• 検索結果がありません。

2012年国内麻疹排除に向けた取り組み

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2012年国内麻疹排除に向けた取り組み"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

第67巻 第3号,2008(537~539) 537

感染症・予防接種レター(第42号)

 日本小児保健協会予防接種・感染症委員会では「感染症・予防接種」に関するレターを毎号の小児保健研究 に掲載し,わかりやすい情報を会員にお伝えいたしたいと存じます。ご参考になれば幸いです。

       日本小児保健協会予防接種・感染症委員会委員長 加藤達夫  予防接種・感染症委員会

  委員長加藤 達夫 副委員長岡田 賢司   庵原 俊昭   宇加江 進   古賀 伸子      住友眞佐美     多屋 馨子   馬場 宏一   三田村敬子

   2006~2008年の麻疹流行と,

2012年国内麻疹排除に向けた取り組み

 2006年春に茨城県南部,千葉県を中心として 発生した麻疹の地域流行は,夏に一旦患者数は 減少傾向をみせたものの,千葉県では患者発生 が断続的に続いていた。秋には東京都内の高校 で集団発生があり,2007年末から2008年初めに かけて埼玉県で患者数が増加し始めた。その後 東京都北部から患者が増加し始め,千葉県,神 奈川県へと拡大していった。5月の大型連休で 人の移動が活発となり,流行地域で感染を受け た人が全国に散らばり,そこで地域流行が発生 することにより全国的な流行となった(図1)。

 従来日本では,5~6年毎にワクチン未接種

の乳幼児を中心とした全国流行が発生してい た。しかし,2001年の全国流行をうけて,全国 の小児科医,行政をはじめとして,関連機関が 熱心に麻疹対策に取り組み始めた。その中心に

なったのは,1歳になったらすぐの麻疹ワクチ ン接種キャンペーン「麻疹ワクチンを1歳のお 誕生日のプレゼントにしましよう」であり,こ の効果により,2007年以降の流行では,幼児期 の患者が激減した(図2)。一方,全国約450の 基幹病院定点から報告される15歳以上(2006年

3月までは18歳以上)の麻疹(成人麻疹)サー ベイランスでは,調査が開始された1999年忌14

リへほ  しぢ ンな にゆめもミかがコがが ロが  コが   ド

       ._一醜翻幽

串蝕雪渉暖♪7 ““’,v一 sβ’・]脾 「」曇」灘融ぜ艶報伽徽

    ・一翻

愚ゆ鰯    ノ  ..瞬

鼠3@蹴 椴

轄権門

O

図1 都道府県別麻疹・成人麻疹患者発生状況,2006~2007年(感染症発生動向調査より作図)

Presented by Medical*Online Presented by Medical*Online

(2)

538 小児保健研究

図2 麻疹患者の年齢分布(小児科定点),1982~2007年(病原微生物検出情報VoL 28. No.9.2007より)

週以降最多の報告数となった。年齢は10~20代

・が多く,思春期から若年成人が多く発症した。

この年齢傾向から, 2007年4~7月までの間に,

全国で263校(保育所・幼稚園2園を含む)が 麻疹による休校措置をとったが,その多くが高 等学校と大学であり,特に東京都内の学校の休 校が目立った。これまでに国内で見られなかっ た事態であり,ワクチン不足や麻疹抗体測定 キットの不足など,社会的な混乱にも発展した。

  これらの流行をうけて,国を挙げての麻疹対 策は大きく進展した。WHOは日本を含む西太 平洋地域から2012年までに麻疹を排除(elimina-

tion)することを目標にしているが,わが国も 先進諸外国から麻疹輸出国として非難される現 状を改善し,2012年までに国内から麻疹を排除 し,さらにその状態を維持することを目標に定 めた。その内容は2007年12月28日に告示された

「麻しんに関する特定感染症予防指針(厚生労 働省告示第442号)」に詳しく記載されている。

  これに伴い,2008年1月1日から麻疹は感染 症法に基づく全数把握疾患に規定され,麻疹の

患者を診断した医師は,7日以内(できる限り 24時間以内)に最寄りの保健所に報告すること が義務づけられた。このことにより,国内の麻 疹患者発生状況を正確に把握し,その結果に基 づき迅速な麻疹対策を講じることが可能となっ

た。

 また,現行の1歳児と小学校就学前1年間の 幼児に加えて,2008年4月1日から5年間の時 限措置で,中学1年生と高校3年生に相当する 年齢の者を対象に,麻疹含有ワクチン(風疹対 策の観点も考慮し,原則として,麻疹風疹混合 ワクチンを用いることと規定されている。)を 予防接種法に基づく定期予防接種として定め た。これまで予防接種を受けたことがない人は 勿論,幼児期に1回受けた人も定期予防接種の 対象者とし,2回目の接種を受けるよう積極的 な勧奨が始まっている。さらに,予防接種法に 基づかない任意の接種ではあるものの,医療関 係者,児童福祉施設等の職員,学校等の職員等 は,本人が麻疹を発症すると,多数の者に感染 を引き起こしてしまうことが多いことから,予

Presented by Medical*Online Presented by Medical*Online

(3)

第67巻 第3号,2008 539

450 400 350 300 250 200 150 100 50 0

 0 2 4 6 8 1i 01214161820222426283032343638404244464850歳

      以上       感染症発生動向調査 5月8日現在

報告数7,179

』ll

・薫

■不明 翌Q回接種 回接種 レ種なし

,!…「

i胡; 要』

黒 ■ 嗣鍵 1鐵

/胤., 難1

1:II

k一

凝に、

1

r . ■塵、…

髭旨

三屋’静’一塗一

・脚團顯閏蜘_昌

l  l  I  l  l  l  I  I  l }  }  1  1 I  l  l  l 1 [ I l I l l I l I } I I I [

        図3 年齢群別麻しん累積報告数(n=7,179)2008年第1~18;週

国立感染症研究所感染症情報センター一 HP:http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/pdf/measO8-18.pdfより

防接種の推奨を行う必要があると規定されてい

る。

 文部科学省は,厚生労働省と協力し,新たに 定期予防接種の対象となる中学1年生および高 校3年生全員を対象に,予防接種を勧奨する

リーフレット「中学1年生のみなさん はしか

(麻しん)・風しんの予防接種を受けましょう」,

「高校3年生のみなさん はしか(麻しん)・風 しんの予防接種を受けましょう」を作製し,学 校から対象者全員に配布がなされるよう2008年 3月に全国に送付した。また,「学校での麻疹 対策ガイドライン」が全国の学校に配布された。

 また,2007年秋に高校2年生を対象に,麻疹 に関する意識調査を実施したところ,多くの 高校生が麻疹について知らないと回答したこ と,麻疹の予防法や麻疹の予防接種についても 多くが知らないと回答したことから,麻疹教育 啓発ビデオ「はしかから身を守るために:上映 時間15分」を国立感染症研究所感染症情報セン

ターで作製した。麻疹についての理解を深めて 頂く目的で,国立感染症研究所感染症情報セン

ターのホームページ(URL=http://idsc.nih.

go . jp/disease/measles/Video/measlesVideo .

html)に公開するとともに,行政機関,医療

機関,教育機関の関係者を対象に,DVDでの 無料配布も行っている。

 2008年5月8日現在,国内の麻疹流行は増加 の一途をたどっており,2008年1月1日からの 患者報告数は,7,179人となっている。特に関 東地方は流行規模が大きく,学校での集団発生

も数多く認められている。多くが中学生・高校 生の年齢で,約半数は予防接種歴がなかった

(図3)。

 万が一,学校等の集団で麻疹の発生が認めら れた場合は,迅速な対応により感染の拡大を予 防し,重症患者が1人でも少なくなるように,

麻疹についての教育啓発が求められている。ま た,麻疹を国内から排除し,維持するためには 2回の予防接種率を95%以上にすることが必要 であり,特に,定期予防接種の対象である中学 1年生と高校3年生に相当する年齢の者に対し ては,4~6月を重点的接種勧奨期間と定め,

予防接種を受けるよう,学校からの指導が重要 と考える。実施主体である市町村とともに,行 政教育機関,医療機関,研究機関が一体となっ た麻疹対策が今一番求められているのである。

       (文責:多屋馨子)

Presented by Medical*Online Presented by Medical*Online

参照

関連したドキュメント

 昭和52年から高度成長期と共に汚染された東京湾再生の活動に取り組

小学校 中学校 同学年の児童で編制する学級 40人 40人 複式学級(2個学年) 16人

2018 年度 2019 年度 2020 年度 2021 年度 2022 年度 2023 年度 2024 年度 2018 年度入学生 1 年次 2 年次 3 年次 4 年次. 2019 年度入学生 1 年次 2 年次

支援級在籍、または学習への支援が必要な中学 1 年〜 3

中学生 高校生 若年者 中高年 高齢者 0~5歳 6~15歳 16~18歳 19~39歳 40~65歳

就学前の子どもの保護者 小学校 1 年生から 6 年生までの子どもの保護者 世帯主と子のみで構成されている世帯の 18 歳以下のお子さんの保護者 12 歳~18 歳の区民 25

今年度は 2015

「2008 年 4 月から 1