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部活動における現状とレベルアップに向けた取り組み

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Academic year: 2021

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部活動における現状とレベルアップに向けた取り組み

──高校剣道部と大学剣道部との連携──

The Present Situation in Extracurricular Activities and Attempt to step up the Level: Collaboration between

High School and University in KENDO

髙瀬 武志

桐蔭横浜大学法学部

(2017 年 3 月 18 日 受理)

Ⅰ.はじめに

現在、日本における学校教育の中には授業 や特別活動の他に部活動が行われており、部 活動は課外活動として設けられている1)。ま た、先行研究では、部活動の経験の中で、部 員同士の積極的な関わりや相互的学習の交流 を通じて、対人経験を重ね、社会適応能力の 向上が期待できることなどが報告されている

2)。以上のことからも学校教育における部活 動の担う役割は重要かつ教育的効果は大きい と考えられる。

また、筆者が勤務している桐蔭学園は幼稚 部から大学院までを擁する総合学園であるが、

学園創立以来、文武芸の三位一体教育を教育 の根幹として発展してきた3)。特に高校剣道 部は学園創立と同時に創部されたクラブであ り、中学から大学までの体育関連の授業で剣 道が採択されているなど、桐蔭学園の「剣道 の有する教育的効果への理解」は深く、また 期待は大きい。

桐蔭横浜大学では、スポーツ教育振興本部

の指揮のもと、強化指定クラブの指導者を中 心に桐蔭学園高校の強化クラブとのクラブ間 における連携教育・活動を推奨している4)。 筆者は、桐蔭横浜大学剣道部(以下、大学剣 道部)の監督を 2015 年より務めているが、

桐蔭学園高校剣道部(以下、高校剣道部)の コーチ5)を 2013 年より兼任で務めており、

剣道部の部活動における高大連携教育を念頭 においた活動も徐々に軌道に乗りつつある。

そこで剣道部における高大連携教育の現状を 整理したうえで、実際に活動している大学生 や高校生の剣道部員たちの意識調査6)をもと に高大連携教育のさらなる充実と発展を目指 す指針を示すことが本論の目的である。

Ⅱ.高校剣道部・大学剣道部における 高大連携教育の現状と研究方法

桐蔭横浜大学では、スポーツ振興本部やス ポーツサポートセンター(以下、SSC)とい った組織も充実してきており、スポーツ活動 やスポーツを通じた教育にも力を注いでいる。

takaSe Takeshi : Research Associate, Faculty of Culture and Sport Policy, Toin University of Yokohama. 1614 Kurogane-cho, Aoba-ku, Yokohama 225-8503, Japan

(2)

そうした大学組織のサポートも得ながら行 っている剣道部における高大連携教育の主な 内容は、大学剣道部と高校剣道部が合同で活 動(稽古)することにより、高校・大学の部 員同士の交流や同一の指導者による一貫教育 が挙げられる。特に稽古時間の関係から大学 剣道部の稽古に高校生の有志部員が参加する という形式が多い。

また、最近では SSC の活動が充実化した こともあり、SSC スタッフによる講習会や 実技指導といった企画を設けて、大学剣道部 と高校剣道部が合同で受講し学習する機会が 増えてきている。

高校剣道部と大学剣道部の合同稽古や合同 での講習会等への参加は、年に数回という頻 度で開催されている。前述した通り、高校剣 道部員の有志が自主的に大学剣道部の活動

(稽古)に参加するということは、ほぼ毎日 のように行われている7)

また、合同での活動ではないが、高校剣道 部員が桐蔭横浜大学のスポーツ関連施設を利 用して活動することや大学剣道部員が桐蔭学 園高校のスポーツ関連施設を利用して活動す るといった機会は徐々に増加の傾向にある。

以上が高校剣道部・大学剣道部における高大 連携教育の現状である。

研究方法は、高大連携教育の一環である講 習会等に参加した桐蔭学園高校剣道部員と桐 蔭横浜大学剣道部員に対して、「高大連携教 育に対する意識調査」としてアンケート調査 をこない、その回答結果からの考察をおこな う。

Ⅲ.高校剣道部・大学剣道部における 高大連携教育への意識調査の結果

平成 29 年 2 月 4 日に桐蔭横浜大学におい て開催されたスポーツサポートセンター主催 の特別講習会に参加した高校男子剣道部員 12 名と大学剣道部員 15 名(男子 7 名、女子 8 名)に講習会終了後にアンケート調査8)を 実施し高大連携教育への意識調査9)をおこな

った。

アンケート調査の結果をグラフにまとめる と図 1・2のような結果となった。

さらに細かく見てみると図3〜6のように なる。

(3)

また、高校生のみに実施した質問項目

(Q3) と 大 学 生 に の み 実 施 し た 質 問 項 目

(Q4)の結果をグラフにまとめると図7・8 のようになる。

Ⅳ.考察

本項では、先述した高校剣道部と大学剣道 部への高大連携教育に関する意識調査の結果 をもとに高校生と大学生の意識の相違を比較 し考察をおこなう。

まず、高大連携でおこなう講習会や稽古と いったイベントに対する意識としては、高校 生・大学生ともに前向きな意識が持たれてい る。特に注目したいのは、高校生の回答者全 員が高大連携でのイベントを必要であると考 えているということである。大学生に関して は約半分の人数に留まっている。また、今後 も高大連携の講習会や稽古といったイベント に参加したいかという質問に対しても、高校 生の回答者は 8 割以上が参加したいと考えて

(4)

いることがわかる。しかし、この質問でも大 学生に関しては、回答者の約半数が参加した いと答えるに留まっている。

高校生と大学生において、このような意識 の違いがでることの要因を高校生の視点と大 学生の視点にたって考察する。

まず、高校生の視点にたつと、回答の多く に見られた記述として、高校では学べないよ うな専門的な知識や経験を学ぶことができる ことや、自分への新たな刺激を得る機会にな るというものがあった。また、高校にはない 大学の施設や用具に関する回答もあった。

次に、大学生の視点にたつと、回答の多く に見られた記述として、全国でも有数の実績 を誇る剣道部員10)との交流を通じて学ぶこ とが多いということ、同じ桐蔭という名を校 名に持つ仲間としての意識が多く見られた。

また、高校生との情報交換を望む回答もあっ た。

これらの回答の違いから考えられる意識の 違いとして、高校生は高大連携教育やイベン トに参加することで、自身の競技力の向上を 図れるもの(知識・経験・気づき)を求めて いる。一方で、大学生は、自身の競技力の向 上を図れるものとして(知識・経験・気づ き・レベルの高い高校生との交流)を求めて いることがわかる。これは、先述したように 桐蔭学園高校剣道部は全国優勝 5 回の実績を 誇る、いわゆる「名門クラブ」であるのに対 し、桐蔭横浜大学剣道部は創部 10 年に満た ない発展途上にあるクラブという意識が学生 の中にあると考えられる。

実際に講習会の中でも大学生が高校生に対 して遠慮していると見受けられる傾向が見て 取れた。このような意識が、アンケート調査 の Q2 に対する回答にもみられたように、「今 後も高大連携教育のイベントに参加したい か?」という質問に対する大学生の回答が、

やや消極的であった要因であると考えられる。

しかし、Q4 の回答にもあるように質問に回 答した大学生全員が高校生との交流を通じて、

学ぶことがあったと回答していることからも、

高大連携教育という取り組みは必要であると 同時に意義深いものであると考えられる。

つぎに、アンケート調査の Q3 にある「講 習会等を通じて大学の施設を利用するように なって、大学への興味・関心は増したか?」

という質問に対しては、興味・関心が増した という高校生は 3 割程度に留まり、少し増し たと回答した学生が 5 割であった。この回答 結果からも、講習会やイベント等を高大連携 で開催することによって、高校生の興味・関 心は少しでも大学に向きつつあることが理解 できる。Q3 の結果から、高大連携教育の教 育効果とは別の観点からも高大連携イベント は意義深いと考えられる。

Ⅴ.まとめ

本論では、高大連携教育について、筆者が 勤務する桐蔭学園高校剣道部と桐蔭横浜大学 剣道部の活動(部活動)に焦点をあてて、高 大連携教育に対する高校生と大学生の意識の 相違をアンケート調査の結果から比較考察す ることによって明らかにし、今後の高大連携 教育の発展と充実を図るうえでの指針を示す ことを目的として論をすすめてきた。

他の先行研究11)でも指摘されているよう に、本学における高大連携教育においても、

Q1 や Q2 の回答結果を考察すると、大学の 充実した施設や教育環境であるからこそ、高 校生にとっても知的好奇心を高められるので あり、そのような学びに対して積極的な高校 生と同じ環境で学ぶことによって大学生も触 発されていくという相乗効果があると考えら れる。よって、今後も可能な限り高大連携で の講習会等のイベントを開催していくメリッ トはあるように考えられる。

また、高校生にとっては普段の学習環境と は異なった学習環境での学習や体験は、それ だけで貴重であり、強く印象に残るように考 えられる。これはアンケート調査の回答や高 大連携教育を専門とする先行研究の指摘12)

(5)

からも理解できる。

さらに、高校生にとっては先述したように 普段とは異なった学習環境や学習内容(レベ ルの高い講義や体験学習)を通じて知的好奇 心への刺激や競技力の向上や専門知識の深化 が期待できるのに対し、大学生にとっては高 校生同様に競技力の向上や専門知識の深化の みならず、競技力の高い高校生との交流を通 じて、大学生自身の競技に対する意識改革や 競争心を高揚が期待できる。また、将来、教 職を希望している大学生にとっては高校以下 の現場の一端を知る良き学びの場となると期 待できる。このように高大連携教育の場で学 びあう高校生と大学生の両者が相互に学習効 果を感得できることは、さらなる成長の一助 になるだけではなく、今後の学習や活動への モチベーション・アップ13)にも繋がる方策 であると考えられる。よって、高大連携教育 の一環としての講習会等といったイベントは 今後も精力的に開催していく必要性があると 考えられる。

ただし、高大連携教育の講習会等の開催回 数を増やすだけでは、マンネリ化と同時に高 校生の大学に抱くイメージも刺激的なもので はなくなってしまう恐れがあるため、開催す る時期や内容は精査する必要がある。また、

学習効果を向上させるためには、学習内容等 を数値化する必要もあると考えられる。そし て 1 回目から 2 回目といった回数を増やす中 で、各回の繋がり(継続化)を図れると高校 生は、より大学への興味を抱くのではないか と考える。桐蔭横浜大学剣道部に限って述べ るならば、高校生に対する遠慮なども払拭す るためにも高大連携教育の講習会等の回数を 増やす中で、積極的に高校生と関わり合える 学習課題を与えることと同時に大学生が高校 生に指導できるテーマや学習内容を設定する ことも必要ではないかと考える。これらの課 題は高大連携教育の発展と充実を図るうえで、

今後の課題としたい。

【注】

1) 野中一成氏も『部活動での人間関係が部活 動の継続と日常生活スキル向上に及ぼす影 響』という研究論文の中で同様に指摘して いる。

2) 前掲の論文の中でも,同様に指摘している。

3) 鵜川昇:『わが人生』,文芸社,2008.

4) スポーツ教育振興本部は桐蔭学園内の組織 であり,高校剣道部・大学剣道部共に強化 クラブとして活動している。

5)  桐蔭学園高校は男女併学制のため男子剣 道部のコーチを務めている。

6) 桐蔭学園での高大連携教育の一環として開 催している剣道部員を対象とした講習会や 稽古などに対する部員たちへのアンケート による意識調査を行う。

7) 高校剣道部は 16:30 〜 18:00,大学剣道部 は 18:30 〜 20:30 まで活動している。

8) アンケート調査は「桐蔭学園高校剣道部・

桐蔭横浜大学剣道部における高大連携教育 に対する意識調査」というタイトルで実施 した。

9)  Q1:高校と大学が合同で開催する講習 会や稽古は良い(必要)と思いますか?

Q2:これからも高大連携したイベント があれば参加してみたいと思いますか?

Q3:大学の施設を利用するようになって、

大学への興味や関心は増しましたか?

Q4:高校生と交流を持ち,勉強になっ たことはありますか?

* Q3 は高校生のみ,Q4 は大学生のみ 質問をおこなった。

10) 本論に関するアンケート調査をおこなった 現在(2017 年 2 月)において、大学剣道 部には桐蔭学園高校からの内進生はいない。

大学剣道部員全員が外進生である。

11) 内田尚志『実験・体験講座を中心とした高 大連携教育の実戦例──想像力と創造力を どう引き出すか?──』平成 23 年度工学 教育研究講演会講演論文集,p.180–181,

公益社団法人日本工学教育協会,2011.

12) 米田俊彦・玉谷直子:『高大連携教育研究』,

(6)

年報 Vol.2 p.34–37,お茶の水女子大学人 間発達教育研究センター,2010.

13) 関秀廣 他:『新たな高大連携教育を目指し た 入 学 前 交 流 講 座 』, 工 学 教 育 50 巻,

p.16–19,日本工学教育協会,2002.

【主な参考・引用文献】

米田俊彦・玉谷直子:『高大連携教育研究』,

年報 Vol.2 p.34–37,お茶の水女子大学人 間発達教育研究センター,2010.

野中一成:『部活動での人間関係が部活動の 継続と日常スキル向上に及ぼす影響』,国 際人間学フォーラム 10 巻 p.13–17.中部大 学国際人間学研究科,2014.

浅井朋彦 他:『中高大連携による体験型物理 教育Ⅳ──部活動における連携例──』,

平成 19 年度工学・工業教育研究講演会講 演論文集 p.32–33,公益社団法人日本工学 教育協会,2007.

阿部武:『スーパーサイエンスハイスクール

(SSC)の高大連携教育の試み』,化学と教 育 51 巻 p.725–726,社団法人日本化学会,

2003.

永澤明:『埼玉大学における高大連携教育』,

化学と教育 51 巻,p.731–733,社団法人日 本化学会,2003.

関秀廣 他:『新たな高大連携教育を目指した 入学前交流講座』,工学教育 50 巻,p.16–

19,日本工学教育協会,2002.

内田尚志:『実験・体験講座を中心とした高 大連携教育の実践例──想像力と創造力を どう引き出すか?──』,平成 23 年度工学 教育研究講演会講演論文集,p.180–181,

公益社団法人日本工学教育協会,2011.

鵜川昇:『わが人生』,文芸社,2008.

学校法人桐蔭学園:『創立 50 周年記念誌』,

学校法人桐蔭学園,2014.

参照

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