めます。 4.お客さまへのサービスの向上(Service) 水道事業者は、お客さまの水道に対する様々なニーズや社会・経済情勢 の変化に迅速かつ的確に対応しなければなりません。特に水道料金は、お 客さまの家計の支出に直結する重要なものですが、現在の本市の水道料金 は、大阪府内の自治体の中でも比較的低額となっております。今後も引き 続き、低廉な水道料金の維持をめざします。 また、お客さまに快適な水圧の確保をめざすとともに、水道水の安全性 とおいしさを知っていただくための広報活動も進めます。 ☆高度処理によるおいしい水(左図) ■昭和 63 年から 3 年間にわたって高度浄水 処理の実験を重ね、オゾン処理と粒状活性 炭処理を加えることによりカビ臭につい てはほぼ 100%、トリハロメタンについて も水質基準値の 10 分の 1 まで低減できる ことがわかりました。 ■この結果をふまえ、平成5年度から高度浄 水施設の建設事業に着手し、平成 10 年に は市内全域に高度処理水をお届けするこ とができるようになりました。
- 30 - 5.官民の役割分担(Sharing) これまでは、経営の合理化・効率化を進めるため、職員数の削減をはじ め、窓口サービス、検針業務、滞納整理等、多岐にわたる業務の民間委託 を進めてきました。これからも「最小の経費で最大の効果」という経営原 則に従い、また、「民間にできることは民間に」を基本に官民の役割分担を 行い、効率的・効果的な事業をめざします。 また、東日本大震災をはじめ、地震・風水害等、数々の大規模災害が発 生した直後に、多くのボランティアによる救援活動が被災者の心の支えに なったことは記憶に残るところであり、危機管理の観点からも、市民・NPO・ 事業者等との応援協力体制の充実を図ります。 6.省エネルギーと環境保全(Saving) 世界的に環境保全意識が高まっている今日、地球温暖化や新たな環境汚 染など環境問題への対応は社会的責務であり、水道事業においても太陽光 発電装置の設置、エコオフィス活動*の取り組みなどを積極的に行い、環 境保全都市にふさわしい活動を展開してきました。 その一方で、水道事業は浄水や配水のために、大量の電力や薬品を消費 する事業であることから、環境保全に取り組むことは元より、環境に優し い機器・設備の導入に努めます。 さらに、健全な水循環体系を構築することは、一事業体のみでは困難で あることから、河川管理者や国など、関係する事業体との連携を一層強化 し、環境保全の取り組みを推進します。 中宮浄水場 太陽光発電装置 ☆中宮浄水場太陽光発電設備(左写真) ■中宮浄水場の太陽光発電設備では、多結晶シリ コン太陽電池という電池を使用しています。 太陽電池1 個は、約 15 センチ角の大きさで、 これをセルといい、セルを48 枚集め、パネル 状にしたものが太陽電池モジュール(出力160 ワット)で、これを 634 枚設置し、最大 100 キロワットの電力をつくり出します。発生した 電力は浄水設備動力の一部となります。 (平成14 年度完成)
- 31 - 第5章 今後の水道事業の基本施策 「危機管理による安全重視の水道」を柱とした「6つのS」の各基本方向に 従い、平成 25 年度から平成 33 年度までに以下の基本施策に取り組みます。 【基本方向】 【基本施策】 Security(安心) 安心して飲める良質な水の供給 ●水質管理体制の強化 ●小規模貯水槽の管理指導 Safety(安全) 危機管理による安全重視の水道 ●危機管理体制の強化 ●水道施設・管路の耐震性の向上 ●水道技術の継承 ●応急給水拠点・緊急対応設備の整備 ●水道施設・管路の計画的な更新・改良 Stability(安定) 安定的な給水の確保 ●送水ルート等の強化 ●効率的な維持管理の推進 ●持続可能な経営の推進 Service(サービス) お客さまへのサービスの向上 ●快適な給水水圧の確保 ●水道水の PR 活動の推進 ●低廉な料金の維持・受益と負担の適正化 ●環境保全活動の推進 ●広域連携による環境保全の推進 Saving(環境保全) 省エネルギーと環境保全 Sharing(分担) 官民の役割分担 ●多様な主体との応援協力体制の確立 ●民間委託等の推進
- 32 - 第1節 危機管理による安全重視の水道(Safety) 1.危機管理体制の強化 日頃から地震や風水害などの自然災害や水質事故に備えるため、「枚方 市地域防災計画」と連携し、応急給水体制、災害復旧体制、職員出動体 制などを整理した危機管理マニュアル*・防災マニュアルを整備し、常 に職員が危機管理・防災に対する意識を持ち、防災訓練の実施など迅速 な対応が図れるよう危機管理体制を整えます。 また、災害時に必要となる災害用資機材、備蓄水などの備蓄を進める など応急給水体制を整えます。 さらに、水質事故・テロなどの非常事態に備え、水道施設の継続的な 警備態勢を整えます。 2.水道施設・管路の耐震性の向上 浄水・配水施設*や水道管の耐震性の向上については、大地震への対 応が求められる中、水道事業の最重要課題として施設の更新・改良時に あわせて計画的に耐震化を進めます。 3.応急給水拠点*・緊急対応設備の整備 大規模災害時に給水量を確保するため、配水池に緊急遮断弁*を設置 し応急給水拠点として整備し、応急給水への対応を図ります。 また、災害時に水道が復旧するまでの間、水道管から直接給水ができ る緊急給水栓の配備を進めます。 ☆給水車(左写真) ■災害時の被害状況によっては水道管からの水の供給が 不可能になることが考えられます。そのような場合、一 刻も早い飲料水の提供が望まれます。上下水道局では、 2400 リットル 1 台と 2000 リットル 2 台の飲料水の確保 ができる給水車の配備を行っています。
- 33 - 4.水道技術の継承 給水サービスの水準を維持、向上させるためには、職員が高度で専門 的な技術水準を保つ必要があります。このため、水道施設・管路の修繕 や各種業務システムに関する専門的知識・経験及び技術力を次の世代へ 継承することは非常に重要であり、継続的に職員の養成・訓練に取り組 むことが必要です。 特に、突発的な事故や水質事故などは市民の生命や暮らし・財産に直 接関わることから、発生直後の対応が特に大切となります。非常事態に も迅速に対応できる職員の危機管理能力や技術の向上に努めます。 第2節 安定的な給水の確保(Stability) 1.水道施設・管路の計画的な更新・改良 浄水施設* ・配水施設* については、中宮浄水場をはじめ老朽化が進ん でおり、施設の更新・改良、延命化を経営とのバランスに配慮しながら、 更新・改良計画を整え計画的・効率的に進めます。 また、取水口から浄水施設まで送る導水管* 、浄水施設から配水施設 を結ぶ送水管* 、配水施設からお客さままで水道水を届ける配水管* につ いても、老朽化が進行しており、安全で安定的な給水を確保するため計 画的に更新・改良を進めます。 これら水道施設・管路の更新にあたっては、同時に耐震性の向上を図 ります。なお、配水管を更新する際には、お客さまが管理されている給 水管* についても取替えを行い、鉛管の解消を進めます。 2.送水ルート等の強化 災害時等に、基幹的な管路が被害を受け断水が想定される場合でも、 バックアップ(代替)が機能するように、既存の導・送水管とは別のル ートに新たに導・送水管を布設し、安定的な給水の確保に取り組みます。
- 34 - 3.効率的な維持管理の推進 お客さまに安定的な給水を確保するために、水道施設・管路の効率的 な維持管理を行います。また、新設又は交換が必要な設備、機器につい ては、ライフサイクルコスト*の縮減を基本に、長寿命機器等を積極的 に導入し、適切な資産の保全に努めます。 4.持続可能な経営の推進 平成 12 年度に水道料金を改定して以降、本市水道事業は、人員削減を 継続的に行うなど積極的な改革を行った結果、今日まで単年度黒字を続 けています。これからもお客さまに満足いただけるサービスを提供する ためには、事務事業全般わたり、コスト縮減に努め、経営の安定化・健 全化に向けた取り組みを継続的に進めます。
- 35 - 第3節 安心して飲める良質な水の供給(Security) 1.水質管理体制の強化 安心して飲める良質な水を供給するため、浄水処理過程や市内給水栓 の水質検査を計画的・継続的に行います。 また、水道水源を広域的に監視するため、琵琶湖・淀川水系を水源と する水道事業体と共同で水源の監視を行い、効果的・効率的な水質管理 に取り組むとともに、大阪広域水道企業団と連携した水質管理体制の検 討を行います。 2.小規模貯水槽*の管理指導 共同住宅などに設置されている貯水槽は、建物の管理者等が管理して いますが、10 ㎥以下の小規模貯水槽については水道法で規定された管理 が義務づけられていないため、清掃点検など管理が怠りがちで水質の悪 化などの問題が散見されます。 小規模貯水槽の水質や設備の状態などの点検を今後も引き続き実施し、 小規模貯水槽の管理者に必要な指導・啓発を行い、安心して飲める水道 水の供給に努めます。 第4節 お客さまへのサービスの向上(Service) 1.低廉な料金の維持・受益と負担の適正化 本市は基本水量と逓増制*の料金制度を採用していますが、近年、節 水型社会の進展など社会構造の変化にともない、有収水量*の減尐が続 いています。また、民間の事業内容の多様化により、用途別*の料金区 分や逓増性の整理も必要となっています。公正で低廉な料金の維持を基 本に、安定給水及び受益と負担の適正化の観点から、料金体系等を時代 に合わせて検証していきます。
- 36 - 2.快適な給水水圧の確保 市民のみなさまに、快適に水道を使用していただくために十分な水圧 の確保に努めています。直結給水は、共同住宅など3階以上の建物に、 貯水槽を経由せず配水管*の有する水圧により直接またはポンプで給水 する方式で、貯水槽の衛生上の問題の解消や省エネルギーの推進などに 効果があります。 本市ではサービスの向上をめざし、直結給水審査対象区域*の拡大に 取り組んでおり、地理的条件などから水圧の確保が困難な一部の地域を 除き市内全域の直結給水をめざし区域の拡大を推進します。 【図 6-1】 直結給水のイメージ図 貯水槽加圧ポンプ式 貯水槽加圧ポンプ式 直結直圧式 直結増圧式
- 37 - 3.水道水の PR 活動の推進 高度浄水処理*を施し、良質で安全な水道水をお客さまに供給してい るにも関わらず、まだ「水道水は蛇口から直接飲用してはいけない」な どという声を聞くことがあります。 これは水道事業者として非常に残念なことであり、広報活動が不十分 なことがその原因と考えられます。 水道水についての正しい情報をお客さまに伝えるために、「利き水会」 の開催や水道水のペットボトルの販売などを通じ、本市の水道水の安全 性とおいしさを広くお客さまに PR していますが、これらの取り組みをさ らに充実させ、様々なメディアを通じ積極的に発信していきます。 第5節 官民の役割分担(Sharing) 1.民間委託等の推進 お客さまのニーズに対応したサービスの向上をめざし、水道の検針業 務をはじめ、多様な分野で民間委託を進めていますが、今後も行政の役 割と責任を明確にしながら、より効果的、効率的な事業運営をめざし、 民間委託等の拡大の可能性を追求します。 2.多様な主体との応援協力体制の確立 (1)広域連携の推進 災害発生に備えて、応援協力関係を結んでいる関係機関、隣接事業 体等との情報交換を推進し、水源汚染事故等に迅速に対応できる体制 を整えます。 また、道路には水道管と同様に、ガス・電気、電信電話等のライフ ラインが狭い範囲で複雑に込みあって埋設されています。そのため、 水道管の破損による漏水は他のライフラインに甚大な被害を与える 恐れがあるため、事業者間の連絡調整を密にし、リスク管理に努めま す。
- 38 - (2)市民、NPO などとの応援協力体制 危機管理・防災対策などは、従来のように公共が独占的に担うので はなく、行政の役割と責任を明確にし、市民、自主防災組織、NPO な ど多様な主体と応援協力体制を確立し、危機管理・防災対策に備えま す。 また、蛇口での水質検査は、お客さま(市民)に検査してもらうこ とにより、水道に対する意識の向上を図ります。 第6節 省エネルギーと環境保全(Saving) 1.環境保全活動の推進 水を製造する浄水処理過程においては、多量の電力を消費します。そ のため、電力使用量の削減など、環境負荷の低減に向けた取り組みに努 めます。 また、工事の際に発生する建設副産物は、産業廃棄物として処分する だけでなく、再生資源として有効活用に努めるとともに、浄水施設*で 排出される副産物の再利用にも努めるなど、水道事業を展開するなかで、 環境保全に係る活動を進めます。 2.広域連携による環境保全の推進 水源である琵琶湖・淀川水系の水質・環境を守るためには、本市だけ ではなく、広域的に取り組むことが重要であり、関係団体との連携を密 にし、環境保全に取り組みます。 ☆近畿を潤す淀川(左写真) ■淀川は、琵琶湖を水源とする宇治川を中心に、 鈴鹿山地の水を集めて流れる木津川、丹波高原 に端を発する桂川の3河川が合流して、大阪湾 に流れ込む全長約75 キロメートルの大河です。 上流まで含めた淀川水系は、三重、滋賀、京都、 大阪、兵庫、奈良の2府4県にまたがり、流域 面積は8200 平方キロメートルにも及びます。 枚方市の水道は、水源を 100%淀川に依存して います。
- 39 - 第1章 下水道の役割 下水道は道路や公園などと同じ都市基盤施設でありながら、あまり目にする ことがありません。しかし、汚水の処理や雤水をすみやかに排除して浸水を防 ぐなど市民生活に密着した重要な役割を担っています。 下水道が目指す大きな役割は、①水環境の保全 ②快適な生活環境の創造 ③安全・安心な市民生活の確保といった3つに分類することが出来ます。 本市は、その役割を十分に認識し、将来にわたりその役割を担うことができ るよう、都市計画法に基づき、市域 6,580 ヘクタールの内、5,217 ヘクタール を公共下水道の計画区域と定め、下水道の整備と適切な維持管理を計画的に進 めていきます。 【豊かな水環境の実現】 ◇汚水の処理 (水みらいセンター※) ・汚水を浄化して、河川へ 放流することで水環境を 保全します。 ◇下水道資源の再利用 ・下水処理水等の再利用を 行います。 水環境の保全 【快適な市民生活の実現】 ◇汚水の収集(管渠) ・生活排水をすみやかに収 集し、衛生的な生活を守 ります。 ◇下水道施設の活用 ・水みらいセンター*やポ ンプ場など、市民に身近 な 施 設 と し て イ ベ ン ト の 開 催 や P R を 行 い ま す。 快適な生活環境 の創造 【安全・安心な生活の実現】 ◇浸水被害の軽減 ・雨水をすみやかに排除し、 浸水から市民生活を守り ます。 ◇下水道施設の耐震化 ・地震時においても下水道機 能を確保します。 ◇下水道施設の改築・更新 ・老朽化した施設を効率的に 補修、取替えします。 安全・安心な 市民生活の確保